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田中博尊弁護士からのヒアリング結果概要 1.債権者による破産手続
別紙3 田中博尊弁護士からのヒアリング結果概要 1.債権者による破産手続開始の申立てに必要な疎明資料 まず、申立債権の疎明については、個別被害者による民事訴訟が先行している 場合が多いため、確定判決があり、これにて疎明している。 破産原因の疎明(「事業実態が存在しない」、 「事業が欺瞞的」といった点)につ いては、被害者が持っているパンフレットや契約書、あとはメディアの新聞記事 等にて疎明している。また、被害者に対して、支払停止や支払猶予といったこと をFAXなどで通知することもあるが、こういった資料があれば必ず疎明に使用 する。 債権者側からすると、会社の経理に関する財務資料を取得するのはほぼ不可能 であるため、債務超過のみを破産原因として申立てることは基本的にはないので はないかと思われる。 2.弁護士や被害者による疎明資料の情報収集方法 大きく分けると、会社の実態にかかる情報収集方法についてと、被害の実態に かかる情報収集方法についてといった点になろうかと思われる。 まず、会社の実態については、まずは被害者から可能な限り資料などの情報を 収集する。具体的に集まる資料としては、商品のパンフレットや、契約関係書類、 新聞記事といったものになる。 なお、内部通報については、どの事件でもあるにはあるが、信憑性がない内容 ばかりであり、私の経験では疎明資料にて使用したことはない。 次に、被害の実態(被害者総数や被害規模についての正確な数字)については、 一般に自然に知る方法は我々にはない。最終的に管財人を入れて外部・内部で調 査をしてもらって初めて分かるというのが実情である。破産申立てに当たっては、 マスコミだとか、刑事事件になっているとか、そういった事実を踏まえて行って いるのが実態である。 3.弁護団の規模と予納金 債権者による破産手続開始の申立てを行うに当たっては予納金が必要となる。 予納金は事案によって数千万円となる場合があり、これを被害者の方々に広く薄 く負担してもらうとなると、弁護団の規模を相当なものにしないと申立てができ ない。 また、最近は、会社の実在の有無も判明しないまま行方不明となる様な小規模 な事件が多数起きており、そういう事件については口座凍結くらいしか対処方法 がないのが実情であって、弁護団の手がなかなかまわらない。 4.債権者による破産手続開始の申立てのタイミング 個別の被害対応が行き詰った段階でないと疎明が難しいという点があることや、 個別訴訟で早い者勝ちで被害回復ができている段階では平等弁済の要請が顕在化 しないことがあり、申立てのタイミングは事業の最終段階とならざるをえないの が実情である。 5.債権者による破産手続開始の申立ての意義 実態として申立てても被害額をあまり回収できないという事例は少なくないが、 全ての被害者に対して原因を解明して、会社を潰したいという動きが非常に大き いと思われる。 (以 上)