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都市部における 地中熱活用の可能性 - TOKYO太陽エネルギーポータル

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都市部における 地中熱活用の可能性 - TOKYO太陽エネルギーポータル
2016年11月22日
未来を創る「再生可能
エネルギーの新時代」
東京都環境局
都市部における
地中熱活用の可能性
NPO法人 地中熱利用促進協会
笹田 政克
プレゼンの内容
•
•
•
•
•
•
•
•
•
地中熱は再生可能エネルギー
地中熱利用の環境性と省エネ性
地中熱を導入するには
地中熱ヒートポンプの設置状況
東京都内の利用事例
地盤環境と有効熱伝導率
省エネ基準と地中熱利用
再エネ・省エネ東京仕様
オリンピック・パラリンピックでの地中熱利用
3
地中熱は再生可能エネルギー
• 地中熱は、太陽及び地球内部からの
熱に由来する再生可能エネルギーであ
る。
• 地表近辺では気温の影響により地温
は変化するが、地下10~15mの深さに
なると、年間通して地温の変化が見ら
れなくなる。
• その温度はその地域の平均気温とほ
ぼ等しい。それより深い場所の温度は、
一般に100mにつき2~3℃程度の割合
で上昇するが、地温は安定した状況に
ある。
• 地中熱は、日本中どこでも利用でき、し
かも天候等に左右されず安定的に利
用できる。
季節ごとの地温の分布
4
(地中熱利用促進協会)
地中熱ヒートポンプの優れた点
なつ
ちちゅうねつ
地中熱ヒートポンプ
やく
ど
ねつ
に
熱を逃がす
ふゆ
ちちゅうねつ
地中熱ヒートポンプ
やく
ど
ねつ
え
熱を得る
地中の再生可能エネルギー
• いつでもどこでも利用可能
• 安定的利用
→ 快適な冷暖房
温度差の活用
• 省エネルギー
• 電気需要の平準化
(電力ピーク削減)
• CO2排出量の削減
地中での熱交換
• ヒートアイランド現象
抑制
5
地中熱ヒートポンプを導入するには
6
• 計画: 導入計画、事前調査
• 設計: 地中熱ヒートポンプ
システムの設計、
熱応答試験*
• 施工: 地中熱交換器の設置、
横引き配管、
ヒートポンプ、
室内機の設置
外気温(気象条件)
建物の床面積
外皮平均熱貫流率
照明等の内部発熱
建物の熱負荷
ヒートポンプのCOP
地中熱交換器
長さと配置
冷暖房 利用時間
地盤の有効熱伝導率
地温(年平均気温)
*:熱応答試験は地盤
ヒートポンプの能力
<地中熱交換器の設計>
の有効熱伝導率を求め
るために行う試験で、
ボアホールが必要。
小規模なシステムの
場合は、熱応答試験を
行わずに、文献値から
有効熱伝導率を求める
ことが多い。
地中での熱交換方式
埋設される地中熱交換器
Uチューブ
(積水化学資料)
7
8
室内側の利用方式
地中熱ヒートポンプシステム
冷温水配管方式
地中熱ヒートポンプシステム
ダクト方式
地中熱ヒートポンプシステム
冷媒配管方式
地中熱利用システム
空気循環方式
(積算資料住宅建築編2016)
地中熱ヒートポンプの設置件数
(1981年~2013年)
(環境省, 2015)
9
東京駅前の地中熱利用商業施設
KITTE(旧東京中央郵便局) 2013年
JPタワーのアトリウム
床の冷暖房に地中熱が利用されている
モニター画面
(環境省パンフ)
10
前川製作所新本社ビル
11
東京都江東区 2008年
(関根賢太郎 2010)
東京スカイツリーでの地中熱利用
12
地域熱供給での導入事例 2012年
地中熱議連による視察
(東武エネルギーマネージメント 資料)
渋谷区立渋谷本町学園
13
プール・体育館に地中熱を利用 2012年
深さ100mのボーリング 40本掘削
プールの加温(年間水温30℃) プールサイド床暖房、シャ
ワーなどの給湯。 体育館の冷暖房
地中熱ヒートポンプは、冷暖房・プー
ル加温用(冷房能力195kW、暖房能
力199kW、プール加熱能力204kW)
が2台、給湯用(給湯能力120kW)が1
台の計3 台あり、地中熱利用をベー
スとし、他に冷房能力264kW、暖房
能力300kW の空冷ヒートポンプチ
ラーも1 台ある。冷暖房用の熱媒は
夜間電力を用いて、250 トンの蓄熱
槽に蓄えられている。
(東京都環境局のホームページから)
14
小田急線東北沢駅での地中熱利用
水平方式の地中熱交換器で採放熱 2013年
東北沢駅のプラットフォームの
待合室の空調に地中熱を活用
小田急電鉄㈱は、小田原線(代々木上原駅
~梅ケ丘駅間)の連続立体交差事業および
複々線化事業で、地下15m 付近に新たに
“東北沢新駅”のトンネルを掘削していま
す。トンネル本体の下に水平型地中熱交換
器を設置し、これにより新駅施設の空調設
備に地中熱利用ヒートポンプシステムを導
入しました。
このシステムは、トンネル本体下のコンク
リート盤の中にポリエチレンパイプ製の水平
型地中熱交換器を設置し、この中に水を循
環することでトンネル本体下の地中と熱交
換を行い、地中熱利用ヒートポンプの熱源
に利用するものです。
地中熱利用ヒートポンプシステムは、省エネ
でCO2 排出量削減に寄与し、環境負荷の少
ない空調システムとして、採用されました。
地下鉄道トンネルにおける適用は本邦初の
事例になります。
(地中熱利用促進協会ニュースレター143号
より)
開業時にホームに貼られた地中
熱のポスター
中規模事務所ビルの地中熱導入事例
15
千代田区一番町(空調更新) 2008年
屋上に設置した
空水冷ヒートポンプ
地中熱交換器を埋設した駐車場

写真撮影方位


回転振動式掘削機での地中熱交換井の施工
施工期間: 2008年9月1日~11月16日
地中熱交換井(1~8)と温度観測井(9)の配置
1階から3階までの
オフィス階の空調
各階の床面積:約100 m2
空水冷ヒートポンプ
暖房63.0kW
冷房56.0kW
地中熱には水冷を利用
地中熱交換器
ボーリング孔
75 m x 8本
U字管(ダブル)
1年間の運転に伴う熱源水温度変化
16
千代田区の事務所ビル(2008年11月ー2009年11月)
暖房運転主体
40
冷房運転主体
4/9
外気温
A室温平均
B室温平均
C室温平均
熱源水往稼働時平均
熱源水還稼働時平均
35
暖房運転主体
8/3~9
空気熱源運転
室温
2/1~7
空気熱源運転
30
10/27
温度(℃)
25
20
熱源水温度
15
5/5,8
暖房運転主体
10
外気温
5
0
10/29
11/28
12/28
1/27
2/26
3/28
4/27
5/27
6/26
7/26
8/25
月日
ヒートポンプ稼働時室温、熱源水温の変化(1日毎)
9/24
10/24
11/23
12/23
17
1年間の運転実績(負荷側熱量、COP)
千代田区の事務所ビル(2008年11月ー2009年11月)
暖房運転主体
300
HP稼働時間(地中熱)
ポンプ電力累積
単体COP
冷房運転主体
4/9
ヒートポンプ電力累積(地中熱)
負荷側熱量日累積
熱源システムCOP
日稼働時間(h)、熱量(kWh)、電力(kWh)
2/1~7
空気熱源試験
10/27
暖房運転主体
14
8/3~9
空気熱源試験
12
負荷側熱量
250
10
200
8
単体COP
150
システム
100
4
ヒートポンプ稼働時間
50
0
10/29
6
11/28
12/28
5/5,8
暖房運転主体
1/27
2/26
3/28
4/27
5/27
単体COP、熱源システムCOP
350
2
ヒートポンプ電力
6/26
7/26
月日
ヒートポンプ稼働状況(1日毎)
8/25
9/24
ポンプ電力
10/24
11/23
0
12/23
18
1年間の省エネ実績
千代田区の事務所ビル(2008年11月ー2009年10月)
空調電力消費量
kWh
3000
空気熱 2005-07年の平均
地中熱 2008-09年
年間
49%削減
2000
1000
0
11
12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10月
19
南 清水谷公園
九段北
三丁目
一番町
関東ローム層
火山灰層
標高
東京層
(赤塚砂層)
ロ関
ー東
ム
層
下
総
層
群
(紅葉山砂礫層)
砂礫層
人
シルト層
砂層
北
(東京礫層)
舎
砂層
富士見町
二丁目
(城北砂礫層)
層
東久留米層
(代々木砂層)
上
総
層
群
北多摩層
( )の地層は部層
電気検層
千代田区西部における南北方向の地質断面
(遠藤ほか, 1996)
温 度 ( ℃ )
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
測定日:2008年9月19日
20
22
24
26
28
地質柱状図
30
0
関東ローム層
20
気温25℃
20
5
10
地温と水位
15
(水位)
下
10
15
砂混じり粘土
5
20
総
0
25
礫
-5
35
40
地層の有効熱伝導率
1.7 W/(m・K)
-10
-15
-20
45
-25
50
東京礫層
粘土混じり砂
標 高 (m)
深 度 ( m )
30
群
粘土
砂礫
紅葉川砂礫層
-30
55
-35
60
-40
65
70
粘土混じり砂
-45
掘削終了:2008年9月12日
温度測定:2008年9月19日 15:00
-50
75
温度センサー:白金抵抗体
データサンプリング:1m
76m 16.5℃
層
-55
80
※GL標高は地形図から読み取り
千代田区一番町の地質と有効熱伝導率
(
更
新
世
中
期
)
地層の有効熱伝導率
有効熱伝導率
W/(m・K)
飽和
不飽和
砂
1.53
1.19
砂礫
2
シルト
1.44
粘土
1.27
0.92
火山灰
1.18
0.9
泥炭
1.22
0.88
ローム層
1
0.72
岩(重量)
3.1
岩(軽量)
1.4
花崗岩
3.5
出典:空気調和・衛生工学便覧Ⅱ
(1981)、建築設計資料集成2(1960)、
渡辺要編「建築計画原論Ⅱ」(1965)、
ASHRAE Handbook
Fundamentals(1985)など
国内で測定された地盤の有効熱伝導率
(地中熱利用促進協会)
21
建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性
能の向上に関する法律)
22
(2015年7月8日公布)
2017年4月から施行予定
(国土交通省資料)
23
(国土交通省資料)
省エネ基準(非住宅)に地中熱追加
(建築研究所資料)
24
地中熱ヒートポンプシステムの熱源水温度計算法
25
(建築研究所資料)
設計時に地中熱を空気熱と比較
25%
25%
事務所
15%
寒冷地
10%
準寒冷地
温暖地
5%
温暖地(空冷優先)
0%
電力ピーク削減率
電力ピーク削減率
20%
20%
福祉施設
(病院)
15%
寒冷地
準寒冷地
10%
温暖地
5%
蒸暑地
0%
蒸暑地(井戸本
数2倍)
蒸暑地
-5%
-5%
※記載なきものは
地中熱優先運転
-10%
75%
80%
85%
90%
95%
※記載なきものは
地中熱優先運転
-10%
75%
100% 105% 110%
80%
85%
90%
95%
100% 105% 110%
一次エネルギー消費量(率)
一次エネルギー消費量(率)
建築物
25%
商業施設
(物販店舗)
20%
15%
電力ピーク削減率
26
寒冷地
10%
空冷ヒートポンプ
熱源水
冷温水
冷暖房に利用
準寒冷地
5%
温暖地
中央空調方式
事務所
(冷温水チラー)
商業施設
・空冷式
福祉施設
・地中熱利用
地中熱ヒートポンプ
地中熱交換配管方式
0%
蒸暑地
-5%
※記載なきものは
地中熱優先運転
-10%
75%
80%
85%
90%
95%
・クローズドループ方式
地中熱交換井戸方式
・垂直形-ボアホール方式(ダブルUチューブ)
100% 105% 110%
一次エネルギー消費量(率)
(国土交通省総プロH25-27「電力依存度低減に資する建築物の評価・設計技術の開発」、奈良岡臣剛, 2016)
再エネ・省エネ東京仕様
27
(東京都の資料)
28
東京五輪 アクアティクスセンター
(東京都の資料)
29
東京五輪 有明アリーナ
(東京都の資料)
まとめ
• 地中熱利用は省エネ性、環境性が高く、電力ピーク削
減率も高い。
• 東京都内には、東京スカイツリーをはじめ100か所以
上の地中熱利用施設がある。
• 東京都の地盤環境は、十分に地中熱利用できる有効
伝導率をもっている。
• 省エネ基準の適合義務化が始まるが、地中熱の年間
一次エネルギー消費量は、WEBプログラムで計算で
きる(2016年4月に建築研究所で公表)。省エネ、CO2
削減のツールとしての地中熱の活用が期待される。
• 2020年東京オリンピック、パラリンピックでは、いくつ
かの施設に地中熱が導入され、認知度の向上が期待
される。
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