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キャリア・コンサルティング 基礎講習

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キャリア・コンサルティング 基礎講習
平成26年9月改訂
厚生労働省委託ジョブ・カード講習事業
キャリア・コンサルティング
基礎講習
は
じ
め
に
我が国は、少子・高齢化の進展に伴い、人口減少社会を迎えています。女性や高齢者
など労働力率の上昇を考慮しても、労働力人口の減少は避けられないものと考えられて
います。こうした中、活力ある経済社会を維持していくためには、働く人の一人ひとり
が自らの職業キャリアを意識し、自律的に能力開発に取組み、その持てる能力を十二分
に発揮できる社会の実現が求められています。
ジョブ・カード講習は、ジョブ・カードの普及・促進・運営の第一線に立ち、求職者
等の相談者に対して、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングを展開す
る「ジョブ・カード
キャリア・コンサルタント」養成のために実施されているもので
す。ジョブ・カード講習では、ジョブ・カードの目的と仕組みの理解や、ジョブ・カー
ドを効果的に機能させる実務力の習得(ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサル
ティングにより対象者の能力開発意識と就業意識を高める)を目的としています。しか
しながら、質の高いキャリア・コンサルティングを実施し、ジョブ・カードを交付する
ためにはキャリア・コンサルティングの専門的知識やスキルが求められます。そこで、
キャリア・コンサルタントの資格をお持ちでない方や、キャリア・コンサルティングの
経験が少ないと思われる方を対象に、キャリア・コンサルティングを実施するにあたっ
ての基本的な知識、スキルの習得を目的に本講習を実施しております。
本テキストが、効果的な手引きとなり、皆様のお役に立てれば幸甚です。
目
次
第1部 キャリア・コンサルティングの基礎知識
Ⅰ.キャリアについての基礎知識
1.キャリア・コンサルティングを学ぶ意義・・・・・・・・・・・・・1
2.キャリアとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
3.キャリア形成支援の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
4.キャリア・コンサルティングとは・・・・・・・・・・・・・・・・4
5.キャリア・コンサルティングの流れ・・・・・・・・・・・・・・・6
6.キャリア・コンサルティングを行う上での留意点・・・・・・・・・7
7.キャリア・コンサルティング実施に求められる知識・スキル・・・・7
Ⅱ.自己理解についての基礎知識
1.自己理解とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
Ⅲ.仕事理解についての基礎知識
1.仕事理解とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
2.仕事理解の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3.職業を理解する上でのポイント・・・・・・・・・・・・・・・・10
4.産業を理解する上でのポイント・・・・・・・・・・・・・・・・12
◆参考 職業・就職支援ツール・・・・・・・・・・・・・・・・・14
◆参考 職業訓練・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
Ⅳ.意思決定についての基礎知識
1.意思決定の支援とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
2.意思決定の支援を行う上での留意点・・・・・・・・・・・・・・17
◆参考 意思決定に関する理論・・・・・・・・・・・・・・・・・18
第2部 キャリア・コンサルティングのスキル
1. 関係性構築のポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
2. キャリア・コンサルティングの基本的態度・・・・・・・・・・・20
◆参考 代表的なカウンセリングの理論・・・・・・・・・・・・・ 21
3. 話を聴くことの意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
4. 効果的な聴き方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
演習1アイコンタクト、うなずき・あいづち等の練習・・・・・ 26
演習2共感的応答等の練習・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
演習3Open Question、Closed Questionの練習・・・・・・・・ 27
5.棚卸をする意義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
6.棚卸の具体的手順・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
演習4あなたのライフバイオリズムを作成してみましょう・・・ 32
演習5あなたの仕事の振返りシートを作成してみましょう・・・ 34
演習6見立てシートの記入・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
◆参考 就職支援における若年者への対応例・・・・・・・・・・・ 38
◆参考 メンタルヘルスの基礎知識・・・・・・・・・・・・・・・ 42
◆参考 さらにキャリア・コンサルティングの知識・スキルを深めたい方へ・・ 47
第1部 キャリア・コンサルティングの基礎知識
Ⅰ.キャリアについての基礎知識
1.キャリア・コンサルティングを学ぶ意義
◆本講習の目的
ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施を通じて、相談者自
身が自己理解を深め、自らの職業意識やキャリア形成上の問題点を明確にし、今後の
職業選択やキャリア形成の方向付けが可能になるよう支援を行うことが必要であり、
このためには、キャリア・コンサルティングの基本的な知識・スキルを習得している
ことが欠かせません。
本研修はキャリア・コンサルタント資格をお持ちでない方や、キャリア・コンサル
ティングの経験が少ないと思われる方を対象に、キャリア・コンサルティングに必要
な知識・スキルの基本を身につけていただくことを目的に実施しています。
◆本講習の構成
「第1部 キャリア・コンサルティングの基礎知識」では講義形式でキャリア・コ
ンサルティングの基礎知識を、「第2部 キャリア・コンサルティングのスキル」では
講義・演習形式でキャリア・コンサルティングの基礎スキルについて学んでいただき
ます。
◆ジョブ・カード講習との違い
キャリア・コンサルティング基礎講習に対して、ジョブ・カード講習は次のとおり
の目的で実施いたします。
○ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングの実施を通じて、相談者
へのジョブ・カード作成支援を行い、ジョブ・カード交付を担う「ジョブ・カー
ド
キャリア・コンサルタント」を養成する講座です。
○ジョブ・カードの目的・制度の理解や、ジョブ・カード交付の具体的な実施方法
等の習得を目的としています。
1
2.キャリアとは
◆キャリアの定義
「狭義のキャリア」
:ワークキャリア、職業キャリア
職業、職務、職位、履歴、進路、付随する業績や学歴
「広義のキャリア」
:ライフキャリア(職業以外の諸活動)
生涯・個人の人生とその生き方そのものと、その表現
のしかた(シャイン)
(参考)
○「個人の仕事に関わる、生涯にわたっての成長と適応を目的とした自己開発の連鎖」
(2007年中央職業能力開発協会/『職場で活かすキャリア・サポート』
)
○「生涯においてある個人が果たす一連の役割、およびその役割の組み合わせ」
(スーパー)
○「単なる職業、職務、進路ではなく、相互に作用しあい影響しあう人生のさまざま
な役割を包括する概念」
(ハンセン)
○「一般に『経歴』、
『経験』、『発展』さらには、
『関連した職務の連鎖』等と表現され、
時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる」(平成14年厚生労働省
「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」
)
→キャリアには、単にどのような職務に就くかということだけではなく、
仕事や人生での役割や生き方のすべてを包括する概念が含まれます。
3.キャリア形成支援の必要性
◆キャリアのミスマッチ
近年の社会情勢により「仕事」そのものが多様化・専門化しています。雇用システ
ムと個人の能力が対応しきれていないことにより、キャリアのミスマッチを引き起こ
し、雇用やキャリアの不安につながっています。
≪キャリアのミスマッチを引き起こす主な要因≫
産業構造の変化
成熟産業と成長産業の間での人員のミスマッチ
IT化の進展
習得してきた能力が短期間で陳腐化=能力のミスマッチ
企業の変革
スピード経営や成果主義にともなうリストラクチャリング
働く価値観の変化
◆エンプロイアビリティの向上
働くことの意味を問う傾向(どのような仕事に就けば幸福になれるか、どのよ
うな価値があるのか)
2
かつての高度経済成長期のように、企業が社員の全人生の面倒をみることは不可能
な時代になりつつあります。したがって、企業は社会的責任として、広く社会で通用
する人材を育成することが求められます。
一方、個人も企業に依存するのではなく、自己責任でエンプロイアビリティ(雇用
され得る能力)を向上させる姿勢が必要となります。具体的には、常に自分に投資を
していつでもどこでも通用するよう自主的に「キャリア開発」していく生涯学習の姿
勢が必要となります。
また、従来からの採用慣行として新卒一括採用制度を取り入れている企業が多いた
め、新卒時以外で企業に採用される場合においても、資格の取得や技能の習得などエ
ンプロイアビリティの向上が求められます。
◆自律的な生き方
変化の激しいこれからの時代は、不確実な要素が多いため企業や組織に頼った生き
方では不安感を消し去ることは難しいと考えられます。したがって、個人は「自分の
人生の主人公は自分である」、
「自分の人生は自分で決める」といった主体的な生き方
に意識を変えていく必要があります。
その際に大切なことは、
「自分はどのようなキャリア目標をもつか」ということで
す。すなわち、どのような領域で仕事をしていくのか、どのような能力を開発し続け
ればよいのかを明確にすることです。
3
4.キャリア・コンサルティングとは
◆キャリア・コンサルティングの定義
キャリア・コンサルティングの主な定義は、下記のとおりです。
○「仕事に関わる、生涯にわたっての成長と適応を目的とした自己開発の相談や援助」
(中央職業能力開発協会/『職場で活かすキャリア・サポート』
)
○「個人が、その適性や職業経験等に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した
職業選択や職業訓練等の職業能力開発を効果的に行うことができるよう個別の希望
に応じて実施される相談その他の支援」(厚生労働省/「キャリア・コンサルタント
制度のあり方に関する検討会」報告書)
キャリア・コンサルティングの目的は、①個人のキャリアに対する自己概念に気づかせること、
②社会や企業内にある仕事を理解させ、その中から本人に合った仕事を主体的に選択し、その両方を
統合していけるように援助することです。
しかし、組織内では必ずしもその統合が無条件に本人の希望どおりにいくわけではありません。
むしろ、調整が必要となる場面の方が多く見受けられます。したがって、組織内ではキャリア・コン
サルティングが単独で機能するのではなく、賃金、昇格、異動や教育などの他の人事システムとうま
く連動させることが重要となります。
一方、職業経験の少ない個人に対するキャリア・コンサルティングは、本人の潜在的
なキャリアニーズを汲み取り、仕事や能力開発の情報を提供するなどして視野を広げ、
本人のキャリア形成を支援することが求められます。
4
◆求められるキャリア・コンサルティング機能
キャリア・コンサルティング機能として求められるのは、相談者が自律的な生き方
を選択して、有効なキャリア開発ができるよう支援していくことです。コンサルティ
ングにあたっては、相談者のキャリア目標の設定・修正などについて、必要なときに
は相談に乗り、適切なアドバイスをすることが求められます。
(参考)キャリア・コンサルティングの機能
キャリア・コンサルティングの機能
① 自己理解の促進支援
② 環境(職業)理解の促進支援
③ 時間活用(タイムマネジメント)に関する支援
④ キャリア・プラン(マネープランも含む)などの計画作成の支援
⑤ キャリアの方向性の選択・意思決定の支援
⑥ キャリア目標達成のための戦略策定の支援
⑦ キャリアに関する様々な情報提供の支援
⑧ よりよい適応、個人の発達(成長)の支援
⑨
動機付け(モチベーション)、自尊感情の維持と向上の支援
⑩
メンタルヘルスケアやキャリア不安などの情緒的問題解決の支援
(「組織とキャリア・コンサルティング」日本生産性本部)
◆「キャリア・コンサルティング」の名称について
アメリカでは、
「キャリア・カウンセリング」が一般的に使われています。しかし、
「日本において、カウンセリングという用語が心理的な療法を想起させる面が強いこ
とを考慮し、キャリア・コンサルティング研究会において、労働市場における職業キ
ャリアの方向付けに係る相談・指導・助言を表す用語としては、『キャリア・コンサル
ティング』を使うこと」
(平成14年厚生労働省「キャリア形成を支援する労働市場政策
研究会」とされています。
5
5.キャリア・コンサルティングの流れ
キャリア・コンサルティングの中心となる個別相談は、おおむね以下の流れです。
自己理解
①①自己理解
②
仕事理解
② 仕事理解
③ 啓発的経験
●
●
●
●
興味・適性・能力等の明確化
職業経験の棚卸し
労働市場、企業等に関する情報提供
職務に求められる能力、キャリアルートなどの理解
今後の職業生活設
計・目標の明確化
等に係る
④ 意思決定
● キャリアプランの作成
● 中長期的目標及び短期的目標の設定
● 能力開発・教育訓練等に関する情報提供
職業選択・求職活
動・能力開発等の
⑤ 方策の実行
● 方策の実行(活動)状況を把握しつつ、
必要に応じてサポート
新たな仕事への
⑥ 適応
● 異動、昇進、就職、転職・・・
キャリア形成
職務経験や教育訓練の受講等を積み重ねていくことによる、
段階的な職業能力の形成
出典:厚生労働省ホームページ
(http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/kyarikon/)
6
6.キャリア・コンサルティングを行う上での留意点
①基本的人権の尊重
キャリア・コンサルタントは、相談者の基本的人権を尊重しなくてはなりません。
相談者の意思と自己決定権を尊重しなくてはなりません。
②守秘義務
相談者に対して守秘義務を負い、職務上知り得た情報を第三者に漏洩するような
ことは、信頼関係からも倫理上からも絶対にしてはいけません。
③適正な職務
常に公正な態度をもって職務を行い、法律や公序良俗に反するような行為をして
はなりません。
④任務の範囲
自殺、犯罪などの危険性を感じた場合は、その危険性の度合いを見極める必要が
あります。危険が現実化する可能性が高い場合は、組織としてどのように対応する
のか体制を整えておく必要があります。
7.キャリア・コンサルティング実施に求められる知識・スキル
キャリア・コンサルティングを的確に実施するためには、以下の知識やスキルが必要
となります。
①キャリア・コンサルティングの社会的意義に対する理解
②キャリア・コンサルティングを行うための基本的知識
(キャリア理論、カウンセリング理論、職業能力開発、人事労務管理、自己理解、
(ジョブ・カード、職業適性検査等の各種ツールの使い方等を含む)、仕事理解、労
働市場、労働関係法規、キャリア教育、メンタルヘルス、発達課題等に関する理解
等)
③キャリア・コンサルティングの相談実施において必要なスキル
カウンセリング・スキル、グループを活用してキャリア・コンサルティングの取組
を行うスキル、キャリアシートの作成指導・活用スキル、相談過程の各段階に応じ
て適切に相談を進めるスキル、相談場面の設定から相談の終了までの各相談実施過
程で具体的に必要なスキル(信頼関係の形成、傾聴、情報提供 等)
※本講習においては、上記の知識・スキルのうち、ジョブ・カードを活用したキャリ
ア・コンサルティング実施に必要となる自己理解を促すための基本的知識と傾聴の
スキルを学んでいただきます。
7
Ⅱ.自己理解についての基礎知識
1.自己理解とは
職業を選択したり、将来のキャリアの方向性を決めたりするには、「自分自身につい
て知る」ことが必要となってきます。キャリア・コンサルタントは、相談者への問いか
けや気付きを促すことにより、相談者の自尊感情と肯定的な自己概念の形成への支援を
行います。
特に就職経験がない者、又はごく短期間の職業経験しかない若年者等であって、自分
に適した職業が分からない、希望がはっきりしない、といった相談者に対しては、相談
の過程において、まず自己理解の支援が必要です。自分自身を理解している状況の確認
と支援をする上で、次のような観点で把握していきましょう。
①自分の適性・能力(スキル・知識等)を把握していますか。
②求職活動や仕事をしていく上での自分の強み(長所)や短所を把握していますか。
③どのような職業に興味・関心を持っているか把握していますか。
④自分自身は仕事に何を求めるか理解していますか。
⑤求職活動や訓練の受講に当たり、自信を失っていたり、過信していたりしませんか。
≪シャインの「3つの問い」≫
●自分は何が得意か(能力)
●自分はいったい何をやりたいのか(興味・関心)。
●どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感で
きるのか(価値観)。
興味・関心
能
力
価値観
8
Ⅲ.仕事理解についての基礎知識
1.仕事理解とは
◆「仕事理解」における「仕事」とは
・狭義の仕事・・・有給の職業や会社の職務
・広義の仕事・・・相談者のキャリアを形成する、ボランティアやライフワークと
して続けている文化活動、社会活動などを含む
(参考)
○「職業」とは、「生計維持のために何らかの報酬を得ることを目的とする継続的な
人間活動あるいは一定の社会的分担もしくは社会的役割の継続的遂行」
(厚生労働省編職業分類)
就職活動を前提としたハローワーク、民間職業紹介機関、学校などで行われるキ
ャリア・コンサルティングは、労働市場に存在する職業を扱います。
企業内での、継続勤務を前提としたキャリア・コンサルティングは、一般的には
社内における仕事内容や職場環境などを扱います。
2.仕事理解の必要性
仕事理解支援は、自己理解支援と密接に関連しています。なぜなら、相談者が今ま
でどのような仕事(広い意味での)に興味を持ち経験し、今後どのような仕事の選択
を希望するかということは、相談者の自己概念の形成や価値観などのキャリアの指向
性に大きく影響されるからです。
また、仕事理解は、相談者の目標設定のために必要なステップです。
キャリア・コンサルティングとは、相談者(求職者)に対して①自己理解、②仕事
理解、③啓発的経験、④意思決定、⑤方策の実行、⑥適応の6要素に係る支援を相談
者の状況に応じて行うプロセスです。
仕事について深い理解を得るためには、仕事そのものだけでなく、産業、事業所、
雇用、経済、社会情勢について広く理解をし、仕事をその関連の中で理解していくこ
とが重要です。
本テキストでは、雇用関係による就職活動の対象となりうる「職業」と、それに関連
する産業や労働市場などに関する内容について取り扱います。
以下、
「仕事理解」を「職業理解」と表記し説明します。
9
3.職業を理解する上でのポイント
相談者のキャリア選択の支援をするために、相談者に対して提供すべき職業情報の
具体的内容としては、一般的に次の項目を挙げることができます。
◆職業情報の項目
① 仕事内容・・・・・・・どんな仕事か
・仕事の内容
・作業環境と条件
・その職種がある職場
・仕事の責任・厳しさ・やりがい
・適合する興味分野・労働価値観
②就職のための方法と要件・・・・・・就職するために求められること
・就職するため経路・応募の方法
・就職するため必要な資格
・就職するため必要な要件(能力・知識・スキル・適性・行動特性等)
・就職後に必要な要件(能力・知識・スキル・適性・行動特性等)
・就職するための教育訓練
・職場体験の機会
③職業別の労働条件・労働環境・・・・・・就職した場合どんな待遇か
・賃金
・労働時間・休日
・労働環境
・雇用形態(正社員・パート・契約社員・派遣労働者等)
・雇用の安定性(定着率・勤続年数・平均年齢)
④職業別労働力需給の状況・・・・・就職の困難度
・労働力過不足状況
・募集・応募状況
・雇用の見通し
⑤追加情報
・詳細情報源(照会先)
・関連職業
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◆職業情報の情報源
○厚生労働省編職業分類
https://www.hellowork.go.jp/info/mhlw_job_info.html
職業情報の情報源として、最も基本となる情報の1つで、職務の類似性や、求人・
求職の取扱件数などにもとづいてそれぞれの職業に対してどの程度需給があるかを
考慮し、職業を区分して体系的に分類したものです。
総務省の「日本標準職業分類」に準拠して定められており、ハローワークインターネ
ットサービスから閲覧が可能です。
平成23年版より、仕事の内容の違いに対応した分類に見直され、大分類(サービスの
職業など11分類)
、中分類(飲食物調理の職業など73分類)
、細分類(日本料理調理人
など892分類)の構造によって、約1万7000の職業名を収録しています。
職業分類の例
厚生労働省編職業分類 > E サービスの職業 > 飲食物調理の職業 > 日本料理調理人
<大分類>
<中分類>
A 管理的職業
家庭生活支援サービ
スの職業
介護サービスの職業
B 専門的・技術的職業
C 事務的職業
D 販売の職業
E サービスの職業
F 保安の職業
G 農林漁業の職業
H 生産工程の職業
I 輸送・機械運転の職業
J 建設・採掘の職業
K 運搬・清掃・包装等の
職業
<小分類>
保健医療サービスの
職業
飲食物調理の職業
生活衛生サービス
の職業
接客・給仕の職業
居住施設・ビル等の
管理の職業
その他のサービスの
職業
<細分類>
調理人
日本料理調理人
バーテンダー
すし職人
西洋料理調理人
中華料理調理人
給食調理人
調理補助者
調理人見習
他 に分 類され ない
調理人
○職業能力評価基準「中央職業能力開発協会」
http://www.hyouka.javada.or.jp/user/dn_standards.html
職業能力を評価するための基準が掲載されています。業種から選択する方法と、職
種から選択する方法があり、様々な職種の「概要」「仕事内容」
「求められる経験・能
力」「関連する資格・検定」等がword文書A4 1枚にまとめられています。
「厚生労働省編職業分類」とも対応しています。
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4.産業を理解する上でのポイント
キャリア選択で重要なのは職業ですが、相談者が職業を選択する際、事務員など、
仕事の内容から選ぶ場合と、サービス業などの業種すなわち産業から選択する場合が
あるため、産業に関する理解を深めることも必要です。
新規学卒者等の就職活動では、産業情報の収集と分析は「業界研究」と称され、キ
ャリア選択のプロセスの一つとして重視されています。
相談者に対して提供する産業情報の具体的な内容は一般に次の項目を挙げること
ができます。
◆産業情報の項目
① 産業の内容・業界事情・・・どんな産業・業界か
・ 産業の内容
・社会経済におけるその産業の役割・意義
・主要企業とそのシェア
・系列・下請け関係
・業界における仕事の慣習
② 産業別の労働条件・労働条件・賃金・・・就職した場合どんな待遇となるのか
・労働時間・休日
・労働環境
・雇用形態(正社員・パート・契約社員・派遣労働者等)
・雇用の安定性(定着率・勤続年数・平均年齢)
③ 産業別の景況・将来の見通し・・・就職した後の将来はどうなるのか
・景況・将来の見通し
・業界の構造変化
・新技術や国際競争
◆産業情報の情報源
http://www.stat.go.jp/index/seido/sangyo/19-3.htm
産業情報として基本となる情報は、総務省の「日本標準産業分類」で我が国の産
業を、大分類(情報通信業などの20分類)
、中分類(情報サービス業など99分類)、
小分類(ソフトウェア業など529分類)、細分類(ゲームソフトウエア業など1455分
類)に分類しています。
12
産業分類の例
日本標準産業分類 > 情報通信業 > 情報サービス業 > ソフトウェア業 > ゲームソフト
ウエア業
<大分類>
A
農業,林業
B
漁業
C 鉱業,採石業,砂
利採取業
D 建設業
E 製造業
F 電気・ガス・熱供
給・水道業
G 情報通信業
H 運輸業,郵便業
I
J
卸売業,小売業
金融業,保険業
K 不動産業,物品賃
貸業
L 学術研究,専門・
技術サービス業
M 宿泊業,飲食サー
ビス業
N 生活関連サービス
業,娯楽業
O 教育,学習支援業
P 医療,福祉
<中分類>
<小分類>
情報サービス業通
信業
放送業
ソフトウェア業
インターネット附
随サービス業
映像・音声・文字情
報制作業
Q 複合サービス事業
R サービス業(他に
分類されないもの)
S 公務(他に分類さ
れるものを除く)
T 分類不能の産業
管理,補助的経
済活動を行う事
業所(情報サー
ビス業)
情報処理・提供
サービス業
<細分類>
ゲームソフトウェア
業受託開発ソフトウ
ェア業
組込みソフトウェア
業
パッケージソフトウ
ェア業
職業や産業の情報や知識は、新聞や業界紙などから獲得したり、普段から様々な業界に
ネットワークを持つよう心がけたりし、積極的に情報を収集することで相談者に有用な
情報提供やアドバイスが可能になります。
単に、情報提供をするだけでなく、収集方法に関するアドバイスをするなど、相談者が
能動的に行動できるような支援をすることが重要です。
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◆参考
職業・就職支援ツール
(1)就職情報
①就業レファレンスブック(労働政策研究・研修機構 /以下JILPT)
・主要1000職業の仕事内容をコンパクトに解説
②職業ハンドブックOHBY(OHBY=Occupation Handbook for Youth)
(JILPT)
・コンピューターによる若年者向けの職業情報探索システム
http://ohby.hrsys.net/top/top.htm
③OHBYカード(JILPT)
・職業カードソート技法を行うために開発されたカード式職業情報ツール
(2)アセスメント(適性・適職など)
①CareerIn☆Site(JILPT)
・コンピューターによる職業適性診断システム(18歳から34歳の若年層向け)
http://www.jil.go.jp/institute/seika/careerinsite/
②キャリア・インサイトMC(ミッド・キャリア)(JILPT)
・コンピューターによる職業適性診断システム(35歳以上の職業経験のある求職者向け)
http://www.jil.go.jp/institute/seika/midcareer/index.html
③職業適性・職業興味検査
厚生労働省編一般職業適性検査(GATB)
(JILPT、雇用問題研究会)
<対象>
中学校2年生以上(13~45歳未満)の生徒・学生・求職者
<内容>
15種の下位検査から9種の適性能力(知的能力、言語能力、数理能力、書記的
知覚、空間判断力、形態知覚、運動供応、指先の器用さ、手腕の器用さ)を測
定し、適性職業群を示す。
VPI職業興味検査(JILPT、雇用問題研究会)
<対象>
大学生、短大生を中心とする若者
<内容>
6つの興味領域(現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的)尺度と
5つの傾向(自己統制、地位志向など)尺度から、職業興味や職業認知におけ
る心理的特徴を得る。
(3)職業・就職ガイダンス
①職業ガイダンスブック(就職サポーターの基礎知識)(JILPT)
・学校の先生や就職支援窓口担当者向けの入門解説
②就職サポートブック(For the Young)
(JILPT)
・求職活動中の若い人向けの基礎知識
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③就職サポーターのワークブック(JILPT)
・若者を対象とする職業相談や就職支援を新たに担当する人向けの研修用資料
(4)求人情報検索サイト
①しごと情報ネット http://www.job-net.jp/
官民連携した求人情報検索のポータルサイト。ハローワークや、民間の職業紹介事
業者などの参加機関が保有する求人情報を、誰もが、どこからでも一覧、検索でき
る仕組み。
②ハローワークインターネットサービス https://www.hellowork.go.jp/
ハローワークの求人情報の提供サイト。求人情報のほか、雇用保険や助成金などの
制度の情報提供も行っている。
(5)キャリアシート等作成支援ツール
①キャリアシート活用ツール(JILPT)
キャリアシートは、キャリア・コンサルティングにおいて使用することを目的に厚
生労働省が平成13年に「キャリア・コンサルティング技法等に関する調査研究報告
書の概要」の中で提示されており、本ツールはその作成を支援するもの。
②ヤングキャリアシート入力支援ツール(JILPT)
ヤングキャリアシートとは、自分自身のことを振返って整理したり、仕事について
発見したり理解を深めることを通じて、将来の目標や就職のことについて考えてい
る若者をサポートするツールで、本ツールはその作成を支援するもの。
(6)能力評価ツール
①職業能力評価基準(厚生労働省)
仕事をこなすために必要な「知識」と「技能・技術」に加えて、成果につながる典
型的な「職務行動例」を、担当者から組織・部門の責任者までの4つのレベルに区
分して、業種別、職種・職務別に、整理・体系化したもの。
②経験能力評価基準(厚生労働省)
年長フリーター等の雇用機会の確保を図るために、「若年者」、「求人事業主」
、「ア
ルバイト等雇用事業主」のそれぞれが、
「アルバイト等の職業経験により培われた
職業能力」を適切に位置付けられるよう、基準を明確にしたもの。「人物本位によ
る正当な評価を行う」ことを目的とする。
③社会人基礎力(経済産業省)
職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を明確化
したもの。「前に踏み出す力(アクション)」
「考え抜く力(シンキング)
」「チーム
で働く力(チームワーク)」の3つの能力(12の能力要素)で構成されている。
このほか、業界団体等が独自に開発した能力評価ツールがあります。
15
◆参考
職業訓練
わが国の主な職業訓練(職業能力形成プログラム)は、雇用型訓練(有期実習型訓練、
実践型人材養成システム)、委託型訓練(日本版デュアルシステム)
、公共職業訓練およ
び求職者支援訓練からなり、「職業能力形成プログラム」として位置づけられています。
企業実習と座学を組み合わせた職業訓練には、雇用型訓練と委託型訓練があります。雇
用型訓練は、訓練実施企業が訓練受講者と雇用契約を結んだうえで実施され、さらに有
期実習型訓練と実践型人材養成システムの2つの訓練に分けられます。また、委託型訓
練は、公共職業訓練の一類型である日本版デュアルシステム(委託訓練活用型、短期課
程活用型)が該当し、公共職業訓練には、離職者訓練および学卒者訓練があります
わが国の職業訓練体系
公共職業訓練
在職者訓練
・・・・・ 在職労働者を対象に実施する概ね2~5日の訓練
学卒者訓練
・・・・・ 高等学校卒業者等を対象に実施する1年又は2年の訓練
※施設内訓練のみを実施
施設内訓練と企業実習を組み合わせた訓練(日本版デュアルシステム(普通課程活用型、専門課程活用型))
離職者訓練
施設内訓練
・・・・・ ハローワークの求職者を対象に実施する概ね3か月~1年の訓練
民間教育訓練機関では実施できないものづくり系を中心に高齢・障害・求職者
・・・ 雇用支援機構及び都道府県の職業能力開発施設内で実施する訓練
委託型訓練(施設内訓練と企業実習を組み合わせた訓練(日本版デュアルシステム(短期課程活用型)))
専修学校、NPOなど多様な民間教育訓練機関等に委託して実施す
る訓練 ※講義等の座学が中心
委託型訓練(座学と企業実習を組み合わせた訓練(日本版デュアルシステム(委託訓練活用型)))
委託訓練
事業主等により行
われる訓練
求職者支援訓練
・・・
雇用型訓練
企業との雇用関係の下で行われる、座学と企業実習を組
み合わせた訓練 (雇用型訓練:有期実習型訓練、実践型人材養成システム)
・・・・・ 雇用保険を受給できない者等を対象とした訓練
ジョブ・カード制度の対象訓練
※点線内の訓練ではジョブ・カード交付が必須ですが、必須とされていない訓練でもジ
ョブ・カードを交付することができます。
16
Ⅳ.意思決定についての基礎知識
1.意思決定の支援とは
キャリア・コンサルティングの流れにおける「意思決定」の支援とは、相談者の今
後の職業生活設計・目標の明確化等に係る意思決定を支援するものです。
具体的には、次の事項からなります。
○キャリアプランの作成支援
自己理解、仕事理解及び啓発的経験をもとに、どのような職業に就くかというこ
とだけでなく、どのような人生を送るかという観点などから、相談者のライフプラ
ンの作成を支援する。
○中長期的目標及び短期的目標の設定支援
相談者のライフプランを踏まえて中長期的なキャリアの目標を設定する支援を
行う。また、それを踏まえて、短期的な目標の設定を支援する。
○能力開発・教育訓練等に関する情報提供
相談者の設定した目標の達成のために必要な職業訓練などの能力開発に関する
情報を提供する。また、相談者の目標設定に即した形での能力開発を行うためのプ
ランの作成とその見直しを支援する。
2.意思決定の支援を行う上での留意点
◆キャリアプランの作成に係る支援を行うにあたって
キャリアプランは、単なる将来の夢ではなく、実現可能なものを検討しましょう。
例えば、本人が希望している職種の求人が労働市場にあまり存在していない場合、希
望職種に就くための職業能力が不足していたり、それを身に付けるために必要な期間
と本人の就職希望時期に大きな乖離があったりする場合など、キャリアプランの内容
が実現困難なものであると見込まれる際は、本人がそのことを理解できるよう必要な
情報提供や助言を行う必要があります。
◆目標設定に係る支援を行うにあたって
就職活動を行う場合は、いつ頃までに就職を実現するかという「就職目標時期」を
設定し、目標をもって就職活動を計画的に行うことが重要です。目標時期を設定しな
いと、希望する条件の求人を探して、ずるずると失業期間が長期化する危険があるた
め、どこかで割り切って現実的な選択をする目途を決めておくことが必要です。
逆に、焦りすぎて希望と合わない求人に就職をしてしまい、早期離職につながる危
険もあります。
17
◆参考
意思決定に関する理論
職業選択は職業に関する意思決定のプロセスであると考えることができますが、意思
決定のプロセスに関する理論として、ジェラットの理論を例に挙げてみてみましょう。
設定した目標を達成するためには、さまざまな情報を集めるとともに、目の前にある
複数の選択肢のうち、どれを選択するかが重要となってきます。
この目標達成の過程における意思決定のあり方が、結果に大きく影響してきます。
<意思決定の体系的・段階的なプロセス>
①
明確な目標を設定する。
②
情報の収集を行う。
③
選択肢の明確化を行う。
④
選択の根拠を評価する。
⑤
選択肢の中から最終選択する。
⑥
実行・行動に移す。
⑦
決定と結果の検討を行う。
相談者によっては、選択に迷ったり、選択肢を検討せずに衝動的に選択してしまった
り、他人に選択を任せたり、また不安で選択ができずに先延ばししてしまったりするよ
うなケースが見られます。
このため、相談者が適切な意思決定ができるよう、プロセスを通して、適切な助言を
行うことが望まれます。
18
第2部.キャリア・コンサルティングのスキル
1.関係性構築のポイント
相談者とリレーション(関係性)を構築することが、キャリア・コンサルティングの
第一歩です。
①リレーションづくり
③適切な対応
②問題点の把握
※コーヒーカップ方式(國分康孝):展開の流れを大きく3つに分け、その流れをコー
ヒーカップにたとえて説明したものです。
①リレーションづくり
・相談者が自分のプライベートな情報をキャリア・コンサルタントにありのままに話さ
ないことには、効果的なキャリア・コンサルティングは行われません。その前提条件
となるのが、リレーションづくり(関係性構築)です。
・キャリア・コンサルタントは相談者に対して、温かくゆったりとした姿勢で向き合い、
共感的な聴き手として、相談者が自分自身の抱える問題をどのように捉えているか、
理解することからはじめます。
②問題点の把握
・相談者に適切な質問を投げかけるなどして、相談者の状況や問題を整理し、相談者が
何をもっとも訴えているのか、把握をします。
・相談者の訴えに対して、キャリア・コンサルタントの視点から見立て(相談者の状況
や問題を理解して、問題解決に向けた大きな見通しを立てること)を行います。
・キャリア・コンサルタントは、見立てのための理論や考え方を持つことが、必要とな
ります。
③適切な対応
・心理的サポート
:相談者を受容・支持し、前向きな姿勢になれるようにサポート
・情報提供
:就職活動の方法や、労働市場情報を提供する
・教育・指導
:情報や知識の整理の仕方など、具体的なノウハウを伝える
・環境への働きかけ:相談者の環境(職場など)に問題がある場合は、直接的・間接的
に働きかけて、調整する
19
2.キャリア・コンサルティングの基本的態度
(1)「なおそうとするな、わかろうとせよ」
~よい聴き手は話さない、心を傾けてまず聴き、最後まで熱心に聴く~
・相手を温かく受容し、圧力や不安を与えず、相手の「枠組み」に合わせて相手の話
を積極的に聴きます
・相手を理解し、互いに信頼関係を結ぼうとする姿勢や態度を持ちましょう。
・こうした人に対する姿勢や態度を日頃から心がけ、人とコミュニケーションをとり、
相手のもつ能力を最大限引き出し、育成し、自己実現を援助しようとすることが大
事です。
<人から相談を受けると陥りがちな傾向>
① 相手の役に立ちたくなる
② 先回りをして助言や指導がしたくなる
③ 相手の話を聴くよりも、自分の方がつい沢山しゃべってしまう
④ 自分ばかりしゃべって、相手によい助言、指導ができたと自己満足する
(2)「言葉じりをつかまえるな、感情をつかめ」
・相談者の言葉を表面的にとらえるのではなく、言葉の裏にある感情や欲求をつかむ
ことが大切です。
① 関心を持ってほしい
<相談者の心の5つのニーズ>
② 話を聴いてほしい
③ ありのままを理解してほしい
④ 正しく評価してほしい
⑤ 認めてほしい、ほめてほしい
20
◆参考
代表的なカウンセリングの理論
代表的なカウンセリング理論の一つとして、ロジャースの開発した来談者中心カウン
セリングが挙げられます。来談者中心カウンセリングでは、何よりも相談者に対する基
本的態度が重要となります。
<来談者中心カウンセリングの基本的態度>
①「無条件の肯定的関心」
相手がどのような人であろうと、相手を一人の貴い人間として尊重し、
心から相手に関心を持ち、話を聴き向き合う
②「共感的理解」
相手の気持ちや感情を察して、相手の立場に立って一緒に考え、
相手が感じているように共に感じる
③ 「自己一致・純粋性」
自分を偽らない姿勢や態度、言葉と態度の一致、ありのままの自分の受容
来談者中心療カウンセリングでは、カウンセラーは上記3つの基本的態度に基づき、
相談者をありのまま温かく受容し、傾聴していきます。また、来談者中心カウンセリン
グの基本原則は次の4点です。
<来談者中心カウンセリングの基本原則>
①相談者の自己実現の過程を促進するような態度をとり、具体的行動をとる
②カウンセリングのスタート時においては、相談者が抱えているキャリア上の問題点に
焦点をあてる
③相談者のアイデンティティの明確化や、また必要に応じて職業・職務の選択を支援し、
意思決定を促すための心理検査や情報提供を行う
④職業・職務を通じて相談者の自己実現に役立つカウンセリングスキルと情報を持つ必
要がある
21
3.話を聴くことの意義
キャリア・コンサルティングにおいては、相談者が<話す>、キャリア・コンサルタ
ントは、<聴く>ことから基本構造は成り立っています。
話すことの意味
聴くことの意味
①話すことによって相手に理解してもらえる
◎聴くことは相手に関心を持つこと
②抑えていた感情やカタルシスを得られ、気 ①聴くことによって相手を理解できる
持ちが楽になる、落ち着く、安心する
②聴くことは相手に感情を浄化させ、抑圧か
③話しながら自分自身や問題、状況について
まとめ、整理しながら客観的にとらえたり、
振り返り、自分自身や問題に気づく
ら解放する。気持ちを楽にさせる、落ち
着かせる、安心させることができる
③話を上手に聴くことは、相手に自分や問題
④情報を発信することができる
についてまとめさせ、整理させ、客観視
させることができる
→気づきを与える
④聴くことは情報を収集することである
4.効果的な聴き方
「きく」ことは3種類に分けられます。
☆聞く(hear)
:聞こえてくる言葉のとおり聞く
☆聴く(listen):聞こえてくる言葉以外の目、表情、感情なども注意して聴く
☆訊く(ask):尋ねる
22
◆話を聴ける人と聴けない人の事例
話を聴けない人
話を聴ける人
Aさん「どうしたんだ、元気がないねぇ」
Aさん「どうしたんだ、元気がないねぇ」
Bさん「いや、別に・・・」
Bさん「いや、別に・・・」
Aさん「何かあったのか?」
Aさん「何かあったのか」
Bさん「別に何もありません」
Bさん「別に何もありません」
Aさん「何もなかったら元気出せよ」
Aさん「あんまり言いたくないようだね」
Bさん「すみません」
Bさん「ええ・・・まあ・・・」
Aさん「仕事終わってから一杯やるか」
Aさん「なんとなく最近の君の様子が気に
Bさん「すみません、疲れていますから」
なってね」
Aさん「何で疲れているの?」
Bさん「ありがとうございます」
Bさん「いろいろありまして」
Aさん「もし私でよければ話を聞かせてく
Aさん「いろいろって何があったんだ?」
れたらありがたいんだけど・・・」
Bさん「・・・ええ・・・」
Bさん「いいんです、別に」
Aさん「別にって?疲れているのは君だけじ Aさん「話しづらそうだね、ここだけの話
にするけど」
ゃないんだからね」
Bさん「係長には言いづらいんですが、仕
Bさん「すみません」
Aさん「何か言いなよ、相談にのるから」
事を辞めたいんです」
Aさん「仕事を辞めたい?・・・」
Bさん「特別ありません、失礼します」
Aさん「元気出せよ。(…何考えてんだ、あ Bさん「面白くないんです」
いつ、甘ったれるんじゃないよ、まっ Aさん「面白くない?・・・」
たく…こっちだって疲れているんだ Bさん「やりがいが感じられないんです」
Aさん「そうか・・・やりがいを感じられ
から)」
ないのか・・・もう少し具体的には、
どのような感じかな?」
(資料出所:ATM東京メンタルヘルスアカデミー)
23
≪効果的な話の聴き方
10のポイント
Active Listening Skill≫
①アイコンタクト(話し手に優しく温かな視線を向ける)
・ 視線を向ける…相手に関心を示すこと
・ 下を向いて記録ばかりとらない(重要なことのメモのみ)
・ 相手の表情、態度、話し方をとらえる
②うなずく、あいづちをうつ
・ ゆっくり前後にうなずく、関心を持って真摯に聴いている様子を示す
・ 「そうですか」「ええ」など、表情とともに反応し表情は話の内容に添う
③気持ちに対して共感的応答をする
・ 話し手の気持ちを大切にし、相手の気持ちになって共感的な応答をする
・ 話の中で気持ちが表現された時には、それを上手に拾って応答する
・ 「あなたの気持ちはわかりましたよ」と相手にサインを示す
→相手の感情を言葉にして返す
「それは辛かったでしょうね」
「さぞ、悔しかったでしょうね」
「とっても嬉しか
ったのですね」「これからがとても不安なのですね」など
④質問する
・ 要点をおさえて簡潔に質問し、話を上手に引き出す
・ 「質問上手は聴き上手」
<質問のポイント>
①「つまみぐい質問」はしない ~思いつきで脈絡なく質問しない
②矢継ぎ早に質問しない
③相手の答え、反応の中で掘り下げる必要がある質問をする
④相手の話に沿って質問し、話を掘り下げる、本質をつかむ
⑤相手のとらえかた(認知の枠組み)を理解する質問をする
<質問の種類>
①Open Question(開かれた質問)
相手が「はい」
「いいえ」で答えられない質問。
「いつ、どこで、何を、なぜ、どのように等」で掘り下げる
②Closed Question(閉じられた質問)
「はい」「いいえ」で答えられる質問
⑤支持をする
事実を確認する
24
⑤支持をする
・ 相手の話を支持する、賛同する、認める、是認する
・ その結果、相談者が肯定的に自分自身を捉え直し、物事に前向きに取り組める
ようになる
「誰にでもそのようなことはありますよね」「もっともですね」
⑥話の要点を繰り返す
・ 相手の話の要点をところどころでまとめ、整理して繰り返す
「今までのところをまとめますと・・・・ということですね」
「すなわち(おっしゃりたいことは)・・・・ですね」
・ 要約をすることにより、相談者は自分の話を理解してもらえているという安心
感、信頼感を抱く
⑦気持ち・感情の反射
・ 気持ち、感情が表現されたときには反射するように繰り返す
「とてもショックだったのですね」
「許せない気持ちだったのですね」
⑧沈黙しても待つ
・ 相手が沈黙しているときは基本的に待つ
沈黙する理由として、自分の考え、問題を整理していることが多い
・ 沈黙があまりにも長い場合は、Closed Question(閉じられた質問)をする、こ
れまでの話を要約するなどして介入する
⑨明確化する
・ 相手の話を整理し、適切な言葉におきかえることにより、相談者がまだ気づい
ていない感情・気持ちを明確化する
「本当の気持ちは・・・・ではありませんか」
「あなたは・・・したい(したくない)のではないですか」
⑩コンフロンテーション(対決)
・ 相手の話に矛盾、不一致、曖昧さなどがあれば、率直に指摘し、気づかせる
「一方では、
・・・ですが、他方では・・・ということですか」
「先ほどは・・・とおっしゃっていたのに、今は・・・とおっしゃっていますが、
どう違うのでしょうか」
注意:⑨明確化及び⑩コンフロンテーション(対決)は、通常、キャリア・コンサルティン
グの初期段階では使わないため、使うタイミングに留意が必要です。
25
演
習1
アイコンタクト、うなずき・あいづち等の練習
≪演習の留意点≫
下記演習では、登録キャリア・コンサルタント役をCC、相談者役をCLと表
記します。
・「効果的な話の聴き方10のポイント Active Listening Skill」(P17~18)
の「①アイコンタクト」「②うなずく、あいづちをうつ」「⑥話の要点を繰り
返す」の内容を踏まえて、下記演習を行ってみましょう。
<練習1>
①CL役の方はCCに対して1分間で、ジョブ・カード講習を受講した動機に
ついて話してください。
②CC役の方は、CLが話している間、視線を合わさず、あいづちも打たない
でください
<練習2>
①CL役の方はCC役に対して1分間で、ジョブ・カード講習を受講しようと
思った動機について話してください
②CC役の方は、CL役が話している間、アイコンタクトを行い、相手の話に
応じてうなずいたり、あいづちを打ってください
③CC役の方は、CL役が話し終えたら、
「要するに~ということですね」とC
L役の話の要点をまとめて、整理して返してあげてください。
・CL役の方は、どちらの方が「話を聴いてもらえた」と感じましたか。感想
をCC役の方にフィードバックしてみましょう。
演
習2
共感的応答等の練習
「効果的な話の聴き方10のポイント Active Listening Skill」(P17~18)
の「③気持ちに対して共感的応答をする」「⑤支持をする」「⑥話の要点を繰り
返す」などの内容を踏まえて、下記演習を行ってみましょう。
<練習>
CL:
「上司との関係がうまくいっていないので、神経が磨り減ってしまいます」
CC:「
」
26
演
習3
Open Question、Closed Questionの練習
「効果的な話の聴き方10のポイント Active Listening Skill」(P17~18)
の「④質問する」の内容を踏まえて、Open QuestionとClosed Questionを使い
分けながら、下記演習を行ってみましょう。
<練習>
CL:「とりあえず、職業訓練を受けてみようと思っているんです」
CC:「
」
27
5.棚卸をする意義
職業経験が乏しい場合、そもそも自分にむいている職業とはどのようなものか分から
ない、といったケースが多く見受けられます。そのような場合、過去の自分を振返りつ
つ、自分とはどういう人間であるのかを認識するために「棚卸」をする必要があります。
この棚卸が不十分であると、就職をすることができても「自分の本来やりたいと思っ
ていた仕事と違う」などの違和感から、早期に離職をしてしまうということになりかね
ません。
◆職務経歴の振り返りの必要性
過去の自分を振り返りつつ、自分とはどういう人間であるかを認識する(自己理解)
ために「職務経歴(キャリア)の棚卸し」をする必要があります。
「自分が本来やりたいと思っていた仕事と違う」などの違和感からくる早期離職を防止
するためにも、この棚卸しを十分に行うことが大切です。
相談者は、自分の「能力」「長所」
「強み」を普段は明確に自覚できていない場合や、
全く気づいていない場合もあります。このため、キャリア・コンサルタントは、面談を
通して、相談者が過去の自分や職務を振り返る作業を手伝うことで、以下のことが可能
になります。
・ 相談者は自分の「能力」
「長所」「強み」を明確にし、自己理解を深めることができ
る。
・ 就職活動や働くことに前向きになれない相談者に対しては、
「自分にもできる」とい
うモチベーションの向上に繋がる。
・ 応募先企業にアピールするかを考えるために、自分にどのような経験や能力がある
か整理できる。
◆ 職務経歴から「能力」
「長所」
「強み」を引き出すポイント
「能力」
「長所」
「強み」を引き出す観点としては、例えば次のようなものが挙げられま
す。
①能力・技術・技能
②知識・ノウハウ
③人間関係・人脈
④性格・行動特性(例:積極性・粘り強さ・協調性・責任感など)
⑤ビジネス能力(例:交渉力・行動力・発想力・正確性など)
⑥仕事への姿勢・意欲(どのようにがんばりどのように応募先企業に貢献したいかなど)
⑦将来目標・将来の可能性(自分の能力をどう伸ばしていきたいか)など
28
次のような事柄について相談者に話してもらうことで、相談者自身が自覚したり、整理
することが可能になります。
① 仕事の中で得られたもの
仕事をしてきた中で「心がけたこと」「得られたもの」「身につけたもの」
「できたこ
と」「できるようになったこと」を傾聴し、整理する。
② 努力したこと・頑張ったこと・乗り越えたこと
仕事や生活をしてきた中で、「努力したこと」
「頑張ったこと」
「大変だったけれども
乗り越えたこと」について、どうやって努力した、頑張った、乗り越えたのかを傾聴
し、整理する。
③ 前向きな気持ちをもてた事柄
仕事や生活をしてきた中で「やりがいや喜びがあった」
「できた」
「ほめられた」
「達
成感があった」
「満足した」
「成長した」などと思えるエピソードを傾聴し、整理する。
④ いくつかの仕事を通して共通している事
これまでのいくつかの仕事の中で、共通して「できること」
「得意なこと」
「自信のあ
ること」「やりたいこと」といえるものは何か傾聴し、整理する。
◆ 相談者の「能力」
「長所」
「強み」の整理のポイント
キャリアの棚卸し作業の中から、職務経歴書に盛り込むべき相談者の「能力」「長
所」「強み」は何かを整理していきます。
○ 相談者の職務経歴について次のような点から整理します。
(アルバイトなどでも応募
先企業にアピールできる場合があります。
)
① 時期
② 入社・配属・異動・昇格・退社の別
③ 勤務先
④ 会社概要(事業内容・従業員数)
⑤ 所属(所属部署の人数)
⑥ 職務内容(どんな内容の仕事をしたか)
⑦ 役職(部下の人数。アルバイトでも新人の指導に当たるなど、リーダー的な役
割が与えられていたことなどはないか。)
29
○ 職務経歴の中で、通常では経験できないような特別な経験があれば、書き出します。
①
与えられた役割(リーダー的な仕事、新人教育、発注・仕入など管理的な仕事
など)
②
活かせる経験(店舗の新規開店・新商品の準備、大きな催し者などイベント経
験など)
○ 上記の作業によって応募先企業にアピールできる職務経歴が少ない場合は、職務以
外の経験の中からも、応募先企業にアピールできる経験を探して書き出してみます。
① 社外活動(同業者の勉強会・異業種交流会など)
② 社会活動(サークル活動、社会貢献活動、ボランティアなど)
○ 自分の「能力」を示す事実(①~⑤など)や、
「能力」を身につけるために努力した
経験(⑥~⑨など)について書き出します。
① 取得資格
② パソコンスキル
③ 語学力
④ 活かせる能力(技術・技能・知識等)
⑤ 人脈
⑥ 業務関連の学歴
⑦ 職業訓練
⑧ 社内研修
⑨ 自己啓発(資格取得まで至っていなくても勉強中のものも希望職種と関係する
場合は含む)
6.棚卸の具体的手順
いままでどのような場面で自分がイキイキとしていたのか、
「ライフバイオリズム」
などの棚卸ツールを用いながら個別事例を振返りつつ、そこから自身の価値がどういう
ものか明確化するようアドバイスします。
アルバイトを含め職業経験がある場合には、どのような業務にやりがいを感じたのか、
なぜやりがいを感じたのかを「仕事の振返りシート」(P34 参照)等のツールを用いる
などして深く自問するように促していきます。
30
記載例
◇ライフバイオリズムを振返って、どのような気付きがありましたか。
・ 大学受験に失敗したときは人生で初めての挫折ということもあり随分と落ち込んだ。しかし、
そのときに自分の将来は自己責任で切り開いていくものだということに気付いた。当時は海外
に対する漠然とした憧れから、商社マンを希望していた記憶がある。
・ 第一志望の大学に合格したときは 1 年間の努力が実り本当に嬉しかった。ただ、大学で友人が
なかなかできなかった。今、思うと自分が傷つきたくないという思いが強く、表面的な付き合
いしかしていなかったのかもしれない。
・ 友人に誘われて入ったボランティアサークルでは、思いがけず新しい発見が多かった。人に対
する優しさは自分に余裕がないと持続しないこと、後輩に対して甘いのは自分自身に甘いこと
が原因であること、信頼は一瞬で崩れること、などいろいろと学んだような気がする。人に対
する興味が強くなった気がする。
・ 障害者施設でアルバイトを始めたときは人的ネットワークが広がり世界が広がった。人に喜ば
れる仕事にやりがいを感じるようになった。
・ 失恋・・・ボランティアサークルから足が遠のくきっかけとなった。自分本位で物事を考えて
いたような気がする。
・ 海外に留学しようと思ったのも半分は自己逃避だった。ただ、抱えている問題に正面から向き
合ってこそ解決するのであり、問題から目をそらしていてはいつまでも“かさぶた”のままに
なるのだと気付いた。
・ 外交官になりたくて国家試験を受けたが落ちて、そこから民間企業の就職活動に気持ちを切り
替えることができなかった。ただ、試験にチャレンジしたことは後悔していない。
31
演
習4
あなたのライフバイオリズムを作成してみましょう
ライフバイオリズム
・時間軸を設定し、これまでの仕事や生活での出来事を記入し線でつないでください
プラス
過去
マイナス
◇ライフバイオリズムを振返って、どのような気付きがありましたか。
32
記載例
これまでの仕事の振返りシート
シート1
仕事の内容
勤務期間/企業名
No.
充実していた仕事
( 年 月~
年 月)
1
・パソコンの販売業務
2009年3月~
・在庫管理
2009年12月
・中古機材の整備
PCショップアイテッ ・顧客リスト管理
・店舗でのパソコンなどOA機器の
ク
販売
2009年12月~現 ・テレフォンオペレーター
2
・テレフォンオペレーター
・意見集約、集計資料の作成
在
NEGカスタマーセン
ター
シート2
No.
なぜ充実していたか
1
パソコンが好きで色々な情報を集めるなど勉強していたが、店頭で販売をす
るにあたって自分の知っている情報をお客様にお伝えをすると、とても喜ん
で感謝していただけた。そのことにやりがいを感じるようになった。
「パソコ
ンの専門知識を深めること」と「人の役に立つ」ことが充実のキーワードか
もしれない。
2
お客様からの問い合わせに回答する業務で、相手から「ありがとう、助かっ
た」といわれると人の役に立てているという実感がわき、自分の存在価値も
感じられた。やはり人の役に立つ仕事が自分にはむいているのかもしれない。
33
演
習5
あなたの仕事の振返りシートを作成してみましょう
これまでの仕事の振返りシート
シート1
勤務期間/企業名
No.
仕事の内容
( 年 月~
年 月)
34
充実していた仕事
シート2
No.
なぜ充実していたか
35
演
習6
見立てシートの記入
次のケースを読んだ後、
「見立てシート」に記入してください。
(※演習6については、独立行政法人労働政策研究・研修機構「就職サポーターのワークブック」より引用)
36
見立てシート
◇何が問題なのか
(相談者が意識している問題)
(キャリア・コンサルタント側から見た課題)
◇当面考えられる目標設定
37
◆参考
就職支援における若年者への対応例
(1)行動しないケースの対応例
①相談者の特徴
・就職活動の基本的な考え方がわからない
・条件や資格などについての思い込みがあり、希望はするが動けない
・自分の意思で方向性を決めることに慣れていないため、どうしていいかわからない
・今までの仕事経験、就職活動経験から自信をなくして一時的に就職に対する意欲を失
っている
・本当は他の希望があって就職したくないのに周囲の環境から就職せざるをえず、気が
乗らない
②キャリア・コンサルタントの対応
・話を聴くことで、本人の動けない理由、動きたくない気持ちの背景にあるものを整理
する
・自信をなくしたり、投げやりになったりしている相談者には負担にならないように一
緒に頑張ろうと励まし、ひとりでないと思ってもらうように寄り添う
・就職活動の基本的なノウハウを伝える
・具体的な行動をサポートして、一歩一歩進めている実感を持たせ、意欲を醸成する
・就職活動についての思い込みを除去する情報を提供することで不安を低減する
・行動する意思がみえるようになったら、褒めて行動を促進する
(2)コミュニケーションが苦手なケースの対応例
①相談者の特徴
・相談者の背景として過去にいじめ体験や人間関係トラブルがある場合が多い
・就職面接において適切な応対ができず不採用が続き、自信をなくすという悪循環には
まっている
②キャリア・コンサルタントの対応
・相談者の過去の体験に焦点を当てすぎないようにする。「就職支援」の場という枠組
みの中で、現実に即した支援を心がける
・キャリア・コンサルタントが相談者といかに信頼関係を築き、協働体制がとれるかが
ポイント
・支持的にじっくり聴く。
・自己肯定感を高められるように本人の長所・強みなどを引き出して、気づきを促す
・グループワーク参加を促し、同じような状況にある人との交流の機会を作る
・採用面接に備えて、面接指導を行う。具体的に話し方や姿勢について指導する
38
(3)何がやりたいかわからないケースの対応例
<就労意欲がある場合 その1>
①相談者の特徴
・情報不足で職業イメージがわかず、頭だけで考えてしまって動けない
・「やりたいこと」を見つけてからでないと具体的な就職活動に入れないと思い込んで
いることが多い
・
「自己分析」「自分探し」に没頭し、そこから抜けられなくなっている
②キャリア・コンサルタントの対応
・じっくり話を聴き、焦る気持ちを受け止め、動けない理由を明確にする
・具体的な情報提供を行いながら「適職は一つではない」「やってみないとわからない」
というメッセージを伝え、まずは「動いてみる」ことを支援する。
<就労意欲がある場合 その2>
①相談者の特徴
・情報過多で選べなくなっている。気ばかり焦り、活動しているが、的がしぼられてい
ないため志望動機などが明確ではなく、結果不採用になることが多い。
②キャリア・コンサルタントの対応
・焦りを受け止め、情報過多によって「あれもこれもやらなければ」と思っている相談
者の混乱状態を整理する
・就職活動のステップを伝え、段階を踏んで、具体的に支援する
<就労意欲がない場合>
①相談者の特徴
・何らかの理由で就労意欲がそがれてしまい、投げやりになっていることが多い。
・親との関係や本人の受動的な性格などが背景にあることが多い
②キャリア・コンサルタントの対応
・じっくり聴くことを優先し、理解を示し怒りや焦りを受け止める
・自分にとっての仕事を自分で考えることを支援する
・長所を発見することで相談者の自己効力感を高める
(4)どこでもいいから、就職したいケースの対応例
<焦りがある場合>
①相談者の特徴
・年齢的・経済的に考え「定職につきたい」という強い希望があるため、焦って、空回
りしていることが多い
②キャリア・コンサルタントの対応
・焦る気持ちを受け止める
・自分の希望、興味を明確にする
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・基本的な就職活動や社会人マナーについて教育・指導する
<積極的な理由がない場合>
①相談者の特徴
・就職することに抵抗があったり、親などへの反抗であったり、自信がないことへの裏
返しだったりすることが多い
②キャリア・コンサルタントの対応
・本人の姿勢を尊重しつつ、じっくり話をする
・本人の「どこでもいい」理由を明らかにする
・背景にある理由や仕事に対する要望を整理して一歩ずつ前に進む
(5)自信がないケースの対応例
①相談者の特徴
・労働市場、就職活動の方法など就職に関しての情報・知識が不足している
・情報過多のため、行動に移る前に不安になっている
・就職活動がうまくいかず自信をなくしている
・性格的な問題で自己評価が低く、何事にも積極的に動けない
②キャリア・コンサルタントの対応
・気持ちを受け止め、支援する姿勢を伝える
・具体的に励ましたり、過去の成功体験の評価、強みの発見などを行ったりして、自己
効力感を高める
・具体的な課題を与え、ステップを踏んで就職活動が進んでいる実感を持たせる
・具体的な情報や知識を提供し、「わからない」不安を解消する
・就職活動に挫折感を持っている相談者に対して、改善の具体的な対策を考える
(6)安定志向・地元志向・公務員志向ケースの対応例
①相談者の特徴
・仕事内容について理解が浅く、志望動機が不明瞭で試験に受からない
・社会にでることの不安、「民間企業でやっていけないのではないか」という自信のな
さの裏返しとして公務員を志望している
②キャリア・コンサルタントの対応
・こだわりを尊重しつつ、なぜ公務員になりたいのかを明確にすることで現実検討を促
す
・志向の理由を明確にすることで対象職種を広げる
・公務員試験をあきらめた場合はその挫折感を受け止める
・ただ「なりたい」だけで仕事内容の理解が不足している相談者には情報収集の指示・
提供を行う。
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・試験を受け続けることのデメリットを整理する
・試験に落ちた場合のことも視野に入れるようにアドバイスする
(7)夢追いケースの対応例
①相談者の特性
・夢と現在の姿との格差が大きかったり、語るばかりで実現のための行動を起こしてい
なかったりすることが多い
・「夢」を漠然としたイメージとして持っており、実現した姿だけで満足してしまって
いる
②キャリア・コンサルタントの対応
・夢を支持し、傾聴する
・夢を持つに至った背景を振り返る。
・夢の具体的な実現を明らかにする支援を行う
・具体的な実現方法を考える中で、現実検討を促し、方向転換するのか、実現のために
踏み出すのかの意思決定を支援する
・夢を追うことのデメリットを整理する
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◆参考 メンタルヘルスの基礎知識
1.キャリア・コンサルティングとメンタルヘルスについて
◆メンタルヘルスを理解する必要性
ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングを受けられる相談者の多く
は、自分のキャリアに関して悩みを抱えている場合が多く、特に失業中の方は、経済
的・心理的なストレスを多く抱えています。人生設計や職業人としてのプランの変更
を余儀なくされ、先行きが見えない状態では、誰しも大きな不安を抱えていることで
しょう。加えて、求職活動をスタートされている場合には、採用面接時に投げかけら
れた言葉に傷ついたり、不採用の通知を受け取ってショックを受けたりされている可
能性もあります。
こうしたストレスを抱えている相談者に対して、あえてストレスについて聞き出す
必要はないと思われますが、相談者が自らのストレスについて話し始めたり、受け答
えの様子などから心の病が心配されたりするような場合は、まずは受容的な態度で傾
聴することが求められます。また、場合によっては、専門家に助言を求めたり、専門
の相談窓口を紹介したりすることが必要となってきます。
心の専門家ではない者が、相談者の心の状態を見極めることは難しいことであり、
安易な決めつけは厳に慎む必要がありますが、相談者の心の不調に気づき、それを踏
まえた対応は重要です。
ここでは、相談者の心の不調に気づくためのメンタルヘルスの基本的知識を学びま
しょう。
<健康な心の状態>
・心身が十分に機能していること
・環境に適応していること
・自己の可能性を十分に発揮して安定した心の状態を保てること
2.主なストレス反応や心の病気の初期症状
◆ストレス反応を引き起こす要因
大きなストレスを受けた場合、あるいは小さなストレスでも積み重なった場合に、ス
トレス反応が見られるようになります。ストレスの受け取り方は、性格傾向などの個人
差があるとともに、家族や友人など、周囲のサポートの有無によってもストレスの抵抗
力は変わります。
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◆ストレス反応
ストレス反応は、
「身体的な反応」
、
「心理的な反応」「行動面の反応」の3種類の反応
として出てきます。どのような反応として出てくるのかは、個人によって異なります。
<身体的な反応>
頭が痛い、頭が重い、微熱が出る
動悸がする、息切れがする
胃が痛い、お腹が痛い、胸が痛い、背中が痛い、
下痢、便秘、
じんましん、頻尿 など
<心理的な反応>
不安になる、イライラする
物事に集中できない、集中力が続かない、判断力が落ちる
無気力になる、物事に興味がわかない、
投げやりな気持ちになる、自信が持てない
<行動面の反応>
食欲がわかない、過食する
飲酒量が増える、喫煙量が増える
眠れない、過眠になる
多弁・多動になる
口数が減る、行動が不活発になる
◆心の病気の初期サインに気づく
心の病気は誰にでも起こりますが、相談者が自分では気づきにくい場合もあります。
また、自分で不調に気づいてはいても、心の病気だと思っていない場合もあります。症
状が続いていたり、生活面などで支障が出ていたりする場合は、注意が必要です。
<自分で気づきやすい症状>
・気持ちが落ち込んで自信がなくなったり、必要以上に不安になったりする
・周りの出来事を自分と結びつけて取り越し苦労をしたりする
・体がだるくて疲れがとれない、息苦しいなど、身体面の症状がある
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<周りの人が気づきやすい症状>
・遅刻や休みが増えたり、ぼんやりしていることが多い
・生活リズムや服装の乱れなど、行動の変化がある
・気分が高ぶって、いつになく自信家になったり浪費に走ったりする
3.心の健康に問題を抱えている可能性のある相談者への対応について
相談者に心の病気があってもなくても、相談者の抱えるストレスを理解しながら、相
談を受けることが最も重要な態度です。そして、その基本となるのが、傾聴です。
相談を受けた場合、ついつい十分に話を聞かないうちにアドバイスや叱咤激励したく
なったり、あるいは、相談を受け付けられないとはねつけたりしたくなりがちですが、
まずは、相談者の置かれている状況を理解しようとする態度と辛い気持ちへの共感が必
要です。そのような態度や姿勢が伝わることで、相談者の心理的負担が軽くなったり、
専門の窓口に行くなどのアドバイスを受け入れる気持ちになります。
◆心の病気にかかっている可能性が高い場合の対応ポイント
相談者の状態が悪いと思われる場合には、
「疲れているように見受けられますが、い
かがですか」「体調は大丈夫ですか」「食事はとれていますか」「十分に眠れています
か」などという声かけをしてみましょう。
<会話の例>(以前の本人と比較して、非常に疲れているように見受けられる場合)
CC「とても疲れている様子ですが、いかがですか。」
CL「ええ。疲れてはいますけど。
」
CC「疲れてはいるけど…、他に気になることがあるのですか?」
CL「最近、眠れないんですよ。」
CC「そうですか。眠れないのですね。」
CL「そうなんです。かれこれ2週間位続いています。」
CC「眠れないというのは辛いと思いますので、お辛いようでしたら、一度、お医者さ
んにご相談なさってみてはいかがですか。
」
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キャリア・コンサルティングを行う上で大切なことは、相談者が発する不調の
サインに気づいたら、専門家につなぐ、助言を求めることです。
キャリア・コンサルタントの対応としては「がんばれ」、「あなたならできる」などの
励ましは禁物です。本人の話をよく聞くとともに、相談者の様子が心配される場合は、
専門医につないでいくよう努めましょう。
●職場でみられやすいメンタルヘルス不調のサイン
勤怠状況
①無断欠勤が見られる。
自分でも許されないことはわかっているが、連絡ができない。
②病気休暇が多い。
③月曜日(休日明け)または金曜日(休日前)に欠勤が多い。
出勤時に繰り返し酒臭がすると、アルコール依存症の可能性も考えられる。
④遅刻が多い(特に月曜日の朝)、昼休みからの帰社が遅い、早退が多いなど
欠勤に至る前段階の場合がある。
事故
労災事故や交通事故に限らず、トラブルを繰り返している例では注意が必要である。
運の悪いことが重なっただけという場合もあるが、実はそれらの背景に注意力や集中
力の低下、睡眠の問題等の可能性もある。
仕事の能率の低下
① 同じ仕事をするのに、今まで以上に努力を要する。
② 同じ仕事をするのに、長い時間がかかる(残業が増加する)
③ 期限までに仕事を完成できない(納期が守れない)
④ ミスが増加する
⑤ 簡単な判断を誤る
表情、言動の変化
以前の本人と比べて変化が見られるという点に注目する
①
②
③
④
⑤
⑥
元気がない、口数が少ない
「自信がない」「申し訳ない」「迷惑をかけている」といった発言が目立つ
多弁、落ち着きがない、攻撃的である
疑い深い、被害妄想的である、「周囲が皆、自分を監視している」など
不安な表情である、落ち着かない、離席が多い
居眠りが多い、ぼんやりしている、うわの空ある。
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●心の病気について
ここでは、よく見られる心の病気についてまとめてみました。
相談者が心の病気にかかっているかどうか、安易な決めつけは厳に慎むべきですが、
心の病気にかかっていることが強く疑われる場合は、専門家につなぐなどの対応が必要
です。
<うつ病>
精神的なストレスや身体的なストレスが重なることなど、様々な理由から脳の機能障
害が起きている状態であり、ものの見方が否定的になり、自分がダメな人間だと感じて
しまいます。眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめ
ないといったことが続いている場合は、うつ病の可能性があります。
<パニック障害>
パニック発作を主症状とする心の病気です。パニック発作とは、電車の中や街中で、
急に気分が悪くなったり動悸が激しくなったり、息苦しくなったり、手足が震えたりし
て、「このまま死んでしまうのではないか」などと極度の恐怖や不安に襲われる症状を
言います。発作を経験してから、「また発作が起きるのではないか」と強い不安を抱く
ようになり、それを恐れて外出ができなくなったり、電車に乗れなくなったりすること
があります。
<身体表現性障害>
心理的問題が、不安、抑うつ、悲しみなどの精神症状として表れずに、身体症状とし
て現れるものです。頭痛、頭重感、腰痛、関節痛、など様々な疼痛や、めまい、立ちく
らみ、耳鳴り、聴覚障害、視力障害、胃痛、嘔気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、生理不順、
頻尿など、非常に多岐にわたる症状がみられます。
<広汎性発達障害>
心の病気ではありませんが、広汎性発達障害には留意が必要です。
主な特徴としては、社会性・コミュニケーション能力・想像力の欠如、興味や行動の
偏り(こだわり)であり、生まれつき脳の一部に障害があることが原因です。
「いつもひとりでいる」「他人の感情を推測・共有することが苦手」「他人の言葉(皮
肉・冗談など)をそのまま受け止めてしまう」「思ったことをそのまま口にしてしまう」
「興味の対象が著しく限定されている」「自己の習慣や物事の細部に強いこだわりをも
つ」などといった傾向が見られます。
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◆参考 さらにキャリア・コンサルティングの知識・スキルを深めたい方へ
これまでの講習を通じ、キャリア・コンサルティングの基礎的な知識・スキルについ
て学んできましたが、本講習ではキャリア・コンサルティングの基礎的な知識やスキル
のみを取り扱っているため、この講習の時間だけではキャリア・コンサルティングにつ
いて、十分に理解・習得することはできません。
さらにキャリア・コンサルティングの知識・スキルを深めるためには、キャリア・コ
ンサルタント養成講座の受講や、キャリア・コンサルタントの資格取得を目指されるこ
とをおすすめします。
(1)キャリア・コンサルタントの資格
キャリア・コンサルタントには、以下の国家検定や民間資格があります。
①キャリア・コンサルティング技能士(国家検定、キャリア・コンサルティング技能
検定1級・2級試験合格者)
キャリア・コンサルティング技能検定試験とは、技能検定職種の一つとして実施さ
れているもので、「1級キャリア・コンサルティング技能士」と「2級キャリア・コ
ンサルティング技能士」があります。
2級技能士は熟練レベルを想定しており、下記②の標準レベルのキャリア・コンサ
ルタントであって、キャリア・コンサルティング実務経験を3年以上積み2級試験に
合格した者等が該当します。1級技能士は指導レベルを想定しており、2級試験合格
後、キャリア・コンサルティング実務経験を3年以上積み、1級試験に合格した者等
が該当します。
キャリア・コンサルティング技能検定試験は特定非営利活動法人キャリア・コンサ
ルティング協議会が指定試験機関として厚生労働大臣から指定を受け、実施していま
す。本試験はその技能と知識を問うもので、学科試験と実技試験で構成されています。
※キャリア・コンサルティング技能検定試験
(キャリア・コンサルティング協議会HP
http://www.career-kentei.org/)
参考URL:厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/kyarikon/index.html
②標準レベルのキャリア・コンサルタント(民間資格、キャリア・コンサルタント能
力評価試験合格者等)
キャリア形成促進助成金の対象となるキャリア・コンサルタント能力評価試験とし
て、厚生労働省職業能力開発局長が指定する試験、または過去に指定した試験に合格
した方をいいます。
※平成26年4月1日現在のキャリア形成促進助成金の対象となる試験の一覧
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/carrer/201101/index.html
「標準レベルのキャリア・コンサルタント」になるためには、一定の要件を満たす
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キャリア・コンサルタント養成講座(厚生労働省で示した養成モデルカリキュラム
(140時間)に準拠したもの)を受講する等して、キャリア・コンサルタント能力評
価試験に合格すること等が必要です。
※キャリア・コンサルタント養成講座(キャリア・コンサルティング協議会HP)
http://www.career-cc.org/download/seminar10.pdf
※
各試験実施団体のホームページは、下記のとおりです。
・公益財団法人日本生産性本部
http://www.js-career.jp/index.html
・一般社団法人日本産業カウンセラー協会
http://www.counselor.or.jp/
・テンプスタッフキャリアコンサルティング株式会社
http://www.tempcc.co.jp/extra/ccmp/index.html
・特定非営利活動法人日本キャリア開発協会
http://www.j-cda.jp/
・特定非営利活動法人日本キャリア・マネージメント・カウンセラー協会
http://www.cmcajapan.net/
・財団法人関西カウンセリングセンター http://www.kscc.or.jp/[m1]
・特定非営利活動法人キャリア・カウンセリング協会
http://www.career-npo.org/index.html
・株式会社テクノファ http://www.technofer.co.jp/index.php
・特定非営利活動法人ICDSキャリア・デザイン・サポーターズ
http://career.icds.jp/index.html
・特定非営利活動法人エヌピーオー生涯学習
http://www.npo-sg.com/index.html
(2)キャリア・コンサルティングに関する参考資料
§厚生労働省 「平成21年度キャリア・コンサルティング研究会報告書」
ジョブ・カードを活用した効果的なキャリア・コンサルティングのあり方、支援事
例等についての報告が掲載されている。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000050k7.html
§厚生労働省 「キャリア・コンサルティング技法等に関する調査研究報告書の概要
(労働者のキャリア形成支援のためのキャリア・コンサルティング・マニュアルを作成)
」
キャリア形成支援の必要性やキャリア・コンサルティングの技法等をまとめた報告
書。キャリアシートの様式のダウンロードもできます。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0105/h0517-3.html
§厚生労働省 「平成23年度キャリア・コンサルティング研究会報告書」
キャリア・コンサルタント自身が、キャリア形成のためにするべきことについてま
とめられている。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000026lgi.html
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§厚生労働省編職業分類
厚生労働省編職業分類はハローワークにおける職業指導や職業相談などの職業紹介
業務に共通に使用する職業の分類を定めたもので、厚生労働省のハローワークインター
ネットサービスに分類表と各職業の解説が掲載されており、職業を知るための参考とな
ります。
https://www.hellowork.go.jp/info/mhlw_job_dictionary.html
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