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CO2
微生物利用による環境調和型 地下資源開発の可能性 帝国石油(株)技術研究所 前田治男 1 報告内容 1.環境調和型地下資源開発とは 2.何故天然ガス(メタン)に変換するのか 3.微生物メタン変換の概念とメカニズム 4.微生物メタン生成実験 5.メタン生成経路の推定 6.今後の検討課題 2 炭素の存在位置と形態の循環 エネルギー抽出 CnHm CO2 エネルギー 資源開発 CO2地中 隔離 環境調和持続型 炭素循環システム CO2 CnHm 炭素変換 3 天然ガス(メタン)として地下資源を回収する意味? 天然ガスの燃焼特性(低環境負荷) 4 CO2をメタンに変換するという発想 天然ガス(メタン)の成因(起源、生成過程)は? 微生物起源説 油田の残油のガス化 回収に使えないか? 有機物が微生物により分解されメタンが生成。生成過程に おいて二酸化炭素が必要となる。 水溶性ガス、メタンハイドレート等の成因 CO2が反応に関与 してメタンを生成 熱分解起源説 ケロジェン(堆積物中の有機物が地下で生化学的分解作用で 生じたCとHの化合物)が熱分解作用を受けてメタンが生成。 油田および構造性ガス田の成因 5 枯渇油田に対する二酸化炭素地中貯留および 常在微生物を利用したメタン変換⇒炭素循環の確立 枯渇油層への圧入CO2と地下微生物 作用による原油のメタン変換の概念 枯渇油田 6 想定される微生物によるメタン生成反応 原油、炭水化物 など 有機物分解反応① 有機物 水素生成菌 有機物分解反応② 有機物 H2 + CH3COOH +CO2 水素と酢酸、CO2を生成 CH3COOH +CO2 酢酸とCO2を生成 酢酸発酵菌 メタン生成反応① 4H2 + CO2 水素資化 メタン生成反応② CH3COOH 酢酸資化 CH4 + 2H20 メタン生成菌 CO2を消費して メタン生成 CH4 + CO2 メタン生成菌 メタン生成とともにCO2生成 7 これまでの研究の概要 実施期間:平成16年∼平成17年(JOGMEC受託研究) 平成18年∼平成19年(帝国石油自社研究) H16 H17 実油ガス田の地下常在微生物の調査 国内油田、ガス田において水素生成菌、メタン生成菌の存在確認 22 対象油田の選定、当該油田微生物の分離 八橋油田に選定、水素生成菌10種、メタン生成菌4種の分離に成功 11 33 炭水化物基質による常圧下、水素、メタン生成試験 44 炭水化物基質による高圧下、孔隙環境下、水素、メタン生成試験 常圧条件において水素およびメタンの活発な生成を確認 高温、高圧条件(5MPa,50℃)において水素、メタン生成を確認 H18 55 原油成分基質による常圧メタン生成評価実験(混在菌利用) 本日の報告内容 H19 66 原油成分基質による高圧メタン生成実験(混在菌利用) 8 地下微生物調査対象油ガス田(5油ガス田) ガス田 サ ン プ ル 水溶性ガス田 成東ガス田 千葉 油田 構造性ガス田 東ガ 柏ス 崎田 新 潟 磐ガ 城ス 沖田 福 島 南阿賀油田 新潟 八橋油田 秋田 形態 かん 水 コア 産出 水 産出 水 油層 水 原油 油層 水 原油 深度 (m) 1600 1670 2500 2200 2200 2200 1200 1200 油ガス 層温度 (℃) 40 40 120 69 103 103 40-60 40-60 9 油ガス田微生物群によるメタン生成評価 常圧試験 坑口装置からヘッドスペースが 無くなるように採取し、かつ還元 剤にて嫌気条件にして、ラボに 輸送し、仕込みを実施 高圧試験 油層水と微量原油添加:気相部をCO2,H2混合ガスで置換 10 検討対象となる微生物 真核生物 生物 古細菌 ・・・ メタン生成菌 (Archaea) 真正細菌 ・・・ 水素生成菌 ( Bacteria) ●偏性嫌気性菌 ・Clostridium ・Desulfovibrio(硫酸還元菌) ・Petrotoga ・Thermotoga etc. ●水素資化性メタン生成菌 ・Methanothermobacter ・Methanobrevibacter ・Methanoculleus ・Methanococcus etc. ●酢酸資化性メタン生成菌 ・Methanosarcina ・ Methanosaeta etc. 11 各油ガス田のメタン生成に関わる微生物調査結果 油田 サンプル 南阿賀油田 (新潟) ガス田 八橋油田 (秋田) 水溶性ガ ス田 微生物メタン 成東ガス 田 生成実験対象 として選定 (千葉) メタン Methanocalculus halotolerans 生成菌 水素 生成菌 構造性ガス田 東柏崎 ガス田 (新潟) 磐城ガ ス田 (福島) ◎ ◎ ◎ × × Clostridium sp. ○ ○ ○ × × Desulfovibrio sp. ○ ○ ○ ○ × ◎:優先化、○:検出、×:未検出 《油ガス田での微生物メタン生成》 メタン生成に関わる微生物群が存在、かつ高濃度で検出(特に油層水中) 12 メタン生成に適している油ガス田 : 南阿賀油田、八橋油田、成東ガス田 常圧嫌気条件におけるメタン変換試験(H18年∼) (有機物基質としての原油利用の可能性) 常在微生物 を含む 油層水 八橋油田の油層水 炭素源(原油、炭水化物等) ① 滅菌した120ml 容 バイアル瓶に油層水を 50ml 入れる。 ②添加した油層水の上 部に、炭素源を0.5 ml を添加 N2 ガス ↓ N2/CO2 ③ N2 パージを5分間 行った後、N2/CO2 = 90/ 10(vol/vol) で気相 部を置換し、圧力を 0. 2MPa に調整 50℃ 静置 ④ 50℃ で静置培養 13 モラセス(廃糖蜜)基質を利用したメタン生成試験 AR-39油層水メタン生成実験(油層水+モラセス) 5MPa 55℃ 1.80 CO2無添加(N2:100%) 炭水化物を有機物基質とした場合、 メタンの生成にはCO 2を外部から メタン生成せず 添加する必要ありとの実験結果。 1.40 1.20 CH4 CO2 酢酸濃度(*1000) 1.00 0.80 0.60 0.40 AR-39油層水メタン生成実験(油層水+モラセス+CO2) 0.20 0.00 0 50 100 150 200 培養日数(日) 250 CO2添加 (N2:90%、CO2 :10%) 14.00 300 5MPa 55℃ 12.00 モル%、濃度(1000ppm) モル%、濃度(1000 ppm) 1.60 10.00 活発にメタン生成 8.00 CH4 CO2 酢酸濃度(*1000) 6.00 4.00 2.00 0.00 0 50 100 150 200 培養日数(日) 250 300 14 AR-39LUCA法(バイアル試験) 八橋油田KR-61原油を原油基質としたメタン生成試験(0.2MPa、50℃) 50℃、0.2MPa 12.00 酢酸濃度(初期:184ppm ⇒ 363ppm ⇒ 実験終了時:2.8ppm) メタン生成時のCO2推移 濃度上昇、減少、バランス 10.00 モル% CO2 油層水にCO2溶解 のため濃度低下 8.00 6.00 4.00 CH4 2.00 0.00 0 誘導期 50 100 150 200 250 日 15 AR-39LUCA法(バイアル試験) AR-39油層水 常圧試験 50℃、0.2MPa メタン生成速度の評価 250.0 モル%⇒油層水1Lあたりのメタン生成量 N m l/ L 200.0 150.0 メタンAR-39 メタンAR-39+BES CO2残存量 100.0 0.13Nml/L/h r メタン生成速度 50.0 0.0 0 50 100 150 200 250 DAYS 16 想定される微生物によるメタン生成反応 原油、炭水化物 など 有機物分解反応① 有機物 水素生成菌 有機物分解反応② 有機物 H2 + CH3COOH +CO2 水素と酢酸、CO2を生成 CH3COOH +CO2 酢酸とCO2を生成 酢酸発酵菌 メタン生成反応①(水素資化メタン生成反応)が起きなければ CO2濃度は単調上昇傾向を示すはず メタン生成反応① 4H2 + CO2 水素資化 メタン生成反応② CH3COOH 酢酸資化 CH4 + 2H20 メタン生成菌 CO2を消費して メタン生成 CH4 + CO2 メタン生成菌 メタン生成とともにCO2生成 17 酢酸およびCO2濃度推移からの考察 酢酸濃度推移: CO2濃度推移: 184 ppm (増加)生成>消費 ⇒ 363 ppm ⇒ 2.8 ppm ⇒ (減少)消費>生成 ⇒ バランス(生成=消費) 生成反応の優位性の推定: 130日まで:CO2濃度増加、酢酸濃度増加 ⇒ (酢酸発酵反応 + 酢酸資化メタン生成反応 ) 130日目以降: CO2濃度減少後バランス、酢酸濃度減少 ⇒ (水素資化メタン生成反応 + 酢酸資化メタン生成反応) *水素資化メタン生成と酢酸資化メタン生成の両反応が起きている! (試算) 減少した酢酸(363 ppm-2.8 ppm)が、すべて酢酸資化メタン生成菌によりメタンに 変換したと仮定すると、その量は6 mmolとなる。 一方、生成メタン量は10.2 mmolであるから、残り4.2 mmolが水素資化メタン菌による メタン生成と推定できる。(酢酸資化メタン生成:水素資化メタン生成=3:2) 18 すなわち、メタン生成反応においては酢酸資化反応が水素資化反応より優位といえる AR-39LUCA法(バイアル試験) 八橋油田 AR-39油層水&KR-61原油使用 50℃、0.2MPa 原油基質メタン生成試験(0.2MPa、50℃) 12.00 酢酸濃度(初期:184ppm ⇒ 363ppm ⇒ 実験終了時:2.8ppm) メタン生成時のCO2推移 濃度上昇、減少、バランス 10.00 モル% 8.00 CO2 油層水にCO2溶解 のため濃度低下 6.00 4.00 CH4 2.00 0.00 両反応 水素資化 150 バランス 200 酢酸資化メタン生成菌による 0 50 100 メタン生成反応 250 日 19 #AR-39 培養後 培養前 H17-3 メイン ネガコン バイアル (+BES) 培養液のDGGEによる菌相解析結果 相同性解析結果 (水素生成菌) 30% No. Strain Identity (%) 培養前(H17-3) 1 Flexistipes sp. 93.0 2 Flexistipes sp. 98.4 3 Anaerobic filamentous bacterium 100.0 4 Soengenia saccharolytica 100.0 5 Petrobacter sp. 94.0 6 Petrobacter sp. 98.4 DGGE法: 電気泳動による DNA切り出し 増幅、配列決定 メインバイアル 1 1 3 4 2 3 4 5 5 6 1 Petrotoga miotherma 88.4 2 Anaerobic filamentous bacterium 91.8 3 Thermodesulfobacterium commune 90.6 4 Thermodesulfobacterium commune 100.0 5 Unidentified sulfate-reducing bacterium 90.7 6 Clostridiaceae str. 90.7 7 Thermotoga hypogea 97.9 1 2 2 3 4 5 6 ネガコン 6 7 70% :メタン生成阻害剤(BES)添加系 1 Flexistipes sp. 96.9 2 Thermodesulfobacterium commune 99.3 3 Thermodesulfobacterium commune 97.8 4 Unidentified sulfate-reducing bacterium 89.8 5 Clostridium acetobutylicum 86.6 6 Coprothermobacter sp. 99.2 20 微生物相変化からの考察 AR−39 常圧メタン生成試験微生物相解析結果(水素生成菌) 培養前の油層水中の菌相 1.Flexistipes 2.Anaerobic Filamentous 3. Soengenia Saccharolytica 4.Petrobacter 培養後(メタン生成後)の油層水中の菌相 1. Petrotoga miotherma 2.Anaerobic Filamentous 3.Thermodesulfobacterium(硫酸還元菌:共生菌) 4.Unidentified sulfate reducing bacterium(硫酸還元菌) 5.Clostridiaceae(水素生成菌群) 6. Thermotoga hypogea(好熱水素生成菌) メタン生成後に菌相変化⇒硫酸還元菌及び好熱性水素生成菌が卓越化 21 微生物相変化からの考察 常圧メタン生成試験のまとめ AR−39 常圧メタン生成試験微生物相解析結果(メタン生成菌) 培養前の油層水中の菌相 生成ガス、酢酸濃度推移と菌相解析結果から 1.Methanosaeta harundinacea:酢酸資化メタン生成菌 2.Methanosarcina mazei :酢酸資化メタン生成菌 3. Methanothermobacter thermautotrophicus:水素資化メタン生成菌 硫酸還元菌および好熱水素生成菌により 培養後(メタン生成後)の油層水中の菌相 水素が生成、酢酸資化メタン生成菌および 1. Methanoculleus :水素資化メタン生成菌 水素資化メタン生成菌によりメタンが生成 2. Methanothermobacter thermautotrophicus:水素資化メタン生成菌 メタン生成後に菌相変化⇒水素資化メタン生成菌が卓越化 22 想定される微生物によるメタン生成反応 水素生成菌による 有機物分解反応 ① 原油、炭水化物 など 有機物 水素生成菌 H2 + CH3COOH +CO2 有機物分解反応② 有機物 CH3COOH + CO2 酢酸発酵菌 有機物分解(酢酸)反応③ CH3COOH + 2H20 メタン生成反応① 4H2 + CO2 水素資化 メタン生成反応② CH3COOH 酢酸資化 4H2 + 2CO2 硫酸還元菌 CH4 + 2H20 メタン生成菌 酢酸とCO2 を生成する反応 酢酸を消費して 水素とCO2生成 CO2を消費して メタン生成 CH4 + CO2 メタン生成菌 メタン生成とともにCO2生成 反応経路の評価 ⇒ メタン濃度、 CO2濃度、酢酸濃度、菌相解析を総合した評価 23 油層条件模擬高温高圧メタン変換試験 高圧容器による実験概要 ガス組成分析用 開閉バルブ 窒素及びCO2 八橋油田の油層条件を想定 恒温槽に設置 培養圧力 : 5MPa 培養温度 : 55℃ 培養容器 :高圧容器 を封入 原油:1.8cc or 8cc 微生物を含む 油層水:800cc 滅菌済み 容器 有機酸分析用 開閉バルブ 24 OR- 1 1 9 原 油 成 分 基 質 メタ ン 生 成 試 験 油層水:800cc、原油:1.8cc 5 5 ℃ 、 5 M Pa N 2 : 9 0 % 、 C O2: 1 0 % 10 酢酸濃度(初期:330 ppm ⇒ 400 ppm ⇒ 実験終了時:11 ppm) 9 常圧試験と同様な 酢酸濃度の推移 8 CO2濃度は変化無し CO2の消費、生成がバランス モル% 7 6 C H4 (モ ル % ) C O2 (モ ル % ) 5 4 3 2 酢酸資化と水素資化の 両メタン生成反応が起きている 1 0 0 100 200 培養日数 300 25 原油成分基質メタン生成試験 常圧試験(AR-39)と高圧試験(OR-119)メタン生成速度 常圧試験と高圧試験でのメタン生成速度はほぼ同等 250 N m l/ L 200 高圧(5MPa)試験 150 0.14Nml/L/hr 常圧(0.2MPa)試験 100 AR-39 OR-119 0.13Nml/L/hr 50 0 誘導期が短い 0 50 100 150 日 200 250 26 これまでのメタン生成実験結果および微生物の生息 状況から推測される原油成分分解メタン生成経路 酢酸資化性メタン生成菌 Methanosaeta sp Methanosarcina sp. (アルカン類 芳香族類等) CO2 生成反応 酢酸消費反応 酢酸 CO2 生成反応 CO 2 応 反 応 反 費 消 Thermotoga sp. Petrotoga sp. Clostridiaceae str. Anaerobic filamentous bacterium Syntrophomonas sp. 成 生 酸 酢 CO 原油 2生 分解 成反 原油資化性水素生成菌 水素 応 Thermoanaerobacter sp. 生成 反応 Anaerobacculum sp. 一部 共生 Thermodesulfobacterium commune 関係 Desulfotomacullum thermobenzoicum メタン 水素 消費 反応 酢酸生成反応 CO 2 原油 水素資化性メタン生成菌 Methanothermobacter sp. Methanoculleus sp. 27 Thermoanaerobacter sp. Methanothermobacter sp. 今後の検討課題 • 種々の水素生成菌、メタン生成菌がメタン生成に関与して いる。特にメタン生成に関して酢酸資化、水素資化のどち らの生成経路かの詳細な検討が必要 ⇒炭素同位体追跡 法による生成経路評価を実施予定(H20年) • 水素生成菌、メタン生成菌の嫌気的共生関係の調査 ⇒分離菌による生成実験の実施(H20以降) • 油層水のpH低下によるメタン生成反応阻害の可能性 ⇒CO2濃度、pHのメタン生成への影響試験(実施中) • 孔隙環境を模擬した(砂粒orコアを用いた)メタン生成実験 の実施 28 29 ラジオトレーサーを用いたメタン生成経路評価 • 14Cでラベルした基質*を油層水中に添加したうえ で、一定時間培養した後、生成されたメタンを分 離・トラップし、どれぐらい14Cを含むかを液体シン チレーションカウンターで計測 14C-基質*- 油層水 14CH4 *炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、ノルマルヘキサデカン、 トルエン 利点1:高感度(∼pmolメタン検出) 2:高選択性(特定経路で生成されたメタンのみを検出) 3:自然模擬培養条件(低基質濃度、短期間培養) による評価 30 ラジオトレーサー法により得られる メタン生成経路 アイソトープ サンプル 加圧ガス+ 基質 得られる情報 炭酸水素ナトリ ①CH4菌+滅菌油層水 ウム 窒素+水素 ②菌混在油層水 ①メタン生成菌のメタン生成速度 ②水素資化菌によるメタン生成 経路 ①H2菌+CH4菌+原油 炭酸水素ナトリ +滅菌油層水 ウム ②菌混在油層水+原油 窒素 ①水素生成菌の水素生成速度 (=メタン菌のメタン生成速度) ②水素資化菌によるメタン生成 経路 酢酸資化メタン生成菌による メタン生成経路 酢酸ナトリウム 菌混在油層水+(原 油) ヘキサデカン ①H2菌+CH4菌+滅菌 窒素+(炭酸 水素ナト 油層水 リウム) ②菌混在油層水 ヘキサデカン基質によるメタン 生成プロセスの有無確認 トルエン ①H2菌+CH4菌+滅菌 窒素+(炭酸 水素ナト 油層水 リウム) ②菌混在油層水 トルエン基質によるメタン 生成プロセスの有無確認 窒素 31 CO2のメタン生成への影響調査(原油基質高圧メタン生成試験) ヘッドスペースガス N2:100% 1000cc 高圧ボンベ:油層水800cc、原油8cc AR-39油層水メタン生成実験(油層水+原油+CO2) 拡大 0.80 AR-39油層水メタン生成実験(油層水+原油) 0.70 ガス組成分析 用開閉バルブ 1.60 0.60 pH:8.4 ヘッドスペースガス を封入:200cc 1.20 1.00 0.80 原油:8cc 0.50 0.40 酢酸資化反応起きず 0.30 0.20 CH4 CO2 酢酸濃度(*1000) 0.10 0.00 0 50 100 0.60 微生物を含む 油層水:800cc 0.40 0.20 150 培養日数(日) 200 250 300 AR-39油層水メタン生成実験(油層水+原油+CO2) 6.00 pH:5.9 0.00 0 50 100 150 200 培養日数(日) 250 5.00 300 4.00 CH4 CO2 酢酸濃度(*1000) 拡大 有機酸分析用開 閉バルブ モル%、濃度(ppm) モル%、濃度(ppm) 1.40 モル%、濃度(ppm) 1.80 3.00 2.00 1.00 ヘッドスペースガス N2:90%、CO2:10% 0.00 0 100 200 培養日数(日) 300 32 CO2溶解によるpH低下の影響調査:OR−119油層水による高圧メタン生成追加試験 OR- 1 1 9 原 油 成 分 基 質 メタ ン生 成 試 験 5 5 ℃ 、 5M Pa N 2 : 9 0 % 、 C O2: 1 0 % 油層水800cc、原油8cc OR-119油層水メタン生成試験(原油+10%CO2ガス) CH4 CO2 酢酸濃度(*1000) 10.00 9.00 10 9 ヘッドスペースガス 7 2:90%、CO2:10% N 8 7.00 6 モル% 6.00 5.00 4.00 C H4 (モ ル % ) C O2 (モ ル % ) 5 4 pH:5.8 3 2 3.00 1 2.00 0 未だ誘導期間か? 1.00 0 0.00 0 20 40 60 80 培養日数(日) 100 200 300 メタン生成活発 培養日数 100 120 OR-119油層水メタン生成試験(原油+10%CO2相当NaHCO3添加 メタン生成せず ヘッドスペースガス N2:100% 油層水にCO210%濃度 相当のNaHCO3を添加 (pH 8.0程度に調整) モル%、濃度(ppm) モル%、濃度(ppm) 8.00 1.00 0.90 0.80 0.70 0.60 0.50 0.40 0.30 0.20 0.10 0.00 CH4 CO2 酢酸濃度(*1000) pH:8.4 0 20 40 60 80 培養日数(日) 100 120 33 温度、pHが微生物の増殖に与える影響 微生物が活発化するための適正温度および適正pH領域が存在 温度、pH 増殖速度と温度、pHの関係 菌数 (個/ml)の対数 増殖速度 至適 増殖 温度 至適 増殖 PH 死滅期 菌によって 全て異なる 定常期 最高増殖温度 対数期 誘導期 最低増殖温度 菌体数、栄養源量、 pHなど培養環境に よって異なる 時間 微生物の成長曲線 34 微生物相変化からの考察 ARー39 高圧メタン生成試験微生物相解析結果(水素生成菌) 培養前 1.Thermotogales 2.Unidentified Thermophilic eubacterium 3. Petrobacter 培養後 1. Clostridiaceae(水素生成菌群) 2. Desulfotomaculum thermobenzoicum (硫酸還元菌:共生菌) 3. Thermotoga hypogea メタン生成後に菌相変化 ⇒硫酸還元菌と水素生成菌群が卓越化 35 微生物相変化からの考察 AR−39 高圧メタン生成試験微生物相解析結果(メタン生成菌) 培養前 Methanothermobacter thermautotrophicus (水素資化メタン生成菌) 培養後 Methanothermobacter thermautotrophicus (水素資化メタン生成菌) 菌相変化見られず、 メタン生成前後で水素資化メタン生成菌しか確認されず 酢酸資化メタン生成菌が反応に関与していない可能性 しかしながら、酢酸は消費されている 酢酸資化メタン生成菌以外が酢酸消費 硫酸還元菌による酢酸分解反応で水素と二酸化炭素を生成 36 AR−39高圧メタン生成試験 メタン生成量および酢酸濃度からの生成経路の推定 I−1 *1 *2 メタン 総メタン生 水素資化メタ CO2濃度 酢酸、CO2濃度からの反応の定性評価 培養日数 酢酸濃度 理論酢酸資化 濃度 成量(積算) メタン生成量 ン生成量 日 % mmol/L ppm mmol/L mmol/L % 40 0.14 0.7 520 0 0.7 0.38 酢酸発酵反応+水素資化メタン生成反応 95 0.61 3.2 440 1.3(40%) 1.9 0.39 酢酸資化=水素資化メタン生成反応 117 1.29 6.7 190 5.5(82%) 1.2 0.44 酢酸資化>水素資化メタン生成反応 294 1.64 8 10 8.5(106%) 0 0.53 酢酸資化>水素資化メタン生成反応 初期の油層水の酢酸濃度:270ppm *1:酢酸1モルよりメタン1モルが生成効率100%で生成と仮定 *2:メタン生成量(メタン濃度から)−理論酢酸資化メタン生成量 矛盾点:水素資化のメタン生成量が減少している。 酢酸資化メタン生成反応以外に酢酸を利用する 反応が進行している。 I−1 硫酸還元菌による 酢酸分解反応の 可能性示唆 (水素資化メタン生成経路以外の反応の可能性を加味) 酢酸資化メタン生 *2 メタン メタン生成 水素資化メタ 培養日数 酢酸濃度 成量(反応寄与率 CO2濃度 酢酸、CO2濃度からの反応の定性評価 濃度 量 ン生成量 40%と仮定) 日 % mmol/L ppm mmol/L mmol/L % 40 0.14 0.7 520 0 0.7 0.38 酢酸発酵反応+水素資化メタン生成反応 95 0.61 3.2 440 0.5(16%) 2.7 0.39 酢酸資化<水素資化メタン生成反応 117 1.29 6.7 190 2.2(33%) 4.5 0.44 酢酸資化=水素資化メタン生成反応 294 1.64 8 10 3.4(43%) 5 0.53 酢酸資化>水素資化メタン生成反応 37 38 39 メタン生成反応と嫌気性共生菌について メタン生成を伴う微生物共生系とは 有機物を酸化し、水素ならびに酢酸を産生する微生物(水素生成菌)と 水素資化性メタン生成菌と酢酸資化性メタン生成菌の共生関係をいう 例 無酸素環境下における安息香酸微生物分解コンソーシアムのケース 酢酸、水素、二酸化炭素に分解 C6H5COO- + 7H2O ⇒ 3CH3COO- + HCO3- + 4H2 + H+ この反応は高度な吸エルゴン反応である 酢酸はMetanosaeta によってメタンに 二酸化炭素と水素は水素資化性のMetahnogeniumによりメタンに還元 これらの全体の反応は発エルゴン反応となる 40 石炭層における微生物利用メタンガス回収の可能性 世界の天然ガス埋蔵量の約20%が微生物起源 (炭素同位体比の研究) たとえば 水溶性天然ガス、コールマインガス、メタンハイドレートなど 比較的浅いところに存在するメタンを主成分とする天然ガス資源 アイデアとして もともと石炭層はシダ類などの地上の植物から出来ていると推定されている それゆえ石炭層の周辺層には微生物が分解できる有機物が存在する可能性が高い 有機物が存在し有機物分解水素生成菌がいれば、二酸化炭素を入れてやることにより 水素資化(二酸化炭素還元)メタン生成菌の作用でメタンが生成される。 ただし二酸化炭素圧入による微生物存在環境である炭層地下水のpH低下が 微生物の増殖阻害要因となる可能性がある。 あるいは上記の2つの微生物を地上で増殖させ、栄養物とともに圧入してやる ことも考えられる。 41 AR-39のメタン生成試験結果 メタン生成阻害剤(BES)添加系との比較 平成17年12月∼H18年7月実施 メ タ ン 濃 度 (% ) 10.00 8.00 6.00 AR39 AR39+BES 4.00 2.00 0.00 メタン生成阻害剤 0 50 100 150 200 培養日数(日) 250 42 環境調和型(炭素循環)地下資源開発とは 枯渇油田の有効利用 ●温暖化ガスの削減 ●放棄原油の資源化、クリーン(ガス)化 CCS ↓ EOR ●環境問題&エネルギー問題の同時解決手法 CO2の利用微生物 残留原油の回収 嫌気性微生物の地下共生環境を コントロールし、原油をメタンに変換 原油 + CO2 ⇒ CH4 43 油ガス田微生物群による水素生成・ メタン生成評価 常圧試験 坑口装置からヘッドスペースが 無くなるように採取し、かつ還元 剤にて嫌気条件にして、ラボに 輸送し、仕込みを実施 高圧試験 油層水と微量原油添加:気相部をCO2,H2混合ガスで置換 44 A CO2添加、無添加ケース I-1 I-2 培養後のメタン生成菌相比較 M 培養前 初期 2M 3M 4M 5M 6M 7M 7M A B 培養後 I-5 I-6 変性剤 濃度 7M 7M 30% AR-39油層水メタン生成実験(油層水+原油) A 1.80 モル%、濃度(ppm) 1.60 1.40 1.20 CH4 CO2 酢酸濃度(*1000) 1.00 0.80 0.60 0.40 0.20 0.00 0 50 100 150 200 培養日数(日) 250 300 arch1 arch4 AR-39油層水メタン生成実験(油層水+原油+CO2) arch5 arch2 arch3 B 6.00 完全にバンド消失 水素資化メタン菌 が1部消滅 5.00 arch6 arch74.00 モル%、濃度(ppm) arch8 arch9 CH4 CO2 酢酸濃度(*1000) 3.00 2.00 1.00 70% 0.00 0 100 200 培養日数(日) 300 高圧メタン試験(Iシリーズ) DGGE解析結果(古細菌) 45 2008年6月22日培養開始 微生物利用メタン変換研究の現状成果のまとめ 油田常在微生物: 八橋油田において水素生成菌(10種)、メタン生成菌(4種)を分離 水素生成菌 メタン生成菌 有機物基質: phase1 炭水化物(グルコース)、 phase 2 原油 培養条件:常圧および八橋油田油層条件を想定 培養圧力 : 0.2MPa,5MPa 培養温度 : 55℃ 培養容器 :バイアル瓶、シリンダー コアホルダー H16年、17年JOGMEC受託研究において、炭水化物を基質 として、CO2を投入したうえで、油田常在微生物の作用による メタンの生成に成功、H18年より原油を基質とした微生物メタ ン変換研究に着手。 5MPa 培養試験 容量:1,000ml 耐圧:12MPa 材質:SUS304L 46 CO2を利用した原油のメタン変換に寄与する微生物 微生物による原油からのメタン変換反応 有機物 嫌気性水素生成菌 ・モラセス ・原油 etc… 水素生成 再生 圧入 CO2 + 4H2 メタン生成菌 CH4 + 2H20 47 高圧メタン生成試験 メタン生成速度評価 AR-39 I-3油層水+原油 200 180 160 生成速度 0.15Nml/L/hr 120 CH4 CO2 100 80 60 40 20 0 0 20 40 60 80 days 100 120 140 I-4 AR-39 油層水+原油+CO 2 160 600 500 400 Nml/L Nml/L 140 CH4 CO2 300 200 100 0 0 20 40 60 80 days 100 120 140 16048 環境温度、pHが微生物の増殖に与える影響 微生物の増殖にとって適正なpH領域が存在 温度、pH 増殖速度と温度、pHの関係 菌数 (個/ml)の対数 増殖速度 至適 増殖 温度 至適 増殖 PH 死滅期 菌によって 全て異なる 定常期 最高増殖温度 対数期 最低増殖温度 誘導期 標準菌(メタン菌Methanococcus、水素菌:Clostridium) 気相部(N2:80%、CO2:20%) を用いてグルコース基質にてpH感度実験 ⇒ 6∼9が適正pH 菌体数、栄養源量、 pHなど培養環境に よって異なる 時間 微生物の成長曲線 49 微生物による原油成分(n-アルカン)からメタン生成反応の例 出典:Nature 451 2008 Jones, D.M. ,et al. 2007 酢酸生成反応 酢酸分解反応 メタン資化水素生成反応 水素資化水素生成反応 ヘキサデカンからメタンが生成されたと仮定 添加した原油量(0.5ml)およびKR-61のヘキサデカン含有率 4.3wt%より算定されるヘキサデン量は1.9mmol。 一方、メタン生成量は実験結果から10.2mmolである。 このメタン生成量をもとに理論ヘキサデカン消費量を産出すると 0.83mmolとなる。 したがって、本実験では0.83÷1.9=43.7%のヘキサデカンを消費 50 BES(メタン生成阻害剤) BromoEthane Sulfonic Acid Sodium Salt CO2還元メタン生成菌のメタン生成の最終段階に出現する メチルS-COMの類似物質としてメチルS-COMリアクターゼ の反応阻害する。メタン生成を抑制する。 51 CO2を利用した原油のメタン変換に寄与する微生物 微生物による原油からのメタン変換反応 有機物 嫌気性水素生成菌 ・モラセス ・原油 etc… 熱水と岩石中の 還元剤(鉄など) との無機的反応 水素生成 再生 圧入 CO2 + 4H2 メタン生成菌 CH4 + 2H20 52 DGGE法による菌相解析の流れ Denaturing Gradient Gel Electrophoresis (変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)法 53 M I-6 7M 初期 I-1 I-2 I-3 I-4 I-5 2M 3M 4M 5M 6M 7M 7M 7M 7M 7M 変性剤 濃度 30% eu3 eu10 eu4 eu7 eu1 eu2 eu11 eu9 eu5 eu8 eu6 70% 54 高圧メタン試験(Iシリーズ) DGGE解析結果(真正細菌) 2007年6月22日培養開始 高圧メタン試験(Iシリーズ) DGGE解析結果(真正細菌) 2008.5.22 Band Idntity overlap (%) (nt) Strain No. 1 Bdellovibrio bacteriovorus strain TRA2 16S ribosomal RNA gene 85.6 97 2 Coprothermobacter sp. P1¦16S rRNA 92.4 119 3 Thermotogales sp. SRI-251 16S ribosomal RNA gene 99.2 121 4 Unidentified thermophilic eubacterium ST12 97.3 111 5 Clostridiaceae str. PB gene for 16S rRNA, partial sequence. 96.0 126 6 Desulfotomaculum thermobenzoicum 16S rRNA gene, strain DSM 6193 87.9 124 7 Unidentified thermophilic eubacterium ST12 94.2 120 8 Thermotoga hypogea 16S ribosomal RNA gene, partial sequence 92.6 136 9 Coprothermobacter sp. P1 gene for 16S rRNA 93.4 121 10 Thermotoga sp. G2 16S ribosomal RNA gene 91.9 124 11 Soehngenia saccharolytica 16S ribosomal RNA gene, partial sequence. 91.5 117 Band No.5 Band No.6 中温性水素生成菌Clostridiumを含む硫酸還元菌 高熱性硫酸還元菌 55 M 初期 I-1 2M 3M 4M 5M 6M I-2 I-3 I-4 I-5 I-6 7M 7M arch1 arch4 arch5 arch2 arch3 7M 7M 変性剤 濃度 30% arch8 arch9 arch6 arch7 70% 56 高圧メタン試験(Iシリーズ) DGGE解析結果(古細菌) 2008年6月22日培養開始 高圧メタン試験(Iシリーズ) DGGE解析結果(古細菌) 2008.5.22 Band Idntity overlap (%) (nt) Strain No. arch1 Methanothermobacter thermautotrophicus rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 90.1 91 arch2 Methanothermobacter thermautotrophicus rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 100 85 arch3 Methanobacterium thermoautotrophicum rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 99.1 107 arch4 Methanobacterium thermoautotrophicum rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 98.7 77 arch5 Methanobacterium thermoautotrophicum rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 96.8 94 arch6 Methanobacterium thermoautotrophicum rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 97.8 92 arch7 Methanobacterium thermoautotrophicum rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 96.8 94 arch8 Methanobacterium thermoautotrophicum rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 100 91 arch9 Methanobacterium thermoautotrophicum rrs gene encoding 16S ribosomal RNA 98.8 86 57