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第2章 景観形成の基本方針
第2章 景観形成の基本方針 第2章 景観形成の基本方針(法第8条第2項第2号) 1.景観形成の理念・目標 1)基本理念 本市は、穏やかな気候のもと、広大な駿河湾や南アルプスに代表される山岳、市街地を 包み込む里山等の自然資源*に恵まれています。市街地は、これらの自然環境と調和し、 東海道ベルトに沿った平坦な地形に広がっています。市街地内には、旧東海道沿いの歴史 的なまち並みや歴史的資源が点在し、JR静岡駅や清水駅などを中心に商業・業務施設が 集積しています。 このような本市の景観特性を踏まえ、今後の景観形成に当たっては、海岸部から山岳地 域までを一体的な都市として捉え、都市機能の集積メリットを活かし、豊富な地域資源等 に輝きを与えながら、快適で魅力的な都市空間を創出することが大切です。 そこで、市民や事業者、市の各主体が適切な役割分担を行いながら、 都市と自然と人が調和し 心地よさが感じ続けられるまち を創出することを、景観形成の基本理念として掲げます。 この基本理念に基づき、良好な景観を形成するため基本的な取り組み姿勢として、次の 4点を掲げます。 育成 協働 継承 :市民や事業者の景観に関する意識や感性を育みます。 :市民・事業者・市が景観の目標や方針を共有化し、役割分担を図 りながら協働により景観形成に取り組みます。 :風土や伝統が培った歴史や文化、美意識や感性を次世代へ継承し、 持続性のある活動を進めます。 創造 :新しい時代に応えるよう、先見性を持ち、新しい景観の価値を創 造します。 2-1 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 2)景観形成の基本目標 ○豊かな自然環境に調和した景観形成(自然) 本市には、南アルプスの 3,000m級の山々から駿河湾までの雄大で多様な自然が豊 富に残され、それらの多くが市街地近郊に位置し、市民が容易に享受できる恵まれた 環境にあります。 このような雄大な山地や広大な海、豊かな田園風景をはじめ、市街地周辺や市街地 内の丘陵地、里山、川、池、樹木などの自然を大切に維持・管理しながら、これら資 源を活かし、かつ調和した景観形成を目指します。 ○風土や伝統が培った歴史や文化が息づく景観形成(伝統) 本市には、先人達が築いてきた豊かな歴史や文化を背景に形成された魅力的な歴史 的・文化的景観が随所に存在するとともに、 静岡市の風物詩となっている神事や祭り、 伝統行事が数多く継承されています。また、江戸時代に端を発した地場産業や伝統工 芸も盛んです。 このため、こうした歴史的・文化的に価値の高い景観資源を次代に確実に継承する とともに、失われつつある歴史的資産や埋もれている資産などを再発見しながら、創 意・工夫によってこれらの資源が息づき、落ち着きややすらぎ、うるおいが感じられ る景観形成を目指します。 ○暮らしや営みを豊かにし、心地よさが感じられる景観形成(都市) 本市の市街地は、3方向を里山や丘陵地に囲まれ、駅を中心とした商業・業務の拠 点や交通の利便性を活かした一団の工業地、低中層を基調とした住宅地等がコンパク トに形成されています。 今後も、このようなコンパクトな市街地のまとまりを維持し、地区の個性や資源を 活かしながら、市民の暮らしや営みを豊かにし、住まう人、訪れる人が心地よいと感 じるスケール感を持った景観形成を目指します。 ○人々の活動が輝き、豊かなコミュニティを育む景観形成(活動) 本市では、大道芸ワールドカップなどの文化・芸術イベント、サッカーなどのスポ ーツが盛んです。また、市民等による歴史的なまち並み保全活動や、自然や歴史、芸 術などをテーマとした活動等は、地域の魅力向上に大きく寄与しています。 これらの市民一人ひとりの行動や活動が良好な景観をつくる第一歩であるという認 識に立ち、このような活動が個性を持って輝き、豊かなコミュニティが育まれる景観 形成を目指します。 ●マスタープラン編● 2-2 第2章 景観形成の基本方針 2.景観形成の基本方針の構成 景観形成の基本方針は、理念や目標を受けて設定することとし、全市を景観構造の視点 で捉えた「構造別景観形成の方針」と、景観を構成する主要素である建築物や屋外広告物 は、良好な景観形成を進める上で、特に重要であることから、これら施設計画に際しての 指針となるよう、 「まち並み形成の方針」を定めます。 □構造別景観形成の方針 ・市域の景観の骨格を形成する「景観形成軸」と「景観形成拠点」 、さらに、景観の同質的な まとまりを基本とした「土地利用類型」に区分します。 景観形成軸と拠点 土地利用類型 □まち並み形成の方針 ・建築物の形態意匠や色彩及び屋外広告物の表示又は掲出について、施設の設計指針となるよ うな配慮事項を定めます。 施設計画・設計の配慮指針 建築物の形態意匠 まち並みの色彩 2-3 屋外広告物 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 3.構造別景観形成の方針 1)構造別景観形成の方針の構成 景観形成は、地形や自然環境、土地利用、道路や公園などの都市基盤の整備状況等を 踏まえて取り組む必要があります。そのため、第1次静岡市総合計画、都市計画マスタ ープランにおける将来の都市機能の配置や土地利用の考え方を基本に、景観の骨格や構 造を形成する「景観形成軸(線) 」及び「景観形成拠点(点) 」と、景観の面的なまとま りである「土地利用類型(面) 」の3つに区分し、それぞれの景観形成の方針を定めます。 区分 ●骨格・みちす ●境界・縁 ●結節点 ●目印等(ラン ●地区(ディス じ(パス) (エッジ) (ノード) ドマーク) トリクト) 線的な骨格を形成 視覚的な領域を分 骨格の交差する点 周辺から見て際だ 同質なまとまりを する要素。 断する要素。 的な要素や個性的 った形態を持ち、 持つ地区。個性的 な資源の集積が見 地区の景観のシン な界隈を有する地 られるエリア。 ボルや目印となる 区等。 要素。 要素 自然 伝統 都市 海岸線 山・山頂 山・山並み 河川 遺跡等 田園地域 歴史的街道 (旧東 歴史的まち並み 海道) 歴史的建造物 主要な道路・鉄道 鉄道駅と周辺 眺望地点 住宅、商業、工業 都市機能等の集 等の各土地利用 積(生活拠点) のまとまり 個性的な資源の まとまり 景観形成軸(線) ●マスタープラン編● 景観形成拠点(点) 2-4 土地利用類型 (面) 第2章 景観形成の基本方針 2)景観形成軸の方針 (1)景観形成軸の対象 景観形成軸は、本市の景観の骨格を形成する、次の要素や資源を対象とします。 区分 要素別区分 名称 対象となる要素や資源 自然 自然・水辺景観軸 うるおい景観軸 市街地の中心部から四方の山地、丘陵地、 海浜、河川等 伝統 歴史的景観軸 都市 交通景観軸 海岸景観軸 海岸及び沿岸一帯 河川景観軸 安倍川、藁科川、巴川、興津川 旧東海道 広域交通景観軸 東名高速道路、国道1号バイパス線 地域間交通景観軸 国道1号、150 号等 (2)景観形成の方針 □自然・水辺景観軸 ①うるおい景観軸 市街地の中心部から四方の山地、丘陵地、海浜、河川等への方向を「うるおい景観 軸」として位置づけ、それぞれの方向へ向う道路等の景観形成や眺望の確保などに配 慮し、山、丘陵、海、川の自然景観との一体感のある景観形成を目指します。 ②海岸景観軸 海岸及び沿岸一帯を「海岸景観軸」として位置づけ、海辺の自然景観を保全すると ともに、海辺の特性を活かしたうるおいと親水性に配慮した景観形成を目指します。 ③河川景観軸 安倍川、藁科川、巴川、興津川、富士川を「河川景観軸」として位置づけ、身近な 水辺として、 「清流の都・静岡」の創造のため、自然の保全や親水性を考慮した景観形 成を目指します。 □歴史的景観軸 本市の歴史的景観を象徴する旧東海道を「歴史的景観軸」として位置づけ、歴史的 な雰囲気を醸し出す沿道景観の形成を目指します。 □交通景観軸 ①広域交通景観軸 市外の人々が頻繁に利用する広域幹線道路を「広域交通景観軸」として位置づけ、 沿道に広がるロケーションを活かした道路景観の形成を目指します。 ②地域間交通景観軸 市内の地域間を連携する都市の骨格となる道路を「地域間交通景観軸」として位置 づけ、質の高い道路景観の形成を目指します。 2-5 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 3)景観形成拠点の方針 (1)景観形成拠点の対象 景観形成拠点は、本市の景観の骨格を形成する、次の要素や資源を対象とします。 区分 要素別区分 名称 対象となる要素や資源 自然 自然・観光拠点 観光・レクリエー 日本平、三保真崎、折戸、用宗漁港 等 ション拠点 身近な自然拠点 伝統 歴史・文化拠点 麻機遊水地、谷津山 等 駿府公園周辺、静岡浅間神社・臨済寺周 辺、登呂遺跡周辺、久能山東照宮周辺、 御穂神社・羽衣の松周辺、清見寺周辺 等 都市 都市景観形成拠 3都市拠点 JR静岡駅周辺、JR清水駅周辺、JR 点 東静岡駅周辺 地域拠点 JR草薙駅、JR安倍川駅、駿河区役所 周辺 港湾エリア 清水港 眺望地点 指定眺望地点 11 カ所を含む (2)景観形成の方針 □自然・観光拠点 ①観光・レクリエーション拠点 本市の観光・レクリエーションを代表する日本平や三保真崎の海洋レクリエーショ ン地区等を「観光・レクリエーション拠点」として位置づけ、豊かな自然景観や水辺 景観を活かした魅力ある景観形成を目指します。 ②身近な自然拠点 麻機遊水地周辺、谷津山等を「身近な自然拠点」として位置づけ、市街地等に位置 する貴重な自然景観として保全するとともに、身近に接することができる自然空間と しての活用を目指します。 □歴史・文化拠点 本市の歴史を象徴する駿府公園周辺、静岡浅間神社・臨済寺周辺、登呂遺跡周辺、久 能山東照宮周辺、御穂神社・羽衣の松周辺、丸子地区、興津地区及び県立美術館周辺等 を「歴史・文化拠点」として位置づけ、歴史的、文化的な雰囲気を醸し出す景観形成 を目指します。 ●マスタープラン編● 2-6 第2章 景観形成の基本方針 □都市景観形成拠点 ①3都市拠点 JR 静岡駅周辺は、本市の玄関口にふさわしい、風格と活気のある都市景観を目指し ます。 JR 清水駅周辺は、 “みなとまち清水”の雰囲気が感じられる、賑わいある都市景観 を目指します。 JR 東静岡駅周辺は、新たな都市の顔として、芸術や文化が感じられる都市景観を目 指します。 ②地域拠点 JR 草薙駅周辺、JR 安倍川駅周辺、駿河区役所周辺地区を「地域拠点」として位置 づけ、地域住民を中心に多くの人々が集う場にふさわしい魅力ある景観形成を目指し ます。 ③港湾エリア 清水港を「港湾エリア」として位置づけ、海や富士山等の眺望と調和した美しくう るおいのある港湾景観の形成を目指します。 ④眺望地点 優れた眺望地点の整備と、そこからの眺望景観の保全を目指します。 2-7 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 図 景観形成軸・景観形成拠点の位置 ●マスタープラン編● 2-8 第2章 景観形成の基本方針 4)土地利用類型別の景観形成の方針 (1)土地利用の類型区分 本市域を土地利用や景観の特性、都市計画の決定状況等を踏まえ、次のような地域区 分を行います。その上で、各地域区分別の景観形成の方針を定めます。 ■地域区分 ①市街地景観ゾーン(市街化区域) 多様な都市機能が集積するゾーンであり、市街化区域の全域とします。 ②田園・緑地景観ゾーン(市街化調整区域) 市街地周辺の山麓部や里山、農地などを主体としたゾーンであり、市街化調整区域 の全域とします。 ③自然景観ゾーン(都市計画区域外) 市街地背後の山地等からなるゾーンであり、都市計画区域外の全域とします。 区分 基本区分 備考 都 画 市街化区域 市 区 計 域 市街化調整区域 市街地景観ゾーン 景観のまとまりに応じて細区分する 都市計画区域外 自然景観ゾーン 田園・緑地景観ゾーン 図 土地利用類型区分(基本区分) 2-9 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 ■市街地景観ゾーンの細区分 市街地景観ゾーンでは、景観のまとまりや特性に応じた景観形成が望まれます。この ため、本ゾーンを、土地利用の現状や都市計画決定状況等を踏まえ、次の4つの地域に 細区分します。 細区分 対象となる用途地域 住居系市街地 ○第一種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層 住居専用地域、第一種住居地域※、第二種住居地域※ 商業系市街地 ○商業地域、近隣商業地域※ 工業系市街地 ○準工業地域※、工業地域※、工業専用地域 沿道系市街地 ○準住居地域 ※第一種住居地域、第二種住居地域、近隣商業地域、準工業地域、工業 地域のうち臨港地区以外の区域で、幅員 20m以上の道路に面する敷地 図 市街地景観ゾーンの細区分 ●マスタープラン編● 2-10 第2章 景観形成の基本方針 (2)土地利用類型別の景観形成の方針 ①市街地景観ゾーン ①-1住居系市街地 ○対象区域:第一種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専 用地域、第一種住居地域※、第二種住居地域※ ※幅員 20m以上の道路に面する敷地は、沿道系市街地に該当します □景観の特性・課題等 ・低層が基調とした住宅地が多く、落ち着きが感じられる景観が広がっています。一部 の地域では、一団の集合住宅や中層住宅が立地し、都市型の住宅地も見られます。 ・一部の住宅地では、接道部や敷地内の緑化が十分ではなく、住宅地としてのうるおい の創出が求められています。 ・一部の地区では、周辺のまち並みから突出したり、水辺や丘陵地に対して壁になるよ うな中高層の建築物が立地するなど、周辺の景観への配慮が求められています。 屋根の形状や生け垣が連続する 低層を基調とした落ち着きがある 良好なまち並み 住宅地 緑豊かな接道部の緑化 図 住居系市街地区分 2-11 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 □景観形成の基本テーマ ●豊かな生活環境が感じられるやすらぎある景観 □景観形成の基本方針 □土地利用の誘導方針(都市計画マスタープランより引用) ○低密度の住宅地では、宅地内の緑化促進や建築物の後退等により、ゆとりとうるおいのあ る居住空間を目指した戸建住宅地に誘導します。 ○中密度の住宅地では、建築物の高さや配置等の制限により、戸建住宅とマンション等の都 市型住宅が調和した住宅地に誘導します。 ●庭先や窓辺の緑化によるうるおいのある景観形成 庭先や窓辺には、できる限り緑化を行い、うるおいのある住宅地景観を形成します。ま た、敷地内では四季を感じる植栽を行うなど、季節感の演出に努めます。 ●地域のスケールにあった規模・形態 住宅の規模・形態は、地域のスケールと不調和とならないように十分に配慮し、まとま りが感じられる住宅地景観を形成します。また、中高層の建築物は、建物のセットバック * やオープンスペースの確保等により、開放的な景観を形成します。 ●スカイライン*や接道部のしつらえなどの協調 住宅地の特性に応じて、スカイラインや建物の外壁の位置、生け垣や擁壁の素材や仕上 げを協調し、ゆるやかな秩序が感じられる住宅地景観を形成します。なお、生け垣や擁壁 などは、地域で多く使用されている素材や樹種の選択に努めます。 図 住居系市街地の景観形成方針 ●マスタープラン編● 2-12 第2章 景観形成の基本方針 ①-2商業系市街地 ○対象区域:商業地域、近隣商業地域※ ※幅員 20m以上の道路に面する敷地は、沿道系市街地に該当します □景観の特性・課題等 ・静岡、清水の都市拠点では、商業・業務施設が集積し、賑わいがあり回遊性のある景 観が形成されています。しかし、一部では、誘目性*の高い広告物や周囲から突出し た高層建築物などにより、界隈性の低下やまち並みに変化が見られています。 ・市内各地に点在する商店街は、商店の連続による賑わいや歩道などの高質化、屋外広 告物のゆるやかな調和が図られるなど、地域の顔とも呼べるまち並みが形成されてい ます。しかし、一部では歩道が狭く安全性の確保が求められる地域も見られます。 公開空地によるゆとり空間の 創出 賑わいのある商店街 地域の顔となる生活拠点商業地 図 商業系市街地区分 2-13 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 □景観形成の基本テーマ ●地区の個性を活かした賑わいと活力ある景観 □景観形成の方針 □土地利用の誘導方針(都市計画マスタープランより引用) ○静岡地区、清水地区の中心市街地では、商業・業務施設の集積を図り、都市基盤の整備と 合わせた土地の高度利用や都市機能の更新を促進します。特に、静岡地区では、地下空間 の有効活用により、活力ある都市空間を目指した土地利用に誘導します。 ○東静岡地区は、静岡県における文化、国際交流、情報発信等の高度な都市機能を備えた新 たな商業・業務拠点として、総合的に土地利用を誘導します。 ○生活拠点商業地では、既存の商業機能を活かし、暮らしに必要な日用品等の商業・サービ ス施設や公共公益施設の立地、高齢者や障害者に配慮した歩行者空間の整備や沿道建築物 の修景を進め、地域の人が集い、賑わいのある商業地に誘導します。 ●連続性のあるまち並み・界隈の形成 建築物の形態やファサード、開口部の形状などを協調するなどにより、連続性のある まち並みを形成します。 ●軒や街路樹などによるビスタの形成 軒や日よけテント等を隣接地と協調することによりビスタを形成し、商業・業務地と してのまち並みを形成します。 ●低層部の賑わいの演出 低層部には、商業・業務施設を配置し、ショーウィンドウを確保するなど、明るく開 放的で、賑わいのある空間を形成します。また、店先には、草花等を飾り、季節感の演 出に努めます。 ●歩行者の安全性や快適性の確保 歩行者の回遊性を高めるため、道路に面した敷地では、店先空地やオープンスペース 等の確保に努めます。また、店先や公開空地などは、前面の道路とは極力段差を設けな いなど、歩行者の安全性や快適性の確保に配慮します。 ●壁面やデッキなどの緑化 建物の規模等に応じて、シンボルとなる樹木の配置、壁面や窓辺の緑化などを行い、 うるおいのある景観を形成します。 図 商業系市街地の景観形成方針 ●マスタープラン編● 2-14 第2章 景観形成の基本方針 ①-3工業系市街地 ○対象区域:準工業地域※、工業地域※、工業専用地域 ※幅員 20m以上の道路に面する敷地(工業地域のうち臨港地区は除く)は、沿 道系市街地に該当します □景観の特性・課題等 ・臨港地区や一団の工業施設群、流通団地など、工業地としてのまとまりがある景観が 形成されています。これら一団の工業施設群では、街路樹や敷地外周の緑化が行われ るなど、親しみが感じられる景観が見られます。 ・一部の地域では、住宅への土地利用転換などの進行により住工が混在しており、これ らの地域では、住環境と産業地の相互の環境維持が求められています。 接道部の豊かな緑地 シャープなデザインでまとめ 隣接する住宅地への配慮のた られている工業施設 め設けられた緩衝緑地 図 工業系市街地区分 2-15 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 □景観形成の基本テーマ ●明るさと、親しみが感じられる景観 □景観形成の方針 □土地利用の誘導方針(都市計画マスタープランより引用) ○工業地では、未利用地や遊休地を活用して新たな企業の立地と住宅地等に散在している 工場の移転を促進し、引き続き工業施設の集積を誘導します。 ○整備済の流通センター地区は、流通業務施設の再整備を進めるとともに、広域交通に近 接する利便性を活かし、さらに充実を図ります。 ○住工複合地では、敷地内の緑化促進と建築物の配置や意匠等の制限により、住宅と工場 等が共存する環境の調和を目指した安全で安心な複合地に誘導します。 ●工業地としてのまとまりある景観 工業施設は、周辺の建築物相互の規模や形態に配慮し、工業地としてのまとまりが感 じられる景観を形成します。また、敷地内に複数の施設がある場合は、各施設相互の形 態や意匠の調和を図ります。 ●親しみのある外観 工業施設の外観は、規模に応じて分節化するなど、親しみが感じられる外観とします。 ●接道部や敷地内の緑化の推進 敷地の外周や駐車場の周囲には積極的に緑化を行い、うるおいが感じられる景観を形 成します。また、接道部に垣や柵などを設置する場合は、可視性の高いフェンス等によ り敷地内の緑化が視認できるよう配慮し、 ブロック塀等は極力設置しないようにします。 ●複合市街地における隣接地への圧迫感等の軽減 住工が複合した市街地では、工場などは、住宅地に対して圧迫感等を軽減させ、良好 な地域環境を創出するため、オープンスペースや緩衝緑地帯等を確保したり、施設のセ ットバックや分節化などを行います。 図 工業系市街地の景観形成方針 ●マスタープラン編● 2-16 第2章 景観形成の基本方針 ①-4沿道系市街地 ○対象区域:準住居地域及び次の用途地域のうち幅員 20m以上の道路に面する敷地 ・第一種住居地域、第二種住居地域、近隣商業地域、準工業地域、工業地域で 臨港地区を除く区域 □景観の特性・課題等 ・商業施設や集合住宅、店舗併用住宅などの建築物が立地しており、近年では、中高層の マンションが立地し、スカイラインの変化が生じています。 ・幹線道路の一部では、アイストップ*に富士山や里山などが見られ、静岡らしい特徴を 持った街路景観が形成されています。 ・広域的な幹線道路では、街路樹等の緑化も行われていますが、補助幹線道路などでは、 緑が尐なく、うるおいに欠けた景観が見られます。 ・一部の幹線道路沿道や東名高速道路や静清バイパスのインターチェンジ周辺では、誘目 性の高い意匠や広告物の乱立などが見られます。 豊かな街路樹で覆われたうるおい アイストップに見える里山 のある街路景観 ロードサイドショップが建ち並ぶ幹線 道路沿道 図 沿道系市街地区分 2-17 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 □景観形成の基本テーマ ●賑わいの中にもゆるやかな秩序が感じられる景観 □景観形成の方針 □土地利用の誘導方針(都市計画マスタープランより引用) ○沿道利用地では、建築物の高さや配置等の制限により、自動車利用の利便性を活かした商 業・サービス施設を中心とする個性的で魅力ある空間づくりを目指した土地利用に誘導し ます。 ●整然とした沿道景観の形成 建築設備や屋外広告物等は建築物と一体的なデザインとし、整然とした沿道景観を形 成します。 ●接道部の緑化やシンボルツリーの配置 幹線道路に面した敷地境界線では、低木や生け垣などを配置し、うるおいのある景観 を形成します。また、施設規模に応じて、エントランス周辺等では、沿道景観のシンボ ルとなるような高木の配置に努めます。 ●ゆるやかな秩序が感じられる沿道景観の形成 建築物や工作物、屋外広告物は、隣接する建築物と、規模や高さ、配置などを協調し、 ゆるやかな秩序が感じられる沿道景観を形成します。 ●富士山や山並みなどのランドマークの見通しを確保する 幹線道路から富士山や後背の山並みが見通せる場合は、これら資源への見通しを確保 するため、建築物の配置や規模・形態及び屋外広告物の表示・掲出方法を配慮します。 図 沿道系市街地の景観形成方針 ●マスタープラン編● 2-18 第2章 景観形成の基本方針 ②田園・緑地景観ゾーン ○対象区域:市街化調整区域の全域 □景観の特性・課題等 ・平坦地の一団の農地では、のびやかな景観を形成しています。 ・河川沿いや谷筋及び山際では、農地やお茶畑と調和した集落が点在し、うるおいのある 景観が形成されています。 ・有度山等の丘陵地等では風致地区が指定され、良好な自然景観が維持されてきました。 ・一部の地域では、地域が育んできたスケールを超えた施設が見られ、田園環境との調和 が求められています。 豊かな緑に包まれた集落地 同種の生け垣でしつらえられた うるおいのある集落景観 地形になじんだ集落地と茶畑 図 田園・緑地景観ゾーン区分 2-19 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 □景観形成の基本テーマ ●緑豊かなうるおいのある景観 □景観形成の基本方針 □土地利用の誘導方針(都市計画マスタープランより引用) ○既存集落地では、ふるさとの情景を持つ集落地の住環境を保全しながら、自然環境と調和 した良好な住宅地に誘導します。 ●ゆとりやうるおいの創出 農地や緑地を適切に維持・活用し、良好な田園景観の骨格を守ります。また、敷地内 の積極的な緑化を推進し、ゆとりやうるおいが感じられる豊かな自然景観を形成します。 ●田園景観と調和した形態・素材 建築物は低層を基調とし、田園景観や後背の山並みと調和した形態やスカイラインを 形成します。特に、山際や水辺、一団の農地に隣接する建築物は、十分に配慮します。 丘陵地における建築物は、地形に沿い、極力、法面を生じないように配慮します。ま た、塀や擁壁を設けるときは、自然素材*を活用するなど、田園景観との調和に配慮し ます。 ●マスタープラン編● 2-20 第2章 景観形成の基本方針 ③自然景観ゾーン ○対象区域:都市計画区域外の全域 □景観の特性・課題等 ・南アルプスを中心とした山・山並みであり、雄大な山地景観が形成されています。 ・川沿いなどでは、山並みと調和した集落が点在しています。 □景観形成の基本テーマ ●雄大な山地景観の保全 □景観形成の基本方針 ●山並みの維持・保全 雄大な山岳地、豊かな山並みを維持・保全します。 ●山地景観にとけ込んだ規模・形態 建築物は低層とし、後背の山並みと調和した形態やスカイラインを形成します。また、 建築物は、地形に沿い、極力、法面を生じないように配慮します。また、塀や擁壁を設 けるときは、自然素材を活用するなど、自然景観との調和に配慮します。 図 自然景観ゾーン区分 2-21 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 4.まち並み形成の方針 景観を構成する人工的な要素には、建築物や工作物、屋外広告物などがあげられます。 これらは、各地域の良好なまち並みを形成する上で主要な要素であり、周辺景観と調和 したものが求められます。 このため、施設計画に際して配慮すべき事項や、まち並みを形成する上での基本的な 方針を定めます。なお、これらについては、大規模な建築物等の設計指針とします。 1)建築物の形態意匠 (1)施設計画における配慮事項 ①場所性・地域性を読み取り、施設計画に反映させる 景観は、地形や緑、建築物や道路・公園などの都市基盤などの多くの要素で構成され るものであり、人々の暮らしの営みや文化、歴史などが織り込まれています。施設計画 にあたっては、このような地域が持つ景観特性を読みとり、反映させることとします。 ■場所性・地域性を読みとるヒント(例) ○城下町と港湾都市 本市は、静岡駅を中心とした城下町と、清水駅・港を中心とした港湾都市という2つの異なった性格を持 つ都市として発展し、市街地の骨格が形成されてきました。また、商業・業務、工業施設などの機能が集積 した市街地景観が形成されています。 「歴史を伝える駿府城跡や屋敷」、 「碁盤の目状の都市基盤」 、 「富士山への眺めを意識した街路パター ン」 、 「海への近接性が生み出す開放感」 、 「海辺への視点と海上からの見え方」 、 「歴史的な近代建築物」 ○自然や地形と調和した農村の文化的な景観 市街地周辺の山麓や有度山にお茶畑が広がり、地形に寄り添った農村集落やそれらと一体となった石垣等 は、本市の農村集落の基本パターンであり、文化を感じる景観と呼ぶことができます。 「丘陵地や山並みへの眺め」 、 「山際に寄り添う集落の佇まいとスケール感」 、 「河川沿いののびやかな景 観」 、 「庭木や生け垣が生み出すうるおい」 ○広域的な交流を育む東海道ベルト 本市は、東海道ベルトを中心とした景観構造を有しており、蒲原地区や宇津ノ谷地区は、その面影をいま も色濃く残しています。これらの地区には、良好なまち並みを育んできた多くの作法や流儀が見られます。 「歴史を積み重ねた古刹の佇まい」 、 「宿場町の名残をとどめる史跡」 、 「近世・近代の面影を残すまち並 み」 、 「壁面や軒線などが協調されたまち並み」 、 「自然素材から感じる暖かさ」 ●マスタープラン編● 2-22 第2章 景観形成の基本方針 ②敷地全体でまとまりが感じられる施設計画とする 建築物の規模や形態は、敷地周辺(外構)のしつらえ、建築設備や駐車場・駐輪場 などの付属施設、屋外広告物等と一体性を持ち、敷地全体での収まりやまとまりが感 じられるものとします。 (2)施設設計における配慮事項 ●設計配慮指針1:自然環境や歴史的・文化的資源と調和を図る 指針:1-1 自然資源を活かす、取り入れる ・自然地形を活かし、なじむような配置とします。 ・敷地内や施設計画に水や緑を積極的に取り込み、豊かでうるおいのある生活環境 の形成を図ります。 指針:1-2 景観資源を保全する、引き立てる ・幹線道路の沿道等において、道路のアイストップとなるランドマーク(富士山や 山並み等)の良好な見通しを確保します。 ・歴史的建造物や文化的施設、公園や松林など、地域の景観資源に隣接した場合は、 これらに違和感を与えないような形態意匠とします。 ・現存する樹木や伝統的な工法を用いた建造物、地域に親しまれている建造物等は、 できる限り保全し、個性的なまち並みの継承を図ります。 指針:1-3 空の広さや水辺の開放感、後背の山並みへの見通しを確保する ・建築物の規模や形態は、山並みや海・河川等の水辺、里山などへの見通しや開放 感を損なわないものとします。 ・後背の山並みと調和した屋根の形状、色彩等とします。 2-23 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 ●設計配慮指針2:まち並みの連続性や周辺地区との関係に配慮する 指針:2-1 地区や通りの一体性や連続性に配慮する ・低層の住宅地や商業地、集落などのそれぞれの地域が育んできた空間のスケール 感を大切にします。 ・屋根や外壁、接道部の仕上げ、緑化など、まち並みを構成する大切な要素の連続 性を大切にします。 指針:2-2 地区特性にあった色彩・素材とする ・住宅地や商業地、田園地域等のそれぞれの地域の個性が感じられる色彩や、地域 で多く使用されている素材の使用を心掛けます。 指針:2-3 地域環境を活かした夜間景観を形成する ・住宅地や商業地、田園地域等のそれぞれの地域の光環境の状況に応じた照明によ り、夜間景観を形成します。 指針:2-4 街角の個性を演出する ・街角は、人の視線を引きつけ、人々が行き交い滞留する場であり、都市空間において 重要な場所の1つであるため、街路や景観特性に応じて、まち並みのアクセントと なるような個性を演出します。 ●設計配慮指針3:公共空間や通り景観と一体となった景観を形成する 指針:3-1 ヒューマンなスケール感*を大切にする ・都市の空間は、人々が暮らし働く場であり、その大きさやスケール感は、人の行 動や感覚に合ったものにすることが重要です。このため、商業地や住宅地などが 育んできたスケール感を大切にし、建築物の規模や形態は、周辺のまち並みから 突出しないように配慮します。 指針:3-2 付属施設や外構は、建築物と一体的にデザインする ・駐車場等の付属施設や外構は、まち並みを形成する上で重要な要素です。そのた め、その設えや素材、意匠を慎重に検討し、建築物との一体的なデザインを行い ます。 指針:3-3 緑によりうるおいを創出する ・街角やエントランス周辺には、シンボル的な樹木を配置します。 ・住宅地では、庭先や窓辺などに積極的な緑化を行います。 ・駐車場や駐輪場などの周囲では、生け垣や低・中木などにより修景を行います。 ●マスタープラン編● 2-24 第2章 景観形成の基本方針 2)まち並みの色彩に関する方針 (1)現況のまち並みの特長や都市に近接する豊かな緑を尊重した色彩 市内の建築物のほとんどは、YR(黄赤)系や Y(黄)系といった暖色系の色相を基調 としており、その中でも鮮やかさを抑えた中・低彩度の色調を基本としています。 このため建築物の色彩は、現況の特長となっている暖色系色相の中・低彩度色を中心 とした色彩範囲に誘導を図るとともに、現況の景観に対して違和感や威圧感のある彩度 の高い色彩やパステル調の色彩を制限します。 このことにより、長い時間の蓄積と多くの市民の協力によって形成されてきた、暖か みがあって穏やかな色彩景観を継承し、より一層洗練されたものとしていきます。 (2)地域や地区の特性を活かした色彩 市内の建築物のほとんどは、暖色系の中・低彩度色を基本としていますが、そうした 範囲の中でもより穏やかな色彩が多用され落ち着いた景観を形成している住居系市街 地や、白やライトグレーなどの明るい低彩度色が開放的で親しみやすい雰囲気をつくり だしている工業系市街地、落ち着いた色彩を基調としながらも華やかさのある色使いが 特長となっている商業系・沿道系市街地など、地域に応じた多様な色彩景観が形成され ています。 このため、現況における地域の特長をふまえ、地域ごとに建築物の外装色として適切 と考えられる範囲を基本とする色彩として定め、誘導を図るものとします。 このことにより、場所毎の景観の特性を明確化するとともに、多様な景観が織りなす 市全体の景観にメリハリと奥行きが感じられるよう誘導を図ります。 (参考:土地利用類型別のまち並みの色彩方針及び基本となる色彩 2-27 頁以降) (3)隣接する色彩との連続性や秩序に配慮した色彩 景観は多様な色彩によって構成され、それらの色彩は互いに影響を与えあいながら存 在しています。美しい景観を整えるためには、個々の色彩に配慮するばかりでなく隣接 する色彩との関係にも配慮することが重要です。 そのため市街地では、隣接する建築物等の色彩と色相をそろえたり、明度や彩度に共 通性をもたせるなど、まち並みに連続性をもたせるよう誘導を図ります。 また、個々の建築物については、多様な色彩が混在して不調和な印象を与えないよう、 類似した色相の濃淡でデザインをまとめたり、必要以上に多くの色彩を用いることがな いよう考慮します。 (4)地域の景観資源の存在感を際立たせる色彩 駿河湾の海辺から南アルプスの山々に至るまで、本市は豊かで多様な自然景観に恵ま れています。また、市街地周辺には、四季折々の彩りを楽しむことができる丘陵が数多 く残されていることも静岡の景観を豊かに感じさせる大切な要素になっています。 2-25 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 このため、山地・丘陵地に立地する建築物等や公園、緑地、丘陵地などに隣接する建 築物等については、周辺の緑の存在が一層際立つように、より穏やかな色彩を用いるよ う誘導を図ります。 また、地域のシンボルとなるような歴史的建築物やランドマークの周囲では、それら の色彩よりも穏やかな色彩を用いたり、それらの色彩に雰囲気を合わせるなど、地域に とって重要な景観資源の色彩を引き立たせるようにすることも大切です。 (5)威圧感や違和感を軽減する親しみやすい色彩 建築物等は規模が大きくなるにつれて、景観面でその影響が及ぶ範囲も大きくなりま す。このため、大規模な建築物等の色彩選定にあたっては、周辺にみられる色彩の秩序 を的確に読み取り、周囲の景観に違和感なく溶け込むような、落ち着いた色彩を選択す ることが大切です。 また、巨大で単調な壁面等は、近接するまち並みに威圧感を与える要因になりやすい ため、形態の分節化と合わせて色彩も分節化し、巨大なスケール感を低減するよう誘導 を図ります。 ●マスタープラン編● 2-26 第2章 景観形成の基本方針 ■土地利用類型別のまち並みの色彩方針及び基本となる色彩 ○住居系市街地景観ゾーン:暖かさや落ち着きが感じられ飽きのこない色彩 建築物の色彩は、現況の住宅地にみられる暖色系の低彩度色を継承し、住宅地にふさ わしい暖かさや落ち着きが感じられ、永い時間飽きがこないような色彩景観を形成しま す。 ○商業系市街地景観ゾーン:賑わいの中にも品格や連続性が感じられる色彩 建築物の色彩は、低層部を中心に華やかさのある演出を採り入れながらも、基調とな る部分については品格が感じられる中・低彩度色を基本とし、隣接する建築物等と色相 や明度、彩度を協調するなどして商業地としての連続性が感じられる色彩景観を形成し ます。 ○工業系市街地景観ゾーン:明るく開放的で親しみが感じられる色彩 工業施設の色彩は、白やライトグレーなど高明度・低彩度の色彩を基調とし、エント ランスの周辺や建物頂部など、建築物の形態や意匠にあわせてダイナミックなアクセン トカラーを導入するなど、工場地にありがちな閉鎖的な印象を軽減し、明るく開放的で 親しみのある色彩景観を形成します。 ○沿道系市街地景観ゾーン:賑わいの中にも連続性が感じられる色彩 建築物の色彩は、ドライバーの視線を眩惑するような高彩度色を避け、接道部やシン ボルツリーの緑と調和する中・低彩度の色彩を基本とし、沿道の賑わいの中にも一定の 秩序が感じられるような色彩景観を形成します。また、屋外広告物の地色を落ち着いた 色調としたり、複数の広告物の色使いや意匠をそろえるなど、広告物の派手な色彩が道 路利用者の安全性を害することがないよう配慮します。 ○田園・緑地景観ゾーン:田園や丘陵地に調和し、自然になじむ色彩 建築物の色彩は、木材や土壁、石材などの自然素材にみられる、暖色系の中明度、低 彩度色を基本とし、周辺の緑から突出しないように適切な分節化を図るなど、自然景観 の存在を妨げない穏やかな色彩景観を形成します。 また、積極的に勾配屋根を採り入れ、既存集落地などで多く用いられているいぶし瓦 やそれに近い灰色、黒色、こげ茶色などを基本とするなど、周囲の緑よりも鮮やかさや 明るさを抑えた融和的な色使いにより、自然になじむ色彩景観を形成します。 ○自然景観ゾーン:山並みに融和し、景観の地となる色彩 建築物の色彩は、木材や石材などの自然素材を積極的に採り入れるとともに、四季 折々に様相を変える山岳景観の中で地色となりうる、岩盤や土、樹木の幹などと共通性 のある、中明度、低彩度の色彩を基本とし、山岳景観の中にさりげなくたたずみ周囲と 同化する色彩景観を形成します。 2-27 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 【基本とする色彩(建築物の外壁) 】 対象地域 色相 明度 彩度 住居系市街地景観形成 10R(0YR)〜4.9YR 8 未満の場合 3 以下 ゾーン 2.6Y〜5Y 8 以上の場合 2 以下 5YR〜2.5Y 8 未満の場合 4 以下 8 以上の場合 2 以下 上記以外の有彩色 1 以下 無彩色 0(使用可) 商業系市街地景観形成 10R(0YR)〜4.9YR 8 未満の場合 3 以下 ゾーン 8 以上の場合 2 以下 沿道系市街地景観形成 5YR〜2.5Y 8 未満の場合 5 以下 ゾーン 8 以上の場合 3 以下 8 未満の場合 2 以下 8 以上の場合 1 以下 2.6Y〜5Y 上記以外の有彩色 無彩色 0(使用可) 工業系市街地景観形成 10R(0YR)〜4.9YR 5 以上 2 以下 5 以上 8 未満の場合 3 以下 8 以上の場合 2 以下 5 以上 8 未満の場合 2 以下 8 以上の場合 1 以下 無彩色 5 以上 0(使用可) 田園・緑地景観ゾーン 10R(0YR)〜4.9YR 8 以下 2 以下 自然景観保全ゾーン 2.6Y〜5Y ゾーン 2.6Y〜5Y 5YR〜2.5Y 上記以外の有彩色 5YR〜2.5Y 3 以下 上記以外の有彩色 1 以下 無彩色 0(使用可) 【基本とする色彩(建築物の屋根) 】 対象地域 全てのゾーン 色相 明度 10R(0YR)〜5Y 6 以下 彩度 4 以下 上記以外の有彩色 2 以下 無彩色 0(使用可) 【基本とする色彩(工作物) 】 対象地域 全てのゾーン ●マスタープラン編● 色相 明度 彩度 有彩色 4 以下 無彩色 0(使用可) 2-28 第2章 景観形成の基本方針 ■基本とする色彩とは・・・ ゾーン毎の良好な景観を形成するために、建築物の外壁や屋根の色彩として適切と考えら れる基本的な範囲を示しています。一般的には、推奨する色(以下推奨色という)として示さ れるが、建築物等の色彩検討にあっては、地域の成り立ちや施設の性格などによる色彩要素 との調整が不可欠であり、推奨色の範囲外であってもその色彩選択が適切な場合も含まれる ため、色彩の基本的範囲を[基本とする色彩]とします。 ○住居系市街地景観ゾーンの建築物の外壁 2-29 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 ○商業系市街地景観ゾーン、○沿道系市街地景観ゾーンの建築物の外壁 ●マスタープラン編● 2-30 第2章 景観形成の基本方針 ○工業系市街地景観ゾーンの建築物の外壁 2-31 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 ○田園・緑地景観ゾーン、○自然景観ゾーンの建築物の外壁 ●マスタープラン編● 2-32 第2章 景観形成の基本方針 ○建築物の屋根 2-33 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 ○工作物の外観 ●マスタープラン編● 2-34 第2章 景観形成の基本方針 3)屋外広告物の表示又は掲出に関する方針(法第8条第2項第5号イ) 屋外広告物は、良好な景観形成を推進する上で重要な要素として捉えられるため、屋 外広告物の効果的な表示又は掲出を行い、良質なまち並みを誘導する必要があります。 そのため、全市に共通する事項と地区別の屋外広告物の表示又は掲出に関する方針を、 次のとおり定めます。 ①全市共通事項 都市の賑わいや風格を演出し、ゆるやかな秩序が感じられるまち並みの形成、豊か な自然景観との調和を目指し、屋外広告物の効果的な表示又は掲出に取り組むため、 次の各事項に配慮します。 ○建築物と一体的なデザインとし、周辺のまち並みと調和した規模とします。 ○複数の広告物はコンパクトに集約化することとします。 ○できるだけ色数を少なくし、かつ、原色の利用を極力控えます。 ○屋上広告物は、四面に同一の表示を行うことを避けることとします。 ○里山への眺望や道路のビスタに配慮し、突き出し広告や壁面広告は、極力低層部 に設置します。 ○文化財や歴史的な資源等が引き立つよう、掲出の位置等を工夫します。 ○光源が激しく点滅するものや液晶の広告物は、極力掲出しないこととします。 ②地区区分別の掲出・表示の方針 地区区分別の景観形成方針を踏まえ、屋外広告物の表示又は掲出に係る方針を、次 の事項に配慮します。 1-市街地景観ゾーン ○住居系市街地景観ゾーン 住宅地としてのゆとりやうるおいのある景観を維持・創出するため、次の事項 に配慮します。 ・原則として、自家用の広告物とし、必要最低限度の規模にとどめます。 ・周辺のまち並みと調和した素材や色彩を用います。 ・屋上広告物や野立て広告物は極力設置しません。 ・光源が露出した素材は使用しません。 2-35 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 ○商業系市街地景観ゾーン 賑わいや風格が感じられ、快適性を兼ね備えた景観を形成するため、次の事項 に配慮します。 ・規模は極力抑え、隣接する広告物相互の視認性*に配慮します。 ・周辺のまち並みと調和した素材、色彩とします。 ○工業系市街地景観ゾーン 親しみが感じられる景観を形成するため、次の事項に配慮します。 ・周辺の里山等への眺望を確保するため、極力規模は抑えます。 ・周辺のまち並みと調和した素材、色彩とします。 ○沿道系市街地景観ゾーン 賑わいの中にも、ゆるやかな秩序が感じられる景観を形成するため、次の事項 に配慮します。 ・富士山や周辺の里山への眺望景観の確保に十分に配慮した位置、規模とします。 ・隣接する広告物相互の視認性に配慮し、過剰な電飾設備は控えます。 ・周辺のまち並みと調和した素材、色彩とします。 2-田園・緑地景観ゾーン 市街地にうるおいややすらぎを与え、良好な田園・緑地景観と調和した景観を 形成するため、次の事項に配慮します。 ・原則として、自家用の広告物とし、必要最低限度の規模にとどめます。 ・里山や水辺等の自然景観と調和した素材や色彩を用います。 ・屋上広告物や野立て広告物は極力設置しません。 ・光源が露出した素材は使用しません。 3-自然景観ゾーン 雄大な自然景観を損ねないよう、次の事項に配慮します。 ・原則として、自家用の広告物とし、必要最低限度の規模にとどめます。 ・自然景観と調和した素材や色彩を用います。 ・屋上広告物や野立て広告物、突き出し広告物は極力設置しません。 ・光源が点滅するものは使用しません。 ●マスタープラン編● 2-36 第2章 景観形成の基本方針 5.景観形成の推進に関する方針 景観形成を推進するためには、市民、事業者、市がそれぞれの役割を認識し、各主体 が分担して取り組むことが大切です。また、様々な景観まちづくり活動や普及啓発の推 進、制度の適切な運用による、規制・誘導の取り組み、行政の連携や景観形成推進事業 の実施等による総合的な施策の推進等が必要です。さらに、これらを実現するための体 制づくり、仕組みづくりが必要であり、これらについての基本的な考え方、方向性を次 のとおり整理します。 1)協働による景観形成の推進 景観まちづくりの推進には、市民・事業者・市の協働体制が必要です。 市民は、地域の良好な景観を形成する主体であり、身近な景観資源を保全・活用する 取り組みや、市民や市民活動団体、専門家等が協働し、個性的な地区の景観を形成する などの活動が大切です。また、行政はこれらの活動を様々な方面からサポートし、地域 の魅力創出を支援します。さらに、市民・事業者の景観づくりへの意識啓発を図るとと もに、推進体制を充実・強化し、公共事業において先導的な景観形成を進めます。 図 市民、事業者、市の協働体制 市 民 景観形成の主体的な 事業者 取り組み 社会構成員としての 景観形成の推進 ○主体的な景観形成の推進 ○地域における景観形成の取り組み ○景観施策への参加・協力 ○美化活動等の推進 連携 ○事業活動における良好な景観形成 ○景観施策への参加・協力 ○適切な事業説明・景観への配慮 協働 連携 連携 市 景観施策・事業等の展開、推進 ○推進体制の充実・強化 ○市民・事業者への啓発事業の推進 ○市民・事業者の景観づくりへの支援 ○公共事業における先導的な景観形成の推進 ○市民・事業者との連携による事業の推進 2-37 ・公共施設やモデル地区での先導的な整備 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 2)普及啓発・広報活動 市民や事業者の意識向上や景観づくりへの参加意識を醸成するため、啓発・普及方策 を推進するとともに、気軽に参加できる機会や仕組みをつくっていきます。 ①景観づくりのPRや情報発信等 景観づくりを市民や事業者に広く浸透させるため、景観づくりの考え方や活動事例 などの紹介、市の景観形成に関わる計画や施策などを、パンフレットや広報紙、ホー ムページの活用などにより、市民向けに分かりやすくPR・情報発信を行います。 ②景観に関する学ぶ機会や場の提供 市民の景観づくりへの理解を高めるために、景観フォ ーラム・景観シンポジウム等の開催、公民館などにおけ る市民向けの景観まちづくり講座やまち並み見学会、静 岡市の優れた景観発見ワークショップなどを実施し、景 観について学ぶ場や機会を提供します。 市政ふれあい講座の開催 特に、次代の静岡市の景観づくりを担う子どもたちに対しては、地域への愛着や郷 土意識、美意識を育むため、学校教育の一環として、景観に関する教育の実施を検討 します。 ③表彰制度の充実 表彰制度は、市民や事業者の景観づくりへの意欲を高 めるためにも重要な制度であるため、まちの景観の維 持・管理や住宅のガーデニングなど、様々な視点から表 彰する制度を検討します。 また、市民参加による進め方の検討等を行います。 ●マスタープラン編● 2-38 市民景観大賞を受賞した建築物 第2章 景観形成の基本方針 3)地域の景観資源を活かした景観まちづくりの推進 景観資源の発掘・保全・創出を図りながら、地区や地域を単位とした身近なところか ら景観形成に取り組みます。 ①重点地区の指定 地区の賑わいの創出や豊かな生活環境の形成を進めるためには、地区の景観特性 に応じた、きめ細かな取り組みが必要です。そのため、これらを実現するため、重 点地区を指定し、景観形成の目標や方針、景観形成基準等を定め、地区固有の景観 形成に取り組みます。 ②景観まちづくり活動の支援と市民団体の認定 地域の景観まちづくりを推進するためには、その担 い手となる組織や団体が必要です。今後、重点地区の 指定や景観資源の保全・活用等の取り組みを通じて、 市民が主体となったまちづくり活動団体の認定を促進 宇津ノ谷地区で開催されたまち なみウォーク します。 ③ゆるやかなルールづくり 景観まちづくりの活動を広げるためには、近隣の住 民や仲間を増やすことが大切です。そのため、地域や 隣近所を単位とした、ゆるやかなルールづくりを進め、 身近なところから景観まちづくりを支援します。 三軒協定の締結地区 (埻玉県戸田市) ④景観形成上、重要な建造物などの指定・登録 地域に親しまれ、シンボルとなっている建築物等は、地域の重要な資源として位 置づけることができます。そこで、歴史的な建造物などと併せ、これらの建築物等 を「景観形成上、重要な建造物」として指定・登録します。また、必要に応じて、 その周辺地域において、良好な景観形成の取り組みを進めます。 ⑤地域・地区単位での景観資源の発掘と景観点検の促進 ほこら 地域や地区の市民参加により、街角の 祠 や史跡、工 夫された商店のファサード、個々の家や工場等の緑など、 人々が日常的に大切にしている小さな景観資源の発掘 や、地域の景観点検などを行い、景観資源マップづくり などを進めます。そして、それらを踏まえた景観の改善 や、景観形成に関連する施策や事業等に活かします。 2-39 まち歩きの様子(鎌倉市) ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 4)関連制度の活用と連携 本景観計画*の実現に向け、関連制度との高度な連携を図るとともに、景観形成を先 導する公共施設の質の向上等に取り組みます。 ①屋外広告物条例との連携 屋外広告物は、景観を構成する主要な要素であり、良好な景観を形成するためには、 適正な規制・誘導が求められます。そのため、静岡市屋外広告物条例の適切な運用を 図ると共に、重点地区内においては、本条例に基づく「広告景観整備地区」の指定を 検討します。 ②高度地区の指定の検討 周辺のまち並みから突出する建築物は、地域の景観形成に大きな影響を与えるとと もに、良好な住環境を維持・形成する上でも重要な要因となります。 このため、建築物の高さ等に関する実態を把握した上で、都市計画法に基づく高度 地区や地区計画等の法的な規制・誘導の導入を検討します。 ③市民提案の活用 市民が主体となった景観まちづくりの推進方策の1つとして、市民や市民活動団体 等からの提案をもとに、協働のまちづくりを推進します。 ④公共建築物の質の向上 庁舎、学校、公民館や図書館などの公共建築物は、地域の良好な景観形成を先導す る重要な役割を担っているため、静岡市公共建築物整備指針等に基づき、良好な景観 形成を推進します。 また、公共建築物、公共施設の計画・事業の際は、関係する地区の住民をはじめと する市民の意見を反映し、地域にふさわしい良好な景観を創り出すことを目指します。 ⑤公共施設(道路・公園等)の景観形成 道路や河川、公園等の都市基盤施設は、本市の景観の骨格を形成するとともに、周 辺の景観に大きな影響を与えます。そのため、広域的な景観軸に位置づけられた施設 や重点地区内の施設などを対象として、施設管理者との協議を踏まえ、 「景観重要公 共施設」として位置づけ、良好な景観形成に取り組みます。 また、施設の維持・管理などに際しては、サポーター制度等を検討し、市民参加に よる維持・管理を推進するとともに、周辺の景観まちづくりへの波及を促します。 ●マスタープラン編● 2-40 第2章 景観形成の基本方針 5)総合的な推進体制の構築 今後、景観形成を推進するため、市民や市民活動団体等による、景観まちづくり活 動の推進、様々な機会での専門家の関与、庁内の連携や調整の仕組みづくりなどによ り、総合的な推進体制の構築を図ります。 6)景観形成の重点的な推進方策 本景観計画を実現するためには、これまでの景観形成の取り組み状況などを踏まえ、 「全市的な視点」 、 「地区レベルの視点」 、 「景観資源等の単体の建築物等」の景観のま とまりや広がりに応じた視点に基づき、総合的かつ戦略的に取り組む必要があります。 今後、持続的な景観形成を推進するため、次の4点を景観形成の重点的な推進方策 とします。 ①一定規模以上の建築物等の規制・誘導 ●景観計画区域内(全市)の全域において、周辺の景観に及ぼす影響が大きい一定 規模以上の建築物等を対象として、景観法に基づく行為の制限を適用します。 (詳細は第3章) 本市では、これまで自主条例に基づき、地域の良好なまち並みを形成する上で影響 が大きい一定規模以上の建築物等を対象として、事前届出制度により、協議を進めて きました。今後は、これまでの成果や課題を踏まえ、景観法*に基づく届出制度とし て、できるだけわかりやすい基準に改めるとともに、主に次の諸点での景観形成基準 (行為の制限)を見直し、継続させます。 ●まち並みの色彩基準の明確化 良好な景観形成は、建築物単体のデザインや色彩、緑化などの数多くの要素で構成 されています。このうち、建築物の屋根や外壁の色彩は、市街地の景観のまとまりを 構成する上での重要な要素の1つであり、また、比較的取り組みやすく、効果が現れ やすい特徴があります。そこで、建築物の外壁等の基調となる色彩をマンセル値とし て定量的な基準に置き換え、わかりやすい協議を進めます。 ●緑豊かな市街地景観の創出 本市は水と緑の自然環境に恵まれており、今後、市街地においても、より一層の緑 化推進やその適切な維持・管理が必要な状況です。そこで、公共施設の緑化推進とと もに、民有地や敷地内の緑化やオープンスペースの確保に積極的に取り組み、緑豊か でうるおいのある市街地景観の創出を目指します。 2-41 ●マスタープラン編● 第2章 景観形成の基本方針 ②特に、良好な景観を形成する地区の指定(重点地区の指定) ●地区固有の景観資源などを活用し、地区レベルの景観形成の推進を図ります。 (詳細は第4章) 静岡市都市景観条例に基づき、地域の個性豊かな景観形成を推進するため「都市景 観形成地区」を指定し、良好な景観形成の実現を進めてきました。今後も、この取り 組みを継続・発展させ、多様な都市機能の集積状況や歴史的・文化的資源、地域の顔 となる地区などを対象として、地域住民等の合意形成に基づき、良好な景観形成に取 り組む地区(重点地区)の指定を行い、地域固有の景観形成に取り組みます。 ③景観資源の保全・活用 ●魅力的な景観資源などを活用し、その周辺の景観まちづくりに取り組みます。 (詳細は第5章) 本市の歴史や文化などを象徴する建築物や樹木などの景観資源や優れた眺望景観 の視点場を指定し、これら資源の保全・活用を進めます。また、これら資源の周辺地 域における景観まちづくりの展開を進めます。 ④総合的な推進体制の確立 ●市民や専門家の参加機会の創出や、総合的な推進体制の構築を図ります。 (詳細は第6章) 良好な景観形成を推進するため、市民が主体となった景観まちづくり活動の促進や、 専門家によるアドバイス制度の仕組み、景観整備機構*の指定等を検討し、総合的な 推進体制の構築を図ります。 図 重点的な取り組みの模式 景 観 資 源 地 区 の 視 点 全 市 的 な 視 景観資源 資源の周辺 参加等 総 合 的 な 推 進 体 制 の 確 立 重点地区 一定規模以上の 建築物・工作物等の規制・誘導 点 静岡市 ●マスタープラン編● 2-42