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海に会う、青に会う。

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海に会う、青に会う。
三陸鉄道、大沢橋梁にて停車中。 変わらず美しい海に会う
三 陸 鉄 道に乗って
海に会う、青に会う。
堀内駅から歩いて数分、津波でも綱が切れなかった夫婦岩。
「縁が切れない」とさらにファン増加
背景として登場した「堀内駅」、WEBコンテ
三陸鉄道北リアス線北端の久慈駅から、
ンツの『秘境駅』に登場した「白井海岸駅」、
列車に乗って普代へ向かう。ワンマンカーの
そして「普代駅」である。
車両が南へ出発する。十府ヶ浦の海岸線を
2011年の東日本大震災の日、 列車は白
横目に野田村を抜けると、「義経の祈り 堀内
井海岸駅を出発して第3白井トンネルを抜け
に停まります」 車内アナウンスが流れ、列車
たあとに停止。幸いにも津波の被害はまぬ
はまもなく普代に入る。 三陸鉄道久慈--普
がれたが、線路は野田で断線。行き場を失っ
代間には、 北リアス線屈指の名所がある。
た列車はそのまま普代駅に運ばれ、1年眠り
野田との境界にある安家川橋梁と、堀内の
春を待った。 乗客のいないさみしい列車の
大沢橋梁だ。海がよく見えるので、一次停車
座席を、
「つながるんだるま」が埋めた。いま
でサービスしてくれる。
は普代駅一階に飾られている。2012年4月
普代には駅が三つある。北から、
『鉄道娘』
1日に運行再開。 多くの人々が喜びに湧い
のキャラクター「久慈ありす」のポスターに
た。復興への輝かしい一歩だった。
堀内駅は海が一面に見える駅
駅の両サイドがトンネルの「白井海岸駅」
ふだいを走る三陸鉄道と国道45号、そしてシーサイドライン。
列車や車の窓から見えるふだいの自然の大きさを見つけたら、
足を止めずにはいられません。
トンネルを抜けたあとの開放感。鮮明な青のすがすがしさ。
大きな自然のすぐそばに暮らしの場がある。
遠くから、近くから、ふだいの「青」をお楽しみください。
堀内駅ホームから見る一面に広がる青い海。
2
普代駅では「三陸鉄道を勝手に応援する会」
寄贈の猫ちゃんが歓迎
駅の名物?深渡商店のお
でんも健在。豆腐120円、
たまご80円、その他50円
「さかなくん」をはじめ、さまざまな人がメッセージ
を残してくれた「つながるんだるま」
堀内駅待合室にあった、旅人
の思いが詰まった駅ノート
3
普代駅前にも北緯40度の時計塔
普代浜と普代川の間に立つ、普代の津波被害を抑えた 「奇跡の水門」
北緯40度シンボル塔
「日本の灯台50選」 に選ばれた陸中黒埼灯台
落差150メートル、海に注ぐ海岸瀑。岩手県落差NO1
のアンモ浦の滝
奇跡を見ながら黒崎へ
黒 崎から、広がる太 平 洋
普代駅からタクシーで黒崎に向かう。車
北緯40度、 普代村きっての風光明媚な
えるのだ。
は「奇跡」 と呼ばれた普代水門の脇を通
スポット黒崎。公園化されていてカリヨンの
真白な陸中黒埼灯台も、堂々と断崖の先
る。左側に普代浜の砂浜が見える。白い砂
鐘や、北緯40度シンボル塔などが観光客を
に立つ。階段を降りて到達するが、ここは
迎えてくれる。海にそびえる140メートルの
標高約130メートル、実は東北一高いところ
断崖。眼前の太平洋は遠く弧を描く。強い
に立つ灯台である。海から見れば、あたか
の大きかった太田名部漁港。しかし浜の人
風と戯れる。ただそれだけでなぜか笑いあ
も希望の小さな光のようにきらめくだろう。
たちのがんばりもあり、復興に向けて進んで
う。こどもがただ追いかけっこをするだけで
三陸復興道路が急ピッチで進む。普代は
いる。流された食堂2軒も果敢に復活をと
腹から笑うように。
もっと近くなるだろう。いまどきな遊園地は
げた。安堵するように黒崎へ上っていく。
かなたに見える、久慈市の三崎。そこに
ないけれど、包みこむような雄大な自然が、
浮かびあがるシルエット、通称「みさきの巨
日常の時間をリセットしてくれる。お店によっ
人」は、廃校となった黒崎小学校の生徒に
て、 普代人のやわらかなお国ことばの響き
聞いたと歴代広報マンから教えられた。子
と、素朴でいて力強い笑顔に触れると、不
どものイマジネーションなのか、土地に伝わ
思議と元気な気分になる。
浜が戻ってきているようだ。右手に15.5メー
トルの防潮堤が見えると海側は一番被害
和村幸徳村長(故人)が15.5メートルの高さにこだわった太田名部の防潮堤
太田名部漁港の朝の風景。秋サケ漁の季節
る物語かはわからないが、たしかにそこに見
二人で鳴らせば幸せになるという
カリヨンの鐘
黒崎から見た「みさきの巨人」(通称)
は海へ向かって歩き出す
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