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割賦販売法改正について

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割賦販売法改正について
割賦販売法改正について
〈背景〉
高齢者をねらった次々販売などの被害が社会問題化しています(埼玉県富士見市の事件など)。
被害の多くは、個品割賦購入あっせん契約(契約書型クレジット契約)と呼ばれる契約方式で、
販売契約とクレジット契約が一つの契約書で行われ、消費者がクレジットについての認識がしづ
らいものです。代金の高いものでも、割賦払いとすることで、月々の支払額が低く感じられるた
め、次々販売につながりやすくなっています。またクレジット契約の締結が販売業者(加盟店)
に任され、クレジット会社の与信審査が甘くなるため、被害が拡大します。
〈動向〉
H19.2.16 産業構造審議会 割賦販売分科会 再開
H19.5.19 東京司法書士会定時総会において割賦販売法の改正を求める決議を可決
H19.6.19 産業構造審議会 割賦販売分科会 基本問題小委員会 中間整理公表
H19.7.27 東京司法書士会による意見書提出
H19.7.30 日本司法書士会連合会による意見書提出
H20の通常国会で審議予定
〈消費者のために求める改正点〉
1 クレジット会社の無過失共同責任
加盟店とクレジット会社の共同責任、特にクレジット会社についての無過失責任を求めます。
販売契約について解除、取消をした場合、クレジット会社にその契約について故意・過失がな
くてもクレジット契約が消滅する旨の規定を設け、クレジット会社が消費者から受領した割賦金
を返還させるようにします。
無過失共同責任を求める理由は、クレジット会社の故意過失を条件とすると、この故意過失を
消費者が証明しなければならなくなるので、クレジット会社の責任追及が困難となります。現在
の抗弁権の接続規定(販売契約の解除、取消事由をクレジット会社に主張できる)では将来の支
払を停止できるにとどまるからです。
2 クレジット会社による加盟店管理の法的義務
今まで経済産業省からクレジット会社に加盟店管理の徹底の通達が出ていますが、その効果が
あがっていないので、適正な与信を行うように、クレジット会社に加盟店調査義務や加盟店管理
義務などの法的義務を課すことを求めます。
3 クレジット契約の適正化
クレジット契約についても、加盟店に契約書面の交付や契約内容の説明を義務づけるとともに、
クーリングオフ制度の導入を求めます。現在クレジット会社は、クレジット契約の締結を加盟店
に任せ、電話による形式的な確認にとどまっているので、無理なクレジットを組むことを防止で
きないからです。
1
4 割賦要件の撤廃
現在、2ヶ月以上・3回以上の分割返済の割賦購入を規制対象にしており、割賦販売法の適用
を受けない割賦購入が悪用される例が多く、過剰与信の被害が防止できません。
5 指定商品制等の廃止
現在は政令で定める指定商品等にしか割賦販売法の適用がなく、被害が広がってから後追い的
に指定を追加するのでは被害を防げません。
6 販売業者(加盟店)の登録制の導入
現在、開業規制もなく、加盟店の行き過ぎによる被害が広がっているので、登録制などを導入
し、一定程度の質を確保することが必要です。
7 過剰与信の防止
クレジット会社に信用情報機関への登録義務を課し、クレジット契約をする際のクレジット会
社による支払能力調査を義務付けるとともに、支払能力を超えないよう与信基準を設け、これら
に違反した場合の民事責任を求めます。
〈請願・陳情〉
東京司法書士会では、消費者のための改正になるよう、市議会、区議会などへの請願・陳情を
行いました。
2
割賦販売法の抜本的改正に関する意見書
クレジット契約は、代金後払いで商品が購入できる利便性により消費者に広く普及している一
方で、強引・悪質な販売方法と結びつくと高額かつ深刻な被害を引き起こす危険な道具にもなる
ものである。
現在、クレジット会社の与信審査の甘さから、年金暮らしの高齢者に対し、支払能力を超える
大量のリフォーム工事、呉服等の次々販売が繰り返されたり、年齢・性別を問わず、クレジット
契約を悪用したマルチ商法・内職商法その他の詐欺的商法の被害が絶えないところである。この
ようなクレジット被害は、クレジット契約を利用するがゆえに悪質な販売行為を誘発しがちとな
るクレジット契約の構造的危険性から生じる病理現象であると言える。
経済産業省の産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会は、このように深刻なクレジッ
ト被害を防止するため、平成19年2月から、クレジット被害の防止と取引適正化に向けて割賦販売
法の改正に関する審議を進めており、本年秋には法改正の方向性が示される見込みにある。今回
の改正においては、消費者に対し、安心・安全なクレジット契約が提供されるために、クレジッ
ト会社の責任においてクレジット被害の防止と取引適正化を実現する法制度が必要である。
よって、
議会は、国会及び政府に対し、割賦販売法改正に当たっては次の事項
を実現するよう強く要請する。
記
1〔過剰与信規制の具体化〕
クレジット会社が、顧客の支払能力を超えるクレジット契約を提供しないように、具体的な与
信基準を伴う実効性ある規制を行うこと。
2〔不適正与信防止義務と既払金返還責任〕
クレジット会社には、悪質販売行為等にクレジット契約を提供しないように、加盟店を調査す
る義務だけでなく、販売契約が無効・取消・解除であるときは、既払金の返還義務を含むクレジ
ット会社の民事共同責任を規定すること。
3〔割賦払い要件と政令指定商品制の廃止〕
1~2回払いのクレジット契約を適用対象に含め、政令指定商品制を廃止することにより、原則
としてすべてのクレジット契約を適用対象とすること。
4〔登録制の導入〕
個品方式のクレジット事業者(契約書型クレジット)について、登録制を設け、契約書面交付義
務及びクーリング・オフ制度を規定すること。
以上地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成19年
月
議会議長
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
経済産業大臣
日
宛
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