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A STUDY ON TYPE AND EFFECT OF TOWN

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A STUDY ON TYPE AND EFFECT OF TOWN
まちづくりにおける大学と地域の連携の形とその効果に関する研究
谷田
真 1)
A STUDY ON TYPE AND EFFECT OF TOWN MANAGEMENT WITH UNIVERSITY
Makoto TANIDA1)
Abstract
This is a study on type and effect of town management with university as a case study of some activities at Ohama Area
and IFYA workshop at Nagoya. I take part in these activities with the 57 students belonging to the Department of
Architecture at Meijo University. I show bringing town management with university especial activities and educational
effect.
1.
グ」の開催であり,後者では小学校と連携した総合学習
はじめに
の成果発表や展示・実演,飲食・物品販売などが行われ
大学と地域が連携してまちづくりに取り組む事例が
近年急増しており,その連携の形も多様化している.本
ている.
2001 年度から2003 年度,
「大浜てらまちウォーキング」
稿では,筆者らが大学生とともに関わっているまちづく
が当初と同様の活動内容で開催されているのみで,新た
りを事例として,大学と地域の連携におけるひとつの形
な活動はなされていない.
を示すとともに,その効果を教育という観点から明らか
2004 年度,まちづくり交付金を受けて散策路や辻広場
の整備が開始される.またハウジングアンドコミュニテ
にする.
なお,連携の形に関しては愛知県碧南市大浜地区(以
ィ財団の委託を受けて行われた調査では,ビジュアル路
下,大浜地区)のまちづくりを,連携の効果に関しては
地台帳が作成されている.さらに国の地域再生計画を受
上記に加えIFYA NAGOYA2005プレワークショップ活動
けた「地域再生のための建築基準法等運用調査・基準等
を事例とする.また,これらの活動には本学建築学科所
策定業務」では,このビジュアル路地台帳等を参考に検
属の大学生のべ 57 名が主体的に関わっている.
討が進められている.
なお,
「大浜てらまちウォーキング」
に関しては当初と同様の活動内容で継続して開催されて
2.
大浜地区のまちづくりの形
1)
いる.
2005 年度,
「路地のたたずまいの保全推進のための合
大浜地区では社寺などの歴史・文化資源や路地といっ
意形成調査」が全国都市再生モデル調査に選ばれ,新規
た昔ながらのまち並みが残っており,これらの資源を活
で大きく二つの活動が行われる.ひとつめはまちづくり
かした歩行者中心の回遊型歩行空間の形成が目指されて
への意識啓発を目的とした活動であり,
「街角フォトクイ
いる.
ズ」や「路地を活かしたまちづくりシンポジウム」
,子ど
そこで,Fig.1 より大浜地区のまちづくりの形を,組織
もを対象とした「路地のあるまち・大浜の未来を考えよ
と活動の関係という観点から分析する.大浜地区のまち
うワークショップ(以下,子どもワークショップ)
」が開
づくりは,2000 年度,この地区が国によって「歩いて暮
催されている.特に「子どもワークショップ」では,組
らせるまちづくり」のモデル地区に指定されたことから
織メンバーに大学生(当該年度学部 3 年生中心)が加わ
始まっており,自治体(県,市)や団体(商工会議所,
っている.二つめはまちづくりへの意向把握を目的とし
民間事業者,地区住民)などが参加して組織された「大
た活動であり,
「路地を活かしたまちづくりに関する意向
浜地区歩いて暮らせる街づくり推進委員会」が,その後
調査」や大人を対象とした「路地を考えるワークショッ
のまちづくりの中心組織となっている.
同年度の活動は,
プ」が開催されている.なお,
「大浜てらまちウォーキン
基本構想・基本計画の策定と「大浜てらまちウォーキン
グ」に関しては当初と同様の活動内容で継続して開催さ
1) 建築学科
1) Department of Architecture
98
まちづくりにおける大学と地域の連携の形とその効果に関する研究
大学研究室の自主活動
国や財団からの地区指定、交付金、委託等をきっかけとした活動
関係組織
国 等
自治体
2000年度
名城大学理工学部研究報告 No.49 2009
団体
県、市
大学
(当該年度学部3年生中心)
小学校
商工会議所、民間事業者、地区住民等
「大浜地区歩いて暮らせる街づくり推進委員会」組織化
・大浜地区がモデル
地区に指定
基本構想策定
連携
「大浜てらまちウォーキング」開催
・国による調査開始
総合学習の成果発表
《内容》・飲食、物品販売
・展示、実演 等
継続
2001年度
・導入プロジェクト
が提案
基本計画策定
連携 総合学習の成果発表
「大浜てらまちウォーキング」開催
継続
2002年度
《内容》・飲食、物品販売
・展示、実演 等
連携
「大浜てらまちウォーキング」開催
総合学習の成果発表
継続
2003年度
2004年度
・まちづくり交付金
散策路や辻広場の整備
・地域再生計画に認定
地域再生のための建築基準法等運用調査・基準案策定業務
・財団から委託
ビジュアル路地台帳の作成
(ハウジングアンド
コミュニティ財団)
2005年度
連携
「大浜てらまちウォーキング」開催
継続
参考
連携
「大浜てらまちウォーキング」開催
《追加内容》・まち案内人の発足
《内容》・飲食、物品販売
・展示、実演 等
総合学習の成果発表
総合学習の成果発表
継続
連携
「大浜てらまちウォーキング」開催
総合学習の成果発表
《まちづくりの意向把握を目的》
・路地を活かしたまちづくりに関する意向調査
・路地を考えるワークショップ(大人対象)
・全国都市再生モデル
《まちづくりの意識啓発を目的》
・まちかどフォトクイズ
・路地を活かしたまちづくりシンポジウム
調査に選定
継続
子どもを対象
「路地のあるまち・大浜の未来を考えようワークショップ」開催
2006年度
連携
「大浜てらまちウォーキング」開催
《内容》・飲食、物品販売
・展示、実演 等
総合学習の成果発表
連携
継続
相乗効果
2007年度
「大浜てらまちウォーキング」開催
連携
総合学習の成果発表
《内容》・飲食、物品販売
・展示、実演 等
連携
相乗効果
インスタレー
ションの展開
《内容》
・フォトウォーク
・縁側ギャラリー
・魅力発見バルーン
インスタレー
ションの展開
《内容》
・空屋プロジェクト
Fig.1, Type of the town management with university at Ohama Area
れている.
国や財団からの地区指定,交付金,委託をきっかけに行
2006 年度,継続活動である「大浜てらまちウォーキン
われている.2006 年度以降の「インスタレーション」で
グ」の開催に加えて,このイベントと連携する形で大学
は,大学研究室の自主活動として動いているため,前年
生による,まちの資源を活かした「インスタレーション」
度までのようなきっかけが必要とされていない.
が新たな活動として行われている.内容は「フォトウォ
また,継続開催されている「大浜てらまちウォーキン
ーク」
「縁側ギャラリー」
「魅力発見バルーン」であり,
グ」の活動では,内容の変化がほとんど見られないが,
それまでの活動にはない目新しものになっている.
大学生による「インスタレーション」では,当該年度学
2007 年度,継続活動である「大浜てらまちウォーキン
部 3 年生が中心となって活動するために,年度毎にメン
グ」の開催と「インスタレーション」が行われている.
バーが変わり,常に新しいアイデアが試みられている.
但し,
「インスタレーション」の内容は路地への表出物調
なお,2006 年度の「インスタレーション」で,見学者
査をベースとした「空き家プロジェクト」であり,前年
179 名を対象として実施された,自由記述式のアンケー
度とは異なる活動となっている.
ト調査を基に,大学生がまちづくりへ参加することにつ
以上,2000 年度から 2005 年度では,いずれの活動も
いての評価を分析した.これによると,評価内容は 1)
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まちづくりにおける大学と地域の連携の形とその効果に関する研究
名城大学理工学部研究報告 No.49 2009
学生がまちづくりに参加することへの評価,2)学生の活
動内容への評価,3)その他の 3 つに分類することができ
た.
それぞれが占める割合は 3 割,
6 割,
1 割程度であり,
いずれも好評価であった.活動内容への評価が最も高い
が,学生がまちづくりに参加すること自体,良い傾向だ
とする意見も見受けられた.
3.
3.1
大学と地域の連携による教育効果 2)
IFYA NAGOYA 2005 プレワークショップ活動
IFYA NAGOYA 2005 の開催準備が進められる中で,課
Fig.3, Future city model
題地の地域住民たちと一緒にまちづくりを考えるため,
名古屋都市センターの主催事業としてプレワークショッ
プが企画された.この活動はプレワークショップⅠとプ
制作した.なお,成果品としてまとめる間,大学生たち
レワークショップⅡの 2 つの段階に分かれており,名城
はキックオフミーティング,中間討論会,反省会を通し
大学の大学院生,
学部生あわせて 18 名と指導教員として
て,専門家や地域住民,行政担当者らと活発な議論を交
筆者が,
課題地である中部国際空港周辺地区の 30 年後の
わしている.6 月の IFYA NAGOYA 2005 本番では,国内
都市像の構想に取り組んだ.
外の建築家の前でプレゼンテーションする機会が設けら
プレワークショップⅠは,2005 年 3 月 12 日と 13 日に
かけて,愛知県常滑市中央公民館美術工作室を会場に,
地元のボーイスカウトとバスケットクラブから約 20 名
の小学生が参加して開催された.1 日目は常滑駅界隈を
現地調査し,中部国際空港の計画により変化した景観や
れ,大学生たちは外国語を駆使して一問一答を繰り返し
た.
3.2
路地のあるまち大浜の未来を考えようワークシ
ョップ活動
生活についてまとめた(Fig.2)
.2 日目は空港島の埋立事
このワークショップは2005年度全国都市再生モデル調
業と同時に整備された対岸の前島地区を敷地に,小学生
査の一環として,名城大学谷田研究室が協力したもので
と大学生がブレインストーミングを行いながら,将来の
あり,大浜地区に散在する路地を対象にその魅力を再発
都市像を巨大な模型として具現化した(Fig.3)
.ランド
見していこうとする取り組みである.この活動は,大浜
マークとなる高層ビルの建設や,緑を多用した住宅環境
地区,大浜上区民館 2 階ホール,大浜まちかどサロンに
の提案は,行政の担当者から評価され,地元メディアに
おいて,2005 年 12 月 3 日と 18 日の 2 日間で実施され,
も取り上げられた.
研究室の学部生 20 名が大浜小学校 4,5,6 年生 30 名と
プレワークショップⅡでは,Ⅰの成果を受けて,2005
年 4 月から 5 月の 2 ヶ月間で,
将来の都市像を描いた A1
サイズの図面 6 枚と,2 畳分という大きく緻密な模型を
ともに参加した.
1 日目は参加者全員で路地を散策した.4 つのグループ
に分かれた参加者たちは,歩行距離約 2km のコースを,
クイズやチョーク遊び,写真撮影,ビデオ撮影などをし
ながら歩き,まちの魅力を発掘した.その成果は大学生
の補助のもと A2 ボードにまとめられ発表された(Fig.4)
.
2 日目は初日に散策した路地を 1 畳分の大きさほどの
模型で表現した.
参加者はあらためて散策経路を俯瞰し,
A2 ボードのまとめや写真,
ビデオの撮影記録を参考にし
ながら,まちの魅力に順位を決め,フラッグを立てあっ
た(Fig.5)
.この活動では,当日の積雪による資材運搬
方法や会場設営方法の変更,参加者の欠席など,困難に
直面する場面も多かったが,大学生たちはその都度臨機
応変に対応し全体をまとめ上げている.
Fig.2, Site research
100
まちづくりにおける大学と地域の連携の形とその効果に関する研究
名城大学理工学部研究報告 No.49 2009
した配置計画に従って路地に並べた.写真を見ながらそ
のパネル間を歩くことで自然と歩行速度は遅くなり,結
果的に路地をゆっくり体感できる仕掛けとなった.
3 点目は「縁側ギャラリー(Fig.7)
」であり,まちのポ
ケットパークを施工性や経済性を考慮しながら,気軽に
立ち寄れるオープンエアなギャラリー空間に作りかえた.
大学生たちはこの空間に,自身で設計した「路地を活か
した住宅」のパネルや模型を展示し,見学者からの質疑
にも答えた.これらの取り組みは,地元メディアや地域
住民からの評判もよく,大学生たちにとっても自身の専
門的スキルがまちづくりの一助になることを実感するき
Fig.4, Presentation
っかけとなった.
Fig.5, Town’s appeal point
3.3
大浜てらまちウォーキング活動
このワークショップでは,前年度実施した「路地のあ
Fig.6, Workshop photo walk
るまち・大浜の未来を考えようワークショップ」の成果
をもとに,そこで提案した仕掛けのいくつかを制作する
ことで,多くの人に路地の魅力を実感してもらうことを
目的として取り組んだ.
実際に制作した仕掛けは 3 点で,
テンポラリーなものとし,2006 年 10 月 15 日に開催され
た「大浜てらまちウォーキング」のイベントに名城大学
谷田研究室の院生 2 名,
学部生 17 名が出展する形式をと
った.
1 点目は「大浜の魅力発見バルーン」であり,前年度の
ワークショップ活動の成果を参考に,まちの魅力を描い
たバルーンをあげ,大浜の路地を祝祭空間に変えた.使
用したバルーン 200 個の設置場所は,まちの魅力が最大
Fig.7, Riverside gallery
限引き出せるよう数回の調査を経て決定している.当日
はおもりに地場産のレンガや瓦,味醂の空瓶を利用し,
ヘリウムガスを使って浮かせた.
2 点目は「ワークショップ・フォト・ウォーク(Fig.6)
」
であり,前年度のワークショップ活動風景からキーワー
ドとともに 55 枚の写真を抽出,パネル化し,事前に準備
4.
まとめ
大浜地区のまちづくりで示したような大学と地域の連
携の形は,1)大学生による活動が研究室の自主活動とし
101
まちづくりにおける大学と地域の連携の形とその効果に関する研究
名城大学理工学部研究報告 No.49 2009
て行われているため,その他の活動のように国や財団か
らの地区指定,交付金,委託といったきっかけを必要と
せず,持続的で自由な動きを可能とさせること 2)大学生
が年度毎に一新されるため,活動内容もバラエティーに
富んだものとなり,以前からの継続活動と合わせた相乗
効果を期待できることが明らかとなった
また,3 つのワークショップ活動を,参加大学生たちに
もたらした教育効果という観点から整理すると,1)コミ
ュニケーション能力の向上,2)現場の難しさや面白さの
発見,3)現実の与条件に即した設計訓練,4)ボランテ
ィア精神による社会貢献の 4 点に集約できる.
1) に関しては,ワークショップ活動を通して,地域住
民や外国人など外部のひととの様々な交流を経験してお
り,そこでの対応が受け答えの仕方,礼儀作法,語学訓
練,異文化交流といったコミュニケーション能力の鍛錬
につながっている.2)に関しては,当日の天候,参加メ
ンバーの入れ替え,会場設営の変更,資材運搬の苦心な
ど,状況が刻々と変化する現場のプロセスから,企画を
遂行することの難しさや,課題を克服したときの喜びを
体感している.3)に関しては,現実の設計プロジェクト
として,機能性,施工性,経済性といった面でリアリテ
ィが高くなり,従来の学内演習での架空の設計課題とは
異なる思考力を養っている.4)に関しては,ワークショ
ップ活動後の関係者の反応やアンケート調査結果から,
自らが学んだ専門的スキルを活かして,何か社会に貢献
できるという自信を獲得している.
参考文献
1) 安岡侑哉, 谷田真: まちづくりにおける大学と地域の
連携の形とその効果に関する研究~愛知県碧南市大
浜地区のまちづくりを事例として~, 日本建築学会学
術講演梗概集, F-1, pp.1023-1024, 2007
2) 谷田真: 学生によるまちづくりへの参加~地域と連携
した 3 つのワークショップ活動を通して~, 名城大学
教育年報, 創刊号, pp. 118-122, 2006.
(原稿受理日 平成 20 年 9 月 24 日)
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