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蛾類昆虫が分泌する性フェロモンは、 ボンピコ}ルの様な末端官能基を

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蛾類昆虫が分泌する性フェロモンは、 ボンピコ}ルの様な末端官能基を
C212
進化した蛾類昆虫が生産するエポキシアルケニル性フェロモンの
生合成とその制御機構
o安藤 哲、河合岳志、松岡可苗 (農工大、BASE)
<目的>
蛾類昆虫が分泌する性フェロモンは、ボンビコールの様な末端官能基を有するタイプ1の化合物
群(直鎖の炭素数:Clo∼C18)と、末端官能基を含まない不飽和炭化水素およびそのエポキシ化物
からなるタイプHの化合物群(直鎖の炭素数:C17∼C23)に大別される。昆虫の種の多様性を反映
しフェロモン成分も多様であり、それは生合成の原料と関与する酵素系の違いに起因する。ボンビ
コールの生合成研究を踏まえ、シャクガ類が生産するタイプII性フェロモン㊨生合成、ならびに食
道下神経節から分泌されるホルモン(フェロモン生合成活性化神経ペプチード、PBAN)による生合
成の制御機構などについて、ヨモギエダシャクなどを実験材料として追究した。
<結果〉
1).エポキシ性フェロモンの生合成経路
タイプ豆性フェロモンは、3一、6一、9一位に二重結合あるいはエポキシ環を含むことから、植物由
来のリノール酸やリノレン酸から、炭素鎖の伸長、脱炭酸、エポキシ化反応などにより生合成され
ることが予想される。ヨモギエダシャクでは、重水素標識したClg不飽和炭化水素はフェロモン腺
への塗布によりエポキシ性フェロモンに変換したが、他の炭素数の炭化水素でも3一位に二重結合を
有するものはエポキシ化され、エポキシ化酵素の基質特異性は高くないことが明らがになった。
\一CO2H Linolenic acid
l (Z例Z1乞Z1シ1綱Clgt㎞y1 一 ・鉱牛E p即mgP皇
\一CO2H 一一一一一レ ー 一 一 一 一 一
2)生合成前駆体のリポホリンによる輸送
標識脂肪酸をフェロモン腺に塗布しても性フェロモンヘの変換は認められず、前駆体である不飽
和炭化水素は体表炭化水素と同様にエノサイト等で生産されることが考えられた。宰際に体液中の
リポホリンは前駆体を結合しており、フェロモン腺へそれを輸送する役割を担っていること瀞示さ
れた。
3)P BANによる生合成の制御
シャクガ類においても断頭した雌成虫はフェロモンを消失することから、カイコなどと同様に、
P BANの関与が示された。しかしながら、P BANの非存在下でもエポキシ化は進行し、フェロ
モン腺が体液申に存在する前駆体を取込む過程のみがP BANに依存していることから、活性化機
構はタイプ1性フェロモンでの場合とかなり異なることがわかってきた。さらにPBANをコード
するc DNAを同定したところ、シャクガのPBANは構造もユニークであることが判明した。
Epoxydkenyl sex pheromo皿es produce{l by飽male moths in鼓ighly evolve{l groups:Biosynthesis昇nd
itsendocrineregulatio皿
TetsuANDO,*1臨keshi KAWA1,and Kanae MArSUOKA(Universi取ofAgriculture and Tセchnology,
Graduate School of』BASE)
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