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新興国市場開拓にかかる調査・分析

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新興国市場開拓にかかる調査・分析
新興国市場開拓にかかる調査・分析
経済産業省 通商政策局 御中
新興国市場開拓にかかる調査・分析
報告書
報
告
書
2013年3月28日(木)
1
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
※
目次
新興国市場開拓にかかる調査・分析
Ⅰ.調査の目的
P 3
1. 本調査事業の目的
2. 新興国政策の課題
3. 仮説と調査のプロセス
Ⅱ. 新興国における企業のブレゼンス
P 6
1. 新興国における我が国ブランドシェア
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
3.第Ⅱ章まとめ
Ⅲ. ライバル国調査
P23
1.韓国の政府枠組みと民間支援枠組み
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
3.参考:スイス OSECの支援
4. 第Ⅲ章まとめ
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2
Ⅰ
調査の目的
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.本調査事業の目的
【本事業の背景(仕様書より)】
我が国は、人口減少による国内市場の縮小や、震災、円高など多くの重要な困難に直面している。このような状況において、我が国経済の活力を維
持・増進していくためには、我が国企業が新興国の旺盛な需要を取り込むことが必要不可欠である。アジアを始めとする新興国では、富裕層・中間層
の急激な増加や都市化の進展により、高成長のポテンシャルを有する有望市場が数多く出現している。
特に新興国においては、外資規制や法制の不透明な運用、インフラ整備の遅れ、他国企業との熾烈な競争など、問題は山積みしている。また、情
報・ノウハウや人材の不足、資金調達面での課題などは、特に中堅・中小企業の進出を妨げる障害となっていると考えられる。
本事業では、これらの課題を克服し、成長著しい新興国市場を獲得するための施策の検討にあたり、必要な調査・分析を実施することを目的とする。
「日本再生戦略」
(アジア経済戦略における重点施策)
我が国企業全体のための政策枠組
経済連携
アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築を含む経済
連携の推進
投資インフラの構築(拠点開発)
パッケージ型インフラ海外展開支援
「通商政策部会」
(新興国市場開拓に関する課題と対応/中間整理)
ハイレベルの政策対話の推進
市場開拓の窓口となる成長拠点開発プロジェクト
主語は政府
現地のビジネス環境改善
ヒト・モノ・カネの受入拡大とアジア拠点化の推進等
新興国の中間層など世界の成長市場の開拓、クール
ジャパン推進等
農林水産物の輸出促進と國酒など我が国「食」の海外
市場拡大
個別企業がグローバル市場で競争力を向上させる
ために必要な具体的施策は何か?
我が国企業の個別競争力強化
人材育成・資金調達
情報・ノウハウ
市場情報・ノウハウの提供
人材・資金面での支援
波及効果の大きい重点分野での市場開拓・海外展開
支援
主語は民間
企
業
産
業
日本の産業がグローバル市場で競争力を維持し続
けるために必要な具体的施策は何か?
■本調査研究は我が国企業の競争力強化のために必要な具体的な政策を企業及び産業レベルに落とし込んで提言することを目的とする。
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3
Ⅰ
調査の目的
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.新興国政策の課題
(「新興国市場開拓に関する課題と対応(中間整理)」)より
新興国台頭に伴う我が国の4つの課題
新興国の成長の取り込み(中間層拡大・都市化への対応)/保護主義の台頭 (先進国中心の通商ルール作りの限界)/国内の投資事業環境整備、新産業創出
新興国対策に向けた施策の2つの考え方
貿易投資の拡大が必要
非価格競争力の強化が重要
新興国市場開拓に向けた4つの視点
①海外展開企業を拡大 ② 非価格競争力を高める
③ 市場参入の障害を取り除く ④ 利益還流を高める
本調査研究の対象領域
<輸出の促進>
■日本で製造して新興国に売るための販路の開拓
■海外企業に対して競争力を保つための現地ニーズ把握
■グローバル市場で通用するブランドの育成
■自ら市場を開拓できるグローバル人材の育成
■後発競合企業に追いつかれないための開発力の強化
■販売促進に必要なツールの活用
<直接投資の促進>
■最適な投資対象の選定
■法的規制や労務管理、ビジネス慣習など進出国の情報
■進出資金を補うための資金調達支援の枠組み
■信頼できるパートナーとのマッチング
■現地での資材調達含めたサプライチェーンの構築
■現地スタッフのマネジメントができる人材の育成
我が国の産業・我が国の企業にとって、輸出および直接投資を行うにあたっての、個別具体的な課題は何か?
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4
Ⅰ
調査の目的
新興国市場開拓にかかる調査・分析
3.仮説と調査のプロセス
1)具体的政策に導くための調査のプロセス
<競争力分析>
<ヒアリング分析>
我が国企業の新興国におけるポジションと課題を明確にする
<新興国におけるシェア分析>
<サプライチェーン分析>
■新興国におけるブランドシェアを
調査することで、日本企業のポジ
ションと他国企業のポジションを
相対的に把握する。
■黒物家電を例に、ブランドと生産
地および構成部品のサプライ
チェーンを分析する。
<ベンチマーク分析>
<韓国>
■韓国の政策支援枠組を明確に
する。
■韓国企業の輸出競争力の源泉
を探る。
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<国内生産企業>
■国内生産で国際的
な競争力を維持し
続けている企業
■競合が海外生産を
拡大する中で、国内
生産にこだわり続け
ている企業
<海外生産企業>
韓国企業・ドイツ企業の新興国における強みの源泉を明確にする
<ドイツ>
■ドイツの政策支援枠組を明確に
する。
■ドイツ企業の輸出競争力の源泉
を探る。
<必要な政策>
■海外生産を積極的
に展開して海外マー
ケットを切り開いて
いる企業
海外で競争力を
保持するための
ポイントを抽出
日本企業の課題
を抽出
■価格競争力を高め
るために海外生産
に注力している企業
5
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.新興国における我が国ブランドシェア
1)全体の傾向
国毎・産業毎にシェアに偏り有。企業プレゼンス向上のためにとるべき施策は、その産業構造を踏まえる必要がある。
- 日本のシェア -
国別シェア
■日本はインドネシア市場で高いシェアを保有しているが、ブラジル、ロシア、南アフリカ、トルコではシェアが低い。
■韓国はブラジル、ロシア、南アフリカでのプレゼンスを高めており、特にロシアにおいては多くの産業で日本よりも高いシェアを保有
するに至っている。
産業別シェア
■日本はカメラ産業においては世界で圧倒的なシェアを保有している。しかしながら冷蔵庫のような産業においては、インドネシアで
は圧倒的なシェアを保有しているものの、他の国ではほとんどシェアを獲得することが出来ていない。
シェアの伸び
■日本のシェアが向上している国・産業よりも、日本のシェアが低下している国・産業の方が多い。一方で、韓国は多くの国でシェアを
向上させている。
- 産業構造 との関連性-
シェアの偏り
■地場メーカーのシェアが高い産業と、ある国のシェアがどの地域においても一定程度存在している産業がある
サプライチェーン
■地産地消型の産業と、生産拠点集約型の産業との違いから、サプライチェーン施策を含め、各国でのシェアを高めるための取組が
異なることが想定される。
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6
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.新興国における我が国ブランドシェア
2)自動車産業
※フォーイン社世界自動車メーカー年鑑等を参考に船井総研作成
※その他については企業名が判明していないブランドであり、上位国の企業のブランドである可能性もある。その点で各国のシェアの
値は必ずしも正確な数値とはなっていない。インドネシアは2006年のデータが入手できたないため、2008年のデータを使用
日本はインドネシア・インドで高いシェアを保有しているが、ブラジルではシェアが低い。ロシアではシェアが高まっているが、それ以外ではシェアが低下している。
2006年
イタリア
0.7% フランス
アメリカ
8.2%
韓国
14.8%
日本
53.4%
インド
25.2%
ドイツ
5.1%
0.1%
インド
23.4%
マレーシア イギリス
ドイツ
0.0%
0.6%
4.9% 中国
スウェーデン
フランス
0.0%
0.9%
0.1%
韓国
5.3%
アメリカ
7.6%
2011年
2008年
日本
80.5%
日本
91.4%
フランス
23.2%
8.6%
2006年
2011年
アメリカ
19.2%
ドイツ
12.7%
マレーシア
イギリス 0.2% その他
ルーマニア0.4%
0.2%
3.0%
中国 インド アメリカ
韓国 スペイン0.6% 0.2%
22.9%
9.3% 1.0% スウェーデン
イタリア
0.8%
9.8%
日本
15.8%
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日本
12.7%
フランス
21.5%
ドイツ
17.6%
日本が圧倒的に
高いシェアを
誇っているが、
シェアは相対的
に低下し、韓国
及び欧米のシェ
アが高まってい
る。
日本のシェアは
低い。日本の
シェアが横ばい
であるのに対し
て、韓国のシェ
アは高まってい
る。
イギリスイラン
スウェーデン 0.4% 0.2%
0.6% 中国 イタリア その他
1.0% 0.1%
フランス
2.0%
5.2% ドイツ
3.6%
韓国
ロシア
12.1%
44.8%
2006年
日本はドイツに
次ぐ第2位のシェ
アであるが、相
対的にシェアが
低下している。
アメリカのシェア
が高まっている。
韓国や中国の
シェアは低い。
11.0%
2011年
アメリカ
13.7%
アメリカ
13.1%
日本
16.8%
日本
7.1%
フランス
9.2%
ドイツ
24.4%
その他
0.5%
韓国
0.2%
韓国 その他
日本 2.4% 3.5%
7.0%
アメリカ
32.9%
フランス
12.8%
2006年
アメリカ
14.2%
イタリア
22.5%
ドイツ
33.7%
ドイツ
22.7%
その他
16%
スウェーデン
インド
1%
イタリア 1%
イギリス 1%
1%
フランス
4%
ドイツ
36%
2011年
アメリカ
17%
日本
29.7%
アメリカ
29.2%
2011年
2006年
スペイン
0.1% その他
スウェーデン
11.4%
1.1% イギリス
イタリア
1.1%
1.4% インド
フランス 2.2%
5.0%
日本
17.3%
韓国
16.3%
イタリア
25.7%
アジアと比べた
場合、日本の
シェアは相対的
に低く、さらに欧
米がシェアを高
め、日本も韓国
ともにシェアが
低下している。
スウェーデン
中国 0.7% ウクライナ
0.3%
2.1%イギリス
ロシア
フランス 0.5% スペイン
28.4%
8.5% イタリア 0.0%
1.1%
ドイツ
南アフリカ
トルコ
イギリス その他
ルーマニア 0.6% 4.4%
2.0% スペイン
イタリア 1.3%
日本のシェアが
高まっている。
一方で、韓国の
シェアも高まって
おり、韓国は日
本よりも伸び率
が高い。中国の
シェアも高まって
いる。
ブラジル
インドネシア
中国
イギリス
アメリカ 0.6% フランス 0.0%
その他
0.1%
韓国 1.3%
0.0%
2.5% マレーシア スウェーデン
0.1%
1.1%
ドイツ
3.1%
韓国
12.2%
日本
47.8%
2011年
日本が圧倒的に
高いシェアを
誇っているが、
シェアは相対的
に低下し、欧米
のシェアが高
まっている。イン
ド企業および韓
国企業のシェア
は横ばい。
ロシア
インド
韓国
14.2%
ドイツ
アメリカ 1.1%イタリア
5.9%
0.2%
日本
23%
7
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.新興国における我が国ブランドシェア
3)家庭用電化製品
②冷蔵庫
※Euromonitor International社資料を参考に船井総合研究所作成
※その他については企業名が判明していないブランドであり、上位国の企業のブランドである可能性もある。 その点で各国のシェアの
値は必ずしも正確な数値とはなっていない。
インドネシアを除いて日本のシェアは低い。ブラジル、トルコでは欧米のシェアが高い。韓国がインド、ロシア、南アフリカでプレゼンスを高めている。
スウェーデン
9.2%
2007年
韓国
38.6%
その他
12.0%
スウェーデン
7.6%
アメリカ
12.1%
アメリカ
12.1%
2011年
日本
65.1%
日本
67.6%
2007年
スロベニア
9.0%
その他
イタリア 4.8%
12.3%
2007年
トルコ
63.3%
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ドイツ
20.1%
2011年
トルコ
62.8%
ブラジルと欧州
のシェアが高
かったところ、ア
メリカと韓国の
シェアが高まっ
ている。
トルコのシェアが
高く、日本のシェ
アはデータ上現
れてこない。ドイ
ツ・イタリアの
シェアが高まっ
ている。
アメリカのシェア
が高く、南アフリ
カのシェアも高
い。韓国が第3
位のシェアをも
ち、さらにシェア
は高まっている。
日本はデータ上
現れてこない。
その他
ドイツ
3.8%
4.7%
スウェーデン
28.8%
2011年
スウェーデン
8.6%
韓国
16.6%
イタリア
28.3%
ドイツ
10.5%
ロシア
13.7%
ブラジル
17.6%
その他
韓国
4.1%
0.1%
2011年
2007年
韓国
16.8%
アメリカ
44.6%
ブラジル
62.7%
スウェーデン
33.6%
その他
24.7%
アメリカ
26.1%
2007年
ドイツ
5.5%
スウェーデン
7.7%
韓国
11.9%
その他
23.0%
ドイツ
3.6%
スウェーデン
6.5%
南アフリカ
24.0%
アメリカ
26.8%
2011年
韓国
16.7%
南アフリカ
トルコ
その他
8.0%
日本のシェアが
圧倒的に高く、
韓国も日本に次
いでシェアが高
い。日本のシェ
アが低下し、韓
国のシェアが高
まっている。
イタリア
29.1%
その他
スロベキア
8.5%
0.3%
日本
トルコ
1.8%
0.6%
アメリカ
4.3%
スロベニア
6.6%
ブラジル
インドネシア
インドネシア
1.2%
韓国
28.5%
イタリア
0.2%
2007年
ドイツ
18.2%
フィンランド
0.1% その他
スロベキア
9.3%
0.3%
トルコ
アメリカ 0.7% 日本
0.2%
3.3%
スウェーデン
ドイツ 7.3%
8.1%
ロシア
16.0%
イタリア その他
5.1%
0.1%
インドネシアその他
6.0%
0.1%
イタリア
10.5%
イタリアのシェア
が高く、韓国も
第2位のシェアを
誇る。日本の
シェアは低い状
況ではあるが、
高まっている。
インド
23.5%
インド
25.3%
韓国
26.1%
2011年
韓国
44.7%
韓国のシェアが
圧倒的に高く、
日本はデータ上
現れてこない。
アメリカとス
ウェーデンも相
対的にシェアが
高い。
ロシア
インド
その他
14.8%
南アフリカ
23.4%
8
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.新興国における我が国ブランドシェア
3)家庭用電化製品
③家庭用空調
※Euromonitor International社資料を参考に船井総合研究所作成
※その他については企業名が判明していないブランドであり、上位国の企業のブランドである可能性もある。 その点で各国のシェアの
値は必ずしも正確な数値とはなっていない。
いずれの国も地場メーカーのプレゼンスが高い。インド、ロシア、ブラジルで韓国は日本よりも高いシェアを保有している。
中国
0.1% スウェーデン
0.2%
アメリカ
0.8% カナダ
2.6%
韓国
5.9%
中国
0.2%
2007年
アメリカ
0.8% カナダ
2.5%
韓国
6.1%
インド
69.1%
2011年
インド
70.5%
2007年
インドネシア
46.2%
1.7%
アメリカ
韓国
2.0%
2.7%
日本
18.8%
2007年
スウェーデン
0.4%
アメリカ
0.4%
香港
2.1% 韓国
5.0% 日本
19.3%
2007年
2011年
トルコ
50.4%
スウェーデン オランダ
0.2%
0.2%
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ブラジルのシェ
アが高いが、低
下しており、アメ
リカのシェアが
高まっている。
日本のシェアは
低下している。
トルコのシェアが
高く、ドイツが第
2位。日本は
データ上現れて
こない。
その他
37.4%
スウェーデン
0.2%
オランダ アメリカ
0.2%
0.5%
ドイツ
フランス
13.7%
0.5%
インドネシアの
シェアが高く、日
本は第2位。第3
位の韓国のシェ
アが高まってい
る。
トルコ
54.2%
ロシア
31.3%
その他
43.8%
2007年
その他
25.2%
その他
37.1%
2007年
ブラジル
49.4%
イタリア
0.2% 日本
中国
4.2%
アメリカ イタリア
0.1%
0.0%
スウェーデン
2.1%
日本
2.0% 中国 韓国
2.0% 7.4%
ブラジル
43.0%
韓国
6.3%
スウェーデン
7.0%
アメリカ
13.4%
その他
17.2%
ドイツ
スウェーデン
1.0%
2.1%
韓国
7.2%
ドイツ
2.4%
韓国
9.7%
2011年
0.6%
その他
16.3%
日本
4.8%
2011年
スウェーデン
韓国
スイス 2.8%
13.2%
0.2%
日本 カナダ
2.6% 3.5%
日本
カナダ 韓国
スイス
0.8%
3.2% 19.5%
0.2%
スウェーデン
1.1%
日本は南アフリ
カに次いで第2
位のシェアを保
有している。韓
国も日本に次い
で第3位のシェ
アを保有してい
る。
ロシア
34.2%
その他
43.5%
2007年
南アフリカ
66.8%
日本
8.9%
2011年
南アフリカ
63.6%
南アフリカ
トルコ
その他
34.5%
インドネシア
45.3%
韓国のシェアが
相対的に高いが、
低下している。
日本のシェアが
低いが高まって
いる。
ブラジル
インドネシア
その他
27.5%
その他
28.5%
スウェーデン
0.2% 香港
スウェーデン
0.3%
インドのシェアが
高く、さらにその
比率は高まって
いる。インドに次
いで韓国のシェ
アが高いが日本
はデータ上現れ
てこない。
ロシア
インド
その他
19.7%
その他
21.3%
アメリカ
フランス ドイツ
0.8%
0.9% 6.3%
9
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
※Euromonitor International社資料を参考に船井総合研究所作成
※その他については企業名が判明していないブランドであり、上位国の企業のブランドである可能性もある。 その点で各国のシェアの
値は必ずしも正確な数値とはなっていない。
1.新興国における我が国ブランドシェア
4)電気機器
②テレビ
すべての国で韓国のシェアが大きく高まっている。日本はいずれの国でもシェアが相対的に高いが、シェアを伸ばすことができていない。
オランダ
7.1%
2006年
日本
3.0%
韓国
40.2%
アメリカ
6.3%
2010年
インド
48.5%
インドと韓国で
シェアの4分の3
を占める。インド
のシェアが高
まっている。日
本はシェアが低
い。
韓国のシェアが
高まり、2011年
には韓国が圧倒
的なシェアを保
有している。
インドネシア
24.3%
2007年
フランス
3.1%
スウェーデン
5.5%
2011年
日本
49%
日本のシェアが
圧倒的に高い。
インドネシアの
シェアが低下し、
韓国のシェアが
大きく高まってい
る。
韓国、日本の
シェアが高まっ
ており、特に韓
国のシェアの向
上が大きい。
台湾
0.1%
ブラジル
4.5%
その他
12.8%
韓国
32.5%
2006年
オランダ
23.5%
日本
8.8%
2006年
トルコ
72.6%
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
韓国
16.1%
日本
18.5%
ブラジル
3.0%
台湾
4.9%
オランダ
10.1%
2010年
トルコ
59.6%
トルコのシェアが
圧倒的に高い。
韓国、日本とも
にシェアが高
まっているが、
韓国の方が高い
シェアを保有し
ている。
韓国が大きく
シェアを伸ばし
ているのに対し
て、日本はシェ
アを伸ばしてい
ない。
その他
19.5%
オランダ
0.1%
アメリカ
6.2%
中国
8.7%
南アフリカ
29.2%
2006年
日本
17.3%
その他
13.4%
2010年
韓国
40.2%
日本
28.4%
日本
26.6%
その他
11.0%
韓国
52.0%
その他
17.8%
アメリカ
4.2%
2011年
日本
17.2%
韓国
19.0%
韓国
41.6%
南アフリカ
トルコ
オランダ
4.5%
2011年
日本
17.4%
韓国
20%
その他
25.8%
その他
フランス
15.7%
0.2%
スウェーデン
0.3%
ロシア
0.4%
オランダ
12.9%
ブラジル
インドネシア
2007年
インドネシア
18%
韓国
25.3%
ロシア
16.6%
ドイツ
その他
1%
9%
中国
台湾
3%
0%
日本
49.6%
その他
24.4%
オランダ
7.8%
韓国
28.3%
その他
17.3%
オランダ
0.2%
日本
0.7% 韓国
0.7%
その他
8.9%
オランダ
3.9%
インド
39.6%
台湾
0.2%
韓国 ドイツ
3.2% 1.4%
中国
4.0%
中国
1.2%
ロシア
インド
日本 中国
その他
2.1% 1.4%
4.8%
アメリカ
4.8%
南アフリカ
19.2%
10
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.新興国における我が国ブランドシェア
4)電気機器
③カメラ
※Euromonitor International社資料を参考に船井総合研究所作成
※その他については企業名が判明していないブランドであり、上位国の企業のブランドである可能性もある。 その点で各国のシェアの
値は必ずしも正確な数値とはなっていない。
日本メーカーが各国で高いシェアを保有している。競合であるアメリカや韓国は国によってプレゼンスの高さが異なっている。
香港
2.0%
2006年
アメリカ
45.6%
アメリカ
25.5%
2011年
日本
65.7%
日本
35.9%
日本のシェアが
高まり、2011年
には日本が圧倒
的に高いシェア
を保有している。
日本とアメリカで
市場の9割を占
めている。
N/A
その他
15.3%
韓国
3.5%
その他
33.2%
2006年
米国
17.0%
日本
45.9%
コロンビア
7.7%
その他
34.3%
2006年
トルコ
46.9%
トルコ
39.0%
2011年
アメリカ
11.4%
日本
15.6%
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
アメリカ
9.6%
日本
17.2%
その他
韓国 9.4%
4.9%
その他
20.0%
韓国
4.5%
韓国
21.4%
2006年
南アフリカ
12.7%
アメリカ
14.6%
日本
48.1%
南アフリカ
14.8%
日本
55.6%
南アフリカ
トルコ
その他
26.1%
日本のシェアが
高く、さらに高
まっている。アメ
リカ、南アフリカ
メーカーのシェ
アが相対的に高
く、韓国メーカー
のシェアが相対
的に低い。
2011年
アメリカ
1.4%
ブラジル
18.3%
トルコのシェアが
高い。
日本
36.3%
ブラジル
インドネシア
日本が圧倒的に
高いシェアを保
有している。韓
国のシェアが高
まり、日本のシェ
アに迫っている。
N/A
ロシア
インド
韓国
1.0%
香港
その他
韓国
0.0%
2.9%
5.9%
その他
15.6%
アメリカ
15.3%
11
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
※Euromonitor International社資料を参考に船井総合研究所作成
※その他については企業名が判明していないブランドであり、上位国の企業のブランドである可能性もある。 その点で各国のシェアの
値は必ずしも正確な数値とはなっていない。
1.新興国における我が国ブランドシェア
5)紙製品全体
アメリカが各国で圧倒的なシェアを誇る中で、インドネシアにおいてのみ、日本企業が高いシェアを保有している。
シンガポール
マレーシア 1.0%
3.8%
インド
9.5%
日本 シンガポール
0.6%
2.0%
インド
14.5%
2006年
2011年
2006年
アメリカ
17.3%
香港
2.0%
シンガポール
3.9%
アメリカ
11.9%
アメリカ
42.6%
その他
イギリス
14.6%
0.1%
ドイツ フランス
0.1%
0.5%
イタリア
0.6%
ベルギー
6.7%
トルコ
26.2%
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
トルコ
32.2%
ドイツ イタリア
0.5% 0.1%
ベルギー
ポーランド 1.1%
日本のシェアが
高く、さらにその
比率は高まって
いる。アメリカの
シェアが低下し
ている。
アメリカが圧倒
的に高いシェア
を保有している
中、ブラジルの
シェアも高い。
ロシア
9.8%
2006年
アメリカ
43.0%
メキシコ
1.4%
ドイツ
0.2%
アメリカ
45.2%
アメリカのシェア
が高く、さらにそ
の比率は高まっ
ている。
その他
41.4%
2011年
アメリカ
48.6%
イギリス
15.0%
イギリス
12.9%
ドイツ
0.2%
2006年
アメリカ
47.2%
その他
18.0%
チリ スウェーデン
4.3% 0.3%
2011年
アメリカ
45.0%
ブラジル
32.2%
ブラジル
26.4%
欧米のシェアが
高く日本のシェ
アはデータ上現
れてこない。アメ
リカが圧倒的に
高いシェアを保
有している中、ト
ルコメーカーの
シェアも高い。
ポーランド
7.7%
ロシア
10.7%
その他
24.7%
チリ
0.1%
ベルギー
日本
1.0%
2.6%
2006年
アメリカ
38.6%
その他
28.7%
2011年
イギリス
2.8%
イギリス
南アフリカ
3.6%
16.4%
アメリカ
47.0%
南アフリカ
トルコ
1.4%
ベルギー
8.4%
2006年
2011年
日本
46.9%
その他
26.6%
6.0%
インドネシア
27.3%
インドネシア
30.5%
その他
インド 19.4%
0.1%
フランス
ドイツ 0.2%
イタリア
0.5%
イギリス1.2%
イギリス
0.1%
台湾
その他
0.2%
7.4%
その他
ドイツ 14.1%
0.3%
ブラジル
インドネシア
インド
0.3%
日本
32.0%
アメリカのシェア
が高く、イギリス
が第2位。
日本のシェアは
2.6%と低い。
アメリカ
70.5%
アメリカ
76.2%
イギリスその他
台湾 0.2% 10.8%
0.3% 香港
3.4%
シンガポール
5.5%
アメリカが圧倒
的に高いシェア
を保有している。
日本のシェアは
相対的に低い。
ロシア
インド
ドイツ
0.4%
香港
ドイツ
0.1%
その他
ポーランド0.3%
11.6%
0.4%
香港
0.3%その他
8.8%
南アフリカ
21.5%
12
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
1)全体の傾向
- 電子機器 -
産業別分類
■自社生産が多い産業とEMSが多い産業がある。
■生産拠点1カ国(中国)集中の産業と複数国(主にアジア)集中の産業と世界各国に分散している産業がある。
国・企業別分類
■自社生産比率が高い企業とEMSへの生産委託比率が高い企業がある。
日本企業特徴
■中国への生産集約型のノートPC、世界各国への生産拠点分散型のLCD TVにおいて、日本企業は日本生産の構成比が高い
■シェアが高いプリンターやデジタルスチルカメラ(DSC)において、日本企業は海外の自社工場で生産を行っている。
- ユニット部材(組立工程主体の部品) -
部材別特徴
■ユニット部材毎に、メーカーの自国拠点での生
産、メーカーの海外拠点での生産、EMSへの生
産委託の3つの方向性がある。
韓国企業の脅威
■大型LCDやリチオウムイオン二次電池につい
ては、かつては日本企業のシェアが高かったも
のの、TVや携帯電話の市場に強い韓国企業の
シェアが高くなっている。
台湾企業の脅威
■スイッチング電源については、かつて日本企業
のシェアが高かったところ、台湾企業のシェアが
大きく高まってきている。生産企業が中国に移転
している産業については、台湾企業のシェアが
高いという傾向を見ることができる。
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- 電子部品(本調査ではLEDに限定) -
日本企業強み
■日亜化学工業が白色LEDで世界No.1のシェア
を保有している。半導体世界No.1のIntel同様、
技術開発への注力とコア技術領域の自社生産
を行っている。
韓国企業脅威
■TV、携帯市場で高いシェアを保有する韓国企
業がLED分野でも高いシェアを保有するように
なっている。
中国生産拡大
■LEDの市場シェアを高めている韓国・台湾企業
が中国での生産を主体としているため、結果とし
てLEDの生産地シェアは中国が最も高い。
13
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
2)電気機器
①ノートPC・LCD
TV
ノートPCは生産集約型でEMSによって生産が行われている。LCDTVは生産分散型で、シェア上位以上は世界の自社工場で生産を行っている。
ノートPC
シェア上位メーカーはEMSに
生産委託をしている。EMSの
シェア上位企業は中国で生
産をしている。シェアの高い
アメリカブランドのノートPCを、
台湾メーカーが、中国の拠点
を活用して受託製造を行って
いる構図が明確に現れてい
る。生産集約型。
アメリカ, 1.0%
日本, 2.6% その他, 2.6%
中国 , 3.2%
その他,
23.4%
韓国, 4.6%
アメリカ,
40.0%
韓国, 3.3%
ブランド
中国, 9.3%
その他, 22%
韓国, 33%
オランダ, 4%
中国/香港
96.3%
台湾, 86.1%
台湾, 18.4%
LCD TV
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
トルコ 韓国 インドネシア
2%
2%
タイ 3%
3%
トルコ
3%
その他
シンガポール
オランダ 1%
1%
1%
台湾
17%
日本
28%
日本
6%
マレーシア
6%
ブランド
中国, 12%
マニュファクチャ
ラー
中国
22%
日本, 29%
出所:ディスプレイサーチ社資料を参考に船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
生産拠点
マニュファクチャ
ラー
日本, 5.6%
出所: Gartner “Global PC Market Share by Units Sold
“ Research Date: 8.24.2012 を参考に船井総研作成
シェア上位企業は、EMSおよ
び自社海外拠点を活用して、
幅広い国で生産を行っている。
一方でシェア上位企業以外
は、中国での生産に集約して
いる企業が多い。地産池消
の需要に対応するために上
位企業は生産拠点を分散し
て対応していることが現れて
いる。生産分散型。
マレーシア ベトナム
1.0%
0.2%
台湾
日本
0.1%
2.2%
韓国
27%
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
生産拠点
中国/香港
49%
中南米
12%
欧州
15%
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
14
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
2)電気機器
②携帯電話・デジタルカメラ
携帯電話は中国とインドに生産が集中する半生産集約型といえる。デジタルカメラは日本ブランドが高いシェアを持つが、主たる生産拠点は中国である。
携帯電話
韓国・中国・台湾・日本企業
は自社生産が多く、欧米企業
はEMSへの生産委託が多い。
シェア上位企業は中国・イン
ドを主要な生産拠点として世
界複数国で生産。半生産集
約型。
日本 台湾
3.1% 2.0%
イギリス
3.8% カナダ
3.6%
アメリカ
6.9%
中国
7.5%
イギリス カナダ
1%
アメリカ 2%
日本
3%
シンガポール 2%
台湾 4%
その他
5.5%
フィンランド
36.3%
ブランド
韓国
30%
4%
その他
6%
生産拠点
マニュファクチャ
ラー
中国
15%
フィンランド
25%
デジタルカメラ
シェア上位企業の多くがEMS
を活用。デジタル一眼レフカ
メラはいずれの企業も自社生
産のみ。日本が圧倒的なシェ
アを保有している。生産拠点
は中国が高い構成比を占め
る。生産集約型。
韓国
11%
日本
12%
中国
9%
マニュファクチャ
ラー
(デジタルスチル
カメラのみ)
日本
73%
日本
47%
台湾
31%
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニクス市場総 出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
調査2011」を参考に船井総研作成
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
マレーシア
中南米 韓国
3% ベトナム 1%
0%
インドネシア
2%
5%
その他
香港
韓国 4% 2%
7%
ブランド
中国/香港
60%
インド
15%
出所:富士キメラ総研「2011次世代携帯電話端末とキーデ 出所:富士キメラ総研「2011次世代携帯電話端末とキーデ
バイス市場の将来展望」を参考に船井総研作成
バイス市場の将来展望」を参考に船井総研作成
その他
アメリカ 7%
9%
その他
1%
8%
ルクセンブルク
8%
韓国
31.5%
日本
欧州
1%
3% ベトナム
3%
台湾
5%
中南米
4%
韓国
生産拠点
(デジタルスチルカ
メラのみ)
中国/香港
77%
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
15
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
2)電気機器
③プリンター
日本ブランドが高いシェアをもち、日本のマニュファクチャラーは、アジア複数拠点の自社工場で生産を行っている。
プリンター
日本は自社生産、アメリカは
EMS生産と明確に施策が分
かれている。ただし、日本も
アメリカも生産拠点はアジア
各国に分散している。生産拠
点が分散しているわけではな
いが、一カ国各国に集中して
いるわけでもない、半生産集
約型。
その他
14%
韓国
5%
韓国
2%
シンガポール フィリピン
2%
インドネシア3%
その他 カナダ
2%
1%
台湾
1%
マレーシア
7%
韓国
6%
日本
41%
ブランド
9%
アメリカ
9%
マニュファクチャ
ラー
シンガポール
11%
タイ
12%
日本
63%
アメリカ
40%
出所::IDC Worldwide Quarterly Hardcopy Peripherals
Tracker, February 2012 を参考に船井総研作成
中国/香港
39%
生産拠点
ベトナム
16%
マレーシア
17%
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニク
ス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
※ブランドシェアに関しては、インクジェットプリンタ、マルチマンクションプリンタ、レーザービームプリンタ、
の全てを含んだ出荷台数ベースで算出されている。
1)インクジェットプリンタ(IJP)が全台数の66%を 占める
2) モノクロレーザービームプリンター(モノクロLBP)が全台数の25%を占める。
3) カラーレザービームプリンター(カラーLBP)が全台数の7%を占める。
4) マルチファンクションプリンタ(MFP)が全台数の6%を占める
※マニュファクチャラーシェアと生産拠点シェアについてはインクジェットプリンターに限定して算出している。
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16
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
3)ユニット部材
① LCD (TFT)
基本的に自国の自社拠点で生産しているが、EMSが中小型を中心にLCD生産に参入。その結果、中小型TFTは台湾と中国生産が約半数を占めるに至っている。
大型TFT
大型TFTはいずれのメーカー
も自社で生産。かつ生産地も
自国の拠点である。かつては
日本メーカーが高いシェアを
保有していたが、今は日本
メーカーのシェアが大きく低
下し、韓国メーカーと台湾
メーカーでシェア9割弱を占め
ている。中国メーカーのプレ
ゼンスが高まっている。
China Star
BOE 2%
5%
シャープ
7%
2012年Q3
メーカー別
出荷シェア
(企業)
AUO
15%
Chimei Innolux
15%
中国
9%
LG Display
28%
Samsung
24%
台湾
30%
シンガポー
ル
日本 中国/香港 0%
5%
6%
その他
日本 2%
8%
2012年Q3
メーカー別
出荷シェア
(国)
韓国
51%
台湾
40%
2010年
生産拠点
構成比
韓国
49%
中小型TFT
中・小型TFTは日韓メーカー
ともに自社で生産。ただし台
湾EMSが多く参入しているた
め生産拠点構成比で見ると、
台湾と中国の構成比が高くな
る。日本メーカーは上位10社
のうち4社を占め、さらにいず
れも日本で生産しているため、
日本は生産拠点構成比が高
い。
その他
20%
Truly
3%
Tianma
3%
日立
4%
ソニー
4%
AUO
6%
2012年1Q
メーカー別
出荷シェア
(企業)
その他
20%
Sumsung
Mobile
23%
韓国
34%
中国
6%
シャープ
12%
LG Display
東芝
Chimei Innolux 10%
7%
8%
中国/香港
16%
台湾
13%
2012年Q1
メーカー別
出荷シェア
(国)
日本
27%
韓国
23%
2010年
生産拠点
構成比
台湾
34%
日本
27%
出所:出荷シェアはNPDディスプレイサーチ(Electronic Journal誌より抜粋) 生産拠点構成比は:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
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17
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
3)ユニット部材
②
タッチパネル・キーボード
タッチパネル・キーボードともに台湾メーカーが高いシェアを保有。タッチパネルは台湾拠点に集約、キーボードは中国での生産という傾向がある。
タッチパネル
かつて日本企業のシェアが
圧倒的に高かったが、今は
台湾企業が圧倒的に高い
シェアを保有している。いず
れのメーカーも自国の自社
拠点で製造しているためシェ
アの高い台湾企業が存在し
ている台湾に生産拠点が集
約している。
アルプス電気
(日本)
ソニー(日本)
1%
JTOUCH(台
2% SWENC(台
WINTEK(台
湾)
湾)
湾)
2%
1%
SAMSUNG(韓
21%
オプトレックス
国)
(日本)
6%
2%
YOUNG FAST(
2010年
台湾)
メーカー別
8%
TPK TOUCH(
MELFAS(韓
生産シェア
台湾)
国)
(企業)
19%
10%
CMI(台湾)
11%
その他
9%
韓国
16%
韓国
15%
日本
18%
2010年
メーカー別
生産シェア
(国)
台湾
58%
外資その他
14%
ミネベア(日
本)
3%
LITE ON(台
湾)
14%
日本
20%
2010年
生産拠点
構成比
台湾
63%
日本写真印刷
13%
キーボード
台湾EMSが圧倒的なシェア
を保有するにいたっており、
その生産拠点はほとんど中
国となっている。日本メー
カーも8%のシェアを維持する
ことができているが、実際日
本での生産はわずかしか行
われていない。
中国/香港
1%
CHICONY(台
湾)
27%
2010年
メーカー別
生産シェア
(企業)
DARFON(台
湾)
17%
SUNREX(台
湾)
20%
タイ
0%
韓国
0%
日本
8%
マレーシア 韓国 日本
0% 0%
2%
その他
14%
2010年
メーカー別
生産シェア
(国)
タイ
0%
2010年
生産拠点
構成比
台湾
78%
中国/香港
98%
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
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18
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
3)ユニット部材
③
ハードディスク・ドライブ(HDD)・マザーボード
HDDは上位企業が世界2~3拠点で生産を行う生産拠点半集約型。マザーボードについては台湾EMSが中国で生産を行う構造になっている。
HDD
アメリカメーカーが圧倒的に
高いシェアを保有しており、
日本メーカーが続いている。
タイ・中国・マレーシアに生産
が集約しているが、上位メー
カーが複数国に生産拠点を
保有しているためである。半
生産集約型であるといえる。
SAMSUNG EL
SAE
(韓国)
MAGNETICS
3%
(TDK/日本)
6%
東芝(日本)
10%
日立GST
(日本)
18%
2010年
メーカー別
生産シェア
(企業)
シンガポール
フィリピン 4%
韓国
3%
Western
Digital
(アメリカ)
32%
日本
34%
2010年
メーカー別
生産シェア
(国)
7%
マレーシア
19%
アメリカ
63%
Seagate
Technology
(アメリカ)
31%
マザーボード
台湾のEMSが圧倒的なシェ
アを保有している(FOXCON
Nは台湾企業Hon Haiの中
国子会社であるため中国企
業として表示してある)。生産
拠点は中国に集約している。
米国INTELが自社拠点での
生産を行っている。
LITE ON
(台湾)
0%
MITAC(台湾)
INTEL
2%
WISTRON (アメリカ)
(台湾)
2%
2010年
7% ELITE
メーカー別
(台湾)
生産シェア
7%
タイ
44%
中国/香港
26%
ASUSTEK
(台湾)
30%
(企業)
GIGA BYTE
(台湾)
10% MICRO STAR
(台湾)
12%
2010年
生産拠点
構成比
FOXCONN
(中国)
21%
アメリカ
2%
中国
22%
その他
5%
北米
3%
2010年
メーカー別
生産シェア
(国)
台湾
2%
2010年
生産拠点
構成比
台湾
71%
中国/香港
95%
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
19
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
3)ユニット部材
④
リチウムイオン二次電池セル・スイッチング電源
日本が高いシェアを保有している中、リチウムイオン二次電池セルでは韓国、スイッチング電源では台湾がシェアを高めている。生産拠点として中国の構成比が高い。
リチウムイオン二次電池セル
日本が高いシェアを保有する
中、韓国企業がシェアを高め
ている。日本メーカー、韓国
メーカーともに、自国生産と
並行して中国での生産を行っ
ているため、生産拠点として
は中国の構成比が高まって
いる。
BYD
(中国)
9%
パナソニックエ
ナジー
(日本)
12%
ソニー
(日本)
13%
日立マクセル
(日本)
2%
2010年
メーカー別
生産シェア
(企業)
SAMSUNG
(韓国)
23%
三洋電機
(日本)
23%
中国
9%
アメリカ
1%
その他
2%
シンガポール
2%
韓国
28%
韓国
37%
2010年
メーカー別
生産シェア
(国)
日本
51%
中国/香港
30%
LG化学(韓国)
15%
スイッチング電源
かつて日本メーカーが圧倒
的なシェアを保有していたが、
台湾メーカーが日本に匹敵
するシェアを保有するに至っ
ている。日本メーカーも生産
拠点を中国に移転しているた
め、生産拠点としては中国が
約8割を占めるに至っている。
2010年
生産拠点
構成比
日本
40%
DELTA(台湾)
11%
SALCOMP
外資その他
(中国)
外資その他
10%
35%
36%
2010年 ASTEC(台湾)
2010年
6% ミツミ電機
メーカー別
メーカー別
SHINTECH
生産シェア
生産シェア
(日本)
(香港)
アメリカ
5%
田淵電機(企業) 3%
(国)
1%
日系その他 (日本)
タムラ製作所
香港
TDKラムダ
1%
4%
シンガポール
(日本)
3%
(日本)
3%
1%
パナソニック
2%
中国
十和田オーディ 村田製作所
(日本) オ(日本)
(日本)
12%
1%
2%
2%
日本
25%
シンガポール ベトナム
フィリピン
1% 北米 0%
1%
マレーシア
インド 韓国1%
2% 欧州 1%
0%
台湾
日本
2%
タイ
1% インドネシア
4%
1%
3%
2010年
中南米
4%
生産拠点
構成比
台湾
23%
中国/香港
79%
出所:富士キメラ総研「ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
20
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.電気機器・部材に見るブランドと生産地の関係
4)白色LED
日亜化学工業が日本生産にこだわり続け、No.1シェアを維持し続けている。末端市場(TV・携帯など)でシェアを持つ韓国企業のプレゼンスが脅威。
豊田合成
2%
LEXTAR
2%
シチズン電子
3%
シャープ
3%
HONGLI OPTOELECTRONIC
4%
OSRAM OPT
SEMICONDUCTORS
4%
AOT
5%
LITE-ON
5%
ドイツ
5%
アメリカ
その他 6%
日系その他
0%
日亜化学工業
18%
韓国
30%
6%
2010年
メーカー別
生産シェア
(企業)
中国
7%
Samsung LED
17%
台湾
18%
SEOUL
SEMICONDUCTOR
CREE
LG INNOTEK 7%
6% EVERLIGHT
6%
6%
タイ 北米 欧州
2% 0% 0%
台湾
9%
オランダ
0%
2010年
メーカー別
生産シェア
(国)
マレーシア
12%
中国/香港
33%
2010年
生産拠点
構成比
韓国
17%
日本
27%
日本
28%
韓国・欧州メーカーの生産領域
化合物半導体基板
エピウエハ
日亜化学工業を始めとする日本メーカーの
生産領域
■原材料から一貫生産
■日本での生産にこだわる
■技術開発で他社に先行
LEDチップ
LEDパッケージ
【LEDチップ】
日亜化学工業/豊田合成/
Epistar/Cree
【蛍光体】
日亜化学工業/Osram
【LEDパッケージ】
日亜化学工業/シチズン電
子/豊田合成/昭和電工/
Osram/Samsung LED/
Seoul Semiconductor/LG
Innotek/Everlight/Lite-on
LEDモジュール/
アプリケーション
出所;富士キメラ総研『有望電子部品材料調査総覧(グリーンデバイス編)」および「ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査2011」を参考に船井総研作成
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21
Ⅱ
新興国における企業のプレゼンス
新興国市場開拓にかかる調査・分析
3.第Ⅱ章まとめ
第Ⅱ章分析から導かれるファクト
■ 日本企業の最終製品は、アジアでは高いシェアを保有しているが、
トルコ、ロシア、ブラジル、南アフリカでは多くの産業で相対的に
シェアが低い。
取り組みの指針
アジア以外の新興国でも競争力を高めるための
施策が必要。
■ 地場メーカーのシェアが高い産業と、ある国のシェアがどの地域
においても一定程度存在している産業がある。
■ 電気機器のサプライチェーンを見た場合、生産地集約型の産業
と生産地分散型の産業に分かれる。
■ 生産地集約型の産業において日本企業の製品が台湾企業が生
産する製品にシェアを奪われる傾向があり、その傾向はユニット
部材にも波及してきている。
地産地消型の産業と、生産地集約型の産業との
間の産業構造の違いから、サプライチェーン施策
を含め、各国でのシェアを高めるための取組が異
なることが想定される。
■ LCD TVの生産地としては、中国・欧州・中南米の構成比が高く、
生産地分散が需要地に基づいて発生していることが推察できる。
■ LEDにおいては、日本のトップ企業が圧倒的に高いシェアを保有
しつづけており、国内生産を続けている。
産業毎の特性を把握して、生産地の強みをどの
ように発揮していくかを検討する必要がある。
【※(参考)企業インタビューから導かれる日本企業の強みと課題】
■海外市場で高いプレゼンスを発揮している日本企業にインタビューをした結果、①分野を絞り、当該分野のグローバル情報を詳細に把握してい
ること、②技術開発と自社技術の保護に注力していること、③各国でのサービス体制を強化していること④若手のグローバル人材育成に注力して
いることが共通点として見られた。
■一方で課題として、電気代をはじめとするインフラ面、末端製品における日本企業のシェア低下の影響、ドイツメーカーと比べた日本の下請け
メーカーの主導権の欠如、日本メーカーの対応スピードの遅さ(不良品交換よりも歩留まり改善に注力)などがあげられた。
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22
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
1)まとめ
【韓国の政府支援枠組み】
Ⅰ) KOTRA、韓国輸出入銀行、K-sureの各政府機関の連携した取り組み
K-sureが与信調査でKOTRAを活用していること、K-sureが韓国輸出入銀行の融
資を保証していることなど、各政府機関同士で機能を補い合って韓国企業の支援
を行っている。
Ⅱ) 企業の自助を前提とした支援策
KOTRAの有料支援サービス、輸出入銀行の保証融資、SMBAの人材育成など
中小企業が積極的に活用しようとしない限りは、活用できない枠組みとなっている。
政府の中小企業支援の意味は、企業の保護ではなく、みずから成長しようとする
企業に機会を与えるという意味が強いことを感じる。
Ⅲ) 政策と政府機関との役割の一致
貿易2兆ドル飛躍戦略に定められた項目は、いずれかの政府機関が機能を担う
ことができるようになっている。政策実現のために政府機関の役割が明確となっ
ている。
Ⅳ) 中小企業育成における課題
輸出入銀行にしても、K-sureにしても、大企業支援が中心である。いずれの政府
機関も、中小企業への支援枠組みを持ちながらも、中小企業の育成面での課題
を抱えている。韓国の大企業への経済集中の構造から、中小企業がプレゼンスを
高めることができる構造に移していくことが、韓国経済の競争力を高めるための
命題でありながらも、十分には実現されてはいない。
【韓国の民間協会・団体の支援枠組み】
Ⅰ)協会・団体の役割として、会員企業の国際競争力の強化を掲げている。
展示会やマッチングイベントを積極的に開催することで、韓国企業と海外企業との
ビジネス機会の創出を行っている。またそのために必要に応じて政府からの間接
的な資金補助を受けている。
Ⅱ)業界の情報や統計情報を収集し、韓国企業および海外企業に対する情報提
供を行っている。
Ⅲ)民間企業と政府機関との橋渡し役となっている。
Ⅳ)いずれの協会・団体も、韓国企業の国際的な競争力が日本企業よりも劣って
いるという見解のもと、競争力強化のための取り組みを模索している。
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韓国政府支援機関の特徴
【KOTRA】
■韓国国内ではなく、海外でのサポートに重点を置いている。
■主として中小企業を対象とした支援枠組みでの取り組みを行っている。
■有料でのサービスを提供しているが、利益を追求するのではなく、あくまで中小企
業にとって段階的な支援を受けるための支援の枠組みとして、民間調査会社と
は棲み分けがなされている。
■個別支援だけでなく、KOTRAネットワークの枠組みを活用した実践的な支援を
行っており、さらに、ネットワークだけでなく、KOTRAのスタッフが市場調査のノ
ウハウを保有している。
【韓国輸出入銀行】
■輸出金融が実行額において高い割合を占めており、大企業向けは個別案件毎
の実行、中小企業向けは包括的輸出金融が多い。
■件数ベースでは中小企業向けが多いが、金額ベースでは圧倒的に大企業向け
が多い。
■輸出のために韓国企業が製品を生産するために必要な資金についての融資も
行っている。
■Korean Hidden Champion Initiativeという競争力をもつ中堅・中小企業のグローバ
ル展開をサポートする特別なプログラムを実施している。
【K-sure】
■与信のための信用調査や中小企業が輸出を行う上での融資への保証など中小
企業向けの支援を強化している。
■大企業向けの融資が中心となっており、新興国向け保証枠が大きい(K-sureへの
インタビューより)。これは、韓国政府の政策を反映している。また大企業が海外
に出て、韓国の中小企業と取組むことを奨励する枠組みがある。具体的には、
韓国の大企業が韓国の中小企業の原材料を使う場合は、保証率を高くするなど
の支援を行っている。その結果、大企業が進出している先に中小企業が進出す
る事例も多くなってきている。
■政府が新興国進出支援の政策を明確に打ち出しているため、それにしたがって、
K-sureも保証を行っている。その結果、新興国に対して投資する枠が日本より
も大きくなっている。
23
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
2)マクロ市況
韓国はリーマンショック後においても現地通貨ベースで輸出金額が継続して増加している。
【単位:100万ドル】
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
韓国名
575,900 643,600 722,400 844,700 951,100 1,049,300 930,900 834,400 1,014,700 1,116,400
目GDP
日本名
3,980,820 4,302,940 4,655,820 4,571,870 4,356,750 4,356,350 4,849,190 5,035,140 5,488,550 5,866,540
目GDP
韓国輸
162,471 193,817 253,845 284,419 325,465 371,489 422,007 363,534 466,384 555,214
出金額
日本 輸
415,900 469,900 565,000 598,200 647,300 712,700 775,900 580,800 767,000 820,800
出金額
日韓輸出金額推移(単位:100万ドル)
900,000
800,000
700,000
600,000
500,000
400,000
300,000
200,000
100,000
0
80.0%
70.0%
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
0.0%
日韓名目GDP推移比較(単位:100万ドル)
7,000,000
円高
6,000,000
5,000,000
4,000,000
3,000,000
2,000,000
1,000,000
ウォン安
0
2002年2003年2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年
韓国名目GDP
日本名目GDP
韓国一人あたりGDP(右軸:ドル)
日本一人あたりGDP(右軸:ドル)
50,000
45,000
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
韓国
日本
韓国/日本(右軸)
輸出金額の推移(現地通貨換算)
【単位:百万円】
700,000,000
【単位:百万ウォン】
90,000,000
80,000,000
70,000,000
60,000,000
50,000,000
40,000,000
30,000,000
20,000,000
10,000,000
0
600,000,000
500,000,000
400,000,000
300,000,000
200,000,000
100,000,000
0
韓国(左軸)
日本(右軸)
出所:JETROホームページ「基礎的経済指標」より船井総研作成
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24
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
3)輸出の状況
①相手国別輸出金額推移
新興国向け輸出金額が拡大しており、特にベトナム、インドネシア、ブラジル向け輸出金額の伸びが大きい。
【単位:100万ドル】
2007
2008
2009
2010
2011
2012
国
金額 構成比(%) 金額 構成比(%) 伸び率(%) 金額 構成比(%) 伸び率(%) 金額 構成比(%) 伸び率(%) 金額 構成比(%) 伸び率(%) 金額 構成比(%) 伸び率(%)
81,985
22.1 91,389
21.7
11.5 86,703
23.9
-5.1 116,838
25.1
34.8 134,185
24.2
14.8 134,331
24.5
0.1
Pr.China
45,766
12.3 46,377
11.0
1.3 37,650
10.4
-18.8 49,816
10.7
32.3 56,208
10.1
12.8 58,524
10.7
4.1
U.S.A
26,370
7.1 28,252
6.7
7.1 21,771
6.0
-22.9 28,176
6.0
29.4 39,680
7.1
40.8 38,850
7.1
-2.1
Japan
18,654
5.0
19,772
4.7
6.0
19,661
5.4
-0.6
25,294
5.4
28.7
30,968
5.6
22.4
32,609
5.9
5.3
Hong Kong
11,949
3.2 16,293
3.9
36.3 13,617
3.7
-16.4 15,244
3.3
11.9 20,839
3.8
36.7 22,892
4.2
9.9
Singapore
5,760
1.6 7,805
1.8
35.5 7,149
2.0
-8.4 9,652
2.1
35.0 13,465
2.4
39.5 15,954
2.9
18.5
Viet Nam
13,027
3.5
11,462
2.7
-12.0
9,501
2.6
-17.1
14,830
3.2
56.1
18,206
3.3
22.8
14,819
2.7
-18.6
Taiwan
5,771
1.6 7,934
1.9
37.5 6,000
1.7
-24.4 8,897
1.9
48.3 13,564
2.4
52.5 13,946
2.5
2.8
Indonesia
6,600
1.8 8,977
2.1
36.0 8,013
2.2
-10.7 11,435
2.5
42.7 12,654
2.3
10.7 11,921
2.2
-5.8
India
8,088
2.2 9,748
2.3
20.5 4,194
1.2
-57.0 7,760
1.7
85.0 10,305
1.9
32.8 11,099
2.0
7.7
Russia
3,487
0.9
5,926
1.4
69.9
5,311
1.5
-10.4
7,753
1.7
46.0
11,821
2.1
52.5
10,288
1.9
-13.0
Brazil
4,691
1.3 5,171
1.2
10.2 5,243
1.4
1.4 6,642
1.4
26.7 8,164
1.5
22.9 9,269
1.7
13.5
Australia
1.1 5,253
1.2
30.5 3,857
1.1
-26.6 4,557
1.0
18.2 6,964
1.3
52.8 9,122
1.7
31.0
Saudi Arabia 4,026
7,482
2.0 9,090
2.2
21.5 7,133
2.0
-21.5 8,846
1.9
24.0 9,729
1.8
10.0 9,041
1.6
-7.1
Mexico
4,420
1.2
5,016
1.2
13.5
4,567
1.3
-9.0
5,838
1.3
27.8
7,339
1.3
25.7
8,229
1.5
12.1
Philippines
4,488
1.2 5,779
1.4
28.8 4,528
1.2
-21.6 6,460
1.4
42.7 8,459
1.5
30.9 8,217
1.5
-2.9
Thailand
5,704
1.5 5,794
1.4
1.6 4,325
1.2
-25.4 6,115
1.3
41.4 6,275
1.1
2.6 7,803
1.4
24.3
Malaysia
11,543
3.1
10,523
2.5
-8.8
8,821
2.4
-16.2
10,702
2.3
21.3
9,501
1.7
-11.2
7,511
1.4
-20.9
Germany
3,705
1.0 5,749
1.4
55.2 4,978
1.4
-13.4 5,487
1.2
10.2 7,268
1.3
32.5 6,852
1.3
-5.7
U.A.E.
97,971
26.4 115,697
27.4
1.2 100,511
27.6
-13.1 116,043
24.9
15.5 129,619
23.3
11.7 116,799
21.3
-9.9
その他
合計
371,489
100.0 422,007
100.0
13.6 363,534
100.0
-13.9 466,384
100.0
28.3 555,214
100.0
19.0 548,076
100.0
-1.3
出所:韓国貿易協会(KITA)データベースより船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
25
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
3)輸出の状況
②新興国向け輸出構成比の拡大
2002年から2012年にかけて、輸出金額が約3.3倍となり、特に新興国向け輸出構成比が高まっている。
【単位:100万ドル】
Country
2012年構成比
金額
2002年構成比
構成比
金額
構成比
Pr.China
15%
134,331
24.5%
23,754
14.6%
Hong Kong
32,609
5.9%
10,146
6.2%
Singapore
22,892
4.2%
4,222
Viet Nam
15,954
2.9%
2,240
Taiwan
14,819
2.7%
6,632
Indonesia
13,946
2.5%
3,145
Hong Kong
6%
Taiwan
2002年
2.6%
162,471百万ドル 4%
Singapore
1.4% 新興国以外計
3%
60%
4.1%
Malaysia
2%
1.9%
India
11,921
2.2%
1,384
0.9%
Russia
11,099
2.0%
1,066
0.7%
Brazil
10,288
1.9%
1,247
0.8%
Mexico
9,041
1.6%
2,231
1.4%
Philippines
8,229
1.5%
2,950
1.8%
Thailand
8,217
1.5%
2,335
1.4%
Malaysia
7,803
1.4%
3,218
2.0%
Turkey
4,552
0.8%
866
0.5%
新興国計
305,701
55.8%
65,435
40.3%
新興国以外計
242,374
44.2%
97,036
59.7%
Total
548,076
100.0%
162,471
100.0%
Pr.China
Pr.China
25%
新興国以外計
44%
2012年
548,076百万ドル
Hong Kong
6%
Viet Nam Singapore
4%
3%
Indonesia
3% Taiwan
3%
出所:韓国貿易協会(KITA)データベースより船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
26
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
3)輸出の状況
③産業別輸出構成比
電気関連・機械関連に関しては中国向け輸出金額が大きく、自動車関連についてはアメリカ向け輸出金額が大きい。
【単位:100万ドル】
Ran
k
HSK
Code
1
85
2
87
3
84
4
27
5
89
6
7
Commodity
ELECTRICAL MACHINERY AND EQUIPMENT AND
PARTS THERE
VEHICLES OTHER THAN RAILWAY OR TRAMWAY
ROLLING-STO
NUCLEAR REACTORS, BOILERS, MACHINERY ,AND
MECHANIC
MINERAL FUELS.MINERAL OILS, BITUMINOUS
SUBSTANCES,
Value
2012
Inc.
構成比
Rate
119,098
0.5
21.7%
70,082
4.4
12.8%
58,970
-1.2
10.8%
57,653
8.6
10.5%
SHIPS, BOATS AND FLOATING STRUCTURES
37,824
-30.1
6.9%
90
Optical, photographic, cinematographic, measuring,
37,619
3.1
6.9%
39
PLASTICS AND ARTICLES THEREOF
28,406
2.5
5.2%
8
9
10
72
29
73
IRON AND STEEL
ORGANIC CHEMICALS
ARTICLES OF IRON OR STEEL
25,393
23,281
12,469
-7.9
3.6
6.7
4.6%
4.2%
2.3%
11
40
RUBBER AND ARTICLES THEREOF
9,341
1.4
1.7%
12
71
6,451
1.9
1.2%
13
74
PEARLS, PRECIOUS OR SEMI-PRECIOUS STONES,
PRECIOUS
COPPER AND ARTICLES THEREOF
4,570
-8.9
0.8%
14
60
KNITTED OR CROCHETED FABRICS
4,070
-3.9
0.7%
15
54
MAN-MADE FILAMENTS
3,453
-2
0.6%
16
38
MISCELLANEOUS CHEMICAL PRODUCTS
3,245
-9
0.6%
17
28
INORGANIC CHEMICALS, COMPOUNDS OF PRECIOUS
METALS.
3,161
-24.8
0.6%
18
48
PAPER AND PAPERBOARD,ARTICLESOF PAPER
PULP,OF PAPE
3,018
-6
0.6%
19
76
ALUMINIUM AND ARTICLES THEREOF
2,559
-5.2
0.5%
合計
548,076
-1.3 100.0%
出所:韓国貿易協会(KITA)データベースより船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
その他
19%
Mexico
Pr.China
2% Brazil
33%
2%
Philippines
HSK CODE85
2%
(電気関連)
Taiwan
3% 輸出相手国構成比
Viet Nam
(2012年)
5%
Singapore
5%
Hong Kong
Japan
14%
U.S.A
6%
9%
Mexico
India
Germany 3%
4%
Brazil4%
5%
Canada
6%
HSK CODE87
Saudi Arabia
(自動車関連)
6%
Australia
6%
輸出相手国構成比
(2012年)
Russia
13%
Pr.China
14%
Pr.China
23%
U.S.A
39%
その他
36%
HSK CODE84
(機械関連)
輸出相手国構成比
Iran
(2012年)
U.S.A
15%
Japan
2%
6%
Russia Indonesia
Viet Nam
2%
4%
2%
India
Saudi Arabia
3%
Thailand
5%
2%
27
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
4)直接投資の状況
①相手国別直接投資金額推移
直接投資は2007年から大きく増加。特に、インドネシア向けとブラジル向けが2010年、2011年に大きく増えている。
直接投資額推移
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
0
【単位:100万ドル】
韓国直接投資金額国別構成比
合計
U.S.A.
China
Australia
Canada
Hong Kong
U.K.
Indonesia
Brazil
Vietnam
Singapore
Netherlands
Thailand
India
Myanmar
その他
2005年
金額
構成比
7,203
100.0%
1,259
17.5%
2,818
39.1%
106
1.5%
35
0.5%
377
5.2%
69
1.0%
107
1.5%
174
2.4%
319
4.4%
126
1.7%
15
0.2%
51
0.7%
91
1.3%
1
0.0%
1,655
23.0%
2006年
金額
構成比
11,739
100.0%
1,885
16.1%
3,439
29.3%
133
1.1%
391
3.3%
857
7.3%
69
0.6%
161
1.4%
110
0.9%
594
5.1%
304
2.6%
141
1.2%
75
0.6%
99
0.8%
0.0%
3,481
29.7%
2007年
金額
構成比
22,231
100.0%
3,604
16.2%
5,268
23.7%
143
0.6%
145
0.7%
1,867
8.4%
175
0.8%
258
1.2%
265
1.2%
1,298
5.8%
516
2.3%
661
3.0%
142
0.6%
294
1.3%
1
0.0%
7,594
34.2%
2008年
金額
構成比
23,817
100.0%
5,090
21.4%
3,764
15.8%
580
2.4%
166
0.7%
2,589
10.9%
189
0.8%
486
2.0%
635
2.7%
1,366
5.7%
606
2.5%
664
2.8%
91
0.4%
189
0.8%
36
0.2%
7,366
30.9%
2009年
金額
構成比
20,327
100.0%
3,563
17.5%
2,169
10.7%
266
1.3%
2,434
12.0%
1,565
7.7%
1,710
8.4%
334
1.6%
132
0.6%
605
3.0%
273
1.3%
1,057
5.2%
30
0.1%
241
1.2%
351
1.7%
5,596
27.5%
2010年
金額
構成比
24,211
100.0%
3,368
13.9%
3,619
14.9%
563
2.3%
1,231
5.1%
1,176
4.9%
3,280
13.5%
878
3.6%
1,064
4.4%
837
3.5%
402
1.7%
682
2.8%
81
0.3%
199
0.8%
197
0.8%
6,633
27.4%
2011年
金額
構成比
25,571
100.0%
5,874
23.0%
3,571
14.0%
1,352
5.3%
1,320
5.2%
1,306
5.1%
1,243
4.9%
1,200
4.7%
1,113
4.4%
1,024
4.0%
904
3.5%
751
2.9%
578
2.3%
440
1.7%
422
1.7%
4,471
17.5%
出所:韓国輸出入銀行(Korea Eximbank)データベースより船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
28
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
4)直接投資の状況
②日韓直接投資対象エリア構成比比較
韓国はアジアへの直接投資の構成比が日本よりも高い。
韓国直接投資エリア別構成比
【単位:100万ドル】
2005年
金額
2006年
構成比
金額
2007年
構成比
金額
2008年
構成比
金額
2009年
構成比
金額
2010年
構成比
金額
2011年
構成比
金額
構成比
合計
7,203
100.0%
11,739
100.0%
22,231
100.0%
23,817
100.0%
20,327
100.0%
24,211
100.0%
25,571
100.0%
アジア
40.8%
4,276
59.4%
6,349
54.1%
11,592
52.1%
11,692
49.1%
6,678
32.9%
9,890
40.9%
10,421
中東
132
1.8%
398
3.4%
369
1.7%
287
1.2%
360
1.8%
396
1.6%
357
1.4%
北米
1,294
18.0%
2,276
19.4%
3,749
16.9%
5,255
22.1%
5,998
29.5%
4,601
19.0%
7,196
28.1%
中南米
559
7.8%
1,085
9.2%
1,295
5.8%
2,102
8.8%
1,041
5.1%
2,138
8.8%
2,257
8.8%
欧州
657
9.1%
1,231
10.5%
4,445
20.0%
3,389
14.2%
5,327
26.2%
6,117
25.3%
3,524
13.8%
アフリカ
130
1.8%
207
1.8%
239
1.1%
320
1.3%
374
1.8%
291
1.2%
372
1.5%
オセアニア
154
2.1%
193
1.6%
543
2.4%
771
3.2%
549
2.7%
778
3.2%
1,446
5.7%
出所:韓国輸出入銀行(Korea Eximbank)データベースより船井総研作成
日本直接投資エリア別・国別構成比
【単位:億円】
2005年
金額
2006年
構成比
金額
2007年
構成比
金額
2008年
構成比
金額
2009年
構成比
金額
2010年
構成比
金額
2011年
構成比
金額
構成比
合計
50,459
100.0%
58,459
100.0%
86,607
100.0%
132,320
100.0%
69,896
100.0%
49,388
100.0%
91,262
100.0%
アジア
17,980
35.6%
20,005
34.2%
22,826
26.4%
23,790
18.0%
19,427
27.8%
19,035
38.5%
31,209
34.2%
北米
14,788
29.3%
11,862
20.3%
20,462
23.6%
46,045
34.8%
10,207
14.6%
7,810
15.8%
11,879
13.0%
中南米
7,032
13.9%
2,990
5.1%
11,158
12.9%
29,970
22.6%
16,272
23.3%
4,794
9.7%
8,786
9.6%
欧州
9,015
17.9%
21,423
36.6%
24,882
28.7%
23,551
17.8%
16,680
23.9%
12,781
25.9%
31,437
34.4%
中東
620
1.2%
281
0.5%
1,136
1.3%
1,184
0.9%
539
0.8%
365
0.7%
574
0.6%
23
0.0%
1,047
1.8%
1,285
1.5%
1,592
1.2%
258
0.4%
316
0.6%
378
0.4%
アフリカ
出所:財務省対外直接投資の総括表より船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
29
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
4)直接投資の状況
③韓国直接投資産業別構成比
直接投資は件数ベースでも金額ベースでも製造業が最も高い構成比を占めている。
韓国直接投資産業別構成比
合計
Agriculture, forestry and fishing
Mining and quarrying
Manufacturing
Electricity, gas, steam and water supply
Sewerage, waste management, materials
recovery and remediation activities
Construction
Wholesale and retail trade
Transportation
Accommodation and food service activities
Information and communications
Financial and insurance activities
Real estate activities and renting and leasing
Professional, scientific and technical
activities
Business facilities management and business
support services
Public administration and denfence ;
compulsory social security
Education
Human health and social work activities
Arts, sports and recreation related services
Membership organizations, repair and other
personal services
N/A
【金額単位:1000ドル】
Number of
Acceptance
Number of New
Overseas
Enterprises
数
構成比
7,721 100.0%
133
1.7%
251
3.3%
3,540
45.8%
88
1.1%
数
2,743
38
48
1,060
20
Accepted Amount
構成比
金額
構成比
100.0% 44,466,998 100.0%
1.4%
245,346
0.6%
1.7% 20,368,223
45.8%
38.6% 10,058,235
22.6%
0.7%
643,973
1.4%
Number of
Remittance
数
12,839
267
1,010
5,997
128
2011年新規海外設立会社数構成比
Invested Amount
構成比
金額
構成比
100.0% 25,571,184 100.0%
2.1%
133,692
0.5%
7.9% 7,464,451
29.2%
46.7% 7,931,069
31.0%
1.0%
576,842
2.3%
13
0.2%
5
0.2%
6,073
0.0%
19
0.1%
5,886
0.0%
444
1,310
160
305
349
190
221
5.8%
17.0%
2.1%
4.0%
4.5%
2.5%
2.9%
157
617
63
166
137
67
55
5.7%
22.5%
2.3%
6.1%
5.0%
2.4%
2.0%
873,064
2,169,150
531,285
201,875
370,585
4,732,634
1,062,826
2.0%
4.9%
1.2%
0.5%
0.8%
10.6%
2.4%
660
1,934
191
450
474
235
356
5.1%
15.1%
1.5%
3.5%
3.7%
1.8%
2.8%
399,344
1,813,586
547,114
142,421
325,278
3,429,241
473,057
1.6%
7.1%
2.1%
0.6%
1.3%
13.4%
1.8%
378
4.9%
147
5.4%
3,029,948
6.8%
511
4.0%
2,188,085
8.6%
87
1.1%
48
1.7%
50,842
0.1%
151
1.2%
31,304
0.1%
0
0.0%
1
0.0%
0
0.0%
1
0.0%
50
0.0%
82
16
78
1.1%
0.2%
1.0%
37
7
25
1.3%
0.3%
0.9%
27,705
13,327
50,007
0.1%
0.0%
0.1%
126
45
149
1.0%
0.4%
1.2%
20,014
15,996
45,194
0.1%
0.1%
0.2%
67
0.9%
39
1.4%
27,571
0.1%
119
0.9%
27,054
0.1%
9
0.1%
6
0.2%
4,330
0.0%
16
0.1%
1,506
0.0%
Information and
communications
Transportation
Manufacturing
Professional,
scientific and
technical
activities
Construction
Wholesale and
retail trade
Accommodation
and food service
activities
Electricity, gas,
steam and
water supply
Wholesale and
retail trade
Professional,
scientific
and
technical
activities
Financial and
insurance
activities
2011年直接投資額構成比
Transportation
Manufacturing
Mining and
quarrying
出所:韓国輸出入銀行(Korea Eximbank)データベースより船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
30
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
5)FTA
①発効および交渉の状況と戦略
韓国は世界的なFTA拡張傾向に対応して、FTAを積極的に推進している。
韓国FTA発効および交渉の状況
発効済
相手国
チリ
シンガポール
EFTA
FTA
FTA
協定
ASEAN
FTA
インド
EU
ペルー
米国
発効または妥結時期または交渉開始時期
(2004年4月1日発効)
2006年3月2日発効
2006年9月1日発効
物品貿易 2007年6月1日発効
サービス貿易 2009年5月1日発効
投資分野2009年9月1日発効
2010年1月1日発効
2011年7月1日暫定発効
2011年8月1日発効
2012年3月15日発効
CEPA
FTA
FTA
FTA
FTA(枠組み協定・物品貿
トルコ
2012年8月1日正式署名
易協定)
交渉妥結
コロンビア
FTA
2012年6月25日交渉妥結宣言、8月仮署名
GCC
FTA
2008年7月~交渉中
ニュージーランド
FTA
2009年6月~交渉中
オーストラリア
FTA
2009年5月~交渉中
交渉中
トルコ
FTA(サービス・投資協定) 2010年4月~交渉中
中国
FTA
2012年5月~
インドネシア
FTA
2012年7月交渉開始
ベトナム
FTA
2012年9月3日交渉開始
日本
EPA
交渉中断
カナダ
FTA
交渉中断
メキシコ
FTA
交渉中断
産・官・学共同研究終了、交渉開始に合意(2012
日中韓
FTA
年11月~)
ロシア
FTA
共同研究グループ会議開催中(2007年10月~)
交渉準備また 南米南部共同市場(メルコ
共同研究終了。貿易と投資の増進のための共同
FTA
は共同研究中 スール)
協議体設立了解覚書(MOU)署名
イスラエル
FTA
共同研究終了
中米(パナマ、コスタリカ、グ
アテマラ、ホンジュラス、ドミ FTA
共同研究終了
ニカ共和国)
モンゴル
FTA
交渉開始に合意
マレーシア
FTA
妥当性研究開始
出所:JETROホームページおよび第16回通商政策部会資料より船井総研作成
Copyright 2013 Funai Consulting Inc. All Rights Reserved.
日本
韓国
発効済
19%
その他
18.9%
発効済
発効済の国・地域 33.9%
33.9%
交渉中まで含むと
81.1%
交渉中
47.2%
交渉中
14%
その他
67%
出所:JETROソウル「韓国経済情報」2012年11月より船井総研作成
韓国FTA推進ロードマップ(2003年策定・2004年補完)
■二段階戦略
橋頭堡確保(第一段階) → 巨大経済圏との本格推進(第二段階)
チリ→中南米、シンガポール→ASEAN、EFTA→EU、カナダ→米国
※インド、中国など新興有望国家は潜在市場先行獲得戦略の一環として進出
■対象国選定基準
経済的妥当性と外交的インプリケーションを考慮
■推進対象国
短期:日本、シンガポール、ASEAN、EFTA、メキシコ、カナダ、インド
中長期:アメリカ、EU、中国、日中韓、韓国とのFTA希望国(オーストラリアなど)
出所:2007年版外交白書
31
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
5)FTA
②先行文献からの考察
韓国はFTA政策の積極的な推進が必要という認識が国民の間で浸透しており、推進のための戦略が明確になっており、意思決定スピードも速い。
文献
FTAに関する考察
金ゼンマ『韓国のFTA
政策決定過程:東ア
ジア共同体への示
唆』アジア太平洋研究
No.17 October2011
韓国は世界的なFTA拡張傾向に対応して、安定的な海外市場を確保するために、FTAを積極的に推進しており、「2005年、韓国政府は韓国経済の目
標を先進通商国家として設定し、その主な手段としてFTAを挙げ」、「対外依存度が高い韓国にとってFTAを締結しない場合の不利益を避けるためには、
FTAを通じた安定的海外成長確保が不可避であるとし、また究極的にはFTAという積極的市場開発を通じて、成長率低下に直面した韓国経済の体質
改善、国家システム全般の先進化、及び国民厚生の増大を図るべき」としている。また、韓国のFTA戦略の特長を以下の通りにまとめている。
ⅰ)第一に、原則的に日本、中国、米国、EUなどの巨大先進経済圏とFTAを結ぶ。
ⅱ)第二に、内容的には「包括的」かつ「高いレベル」のFTAを追求する。
ⅲ)第三に、様々な相手国と同時に交渉を進めるという「同時多発的FTA推進戦略」
苅込俊二『韓国のFTA
戦略』みずほインサイ
ト(2012年9月12日)
「韓国は日本などと異なり国内市場が小さいため、経済に占める輸出の割合(対GDP比)が49.7%(2011年)と高い」ため、「「経済を成長させる上で輸
出の拡大は不可欠であり、そのための環境整備としてFTAを推進する必要がある」との認識が比較的多くの国民に浸透している」ことがあげられてい
る。また「日本のFTA交渉は外務省、経済産業省、農林水産省、財務省の4省体制で行われて」おり、「本体制の下で4つの省庁が協議の上、合意形
成を行いながら交渉を進めていくため、省庁間で調整が難しい項目については合意に時間を要する場合が生じる」のに対して、「韓国ではFTA交渉の
窓口を通商交渉本部に一本化した上で、FTA相手国に応じて推進体制を組み替え、交渉に臨んでいる。しかも、強い権限を与えて対外交渉に当たら
せるため、場合によっては大胆な決断が可能であり、交渉を迅速に進めやすい体制といえる」としている。
「FTA交渉では、交渉相手から自国にとって有利な条件をいかに引き出せるかが重要となるが、そのためには相手側に譲歩できる材料(関税削減・撤
廃品目)を有していることが望ましい」が、韓国の場合は、「工業品、農産品ともに平均関税率が高く、交渉相手にとって、FTA締結による関税削減(撤
廃)効果が大きく、「それは、韓国にとってみれば、相手国の譲歩を引き出しやすい条件を有している」として、韓国のもともと先進国と比較して高い関
税率が、交渉を優位に進める素地となっていることを指摘している。
植田大祐「諸外国の
「外交通商部に一本化されること」によって、「交渉スピードが速く、思い切った決断も可能であるが、外交通商部と各々の産業を所管する省庁や関係
FTA政策―韓国、米国、 団体などとの間で調整が十分に行われていないため、省庁間の足並みの乱れや意見対立が生じている場合がある」と指摘している。
中国の事例-」国立
国会図書館調査情報
第618号
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32
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
6)貿易2兆ドル飛躍戦略
政府の支援プログラムにおいて、グローバル強小企業の育成・貿易インフラの拡大・貿易金融力量拡充といったキーワードが定められている。
韓国知識経済部は2010年に貿易1兆ドルを達成したことに伴い、次の方向と推進課題を明確にするために、2012年2月に「2012年貿易振興対策および貿易2ドル
飛躍戦略」を公式発表した。
出所:韓国知識経済部MKE報道資料より船井総研作成
骨子
ⅰ)輸出品目多様化
農食品、文化コンテンツ、バイオヘルス、ナノ・ロボットなど融合新産業、グリーン
エネルギーなど新しい未来輸出動力を創出
ⅱ)中小企業グローバル化
中小企業成長段階輸出支援プログラムを通じて自社ブランドを輸出するグロー
バル強小企業育成
ⅲ)中間財輸出拡大
グローバル価値鎖を先導することができるように素材・部品産業グローバル力量
を養成
ⅳ)主力品目位置づけ強化
未来輸出競争力を持続的に維持するために造船、自動車、ITなど業種別主力
産業を高度化
ⅴ)戦略的海外市場経営
包括的産業協力でUAE原発受注のような成功事例創出、FTA締結と活用を通じ
た海外市場を拡大
ⅵ)貿易インフラ先進化
貿易金融力量拡充、グローバル貿易専門担当者養成、貿易展示のハブ構築、
One-Stop Smart電子貿易サービスなど
しなければならないこと
主要戦略
製品・
技術
市場
輸出品目多様化
中小企業グローバル化
未来輸出産業創出
中間財輸出拡大
素材・部品グローバル力養成
主力品目位置づけ強化
主力輸出産業高度化
戦略的海外市場経営
パートナーとして新興国を認識
グローバル強小企業育成
FTA を通した海外市場拡大
インフラ
持続可能成長支援
貿易金融・人材・展示・電子貿易先進化
貿易安全網構築
※ MKE提供資料には、”強小企業”という表現が随所で使われている。
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項目
分類
支援内容
未来輸出産 農食品、文化コンテンツ、バイオヘルス、ロボット、ナノ
それぞれについて2020年ビジョン輸出金額と推進課題を策定
業創出
融合、デザイン、航空、SW、グリーンエネルギー
輸出力量強化事業
輸出コンサルティング、広報、教育、通訳翻訳など費用支援の支援限度の拡大
政府補助金優待
貿易促進団派遣/海外規格認証獲得
輸出先導企業
電力、ITなど分野別で強化された支援プログラム提供
既存のマーケティング支援方式から抜け出して優秀中小・中堅企業の海外進出
グローバル 輸出強小企業
ロードマップ策定とオーダーメイド型マーケティングサービス提供
強小企業育
輸出先導企業育成、グローバル強小企業育成事業、World Class 300プロジェクト
成
支援事業間シナジー創出
間積極的連携
中小企業製品の海外販路開拓のために大企業との協力事業拡大。韓電、韓水
大中小同伴進出拡大
原など電力公的企業との先端型海外同伴進出支援。大中小コンソーシアム構成
による海外プロジェクト共同受注支援
企業規模、技術開発力量に応じたオーダーメイド型支援。WPM(世界市場先行獲
素材
得型)、戦略的核心素材R&D(世界市場寡占型)、ベンチャー型専門素材R&D
素材・部品グ
機械、造船、電機電子、自動車部品とソフトウェアを結合した未来成長動力型100
ローバル力 部品
代核心部品開発。
量養成
技術開発段階別で信頼性検証プロセスを開発・適用
100大有望品目を選定してオーダーメイド型ビジネス成功支援。戦略的M&A・投資
技術と市場を考慮したM&A投資誘致拡大
誘致支援
主力輸出産 造船、自動車および部品、機械、半導体、ディスプレー、
それぞれについて2020年ビジョン輸出金額と推進課題を策定
業高度化
携帯電話、石油化学、鉄鋼、繊維ファッション
インドネシア、ベトナム、コロンビア、UAEなど主要新興国と政府間包括的産業協
民間部門のビジネスチャンス拡大
力を強化
戦略的パート
新興国との長期的パートナーシップ構築と現場中心の
ナーとしての
2020年新興国市場貿易館100個拡充及び先進国貿易館効率化推進
KOTRA貿易館運営
新興国
発電所、石油化学プラントなどプロジェクト受注のベースになるようにODA計画を
ODA(EDCF,KOICA)活用と民間部門のODA参加拡大
拡大
FTAを通じた 成長潜在力が高い新興国、東北アジア国FTA締結拡大
韓-中FTA締結推進
海外市場拡 を通じてグローバルFTAネットワーク大動脈構築
大
FTAの積極的活用支援強化とFTA恩恵拡大
インド・アセアン等と譲許改善
中小企業支援方式多様化、新興市場進出拡大、海外大規模プロジェクト受注拡
貿易金融力量拡大
大などに対する貿易金融支援力量集中
貿易金融・人
海外インターン事業への参加拡大とFTA専門人材・為替リスク管理など特定分野
材・展示・電 グローバル貿易専門担当官養成
別専門担当者養成支援
子貿易先進
国家ブランド展示会と展示場育成、KINTEXを世界的水準の韓国展示産業Hubに
化
貿易展示のハブ構築
開発
One-Stop Smart 電子貿易サービス実現
ITを基盤として効果的に貿易業務を遂行する断絶ない電子貿易サービス
貿易安全網
FTA拡大に基づく実効的貿易安全網構築
貿易救済制度を通じた産業被害への対応策の策定
構築
33
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
7)KOTRA
KOTRAは拠点も人員も海外を重視して配置されている。
KOTRAは1962年に、第1次経済開発5ヵ年計画に基づいて設立され、輸出市場と貿易1兆ドル達成のために事業を行ってきた。
本部組織図は、経営支援、中小企業支援、戦略マーケティング、グローバル情報、Invest KOREA5本部からなっている。世界81カ国に119の事務所を持ち、韓国
企業の為に市場情報の提供、パートナーの発掘、ビジネスネットワークの構築を行っている。
1958年に設立されたJETROをモデルとしているが、JETROとKOTRAとでは、一部性格と事業内容が異なるところもある。例えば、以下の通り、KOTRAはその人
員配置において、海外比率が高く、海外拠点の数もJETROよりもKOTRAの方が多い。
JETRO
KOTRA
1543
1049
職員数
国内職員
847
310
KOTRAの事業内容
海外職員
696
739
展開国
55
81
73
119
北米
8
10
拠点数(JETROの日本、KOTRAの韓国を除く)
中国・韓国・日本
アジア
中南米
欧州・CIS
9
20
8
16
14
29
21
21
中東・アフリカ
10
24
出所:JETROソウル事務所提供資料およびKOTRAホームページから船井総研作成゙
項目
内容
■国家イメージの広報からターゲット企業の発掘、投資検討、投資計画、投資実行段階を経て、諮問や事後管理に至るまで広範囲で体系的な支援を実施
■個別投資プロジェクトに担当プロジェクトマネージャーを指定して投資相談と許認可の発行から企業が実際に事業を開始するまでのすべての過程をカスタマイズで支援する。
■Invest KOREA総合行政支援センターでは外国人投資の申告、登録と関連した相談を行う
海外投資誘致
■Invest KOREA Plazaは外国人投資企業のインキュベーティング施設として事務空間を提供
■外国人投資企業の苦衷処理
■大統領が委嘱した外国人投資オンブズマンが国内に進出している外国人投資企業の苦衷を処理
■ビジネス斡旋・仲介
■貿易使節団の派遣
国際貿易の推進
■展示コンベンション
■文化コンテンツ事業のダイレクトミーティング斡旋、展示会、博覧会開催
■国内中小企業のグローバル競争力を強化するためにグローバル企業と国内企業とのビジネス提携を推進
グローバルパートナリン ■海外グローバル完成車企業の韓国の自動車部品の優勢性をPRする展示商談会を世界各地で開催
グ事業
■中小IT企業で構成された大規模輸出支援団を海外へ派遣し、製品展示及び1:1ビジネス商談を支援
■電力などエネルギー分野における世界の発注先およびバイヤー招聘商談会とセミナーの開催を通じて電力産業のグローバルな協力を支援
■海外市場調査(バイヤー検索サービス、カスタマイズ市場調査サービス、バイヤー連絡先確認サービス、原副資材供給元調査)
グローバル通商情報の
■海外市場進出説明会、カスタマイズコンサルティングサービス、海外投資進出説明会、海外市場戦略調査サービス
提供
■韓国投資企業支援センターの運営、海外進出プレミアムサービス(OPS)、投資説明会の開催及び投資調査団の派遣、海外知的財産権保護デスク(IP-DESK)
■教育研修プログラム
貿易投資インフラ支援
■グローバル人材事業
出所:KOTRAホームページ
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34
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
8)韓国輸出入銀行(Korea Eximbank)①
概要
JBICを見本として設立された政府系金融機関であり、大企業の海外プロジェクト向け案件が多い。
韓国輸出入銀行は1969年に輸出入、海外投資および海外資源開発など対外経済協力に必要な金融を提供することを目的に設立され、輸出入、海外投資および
海外資源開発のために必要な金融を提供すること、対外経済協力基金の運用・管理を行うこと、南北協力基金の運用・管理を行うことを業務内容としている。企
画財政部(Ministry of Strategy and Finance)の傘下にある法廷資本金8兆ウォンの政府系金融機関である。日本での国際協力銀行(JBIC)をモデルとしている。融
資の件数では中小企業向けが多いが、金額としては大企業の海外プロジェクト案件向けの融資が多く、海外の大きなプロジェクトについては発電所や石油精錬
所などの長期プロジェクトの案件が挙げられる。
韓国輸出入銀行の融資内容の推移
Export Loan Disbursements
Overseas Investment Loan Disbursements
Import Loan Disbursements
【単位KRW Billion】
2008
16,470
5,297
3,503
2009
25,061
4,160
3,623
Bank Operations
2010
26,994
7,561
4,212
2011
31,861
6,743
4,236
会社規模別の融資金額
【単位KRW Billion】
2010
Large Corporations
Small & Midium Compnay
Public Sector and others
合計
金額
18,908,855
5,225,727
14,662,758
38,797,340
2011
構成比
金額
構成比
48.7% 22,592,053
51.0%
13.5% 4,780,860
10.8%
37.8% 16,902,222
38.2%
100.0% 44,275,135
100.0%
35,000
30,000
Overseas Investment Loan Disbursements by Region
25,000
Others
Europe 468
613 7%
9%
Latin America
891
13%
20,000
15,000
10,000
5,000
0
2008
2009
2010
Export Loan Disbursements
Overseas Investment Loan Disbursements
Import Loan Disbursements
ASIA
3,040
45%
2011
North America
1,731
26%
出所:韓国輸出入銀行Annual Report2011に基づき船井総研作成
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35
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
8)韓国輸出入銀行(Korea Eximbank)②
金融支援
基本的な支援枠組みはJBICと大きく変わらない。輸出信用保証貸付など中小企業向けの融資制度を整備している。
【海外バイヤー向け融資】
【輸出支援金融】
韓国輸出入銀行
韓国輸出者
海外輸入者
韓国輸出入銀行
海外輸入者
【転貸・ツーステップ融資】
韓国輸出者
韓国輸出入銀行
融資
融資
海外銀行
関係・協力企業
再融資
融資
1)短期輸出金融融資
1)プロジェクトファイナンス
1)銀行間輸出金融
短期契約に基づき製品輸出を行う韓国製造業に対する融資
グリーン産業を含むプロジェクト案件において、韓国輸出者に間接的に支払われる金
額を海外輸入者に直接キャッシュフロー面で融資する
韓国企業からの製品輸入を行う協力企業に対する融資を、海外銀行を通じて行う
輸出前貸し金融および輸出延払金融
2)構造的ファイナンス
韓国関連の企業の現地での活動のための融資を海外銀行を通じて行う。
3)中小企業向け輸出信用保証貸付
キャッシュフローまたは二次的資金のためのその他資産用途の投資のためプロジェク
ト企業または海外企業に対して融資する
2)出荷前信用保証貸付
中小企業向けの広範囲な融資、特定の融資、設備増強のための信用保証、R&Dのた
めの信用保証、海外市場開拓のための信用保証
2)ツーステップローン
4)フォーフェイティング
発展途上国に輸出する際に輸出為替を無訴求で買い取る
5)輸出ファクタリング
輸出債権を輸出企業から無償還で買い取る
【海外直接投資金融】
【輸入金融】
【保証およびその他】
資本参加
韓国輸出入銀行
韓国輸入者
海外輸出者
韓国輸出入銀行
韓国企業
海外合弁企業
韓国輸出入銀行
金融機関
保証
融資
融資
海外輸入者
融資
融資
1)輸入者融資
1)海外直接投資融資
1)プロジェクト関連保証
韓国輸入者に対して、安定的でタイムリーな供給のために不可欠な資材や主要資源
を輸入するための資金面での融資を行う
韓国企業が海外関連会社に対して出資または長期貸付を行うための融資
韓国企業が関与するプロジェクトの入札、前払、契約履行保証状、前渡金返還保証な
どへの保証
2)海外プロジェクト融資
海外でビジネスを行う韓国企業が設備の設置や拡張のために必要とする資材の調達
のための融資
2)L/Cのコンファーム
3)海外ビジネス信用保証
3)債券投資
韓国企業が株式を保有している企業の設備投資や運転資金調達のための融資
国内外の企業によって発行された債券に対する署名、裏書、保証
海外の銀行が発行したL/Cで韓国の輸出企業の輸出代金が支払われる場合の保証
4)株式投資
輸出入銀行が融資または保証をしているプロジェクト企業に対する株式投資
5)投資銀行業務
金融アドバイス、アレンジメント、投資参画など幅広い投資銀行業務
出所:韓国輸出入銀行Annual Report2011に基づき船井総研作成
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36
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
8)韓国輸出入銀行(Korea Eximbank)③
取り組み
Korean Hidden Champion Programにより、包括的なサービスを提供し、Hidden Championの育成を支援している。
日本の国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)や日本の商業銀行と一緒に取組むことが多い。東南アジアやラテンアメリカでは多くの大規模なインフラプロジェクトが
走っており、多くの韓国企業が契約しているので輸出入銀行もサポートしている。
輸出入銀行は民間商業銀行が得意とする分野である個人向け融資には手をつけず、企業融資に焦点をあてている。また、輸出入銀行は民間銀行に比べ、長期的な融資
および大規模な融資を行っている。ただし輸出入銀行の場合は、商業銀行と違って利益を追求する観点よりも韓国経済にとって何が重要かといった観点を重視しているた
め、政府の政策や政府の注力分野によって左右されるという傾向がある点は否めない。
2009年において、韓国の企業数の99.5%、従業員の87.7%は中小企業に属している中で、輸出金額のわずか32.3%のみが、中小企業によって行われているという統計結
果がある。ドイツは輸出金額の82.0%が中小企業によって担われていると言われており、この韓国経済における不均衡を打破し、成長を遂げるために、韓国輸出入銀行は
2009年11月より、Korean Hidden Champion Initiativeをスタートさせた。年間輸出額が3億USD以上であり、かつセグメントにおいて持続可能な占有率を誇っている企業を候
補として、金融・非金融のサービスを提供して、100社以上のHidden Championを育てるというプログラムである。2011年末までに韓国輸出入銀行は185社のHidden
Champion候補を選出し、R&D、製造、販売におけるグローバリゼーションの過程における支援を行っている。2011年には2010年の3倍にあたる2,900 KRW billionの融資を
行い、2012年にはさらに3,500KRW billionの融資が計画されている(出所:2011年韓国輸出入銀行アニュアルレポート)。
また、韓国輸出入銀行はODAプログラムの有償資金協力における融資実行機関としての役割も担っており、Economic Development Corporation Fundとして発展途上国に
対する直接的な融資を行っている。EDCFは直接韓国企業のメリットにつながるものではないが、融資対象国に対して参入しようとする韓国企業またはすでに参入している
韓国企業にとって間接的な利益につながることもある。EDCFは日本のJICAとフランスのAFD(Agence françise de développement)と共同で基金を設立して3社でのWorking
Levelでの取り組みを開始しており、例えばベトナムにおける気候変動対策融資などで重要な役割を果たしている。
【金融支援以外の取り組み】
韓国型ヒドゥン・チャンピオン
10年間(2010年~19年)で韓国型ヒドゥン・チャンピオン100社を育成して韓国経済の基盤を強固なものにし、輸出の国民経済への貢献を
さらに高めるために進めている輸出入銀行の核心事業
共立発展プログラム
政府が進めている大企業・中小企業が共に成長する、同伴成長政策に積極的に参加し、中小・中堅企業に実質的な支援ができるように、輸
出入銀行と大企業が協力して中小・中堅企業を支援する金融プログラム。同プログラムは①海外同伴進出パートナーシップ・プログラムと②
輸出中小・中堅企業共生プログラムで構成されている
その他の重点推進事業
対外経済協力基金(EDCF)
発展途上国の産業化および経済発展を支援し、韓国と発展途上国との経済交流を増進させるために1987年につくられた政策基金。主に発
展途上国の経済・社会インフラ建設を支援し、公的開発援助(ODA)のうち、元利金を返済してもらう譲許的融資に該当する
南北協力基金
南北相互交流と協力事業への支援を通じて交流協力を促進し民族共同体の回復に貢献するために設置された基金。韓国政府の対北韓政
策推進を下支えする財政的手段であり、民間の交流協力基盤造成のための支援手段でもある
出所:韓国輸出入銀行提供資料を参考に船井総研作成
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37
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
9)K-Sure(Krea Trade Insurance Corporation)①
概要
日本貿易保険(NEXI)をモデルとして設立された貿易保険機関。
K-Sureは1992年に貿易および海外投資促進を通じて韓国企業の国際的競争力を強化することを目指して設立された。韓国知識経済部の傘下機関として、以下の役割を
担っている。
■資本財を含む製品の輸出入、海外へのプラント建築投資、外貨および利子率管理、文化コンテンツおよびサービスの輸出やその他海外取引に関わるリスクをカバーす
るための保険プログラムを提供すること。
■与信情報、与信管理、海外債権回収を含めた与信関連情報を提供すること。 (出所:K-sure Annual report2011より)
短期輸出信用保険(一般)
短期輸出保険(バイヤークレジット)
短期
農業漁業輸出保険
2年以内の支払サイトの債権について、輸出企業またはL/C発行銀行の未回収リスクをカバーする
韓国の輸出者に対する輸入者に融資した国内外の金融機関の不払いリスクをカバーする
農業、漁業、家畜製品について1)輸出契約締結後輸出が不可能となった場合、2)輸出による売上が集められなくなった場合、3)契
約締結後の価格変動によって損失が発生した場合をカバーする
輸出する製品の製造を行う上で必要になる原材料の調達に際して金融機関から融資を受ける際に求められる保証について、K-sure
が共同で保証する
出荷後輸出保証
輸出後の債権を早期現金化する際に、K-sureが債務不履行の際の保証を行う
中長期輸出信用保険
2年以上の決済期間において、輸出ができなくなった場合または輸出代金を受け取ることが出来なくなった場合に保証を行う
中長期輸出信用保険(サプライヤークレジット) 経済的・政治的に不安定な発展途上国向けにEPCや造船など大口取引をする場合の保険。カントリーリスクも含んでいる
中長期輸出信用保険(バイヤークレジット)
2年を超える決済期間で輸入者に融資した国内外の金融機関の不払いリスクをカバーする
K-sureの中長期輸出信用保険(バイヤーズクレジット)でカバーされ2年を超える取引が延長されたまたはされる金融機関のリスクをカ
利子率リスク保険
バーする
海外ビジネス金融保険
2年を超えて韓国の利益付する活動的な取引を行っている企業または金融機関に対して、元本および利子を保証する
海外建築保険
海外で建築プロジェクトに従事する当事者に政治的リスクやオーナーの商業的リスクによる損失を回避する
天然資源開発、不動産購入やM&Aのような大規模で長期間の案件に従事するデベロッパーにファイナンスする金融機関をカバーす
海外投資保険(投資金融)
る
海外投資保険
海外の株式、不動産その他権利に対する投資を行う韓国人に対して、元本、配当、利息をカバーする
輸出債権保険
輸出者の債権を銀行が保証している場合で、輸出者が不履行となった場合の銀行のリスクをカバーする
海外天然資源開発保険
海外投資家の政治または商業的リスクを部分的に補償する
韓国ウォンで先払いされた輸出取引の為替変動リスクをカバーする
製造物責任保険
国内企業によってデリバリされた製品の製造物責任をカバーする
サービス輸出信用保険
輸送、観光、SI、エンジニアリングなど製品の輸出以外に生じるリスクをカバーする
輸入者信用情報検索
輸入者の情報を提供する
海外債権回収サービス
国内企業はK-sureに債権回収を委託することができる。
出荷前信用保証
中長期
外国為替保険
その他
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38
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
9)K-Sure(Krea Trade Insurance Corporation)②
出荷前保証と出荷後保証
中小企業の輸出支援のための保証制度を整備しており、中小企業によって活用されている。
【出荷前保証】
韓国輸出者
原材料調達のために借入れが必要
【出荷後保証】
金融機関
信用取引での輸出
韓国輸出者
保証
K-sure
1) 韓国企業が輸出製品を生産するために原材料の調達が必要となり、その
ための資金を金融機関から買い入れる際、保証を求められる。
2)この場合、K-sureがそのための保証を韓国企業と共同で行う。金融機関は
民間金融機関の場合もあれば、韓国輸出入銀行である場合もある。
有価証券の保証
有価証券の差入
K-sure
FX銀行
1) 輸出者が製品出荷後に債権を早期現金化する場合、有価証券の保証を
求められる。
2) K-sureが輸入者の債務不履行の際の保証をすることで早期現金化が可能
となる。
2007
2008
2009
2010
2011
件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比 件数 構成比
案件数(件)
3,850
3,673
6,208
5,894
5,534
うちSME
3,844 99.8% 3,667 99.8% 6,170 99.4% 5,859 99.4% 5,490 99.2%
出荷前輸出
信用保証 金額(KRW Billion) 833
1,046
4,545
4,393
3,311
うちSME
819 98.3% 885 84.6% 3,871 85.2% 3,868 88.0% 2,810 84.9%
案件数(件)
6,412
6,896
10,122
12,105
13,643
うちSME
6,412 100% 6,895 100% 10,115 100% 12,098 100% 13,568
99%
出荷後輸出
信用保証 金額(KRW Billion) 326
516
1,419
1,803
2,598
うちSME
326 100% 516 100% 1,379
97% 1,773
98% 2,429
93%
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輸入者
短期輸出信用保証
産業別構成比
Others
Textile
10
Automobile4 6%
15 2%
9%
Steel
22
13%
169兆
KRW
Petrochemical
34
20%
Electric/Erectr
onic
84
50%
短期輸出保証国別構成比
Africa Central Asia
Middle East
3
1
India
9
2%
1%
7
5%
4%
China
Latin America
50
11
30%
6%
Other Asia
12
7%
169兆
KRW
Asean
22
13%
Europe
25
15%
North America
28
16%
39
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
10)SMBA(The Small & Medium Business Administration)
海外マーケティング支援を行うが、海外ネットワークがないため、国内での支援にとどまり、KOTRAとの棲み分けはできている。
SMBAは1996年に設立された中小企業振興のための支援機関である。中小企業のビジネス立ち上げ、ファイナンス、マーケティング、プロモーション、技術支援な
どを行っている。
Biz Start-Ups
■競争力のある新しいベンチャーを育成する
■新規に設立された中小企業の教育
■学生のアントレプレナーシップの育成 (2004年からすでに5つの大学でプログラムがスタートしている)
■ティーンエイジャーへのパイオニアスピリットの浸透(すでに80の中高等学校でパイロットプログラムを実施し、20,000人の生徒が参加している)
人材育成
■中小企業のために人材育成投資のためのファイナンスを行っている
■就労環境の改善
■中小企業で就労する従業員を増加させるためのプログラム
■大学生が中小企業で働く機会の育成(毎年200の大学が参画している)
■29歳以下の非就労者の就労の促進
■中小企業従業員のためのトレーニングセンター
■中小製造業の労働者不足を補うための韓国と途上国間の協力によるトレーニング
■中小製造業の労働者不足を補うための兵役従事者の派遣
金融/技術
■起業家支援、事業拡大支援、新製品開発支援、新規雇用、製造設備投資のための金融支援
■技術イノベーションの商業化支援
マーケティング
■SMBAとして中小企業を海外の展示会に派遣
■中小企業における貿易専門家育成の支援
ベンチャー
■海外にスモールビジネス開発センターを設立することを通じたグローバルベンチャーの育成を検討
■ベンチャー同士のM&A の活性化
零細企業
■2005年12月に零細企業開発オフィスを設立
■オンラインショッピングモールでの販促
■Commercial Complex Information Systemを設立し、零細企業をサポート
認証
■1977年に施行されたSpecial Measures on the Promotion of Venture Companies"に基づき、ベンチャー企業を認証している。
出所:SMBAホームページを参考に船井総研作成
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40
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
1.韓国政府の支援枠組みと民間支援枠組み
11)民間協会・団体による支援枠組み
民間協会は、業界全体の利益代表という役割だけでなく、視察団派遣、会員への情報提供、マーケティング支援など様々な実務支援を行っている。
韓国には、全国経済人連合・貿易協会・韓国商工会議所・中小企業中央会という4つの大きな経済団体と、業界毎に多数存在する民間の業界団体があり、それ
ぞれ韓国企業への支援を行っている。
全国経済人連合
■民間企業単独では切り開くことができない新興国政府関係者や企業とのネットワークの構築
(The Federation of ■新興国の経済団体との定期的な交流により枠組みをつくり、個別企業同士の交流を促す
Korean Industries) ■企業単独では対応できない新興国における問題のフォローアップ
■自社単独で海外市場を開拓することが困難な韓国の中小企業に対して、展示会やWEBサイトを通じて韓国企業と海外企業とのマッチングの機会を創出
貿易協会
■韓国企業が貿易を行う上で直面する様々な問題点において、アドバイサーとしての役割を担っている。その他韓国の中小企業が輸出ビジネスに取組む上で
(Korea International
のインフラ環境を整備
Trade Association)
■民間団体として、政府と民間企業の間の橋渡し役
Korea
Electronics
Association(KE
A)
■海外市場の開拓とマーケティング支援
■電気・IT業界の利益代表
■特許問題を取り扱う基金の設立
■技術専門家の育成
■国際的な電力規制への対応やグリーンITの促進
■金融支援 他
業界団体
■韓国自動車部品業界が直面している課題を調査分析し、最適な対策や政策を政府関連組織に提言する
Korea Auto
■自動車及び自動車部品の生産・販売・輸出統計など、自動車部品産業にとって有用なデータを集め、集計し、公表する
Industries Corp. ■自動車産業に関連する技術水準や規制などの最新情報を会員に提供し、それに合致することを支持する
Association
■KAMA(Korea Automotive Manufacturers Associations)と一緒にソウル・モーターショーを開催し、同様に開催される世界のモーターショーに参加する
(KAICA)
■自動車部品を求める海外顧客が、適切な韓国部品メーカーに到達するようにあらゆる方法を用いて情報を提供する
■KOTRAと連携した海外への視察団の派遣 他
Korea Machine
Tool
Manufacturers
Associations
(Komma)
■会員のために機会工具業界に新しい需要を創出
■海外組織と関係を広げ、情報を交換
■政府の委託の下、製造技術開発を行う
■機械工具業界の様々な戦略を策定
■Seoul International Machine Tool Show(SIMTS)を主催すること 他
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41
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
1)まとめ
ドイツ企業は、自社の製品力を高めることと自社の販売力を高めることに注力。商工会議所の支援枠組はそのために活用されている。
【政策支援よりも各企業の高い市場開拓意識がポイント】
ドイツにおいて中小企業の海外展開支援のための政策支援枠組みは特に存在していないと言える。しかしながらドイツ商工会議所が世界80カ国で
有料の支援をおこなっており、日本でのJETROの代わりの役割を一部果たしている。ただし、商工会議所は画一的なサービスを提供するのではな
く、カスタムメイドの市場調査も行っているため、対象国の市場への取り組み方を知りたい企業は、具体的な情報を得ることができる。
【展示会・ミッション団などのイベントを販路開拓のために活用】
ドイツは展示会が発展しており、展示会の場で海外企業との取引が成約されている。展示会のオープニングセレモニーに首相が参加することによ
り、諸外国の要人の参加を促し、企業と諸外国要人との交流を行っている。海外市場への展開にあたって、展示会やミッション団が大きなきっかけ
となっている。マーケティング・営業・クロージングの場としての展示会をさらに発展させて、出展者と来場者の間のマッチングではなく、来場者同士
のマッチングを行おうという新しい施策も行われている。
【生産移転よりも独自品質・デザインを追及】
ドイツの中小企業は、国内生産にこだわる企業が多く、自社のブランドに対する誇りと自信を持っている。海外に生産を移転して価格を下げるよりも、
自社のブランドとしてのデザイン・品質・サービスを磨いて、高くても購入してくれる客との取り組みを重視している。研究開発投資を継続的に行って
いる企業が多く、また市場のニーズを把握するために、時間もかけ、投資も行っている。そういった姿勢がドイツ企業の競争力の源泉になっている
ものと思われる。
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42
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
2)マクロ市況
①名目GDP及び一人あたり名目GDP
一人あたりの名目GDPは日本とほぼ同じ水準で推移している。
対象年月
ドイツ名目GDP総額 (単位:100万ドル)
日本名目GDP総額 (単位:100万ドル)
ドイツ一人あたりのGDP(名目) (単位:ドル)
日本一人あたりのGDP(名目) (単位:ドル)
2002年
2,006,682
3,980,820
24,414
31,241
2003年
2,423,722
4,302,940
29,429
33,718
名目GDP
(単位:100万ドル)
2004年
2,726,341
4,655,820
33,090
36,444
2005年
2,766,254
4,571,870
33,603
35,781
2006年
2,902,749
4,356,750
35,275
34,077
2007年
3,323,807
4,356,350
40,463
34,038
2008年
3,623,686
4,849,190
44,334
37,865
2009年
3,298,636
5,035,140
40,393
39,321
2010年
3,306,028
5,488,550
40,513
42,863
2011年
3,604,062
5,866,540
44,111
45,870
一人当たりの名目GDP
(単位:ドル)
50,000
名目GDP及び一人当たり名目GDP推移
7,000,000
45,000
6,000,000
40,000
5,000,000
35,000
30,000
4,000,000
25,000
3,000,000
20,000
15,000
2,000,000
10,000
1,000,000
5,000
0
0
2002年
2003年
ドイツ名目GDP総額
2004年
2005年
日本名目GDP総額
2006年
2007年
2008年
ドイツ一人あたりのGDP(名目)右軸
2009年
2010年
2011年
日本一人あたりのGDP(名目) 右軸
出所:JETROホームページ 基礎的経済指標を参考に船井総研作成
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43
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
2)マクロ市況
②貿易収支及び輸出額の推移
輸出額でドイツは日本を大きく上回っておりその差は拡大している。
対象年月
ドイツ経常収支(国際収支ベース) - ドル(単位:100万)
日本経常収支(国際収支ベース) - ドル(単位:100万)
ドイツ貿易収支(国際収支ベース) - ドル(単位:100万)
日本貿易収支(国際収支ベース) - ドル(単位:100万)
ドイツ輸出額 - ドル(単位:100万)
日本輸出額 - ドル(単位:100万)
(単位:100万ドル)
2002年
40,157
112,490
126,429
92,336
612,921
415,900
経常収支及び貿易収支推移
2003年
45,736
135,937
145,778
103,695
749,849
469,900
2004年
127,108
171,995
187,974
128,347
908,258
565,000
2005年
140,016
166,680
194,012
94,456
970,521
598,200
(単位:100万ドル)
300,000
1,600,000
250,000
1,400,000
2006年
181,573
171,205
199,877
81,409
1,107,122
647,300
2007年
247,608
211,676
273,008
104,654
1,319,447
712,700
2008年
225,047
159,894
263,626
38,593
1,440,297
775,900
2009年
195,263
146,395
183,697
43,178
1,115,538
580,800
2010年
199,550
204,118
208,251
90,762
1,257,712
767,000
2011年
203,744
119,221
214,560
-20,410
1,470,307
820,800
輸出額推移
1,200,000
200,000
1,000,000
150,000
800,000
100,000
600,000
50,000
400,000
0
200,000
0
-50,000
ドイツ経常収支
日本経常収支
ドイツ貿易収支
日本貿易収支
ドイツ輸出額
日本輸出額
出所:JETROホームページ 基礎的経済指標を参考に船井総研作成
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Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
3)ドイツの対外政策
シュレーダー改革
シュレーダー政権によって、人材への投資を含む工業基礎の強化や能力開発など東独での資本形成を推進する処置がとられた。
1998年9月27日のドイツ連邦議会選挙でドイツ社会民主党(SPD) が勝利し、緑の党と連立によるシュレーダー政権が発足
当時のドイツ産業は世界経済の急速なグローバル化および技術革新の発展に大きく立ち遅れ、経済危機が激化し、失業が激増する事態に直面していた。ド
イツの輸出は目覚しく伸びていたが、これは大幅な人員整理、賃金引下げ、省力などの厳しいリストラによるコストの引き下げによるもので、技術革新の成果
ではなかったため、ドイツ企業の基礎体力を消耗させ、失業をさらに深刻化させていた。最大の原因は、企業にとってドイツは高コスト体質であった事による
「生産拠点の海外移転による産業空洞化」であり、コール政権16年間の間に「連邦の科学・技術予算が大幅に削減され、技術開発を怠った結果、ドイツは21
世紀の未来産業と目されている情報・技術、光電子工学、バイオ・遺伝子工学、環境技衛、新素材、マイクロエレクトロニクス分野などで大きく日米その他の
先進諸国に立ち遅れた」為であった 。(柴山健太郎.ドイツ社民党の勝利とシュレーダー政権の戦略構想.進歩と改革/進歩と改革研究会編1998)
失業の原因は景気変動によるものではなく、むしろ産業構造の転換による構造的失業であると説き、具体的な政策を展開
経済政策の骨格:「出発と改革-二十一世紀の独逸の道」
1.雇用対策:政府、経営者、労組の三者が「雇用の為の同盟」を推進し、失
業者の削減に全力を挙げる
2.税制改革:1999年1月から2002年まで三段階に別けて所得税率を引き下
がるほか、法人税も減税する環境税の導入により99年からガソリン価格
を引き上げる
3.社会保障:コール政権が決定した年金給付の引き下げなど年金改革を
撤回、児童手当の引上げる
4.外交政策:コール政権の外交政策を継続。北大西洋条約(NATO)は報酬
の安定と安全保障に不可欠でNATO拡大を支持する。欧州連合(EU)加
盟国と強調する。国防軍の平和維持活動などへの参加を排除しない
5.原発問題:原発は三段階で廃止する。原子力方を修正し、政府は電力会
社側と原発廃止に向けた協議を始める。一年間の協議後、原発廃止の
道筋をつける法案を整備する。電力会社への補償はしない
6.交通政策:磁気浮上式高速道路「トランス・ラビット」の建設費用が計画を
上回った場合、政府は追加拠出をしない。アウトバーンへの制限速度の
導入は見送る
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「東独で積極的に資本形成を推進する処置」
①財政移転を消費分野から投資分野へ、②人材への投資を含む工業基礎
の強化、③「テクノボール」という技術中心地を各地に創設する(ドレスデン
のマイクロエレクトロニクス産業、ゾンネベルクの玩具産業、ケミカル・ドライ
アングル、ライプチッヒのマルチメディア産業、ロストックの海上技衛、ゲル
リッヒの交通技術、パペルスパークのメディア技衛)、④能力開発教育、⑤起
業のためのベンチャー資本の育成、⑥資産形成のための投資的賃金政策、
⑦デザイン・ブランドの強化、⑧インフラストラクチャーの近代化
メルケル政権に入り、シュレーダー政権時代からの社会経済改革が一定程
度進み、規制緩和と雇用コストの低減などにより、企業業績が回復したこと
と国際経済の好況の影響をうまく利用できたことによって、ドイツ経済は停
滞から脱した。メルケル政権においても、一層の資金を研究・開発分野に投
資する事によって、堅実に経済成長をめざすとする大連立政権の政策は次
第に実を結んでいる。(森井裕一 執筆/シュレーダー政権の評価とメルケル
政権の動向 / 押村高,小久保康之編著.EU・西欧.ミネルヴァ書房2012)
45
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
4)ドイツ企業の海外展開支援
①支援機関
政府支援枠組みよりも自立した民間企業の自助努力をサポートするための枠組みとして、商工会議所・中小企業連盟・民間コンサルが活用されている。
ドイツにはJETROやKOTRAのような支援機関はなく、商工会議所や中小企業連盟・民間コンサルティング会社がその役割を担っている。
商工会議所
中小企業連盟
ドイツ連邦経済技術省
ドイツ商工会議所
ドイツ国内商工会議所(IHK)
■ドイツ国内80の地方商工会議所。
■100%会費収入によって運営されている。
■ドイツでは商工会議所への加入は義務。
■専門教育やロビー活動を行い、海外向けの活動はあまり
行っていない。
海外商工会議所(AHK)
■世界80カ国120事務所。
■市場調査・ビジネスパートナーマッチング・イベント運営な
どを通じてドイツ企業の海外展開をサポートしている
■政府から一定比率の資金提供があり、それ以外は、企業
からの市場調査フィーをはじめとする収入による運営を行っ
ている。
■一般的な情報提供ではなく、ドイツ企業のニーズに応じた
テーラーメイドの市場調査を行っている。
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ドイツ中小企業連盟
■会員数は約5.5万社。会員からの会費収入で運営
■会員のためのサポートを行う。会員の初回相談は無料。
ドイツ中小企業連盟海外事務所
■2006年頃から、海外案件の相談が増えたために、海外
事務所展開を行い始めた。
■海外事務所については、ドイツの中小企業をサポートした
経験のあるコンサルタントと代表契約/代表サポート契約を
締結しサポートを行っている。
■中小企業連盟の海外事務所代表となるためには、一定の
条件を満たす必要がある。例えば、現地語が話せ、法務や
税務等の専門知識があり、年に最低2回/ドイツで開催され
る会議に参加し、担当国に関する情報提供を行う義務を果
たせるなど
46
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
4)ドイツ企業の海外展開支援
②展示会とミッション団
展示会がビジネス成約の場として重要な位置づけにある。海外展示会開催や、展示会と併せたミッション団派遣などで海外企業との関係を構築している。
ドイツの展示会
海外での展示会開催
■世界5大見本市会場のうち4つ(ハノーバー、フランクフルト、ケル
ン、デュッセルドルフ)を有し、年間130~150の国際見本市を開
催している。世界の主要見本市の約3分の2がドイツで開催され
ていると言われている。
■ドイツの商取引は、メーカーとバイヤーの直接取引が原則であり、
一般的に見本市を通じて行われる。ドイツの輸出の20%は見本
市を通じて実現していると言われている。ドイツの商取引におい
て見本市はなくてはならない流通機構。
■ドイツメッセAG社では、ハノーバーメッセを始めとするハノーバー
の見本市会場を訪れる人々同士でのビジネスマッチングを行う
マッチ&ミートプログラムを開始。展示会のあり方を、出展者と来
場者のマッチングだけでなく、潜在的なニーズをデータベースで
結びつける仕組みを構築。
■ハノーバーメッセを始めとするドイツの主要な展示会のオープニ
ングイベントには首相が来場する。ドイツの首相が来場するため、
海外からも要人が訪れる。したがって、主要な展示会のオープニ
ングイベントは有効な人脈を構築するための重要な場となってい
る。
■ドイツ国内だけでなく、海外でも展示会を開催している。例えば、
アフリカのマーケットを切り開きたい場合は、アフリカで展示会を
開催し、そこに、ドイツの要人にも同行してもらう。ドイツの要人
が展示会に来れば、現地の要人も来場する。
■海外展示会開催に政府の支援はない。工業会など展示会主催
者側がすべてのアレンジを行い、政府の要人を招聘する。
■工業会が海外の展示会にも出展して、現地での情報収集や現地
展示会に出展しているドイツ企業のサポートを行っている。
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ミッション団
■首相の海外訪問時には、民間企業も同行し、現地主要企業との
交流を行っている。
■工業会毎に、海外との交流を目的とした訪問ミッション団を開催
しており、当該ミッション団には、政府の要人も招聘する。それに
よって、海外との人脈構築を行っている。
47
Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
5)ドイツ企業の強み
① Hidden Champion
開発投資・サービス重視・意思決定が速い・デザイン重視・人材育成強化・ブランドに対する誇りなど、成功しているドイツ企業は共通の特徴を持つ。
日本に拠点をもつドイツ企業にインタビューをして得られた、共通の強みについて以下にまとめる。
開発投資
■毎年売上の一定比率または定額を研究開発に費やしている
■大学など研究機関と連携した取り組みを行っている
ノウハウ流出を防ぐ
■ドイツ国内生産または、海外生産の場合でも生産委託は行わず、自社工場で生産
市場ニーズ調査
■市場投入前に細部までニーズを調査する。市場投入までに5年以上調査した事例もある
サービス重視
■自社または代理店を通じたサービス・メンテナンス体制を構築。
顧客のニーズを把握するための窓口としての機能も持つ
意思決定のスピード
■海外法人または事務所の責任者に大きな決定権限を与える
■重要な案件は、本社のトップが直ちに判断を下す
海外売上比率が高い
■ドイツ国内売上構成比10%~40%とドイツ国内向けより海外向けの方が売上構成比が高い
デザインを重視
■製品の機能だけでなく、デザインを重視する
■製品はもちろん、カタログも含めてデザインの統一性を重視する
■自社専門のデザイナーがいる
人材育成を強化
■海外法人および代理店の研修を行い、自社製品に対する理解および技術力の強化をはかっている
ブランドに対する誇りと自信
■価格のみの競争は行わない
■市場のニーズに自社の製品をあわせるために日々改善と情報収集を行っている
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Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
5)ドイツ企業の強み
② ドイツ部品メーカー
部品メーカーが海外に拠点を設ける目的は、現地で開発して、生産して、販売するためである。
日本に拠点をもつドイツ企業にインタビューをして得られた、ドイツの部品メーカーの特徴について以下にまとめる。
■既存顧客が海外に出て行けば、そこについていくことが最初のステップ
ユーザーの海外拠点に併せて進出 ■現地に進出することに併せて、既存顧客以外の新規顧客を開拓
■ドイツの一流の顧客と取引をしていることが、現地においても強みとなる
現地拠点に開発機能を持つ
■現地で顧客を拡大するためには、開発拠点が必要
顧客のニーズを汲み取ってレベルの高い製品を作ることができる企業は世界にそれほどたくさんない。
■各国にその国の専門家がいて、常に現地の顧客のニーズを汲み取って、対応する姿勢を構築しなければな
らない
現地で売ることが目的
■海外進出の目的は、現地で売ること。現地で作ることが目的ではなく、現地の顧客のニーズを汲み取り、現
地の顧客を開拓する
■自動車のようにサプライチェーンが強い業界での新規参入は難しい。サプライチェーンに入り込むために、す
でにサプライチェーンに入り込んでいる企業と合弁するという事例もある。この場合、チャネル目的だけでなく、
顧客が要求する項目(スペックやデリバリなど)についての知識・ノウハウを合弁パートナーから学ぶという目
的もある
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Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
2.ドイツ企業の海外市場における競争力の源泉
6)市場参入のステップ
世界市場で成功するドイツ中小企業は生産をドイツ国内にとどめ、海外販売網の拡大を行うことが多い。
海外市場への展開のステップ
海外展開に成功するドイツ企業は必ずしも海外生産拠点を設けてい
るとは限らず、むしろ国外での生産は考えていないという企業が多い。
その理由として
■知的財産保護
■Made In Germanyのブランド力の活用
が挙げられる
質問:ドイツ国外での生産を考えていますか?
国外での生産
を考えている,
29.8%
海外顧客開拓
販路開拓
販売拠点設立
国外での生産
は考えていな
い, 70.2%
■代理店の設置
■代理店網の拡大
■代理店の教育
■現地法人設立
■現地従業員の教育
■サービス体制の構築
必要に応じて戦略的に検討
製造拠点設立
(注)ドイツの中小企業に
ドイツ中小企業研究所が
アンケート調査した結果
■展示会の活用
■ミッション団への参加
■商工会議所等の協力
■工場設立
■国内拠点との棲み分け・協力体制
■技術・開発体制構築
出所:JETRO提供資料(ドイツ銀行「Result」誌200/3から抜粋)
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Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
3.参考:スイスOSECの支援
政府機関として民間からの収入を主体として運営を行っている。小さな政府のポリシーのもと、各国の専門家を積極的に活用。
OSEC
政府からの資金(一部)
スイス外務省と商務省のJV
民間からの収入
①会員からの会費収入
②会員向けサービスによ
る収入
■ スイス企業の海外進出サポート
■ 海外企業のスイスへの誘致
OSECのサービスの一部
Pool of Expert
各国の専門家をデータベース上で紹介。コ
ンサルティング会社がフィーを払ってデータ
ベースに登録すると、OSECを通さなくとも
スイス企業から直接依頼を受けることがで
きる。2008年12月時点で42カ国で440
人の専門家が登録されている。評価が良
かった専門家については、Official Expertと
してランクアップされる。業種別・サービス
別(会社設立・市場調査・展示会支援など)
に登録でき、ニーズに応じて選ばれる。
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Export Step by Step
市場参入への可能性が未知な状態から中
小規模企業は多額の調査フィーを支払うこ
とができないため、Initial Information, Basic
Consulting, Detailed Consulting, Strategic
Products, Implementation products といった
形で段階を追った調査・コンサルティングを
実施している。初期費用をできるだけ押さ
え、可能性が高い案件で追加投資しながら
サービスを得られるような配慮を行ってい
る。
Swiss Business Hubs
ドイツ、フランス、イタリア、オーストラリア、
日本、中国、インド、ブラジル、スペイン、
ポーランド、ロシア、UK、南アフリカ、アメリ
カ、GCC、ASEAN
■スイスとFTAを締結しているなど重要な国
に対してSwiss Business Hubsを設置。
■各国のBusiness Hubは大使館など政府機
関の中にある。政府機関のインフラを活用
することができて便利である点と、政府機
関の中にあることにより権威付けにもなる。
■Business Hubがない国でも、在外大使館
の中に対応できる組織がある。
■スイス政府のポリシーとして小さな政府と
いう考え方があり、支援にあたってはでき
るだけコーディネーターに徹して、民間の専
門家に任せている。
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Ⅲ
ライバル国調査
新興国市場開拓にかかる調査・分析
4.第Ⅲ章まとめ
韓国・ドイツともに、自助努力で海外市場に取組もうという企業を支援するため、商工会議所や政府系機関が少額でコンサルティングを行う枠組みがある。
■韓国・ドイツ・スイスのいずれも、日本と比べて国内市場が小さく、海外市場に取組まなければならないという
危機意識が強い。有料でも支援が必要だが大企業のように独自でコンサル会社に高いフィーを払えないとい
う企業を対象にした有料の枠組みをKOTRA、ドイツ商工会議所(AHK)、OSECは保有しており、かつ活用さ
れている。
■韓国企業は、大企業・消費財が海外市場で強みを持つ。ドイツ企業は中小企業・生産財で強みを持つ。我が
国企業の競争力を高めるためには、消費財・中間財・生産財のいずれの分野も重要であるが、産業構造の
違いに注目し、消費財については韓国を、生産財についてはドイツをベンチマークとすることが望ましい。
■韓国の支援枠組みに、大企業の海外進出に中小企業が同伴する、いわゆる “同伴進出”に対する優遇があ
る。これは、中小企業の海外進出を促す施策であるが、大企業が現地においてサプライチェーン網を構築す
るための支援ともとれ、我が国の直接投資促進においても参考となる。
■ドイツ企業の競争力を見た場合、価格競争ではなく、研究開発・品質・デザイン・サービスに重点を置いてお
り、高付加価値戦略をとっていることが注目に値する。また、ドイツ企業は、国内生産にこだわる企業が多く、
我が国の輸出促進において参考となる。
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