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豊かな生活の実現に向けた経済政策のあり方【概要】 1.日本の所得
豊かな生活の実現に向けた経済政策のあり方 【概要】 1.日本の所得・資産の水準および格差の状況 所得の格差は主要国のなかで中位程度に 位置し、資産の格差は最も小さい 日本の所得・資産は国際的にみて高水準 (万ドル) 5 一人当たり国民総所得(名目、2005年) (万ドル) 20 4 一人当たり純資産(2000年) 成人一人当たり純資産のジニ係数(2000年) 等価可処分所得のジニ係数(2000年) 0.4 15 小 0.9 大 格差 小 格差 大 0.609 0.663 0.671 0.697 イタリア カナダ ドイツ 0.3 0.6 3 10 2 3.0 3.4 3.4 3.4 3.8 3.6 18.1 4.2 12.7 5 1 7.1 8.6 8.6 9.8 イタリア ドイツ フランス カナダ 日本 イギリス 米国 0.273 0.277 0.301 フランス ドイツ カナダ 0.326 0.314 0.347 0.357 0.3 ドイツ イタリア イギリス 米国 日本 0.730 日本 イギリス イタリア 日本 米国 イギリス フランス ※ジニ係数とは不平等を表す係数。0に近いほど格差が小さく(平等)、1に近いほど格差が大きい(不平等) 格差の状況は深刻とは いえないが手放しでの 楽観は許されない 2.将来にわたり懸念される事項 成長力の低下 若・中年者の不安定就業化 ・無業化の影響 構造的な生活困窮者 の増加 3.今後の経済政策のあり方とセーフティネットの整備の方向性 (1)成長力の強化 ・持続的な経済成長の実現は、失業率の低下をはじめ、 業種別、企業規模別、職種別の賃金差の縮小、ひい ては所得そのものの格差の縮小に寄与する。 ・経済全体が持続的な成長を維持するためには、イノ ベーションの推進、生産性の向上、国内外の需要の 創出・拡大、道州制の導入や労働市場改革など、成長 を重視した経済政策が鍵を握る。 日本の名目経済成長率とジニ係数 (%) 20 15 名 目 10 経 済 成 5 長 率 0 -5 0.30 0.35 0.40 0.45 0.50 0.55 当初所得のジニ係数 (2)不安定就業化・無業化している若・中年者の就業能力向上・就業促進 ・就職氷河期に不安定就業化・無業化した若・中年者が経済的自立を果たすためには、成長戦略による雇用機会 の拡大に加え、労働市場における需給調整機能の強化、若年層の職業能力の向上、さらには、仕事・役割・ 貢献度を基軸とする賃金制度への転換をはじめとした企業の処遇制度の見直しが必要。 (3)所得再分配政策の効率化・重点化 -真に必要なセーフティネットの整備- ・生活保護は基礎的なセーフティネットとして重要だが、 「貧困の罠」となるおそれもある。勤労控除の見直し など、被保護者の勤労インセンティブを高める方向で、 従来の施策を充実させていく必要がある。 ・社会保障制度を通じた所得再分配は、格差是正に有効に 機能している。しかし、過度の再分配により国民負担率 が上昇すれば、持続的な成長を損なうおそれがある。 社会保障制度を持続可能なものとするためにも、公的年 金・医療・介護の一体的な改革を進めていくべき。 0.801 0 0 カナダ フランス 0.547 0.1 0 0 0.2 14.4 実質経済成長率と国民負担率 (%) 10 実 質 経 済 成 長 率 8 6 4 2 0 -2 -70 -60 -50 -40 -30 -20 -10 国民負担率(固定効果調整済、対名目GDP比、%) ※上図は1971~2004年のOECD諸国の実質経済成長率と 国民負担率の関係を線形で表すように調整したもの 0 米国