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EMC Symmetrix VMAXe:ストレージの ジグソー・パズル

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EMC Symmetrix VMAXe:ストレージの ジグソー・パズル
製品ブリーフ
EMC Symmetrix VMAXe:ストレージの
ジグソー・パズルの欠けたピース
日付:2011年7月 作成者:Mark Peters、シニア・アナリスト
要約:ストレージ・ユーザーの多様性と絶えず変化するビジネス・ニーズを意識して、EMC は、
エンタープライズ・クラスの機能を VMAX より小型のシンプルなパッケージに収納した新しい
Symmetrix VMAXe を正式に発売しました。EMC はストレージのジグソー・パズルのこのピースに
既存の製品と重複する部分がある可能性をよく認識したうえで、なお十分に採算がとれる市場規
模があり、多数の新規ユーザーおよび既存の EMC ユーザー(および EMC のチャネル)を満足さ
せられると考えています。
ファミリの新しいメンバー
ニュースがあります。このたび EMC は、この数か月間、すでに水面下で販売され、先月「GA」(一般公
開)となった製品を発表しました。Symmetrix VMAXe は、VNX/CLARiX 製品ラインの最上位機種とエント
リー・レベルの Symmetrix VMAX の間に位置する製品として EMC の製品群に仲間入りしました。「仲間入
り」という言葉は、いくつかの理由から相対的な表現です。
製品の位置づけの面では、スペースシャトルのドッキング並みの高精度が要求されることに
よって煙に巻かれることがある IT の世界において、VMAXe はむしろ家族写真の中に体格のい
い重量挙げ選手が入り込んだようなものです。空いている貴重なスペースに入ろうとすると多
尐肩がぶつかります。ほぼ確実に、新メンバーの登場に際して家族(ファミリ)の他のメン
バーは座席の位置を尐し調整せざるを得なくなります。業界の議論の大部分がこの点に終始す
るのは残念なことです。たとえ話を続けると、これでは大きな写真(全体像)とファミリの
新メンバーが提起した議題の両方から逸脱することになりかねません。
この用語は既存の他のメンバーとの中間で遺伝的に正確に適合することを示します。ただし、
子孫の場合は、遺伝の融合によってまったく独自の個性が生まれる可能性があります。実際、
VMAXe について知っておく必要があることの大部分は、その名前から確認できます。
「VMAX」の部分はハイ・エンドの Symmetrix ストックの名前をとったものと解釈できますし
(事実そのとおりです)、「e」の部分は VMAX よりはるかに高度に事前構成され、簡素なデ
ザインのシステムであることを示します(EMC の他の製品群の中で見ると、VNX と比較した
VNXe のようなものです)。VMAXe は単品ストレージ(VNX および VMAX 製品)の周辺に位
置づけられていますが、どちらかといえばコース料理に近い存在です。世界の食通は、コー
ス料理は選択肢が狭く、複雑さが尐なく、足りない味やおつまみの要素があっても、おいし
くて価値の高い食事を楽しむこともできると言うでしょう。
たとえ話はさておき、VMAXe の最も重要な特質は明快です。つまり、EMC が十分に対応できていない相
当な規模の市場の余地が見つかり、そこは競合企業が入り込む余地がないため競争にならないというこ
とです。VMAXe は新しいエンジニアリングとパッケージの採用により(新しいシステムの物理的性質と
バンドルされたソフトウェアの経済的性質の両面で)、従来では考えられなかったレベルの大規模な容
量と豊富な機能が必要になり、しかも購入してすぐに使えるシンプルさを求めるユーザーに対応します。
尐し前まではこのようなユーザーは一般的ではなく、大型コンピュータを所有する大型専門店または中
規模市場に限られていました。ところが、IT の民主化と爆発的な成長の力によってこのような差異が明
瞭ではなくなり、同様にユーザーのニーズも差がなくなってきました。この点から、VMAXe は新しい市
場、特に米国以外の市場で活躍する可能性があると考えられます。
© 2011 Enterprise Strategy Group, Inc. All Rights Reserved.
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Symmetrix VMAXe とは
データシート・レベルの詳細ではなく、新製品の概要を把握することが重要です。まず、これは新製品で
す。CPU、ドライブ、メモリをコントローラ全体で共有する Virtual Matrix Architecture などの本格的な VMAX
の一部の要素を利用しながら、物理的には 19 インチのラックに収まり、単相電源のみを必要とする小型の
製品です(つまり、VMAX の部品ではなく、VMAX にアップグレードすることもできません)。スケーラビ
リティに優れ、最大 960 個の1SSD、FC、または SATA ドライブを装備できますが、VMAX ほどのスケーラビ
リティはありません。アーキテクチャとしては、96 GB のキャッシュを搭載した新エンジンを最大 4 個使
用可能なマルチコントローラのスケールアウト・システムです。ソフトウェアの面では、Enginuity 基本
パックと FAST-VP ストレージ階層化スイート、および多数の一般的な移行、レプリケーション(ローカル
およびリモート、EMC および EMC 以外)、管理、リカバリ用のツールを含めたテラバイトを 1 単位とする
バンドル型の定額ライセンス料金制を採用しています。2プリロードおよび事前構成した状態で出荷される
ため、通常、インストールは数時間で完了し、100%仮想プロビジョニングされたボリュームの稼働をもの
の数分で開始できます(仮想プロビジョニングは EMC 版のシン・プロビジョニングです)。
VMAXeに適する環境
若干の製品の重複は常に隙間を埋める役割を果たすことを賢者は教えてくれますが、同様に、ベンダーが
自社製品を競合企業の製品と同程度に正確に差別化することには必ず意義があります。ただし、VMAXe は
ある程度ユーザー主体の環境に適しています。顧客が EMC 製品を購入する限り、従来と同じ製品を選択
するか、別の EMC 製品を選択するかという些細な決断に EMC がこだわるとは考えにくいことです。同様
に、BMW は顧客がアウディやメルセデスに目を向けるよりは、3 シリーズ、5 シリーズ、7 シリーズのい
ずれを選択するかに頭を悩ませることを願います。明らかに、対象ユーザーは、需要が高まる一方でリ
ソースに制約があるユーザー、つまり、予測のつかないサービス・レベルをダウンタイムなく満たすため
の優れた機能を備え、拡張容易性と魅力的なコストを兼ね備えたエンタープライズ・クラスの RAS を必要
とするデータセンターです。3ESCON は必ずしも必要とは限りませんが、堅牢な最上位モデルのストレー
ジを必要とするミッション・クリティカルなワークロードが大量に存在します。VMAXe は従来の中規模シ
ステムでは達成し得なかったこれらのアプリケーションのニーズに極めて機敏に対応する能力を備えてい
ます。EMC は新しい個別の階層名を熱心かつ賢明に回避し、代わりにユーザーのニーズ構成を反映し、こ
れに対応する製品特性の組み合わせを重視しています。このようなニーズとしては、EMC が従来あまり対
象としていなかった市場が含まれる可能性があります。たとえば、迅速な導入が可能な VMAXe は、部門
単位の導入やリモート導入など、企業のメイン・データセンターの外部での導入に最適です。この新しい
エンタープライズ・ストレージ製品は間違いなく EMC の現在の顧客の多くに歓迎されるでしょう。また、
VMAXe によって企業が新しい環境やより広いグローバル市場に発展する可能性が生まれます。
ただし、ユーザーが EMC 製品を選択する際に役立つ明確な製品の差異があります。たとえば、メインフ
レームの販売店や、暗号化、ハードウェア圧縮、三相電源を切望する人は、ぜひ VMAX を検討するべき
です。デュアル・コントローラ製品で十分な場合は、同等の容量の VNX で間に合う可能性があります。
容量の大きさを重視する場合は VMAX を再考する余地があります。
VMAXe が適する環境に関して言及したことは、市場までのルートにも当てはまります。重要な点は、EMC
がこの新製品を同社のチャネルを通じて幅広く販売するということです。従来、EMC の Symmetrix のチャ
ネルは高度に認定された大規模パートナーでした。VMAX が提供する膨大なオプションを考えると、これ
は必然的なことです。これに対し、VMAXe の機能構成と対象ユーザーを考えると、この簡素化され、事前
構成された製品を販売し得るチャネル・パートナーの数はより多く、おそらく EMC はこの市場で目指し
た目標を達成できるでしょう。その目標とは、まったく新しいオポチュニティを開拓してマーケット・
シェアを獲得することです。
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ドライブは一般的には 960 個が最大限ですが、VMAXe の構成によっては(一部の国際市場の場合)、1,000 個以上をサポート
可能です。
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拡張リスト:Symmetrix Management Package、Symmetrix Migration Suite(Federated Live Migration、Open Migrator、Open Replicator)、
TimeFinder(データのクローン作成、SNAP 機能なし)、PowerPath SE、RecoverPoint Splitter。オプションで RecoverPoint(CDP、CRR、
CLR)、Open Replicator、PowerPath のより高度なバージョンと Replication Manager および Ionix を利用できます。
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オプションやドライブの構成などの理由から、コストの問題も予想されるとおりシンプルです。目安として、VMAXe は VMAX よ
り約 20%低コストになると想定されますが、VMAXe の価格が VMAX より高くなる場合、または CLARiX/VNX の最上位モデルより低
くなる場合も考えられます。
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市場分析
多くのベンダーが製品群に含めるストレージ製品の種類を削減する方向を目指す中で、EMC がストレー
ジ製品の追加を発表したことは、一部では意外なことと受け止められるでしょう。しかし、市場には極
めて多様なユーザー・プロファイルが存在するため、VMAXe は確実にその地位を見出すでしょう。図 1
の ESG の調査は、ストレージに関するさまざまな課題のランキングを示すことが趣旨ではなく、その課
題の多様性、共通性(「主要課題」の類似性)、ミッドレンジ市場の回答者とエンタープライズ市場の
回答者との差異が判然としない点と明確な点を表しています。4 要するに、これは購入者にとっては相容
れない問題が入り組んだ状態です。VMAXe の機能および特性の新しい構成は、これらの問題の多くと符
合する可能性があります。EMC のマルチ・プロダクト戦略がこれまでのところ成果を上げていないと指
摘するのも無作法といえるでしょう。
図1 ストレージ環境に関する組織の最大の課題
出典:Enterprise Strategy Group(2011 年)
EMC は、VMAXe に対する外部からの分類やニックネームを付ける試みに耐える必要もあります。一部の
コメンテーターは間違いなく「VMAX の廉価版」、「Symm の子供」、EMC の「階層 1.5」、または「ト
ロイの木馬マーケティング・キャンペーン」といった呼称を付けるでしょう。ブロゴスフィアを楽しま
せる話題になるでしょうが、これらの断定は容易に反論できます。VMAXe は新しいエンジニアリングを
採用した新製品です。ストレージ市場では多くの場合に意味的な正確さが不問にされています(たとえ
ば、階層 0 やシン・プロビジョニングの意味についても納得できません)。しかも、VMAXe は VMAX に
アップグレードできません。
率直なところ、VMAXe は製品群の他の製品との中間に位置する製品ですが、「ミッドレンジ」ではない
という事実は免れません。一部のユーザーはこの製品を階層 1 の理想的なストレージと解釈するでしょ
う。一方、既存の VMAX ユーザーは既知の慣れ親しんだツールを備えているために階層 2 のストレージ
と解釈する可能性があります。いずれにしても、実際にはユーザーは必ずしも VMAX のフル機能を必要
としているわけではありません。ストレージにおいて常に言えることは、問題は目的への適合性だとい
うことです。
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出典: ESG 調査レポート「2011 IT Spending Intentions Survey」(2011 年 1 月)
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より大きな真実
EMC が Symmetrix VMAXe を開発した理由は、 簡単に言うと、EMC が実績あるストレージ・サプライヤお
よび資本主義組織であるためです。ユーザー・ニーズの変化と拡大に伴って、EMC はビジネスになる
マーケット・オポチュニティを見つけました。それだけの単純なことです。VMAXe が共食い現象を引き
起こすかと問われれば、 おそらくそうなるでしょう。ただし、シンプルなバンドル型の低コスト・パッ
ケージと本格的なエンタープライズ・クラスの機能の組み合わせはニッチ市場を見出し、そこには重複
による共食いがもたらす負の影響を凌駕するビジネス・ボリュームが存在するでしょう。これはほぼ確
実に言えることです。他のベンダーが、EMC のアカウントに食い込む可能性があるこの領域に足場を築
いたということは、この市場が実在することを裏づけ、VMAXe の先行発売は、EMC が相応の競争力を
持った製品を開発したことを実証しています。
製品構成の重複は EMC の競合企業によって問題視されるでしょうが、実際は多くの競合企業が同様のア
プローチをとっています。VMAXe に関する EMC の問題は重複自体にあるのではなく、もし問題があると
すれば、比較対照となる VMAX と名前が似ていることぐらいです。EMC が自らこの問題を招いたとして
も、(それには相応の理由があります。VMAX のオーラと遺伝的な基盤を備えることには大きな価値があ
るということです)製品、そのロジック、市場への適合性について疑問視する根拠にはなりません。事
実、確固たる価値提案と[確実に得られるであろう]チャネルのモチベーションが原動力となって、VMAXe
は EMC が「本拠地から離陸」し、新しい収益源を生み出すことを可能にします。オポチュニティを拡大
するためには、EMC は必ず「極めて高機能な汎用エンタープライズ・ストレージ」のような形容を用い
て製品を語るようにする必要があります。饒舌に聞えるかもしれませんが、対象となる多くの潜在ユー
ザーに当てはまる言葉です。そうでなければ、大規模なデータとクラウドの話に話題が逸れる可能性が
あります。VMAXe は要求の厳しい「通常」の IT 販売店および「一般的」なミッション・クリティカル・
ワークロードに数多くの価値をもたらす能力を備えています。
シンプルな自動調整型のコスト・パフォーマンスに優れたパッケージ・ストレージと、エンタープライ
ズ・クラスのデータ整合性、可用性、セキュリティを確保できる高度な機能を組み合わせた EMC の
VMAXe は、サーロイン・ステーキの予算とファースト・フードのシンプルさでフィレ・ステーキを食べ
たいユーザーに最適です。このような食事はサイドディッシュが限られているのが常ですが、多くの人
はそれでも食べ切れません。多くの組織の中心では、ますます競争が激化するビジネス環境と IT への期
待とボリュームの増大が主因となって、前述のように「食事」で悩むユーザーの数が増えています。こ
れは、世界中の多数の VMAXe 利用者が EMC の食卓にやって来る可能性が高くなることを意味します。
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