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ディスプレイ描画プログラミング
第 3 章 ディスプレイ描画プログラミング ∼図形や文字をマイコンで描画する∼ 操田浩之 第 2 章では,ディスプレイに何らかの図形などを表示する P3.0 から P3.3 までは端子番号 29 から 32 に割り当てられて CRTC を CPLD で設計した.ここでは,CRTC に送り込む文 いますが,P3.4 と P3.5 は 38,39 ピン,P3.6 と P3.7 は 46, 字や点,線などといったビデオ・データの設計方法について説 47 ピンといったように,連続して並んでいません.しかし, 明する. CRTC 用 CPLD に接続すれば,CPLD の内部で自由に配線 (編集部) を組み替えることができるので,1 組の 8 ビット分のデー 英数字や外字および直線,円をディスプレイに描画する 方法について解説します.また,描画用マイコン(ADuC タ・ポートさえ選べば(今回は P3),残りの端子は別々の ポートからでも構いません. 7026 米国 Analog Devices 社)で取得したセンサからのア ナログ・データを,リアルタイムにグラフ表示する機能, 写真などのフルカラーの画像を 8 色に減色して表示する機 能(誤差拡散アルゴリズム)についても説明します(写真1). ● CRTC 用 CPLD がディスプレイにデータを送出してい る間はアクセスできない 第 2 章で紹介した CRTC は,ディスプレイへの表示を優 先して,表示のちらつきを抑えるようにしています.その 1.描画用マイコンと CRTC 用 CPLD との接続 ため表示データの更新は,ディスプレイ表示のために CRTC 用 CPLD が SRAM にアクセスしていないタイミン グで行う必要があります. 基板面積を節約するために描画用マイコンと第 2 章で設 SRAM のデータの書き換えは,8 ドット× 3 色分のデー 計した CRTC 用 CPLD(MAX II)との接続は,最短距離を タをバッファ(D フリップフロップ)に転送した後から,こ 必要最小限の信号線で接続することにしました.I/O 端子 のデータがシフト・レジスタにセットされるまでの間に行っ の接続関係を表 1 に示します.描画用マイコンと SRAM と ています.つまり,CRTC 用 CPLD は SRAM へアクセス の接続は,すべてCRTC 用CPLD を経由して行っています. する際に,ディスプレイ表示期間とSRAM データ更新期間 に分けてアクセスします.そのため,画面が乱れることな ● MAX II は内部で自由に配線できるためマイコンの端子 く表示内容を書き換えられるのです. 設定の自由度は高い 描画用マイコンであるADuC7026 のポートは,A-D ポー トおよび D-A ポートが一般の I/O ポート(GPIO)として使 えません.また,I/O ポートもポート番号順に連続で並ん でいません.例えば,今回使用したポート 3(P3)の場合, Keyword 46 ● ADuC7026 はあらかじめダウンローダ・プログラム が書き込まれている ADuC7026 の端子はアドレス・バスおよびデータ・バス として使用できますが,プログラム的にはUART を除いて ADuC7026,グラフィックス表示,文字の表示,文字色,背景色,点と直線の表示,4 則演算,Michener, ディジタル・オシロスコープ,加速度センサ,グラフ表示 Design Wave Magazine 2008 March 特集1 画像表示の ための GPIO として扱っています.なお,ADuC7026 は,あらか じめダウンローダ・プログラムが書き込まれています. JTAG は省略し,プログラムのダウンロードとデバッグは シリアル・ポート(USB)を介して行うことにしました. ディジタル回路入門 ● 描画用マイコンの動作クロックは CRTC 用 CPLD のピ クセル・クロックと同期していなくてもよい マイコンの動作クロックは,内部の PLL 回路で発生する クロックを利用して,41.78MHz で駆動させています.今 プログラムの開発ツールは米国 Keil 社の統合開発環境μ 回,データのSRAM への書き換えはすべてCRTC 用CPLD Vision3 を使用し,ダウンロード・プログラムは米国 が行っています.そのため,描画用マイコンの動作クロッ Analog Devices 社の ARMWSD を使用しました.どちら クがピクセル・クロックの 40MHz とは同期しない 41.78 もフリーでダウンロードして,使用できます(図 1). MHz で動作していても,画面がちらつくことはありません. 1 2 App (a)文字(外字)表示 3 (b)図形表示(直線,円) 写真 1 制作したプロ グラムによる表示 (c)グラフ表示 (d)誤差拡散による 画像表示 Design Wave Magazine 2008 March 47