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「アパレル国際物流における最適港揚げ混載計画システム」
2009年6月12日
住金物産株式会社
SCM・事業開発部
山内秀樹
1.日本のアパレル産業の現状と
SCMにおける全体最適の必要性
2.SCMの高度化とグリーン物流への応用
3.グリーン物流のプロセスモデル
4.システム検証
5. まとめ
-1-
All Rights Reserved, Copyright 2008 © 住金物産株式会社 SCM事業開発部
1.日本のアパレル産業の現状と
SCMにおける全体最適の必要性
-2-
All Rights Reserved, Copyright 2008 © 住金物産株式会社 SCM事業開発部
住金物産株式会社の繊維ビジネス
複合商社
鉄鋼カンパニー
機械・金属カンパニー
食糧カンパニー
2008年3月期
総売上高
1兆3,149億円
繊維カンパニー
1,726億円
東京本社
年間総輸入点数=約1億点
年間輸入件数=約3万件
仕
入
先
国内工場
海外縫製工場
販
住金物産
繊維カンパニー
素材メーカ
売
先
アパレル・メーカー
小売専門チェーン
GMS
ホームファッション・メーカー
-3-
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アパレル産業のSCMの普及の必要性
1970年代は平和だった・・
コストを求めて海外生産へシフト・・
世界中に広がる工場へ
指示、生産管理
国内工場と電話で連絡
簡単には行けない
距離感
最悪、車で工場に
駆けつければ
緊急事態には対応可能。
あふれる
トレンド情報
国内なので
トラックで簡単に出荷
複雑な国際物流
物があれば売れた時代
-4-
移り気な消費者
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アパレルを取り巻く環境
1. 輸入製品の増大
2007年の衣類製品の輸入浸透率が94%を越え、
海外生産によるサプライチェーンが、より長く複雑に
なり生産や物流過程でのステータスの可視化が難し
くなる。
仕入れチャネルも多様化し、見えない海外物流を
支えるための日本国内DCなどが煩雑化している。
日本繊維輸入組合
「日本のアパレル市場と輸入品概況 2008年」
2. 新流通型ショップの増大
増加傾向にある新流通のショップ、郊外店、SC型、大規模モール型が増え、一店舗あたりの坪数も大型化し、
それをサポートする物流やショップのマネージメント能力が必須となる。それを支える店舗スタッフも増加しており、
コスト増の要因となっている。
3. 消費者嗜好の多様化と購買意欲低迷
消費者の嗜好が多様化して来ており、需要予測がしにくい。アパレルからの代替消費を促す他の魅力ある
マーケットが多い上に、近年の消費の低迷が追い討ちをかける。
-5-
All Rights Reserved, Copyright 2008 © 住金物産株式会社 SCM事業開発部
アパレル産業を取り巻く様々な外的要因
顧客嗜好の多様化とライフサイクルの短縮
リードタイムの削減
生産拠点のグローバル化と複雑なロジスティックス
品質問題、消費者の厳しい目
環境問題への対応
Business
Process
Re-engineering
A.
Supply Chain
B. 小売サイド
における解決方法
における解決方法
SCM の高度化
APS, ECR, ASN, TOC
クロス・ドック, DSD
全体最適の考え方
SCの可視化
デマンド・プル・マーケティング
生産から販売までの
一貫した流れの中での
全体最適 の必要性
-6-
POS, CRM, VMI,
ライフスタイル型ショップ
E-コマース、携帯コマース
小売店の高効率化
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アパレル産業のプレーヤー
川上
川下
百貨店
アパレル
工場
素材
メーカー
商社
ブランドショップ
アパレル
工場
工場
工場
工場
量販店
(イトーヨーカ堂、イオン等)
商社
アパレル
素材
メーカー
(バーバリー等)
商社
アパレル
素材
メーカー
(三越、伊勢丹等)
商社
専門店
(三愛、ビームス、青山等)
SPA型アパレル
SPA店舗
(ユニクロ、GAP、等)
-7-
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商社の視点から見たアパレルSC
商社
アパレル
トレンド提案
素材、企画提案 企画提案機能
ブランド提案
附属、副資材
原料、生地
生産手配
営業
生産手配
素材、付属手配
縫製工場
原料入荷確認
生産状況把握
品質管理
納期管理
物の流れ
物流部門
出荷確認
品質確認
船積通関業務
最適物流
デザイン
パターン
販売計画
情報と
金の流れ
物流部門
入荷確認
品質確認
在庫管理
マーケティング
販売情報
顧客情報
トレンド情報
店頭販売情報
店舗立地
販売促進
営業、DB
店頭情報入手
出荷指示
店間移動
返品処理
店 頭
裁断
縫製、編みたて
検針、検品
生産管理
企画、MD
直納分
海外物流センタ
入荷検品
検針
各店アソート配分
ドキュメンテーション
出荷検品
通関、倉庫
国内物流センタ
輸入通関
クロスドック
出荷
入荷検品
ピッキング
出荷検品
返品、棚卸
-8-
返品
入荷登録
品出し
接客、売上、
棚卸
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商社の視点から見たアパレルSC
商社
アパレル
生産計画の領域
SRMの領域
トレンド提案
素材、企画提案 企画提案機能
ブランド提案
ERPの領域
附属、副資材
原料、生地
生産手配
営業
生産手配
素材、付属手配
縫製工場
原料入荷確認
生産状況把握
品質管理
納期管理
企画、MD
デザイン
パターン
販売計画
経理財務部門
経理財務部門
物流部門
物流部門
出荷確認
品質確認
船積通関業務
最適物流
入荷確認
品質確認
在庫管理
マーケティング
販売情報
顧客情報
トレンド情報
店頭販売情報
店舗立地
販売促進
営業、DB
店頭情報入手
出荷指示
店間移動
返品処理
店 頭
裁断
縫製、編みたて
検針、検品
生産管理
CRMの領域
直納分
海外物流センタ
入荷検品
検針
各店アソート配分
ドキュメンテーション
出荷検品
通関、倉庫
国内物流センタ
輸入通関
クロスドック
出荷
入荷検品
ピッキング
出荷検品
返品、棚卸
SCMの領域
-9-
返品
入荷登録
品出し
接客、売上、
棚卸
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2.SCMの高度化とグリーン物流への応用
-10-
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輸入アパレルにおける物流フロー
全国店舗へ
得意先指定倉庫
青島
東京
店舗別に仕分け
大阪
OEM生産
福岡
1.国内倉庫の作業がボトルネックになる危険性が高い
上海
2.納期遵守の為にエアーが用いられるケースが多い
3.国内倉庫から店舗までの国内輸送が頻繁に発生している
4.工場・商社・アパレル間での物流情報が共用されていない
-11-
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改善の施策1.
物流業務の現地化
中国の向上にて生産された商品は、バルクで輸出され、日本の物流センタへ納入される。
その後検品、検針され、需要に基づき各店別のアソートがされ、出荷される。
日本での作業は一定の曜日に集中し、しばしばサプライチェーン上における
ボトルネックとなっている。
積出港
工場
物流センタ
小売店
縫製
検品
A品
確定
店別
アソート
物流センタ
縫製
検品
A品確定
店別
アソート
SCM
ラベル
スキャン
物流センタ
-12-
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SCMラベルを利用した物流フロー
現地でのA品確定
1.B品を積み出さない
2.工場にクオリティー基準を理解させる
3.現地での納期管理
4.日本での作業の現地出しによるコストメリット
下げ札
SCM (Shipping Carton Marking)
将来像:
1.店頭納期まで見据えた輸送タイミング
2.店頭所在地を考えた最適仕向け港
3.SEA・AIRの最適ルーティング
4.港より店舗への直接配送
SCMラベル
SCMラベルを読
み、その次に個品
バーコード下札を
読みながら箱に入
れることにより、
個品と箱の
紐付けを行う
店頭での入荷
スキャン
倉庫入荷時にSCMラベル
を読み取り、
入荷確定を行う
(クロスドック方式)
-13-
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国内物流倉庫を使用する現状フロー
現 状
中国からの貨物は、検品や店別の配分(アソート)を行うために、
東京などにある物流倉庫、DCなどへ一括で輸送されなくてはな
らない。たとえ、フェリーを使用して下関などへ荷揚げされても、
そのままDCへ輸送される。DCでの作業後、日本各地にある
店頭へ、トラックなどを使い、個別で配送される。
これにより、国内でのCO2の排出量はきわめて多い。
トラック
による
長距離輸送
CO2
● 検品・検針
CO2
青島
● 店舗向け配分
CO2
東京
大阪
下関
アパレル企業指定倉庫
CO2
納期尊守
の為
長距離輸送
各工場との契約単位
での船積み
上海
CO2
短納期
対応の為
航空機利用
CO2
CO2
CO2
小ロット・分納
対応の為
多頻度輸送
-14-
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中国でアソートを行う事によるCO2排出量の削減
新事業モデル適用後
あらかじめ中国で店別アソートを行うことにより、
以下のメリットが考えられる。
① 貨物の最適港揚げによる国内長距離輸送・
横持ち輸送の削減により、CO2排出量を削減する。
② 貨物の積載効率向上により中国港から国内港への
輸送頻度を削減することで、CO2排出量を削減する。
③ 納期を遵守しつつ航空機から船へのモーダルシフトを
実現することにより、CO2排出量を削減する。
CO2
最終目的地決定
店舗配分
検品
集約
最終消費地=店舗に
近い最適港へ
CO2
CO2
大阪
東京
最適港揚げにより
国内長距離輸送・
横持ち輸送の削減
博多
上海
物流センター
集約による
積載効率向上
納期を遵守しつつ
モーダルシフトを実現
-15-
All Rights Reserved, Copyright 2008 © 住金物産株式会社 SCM事業開発部
3.グリーン物流のプロセスモデル
-16-
All Rights Reserved, Copyright 2008 © 住金物産株式会社 SCM事業開発部
物流プロセスモデリング
物流プロセスモデリングからモデル実現の制約条件・阻害要因を検討
《従来》
・契約単位の配送ロット
⇒国内物流センターによるエリア・店舗配送
(国内長距離物流の発生)
⇒契約単位のため、物流効率軽視とも
言える。(非考慮、契約単位の制約
の中での効率化検討)
《新事業モデル》
中国から輸送段階で最終消費地情報を
元に店別配分、最適着港地選択
《事業モデル概要》
・最終納品先(店舗エリア)に着目し、
海外での店別配分→消費地近隣着港便の選択。
(国内長距離物流の削減)
《実現要素》
・出荷予定情報・A品確定情報を元に
店別配分の実施。
・配分結果(エリア別物量)より、
最適着港地の選択。
《デメリット》
輸送単位の小ロット化
-17-
《発生課題》
・輸送効率(積載効率)の低下懸念
・リードタイム増加 懸念(例:FCL→LCL)
・輸送(通関事務)コストの増加懸念
All Rights Reserved, Copyright 2008 © 住金物産株式会社 SCM事業開発部
小ロット化に伴う輸送効率低下の回避
同一着港地荷物の集約化
同一着港地向け荷物の積載便の集約化を図ることにより、輸送効率(積載効率)低下、
混載便化(FCL→LCL)することによるリードタイム増加を回避する。
《従来型で最適地着港配送をした場合》
《問題点》
・最適着港地向けに振り分けるため、
小ロット化してしまう。
《新事業モデル》
積載便集約
《解決施策》
・同一着港地向け荷物の積載便の
集約化を図る。
集約化による
積載効率向上
《実現課題》
・異なる契約No.の荷物の混載化
を計画 ⇒計画の煩雑化
・アパレル商材の短納期
積載便集約
店舗指定納期での配送
-18-
(短納期生産・デリバリーが求められて
いるため、積載便を遅らせて荷物集約
化(混載化によるロットボリューム増加)
を行うことが出来ない)
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リードタイム、納期概念に対する阻害要因検討
《現状の納期/物流実態》
1.輸送タイムスケジュールと非連動の生産実施
工場出荷納期を前提としているため、物流センターでの保管が発生
2.需要変動、市場動向に対応した商品供給実現
のため、引きつけた生産開始(短納期生産・配送)
縫製工場
海外
物流センター
出航港倉庫
(CY,CFS)
着港地倉庫
消費地倉庫
店舗
3.輸送時の遅延リスク回避
のため、早めの便での輸送
4.納期遵守のための
「ムリ・ムラ」作業
(残業等による高コスト作業)
5.遅延リスク回避のために店舗納品予定日
よりも必要以上に早い納期設定
⇒店舗納品予定日まで消費地倉庫で保管(滞留)
⇒顧客渡し納期遵守のための高コスト
輸送手段の利用 (HDS, Air便など)
-19-
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阻害要因 ①
納期面
プロセス毎の納期遵守から全体納期コントロールへ
各プロセスで設定されている納期を、全体可視化、物流プロセス/スケジュール計画一元化により、
全体での納期コントロール化を図り、最終納期遵守に向けた納期設定に変更する。
《納期と待機のミスマッチ例》
納期遵守しても、次工程にて待機が発生している場合が存在
納期
納期
縫製工場
納期
海外
物流センター
移動待機
出荷待機
納期
納期
出航港倉庫
(CY,CFS)
着港地倉庫
バンニング待機
配送待機
納期
消費地倉庫
店舗
店舗納期待機
店舗納期待機時間(滞留時間)を最適積載便のダイヤ待ち時間に利用
納期バッファ例 :
消費地倉庫納期→店舗納期遵守へ
実必要時間
店舗納期待機
待機
実必要時間
必要時間
必要時間
出荷納期自由度
別契約No.や別出荷予定貨物との混載・同一便利用を可能にする。
-20-
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阻害要因 ②
リードタイム面
プロセス可視化によるサプライチェーン全体におけるリスク係数の最適化
プロセス毎のリスクバッファ
⇒
サプライチェーン全体でのリスクバッファへ
プロセス①
従来モデル
全体作業時間(現状)
必要時間
バッファ
事業モデル
制約条件(ダイヤ)にて
タイムスケジューリング
プロセス②
プロセス③
全体作業時間(現状)
全体作業時間(現状)
バッファ
必要時間
バッファ
バッファ
バッファ
必要時間
バッファ
各プロセスへ
バッファ振分け
リードタイム短縮
《従来》
各プロセスでの納期遵守のため、不確定要素を
考慮に入れたリードタイム設定
各プロセスでの納期遵守に向けた行動
(残業等による納期遵守作業の実施)
プロセス間の情報連携不足
⇒ 部分毎のスループット最適化
(全体では保管(滞留)などが発生)
《本事業モデル》
サプライチェーン全体でのバッファ設定
⇒ 各プロセス上の必要リードタイムの精度向上
(バッファ設定の削減)
サプライチェーン全体可視化によるリスクコントロール
⇒ リードタイム変動要因の可視化
⇒ リードタイム変動要因の情報共有
(データ化→最適化計算変数化)
勘と経験に基づく時間設定からデータ分析に基づく
最適化計算による精度の向上へ
-21-
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事業モデルキーファクター 最適化エンジンの必要性
最適化エンジンの必要性
¾経験と勘に基づく計画立案からの脱皮
⇒ 情報による全体可視化
⇒ 計画-実績(計画差異)の検討による計画精度の向上
¾現状の計画検討に利用する要素(変数)の増大
⇒ 最適着港地選択(契約単位の配送先から店舗所在地を考慮に入れた最適着港地選択へ)
⇒ 複数契約をまたがる混載の検討(積載効率最適化検討)
⇒ 各プロセス上のリードタイム、ダイヤ、リスクバッファ要素、コスト要素を加味したルート、積載便選定
最適化エンジン(計算アルゴリズム)の利用
最適化エンジンによる計画精度向上に向けた業務変革
¾業務変革
⇒ Tel/FAXによる発生都度の情報共有から、最適化計画立案精度の向上に向けた情報共有
・計画必要情報(ダイヤ、リードタイム、コスト、バッファ等)
・計画変動要素(台風等によるダイヤ変更、季節変動要因等)
¾必要情報の共有
⇒ マンtoマンの情報伝達方式から、複数プレーヤでのデータの共有化へ(ダイヤ情報、リードタイム変動要素等)
最適化エンジン利用を前提とした業務モデル構築
-22-
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新事業モデル案
基本方針:中国の物流センターから最終消費地までの効率の良い輸送手段と貨物の積み合わせをシステム
(最適化エンジン)によって算出する。
物流センターの配送計画担当者は計算結果を参考にスペースブッキングの依頼を行う。
住金物産
アパレル
生産指示
商品仕様作成
納期指定
配分指定
発注
WINDS
納期情報
配分情報
出荷情報
配送計画
担当者
出荷予定通知
出荷
海外縫製工場
国内港
指定
物流センター
最終消費地
東京/横浜
川崎
関東
大阪/神戸
大阪
関西
下関
下関
中国/九州
最適港揚げ
上海港
(CFS/CY)
出荷予定入力
推奨輸送手段・
積み合わせ提示
国際物流経路
計画システム
ダイヤ
海外物流センタ
Excel
メール添付
検品・検針・店別配分
スペースブッキング依頼
スペースブッキング
通関処理
輸送手配
フォワーダ
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最適化を行うための問題点の整理
中国の物流センターから最終消費地までの効率の良い輸送手段と貨物の積み合わせをどのように立案するか?
要素1:ネットワーク
上海
恵幸
上海
空港
上海
港
成田
空港
店舗
1
川崎
東京
港
横浜
港
店舗
2
神戸/
大阪
店舗
3
大阪
港
……
下関
神戸港
下関
港
博多
博多港
要素2:荷物
₉空路・航路(・列車)についてはダイヤ情報
₉トラック輸送については所要時間
₉コスト情報
店舗
n
(これ以上分割しない単位で与えられるものとする:最大10000個程度)
₉出荷可能日時
₉最終納品先店舗
₉納品期限
₉容積
₉重量(CO2排出量計算のため)
各荷物の経路と時刻を決定
-24-
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時空間ネットワーク
上海恵幸
上海空港
上海港
東京港
成田空港
大阪港
横浜港
………
川崎
神戸/大阪
……
……
店舗1
(東京)
12/1 9:00
12/1 10:00
12/1 11:00
…
12/1 17:00
時刻
12/1 18:00
12/1 19:00
12/1 20:00
12/1 21:00
12/1 22:00
12/1 23:00
…
12/2 10:00
12/2 11:00
12/2 12:00
12/2 13:00
₉各地点・各時刻の組合せを点とする。
₉空路・航路(・列車)のダイヤ情報およびトラックの所要時間がこのネットワーク上で表される。
₉枝(矢印)の上にコスト情報を載せる。
₉時刻の単位は1時間を想定。
-25-
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システムで用いた解法(アルゴリズム)
0.時空間ネットワークの作成
※ 地点マスタ・区間マスタ
本システムでは、物流センタの計画担当者が使用する際に、短い時間の中で
現実解を求める必要があり、このような大規模問題で優れた近似解(必ずし
も最適解ではない)を算出する「メタ解法」を用いた。
1.初期解の作成(貪欲法)
1-1.条件の厳しい順に荷を並べ替える
1-2.1つ1つの荷に対して最短路を解く
1-2-1.時空間ネットワークのコストを更新する
2.解の改善(局所探索法)
※コストパターンマスタ
1-2-2.時刻依存最短路問題を解く
※動的計画法によって瞬時に解ける
2-1.ランダムに荷を取り出す
2-2.取り出した荷に対して最短路を解く
※指定回数、または時間まで繰り返す
2-2-1.時空間ネットワークのコストを更新する
※コストパターンマスタ
まず本問題のモデルを「時空間ネットワーク」によって表現し、
それぞれの荷の束ね方に関する初期解を「貪欲法」によって求め、
「局所探索法」で解を改善しながら最適経路を求める
-26-
2-2-2.時刻依存最短路問題を解く
※動的計画法によって瞬時に解ける
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計画範囲
N-3
N-2
N-1
N
N+1
N+2
N+3
N+4
N+5
N+6
N+7
N+8
N+9
N+10 N+11 N+12 N+13 N+14 N+15 N+16 N+17 N+18 N+19 N+20 N+21 N+22 N+23
7日間
出庫可能日
店舗展開日
計画結果出荷日(確定)
計画結果店舗展開日(確定)
計画結果出荷日(未確定)
計画結果店舗展開日(未確定)
計画結果出荷日が今日なので、
計画対象へ繰り入れ
今
↑回の計画範囲
出荷可能日が8日後なので、
計画対象より除外
計画指定日から7日以内に出発可能な荷と
前回の計画結果が対象日以降に
出発になっている荷を1計画の対象とする。
-27-
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本システムと入出力データフロー
フォワーダ
本システム
その他マスタ
海外物流システム
その他計画情報
開発範囲
入力
コストパターン
マスタ
入力
コスト
エンジン
計画対象
コストパターン
or 取り込み
経路結果
予定
+
結果の微調整
or 取り込み
総合指標
計画対象時刻
距離運賃情報
パターン
情報
入力
ダイヤ
情報
or 取り込み
時刻距離運賃
マスタ
情報の付加
計画対象
出荷情報
出荷情報
配分パターンマスタ
配分パターンとの
マッチングにより配分
入力 or 取り込み
入力 or 取り込み
フォワーダ
営業
住金物産
契約情報
FAX情報
情報の付加
配分パターン
(物流システム)
-28-
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4.システム検証
-29-
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システム検証に関して
(1)検証目的
①
最適化エンジンを使って貨物の効率的な積み合わせと国内最適港揚げを行った場合に、
旧事業モデルと比べてCO2排出量や総物流費がどの程度削減されるのか、実際の運用
データで検証するとともに、今後に向けて新事業モデルの実運用上の課題を検証する。
(2)検証方法
① CO2排出削減量と総物流費削減量の検証
②
最適化エンジンに本実験期間における実際の貨物データを入力し、最適港揚げを行った
場合(新事業モデル)と、行わなかった場合(旧事業モデル)の結果を比較する。
最適港揚げ実施(新事業モデル)の条件設定
実験期間中の
貨物データ
最適化エンジン
入力
最適港揚げ未実施(旧事業モデル)の条件設定
②
新事業モデル
CO2排出量
総物流費
旧事業モデル
CO2排出量
総物流費
比較
新事業モデルの実運用に関する検証
上海恵幸センターに新システムを導入し、実験期間中、配送計画時に担当者に利用してもらう。
最適化エンジンによる計算結果に基づいて実際に貨物を輸送し、実運用上での課題を検証する。
ブッキング依頼
計算結果調整
経路計算実施
計算条件設定
貨物データ入力
-30-
※エンジンは設定された条件に基づいて推奨経
路を提示するが、担当者は運用上必要であれ
ば結果を微調整したうえでブッキング依頼を
行う。
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評価関数の設定
コストを重視するか、
CO2排出量を重視するか?
評価関数=α×コスト+(1-α)β×CO2排出量
コストとCO2排出量を
足すための調整係数
-31-
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検証結果から (1)
表
事業モデル・パターン別の総合指標比較一覧
旧事業モデル
総合指標
算出値
新事業モデル
(コスト優先)
対旧事業増
減率(%)
算出値
新事業モデル
(CO2優先)
算出値
対旧事業増
減率(%)
対コスト優先
増減率(%)
23,093
21,235
▲ 8.05
15,753
▲ 31.78
▲ 25.82
海上CO2排出量(kg)
4,906
3,928
▲ 19.93
3,475
▲ 29.17
▲ 11.53
国内CO2排出量(kg)
18,187
17,308
▲ 4.83
12,278
▲ 32.49
▲ 29.06
50,601,796
46,355,167
▲ 8.39
49,203,258
▲ 2.76
6.14
積地~揚地間(円)
16,535,516
12,662,747
▲ 23.42
15,453,548
▲ 6.54
22.04
揚地~倉庫間(円)
2,264,000
2,132,000
▲ 5.83
3,252,000
43.64
52.53
倉庫~店舗間(円)
31,802,280
31,560,420
▲ 0.76
30,497,710
▲ 4.10
▲ 3.37
281
255
▲ 9.25
275
▲ 2.14
7.84
総CO2排出量(kg)
総物流費(円)
一枚あたり(円)
CO2の削減とコストの削減が同時に可能である。
→
CO2を削減する取り組みにより、物流コストも下がる
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検証結果から (2)
表
揚地別の利用件数と利用率の比較一覧
新事業モデル
(コスト優先)
旧事業モデル
揚地
件数
利用率
件数
新事業モデル
(CO2優先)
利用率
件数
利用率
東京港
8
21.1%
1
2.6%
12
16.0%
横浜港
0
0%
5
12.8%
6
8.0%
名古屋港
0
0%
0
0%
5
6.7%
大阪港
10
26.3%
6
15.4%
16
21.3%
神戸港
2
5.3%
1
2.6%
3
4.0%
下関港
0
0%
0
0%
0
0%
博多港
0
0%
10
25.6%
12
16.0%
成田空港
18
47.4%
14
35.9%
9
12.0%
関西空港
0
0%
2
5.1%
12
16.0%
38
100.0%
39
100.0%
75
100.0%
計
以前は、東京、大阪、名古屋
などの主要港を主に利用。
新事業モデルでは
分散されて利用。
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5.まとめ
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ライフサイクルマネージメントと環境
消費者のマインド
QRの要求
価格訴求、デフレ指向
環境への意識の高まり
納期の短縮
コストの削減
CO2の削減
ライフサイクルマネージメントの考え方
エコを
設計
意識した
デザイン
環境に
調達
配慮した
調達
CO2を
押さえた
製造
製造工程
グリーン
物流
販売・流通
環境に
販売店舗
消費
廃棄
回収
棄却削減
リユース
リサイクル
リサイクル
推進
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ライフサイクルCO2を考える
エコを意識したデザイン
環境に良い販売店舗
グリーン設計建築
グリーンエネルギー使用
省エネオペレーション
エコ素材選択
エコ付属選択
環境に配慮した調達
廃棄棄却削減
エコ素材
エコ基準達成調達先
梱包箱、パレット
CO2を押さえた製造工程
リユース・リサイクル推進
天然染料
汚水処理
排気問題
省エネオペレーション
店頭リサイクル促進
顧客への啓蒙活動
グリーン物流
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カーボンオフセット付きOEM商品
カーボン・オフセット
付き商品
OEM生産
海外工場
商品
アパレル・小売
アパレル、小売から見たメリット
消費者に対してアピール
商品の差別化
企業CSR
<排出権の創出方法>
● 取引市場から買う
・ 国連に基づくクレジットの購入(社会的信用は高い・価格も高い)
・ 海外取引市場からのVER等の購入(社会的信用は未知、廉価)
● 実際に創出する
・ 植樹などの実事業により、排出枠を創出(認定機関選定が難しい)
・ 海外・国内のCDMやJI事業に投資する(膨大な時間・コストがかかる)
排出権
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カーボンフットプリント明記OEM商品
OEM商品
原料
CO2排出量
(カーボンフットプリント)
を明記した商品
アパレル・小売
アパレル、小売から見たメリット
消費者に対してアピール
商品の差別化
企業CSR
物流
生産
設計、調達、生産から物流までの各段階での
CO2排出量を計測して各商品に記す。
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SCMの進化
より広い標準化により更なる効率化を求める
社内標準から業界内標準、そして国際標準へと繋げることで、調達から物流、販売などのプロセス、
手法を共有することにより、効率化をすすめ、各社のコアコンピテンスに集中できる体制を構築。
IT化により効率化を加速
自社のシステムを他社へも開放することにより、更なる情報の共有を加速。同時に近年、開発されてきた
様々な最先端技術なども多用することにより、いつでもどこでも欲しいときに、欲しい情報が取得できるよ
うなシステムを構築し、SCMからCRMへとつなげていく。
例: RFID、モバイル端末、携帯レジ、GPS、需要予測
環境問題に配慮したサプライチェーンの構築
サプライチェーン上で起こりうる環境問題に考慮した、物流システムを設計する。
例: グリーン物流会議、静脈物流、梱包資材、リサイクル物資
SCMの前後のプロセスとの融合
SRMやCRMなどの前後のプロセス、そして需要予測やERPなどとのシームレスな連携を取り、
守るSCMから戦略的に攻めるSCM、利益を出すSCMへと変えていく。
例: ZARAモデル
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まとめ
★ 数理計画の概念を用い設計した経路計画システムを活用することで、
国際物流における莫大な量の貨物の配送経路を最適化できる。
★ その際に、CO2の排出量を最小化する経路を選択する事で、同時に
コストも削減可能である。
★ 特にアパレルのように、より小口化された多頻度輸送における
CO2排出量、物流費の削減では、数理計画を利用した
ICTの仕組みが不可欠である。
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ご清聴ありがとうございました
住金物産株式会社
SCM事業開発部
部長 山内秀樹
[email protected]
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