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第10号 - 京都工芸繊維大学

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第10号 - 京都工芸繊維大学
第10号
Autumn-Winter
2009
インタビュー
新しい発想 を生みだす幅広い基礎力の涵養
人物往来
「発想」からすべては始まる−KITでの日々を振り返って
特集
グローバルエンジニア育成のための
海外インターンシップ推進事業
トピックス
●
留学生が国立文楽劇場の「文楽鑑賞教室」に参加
●
カント大学とメコン1000計画合意書を締結
●
人も文化も繫ぐ架け橋に
京都工芸繊維大学
国際交流センター
京都工芸繊維大学
〒 606-8585 京都市左京区松ヶ崎橋上町 1 番地
Tel:+81-75-724-7129 Fax:+81-75-724-7710
E-mail:[email protected]
http://www.kokusai.kit.ac.jp/japanese/
http://www.kit.ac.jp/
禁無断転載
インタビュー ■ KIT INTERNATIONAL JOURNAL
学域長インタビュー ■ 造形科学域
新しい発想 を生みだす幅広い基礎力の涵養
造形科学域長
大規模な公共施設まで幅広い建築物の設計、あるい
あります。一つは建築設計です。これは、住宅から
造形科学域には、実践的な分野として二つの柱が
うなパッケージがたくさん棚に並んでいるときに、
から建築やデザインを考えることができる。似たよ
を﹁見る﹂仕組みを知ることによって、その切り口
は、私の専門である視覚心理学でいうと、人間が物
要かを考えるときの下支えになるでしょう。あるい
これからの展望としては、建築の分野では、建築
融合して何かを生みだしていく経験は貴重です。
育を受けた学生たちが直にぶつかり合い、あるいは
す。このように建築に対する考え方が全くちがう教
大谷
芳夫
は街並み全体の景観やデザインを扱います。もう一
史関連の教員が多いという本学の特色を活かして、
大学院工芸科学研究科
授
造形工学部門
教
つ の 柱 は、 食 品 や 化 粧 品 な ど の パ ッ ケ ー ジ、IT
本 年 度 か ら 大 学 院 GP に 採 択 さ れ た 歴 史 的 建 築 物
人、
日現在︶
築が大切に保存されているのに比べて、近代建築に
ラムを推進していきます。日本では、古い時代の建
や関連資料を保存・活用するための人材育成プログ
消費者の注意を引く視覚的要素は何かという視点か
月
らも発想を広げていくことができるというわけです。
人︵2009 年
機 器、 車 な ど、 日 用 品 や 工 業 製 品 の デ ザ イ ン に 関
造形科学域では
対する価値づけが確立していません。そのために、
分かれた後、自分が選択しなかったコースの友人と
る期間を経てコースを選べる点、あるいはコースが
れることが、建築やデザインを学ぶうえでとても良
日本の学生にとっても、互いに全くちがう文化にふ
がいて、本当に国際色豊かです。留学生にとっても
カ、ベルギー、ポーランドなど
います。
専門的な教育研究を早急に進めることが求められて
が起きていて、その解決策や保存活用のノウハウの
デザインの分野では、これまで別々に考えられて
つあります。社会の要請に応えるために、物をつく
きたマネージメントと物づくりの境界がなくなりつ
建築系では、ベルサイユ国立建築大学など海外の
る プ ロ セ ス 全 体 の﹁ マ ネ ー ジ メ ン ト を 含 め た デ ザ
い刺激になっています。
身近に接しながら学べる点も魅力の一つです。大学
専攻があり、それぞれの
院博士前期課程︵修士課程︶には、造形工学、デザ
イン科学、建築設計学の
テーマをさらに探求していきます。
週間に
す。人文・社会科学系の学問を含めて幅広く学ぶこ
を揃え、充実した教育研究基盤が整っていることで
建築史や人文・社会科学系の教員に素晴らしい陣容
行のイメージが強い。ところがヨーロッパでは建築
本では、建築教育は理系という認識があり、技術先
は、建築教育に対する考え方が大きく違います。日
む交流プログラムもあります。日本とヨーロッパで
わたってワークショップや作品の共同制作に取り組
つけた人材を送り出していきたいと願っています。
想
関わって仕事をするさまざまな場面で、 新しい発
造 形 科 学 域 で は こ れ か ら も、 建 築 や デ ザ イ ン に
だしています。
イン﹂の教育研究に力を入れようという方向へ動き
大学との交流が活発です。双方の学生が約
とは、工学系の技術だけを学んできた人とはひと味
教育は美術系という認識があり、建物の美的側面や
こ の 学 域 の 大 き な 特 色 は、 工 学 系 で あ り な が ら、
ちがう発想を生みだすことにつながると考えていま
歴史的背景や意味を考えることなどが重視されま
を生みだすことができる、幅広い基礎力を身に
す。たとえば、日本の都市や建物の歴史的な変遷を
造形工学専攻
わる分野です。その二つに加えて理論系の分野があ
り、建物やデザインの歴史などを学び研究します。
年次前期に全員が共通の基礎教育を受けた
近代建築の保存や活用については、あちこちで問題
の外国人留学生が共に学んでいます。中国から
学部の
人、その他にはタイ、フランス、アメリ
あと、①建築課題コース②デザイン課題コースのい
カ国からの留学生
韓国から
8
ずれかを選択するので、自分の適性や興味を再考す
44
知ることは、これからの日本にどのような建物が必
建築設計学専攻
造形科学専攻
デザイン科学専攻
造形工学課程
3
博士後期課程
博士前期課程
1
3
大学院
造形科学域
学 部
21
7
12
1
KIT INTERNATIONAL JOURNAL ■ 人物往来
「発想」からすべては始まる
──KITでの日々を振り返って
カルロス・ヒンリクセン 大学院工芸科学研究科博士前期課程 造形工学専攻 1991 年修了
HINRICHSEN, Carlos:1957 年生まれ、インダストリアル・デザイナー。国際インダストリアルデザイン団体協議会 2007-2009 年期会長。
チリ最大のデザイン学校、チリ・カトリック大学デザイン学部のディレクター。ヨーロッパのデザイン事務所「デザイン・イノベーション」の南米
事務所ディレクターも務めるほか、生活環境向上のためのベストプラクティス・ドバイ国際賞や、レッドドット・デザイン賞といった名高い国際デザ
インコンペティションの審査員としても活躍。生まれ育ったチリでデザインの学士取得(1982 年)後、KIT で修士学位(工学)を取得(1991 年)
。
学べることとなりました。このため、先祖の国である
文部科学省︶の奨学生に申し込み、最終的に KITで
ドイツの大学院で学ぶといった他の計画は棚上げとな
日本の国際工業デザイン団体協議会︵ Icsid
︶
における役割とは?
て い ま す。 1 9 8 8 年 の 終 り に 再 び 日 本 に 来 た 私 は、
の 丹 下 健 三 氏 と い っ た デ ザ イ ン 界 で 著 名 な 日 本 人 が、
と 重 要 な 関 係 に あ り ま す。 東 京 芸 術 大 学 の 小 池
Icsid
岩 太 郎 教 授 や 武 蔵 野 美 術 大 学 の 島 崎 信 教 授、 建 築 家
1 9 5 7 年 の 設 立 の 時 点 か ら、 事 実 上、 日 本 は
1991年にはチリ・カトリック大学デザイン学部の
り ま し た が、 こ れ は 最 良 の 決 断 だ っ た と 今 で も 思 っ
と に な る に は、 様 々 な
助教授になりました。
ひ と つ は、 叔 父 の ヨ
ン 機 構 会 長 の 榮 久 庵 憲 司 氏 は、 Icsid
会長になった最
初の日本人です。その後も、日本のデザイン産業やデ
上 醤 油 瓶 や J R電 車 の デ ザ イ ン で 知 ら れ る G Kデ ザ イ
へと向かわせてくれた
加するために東京で過ごしたのですが、武蔵野美術大学
得 る こ と が で き、
る発想や視点を
月にシンガポールで
周 年 記 念 し て 開 催 さ れ る 第 回 Icsid
世界デザイン会
議に、 KITの学生や研究者、先生方、卒業生の方た
Icsid
回会議に参加しましたし、キッコーマンの卓
K I Tの 比 較 的 小 規 模 な 工 学 教 育 プ ロ グ ラ ム は
あなたの勉学にどう影響しましたか?
ザイン市場において重要な方たちが理事を務めてこら
1 9 5 9年 に ス ウ ェ ー デ ン の ス ト ッ ク ホ ル ム で 開 催 さ
K I Tに は 大 学 院 で 研 究 を す る 上 で 私 が 必 要 と し た
れ ま し た。 私 は、 本 年
ハ ネ ス・ ヒ ン リ ク セ ン
ものが全て揃っていました。当時の技術を習得しまし
の島崎信先生が率いるこのプロジェクトで指導を受け、
今でもその恩恵
れた第
こ と で す。 彼 は﹁ 日 本
た し、 日 々 の 活
が知らず知らずのうち
は詫びと寂びで終わる
に私の興味を日本文化
と思ったら大間違いだ
動の中で教授や
学 生 た ち か ら、
私はプロフェッショナルとして、そして社会人として、
を受け続けてい
らかの点で異な
自分とは常に何
貴重な体験をすることができました。
ちをご招待したく思っています。
あなたの学生に日本や他のアジアの国で勉強
することを勧めていますか?
私にとって、異なった言語や文化の中で学ぶには大変
指導教授であっ
勉強することを勧めてきました。デザインする︱つまり、
な努力が必要でした。その努力が私の生涯に、大きく又
化にしっかりと関わっていることを知りました。この
た増山和夫先生
実体に手を施し、その有り様を変えるということは、実
あること、意図的に不完全であること、しなやかであ
せられました。束の間のものであること、非対称的で
要素が見事に組み合わされており、私はそこに強く魅
物の多様な使い方には、実用性、調和、美、の三つの
包むということの価値を大きく広げています。空間と
お い て 見 ら れ、 単 な る 実 用 性 や 創 作 性 に と ど ま ら ず、
に対する感性﹂、﹁シンプルなデザインの模索﹂の点に
るようです。その発想は特に、﹁素材の使い方﹂、﹁自然
のです。
門分野において斬新な解決策を見出せるようになった
よって、私は新たな課題に対しても適切に対応し、専
めの、大変重要な要素となりました。京都での経験に
を身につけたことは、私がその後人間的に成長するた
もに、様々な技術や製造手法を実行し受入れる柔軟性
とができました。最先端の技術や技法を習得するとと
研究に際し、自信と責任感を持って取り組んでいくこ
留学したことで、私はその後、実際の仕事や学術的
い時代に生きています。それゆえ、新たな発展を注視し、
私たちは、複雑かつ困難の多い、移り変わりの激し
ついていることも知ったのです。
顕れ、それと同時に、各国の文化や伝統、歴史とも結び
ザインする思考や行動は、新しい技術と密接に関係して
KITでの経験を通じて理解しました。また一方で、デ
に多様な形で見出され、判断されるということを、私は
盆石のようなミニチュアの表現を理解することによっ
と組み合わされていることに気がつきました。盆栽や
要素が、小型化、コンパクト化しようとする強い傾向
に で き る こ と、 持 ち 運 べ る こ と ││ こ う い っ た 様 々 な
ています。吉井さんは、日本の文化や歴史、習慣に関
での生活においてとても重要な人であり、大変感謝し
うことが欠かせません。特に吉井勉さんは、私の京都
当スタッフの大きなサポートをいつも受けていたとい
また、 KITでの留学生活を語る上では、留学生担
ます。 KITで過ごした日々は、あらゆるものの始ま
デザインとの双方を体験できたことを幸運に思ってい
育です。そして私は、日本そのものと、日本における
ができます。異国での体験は、それ自体がひとつの教
は、このような取り組みの素晴らしい一例を見ること
かりと生かさねばなりません。日本のデザインの中に
れたのです。
りには﹁発想﹂があるという私の信念を、力づけてく
て、この技法はただの簡略化ではないことを知りまし
い私の研究の道のりを補ってくださったのです。
する私の様々な疑問を解決してくれ、高度でかつ厳し
こ れ ら の こ と 全 て が 要 因 と な り、 私 は 文 部 省︵ 現・
の例を沢山見ました。
た。そして人の感性の求めに応じて調和している技術
未来のシナリオを見据え、過去からの学びを現代にしっ
ること、積み重ねられること、巻けること、﹁入れ子﹂
てもらいたいと思い、学生にはいつも、日本やアジアで
確かな影響を及ぼしました。このような貴重な経験をし
世界へ私が入っていく鍵となったのは、日本の包装や
論と同様、自分の成長に大きく影響したと思います。
との有意義な討
ま す。 こ れ ら は、
11
1
梱包といった﹁包み﹂の伝統でした。この﹁包み﹂に
2009 年 8 月 27 日、カルロス・ヒンリクセン氏は
修士課程修了以来 20 年ぶりに KIT を訪れ、恩師の
増山和夫名誉教授らとの再会を果たしました
おいて、その形態は、取り巻く環境と深く関わってい
この最初の日本滞在で、日本的デザインが日本の文
26
50
理由がありました。
私 が K I Tで 学 ぶ こ
何がきっかけで日本、そして、KITに来る
ことになったのですか?
よ。﹂と教えてくれました。
1985年の ヶ月間の東京滞在でした。財団法人日本
来 日 へ と 私 を 大 き く 動 か し た も う ひ と つ の 要 因 は、
1989 年に発行された学生証
産業デザイン振興会の家具デザイン・プロジェクトに参
3
特集 ■ KIT INTERNATIONAL JOURNAL
グローバルな視野とコミュニケーション能力、最先端の技術にも限られた技術環境下にも対応できる応用
力。これからの日本の産業を牽引するエンジニアや研究者にとって欠かせないこれらの要素を学べる機会を
もっと学生に── KIT では 2005 年度から、
「国際基幹技術者養成プログラム」として語学研修も含めた海
外研修プログラムを開始、3 年間で 124 名の学生を派遣しました。2008 年度からは、より現場体験を重
視した「グローバルエンジニア育成のための海外インターンシップ推進事業」にスケールアップし、海外で
の企業体験や大学での研究体験、発展途上諸国での教育体験の 3 つのメニューからなるプログラムとなりま
した。初年度は 13 人の大学院生が、アジア、北アメリカ、ヨーロッパの 7 カ所に派遣され、真に実践的な
コミュニケーション能力が求められる現場で奮闘しました。2009 年度もすでに 10 人以上の大学院生が、
世界各地の企業や大学のラボで研修を開始しており、期間は派遣先によって、最短で 14 日間、長いもので
は 123 日間に及びます。
ここでは、2008 年度の参加学生の体験記をご紹介します。
藤木 大輔
ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショ
ナル空港から地下鉄と車を乗り継いで 時間
段のアメリカの
生活﹂を見せて
を 初 め と し て、
頂 い た り。 言 葉
食や考え方など
月の後半で
した。メリーランド州は日本で考えていたよ
それだけで楽し
て い ま す。 私 が N I S T を 訪 れ た の は、 K
研究グループをかかえた部門から構成され
か ら 成 り、 そ れ ぞ れ の 研 究 所 は い く つ か の
ことや、スターバックスで注文に手間取り自
で実験を行うのに必要な安全テストに落ちた
め、 N I S T 内
ではなかったた
私は決して英
語が堪能なわけ
い経験でした。
ITの研究室で作成した傾斜構造を持つ
つの研究所
フィルムの物性を測定することが目的でし
分の後ろに長い列を作ったこともありました。
N I S T の 研 究 者 の 方 々 の ご 協 力 の 下、﹁ し
定的に困るということはありませんでした。
めか、優しく対応して頂き、言葉の問題で決
しかし、多民族・多言語のアメリカの人たち
た。 高 分 子 部 門 の
は拙いコミュニケーションには慣れているた
わ﹂を測定することでヤング率を求める方法
して暖かく受け入れて下さった NISTの
シコ料理をご馳走に
理やインド料理、メキ
のワシントンで中華料
リングに行ったり、夜
礼申し上げます。この経験を、私自身の糧と
樹博士と中島祐博士にも、この場を借りてお
た。また、お世話になった NISTの小林治
メリカでの滞在がすばらしいものとなりまし
無事に実験を終えることができましたし、ア
には本当
Stafford, Dr. Sheng Lin-Gibson
に感謝しています。親切な先生方のおかげで、
Dr. Alamgir Karim, Dr. Christopher M.
なったり︵文化の混在
するだけではなく、私の周囲の人たちと分け
人ほどでボー
した状態こそがアメリ
間から
カ文化なんだそうで
ています。
合い、それを通じて社会に役立てたいと思っ
の
す ︶、 Dr. Stafford
家に遊びに行って﹁普
10
かりでした。平日の昼
現 地 で の 生 活 に 話 を 移 し ま す と、 こ の
スペースでは書ききれないほど楽しいことば
このような貴重な経験を与えて頂いた、宮
田 貴 章 教 授 を 初 め と す る K I T の 方 々、 そ
2
や、DMAを用いた三点曲げを行いました。
の 研 究 室 で、
Dr. Karim
の 指 導 の も と、 実 験 に 取 り 組
Dr. Stafford
み ま し た。 週 間 と い う 短 い 期 間 で し た が、
リ カ 商 務 省 傘 下 の 機 関 で す。
触 れ る こ と は、
が異なる文化に
を覚えています。
りも寒く、敷地内の鹿が堂々と歩くのを見な
ほど。 NISTを訪れたのは、
1
がら、息を白くして研究室へ通っていたこと
11
9
N I S T は、 ア メ リ カ の 技 術 発 展 の た め
に計測技術や標準試料などを研究するアメ
(博士前期課程 高分子機能工学専攻)
(アメリカ合衆国)
研修先:アメリカ合衆国商務省国際標準技術研究所高分子部門(NIST)
研修期間:2008 年 11 月 15 日∼ 11 月 30 日
KIT INTERNATIONAL JOURNAL ■ 特集
森口 亘
(博士前期課程 情報工学専攻)
研修先:パナソニックR&Dセンターハノイ
(ベトナム社会主義共和国)
研修期間:2008 年 8 月 23 日∼ 9 月 21 日
電子システム工学専攻の小田信一郎
私 は 2 0 0 8年 の 夏 に 本 学 の イ ン
タ ー ン シ ッ プ プ ロ グ ラ ム の 一 環 で、
や筆談を
り手振り
も、 身 振
な く て
教授の研究室で研究を行
Michal Vik
い、使用する機器の扱い方からその意
ました。前半はリベレッツ工科大学の
共 和 国 の リ ベ レ ッ ツ に 1ヶ 月 滞 在 し
2008年 月、私は海外インター
ンシッププログラムに参加し、チェコ
かりやすく伝え
他人に結果を解
る 適 切 な 考 察、
り、 結 果 に 対 す
き多くの点があ
君 と 共 に ベ ト ナ ム の ハ ノ イ に 1ヶ 月
交えて粘
語を話せ
間 滞 在 し、 パ ナ ソ ニ ッ ク の 研 究 開 発
え る こ と が で き ま し た。 ま た、 仕 事
お か げ で、 な ん と か 無 事 に 開 発 を 終
り、 質 問 に 快 く 応 じ て く れ た り し た
プロジェクトについて助言をくれた
が 我 々 の こ と を 気 に か け て く れ て、
最初は開発作業がうまくいくか不
安でした。しかし、現地の社員の方々
できました。
とても重要であることも知ることが
ることが仕事を円滑に進めるうえで
シ ョ ン を と り、 互 い の 意 見 を 交 換 す
ない英語でもいいからコミュニケー
ン に 自 信 が つ き ま し た。 ま た、 つ た
し、異国の人々とのコミュニケーショ
を伝えられるのだということを実感
にコミュニケー
の方々が積極的
で し た が、 社 員
とができません
私はつたない
英語しか話すこ
の 人 々 の 温 か さ に 触 れ て、 私 は ベ ト
は と て も い い 思 い 出 で す。 ベ ト ナ ム
秋の夜にランタンを揚げて祝ったの
に 同 年 代 の 学 生 た ち と 知 り 合 い、 中
も な く 過 ご す こ と が で き ま し た。 特
げ で、 初 め て の 地 で の 生 活 に も 不 安
とができまし
した。
に将来必ず戻ってくることを誓いま
も う 一 度 味 わ う た め に、 社 員 の 方 々
による﹁色﹂の見え方に対しての関心
ました。大学の授業にも参加し、材料
うちに良い撮影ができるようになり
が、先生の指導のもとで作業を進める
ては高度な技術を要するものでした
場所を見極めることなどは私にとっ
と、特徴をうまくとらえて撮影すべき
い て、 京 都 と の 繊 維 業 と 共 通 点 を 見
統文化に基づいた研究という面にお
し 世 界 的 規 模 で 活 躍 し て い ま す。 伝
現在も数多くの繊維系の企業が存在
め の 大 学 が 設 立 さ れ る 基 盤 と な り、
で あ る こ と が、 そ れ ら を 研 究 す る た
心 都 市 で す。 古 く か ら 繊 維 業 が 盛 ん
てプラハに次ぐ最も重要な産業の中
滞在期間の後半は、布の染色を研究
しているハンツマン社に通い、竹と羊
の都市の発展の重要なファクターで
風 土 や 歴 史 を 知 っ て い く こ と が、 そ
あることは間違いありません。
究作業には学ぶべ
つ社員の方々の研
良さと正確さを持
ました。段取りの
形式で進めていき
で実践するという
作業を理解し自分
一通り手順を見て
た。 説 明 を 受 け、
謝します。
させてくださった関係各位に深く感
し た。 こ の よ う な す ば ら し い 体 験 を
く、 私 も 見 習 っ て い け れ ば と 思 い ま
は自分の意見をしっかり持つ人が多
話 す 機 会 も 多 か っ た で す。 チ ェ コ に
ま し た。 互 い の 文 化・ 習 慣 に つ い て
を進めていくことの重要さを痛感し
が 伝 え た い こ と を 予 測 し な が ら、 話
マに取り組みまし
と い う 研 究 テ ー 英語での会話は容易ではありませ
ん で し た が、 そ の 流 れ の な か で 相 手
ジを解明すること
毛の布・糸の化学的処理によるダメー
出 す こ と が で き ま し た。 そ の 都 市 の
がより深まりました。
光の調節やピントをうまくあわすこ
リ ベ レ ッ ツ は テ キ ス タ イ ル、 エ ン
を用いて表面と断面を撮影する際に、
ジ ニ ア、 そ し て ガ ラ ス の 分 野 に お い
る た め の 工 夫・
事業所で就労体験をさせていただき
表現方法を学ぶ
せばしっ
ことができまし
ま し た。 イ ン タ ー ン シ ッ プ で は、 事
かりと自
味まで先生に丁寧に指導していただ
業所で進められているプロジェクト
分の言い
り強く話
の作業を支援するソフトウェアの開
た。
11
きました。染色された毛髪のサンプル
柴田 紋
の組織を観察するために光学顕微鏡
発に取り組みました。
のこと以外でもたくさん会話をして
たいこと
コミュニケーションをとることがで
き、 と て も 楽 し い 時 間 を 過 ご す こ と ま た、 社 員 の 方 々 だ け で な く、 滞
在中に出会ったベトナムの人々も皆
ができました。
ションをとろう
ナムが好きになりました。
優 し く、 気 さ く に 接 し て く れ た お か
としてくれたた
め、 恐 れ ず に い 私 は イ ン タ ー ン シ ッ プ を や り 遂 げ
た達成感とベトナムの人々温かさを
た。 そ の お か げ
ろいろ話すこ
で、 き れ い な 英
(博士前期課程 物質工学専攻)
研修先:リベレッツ工科大学、ハンツマン社(チェコ共和国)
研修期間:2008 年 11 月 1 日∼ 12 月 1 日
トピックス ■ KIT INTERNATIONAL JOURNAL
留学生が国立文楽劇場の「文楽鑑賞教室」に参加
2009 年6月6日に大阪の国立文楽劇場において開催された「文楽鑑賞教室」に、KIT の留学生
24 名が参加しました。国際企画課からも4名のスタッフが引率として加わりました。
プログラムは、演目「二人三番叟」
、解説「文楽へようこそ」
、演目「傾城恋飛脚新口村の段」の3
部構成で、
「文楽へようこそ」では、技芸員から大夫・三味線・人形遣いのそれぞれの役割について、
実演を交えたわかりやすい解説が行われました。
実際に舞台へ上がって人形遣いを体験できる「体験コーナー」もあり、体験した博士前期課程先端ファ
イブロ科学専攻の徐華君さん(中国出身)からは、
「緊張した。楽しかったが、難しかった。
」との感
想が聞かれました。
文楽は、能楽、歌舞伎とともに日本の三大国劇の一つに数えられ、優れた伝統芸能としてユネス
コの無形文化遺産に指定されています。今回の文楽鑑賞教室は、留学生にとって日本文化に触れる
貴重な体験となりました。
国立文楽劇場前での集合写真
KIT International Students in front of the
National Bunraku Theatre in Osaka
カント大学とメコン 1000 計画合意書を締結
KIT は 2009 年 2 月 20 日付で、ベトナムのカント大学と「メコン 1000 計画に基づいてカン
ト大学(ベトナム社会主義共和国)が行う博士・修士学位取得学生派遣に関する合意書」を締結し
ました。メコン 1000 計画とは、カント大学が中心となって実施しているメコン・デルタ地域の
産業化と近代化のための人材育成プログラムで、同地域の学生や若手教員がベトナム各地の地方政
府から奨学金を得て修士または博士の学位取得を目的に海外に派遣されるものです。2006 年から
の 5 カ年で 1000 人以上が海外派遣されるこの計画において、日本では唯一、本学が同大学と協
定を締結しました。2009 年 4 月に大学院博士後期課程生命物質科学専攻に入学した 2 名を皮切
りに、今後、2011 年度までの 3 年間、毎年数名の学生がこの計画に基づき本学大学院で学ぶこ
とが期待されます。
メ コ ン 1000 計 画 事 務 局 長 Pham Xuan
Binh 氏から説明を受ける功刀副学長(左)
Mekong 1000 Project Director, Mr. Pham
Xuan Binh (right) shows Vice President
Kunugi around the project office
人も文化も繋ぐ架け橋に−京都府名誉友好大使の活躍
1992 年度に開始された京都府による「京都府名誉友好大使」には、これまで KIT から7名の
留学生が任命されています。京都府と世界各地域との架け橋になろうという意欲ある留学生たちが、
京都府の事業での通訳や学校訪問、文化交流イベントなどで活躍するほか、自らも様々な企画を実
施しています。
今年度は新たに博士前期課程先端ファイブロ科学専攻のプレブドルジ アリューンダリさん
(モンゴル出身)が大使に任命されました。ドキュメンタリー映画の上映会やファッションショー
の開催など、いろいろな企画を構想中のアリューンダリさんは、この夏休みに京都の学生をモンゴ
ルへ案内し、現地の学生との交流や民族衣装の体験、ゲル(遊牧民の家)での滞在といったツアー
の細部まで手配したそうです。
一方、2008 年度任命の包怡萱さんと劉棟さん(ともに中国出身、工芸科学部造形工学課程在籍)
は、11 月に京都府庁で「伝統と発展」と題した合同写真展を開催します。高度経済成長下の中国が、
中学校で中国の紹介をする劉棟さん
Mr. Liu Dong’s School Visit
いかに昔のモノを修復保存しながら新しいモノを創り出しているか、その姿を自身が撮った写真で
紹介しようと意気込んでいます。
KIT における主な国際交流事業(2004-2009 年度) KIT's Major International Exchange/Collaboration Program from FY 2004 through 2009
2003
2004
2005
2006
2007
国際基幹技術者養成プログラム
Engineer Training and Research Innovation
Program(ETRIP)
2008
2009
2010
グローバルエンジニア育成のための国際インターンシップ推進事業
Global Engineer Project: Overseas Internships for KIT Graduate Students
現代GP「創造性豊かな国際的工科系専門技術者の育成
―伝統からイノベーションへ・ローカルからグローバルへ―」
Training Program for Advanced Manufacturing through the Fusion of Traditional Technology and Modern Science
KIT-ベトナム・ジョイントセミナー(2002年度∼)
KIT-Vietnam Joint Seminar (since FY2002)
日本学術振興会 二国間交流事業(米国)
「半導体ナノ構造における量子状態制御」
JSPS Bilateral Joint Project (USA): Quantum
State Control in Semiconductor Nanostructures
国際化・多様化に対応する修士課程秋季入学の拡大とデザイン技術者
育成のための弾力的学部課程教育プログラム開発事業(セミナー)
International Seminar for Autumn Master's Program Enrollment
Expansion and Flexibility in Undergraduate Admissions and Curricula
日本学術振興会 アジア・アフリカ学術基盤形成プログラム「次世代型繊維科学研究『ネオ・ファイバーテクノロジー』の学術基盤形成」
JSPS Asia and Africa Science Platform Program:Establishment of Collaboration Research for 'Neo-Fiber Technology' in Asia and Africa
日本学術振興会 二国間交流事業(フランス)
「建築的仕掛けと概念、日仏の空間性に関する比較研究」
日仏交流促進事業(SAKURA) 「フランスの建築概念による日本建築再考
JSPS Bilateral Joint Project (France):Architectural Devices and
と日本の建築概念によるフランス建築再考」
Japan-France Integrated Action Program (SAKURA):Redefining Japanese Notions: Cross Regards for Japanese/French Spatiality architecture through French concept and redefining French architecture
through Japanese concept
日本学術振興会 二国間交流事業(英国)「DNA複製と共役したクロマチン情報
の伝達機構に関する生化学的並びに遺伝学的研究」
JSPS Bilateral Joint Project (UK): Biochemical and genetic studies on
transmission of chromatin information coupled with DNA replication
日本学術振興会 若手研究者交流支援事業「歴史遺産と現代生活との
調和−タイ王国におけるマネージメント戦略の構築に向けて」
JSPS Exchange Program for East Asian Young Researchers:
Balancing between conservation of historical heritage and modern living
- For the establishment of management strategy in Kingdom of Thailand
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