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産業競争力懇談会(COCN)2016年度推進テーマ 活動企画書(scope
産業競争力懇談会(COCN)2016年度推進テーマ 活動企画書(scope of work) 【候補テーマのタイトル】 学会をオープンイノベーション推進の場とするための方策 【提案企業・大学・法人】 日立製作所 【提案内容】 1.提案の背景・理由 オープンイノベーション促進が産学官で議論されている。日本再興戦略 2016 には 「2025 年までに企業から大学、 国立研究開発法人への投資を 3 倍増とすることを目指 す」(*1)、第 5 期科学技術基本計画には「大学及び国立研究開発法人における企業からの 共同研究の受入金額が 2020 年までに 5 割増加となることを目指す」(*2)と記載されてい る。仕組みに関しても、企業と大学のマッチングファンドを纏めて運営する 共創プラッ トフォーム 構想が 2016 年に文科省から提言されている。 国内大学と民間企業との共同研究は毎年増加しており、2014 年度の大学の研究費受入額 416 億円となったが、この 6 年平均では毎年 20 億円の伸びである。また 2014 年度の共同 研究の 1 件あたりの平均研究費は 218 万円であり、1 千万円を超える研究は 3.6%である (*3)。企業の大学への投資は伸びているが、慎重な増加速度であり、また大型の共同研究 が少ない。一方、企業、大学ともに「本格的共同研究」を望んでいる。 産学連携の加速策についてはこれまでに多くの検討がなされており、国レベルで幾つか の施策が打たれている。従って、施策であれば新たな観点からの提言、あるいは既存の施 策の有効活用策が重要であろう。 2.産業競争力強化上の目標・効果 科学技術イノベーション総合戦略 2016 は「我が国の状況を見ると、イノベーションに必 要な人材、知識・技術、資金は、大企業、中小・ベンチャー企業、大学、公的研究機関に偏 在しており、有機的なつながりが薄く、その価値を十分に活用できていない」(*4)と指摘 している。 本プロジェクトは上記課題を鑑み、学会をハブとしてオープンイノベーションを促進す る仕組みを検討する。学会は産学の研究者、技術者の集まりであり、情報交流の場が既に 構築され、知識と情報を講演会や雑誌等の伝達媒体を通じて会員が共有している。更に近 年、産学連携への積極関与を目的に、企業ニーズと大学シーズのマッチングの場を設ける 学会が増えている。しかし各学会ともマッチングの場の機能は十分に発揮されておらず、 例えば 非競争領域における複数企業対複数大学での連携 、 異分野学会同士の連携 などのテーマを推進する仕組みとなっていない。工学系の学会は、産学協創プラットフォ ームとして活用するために創生された。その原点に立ち返り、学会をオープンイノベーシ ョン(産学連携)推進の母体のひとつにする。 本プロジェクトの効果として、日本がイノベーション大国となり、日本再興戦略 2016 に 記載されたイノベーション創出力の強化に関する KPI(*1)が実現される。 3.検討内容と想定される課題(政策、技術・システム開発、規制改革、人材育成など) 個々の大学と企業の連携は、組織対組織の連携よる包括的な大型テーマの推進が推奨さ れている(*5)。一方、産業界の非競争領域(あるいは協調領域)の産学連携も、産業競争 力向上には必要であるが、この仕組みの整備が不完全である。本プロジェクトは、この課 題解決に資するひとつのアプローチである。現時点で想定される最も大きな課題は、連携 テーマ創出の仕組みづくりである。学究的世界の研究者との連携であるので、テーマは先 端的かつ高い技術レベルであるべきであるが、所謂、絶滅危惧技術の維持や産業界で不足 する人材の育成も考えられる。複数の企業が出資に賛同するテーマを継続的に創生できる 仕組み創りが本プロジェクトの要になる。他には共同研究契約、出資のインセンティブ、 学会同士の連携策等、幾つかの課題が想定される。趣旨に賛同する企業、学会により本テ ーマ実現のための課題を抽出し、その解決策を策定する。 COCN の主要な役割は、以下の 4 点である。 (1) 複数の学会の意見および COCN 会員企業の意見集約。 (2)本プロジェクトと類似の幾つかの仕組み(独 FVV 等)を調査、分析。 (3) 学会をハブとする連携を立ち上げるための方策提案と、仕組み立ち上げの支援。 (4) 本プロジェクトの活動報告書の公開により、全ての学会への情報開示。 4.想定される解決策と官民の分担 本プロジェクトの結果で想定される結論は以下の通りである。 (1)学会が産学連携推進の主体として活動する、もしくは産学連携における産と学の橋渡し をする部署が学会内に構築される。ここで 非競争領域における複数企業対複数大学で の連携 、 異分野学会同士の連携 を推進する。また既に本プロジェクトの趣旨に沿 う活動を始めている学会もあり、この場合にはその活性に寄与する。 (2)上記の活動において官の支援が必要な場合は、要望書をまとめ施策を提言する。省庁と 課題意識を共有し、例えば、大型産学テーマ実施の際のマッチングファンド、活動を円 滑に回すために学会に国の資金を助成する仕組み等である。 5.テーマ活動の想定活動期間 検討は 2016 年度内を想定する。 6.出口目標と提言実現の推進主体案 当面の出口目標として本趣旨の方策提案を完成させる。その後学会ごとに仕組みを考案 する。COCN は学会と協力して方策、仕組みを検討する。具体的な推進主体は学会である。 7.推進体制案 ・リーダ: 産:日立製作所、学会:主要学会のひとつ ・想定されるメンバ(会員ならびに非会員): 幅広い視点からの意見を求めるために、多くの学会の参加を促す。 産:電機、自動車、機械、化学等の製造業やサービス業など広く企業からの参加を 期待。 学会:日本機械学会、土木学会、応用物理学会、情報処理学会、高分子学会等。 【スケジュール】 【参考文献】 *1:日本再興戦略 2016 p.175 *2:第 5 期科学技術基本計画 p.36 *3:科学技術庁・学術政策局:26 年度 大学等における産学連携実施状況について p.3 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/ 2015/12/25/1365509_2.pdf *4:科学技術イノベーション総合戦略 2016 p.81 *5:産学官による未来創造対話 2016 (2016.8.25 開催) 以上 学会における産学連携の仕組み雛型(案) (プロジェクトにおいて方策を検討後、各学会で具体的な仕組み検討に入る場合の参考雛型) 学会 学会役員が短期で交替する環境で、産学連携活動を長期に継続するための仕組みが重要 法人会員 (企業) 産学連携推進部署 (企業中心 + 事務局) 連携 1) 連携テーマ募集 大学の産学連携部署 研究者 2) 連携テーマ提案 (複数企業対複数大学で取り組める非競争領域テーマを推奨) 3)産学連携推進部署で応募テーマを 審査、連携テーマを決定。 4) 連携テーマに関し参加企業を募集 5) 参加希望の企業応募 4) 連携テーマに関し参加大学を募集 5) 参加希望の大学応募 6) チーミングと契約。 ・参加企業と大学のチーミング ・企業-大学の契約 (企業が出資する研究費と大学への分配、知財や成果の取り扱いなど、一般的な契約 条項を複数企業対複数大学で決める。複数企業対複数大学になるので設定が難しい。) 産学連携推進部署は企業と大学のマッチングの場を提供する。 チーミングや契約に関しては、1. 産学連携推進部署が主導する場合、2. 参加企業、大学が主導する場合 のいずれかが考えられる。 COCNプロジェクトの目標は仕組み作りであり、実際の運用はプロジェクト活動外。 共同研究実施 (COCNプロジェクトを抜けて実施) 7) 成果報告、評価。 テーマの実施リーダが出資企業に対し進捗、成果報告を適宜行う。 出資企業が最終成果を評価。 ・連携テーマは研究、技術開発に限らず、人財育成、絶滅危惧技術の保存などのテーマも可。 ・参加企業、大学はオープンに募集する。複数企業の参加を考えると非競争領域でのテーマが望ましい。 本プロジェクトの特長は、複数企業対複数大学で取り組める非競争領域テーマを推奨することである。 ・ひとつの連携テーマを複数の学会にまたがって実施することも視野に入れる。 【COCNプロジェクトで実施すること】 ・各学会と方策を検討。その後上記雛型を参考に、各学会(複数学会の連携可)が実行可能な仕組みを考案する。 本プロジェクトは仕組みの構築までが目標であり、実際の運用はプロジェクト活動に含まれない。 仕組みの運用はプロジェクト活動外であるが、COCN参加企業が仕組み考案で学会を支援する際、以下が検討項 目候補である。 ・2)の連携テーマ提案。・3)の具体的な審査方法。・4) 5)の参加企業、大学の募集方法。 ・6)の複数参加企業、大学のチーミング方法と、契約書の具体案作成。知財、成果の取り扱い。 (例えば契約書に関しては、共通雛型を推奨するか、契約ごとに独立とするかなどが検討項目である。) ・大学の産学官連携部署との関係構築。 ・学会役員が短期で交替する環境で、産学連携活動を長期に継続するための仕組み立案。 以上を各学会(複数学会の連携可)、参加企業、日立担当で検討し、結果をプロジェクト会議で議論。 学会共通で活用可能な仕組みは共通化する。