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小さなことから始めよう
小さなことから始めよう 日本基督教団尾陽教会牧師 石 田 聖 実 マルコによる福音書 4章30~32節 更に、イエスは言われた。「神の国を何にたとえようか。どのようなたとえで示 そうか。それは、からし種のようなものである。土に蒔くときには、地上のどん な種よりも小さいが、蒔くと、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に 空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張る。」 ・地面の中から=死ななければ イエスさまは別の箇所では、「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒 のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。」と言っています。種は新し い命として地面の中から出てきます。皆さんはまだ社会人ではありません。卒 業就職によっていわば社会人デビューしますが、それまではこの大学でそれぞ れの志す道に備えて学んでいるところです。 ・小さいものから大きなものへ 種というのはそれを実らせる植物の大きさに対して小さいものです。その中 でも辛子、ことにグラックマスタードの種は粒が小さなものですが、芽が出て 成長すると3~4mにもなるそうです。 学生時代にはあまりパッとしない人だったけど、卒業して何年もたった頃に は社会の中でかけがえのない役割を担うようになる人もいるでしょう。イエ ス・キリストの場合、その真価が認められるようになったのはずっと後からで した。福音書はどれも洗礼者ヨハネの事から書き始めています。それはヨハネ が当時最も有名な宗教家だったからです。イエスのことは知られていないか、 知っていても誤解されていました。今ではイエスの弟子は世界中に大勢います が、洗礼者ヨハネの弟子はいないと思います。 ・土壌と気象 環境によって成長が左右 小さな種が大きな草や木になる。しかし、種がどのように成長するは、日照 時間や降雨量、また土壌の質や病害虫に左右されます。農業を営む人は良い品 質の作物がたくさん収穫できるように日夜労苦しておられます。 ― 19 ― 同じように人もどのような環境で育つかによって、どのような人物になるか は大きく変わってきます。植物と人間の違いは、植物が生えている場所ややっ てくる虫を自分で変えることができないのに対して、人間はどこで活動する か、どのような人々の仲間になるかをある程度選べる点です。この金城学院は イエス・キリストの教えと業を基に、日本の女性たちに最も大切なものを身に つけていただくために最前の環境を整えています。金城という環境を自らの人 間形成のために最大限に活かしていただきたいと思います。 ・鳥が巣を作るようになる 成長は自分一人のものではありません。小さなからし種は、大きくなって鳥 が巣を作るようになると言われます。今は親のスネをかじって自立していない 学生の皆さんであっても、小さな芽を出し、やがては他の人々に、あるいは他 の生物にも役に立つような者へとなって行くことができます。そうなることを 皆さんの親御さんは喜んでくださるでしょうし、実は神さまがもっと喜んでく ださいます。 将来大きく成長する皆さんが小さな種である間、この学院やこの学院を生み 出したキリストの教会を、豊かな栄養を吸収するための土壌として、あるいは 守られるための巣としていただきたいと願っています。 2013年5月23日 朝の礼拝 ― 20 ―