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第 44 講 地誌:東南アジア
基礎からわかる地理 第 44 講 地誌:東南アジア 自然環境 ① 気 候 ・大半が熱帯気候 → 高床式・杭上家屋が多く見られる。 ・大河川では三角州が発達し、水田に利用。 Aw 気候の範囲が広く、夏の季節風は多雨をもたらす。 ② 地 形 ・インドネシアの島々は新期造山帯に伴う列島で、火山が多い。 プレート活動による地震の頻発地帯 ※マラッカ海峡 → スマトラ島とマレー半島の間で大陸棚にあたる。 非常に浅く,座礁事故が多発 ※主な地形 → エーヤワディー川 ロンボク海峡 島 309 チャオプラヤ川 スンダ海溝 カリマンタン島 バリ島 メコン川 ジャワ島 ルソン島 マラッカ海峡 スマトラ島 スラウェシ 第 44 講 地誌:東南アジア 産業と生活 ① 農 業 ・大陸部 → 河川のデルタを利用した稲作が盛ん。 ・ベトナムはフランス植民地の影響でコーヒー栽培が盛ん ・カンボジアのトンレサップ湖やタイの一部 → 増水期の水位を利用した浮稲耕作を行っているところもあ る。 ・多くの国でプランテーション農業が続いている。 おもに換金用の樹木作物 マレーシア:油ヤシ かつては天然ゴムだったが合成ゴムの普及、原木の老朽などか ら撤退 タイ:天然ゴム フィリピン:ココヤシ ・タイやインドネシアなどの海岸ではエビの養殖が盛ん。 → ・熱帯林 → マングローブの伐採が問題 かつては木材輸出も多かったが、現在は森林保護の観点からも丸太の 輸出を規制する国が多い。また工業化を促進する点から合板材の輸出 を行う。 ※緑の革命 → ② 工 インドネシア等で実施。生産量が増加。 業 ・安価な人件費を武器に輸出指向型工業で発展した国が多い。 ・マレーシア → ルックイースト政策のもとで、日本等からの工場進出で、1980 年代を中心に急速発達。これまでのすずのモノカルチャーから脱 却。クアラルンプールが中心。 310 基礎からわかる地理 ・シンガポール → 中継貿易で発達。東南アジア最大の工業地域ジュロン。金融セ ンターとして注目。 ・ベトナム → 社会主義国だが、ドイモイ(刷新)政策で市場経済を導入し急成 長中。東南アジアの第3のブーム(シンガポール、マレーシア→ タイ、インドネシアの次)になりつつある。 ※フィリピン→首都マニラの西バタアン半島に輸出加工区 ※インドネシア→原油・天然ガス輸出。ほかにもすずやボーキサイトが有名。 ③ 生 活 ・ミャンマーからシンガポールにかけては上座部仏教、インドネシアはイスラームで、 ベトナムは大乗仏教、フィリピンはキリスト教の信者が多い。 ・上座部仏教:男子は一生に一度出家。寺院はパゴタと呼ばれる仏塔が見られる。 ・インドネシアのバリ島はヒンドゥー教徒が多い ・言語 → 基本的に各国の言語を使用 フィリピン:英語とフィリピノ語が公用語 マレーシア:マレー人と中国人とインド系が共存 マレー人:中国系:インド系=6:3:1 (マレー語)(中国語)(タミル語) 少数の中国系が経済的上位→マレー人優遇政策 (ブミプトラ政策) シンガポール(4つの公用語) ・植民地 → 旧イギリス領:ミャンマー、マレーシア、シンガポール 旧フランス領:ベトナム、カンボジア、ラオス 旧オランダ領:インドネシア(東ティモールはポルトガル) 旧スペイン(アメリカ)領:フィリピン 311 第 44 講 地誌:東南アジア ※インドネシア → ジャワ島に人口が集中、飽和 移住計画実施(トランスミグラシ政策) カリマンタン島などの人口希薄地へ 312 基礎からわかる地理 【ワーク】 地図に、次の主要都市の位置を示そう。 1 ハノイ 5 ジャカルタ 313 2 バンコク 6 マニラ 3 クアラルンプール 4 シンガポール 第 44 講 地誌:東南アジア 314 基礎からわかる地理 次の問に答えよ。 (1)マレー半島とスマトラ島の間にある海峡の名前を答えよ。 (2)ジャワ島の北にある、マレーシア・インドネシア・ブルネイが領有している島の名称を 答えよ。 (3)タイ・バンコクの気候区をケッペンの記号で答えよ。 (4)天然ゴムの生産量が世界最大の国を答えよ。 (5)ココヤシの生産が世界で最も多い国を答えよ。 (6)前問(2)では、数多くの資源が産出される。代表的なものを二つ答えよ。 (7)市場経済を導入し、経済開放を打ち出したベトナムの政策の名称を答えよ。 (8)マレーシアにおける、マレー人の比率はどのくらいか。 (9)マレーシアでとられている、マレー人を優遇する政策を何というか。 (10)シンガポールの公用語を答えよ。 315 第 44 講 地誌:東南アジア 次の各文には誤りがある。誤りを訂正し、正しい文に書き換えよ。 (1)インドネシアの島々の南方には、列島に平行して海嶺が形成されている。 (2)東南アジアの島々には、活火山はみられない。 (3)マレー半島には、かつてのゴム農園の労働力として多くのブラジル人労働者が移住し、 現在でも居住している。 (4)タイやカンボジア、ベトナムはフランスの植民地であった。 (5)インドシナ半島からマレー半島にかけて上座部仏教を信仰している人が多い。 次の問に答えよ。 (1)マレー半島ではかつて天然ゴムの栽培が盛んであったが、現在では減少を続けている。 その背景を 60 字以内で述べよ。 (2)前問 1 (1)は交通の難所といわれている。その理由を 30 字以内で述べよ。 東南アジアには、古くから様々な文化や技術が流入したが、大航海時代以降になると、周 辺の地域からだけでなく、欧米からも流入した。このことについて述べた文として最も適当 なものを、次の①〜④のうちから一つ選べ。(2001 年センター本試) ① ラオスでは、かつてフランスから大型帆船が訪れたのを景気として、盛んに外洋帆船 が建造されるようになった。 ② マレーシアでは、欧米諸国の食文化の影響を受けて、パンを作るために乾季には小麦 を栽培するところが多い。 ③ ミャンマーでは、イギリスから紡績機が導入され、インド産の綿花を原料とする綿布 が主な輸出産品になっている。 ④ フィリピンでは、スペインの植民地時代に伝えられたカトリックを現在も信仰する 人々が最もいい。 316