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産業界からの大学への期待

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産業界からの大学への期待
2012(平成24)年10月1日
「日本の大学ベンチマーキング2011」
パネルディスカッション
産業界からの大学への期待
住川 雅晴
産業競争力懇談会(COCN)実行委員長
(株式会社日立製作所 顧問)
1.産業競争力懇談会とは
COCN
COCN:Council on Competitiveness-Nippon
代表幹事:
榊原 定征(東レ株式会社 代表取締役会長)
実行委員長: 住川 雅晴(株式会社日立製作所 顧問)
日本の代表的ものづくり企業(34社)を中心に、
大学・研究所(4大学・1研究所)が連携
我が国の存立基盤である産業競争力強化につながる
科学技術政策やイノベーション政策への提言
業種横断的で具体的なプロジェクトベースの提言のみならず
実践を志向
2006年の発足以来、64テーマに取り組み
「手弁当精神」 第一線の経営者、研究者、技術者の
専門家集団による自ら汗をかく活動
(URL:http://cocn.jp/)

1
COCN
2.産業競争力懇談会(COCN)推進テーマの流れ
産業競争力懇談会(COCN)推進テーマの流れ
実現に向け具体的な推進母体が活動中のもの
推進母体検討中のもの
推進分野
復興
再生
2006
2007
2008
2009
2010
強靭な社会
システムと
産業構造
2011
2012
レジリエントエコノミー
災害対応ロボットと運用システム
環境未来都市
都市づくり・社会システム構築
先進都市構造の構築
グ
交通・物流
ルネサンス
交通物流ルネサンス
(新ITS)
リ
エネルギー
効率の向上
燃料電池自動車と
水素インフラ
EV・PHV充電インフラ
次世代エネルギー
システム(AES)
ヒートポンプ
太陽エネルギーの化学
エネルギーへの変換
リチウムイオン電池
ー
半導体技術開発
ン
先端キー
テクノロジー
ナノエレクトロニクス
グリーンパワエレ
研究拠点
水資源
(海外水循環システム)
海外インフラ
事業
資源の確保と
循環
ライ
フ
活力ある
高齢社会
ICT
高度ICT
利活用
イノベーション
を支える基盤
産業基盤を
支える人材
半導体戦略
(先端研究開発)
MEMSフロンティア
環境修復技術
バイオ燃料(微細藻類)
バイオ燃料
(セルロース系)
資源リサイクル(レアアース等)
安全安心見守り
システム
農林水産業と工業の
産業連携
活力ある高齢社会
大学・大学院教育
基礎研究への産業界
の期待と責務
医療情報の活用
ヘルスケア・子育て
システム
次世代医療システム
エンタプライズ
ソフトウェア生産技術
生活文化ルネサンス
(ユビキタス)
企業活動と生物多様性
機能性植物資源
希少金属の安定確保
(植物工場の活用)
産業基盤を支える
人材育成
個人情報の安全に配慮した利活用の推進
HPC(スパコン)の応用
新材料設計
シミュレーション
グローバル時代の
博士人材
グローバルなリーダー
人材の育成と活用
イノベーション創出に
向けた人材育成
実質税負担率(Ⅱ)
グローバルもの
(コト)づくり
コトづくりからの
ものづくりへ
子どもの理科離れ対策
ものづくりと投資
の環境整備
実質税負担率
2
3.COCNの大学の研究や教育に関する提言例
COCN
2008年度 「基礎研究についての産業界の期待と責務」
・学術指向研究と公共的、経済的ニーズを結びつける構想力をもった「目利き」の存在
・基礎研究の成果が、客観的評価を含め第三者に利用しやすい形で公開されるしくみ
・産官学による、オープンな議論や複合専門領域が協力するための課題解決指向の「場」
(プラットホーム)の形成
2009年度 「産業基盤を支える人材の育成と技術者教育」
・高度技術系人材に求めるもの
基本科目や専門分野の基礎知識の確実な習得
問題設定・課題整理・論理的考察・アイデア創造・情報伝達・社会への関心等の力
・コースワークの充実とリサーチワークにおける適切な研究テーマならびにコーチング
指導体制の徹底
2011年度 「グローバルなリーダー人材の育成と活用」
・政府、大学、産業界の連携による継続的な意見交換のしくみと場の設定、
アクションプランの展開と実行およびフォロー
・産業界:キャリアパスを提示し社会と大学に発信、インターンシップの場の提供等
大 学:修了者のアウトカムを明確にした教育体系、教育内容を産業界にアピール等
3
4.大学の役割への期待
COCN
(1)研究に求められること
「出口意識」を明確にして広範囲の理解を得る努力
真理の追究 【学術指向研究】
社会や生活の課題解決(安全安心・便利・豊かさ)【技術指向研究】

(2)教育に求められること
高度な「探求方法論の実践」の経験人材の育成

PDCAサイクルの実体験
(3)産業界とのコミュニケーション強化
共通コミュニケーションツールの構築
4
5-1 ディスカッションのポイント
COCN
【社会とつなぐイノベーション】
(1)科学技術力は社会的課題解決の手段
(2)イノベーションによる日本の再生と成長が急務
(3)科学技術力の開発がイノベーションの鍵
(4)社会のニーズを反映した有意な開発が大切
(5)産・官・学をつなぐコミュニケーションが必要
(6)相互理解のための共通言語体系の構築要
5
5-2 ディスカッションのポイント
COCN
(1)大学研究ベンチマークの意義
1)研究のレベルアップ・グローバル化に期待
2)出口意識を明確にした研究
(2)大学によるグローバルな人財の育成
1)研究を通した「探求方法論の実践」教育
2)産学の人材交流の促進(インターンシップなど)
(3)大学や研究機関と産業界の共通言語の提言
「研究体系化チャートの構築」
1)研究者(学)と産業界(産)と政策立案者(官)の
共通コミュニケーションツール(共通語)として相互理解の促進
2)研究者自身が研究の位置付を認識
3)将来の取組に向けての指針創出
6
6.「探求方法の実践」の具体的事例
COCN
「登山家は三度山に登る」(PDCAサイクルの実践)
計画(Plan)
実行(Do)
1)登山目標の選定
2)登山計画・装備・費用計画
(数ケースの詳細シミュレーション)
①
1)装備・費用の準備
2)登山実行
②
評価(Check)
1)登山実績と計画との比較評価
③
改善(Act)
1)次の登山計画への反映事項の整理
7
7.体系化チャートの構築(例)(共通コミュニケーションツール)
①
COCN
②
分
野
ライフサイエンス
原 子
分 子
結 晶
材 料
構 造
Å
nm
μm
mm
m
○「タンパク質バイオマーカーの開発」
疾患別治療用タンパク質マーカーの開発
肺ガン攻撃タンパク質マーカーの開発
③
○糖鎖解析技術の開発
○生体機能評価・支援技術
○脳機能回復支援技術
マイクロエレクトロニクス
○スピントンネル・ベーゼック効果による記憶素子の開発
○相変化固体メモリーによる省電力化開発
○単結晶有機半導体薄膜の印刷製造技術の開発
○光異性化可逆反応有機材料によるフォトレジストの開発
課題
①「分野」の分類法
②対象メカニズムの分類法
③出口(適用対象)の具体表記法
8
COCN
【参考】抽象のハシゴ
出典: 『思考と行動における言語―原書第四版』 S.I.ハヤカワ著
同じ抽象レベルでコミュニケーション
8.富
8.富と言う言葉はきわめて高いレベルの抽象で、ベッシーのほとんどの特性
レベルへの言及は省略されている。
7.資産
7.ベッシーを「資産」と言う時、なお多くの彼女の特性が落ちている。
6.農場資産
6.ベッシーが「農場資産」に含まれる時は、ただ彼女が他の全ての 農場の売れ
る物件と共通の点だけが言及されている。
5.家畜
5.ベッシーが「家畜」と呼ばれる場合には、彼女が豚・鶏などと共有している特
性だけが言及されている。
4.牝牛
4.「牝牛」の語は、われわれが牝牛1、牝牛2、牝牛3・・・牝牛nに共通の特性を
抽象化したものを代表する。特定の牝牛の特有の特性は捨てられる。
3.ベッシー
3.「ベッシー」(牝牛1)の語は、2のレベルの知覚の対象にわれわれが与えた名
である。名は対象そのものではない。それはただ対象を代表し、対象の諸特性
の多くへの言及を省く。
2.
2.われわれが知覚する牝牛は、語ではなく、経験の対象である。われわれの神
経系が、原子的過程-牝牛を形成する全体から抽象(選択)したもの。
原子的過程-牝牛の多くの特性は落ちている。
1.科学に知られている牝牛、現在の科学の推定では究極は原子・電子等からなる。
諸特性はこのレベルでは無限でまた常に変化しつつある。
9
【参考】コミュニケーションツール例
COCN
10
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