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地球温暖化・生物多様性保全問題などにおけるリーダーシップ
環境委員会 平成 19 年 10 月 23 日 『地球温暖化・生物多様性保全問題などにおけるリーダーシップ、 水俣病問題の解決について』 ○田島(一)委員 民主党の田島一成でございます。 大臣以下皆さんから適切なわかりやすい答弁をいただきたいと思いますので、どうぞよ ろしくお願いを申し上げます。 御承知のように、十月十三日でしたか、アル・ゴア前アメリカ副大統領と、そして気候 変動に関する政府間パネル、IPCCがノーベル平和賞に輝きました。この評価について は、それぞれ皆さんいろいろな思いをお持ちだと思いますけれども、それこそ、平和活動 であるとか軍縮に貢献した方々、団体が受賞されてきた平和賞の範疇が大変拡大をされ、 二〇〇四年のワンガリ・マータイさんの受賞に引き続き、環境をテーマに、環境分野での 活動が認められての受賞だというふうに私も思い、大変評価を高くしているところでござ います。 何としてもこの温暖化の対策を急がなければ、そんなメッセージをこのノーベル賞委員 会が世界に向けて発信したんだというふうに私自身は受けとめておりますが、大臣は、今 回のノーベル平和賞をゴア氏、そしてIPCCが受賞したことについて、まず、どのよう に評価をされているのか、お答えをいただきたいと思います。 ○鴨下国務大臣 先生おっしゃるように、アル・ゴアさんあるいはIPCCがノーベル賞 をとったということは、世界のトレンドが環境に非常に関心を持ち始めたというようなこ との証左だろうというふうに思います。 特に私は、アル・ゴアさんが平和賞をとられたというようなことについては、これは多 分、地球温暖化の問題が、いずれのときにか、食料危機だとか水の問題だとか天災だとか、 こういうようなものによって全体的に平和に対して脅威になる、こういうようなことをノ ーベル委員会はお考えになったんだろうというふうに私ながら考えているわけでありまし て、環境問題で平和賞という趣旨は非常に重いというふうに思います。 加えて、IPCCにつきましては、先ほどもお話ししましたけれども、数千人に及ぶ世 界の地球物理学者初め多くの方々が集まって、いろいろな意見があるわけでありますけれ ども、その意見を集約して最終的にIPCCが受賞されたというようなことは、これは、 いわば人為的な温室効果ガスが温暖化に影響を与えている、こういうようなことを疑いも なく証明したというようなことなんだろうというふうに思っておりまして、それぞれ、ア ル・ゴアさんとIPCC、その受賞の本意といいますか、それは、少し違っている二つの 理由があるというふうに今理解しています。 ○田島(一)委員 御承知のように、二〇〇〇年のアメリカの大統領選挙で、アル・ゴア 氏はブッシュ氏に小差で敗れました。その翌年には、ブッシュ新政権が京都議定書から離 脱を表明し、そして議定書自体は最大のガス排出国であるアメリカを抜きにしてスタート した、そんな経緯もありました。 もちろん、ゴア氏も、温暖化に関する主要な情報攪乱源の一つはブッシュ・チェイニー 政権であると映画や著書でも述べているとおり、この手厳しい批判を私たちはしっかりと 受けとめながら、今回の受賞というものを評価していかなければならない、そんなふうに 思っております。 いよいよこの十二月にはCOP13 がスタートいたしますが、ちょうどその時期にノーベ ル平和賞の授賞式も行われる。何とも皮肉な、また世界に向けての大きな関心を呼び起こ すきっかけが、この年末に行われるわけであります。 そういったことからも、大臣には、このCOP13 に向けてどのような姿勢で取り組もう とされているのか、この点についてぜひ聞かせていただきたいと思っております。 冒頭、今度、あしたからですか、二十四、二十五とインドネシアでCOP13 の閣僚級準 備会合に出席をされるというふうに承っておるわけですけれども、日本政府がどのような 姿勢で臨み、またどのような姿勢で今後取り組もうとしているのか、この点についてやは り確認をしておきたいと思います。 これまで、マスコミ対応で記者会見を重ねていらっしゃる。その中で、十月五日、大臣 の会見で、日本がどれだけのプレゼンスを示せるかこれから考えていきたいというような ことを述べていらっしゃり、ぜひこの会合の中での日本の存在感を示していきたいという ふうに思っていらっしゃるというふうに受けとめたわけであります。 このCOP13 の中で日本の存在感を示すに、具体的にどのようなことを方法としてお考 えなのか、お示しをいただけないでしょうか。 ○鴨下国務大臣 国会の御了解がいただければ、きょうの夜からボゴールに行ってまいり ますけれども、十二月のCOP13 ではどういうような形になるかというようなことのいわ ば準備会合が、ボゴールで、あした、あさってと開かれるわけです。 その中で、私たちは、バリのCOP13 でどんな次期枠組みを構成する要素や実現手段、 こういうようなものが提案できるかというのをこの準備会合の中で今提案しようとしてお ります。 加えて、いわゆるバリ・ロードマップと言われるようなことが、先ほど九月の二十四日 のハイレベル会合あるいはその後のMEMを含めて国連の枠組みの中で議論をしていこう というような流れはできてきたというふうに申し上げましたけれども、今委員おっしゃっ ているように、アメリカが離脱したら意味がないわけでありますから、そういうようなこ とを含めたロードマップをどう描き切れるかというのが、今回の、ある意味でバリまでの 重要な問題だろうというふうに思っています。 そういう中で、中国、インドも含めてすべての国が参加してもらえるような、そして、 これは対話ではなく交渉のできる枠組みをどうつくるかというのが今回ボゴールに行く大 きな目的の一つでもあるわけでありますから、そういうようなことで、一つ一つ、一歩一 歩、目の前のハードルを越えていきながら、最終的に来年のサミットにしかるべき成果を 上げるための着実な歩みをしていきたい、こういうふうに思っているところであります。 ○田島(一)委員 着実な歩みを示していきたい、そして交渉の枠組みをつくっていきた い、そのような思いは理解をするところであります。 しかしながら、会見の中でのお答え、また今回の大臣の所信の中でも、国際的なリーダ ーシップを発揮していくとおっしゃっているかと思えば、会見の中では調整役に汗をかい ていくというような、本当にリーダーシップであるとか存在感を示す覚悟がおありなのか 疑問を、どうしてもやはり私どもはぬぐえないところがあります。 リーダーシップ、存在感を示していくためには、先ほど村井委員の方も質問いたしまし たけれども、日本としてやはり中長期目標をしっかりと掲げていくことが何よりも私は最 優先すべきことではないかというふうに考えます。 先日の参議院の予算委員会でも、民主党の福山哲郎参議院議員が質問をした折に、大臣 の方は、いわゆるほかの国がいわば脱落するような目標を立てても意味がありませんとい うようなことをおっしゃったと議事録で拝見をいたしました。日本国内の総量削減目標を 設定するわけですから、他国の動向を踏まえるとはしても、それにとらわれて弱腰の目標 設定をしているようではおっしゃるリーダーシップや存在感を示すことには到底つながら ないでしょうから、現実的にやはり目いっぱいの数値目標というものを設定していかなき ゃいけないと私は思うんですね。 お答えは結構ですけれども、私ども民主党は、それこそ二〇二〇年までに九〇年比の二 〇%、それから二〇五〇年までには五〇%という中長期目標、削減目標を示しました。こ れを超える、もしくはこれを十分に満足していただくような中長期目標を設定していただ かないことには、国際的なリーダーシップ、存在感を示すことにも当然ならないと思いま す。 その点だけは、ぜひ肝に銘じていただいて、COP13 ももちろんそうですし、今後の日 本でのいわゆる温暖化対策に当たっていただきたい、このことを強く要望して、次の質問 に入らせていただきたいと思います。 二〇〇七年、二〇〇八年は、ありとあらゆるテーマでの国際会議がメジロ押しでありま す。もちろんG8関係もそうですが、温暖化関係、そして生物多様性の関係やスリーRの 関係など、それぞれの分野で国際会合がメジロ押しである中で、日本もいよいよ野生生物、 生物多様性に関しては二〇一〇年のCOP10 の日本開催誘致を閣議決定されたというニュ ースが流れてきているところであります。 大臣所信の中でも、「自然と共生し持続的に発展する社会を目指し、私たち人間も地球と いう大きな生態系の一部であり、地球によって生かされているという認識のもとに、豊か な自然を次世代に引き継ぐ責任があります。」と述べられました。 現在、今年度中に策定予定というふうに伺っている第三次の生物多様性国家戦略ですけ れども、これがどのあたりまで今作業が進められているのか、非常に関心のあるところで あります。国民的な関心を呼び起こしつつもその対策を幅広く展開していくと大変耳ざわ りはいいんですが、一体この幅広い対策というのは何なのか、また具体的にどのような施 策を盛り込もうとされているのか、この点について、私ども、どうしてもイメージがつか めません。どのようにお考えなのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。 ○櫻井政府参考人 第三次の生物多様性国家戦略の策定についてでございますが、本年四 月に中央環境審議会に諮問をいたしまして、自然環境・野生生物合同部会に設置されまし た生物多様性国家戦略小委員会において、九月までに六回の審議を経て同戦略の案をまと めていただいたところでございます。 現在は、その案に対しまして、十月十四日までの一カ月間実施しましたパブリックコメ ントの結果を整理中でございまして、今後、その結果も踏まえて、合同部会で改めて御議 論をいただいた上で、答申を得た後に、本年中に生物多様性国家戦略を決定するというこ とを目指したいというふうに考えておるところでございます。 ○田島(一)委員 十四日で締め切られたパブコメ、もちろん、いろいろな意見が集めら れた中で、それの集約作業にこれから入るという御答弁でありましたが、それこそ、今後、 二〇一〇年の第十回の締結国会議を立候補するのであるならば、いわゆる国家戦略という 取り組みのみならず、ある意味では、今多岐にわたっている野生生物を取り巻く法体系を きちっと整備していく、野生生物に関する基本法なるものをやはり制定していくべきだと いうことを、我々民主党はさきの参議院選挙でも訴えてまいりました。 やはり、締結国会議の議長国として立候補する以上は、そういった姿勢をきっちりと示 していくこと、また、さまざまな利害の関係の中に野生生物を取り巻く環境が今置かれて いる中で、非常な問題が随分起こってきております。そう考えると、私どもは、基本法な るものをしっかりとつくって、それぞれの各省庁にまたがっての問題意識をきちっと認識 していくことが何よりも先決ではないかというふうに考えるわけでありますが、この国家 戦略の第三次の作業状況と相まって、この基本法なるものをつくるという考え方は全くお 持ちでないのかどうか、その辺のお考えをぜひ聞かせてください。 ○櫻井政府参考人 自然と共生し持続的に発展する社会を築くというためには、国民的な 関心を高めるということが何より大切であろうというふうに考えておるところでございま す。 先ほど申しました生物多様性国家戦略の案では、今後の取り組むべき四つの基本戦略と いうものを挙げておりますけれども、その筆頭に「生物多様性を社会に浸透させる」とい うことを挙げているところでございます。 また、この生物多様性国家戦略におきましては、「地域における人と自然の関係を再構築 する」、あるいは「森・里・川・海のつながりを確保する」、あるいは「地球規模の視野を 持って行動する」というようなことを基本戦略として掲げておるところでございます。 それらに沿って、幅広い施策を関係省庁と連携して展開するということを通じまして、 生物多様性の保全、あるいは自然共生社会の実現に努めてまいりたいというふうに考えて おるところでございます。 ○田島(一)委員 通告の中に盛り込んでなかったからかもしれませんけれども、国家戦 略の見直しで十分にそれは補えるというふうにお考えなのかどうか、お聞かせいただけま すか。基本法なるものは必要ないというふうにお考えなのか。いかがですか。 ○櫻井政府参考人 現在、生物多様性国家戦略の中では幅広い施策を盛り込んでおるとい うことを今御答弁申し上げましたけれども、生物多様性の保全に関する基本的な考え方、 あるいは国としての行動、さらには地方公共団体あるいは民間の取り組みを促すというよ うな基本的なことは、この生物多様性国家戦略でカバーをしておるというふうに私ども今 考えておるところでございます。 ○田島(一)委員 基本法としてつくり上げるのか戦略としておまとめになられるのか、 これは意味合いとしては随分大きく違うと思うんですね。今度締結国会議の議長国として 立候補されるのであるならば、その体制を整えていくこと、日本としての野生生物また生 物多様性確保についての姿勢をきちっとした法律で示していくことが何より大事ではない かというようなことを考えて、提案をしているものであります。恐らく、局長のレベルで はまだそのようなことを思い切ってお答えできないのかもしれませんけれども、私は、国 家戦略だけに満足していただくようでは、他の省庁との関係等々から見てもまだまだ大変 弱いというふうに思っております。 その一つ、鳥獣の保護管理について、例示を示しながら申し上げたいというふうに思う んです。 大臣も、鳥獣の保護管理については、広域的な管理や担い手の確保などの取り組みを強 化していくということを所信の中でも盛り込まれました。クマにしてもイノシシにしても、 自然との共生として、環境関係者側からすれば保護管理ということになるわけですが、農 林業関係者からすれば害獣、いわゆる駆逐、駆除という対象になりがちであります。こう いった折り合いをつけていくことが大変大きな課題として私ども受けとめておるわけであ りますが、残念なことに、今この流れは、必ずしも、環境省なりが国家戦略をおまとめに なろうとしている、その流れに沿っているとは言いがたい状況があります。 せんだって報道で知りましたが、自民党の有害鳥獣議員連盟が鳥獣対策で特別措置法を 検討しているという、そんなニュースが入ってまいりました。実りの秋に入り、それこそ クマや猿、シカ、イノシシが、冬眠を前にして、いわゆる農林業に従事されている方々の 田畑、そして森林にかなり多くの被害を及ぼしている、この被害を拡大させているという 認識は、私のみならず皆さんが御理解をされているところだというふうに思います。 ただ、現状の背景を探るというような努力、言ってみれば、生息環境の把握であるとか 野生鳥獣の生態の把握、また、被害対策の専門アドバイザー等々を育成するというような 対策が不十分なまま、この自民党の有害鳥獣議員連盟は、中山間地域での野生鳥獣農作物 被害の拡大の対策として自衛隊を出動させろというようなことをおっしゃっているという ふうに聞き及んでいるところであります。 私は、この中山間地域での鳥獣被害対策をするのは、これは農林水産業の分野だけでは なく、やはり環境省も決して黙っているわけにはいかないだろうというふうに考えますし、 果たして、自衛隊に出動していただいて、それで一気に鳥獣被害を駆除してしまおうとい う短絡的な発想が環境省として本当に受け入れられるのかどうか。今、この生物多様性の 国家戦略、第三次を作成しようとしている流れの中で、いわゆる短期的に、一気に駆除し てしまえというような非常に乱暴な発想が自民党の中で起こっている、議論されていると いうことに、大変な危惧を持っているわけであります。 大臣がこの議連に所属していらっしゃるのかどうか存じ上げませんけれども、果たして 有害鳥獣の駆除が自衛隊出動によって本当に問題解決になるのかどうか、この点について、 派生をした質問になりますけれども、大臣のお考えをぜひ聞かせていただけないでしょう か。 ○鴨下国務大臣 二つの難しい命題があるわけでありまして、一つは、農林業の関係者か らすると、先生おっしゃるように、ある意味で害獣であるわけでありますけれども、生物 多様性から見ればこれはもしかすると重要な問題なんだろうというふうに思って、この二 つの命題をどうするかという話を私はいただいたんだろうと思います。 この問題をいつも思うときに、先生ごらんになったかわからないけれども、 「もののけ姫」 という映画があって、あのときに、たたら場だとか何かにイノシシが出てきて、それで、 イノシシにとってみればもともとの住まいなのにというような、あれをすぐ思い出すんで すが、先生おっしゃるように、両面をきちんとバランスをとるということが重要だろうと 思います。 ですから、そのためには、今お話しになったようなさまざまな専門的な方々を動員して、 単純に出てきたから撃ってしまえというわけにもいかないし、でも、例えばニホンジカの ように、天敵だとか何かの生態系の中で頂点にあって、そしてどんどんふえてきて、さま ざまな問題が起きている、こういうようなところはある程度適正にしなければいけない。 こういうようなところの部分がありまして、必ずしもどっちがいいとか悪いとかというの ではなくて、冷静に議論をして、そしてバランスのいいところというようなことを考える のが、私の今のところの申し上げられる範囲であります。 ○田島(一)委員 大臣の答弁としては、私はちょっと落第点だなというふうに思うんで すね。担当部局から、この生物多様性の国家戦略をどのように組み立てようとしているの かをもう一度ぜひレクを聞いていただきたいというふうに私は思うわけであります。 なぜ今の中山間地域で鳥獣被害がこれだけ大きくなってきているのか。このメカニズム をやはり解明していくことこそ、私はまず優先すべき課題ではなかろうかと思います。 当然、過疎化が進みました。人間が、先ほど「もののけ姫」を引用されましたけれども、 元来人が踏み込まなかった中山間地域にいわゆる集落を形成し、田畑を開墾し、そして人 間が我々の営みを中心としてこの自然界に君臨をしてきたのが今日のありさまであります。 当然ながら、野生生物にしてみれば、そのような実態はわかるわけはありません。しかし、 そういった原始の部分だけに議論を終始するのではなく、それ以降、例えば中山間地域が 過疎化をした、高齢化をした、そしてまた耕作放棄地が増大をしてきたといったいろいろ な社会的要因があっての被害であります。 自民党の有害鳥獣議員連盟は、鳥獣被害を自然災害だというふうに受けとめていらっし ゃるようであり、自然災害だから自衛隊が出動するのはおかしくないというような御意見 のようでありますけれども、駆除しか鳥獣被害対策はないというような発想に立てば、今 おつくりになっている国家戦略自体も意味が全くなくなってしまいます。環境大臣は、環 境省のトップでありますから、どちらの視点も大切にする、これはもちろん政治家として 当然のことではありましょうが、ぜひ生物多様性を確保するという視点での鳥獣被害対策 に取り組んでいただきたい、私はこのことだけを切にお願いしておきたいと思います。 最後に、本当に自衛隊が出動をすることによって鳥獣被害がなくなるとお考えかどうか、 それだけ、イエスかノーかで結構です、お答えください。 ○鴨下国務大臣 イエスもノーも答えられないのが現実だろうというふうに思います。 先生おっしゃるように、生物多様性の中には生態系というものもありますから、かつて はある意味でバランスがとれていたところがなかなかうまくいかないというのと、今おっ しゃるように中山間地の里山だとか何かの管理が行き届かないというようなこととのバラ ンスもあるのかもわかりませんが、これは我々にとっては大変重い課題でありますし、環 境省としてはそれなりに、生物多様性をきちんと踏まえた上での害獣をどういうふうに扱 うかというようなことでありますけれども、このバランスはなかなか難しいということだ け申し上げておきます。 ○田島(一)委員 きょうはこれぐらいにしておきますけれども、ぜひ大臣、逃げないで、 真正面からとらえてくださいね。これはやはり大臣としての私は使命だというふうに思っ ておりますので、生意気なことを申し上げて大変恐縮ですけれども、よろしくお願いしま す。 最後、五分となりましたので、水俣病問題、そして健康被害対策についてお尋ねをした いと思います。 先般、水俣病救済のいわゆる決着のために、一時金支給について与党プロジェクトチー ムの方から百五十万円という額で提示をされ、二団体が受諾をするというような報道がな されているところであります。もともと、大臣の所信の中でも、いわゆる与党PTと連携 をし、水俣病被害者の救済に向けた取り組みを進めていくというふうに、余り主体性のな いごあいさつをなさったところでありますけれども、歴史的な経緯であるとか被害者の皆 さんの実態等々を把握したとき、与党PTと相談をしなきゃならない立場はわかるところ でもありますけれども、本気で環境省がすべての被害者を対象に全面解決をしていく覚悟 があるのかどうか、そのあたりを私はぜひ所信演説の中で伺いたかったところであります。 まず、その思い、どのような方向で救済を進めていこうと考えるのか。 中には、いわゆる不知火患者会であるとか互助会は政治決着を拒否する構えというよう な報道もなされておりますけれども、とりあえず、今回の政治決着は、私どもが言うのは 大変僣越ですけれども、あの九五年の政治決着からすると随分トーンダウンをしてしまっ た、何か紛争を押さえ込む手だてではないかというふうに評価を実はしているところなん ですけれども、大臣が本当に全面解決をする覚悟がおありなのかどうか。その点、答弁を ぜひお願いしたいと思います。大臣に聞いています。 ○鴨下国務大臣 平成七年の政治決着、これは、私も多少あのときにかかわらせていただ きましたけれども、最終的かつ全面的だ、こういうようなことであったわけでありますけ れども、その後、前提条件がいろいろと崩れてまいりまして、結果的には、認定基準を満 たさないものの救済を求める人たちを広く水俣病の被害者と受けとめる。それからもう一 つは、あらゆる関係者の理解を得て、早期の、かつ最終的、全面的解決になる最後の政治 救済策を取りまとめる。こういうようなことで、今与党のプロジェクトチームが動いてい るわけであります。 そして加えて、その中心になっている先生が各患者団体とも折衝しているわけで、マス コミでも、金額についてあるいは手当についてそれぞれ報道がされているようであります けれども、まず、今、交渉の舞台は与党のプロジェクトチームとそれから患者団体であり ますから、それを受けて我々はどういうふうに最終的に政府として判断するか、こういう ような段取りになっておりますので、先生にはしかられるかもわからないけれども、今の ところはそういうようなことしかお答えしようがないわけであります。 ○田島(一)委員 これまでの取り組みの中で大きな問題点というのは、やはり実態把握 に全力的に取り組んでこなかったという問題だと思うんですね。この実態把握を十分にや らなければきちんとした解決にならない、これは私の考えであります。隠された実態、そ れから隠れている実態、そしてまた自覚意識のない、そういった被害者の実態というもの がまだまだ山積をしております。 与党PT等の解決策を受けての環境省としての取り組みということでありましたけれど も、やはり全面解決をしていくという覚悟が、それこそ九五年のときのあの解決にかかわ っていただいている大臣でありますから、十分にその実態の結末は御承知のことだという ふうに思います。 その点をぜひ踏まえていただいて、今度こそ本当に解決していけるんだ、そのためには 実態把握もきちっとやるんだという意気込みをお示しいただかないと、またぞろ同じこと を繰り返し、引き延ばしになるのではないかというような不安が私はどうしても頭をよぎ ってなりません。その辺について、大臣、最後の答弁としてお答えください。 ○鴨下国務大臣 おっしゃることはよくわかるわけでありますけれども、ただ、利害関係 者はそれぞれありますので、それぞれの意見を調整するというのが最終的に政府の役目で ありますから、今の段階で、与党の間あるいは関係者等の間での折衝が行われているわけ でありますので、私が今ここで、ではその先どうするという話は申し上げるべきでないと いうふうに思っております。また改めて、すべての方向が定まった段階で、環境省として の方針について申し上げさせていただく時期が来ると思います。