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古フィリピン海プレートにおける ジュラ紀~白亜紀の非海洋性

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古フィリピン海プレートにおける ジュラ紀~白亜紀の非海洋性
古フィリピン海プレートにおける
ジュラ紀~白亜紀の非海洋性基盤岩類の発見
○谷健一郎・宿野浩司・平原由香・高橋俊郎(海洋研究開発機構),
Daniel J. Dunkley・堀江憲路(国立極地研究所)
,石塚治(産業技術総合研究所)
,
植田勇人・木村翔・外崎詩織(弘前大学)
,森下知晃(金沢大学),石川晃(東京大学)
伊豆・小笠原・マリアナ(IBM)弧はフィリピン海プレートへ太平洋プレートが沈み込むことによっ
て島弧地殻が成長しつつある代表的な海洋性島弧だとされてきた。その根拠の一つは現在のフィリピ
ン海プレート東縁部は海洋地殻で構成される四国海盆とパレスベラ海盆からなり、一見は海洋プレー
ト同士からなる沈み込み帯のようにみえることである。しかし現在のフィリピン海プレートの大部分
は IBM 弧が約 5200 万年前に活動開始した後に形成された背弧背盆であり、初期 IBM 弧が基盤とした始
新世以前のフィリピン海プレート(古フィリピン海プレート)の地殻構造は、ほとんど解明されてい
ない。現存する古フィリピン海プレートの内、確実に海洋地殻なのは白亜紀の年代が報告されている
台湾東方沖の Huatung 海盆のみであり(Deschamps et al., 2000, EPSL)
、面積的にもごく僅かである。
古フィリピン海プレートの全容解明を目指し、我々は古フィリピン海プレートに対応する大東海嶺
群において昨年度初めて潜水艇による調査航海(YK10-04)を実施し、堆積岩、火山岩、花崗岩・ガブ
ロなどの深成岩類、変成岩類の露頭を発見した。また残る古フィリピン海プレートのブロックである
パラオ海盆東縁部でも昨年度ドレッジ調査(YK10-14)を行い、変成岩類や珪質砂岩の採取に成功して
いる。現在得られた岩石試料の分析を進めているが、花崗岩・ガブロからはジュラ紀~白亜紀のジル
コン U-Pb 年代が得られ、また砂岩には 1 億年から 30 億年に達するような多様な年代をもった砕屑性
ジルコンが含まれていることが分かった。
これらの結果は古フィリピン海プレートは花崗岩類に代表されるような白亜紀以前の大陸的な地殻
が卓越する場であったことを意味しており、そのような環境下で初期 IBM 弧が誕生・成長したことを
示唆している。更には四国海盆形成以前に大東海嶺群と接していた北部 IBM 弧の海溝陸側斜面で採取
された砂岩には白亜紀から 22 億年前に達するような古い砕屑性ジルコンが多数含まれていることが最
近判明し、このような古フィリピン海プレートに相当する大陸性基盤が現在の IBM 弧の下にも存在し
ている可能性すらある。もしこれが正しければ、これまで海洋性島弧の代表例とされてきた IBM 弧の
テクトニックな位置付けが根本から覆ってしまうことになり、IBM 弧に関する従来の島弧地殻発達モデ
ルや地球化学的・岩石学的研究も再検討を迫られる事態となる。
IBM 弧の基盤を構成する地殻物質を直接採取して、その形成環境・年代を制約することを目標に、
YK11-07 航海において北部 IBM 弧海溝陸側斜面の潜航調査を実施した。その結果、青ヶ島東方沖の海溝
陸側斜面深部で玄武岩質~安山岩質火山岩とガブロが採取された。これらの岩石と大東海嶺群に露出
しているような白亜紀以前の大陸性基盤と対比することで、我々の仮説を検証することが出来ると期
待される。
本発表では古フィリピン海プレートの地殻構造について得られつつある最新の成果を紹介すると共
に、YK11-07 航海で得られた岩石試料の分析結果についても報告する。
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