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断層と地震 - 鹿児島大学
地学概論(2) 断層と地震 台湾車籠埔断層(霧峰 郷) 鹿児島大学理学部地球環境科学科 岩松 暉 断層という言葉 地質学者用語 地層が断たれてつ ながらない 断層破砕帯は力学 的に弱く、土木工 事に支障を来す 考古学用語 地層断面 一般用語 世代間の“断層” 断裂 fracture 断層 断裂 fault 裂か 面に沿って相対的変位の明瞭な 断裂:剪断破壊面 面に直交する方向の変位が認め られる断裂:引張破壊面 fissure 節理 joint 面を境にほとんど変位のない 断裂(上記両者を含む) 岩石の破壊を表す不連続面(割れ目)の総称 断層の種類 地震断層 小藤文次郎(1856-1935) 濃尾地震(1891, M8.0)で出現した根尾村水鳥の地表地震断層 地震の原因諸説 志田順(京都帝大) 4象限型初動分布の発見(1917) 地下深部では岩石は塑性的にふるまう 弾性ひずみは蓄積されない 石本巳四雄(東大地震研) 石本・飯田の公式、加速度地震計等の発明 岩漿貫入説を唱え、弾性反発説に反対 円錐型発震機構(実は4象限型の特殊例) 断層は地震の結果か(鶏と卵) サンフランシスコ地震 1906年サンフランシスコ 地震(M8.3) San Andreas Faultの一部 450kmが最大6m変位 • しかし、断層から離れるに 従い変位減少 • 30~40kmも離れると変動 なし Reid(1911)の弾性反発説 を生む San Andreas Fault 弾性反発説 郷村地震断層 4象限型押し引き分布 引き 押し 福井地震(1948) 本多弘吉の2組の偶力説 double couple アメリカはsingle couple説 押し 引き 高圧岩石三軸圧縮試験 地下深部の状況再現 封圧は油圧(500MPa) 軸圧50t 供試体19.5×39.0mm 封圧上昇に伴い くさび型割れ目→単一剪断割れ目 →共役剪断割れ目→ビヤ樽型変形 Acoustic Emission 岩石破壊時の音を収 録(チタン酸バリウム) 地震と同じ波形 この例は引張試験 最初破壊点散在 やがて破壊面に集中 断層の力学的分類 Anderson(1950) 主応力軸は3軸直交 水平面は剪断応力ゼロ 3種の組み合わせしかない • σ1 鉛直:正断層 • σ3 鉛直:逆断層 • σ2 鉛直:横ずれ断層 共役断層の鋭角2等分線 の方向に最大圧縮主応 力軸がある 小断層解析 共役断層の認定 鋭角二等分線の 方向が最大圧縮 主応力軸σ1 共役断層の判定基準 スリップセンス 切りつ切られつ 断層面の性質 新 旧 新 旧 旧 断層角礫 新 断層ガウジ エ セ 共 役 断 層 断層ガウジ 断層ガウジ 共 役 断 層 横ずれ断層の発見 Sugimura, A. and Matsuda, T. (1965): Atera fault and its displacement vectors. GSA Bull., 76, 509-522. 松田時彦(1966): 跡津川断層の横ずれ変 位. 震研彙報, 44, 1179-1212. Kaneko, S. (1966): Transcurrent displacement along the Median Line, Southwestern Japan. N.Z. Jour. Geol. Geophys., 9, 45-59. 阿寺断層(1) 阿寺断層(2) 阿寺断層の動き 共役横ずれ活断層 左横ずれ断層 (1) 糸魚川―静岡線 (2) 阿寺断層 (3) 根尾谷断層 (5) 柳ヶ瀬断層 σ1 (7) 郷村断層 (8) 山崎断層 左横ずれ断層系と 右横ずれ断層系 活断層の動いた時 右横ずれ断層 (4) 跡津川断層 (6) 花折断層 (9) 中央構造線 期、地質学的には 同時(同一応力場) 2セットの断層系は 共役と考えてよい 東西水平圧縮応力 場が想定される 地山応力の測定 東京電力高瀬川発電所 オーバーコアリング法 細いボーリング孔に歪計埋め込み、その 周囲を大口径ボーリングして取り出す 東西水平圧縮実証 地震と第四紀地殻変動 関東大震災前後の 野島岬灯台を描い た油絵(石崎順吾 画,東大地質蔵) 地震時の隆起が積算されて段丘も隆起 地殻変動と海溝型地震 和達―ベニオフ帯 桜島を通る 東西断面 (鹿大観測所) 和達清夫 気象庁長官 深発地震面 の発見 Wadati & Iwai (1954) 久野のマグマ発生モデル Kuno (1959) 玄武岩の化学 組成の帯状配 列と深発地震面 プレートテクトニクス プレート説確立に際しての日本の貢献 深発地震面・マグマ発生場・水平圧縮応力場 活断層 Active Fault Fault Map of California (Willis, 1923) “Active fault”と“Dead fault”に区別 辻村太郎(1926)が引用 • 活断層なる訳語を使用 デーリ『構造地質学講 話』 (1927)にも採録 地震学的活断層と訳す 日本の活断層 地質調査所(1996) 活断層と地震動災害 台湾集集地震 (1999) これについては「自然災害科学」の講義で行う The End おそまつさまでした… (いわまつさま)