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グライダー開発の時代
矢田技術士事務所 グライダー開発の時代 今でこそ人間が空中に浮かぶ為の手段は思いつくが、昔はあこがれであった。そのため 身近にいる鳥の飛ぶ原理を研究する方向に向かったのは当然と言える。その例としてレオ ナルド・ダ・ビンチが 1485 年にそのアイデアを残している。しかしこれより前にこれを実 際に試してみたのがスペイン生まれのアラビア人 Abbas Ibn Firnas()فرن اس ب ن العب اسで、 875 年に鳥の羽で造った翼を手足に縛って山頂から飛び降りたが着地に失敗して背骨を骨 折したらしい。これが最初の飛行人間とされている。1) その後 1010 年前後にイギリスの Malmesbury の修道士 Eilmer が似たような発想で 1010 年前後に塔から飛び降り 200m程度飛んだたらしい。さらに 14 世紀の終わり頃イタリア人 J.B.Dante が Trasimene 湖の近くで翼を使って空中に浮くのに成功し、2 回目を Peryger で試みが左の翼が折れて失敗したとされている。しかしこれらの記録は後世の人が噂とし て残しただけである。一方、日本ではこれらの試みよりかなり遅れ岡山の表具師浮田幸吉 が 1785 年夏に岡山城下の旭川に架かる京橋の上から翼を広げて飛び降りたという記録があ る2)。その詳細なデータは残っていないが、鳥の羽の研究をした気配は残されている。 鳥の翼にヒントを得た滑空グライダーの研究を始めたのは英国の人 Sir George Cayley, が最初らしい。彼はいろいろな分野の技術領域に手を出しているが、1799 年から 50 年の 間に様々なグライダーの設計を行ない、人間が飛ぶために必要な条件を書き残している。 特に安定した飛行を実現するためには尾翼の役割が大切なことを指摘してた。彼の設計し たグライダーで 1849 年に最初の飛行をした 10 才の少年がいたらしいが詳細は不明である。 固定翼の有人飛行の最初の例かもしれない。 グライダーを数多く造った技術者として有名なのはドイツ人 Otto Lilienthal で 1891 年 より 5 年間で 2000 回以上の飛行実験を行なったが、作られたグライダーには単翼のもの、 複翼の物など様々の形態の機体が作られた。しかし 1896 年突風に遭遇して墜落事故を起し 死亡した。彼の残した鳥に関する研究報告は 後の Wright 兄弟の指南書となった。このほか 1880 年末には John J. Montgomery(1889)、 Octave Chanute ( 1894 )、 Percy Pilcher (1897)その他多くの人がグライダーを製作 し、飛行に必要な制御方法の知識を蓄えてい った。彼らはそのゴールとして有人動力飛行 を狙っていた。 動力飛行にはエンジンを搭載する必要がある。これの先駆者として、鳥を研究していた イギリス人 William Samuel Henson は 1842 年に蒸気機関の搭載を想定した飛行機の特許 を申請している 3)(図参照)。尾翼を上下に動かすことによって操縦することを想定してい た。これを改良して友人の John Stringfellow は 1848 年に翼の長さを 12ft にして飛ばすこ とに成功した。模型であったが、動力飛行機が空中を飛んだ最初の例である。なお日本で は二宮忠八がゴム動力で模型飛行機を飛ばしたのが 1889 年(明 22)であった。 その一方でこの頃 W.J.M. Rankine、William Froude や Alfred G.Greenhill が流体力学 の研究を行ないプロペラや翼型の設計についての理論的なバックグランドが整備された。 1)http://www.awesomescientist.com/abbas.html 2) http://www.sanyo.oni.co.jp/kikaku/senjin/news/2010/02/14/20100214104032.htm 3) http://www.ssplprints.com/image.php?id=82048 http://www.flyingmachines.org/