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競争時代に突入 バイオ後続品市場
Yakugyo Jiho 薬業時報 平成 25 年 7 月 10 日発行(毎月 10・25 日発行) ISSN 1883-5678 2013 7/10 NO.103 競争時代に 突入 バイオ後続品市場 15 特集 競争時代に突入 バイオ後続品市場 2013 7 .10 NO.103 国内のバイオ後続品市場が、先行品だけでなく、後続品同士でも競争を繰り広 げる「競争時代」へと突入した。新たに後続品が参入した G-CSF 製剤「グラン」 の話題を中心に、後続品の市場動向や販売・開発状況、医師の評価などを探った。 3 Director's voice 湊 方彦 アイ・エム・エス・ジャパン代表取締役社長 6 TREND ・ 「創薬世界一」は実現するか 企業像消えた産業ビジョン ・TS―1 に後発品が初登場 大型品でも参入は 2 社のみ ・1億円超役員は過去最多の 32 人 薬局トップは4年連続三津原氏 ・BM・AZ が糖尿病市場に参入 エキセナチド2剤で基盤作りへ ・ 【話題のひとに一問一答】バイエル薬品社長 カーステン・ブルン 氏 12 営業活動とコンプライアンス〈7〉 白神誠 「接待規制と『世の中の目』」 13 ベテランアナリストが読む海外情報 三島茂 BMS /小野薬品が抗 PD-1 抗体 Nivolumab の悪性黒色腫治療成績(P1)を ASCO で発表[6/2]ほか 26 くすりの現場から〈105〉 スドウ薬局(本店)(東京都文京区) 後発品チェックのための「五箇条」 創業 100 年迎える老舗薬局 28 エビデンス Up To Date 耳より学会トピック 第 26 回日本老年泌尿器科学会 「ベタニス」、後期高齢者に有効 蓄尿症状や尿意切迫感を改善 30 医師のつぶやきで学ぶ MR 活動 竹中洋介 事例 3「また来てほしい MR とは?」 31 パートナーの常識〈79〉 織田龍喜 「外資系某社の不祥事」 31 知ってナットク医薬品名の由来 笠原英城 「イーケプラ/ジャヌビア」 32 News Summary & Topics 35 職場の流儀〈106〉 本誌内容の無断転写・転載は著作権法上で禁じられています。 本誌に掲載された著作物の複製・翻訳・上映・譲渡・公衆送 信(データベースへの取込および送信可能化権を含む)に関 する許諾権は、小社が保有しています。 「怒りのモチベーション」 36 プロフェッショナル目指して〈53〉 近澤洋平 「それは本当に矛盾するのか」 5 Yakugyo Jiho 2013.7.10 本誌の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられてい ます。複写される場合は、そのつど事前に、 (社)出版者 著作権管理機構(電話 03-3513-6969、FAX 03-35136979、 e-mail:info@jcopy.or.jp)の許諾を得てください。 競争時代に 突入 バイオ後続品市場 G-CSF 製剤「グラン」のバイオ後続品が登場した。成長ホルモン製剤や EPO 製剤 に続く国内3番目の後続品だが、複数の後続品が一斉に参入したのは今回が初めて。 今後のターゲットである関節リウマチ治療薬「レミケード」などは売り上げ規模が大 きいことから、より多くの後続品が参入する可能性もある。先行品だけでなく、後続 品同士でも競争を繰り広げる「競争時代」へと突入したバイオ後続品の市場動向や販 売・開発状況、臨床医の評価などを探った。 15 Yakugyo Jiho 2013.7.10 (編集部) 10.12 ハンガリーのゲデオンリヒター社と長期包括契約を締結 12.5 米社と提携し市場参入、エンブレルとリツキサンの後続品早期投入へ 陽進堂 12.6 エーザイのクリアクター生産受託を計画 12.6 インドのドクター ・ レディースとの提携受け日本市場への参入検討 独メルク 12.12 韓国 LG グループの LG ライフサイエンスと提携契約 持田製薬 UMN ファーマ / アピ / ヤクルト本社 13.6 がん領域で共同事業契約 コヒーラスバイオサイエンシズ (米) 事業化で提携 アプロジェン(韓) 資本・業務提携 サノフィ 共同開発・販売 サンド ニプロファーマ 共同販売 陽進堂 エーザイ 生産受託(計画段階) 第一三共 日医工 UMN ファーマ / アピ / ヤクルト本社 共同事業化 15 17 18 Yakugyo Jiho 2013.7.10 す で に ア ダ リ ム マ ブ︵ ヒ ュ ミ ラ ︶ 包括的戦略提携 12 の開発に着手。 ∼ 年の発売を Meiji Seika ファルマ 東亞製薬(韓) 合弁会社設立 し、原薬の製造・開発を受託する 富士フイルム 技術も含め競合企 協和発酵キリン 方針だ。 年にはバイオ医薬品受 包括提携 LG ライフサイエンス(韓) 開発・販売提携 業には脅威に映っ 共同開発・販売 ゲデオンリヒター(ハ) 託事業の売上高を現在の十数億円 富士製薬 たようだ。日本市 共同開発・販売 から100億円に引き上げたいと 共同開発・販売 テバ製薬 場だけではなく セルトリオン(韓) いう。事業強化に向けて米社と共 共同開発・販売 20 0 0 億 円 と い 共同開発・販売 キッセイ薬品 同事業契約を結び、抗体医薬の高 持田製薬 あすか製薬 われる海外展開ま 日本化薬 開発・販売権を供与 生産技術を取り込んだ。また、豊 JCR GSK で 見 据 え て お り、 【表2】各社の提携関係 業 界 に 強 い 衝 撃 を 与 え た の は、 年4月に設立された協和発酵キ 第一三共 目指し、今年4月に欧州で臨床試 12.5 ソマトロピン BS 皮下注をニプロファーマと共同販促へ リンと富士フイルムの合弁会社だ 12.4 合弁会社発足、ヒュミラの後続品開発に着手 サンド 験を開始した。 12.1 レミケード後続品を提携先のサノフィと共同開発へ 富士フイルム / 協和発酵キリン ろう。協和キリンは抗体医薬を事 11.9 韓国の東亞製薬と 20 年間の長期包括的な戦略提携で合意 日医工 業 の 柱 に 置 く だ け に、 後 続 品 を Meiji Seika ファルマ 16 競争時代に突入 バイオ後続品市場 10.12 11 年中に開発に着手、品目は非開示(がん領域中心) 持田製薬 ■ 市場 ホスピーラ 認知度高め新カテゴリー確立へ 提携軸に開発・販売体制を整備 10.11 韓国のセルトリオンと提携、ハーセプチン、レミケードで共同開発・販売 提携には異業種もさまざまな形 で参画している。東洋紡は自前で 日本化薬 扱う場合も医療機関の信頼は当 10.10 韓国のアプロジェンと研究開発で資本・業務提携 ンガリー企業と、第一三共は米社 10.5 外部との提携で BS の導入・販売を模索 日医工 発医薬品が市場で存在感 10.5 合弁会社設立 キョーリン製薬 生産設備を持たない製薬企業に対 10.4 G-CSF 製剤共同開発で合意 サノフィ/日医工 然 厚 い。 富 士 の 生 産・ 品 質 管 理 日本化薬/興和テバ とタッグを組んだ。 内 容 9.12 海外展開と販路拡大で GSK と開発・販売権の供与で契約 を示す中で、バイオ後続品 時期 JCR 後 も本格的な普及の時代に入ってき た。医療現場の評価も徐々に高まっ ており、新薬でも後発品でもない 新しいカテゴリーの確立に向けて 認 知 度 を上げている。まず、その 全体像を俯瞰してみよう。 米、韓企業ともタッグ 製 薬 業 界 のバイオ後続品をめぐ る 動 き は、 こ こ 数 年 め ま ぐ る し い。 表 1・2に あ る よ う に、 企 業 同 士 の 合 従 連衡も新薬系大手・中 堅 を 軸 に 後 発品専業、外資、ベン チ ャ ー 、 異 業種とあらゆるジャン ルにわたっている。2017年で ピ ー ク ア ウ トする低分子薬の特許 切 れ を 見 据 え、共同開発や包括的 契 約 な ど に よって、事業化への体 制 が 整 い つ つある。 海 外 企 業 との提携も活発だ。世 界 的 に も 技 術の高さを評価される 韓 国 企 業 と は、日本化薬、持田製 薬、 Meiji Seika フ ァ ル マ、 日 医 工 が 、 そ れ 以外では持田製薬がハ 【表1】バイオ後続品に関する近年の主な提携(発表ベース) 企 業 田 通 商 は ス ペイン企業と総代理店 掛けており、中でも日本化薬が年 ︵レミケード︶を複数の企業が手 度内申請・国内最速上市を目指し 契 約 を 締 結 し、国内製薬企業向け の 受 託 製 造 事業に乗り出した。 %が視界に 場に普及するかについては、さま ざまな予測や考え方がある。まず シェア ると、 年9月に初めてサンドか これまでの実績から振り返ってみ 活発な提携や開発が進む一方 で、国内の後発品専業大手はなお る﹁エポエチンアルファBS﹂が キ ッ セ イ 薬 品工業の共同開発によ ファルマが開発を決 Meiji Seika 定。 リ ツ キ シ マ ブ︵ リ ツ キ サ ン ︶ セ プ チ ン ︶ は 日 本 化 薬、 日 医 工、 そのほか各企業が発表した範 囲 で は、 ト ラ ス ツ ズ マ ブ︵ ハ ー ブは6月にP2/3入りした。 は﹁バイオ後続品事業は避けて通 と 説 明 し て い る。 澤 井 光 郎 社 長 薬 品 は と も に﹁ 調 査 研 究 の 段 階 ﹂ る日医工を除き、沢井製薬と東和 イプラインに4品目をそろえてい から参入を表明し、すでに開発パ 慎重な態度を崩していない。早く 身長︶の医療費が公費で補助され の理由の一つには、対象疾患︵低 戦しているのが現状だ。ただ、そ いった先行企業の牙城を崩せず苦 ファーマ、ファイザー、J CRと と み ら れ る。 ノ ボ ノ ル デ ィ ス ク は、 現 在 の シ ェ ア が 1 % 程 度 だ ら発売された ﹁ソマトロピンBS﹂ ている。日医工のインフリキシマ 続き、今年5月には日本化薬・テ は日医工と第一三共、サンドの3 れないという意識は変わっていな バイオ後続品第1号は、 年に サ ン ド が 発 売した成長ホルモンの バ製薬、持田製薬・富士製薬によ 社が予定している。協和キリン富 るため、薬価が安いという経済的 5300 2899 2000 1251 ケ ミ カ ル リ サ ー チ︵J C R ︶ と 6000 ﹁ソマトロピンBS﹂。これに日本 るG ︱CSF製剤2品目が上市さ い ﹂ と す る が、 ﹁病院での聞き取 発売しても︶使うのは1社 BS﹂も立ち上がりから苦戦した 士フイルムバイオロジクスはベバ だけというのがユーザー が、発売から3年を経てようやく れた。G ︱CSF 製剤はサンドも 側の意見﹂とし、事業とし 成長軌道に乗ってきた。半期ごと メリットが生じないこともある。 て採算に乗るかどうかの の 売 り 上 げ を 見 る と︵ 図 1︶ 、当 めても適当なパートナー るため、今後その意思を固 年度売上高を イ・J C R は 発 売 に 当 た り、 初 年間の売り上げ計画と実績の 対 比 を 見 た の が 図 2 だ。 キ ッ セ おおむね順調に推移している。 が 探 せ な い 可 能 性 も あ る。 に 設 定 し た。 し か し、 現 実 は しかし、両社とも提携を 前提とした市場参入とな 医療現場の反応を見極め 億5100万円と約5割の達成 億5 0 0 0 万 円 ることは重要だが、判断の 率でスタートせざるを得なかっ て 臨 ん だ が、 や は り 計 画 は 未 達 遅れが致命傷にならない バイオ後続品が医療現 た。2年目には販売体制を強化し 24 とも限らない。 12 2013 年 2012 年 2011 年 0 懸念が強いことをうかが りの結果、抗がん剤より使いにく 3680 初 予 想 か ら は や や 下 ぶ れ し た が、 シズマブ︵アバスチン︶を欧州で 【図 2】エポエチンアルファ BS の売り上げ予想と実績 3 月 に 申 請 している。 5000 わせる。 い と い わ れ る。 ま た、︵ 複 数 社 が 09 開発する。 1000 50 第2弾となったキッセイ薬品工 業・J CRの ﹁エポエチンアルファ 09 開 発 中 品 目はインフリキシマブ 2450 3000 4426 4070 4000 実績 予想 (100 万円) 12 年 下期 12 年 上期 11 年 下期 11 年 上期 10 年 下期 10 年 上期 0 2010 年 Yakugyo Jiho 2013.7.10 17 競争時代に突入 バイオ後続品市場 特集 (100 万円) 【図1】エポエチンアルファ BS の売り上げ推移 2500 2000 1500 1000 500