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オ シ ラ 様
民俗9 オ シ ラ 様 ども達がおんぶして近所を歩きました。 1.オシラ様とは? オシラ様は、東北各地で多く祀られて また、火事のとき家を守ってくれますが、 いる神で、一般には桑の木を削った棒に、 気に入らないことがあれば、すぐに他の オセンダクと呼ばれる布をかぶせたもの 家へ飛んでいってしまうそうです。タブ を、男女一対で一頭(ひとかしら)とし ーもあります。本県では布でスッポリと て祀るものです。家の神、豊作の神だと 覆われた包頭型のオシラ様が多いのです いわれます。しかしそのルーツは明らか が、中のご神体を直接見てはならないと ではありません。イタコが唱えるオシラ いわれます。また、家の者が卵や四つ足 さいもん 文によれば、昔ある長者の娘と馬 の肉を食べてはいけないともいいます。 が恋をして、怒った長者が馬を殺したと もし守らないときには「とがめる」とい 祭 かいこ ころ、娘とともに天に昇り 蚕 になっ われ、家族の口が曲がったり、目が悪く たことに由来する神だと語ります。古い なったりするといわれました。 本家筋で祀られることが多く、本県で確 認されている中で、最古のオシラ様は、 東 北町の天 正年間( 1573 ~ 1591) のも のと推測されます。 4.現代へ かつてオシラ様は、粗末な赤い布で包 まれて木箱に入れられ、押入れや神棚の 奥にしまわれていたようです。 2.イタコが「遊ばせる」 正月か 3 月の 16 日、9 月か 10 月の 16 し か し 明 治 20 年 頃 か ら 弘 前 市 の くどじ おおしらこう 久 渡 寺が 大 白 講を 作 り 、昭 和期 にか 日の春秋2回、各ムラではイタコを呼ん けて流行し、金糸・銀糸の布で包まれて、 で、オシラ様のお祭りをしました。これ 飾りを付けた久渡型オシラ様が急増し、 を「遊ばせる」といい、イタコがオシラ 現在では北海道にまで広がっています。 様を両手に持ち、祭文を唱え、ムラの一 社 会 の 動 き を 反 映 し ま す 。 明 治 34 年 年や豊作、家々のこと、家族の健康等に (1902)に青森第五連隊が八甲田山で遭 たくせん ついて託 宣をしたのです。 難する直前に、オシラ様が止めようとし た話が八戸市に伝わるほか、オシラ様が 3・オシラ様の性格とタブー たいていオシラ様は、初めはイタコや カミサマなどのシャーマンによって家に 授けられ、家の主婦が祀りますが、ムラ、 こう 講 で 祀る 場合 もあ り ます 。オシ ラ様 は 子どもが好きだといわれ、祭日には、子 太平洋戦争に従軍した息子の弾除けとな った話、家族を交通事故から守ろうと割 れた話なども少なくありません。現在、 ムラでオシラ様を遊ばせる行事が少なく なる一方で、現代でも新しく授かる家も あり、今もなお風土に生き続けている信 仰です。