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欧州 6ヵ国における血友病患者の処方アドヒアランス

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欧州 6ヵ国における血友病患者の処方アドヒアランス
Original Article (Clinical) − Full Translation
欧州 6 ヵ国における血友病患者の処方アドヒアランスに関する調査:結果
と勧告
A survey of adherence to haemophilia therapy in six European countries: results and
recommendations
P. De Moerloose, W. Urbancik, H. M. Van den Berg and M. Richards
Haemostasis Unit, University Hospital of Geneva, Geneva, Switzerland; Baxter, Vienna, Austria; Meander Medical Centre,
Amersfoort, the Netherlands; and Department of Clinical Haematology, St James’s University Hospital, Leeds, UK
要 約:血友病患者がどの程度処方を遵守している
状の軽快,変動または消失;② 忘却;③ 時間がなかっ
かについては,これまでのところほとんど評価されて
た;④ 治療行為の利便性の悪さ,であった。これら
いない。本研究の目的は,血友病患者がどの程度
の理由は,
国および患者の年齢によって異なっていた。
処方を遵守しているかを調査するとともに,それら
アドヒアランスを改善するための患者からの主な提
を改善していくための勧告を提示することである。
案は,HTC ,環境および凝固因子製剤に関係して
国際的調査会社の専門家が,欧州 6 ヵ国(フランス,
いた。また,多くの患者が,インターネットを通じ
ドイツ,イタリア,スペイン,スウェーデンおよび英国)
た対話や電子的患者日記の開設がアドヒアランスの
の血友病患者 180 例(各国 30 例)に個別にインタ
改善に役立つと考えていた。他のほとんどの慢性疾
ビューを実施した。さらに,血友病専門医と血友病
患の患者集団と比べて,本研究で調査対象となった
専門看護師合計 28 人にインタビューを実施した。検
欧州の血友病患者集団は,アドヒアランスが高いよ
討の結果,全体として処方アドヒアランスは高かっ
うであった。しかし,処方非遵守には重大な結果に
た(各国 80 ∼ 87%)。アドヒアランスの高さと相関
結びつく危険性が潜在するため,患者が処方を遵
する因子としては「若年」,「定期補充療法を実施
守していない可能性を常に認識しておくことが重要
している」,「血友病治療センター(HTC)でスタッ
であり,特に今回のように調査目的で選択された患
フと費やした時間の長さ」
,「患者と HTC の血液学
者集団ではなく,他の特異的な患者集団の場合には
専門家および看護師との良好な関係」が見いだされ
なおさらである。
た。凝固因子製剤の投与量または投与間隔を遵守
Key words:処方アドヒアランス,コンプライアンス,
しなかった理由として患者が挙げた主なものは ① 症
欧州,血友病,定期補充療法,勧告
緒 言
高い凝固因子製剤が使用できるようになり,今日で
在宅治療そして一次定期補充療法として有効性の
は西欧諸国における重症血友病患者の多くが,重症
関節障害の罹患を回避できるようになった(1 ∼ 3)。一
次定期補充療法は,小児期の早い段階で開始した
Correspondence: Philippe de Moerloose, MD, Professor, Haemostasis Unit, University Hospital of Geneva, 1211 Geneva 14,
Switzerland.
Tel.: 0041 22 37 29 751; fax: 0041 22 37 29 777;
e-mail: [email protected]
Haemophilia( 2008),14,931–938
©Blackwell Publishing Ltd.
22
場合に最も効果的であるが,患児とその家族に苦難
を強いる。中心静脈 カテーテル(CVAD)を使用す
ることによって,若年患児に対する静脈穿刺を回避
できるが,感染症のリスクを最小限度に抑えるため
の無菌操作が必須であるとともに,両親あるいは年
長の兄弟は,CVAD 関連深部静脈血栓の徴候がな
欧州 6 ヵ国における血友病患者の処方アドヒアランスに関する調査:結果と勧告
いかを注意深く監視しなければならない(4 ,5)。定期
タビューは,2005 年 10 月∼ 2006 年 9 月に訓練され
補充療法をいつ中止すべきかについては,未だ議論
たインタビュアーが実施した。患者のリクルートおよ
が分かれており,現時点では一部の成人はこの治療
びリクルートした患者の本調査への参加は,地域の
を継続している一方で,他の成人は出血時投与療法
倫理審査委員会によって承認された。次の条件を満
(6 ∼ 8)
へ切り替えている
。現在の定期補充療法および
たす血友病患者を調査対象とした ― ① 重症血友
出血時投与療法は血友病患者が独立した,かつ生
病 A 患者である,② インヒビター陰性で,2 年以上
産的な日常生活を送ることを可能とするが,一方で,
の治療歴をもつ。全国規模または地域規模の患者組
これらは患者とその家族の献身,すなわち,自己管
織を通じて患者にコンタクトした。患者に送付した
理をベースとした過酷なレジメンを生涯にわたって遵
依頼状には,調査目的が治療に関する患者の知識,
守するという代償の上に成り立っている。スカンジ
そして凝固因子製剤とその投与に関連する問題がど
ナビア地域の中等症∼重症血友病患者は,血友病に
の程度理解されているかを把握することである旨を
関する知識のレベルが比較的高く,治療へのコンプ
記載した。このような調査への参加にふだん消極的
ライアンスも良好であることが最近の研究で報告さ
な患者も動機づけられるように,参加者に€ 100 の
(9)
れた
。しかし,欧州の重症血友病患者の処方アド
報奨金を提供し,それを公的組織に寄付するか,個
ヒアランス(以降「アドヒアランス」と略す)に関する
人のものとするかは本人の判断に委ねた。欧州の血
研究は,前述の研究を除いてほとんど報告されてい
友病患者の社会人口統計学的情報が不足しているこ
ない。また,世界規模で血友病診療の様式を調査し
とを考慮し,次のように幅広い患者集団が調査に含
た Haemophilia A Practice Patterns Survey が 2006
まれるようにリクルートした ― ① 都市部に居住す
年に報告されたが,この調査では欧州の血友病患者
る患者と地方に居住する患者 ② 教育レベルの異な
集団は全体のごく一部を占めるにすぎない(10)。
る患者 ③ 年齢の異なる患者(すなわち,幼児,学童,
本研究の主目的は,欧州における重症血友病患者
就業者,非就業者,退職者)
。また,全参加者の少な
のアドヒアランスを評価するとともに,処方遵守に
くとも 20%が小児期患児(2 ∼ 12 歳)
,他の 20%が
影響を与えると考えられる次の因子の影響を評価す
青年期患者(13 ∼ 19 歳)となるように調整した。
ることであった:レジメン,患者周囲の環境,治療
患者とのインタビューは,
すべて直接的な対面形式,
に対する患者の自覚と姿勢,個々の患者の経験や嗜
かつ地域の言語で実施した。インタビューは約 1 時間
好。さらに,次の項目を二次的目的とした ― ①
にわたって行われ,13 歳未満の患児を除いては,イ
非遵守の原因の分析 ② それらの原因を克服してい
ンタビュアーと患者のみの在室下で行われた。13 歳
く方法の提案 ③ 定期補充療法および出血時投与療
未満の患児については,両親に同席してもらった。
法で未だ満たされていないニーズおよび患者が抱えて
インタビューの内容には,患者が感じている問題,患
いる問題の特定 ④ 血友病患者のアドヒアランスを
者の行動に潜在する心理学的パターンと構造が明ら
改善していくための国家レベルおよび欧州全域レベ
かになる項目を含めた。インタビュアーは,Discus­
ルの戦略的勧告の提示。
sion Guide: Patient interviews(Appendix S1)に示
された指針に従ってインタビューを実施したが,セク
対象と方法
この国際研究では,欧州 6 ヵ国(フランス,ドイツ,
ション内におけるトピックの順序の変更は任意とし
た。いずれのインタビューにおいても,処方遵守に対
する患者の姿勢について聞き取りを開始する前に,
イタリア,スペイン,スウェーデンおよび英国)の血
患者との信頼関係を築くことを基本とした。インタ
友病患者合計 180 例(各国 30 例)に綿密なインタ
ビューでの患者のレスポンスに基づいて,投薬を怠っ
ビューを実施した。このサンプルは,高い信頼水準
てしまう頻度,怠ってしまうときの特異的状況およ
かつ小さな誤差幅での外挿を可能とする十分なサン
び怠ってしまう原因について分析した。凝固因子活
プルサイズとすることが意図された集団である。イン
性レベルや凝固因子製剤消費量といった客観的数値
23
Full Translation: P. De Moerloose, et al.
は使用しなかった。
ペインの 3 例を除き,全例が定期補充療法を受けてい
患者や患児両親に対するインタビューに加え,処
た。イタリアとスペイン,英国の成人は,半数以上が
方非遵守の問題に対する医療従事者の認識を評価
出血時投与療法を受けていた一方で[イタリア:
し,それらを患者のレスポンスと対比させる目的で,
血友病専門医と血友病専門看護師合計 28 人にイン
,スペイン:82.4%(14 例 /17 例)
,
76.4%(13 例 /17 例)
英国:72.2 %(13 例 /18 例)],ドイツとスウェーデ
タビュー(Appendix S2)を実施した[スウェーデンを
ンの成人は半数以上が定期補充療法を受けていた
除く各国から 5 名。スウェーデンについては,血友病
[ドイツ:69.2%(9 例 /13 例)
,スウェーデン:100.0%
治療センター(HTC)3 施設に所属する 3 名(各施設
(14 例 /14 例)]。フランスでは,定期補充療法を受
1 名)をインタビューした]。
本調査でインタビュアーを提供した第三者機関(国
けている成人と出血時投与療法を受けている成人が
それぞれ半数(7 例 /14 例)であった。
際的市場調査会社)がすべてのデータ解析を行い,
解析ではロジスティック回帰分析が使用された。ロ
アドヒアランス
ジスティック回帰分析には,二分化データと SPSS
インタビューでは「アドヒアランス」を凝固因子製
ソフトウェア[SPSS 社(米国)]が使用された。アド
剤処方量に対する実投与量の割合(パーセンテージ)
ヒアランスは,0 ∼ 75%と 76 ∼ 100%という 2 つの
と定義した。インタビューではほとんどの患者が最初
レベルで評価した。さらに,単回帰分析により処方
に 100%と答えたが,全例の 62.8%(113 例 /180 例)
遵守に対する次の因子の影響を評価した ― 国,
で“無意識の非遵守”を認めた ― すなわち,インタ
年齢,環境,レジメン,使用している第 VIII 因子
ビュアーが,投与間隔を怠ってしまったとき(定期補
(FVIII)製剤のタイプ,HTC でスタッフと費やした
充療法)や出血時に助言・処方どおりの投薬を怠っ
時間,患者と HTC の血液学専門家および看護師と
てしまったとき(出血時投与療法)などの実際の治療
の関係(常に医療チームの助言に従う;問題につい
状況について質問した場合には,100%という答えと
てお互いの意見を出し合った後に,相互の合意を図
実際の治療状況との間に乖離がみられた。しかし,
る;時に助言を拒絶する)。一部の患者はそれほど
この乖離を考慮してもアドヒアランスは全体的に高
頻繁に看護師と接触していなかったため,看護師と
く,凝固因子製剤投与量あるいは指定投与間隔の
の関係に関する患者の答えは 132 例から得られたの
80 ∼ 87 %が遵守されていた。真の非遵守(意図的
みであった。
な投薬の怠り)は稀で,概して出血時投与療法を受
けている青年期患者と成人でより頻度が高かった。
結 果
患 者
Table 1 に示すように,フランスとドイツでは他の
4 ヵ国と比べて小児期患児がより多くリクルートされ
たが,これを除いては全 6 ヵ国からほぼ同等の比率
で成人,青年期患児,小児期患児がリクルートされ
た。全例の 67.2%(121 例)
が定期補充療法を,33.8%
(59 例)が出血時投与療法を受けていた。81.6%
(147
例)は遺伝子組換え型凝固因子製剤を使用し,18.3%
(33 例)は血漿由来凝固因子製剤を使用していた。
フランスの小児期患児 1 例を除いては,全小児期患
児が定期補充療法を受けていた。青年期患者はフラ
ンスの 3 例,ドイツの 1 例,イタリアの 2 例およびス
24
処方非遵守の問題に対する医療従事者の認識につい
ては,いずれの国の医療従事者も,インヒビターや
Table 1. Proportions of adults, adolescents and children with
haemophilia A* interviewed in the survey.
Country
Germany
France
UK
Italy
Spain
Sweden*
All countries
Adults
(%)
13
14
18
17
17
14
93
(43.3)
(46.6)
(60.0)
(56.6)
(56.6)
(46.6)
(51.6)
Adolescents
(%)
7
5
7
8
8
10
45
(23.3)
(16.6)
(23.3)
(26.6)
(26.6)
(33.3)
(25.0)
Children
(%)
10
11
5
5
5
6
42
(33.3)
(36.6)
(16.6)
(16.6)
(16.6)
(20.0)
(23.3)
Total no of
respondents
30
30
30
30
30
30
180
*In Sweden, two severe haemophilia B patients were recruited at
the request of the national patient support group. Their behaviour
and attitudes to adherence did not differ from those of other
patients included in the survey.
欧州 6 ヵ国における血友病患者の処方アドヒアランスに関する調査:結果と勧告
治療コストなどの問題と比べて重要とは考えておら
提供していると半数以上の患者が答えた国は,ス
ず,全体的なアドヒアランスを > 95%と,わずかに
ウェーデンと英国のみであった。フランスとドイツ,
過大推定していた。
イタリアでも総合施設という形で各領域の専門医が
同一施設内で医療サービスを提供していたが(歯科
アドヒアランスに影響を与える患者関連の因子
医は稀であった)
,血友病専門医は不在であった。
アドヒアランスと年齢との間に有意な相関を認め
「HTC でスタッフと費やした時間の長さ」そして「患
た(p = 0.002(
)Fig. 1 ,Table 2)
。全体的に,アドヒ
者と HTC の血液学専門家および看護師との良好な
アランスは出血時投与療法を受けている患者と比べ
関係」は,いずれも高いアドヒアランスと有意に関
て定期補充療法を受けている患者で有意に高かった
連していた。
「患者と HTC の血液学専門家および看
(Fig. 2)
。国家間の比較では非遵守は,フランスと
護師との関係」については,全例の 60%が“合意を
英国の患者で一般的に頻度が高く,スペインでは出
図る関係”
(すなわち,
「問題についてお互いの意見を
血時投与療法を受けている患者で頻度が高かったが,
出し合った後に,相互の合意を図る関係」
)と表現し
いずれも差は有意ではなかった。
た。24 %は“遵守者である”
(すなわち,
「常に医療
チームの助言に従う」
)と答え,残りの 16%は“常に
アドヒアランスに影響を与える HTC 関連の因子
包括医療施設として HTC が広範な医療サービスを
遵守するわけではない”
(すなわち,
「時に助言を拒
絶する」)と答えた。成人は,青年期患者や小児期
患児の両親よりも「時に助言を拒絶する」と答えた
76–100%
26–50%
0–25%
「合意を図る関係」と答えた患者の割合は,ドイツで
2%
2%
最も低く,フランスで最も高かった。一方,
「常に
2%
5%
11%
医療チームの助言に従う」と答えた患者の割合はイ
% of respondents
75%
タリアとスペインで最も高く,フランスで最も低かっ
50%
98%
た(Fig. 3)
。
95%
患者は,HTC のスタッフについて概してポジティ
82%
ブな印象をもっており,
「共有的」,
「信頼できる」,
「友
25%
0%
患者の割合が高かった(順に 19% vs. 16%と 9%)
。
Adults (n = 93)
Adolescents
(n = 45)
Parents (of
children) (n = 42)
76–100%
Fig. 1. Level of adherence among adults, adolescents and parents
of children with severe haemophilia A. Adherence compared to
prescription: 0–25% extreme level; 26–50% low level; 51–75%
medium level; 76–100% high level.
Table 2. Logistic regression analysis on factors influencing
adherence.
Independent variable
v2 value
P-value
Country
Age
Environment
Treatment regime
Type of FVIII
Time spent with HTC member
Relationship with haematologist
Relationship with nurse (n = 132)
5.297
12.593
1.939
4.41
0.778
10.57
23.072
13.675
0.381
0.002
0.379
0.036
0.378
0.005
<0.001
0.001
51–75%
26–50%
0–25%
0%
100%
3%
9%
6%
1%
9%
% of respondents
100%
51–75%
2%
75%
50%
93%
79%
25%
0%
On-demand (n = 59)
Prophylaxis (n = 121)
Fig. 2. Level of adherence among patients receiving prophylaxis
vs. patients receiving on-demand therapy. Adherence compared to
prescription: 0–25% extreme level; 26–50%: low level; 51–75%
medium level; 76–100% high level.
25
Full Translation: P. De Moerloose, et al.
“always obeying”
“interested in a mutual agreement”
“sometimes refusing advice”
0%
100%
13%
3%
20%
30%
% of respondents
単回帰分析では 5 つの因子(年齢,レジメン,HTC
でスタッフと費やした時間,HTC の血液学専門家お
27%
よび看護師と患者との関係)がアドヒアランスの良
75%
67%
50%
方用量が高すぎると考えていた。
43%
70%
93%
47%
40%
好な予測因子であることが示された(観察された全
アドヒアランスの 90 %以上をこれらで予測可能で
あった)
(Table 2)。多変量解析では,これら 5 つのす
25%
27%
0%
GE
17%
UK
33%
33%
30%
IT
ES
SWE
7%
FR
Fig. 3. Relationship with the haemophilia treatment centre by
country. Respondents were asked if they considered themselves:
always obeying the treatment team member�s recommendation,
interested in a mutual agreement after discussion of my and their
views on that issue and sometimes refusing the advice (based on
other information). GE, Germany; UK, United Kingdom;
FR, France; IT, Italy; ES, Spain; SWE, Sweden.
べての変数を含めた場合に,観察された全アドヒア
ランスの 94.7 %が正確に予測された。さらに,
「血
液学専門家との関係」および「看護師との関係」とい
う 2 つの変数を,それぞれの元となる 3 つの変数(常
に医療チームの助言に従う;問題についてお互いの
意見を出し合った後に,相互の合意を図る;時に助
言を拒絶する)で置き換え,これら 6 つの変数を「年
齢」
,
「レジメン」および「HTC でスタッフと費やした
時間」と組み合わせた結果,全 180 例の観察所見の
うちの 94.4%が回帰式によって正確に予測された。
好的」
,
「有能」
,
「必要なときに対応してくれる」
,
「助
けてくれる」と表現した。しかし,
次のようなネガティ
処方遵守を怠ってしまう患者の理由
ブな意見も出された ―「スタッフが各患者に対し
投与量または投与間隔を遵守しなかった主な理由
て十分な時間をとれない状況下にある」
,
「患者とい
(全例の 25%以上によって挙げられた)は ① 症状の
うよりも疾患に焦点が当てられている」
,
「スタッフ間
軽快,変動または消失(38%)
;② 忘却(36%)
;③
のコミュニケーションが不足している」
。さらに,HTC
時間がなかった(30 %)
;④ 治療行為の利便性の悪
に関する他の批判的コメントとして「待ち時間が長
さ(30%)
,であった。「症状の軽快,変動または消失」
い」
,
「サービスの提供体制が不完全である」,
「スタッ
は,出血時投与療法を受けていた患者が最も高頻度
フの数が不十分である(診察時間外のオンコールス
(59%)に挙げた非遵守の理由であったが,定期補充
タッフ,理学療法士および臨床心理士を含む)」が挙
療法を受けている患者では「忘却」が最も高頻度
げられた。
(46%)に挙げられた理由であった。最も高頻度に挙
最も権威のある存在としてドイツとフランス,イ
げられた非遵守の理由は,患者の年齢によって異なっ
タリア,スウェーデンでは「血液学専門家」が最も高
ていた(Fig. 4)。また,非遵守の理由は,国家間で
頻度に挙げられたが,英国とスペインでは「両親」
も違いがみられた(Table 3)。
が最も高頻度に挙げられ,次いで「血液専門家」と
門家」が最も高頻度に挙げられたが,フランスとス
アドヒアランスを改善するための患者からの提案
患者から HTC ,環境,凝固因子製剤に関係する
次のような多様な提案が示された ― ① HTC:患
ペインでは「患者組織」が最も高頻度に挙げられ,
者の経験の尊重,より頻繁な家庭訪問・会合,患者
次いで「血液学専門家」という順であった。
講習会の実施;② 環境:医療従事者と学校とのより
いう順であった。また,最も重要な情報源としてド
イツと英国,イタリア,スウェーデンでは「血液学専
患者は,概して HTC の推奨用量について極めて
密な連絡,血友病に関する広報,より頻繁な患者ト
信頼性が高いと答えたが,フランスの患者の 23%(7
レーニングの機会,より柔軟な就業形態;③ 凝固因
例 /30 例)は信頼性が低いと答えた。一部の患者は,
子製剤:より容易に使用可能なシリンジシステム,
高用量投与によってより高い有効性が得られる,処
より便利な保存方法,投与形式の改善(経口投与が
26
欧州 6 ヵ国における血友病患者の処方アドヒアランスに関する調査:結果と勧告
% of respondents
Adults
0%
10%
Adolescents
20%
30%
Parents (of children)
40%
50%
60%
70%
Reduction, fluctuation, or disappearance of symptoms
Forgetfulness
Inability to make enough time for treatment
Traveling
Lack of availability of factor concentrate
Convenience issues
Social/family stresses
Differing perceptions of the problem
No faith in drug’s effectiiveness
Refusal to try prophylaxis
Central venous access device complications
Decision-making from parents to teenagers
Concerns about adverse effects
Misunderstanding of prescribing instructions
Failure to access peripheral vein
Fig. 4. Most often reported reasons for
non-adherence by age group.
Adults
n = 93
Adolescents
n = 45
Parents (of children) n = 42
Use of alternative medicine
Table 3. Most often cited reasons for non-adherence, by country.
Country
Reason 1
Reason 2
Reason 3
Comments by patients
Germany
UK
Symptoms*
Forgetfulness
Forgetfulness
Social/family stresses
Time�
Convenience issues
France
Italy
Convenience issues
Symptoms*
Time�
Convenience issues
Sweden
Forgetfulness
Time�
Symptoms
Refusal to try
prophylaxis
Venous access
Spain
Symptoms*
Forgetfulness
Perceptions�
Travel and sporting activities were also cited
Patients reported lack of trust because
of past infections from concentrate
Parents were concerned about pain during injection
Patients considered themselves experienced
and able to make decisions
Travel was an issue. Some parents would
administer a missed dose the next day
Patients reported their lack of trust in and a
lack of respect by professionals
*Reduction, fluctuation or disappearance of symptoms.
�
Inability to make enough time for the treatment.
�
Differences in perception of haemophilia by patient and professionals.
理想的)
,安全性に関するより多くの情報提供。
患者のための処方遵守に関する情報は,独立した
学術誌(48 %)や交友関係(45 %)
,インターネット
考 察
欧州の血友病患者を対象とした本研究では,血友
(43 %)
, 医薬品メーカー(32 %)
,保険会社(7 %)
,
病医療従事者の推定より若干低かったものの,概し
マスメディア(2%)というよりも,患者組織や医療従
てアドヒアランスは高く,意図的な非遵守も稀であ
事者(HTC)を通じて最も適切に発表されうると多く
ることが示され,スカンジナビア地域の患者を対象
の患者(87%と 79%)が考えていた。アドヒアランス
とした最近の研究の結果に沿うものであった(9)。欧
を改善していくうえで,インターネットを通じた対話
州の血友病患者におけるアドヒアランスは,いずれ
や電子的患者日記の開設が最も有用であると多くの
の年齢グループについても米国の血友病患者で報告
患者が考えていた[1(価値がない)∼ 5(極めて価
されているアドヒアランスよりも高い(11)。また,血
値がある)のスケールでいずれも 3.0 と評価された]
。
友病患者 47 例(成人 28 例,小児 19 例)を対象に最
次いで,パームトップ型コンピューター(2.7)
,投薬を
近米国で実施された単施設研究(12)では,定期補充
思い起こさせる電話(2.5)
,より高頻度な HTC 受診
療法を受けている患児における低いアドヒアランス
(2.1)が挙げられた。
が報告されているが,欧州および米国で行われた研
27
Full Translation: P. De Moerloose, et al.
究(10)では,概して成人よりも患児でアドヒアランス
(12)
が高かった。前者
却 ③ 時間がなかった ④ 治療行為の利便性の悪さ
では,全体的に本研究よりも
(これら ①∼④ は,米国人患者でも処方遵守の主な
低いアドヒアランスが見いだされており,特に強度
障害になっていると報告されている(11)) ⑤ HTC の
の高い治療法を使用している患者で顕著であった。
スタッフよりも自分のほうが経験が豊かで,より多
また,欧州の血友病患者におけるアドヒアランスは,
くの知識をもっているという患者の認識 ⑥(一部の
世界保健機関(WHO)によって推定されている他の
国)有害事象に対する懸念。
慢性疾患患者のアドヒアランス(約 50 %)よりも高
(13)
かった
。しかし,血友病患者では処方非遵守の
本研究では,アドヒアランスの高さと次の因子と
の間に有意な相関が認められた ―「若年」,「定期
結果が痛みを伴って速やかに現れる一方で,高血圧
補充療法を実施している」,「HTC でスタッフと費や
患者や糖尿病患者では多くの場合,長い年月が経
した時間の長さ」および「患者と HTC の血液学専門
過してから現れることを考えると,これは特に驚く
家および看護師との良好な関係」。
「教育レベル」や
べきことではな いかもしれない。さらに,FVIII 製
「国籍」,「生活環境」,
「職業」,
「使用している凝固
剤を投与する治療は,既に十分に確立しているとと
因子製剤のタイプ」との間には相関は認められなかっ
もに,現在市販されている FVIII 製剤の有害事象リ
た。CVAD を使用しているか否かは系統立って記録
スクは極めて低い。しかし,本研究で見いだされた
しなかったため,CVAD の使用とアドヒアランスと
血友病患者のアドヒアランスは,処方非遵守が重大
の相関を評価することはできなかった。処方非遵守
事象につながりうる他の患者集団(心疾患患者,肺
には多因子が関与することが他の研究で示されてい
(14)
疾患患者,心肺移植患者など)よりも高かった
。
るが,本研究によってこのことが再確認された。また,
同様に,本研究では,患児の定期補充療法を手助
これらの因子を分析するためには,その疾患が患者
けしている両親のアドヒアランスも高いことが証明さ
とその家族に強いる負担に関係する様々な因子に対
れた一方で,急性リンパ芽球性白血病患児の両親の
する患者とその家族の回答が必要であると WHO に
定期治療アドヒアランスは有意に低いことが報告さ
よって勧告されているが(13),これについても本研究
れている(15)。
で再確認された。
「痛みを伴って速やかに現れる非遵守の結果」のほ
出血時投与療法を受けている成人では,次のよう
か,本研究で高いアドヒアランスが見いだされたこ
な対策によってアドヒアランスが著明に高まると考え
との説明として次の点が考えられる ― ① 多くの患
られる ― ① スペイン:患者 – 医療従事者関係およ
者が HTC スタッフを権威のある存在と考え,かつ彼
び処方レジメンに対する患者の信頼感の改善 ② 英
らにポジティブな印象をもち,両者間に“合意を図
国:ライフスタイルおよび治療薬の安全性に関する意
る関係”そして信頼関係があった ② 患者教育のレベ
識の改善 ③ フランス:治療行為の利便性の改善。
ルの高さ,
患者が疾患に関するある程度の知識をもっ
定期補充療法を受けているドイツ,英国およびイタ
ていた(この点は,スカンジナビア地域の患者を対
リアの青年期患児では,「忘れてしまった」と「時間
(9)
象とした Lindvall らの研究
でも強調されている)
がなかった」に関係している問題を解決することに
③ 今回の調査が実施された 6 ヵ国ではヘルスケアシ
よって著明ではないかもしれないが,アドヒアランス
ステムを通じて治療費が償還され,凝固因子製剤が
が高まると考えられる。また,定期補充療法を受け
無料で患者に提供されている(治療コストが定期補
ているドイツとイタリアの成人では,治療を拒絶する
充療法実施の障害になっていると血友病看護師の
理由について話し合うことによってアドヒアランスが
(10)
45 %が指摘している米国とは対照的である
)④
高まると考えられる。一方,定期補充療法を行って
静脈アクセスの困難さを除き,凝固因子製剤は他の
いるスペインとスウェーデンの患児の両親については,
薬剤と比べて,速やかに出現する有害事象が少ない。
既にアドヒアランスが非常に高いレベルにあり,改
本研究で見いだされた非遵守の理由は次のとおり
善の余地は限られている。これら 6 ヵ国の患者およ
である ― ① 症状の軽快,変動または消失 ② 忘
び患児(その両親を含む)は,治療に関係する正確
28
欧州 6 ヵ国における血友病患者の処方アドヒアランスに関する調査:結果と勧告
な情報を必要としており,これらの情報は HTC や
れた。今回調査を実施した 6 ヵ国は,いずれも豊富
患者組織を通じて発表されるべきであると考えてい
な血友病医療の経験をもち,ヘルスケアシステムや
た。本研究の結果に基づき,我々はこれらの情報に
社会経済学的ステータスも同等である。
次の要素を含めることを推奨する ― ① 処方非遵
本研究の限界とは次のような点である。前述した
守によってもたらされる結果のよい例と悪い例 ② 処
ように,今回の調査に含まれた国々には,いずれも
方非遵守に伴うリスクに関するより正確な情報 ③
血友病医療に深く関与している強固な血友病医療組
FVIII 製剤の安全性に関する情報 ④ 治療の進歩に
織があり,本研究の結果はそのような状況下で得ら
関する最新情報 ⑤ 室温での凝固因子製剤の保存
れたものである。したがって,本研究で見いだされた
(旅行する場合)に関する情報 ⑥ 凝固因子製剤の半
アドヒアランスや考慮された標準的治療は,医療組
減期に関する情報 ⑦ 凝固因子製剤の容易な溶解法
織間のネットワークがより未整備の国々や,専門医
に関する情報。
療施設とタイトな関係をもたない副次的施設という
全体的にアドヒアランスを改善していくうえで患
状況下に必ずしも当てはまるものではない。また,
者が有用と考えていたツールは,インターネットを通
本研究でリクルートされた患者は,患者組織からの
じた対話と電子的患者日記であった。電子的患者日
依頼に応じて自分の意思で参加することを決めた患
記は,紙を使用した患者日記よりも記録の保存,
者であり,西欧の血友病患者の典型的集団ではない
(16 ,17)
HTC への迅速な情報供給
という点で優れてお
かもしれない。患者組織の活動にあまり積極的では
り,患者のアドヒアランスを改善すると考えられる。
なく,このような依頼にふだん応じていない患者は,
また,特に患児はコンピューターを使用する学習に
自身の治療に対してあまり関心がない,あるいは多
慣れているため,このようなツールは今後ますます広
くの知識をもたず,アドヒアランスが異なる可能性
く使用されると予想される。しかし,本研究では,
がある。今回我々は,幅広い年齢の患者グループ,
血友病医療スタッフによる患者との対話(または患
教育レベルや就業歴の異なる患者グループをリクルー
者への説明)の改善,そして患者とその家族へのさ
トしたが,選択バイアスは残った。さらに,WHO
らなる精神的支えの提供が必須であることも証明さ
はアドヒアランスの評価では自己申告のスケールと
れた。また,患者からは,血友病コミュニティーとの
客観的スケールの両者を組み合わせる手法を推奨し
より頻繁な会合や直接的接触,ならびに学校や職場
ている(10)。最近の研究で,注射記録に基づいてアド
への血友病患者のニーズに関するより多くの情報提
ヒアランスを定量化し,より正確にアドヒアランスを
供といったヘルスケアシステムという枠を超える対策
評価する試みがなされた(12)。しかし,この方法では
も提案された。これらの対策の多くは,必要とされ
患者が日々欠かす事なく記録することが前提となり,
る時間および費用という点で安価ではない。したがっ
著者ら自身も信頼性に欠けると報告している(全例
て,これらの対策を広く導入する前に,臨床現場に
の 50%で記録洩れがあった)
。我々は,アドヒアラン
おいて実際に可能であるか,費用対効果に問題はな
スを客観的に評価できる唯一のスケールは,凝固因
いかをパイロット研究で評価すべきである。
子活性レベルの 2 ∼ 3 日ごとの測定と考えているが,
本研究には長所もあるが,いくつかの限界もある。
この方法は明らかに本研究の主旨から逸脱してい
本研究は,欧州 6 ヵ国の重症血友病患者を対象に,
る。本研究では,患者は研究目的を知らされていな
アドヒアランスを評価した最初の研究である。今回
いことに加え,インタビューは自己申告されたアドヒ
の結果は,自己申告のアドヒアランスと実際のアド
アランスと実生活でのアドヒアランスとを比較するこ
ヒアランスを判別することのできる訓練されたインタ
とのできる訓練されたインタビュアーが実施した。
ビュアーによって実施された詳細なインタビューに基
結論として,本研究で選択された欧州の血友病患
づいている。また,本研究では,定期補充療法を受
者集団におけるアドヒアランスは高いようであったが,
けている集団と出血時投与療法を受けている集団の
処方非遵守は重大な結果に結びつく危険性があるた
両者から,幅広い年齢の患者を多数検討に組み入
め,専門家である我々は楽観視すべきではない。ま
29
Full Translation: P. De Moerloose, et al.
た,健康保険組合および政府は,最近ますます費用
無制限の教育助成金により支援された。
に対してのアウトカムの最大化,すなわち,費用対
効果を注視しており,特に血友病のような稀でコス
トの高い疾患に注目しているため,現在のアドヒア
開 示
ランスが仮に高かったとしても,それを今後も維持
W. Urbancik は,他の医療製品とともに血友病治
療薬を開発している Baxter AG(オーストリア)の雇
していくことが極めて重要である。いかなるアプロー
用下で本稿を執筆した。他の著者らは,利害の衝
チであれ,様々な対策を組み合わせ,患者と医療従
突やバイアスの原因となりうる利害関係を何らもち
事者,組織が適切に連携し,長期にそれを適用すれ
合わせていないことを宣言した。
ば,高いアドヒアランスが持続的に維持されると考
えられる(11 ,18)。血友病患者の処方遵守を助長する
うえで,どのような対策の組み合わせが最適である
References
かを見いだすためのさらなる研究が必要である。とも
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あれ,血友病医療チームのスタッフは,処方が遵守
されていない可能性を常に認識しておくべきである
とともに,苦難を強いるレジメンを長期に遵守して
いけるよう患者とその家族を支援していかなければ
ならない。
謝 辞
本稿の作成に当たってご尽力いただいた Sue Lyon
氏に深謝する。さらに,患者のリクルートでご支援
をいただいた次の患者組織の関係者に謝意を表する:
,
Association Francaise des Hémophiles(フランス)
,
Deutsche Hämophilie Gesellschaft ( ド イ ツ )
,
Federación Española de Hemofilia (スペイン)
,
Federazione delle Associazioni Emofilici(イタリア)
,
Forbundet Biodarsjuka i Sverige(スウェーデン)
Haemophilia Society(英国)。また,本研究のインタ
ビューで貴重なお時間を頂戴した患者の方々そして
次の HTC のスタッフの方々に謝意を表する:フラン
ス(Lyon ,
;ドイツ(Berlin ,
Nancy ,Paris ,Strasbourg)
Bremen ,Bonn Frankfurt ,Hamburg ,Munich);イタ
リア(Bari ,Florence ,Genoa ,Parma ,Rome)
;スペ
イン(Bilbao ,Madrid ,Seville ,Valencia)
;スウェー
デン(Gothenborg ,Malmo ,Stockholm)
;英国(London ,Birmingham ,Manchester ,Newcastle ,Nottingham ,Bristol)。本研究のインタビューそしてデー
タ解析は,保健医療問題を専門とする国際的市場調
査会社である Martec Group のスタッフによって実施
され,我々は Tomas Jezdinsky 氏に深謝するもので
ある。本研究は,Baxter BioScience Europe からの
30
nication between care professionals and patients with
10 Geraghty S, Dunkley T, Harrington C, Lindvall K,
nication between care professionals and patients with
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Supplementary Material
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The following supplementary material is available
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for this article:
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and heart–lung transplant recipients. J Cardiovasc
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This material is available as part of the online
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abs/10.1111/j.1365-2516.2008.01843.x
16 Roosendaal G, Drenth ER, Poerschke M, Verkerk EC,
abs/10.1111/j.1365-2516.2008.01843.x
Van den Berg HM, Metselaar M. Enhanced commu(This link will take you to the article abstract).
(This link will take you to the article abstract).
nication between care professionals and patients with
Please note: Blackwell Publishing are not responPlease note: Blackwell Publishing are not responhemophilia by using a web enabled electronic logbook.
sible for the content or functionality of any supplesible
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mentary materials supplied by the authors. Any
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17 Walker I, Sigouin C, Sek J et al. Comparing hand-held
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therapy: a randomized trial. Haemophilia 2004; 10:
directed to the corresponding author for the article.
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for this article:
Appendix S1. Discussion Guide: Patient interviews.
Appendix S2. Discussion Guide: HTC interviews.
This material is available as part of the online
article from: http://www.blackwell-synergy.com/doi/
abs/10.1111/j.1365-2516.2008.01843.x
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