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進入検出センサに用いたリアルタイム差分回路の検証と小型化
進入検出センサに用いたリアルタイム差分回路の検証と小型化 指導教員名 山田 津田 諄 紀生 R04097 田中 聡充 R04113 中根 啓昭 R00124 日向 勇介 教授 准教授 映像信号出力 映像信号入力 1. はじめに 現在、環境問題が深刻になっており、省エネ法によりエネルギー利用の合理化が義務付けられている。 そこで新たなエスカレータの省エネルギー化に必要なセンサの研究を行った。一般的に、エスカレータの 進入検出センサはポールを2本設置し進入を検出している。しかしながら、このタイプのセンサは、エス カレータとセンサの間に空間が出来、設置工事に多くの費用がかかってしまうなどの問題点がある。そこ で、本研究では CCD カメラ、半導体レーザ、CPLD を用い、小型でエスカレータに組み込めるタイプの 進入検出センサについて研究を行った。特に今回はこのセンサの根幹を成すリアルタイム差分回路につい て研究した。 2. 測定原理 このセンサは、物体にレーザ光を扇状に床と平行に照射し、CCD カメラで撮像する。しかしそれでは周 りの物体も一緒に取り込んでしまい差分計算する際に面倒となる。そこで CCD カメラのインターレース 走査を利用し、奇数フィールド時のみレーザを発振させ、偶数フィールドではレーザ光を発振させずにレ ーザ光を照射していない画像を取り込む。これらの奇数フィールドと偶数フィールドの画像を減算しレー ザ照射面のみを抽出する。このセンサの特徴としては物体が近づいてきた場合において、レーザ照射部分 を時間的に観測すると照射部分の面積は二次関数的に大きくなるのでここでレーザ照射面積の二階微分を 利用して、面積が増加し続けない横切りや静止物体の誤検出を防ぎ、面積の増加し続ける進入物体のみを 検出することができる。 3. 実験方法 進入検出センサで用いたリアルタイム差分回路 の概略を図 1 に示す。本装置では、映像信号を NTSC 制御 演算 A/D 変換を行い、レーザ照射した奇数フィールド CPLD CPLD 変換 をメモリに一時保存し、メモリで1フィールド分 奇数 遅らせ、偶数フィールドと演算 CPLD にて差分処 フィールド 演算後 理を行う。このとき、外乱光を差分処理にて排除 映像 する仕様になっているが、外乱光に進入検出セン メモリ サが反応する場合が発見されたため、差分回路の 偶数 検証をすると共に回路の簡略化し、小型化を行っ フィールド た。外乱光が検出された場合の検証では、画像は 出力されているため、入力から出力までにある素 A/D変換 D/A変換 RGB R信号 分離 子が故障しているとは考えにくく、演算 CPLD に 回路 正常に情報が入力されていないと仮定し、回路の 信号の同期が取れているかを調べた。 図1 4. 実験結果 リアルタイム差分回路 リアルタイム差分回路を検証した結果、当初は ノイズの影響を受ける、奇数/偶数フィールドを保存し演算 CPLD に送るタイミングがずれる、偶数フィ ールドの情報が演算 CPLD に入力されていないなどリアルタイム差分回路は安定動作をしていなかった。 現在も、CPLD のプログラムを調べ同期の整合性をまだ検証・調査中であるため追って報告となる。 もう一つの課題である回路の小型化では、去年までの回路と比べ約 60%になった。今までは、単色の差 分回路が三つ並列に作動していたが、レーザ光の波長を考慮すれば、単色で十分に検出可能であるので、 赤色のみの差分処理回路にしたためである。これにより、演算用の CPLD で処理する内容が1/3となり、 現在使用しているものよりも、より簡易なものでも作動させることができるはずである。 また、水晶発振器から制御 CPLD への信号、および制御 CPLD からの制御信号が、ノイズで大きく波 形が崩れ High Level と Low Level の電位差が少なくなっていたため、バッファ IC を取り付け、各制御信 号の安定化を図った。オシロスコープで各制御信号の波形を観測した結果、High Level と Low Level 時 のノイズが軽減され、素子の誤作動が起こりにくくなり、安定した作動となった。