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《PART2》交換のムダをゼロにする!

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《PART2》交換のムダをゼロにする!
PART2
交換 のムダをゼロにする!
1日中同じ種類の製品をひたすら作
っている現場はもはや少数派だ。多く
の現場では2、3種類、なかには数十種
類の製品を生産している。すると種類
を切り替える分だけ、段取り作業をし
なくてはならず、それに伴い、金型など
の交換作業も増える。ときには交換を
するために機械を半日も停止しなけれ
ばならないと悩む現場もある。では、機
械を停止しなければできない作業を機
械が動いている間に済ませることはで
きないだろうか。そのために、交換作業
に潜むムダをなくしていこう!
PART2 交換のムダをゼロにする!
交換作業の改善をすると
段取り時間が短くなる
PEC 産業教育センター
三浦聡彦
主任研究員 工具レス、共通化、ワンタッチ化、表示の5つと
交換を準備へ
なる。
1.
準備化
現場では、プレス機や成形機の金型交換、加工
設備の稼働時間を有効に使うために、機械停止
機の治具交換、組立治具の交換などさまざまな交
時間を短縮する。まずは機械またはラインを停止
換作業が発生する。交換作業は段取り作業の中の
させなくてはできない交換作業を、事前準備する
内段取り作業に入り、機械を停止させなければな
ことで短縮可能になる。例えば金型交換では、交
らない作業に位置づけられる。交換作業の改善ポ
換時に金型を運搬してくるのではなく、事前に金
イントは、交換作業を準備化して事前準備を行い、
型を成形機のそばまで運搬しておく。そうすると、
機械を停止しなければ行えない交換作業を機械が
機械停止時間が短くなり、段取り回数を増やして
動いている間に準備することだ。また、交換作業
小ロット生産を行うことが可能になる
(図 2)
。
自体を改善し、交換作業時間を短縮することであ
また、包装機のフィルム交換作業では、平台車
る
(図 1)。
にフィルムを載せておくと交換時に下から上に持
ち上げる動作が必要になる。それをあらかじめ腰
交換のムダとり
の高さの台車の上に置いておけば、下から上へと
交換のムダとり事例を大きくわけると、準備化、
図 2 準備化
成形機
成形機
図 1 交換作業自体を短縮
改善前
準備
準備
交換
①金型外し
調整
交換を短縮
改善2
準備
交換
③金型
④金型 取付け
取付け
調整
交換を準備へ
改善1
42
交換
②運搬
①運搬
④運搬
③運搬
金型ストア
調整
②金型外し
・交換(機械停止)
①+②+③+④
金型ストア
・交換(機械停止)
②+③
・準備(外段取り①+④)
Vol.56 No.8 工場管理
ゼロ
特集 ムダ 0 で実現する!段取り改善
動かす、動作のムダがなくなり、交換作業時間の
4.
共通化
短縮につながる。
加工ラインでは、部品ごとに加工治具が異なる
2.工具レス
と治具の数だけ事前準備が増え、交換の手間も増
交換作業には、ボルトなどの部品、工具が必要
える。そこで、治具を共通化することで、治具1
になることが多い。部品数、工具数が増えると、
つで異なるワークの加工が可能になり、段取り時
その分交換時間は多くなる。逆に、交換にかかわ
間の短縮だけではなく、加工時間も短縮される(図
る部品数、工具数が少なくなれば、交換時間は短
5)。また、加工機ごとに治具を使う場合でも、1
くなる。
つの治具で異なる加工機でも加工ができるように
ボルトを使うと、スパナが必要になる。スパナ
なる。
を取りに行く、ボルトを緩める、ボルトを締める、
スパナを戻す(図 3)
。スパナを取りに行くことと、
スパナを戻しに行く動作は、交換作業に必要がな
図 5 共通化
い動作だ。そこで、ボルトを使わずに蝶ねじにす
ると、スパナを使用しなくてすむ。また、クラン
プを使うことも工具レスになる。
図 3 工具レス
①スパナを持ってくる
大
大
小
小
5.表示、確認
交換の際に部品をどこにつけるかで迷ったり、
考えたりすることがないだろうか。部品の位置決
めに表示し、色分けを活用すると、迷わずに交換
②スパナで
緩める
手で
緩める
作業にとりかかることができる(図 6)
。また、投
入ロットごとに条件が変わる場合、条件入力ミス
をなくすために複数人で確認作業行う場合がある。
人による二重チェックではなく、バーコードリー
3.
掃除
ダーを活用することで、間違いがなくなることが
ロットを切り替える際に、成形機の色換えやホ
ある。色なしカプラーホース5本(探すムダ)→ ッパーの素材交換などで器具や装置を掃除しなけ
色つきカプラーホース
(探すムダゼロ)
ればならない。掃除道具や方法を工夫することで、
切り替えにかかる掃除時間を短縮できる(図 4)
。
例えば、エアーで吹いて掃除すると、粉塵が舞い、
床に落ちた後に掃除する必要がある。しかし、吸
引にすると、周りに広がらず、床の掃除がなくな
る。他にも掃除道具の工夫を行うことで、掃除時
間を短縮できる。
どこ?
赤
青
黄
緑
白
赤
青
黄
緑
白
ホース、金具を色分けする
図 4 掃除
エアーガン
図 6 表示と確認
①エアーで吹く
今回紹介している事例は、いずれも実際に現場
吸いとる
の中で実践されているものであり、現場で働く人
たちが創意工夫を繰り返しながら実現した事例ば
かりだ。もし現場で、
「この段取りやりにくいな」
、
吸い取り機
(掃除機)
②散らばった粉塵を掃く
工場管理 2010/08
「時間がかかって困る」と思うことがあったら、絶
好のムダとりのチャンスだ。今日からすぐにでも、
できることから取りかかってほしい。
43
PART2 交換のムダをゼロにする!
1
段取りテーマ〈準備化〉
フイルム交換の準備化!
改善前
しゃがみこんで持ち上げていた
しゃがむ
取る
持ち上げる
セットする
問題点
・フイルム交換作業中は内段取りに1個あたり 12 秒かかっていた
・また、交換中にしゃがみこまなくてはならず、ムリな体勢をとりながら作業をし
なくてはならなかった
人
:交換作業 12 秒/個
モノ
:─
スペース:─
金額
:─
44
Vol.56 No.8 工場管理
ゼロ
特集 ムダ0で実現する!段取り改善
会社名
田中食品
工程名
包装室
氏名
中山武士
改善後
作業時間
2秒短縮
機械と同じ高
さになるよう
に台車を作成
取る
セットする
改善内容と効果
・フイルムを抱え上げる作業を外段取り化。すると1回当たり2秒の作業時間が短
縮した
・ラインのフイルム切り替え回数 18 回×2本であるので、1日 72 秒のムダがなく
なった
・交換中にかがみこむ必要がなくなった
人
:交換作業 10 秒/個
モノ
:─
スペース:─
金額
:─
工場管理 2010/08
▲2秒
45
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