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第3教室「多様な農法を学ぶ③~カバークロップについて」(PDF
第3回やまなし発!有機の郷推進交流会大会 有機農業の推進について語る会 平成26年10月20日 甲府富士屋ホテル ○分科会 ・第3教室 多様な農法を学ぶ③カバークロップの利用と有機農業 アドバイザー:茨城大学農学部附属フィールドサイエンス教育研究セン 進行役 ター教授 小松崎将一氏 :山梨県総合農業技術センター 栽培部長 赤池一彦氏 「司会」 ○小松崎先生は、農作業学、農業環境学が専門。国内ではカバークロップ、緑 肥についての第一人者。 「小松崎将一氏」 ○大学の農場に勤務しています。主に緑肥、カバークロップの研究を15年間 ほど実施しています。カバークロップ、緑肥は、土が良くなると言われてい ますが、なかなか作物の生育に結びつかなく、その違いは何かと土の構造に 結びつくのではないかとを考えております。 ○今回、山梨県の有機大会には、初めて参加し非常に感銘を受けました。木村 先生の話にもありましたが、肥料農薬を使わない栽培の大切さについて、研 究者の立場で、科学的な根拠が示せるかお話をしていきたい。 ○ただ私の経験(試験)茨城県を中心としたものです。全てが山梨県に当ては まるか疑問ですが、司会の山梨県総合農業技術センター 赤池部長からも、 有機農業の現場では、毎回新しい発見や、新しい事実が出てくるので、私の 話も事例の一つとしてとらえて頂きたい。 ○大学に勤務していますが、地元農家ともお付き合いさせてもらう中で、緑肥 利用による米作りの取組も一緒になって行っている ○カバークロップと緑肥の違いですが、通常は緑肥が一般。肥料的な効果を期 待する場面。畑の養分を吸収。有害な線虫を抑制する効。肥料的な効果。多 面的な効果がある。 ○欧米では1990年頃からカバークロップと言われている。最近では農業高 校の教科書にも使われるほどカバークロップという言葉は定着してきた。 本日の話 ○緑肥、カバークロップの一番の目的は、 「土を守る」ことです。多様な農業生 産場面においての利用について紹介します。 ○木村先生からもあったが、土の力で作物を育てる。どいう風私なりの考え取 組について。 ○大事なのは、農耕地の中の炭素と窒素を循環させる効果を高めること、その 効果も紹介。また、自然と共生した野菜栽培についてもご紹介。 「カバークロップが土を守る」 ○山梨県では、このような問題はないかと聞いている。長野県では一部でこの よう被害があり、問い合わせを受けたこともある。 ○この事例は、茨城県牛久市。白菜ほ場。生産者の多くは、収穫後には雑草な どの抑制のため、何回も耕運を行う。春先は、雨が降らないので、乾燥し土 が舞い上がることが起こる。 ○この事例は、埼玉県深谷市。当地は野菜の生産が盛ん。都市に近いがブロッ コリー、スイトコーンなど全国3位以内の生産額を誇っている。しかし、畑 に行くとすり鉢状のほ場になっている(土が出されている)。その対策に、取 り組んでいる。 ○この写真は2年ほど前、東京タワーが霞で見えなくなった状況。当初は、 PM2.5 と疑われたが、気象庁は「煙霧」と発表した。関東地方の土埃が原因。 ○北関東地域では、土埃が深刻となっており、土がどのくらい飛ばされている かを測定した。作土層の約2%。10a当たりでは約1.3tが年間飛ばされ ている。しかし、ムギ類などの緑肥を栽培すると、その抑制が出来る。 ○牛久市は、落花生の産地。以前は裏作でムギ類の栽培をしていたが、農家側 もお金になる作目は栽培するが 冬のムギ類は経済性がなくやめている農家 も多い。そのほ場を比較してみた。30年前は同じ高さであったが、ムギ栽 培をしていない畑では20㎝も下がっている。土壌学では、土が年間風化に より出来る量は0.05mm。この失われた部分を補うには約2,000年は かかる。最近の管理方法で失われている。生産力の低下は注目すべき課題。 その飛んでいく土は、圧倒的に養分が高い、良い土が飛んでいく。 ○また昨今では、ゲリア豪雨により茨城県、千葉県では土壌流亡も深刻な問題 となっているが、カバークロップでその流亡も防げる。 ○強風時での試験。カバークロップを栽培していると土の飛散は少ない。基本 的には、ほ場をカバーして土を守る。 「多様な効果」 ○土を改善、微生物、化学性、物理性の改善などの効果があり、堆肥の施用だ けでは得られない。 ○線虫の抑制。例えばキタネグサレセンチュウ。ダイコン、ニンジンへの抑制 には、緑肥としてエンバクが利用されている(鋤込み)。実際の例ですが、卒 業生が牛久市で農家を行っている。太田市場からの産地指定。慣行栽培では、 10回程度の農薬散布(土壌消毒も含む)。卒業生は、ソルゴー、エンバク(春 先)を栽培。土壌消毒なしで、防除も3回程度で済んでいる。土そのものが 出来ていれば、技術はいらないので、土つくりの重要性であると語っている。 ○クロタラリア。線虫抑制で注目。埼玉県本庄市の例。ブロッコリーのほ場。 当地の土壌は、粘土層で固い。クロタラリアは、4月に早くまくと生育が悪 いが、6月下旬に播種すると、8月には背丈も十分に伸びている。注目する のは、根の効果が高い。硬い土でも破砕して根が入っていく。 ○本庄市の試験地での結果を見ると、地下80㎝まで伸びている。当地は、通 常は大雨が降ると、雨水が滞水するが、緑肥を利用すると土が軟らかくなる ので、滞水が少なくなる。 ○私共の試験ほ場では、不耕起栽培で実験している。耕さないので固くなると 思われるが、ライムギ、ヘアリーベッチを植えることで、土が柔らかなる。 根が土を耕す効果がある。 ○クリーニングクロップとしての効果は、普及センター等からも広く認められ 普及推進されている。私共のデータとしては、有機質肥料を使ってジャガイ モを栽培した試験。ジャガイモは、肥料が残る作物。収穫後、ソルゴーを播 種したほ場と、何も栽培しない(雑草)区での無機態窒素量を測定。収穫後 は、どちらも0~90㎝まで、40~50ppm窒素が含まれていた。その 2ケ月後ソルゴーを播種し、吸収した窒素量を測定。ソルゴー区では吸収量 は、134kg/ha。雑草区(耕運あり)1kg/haとなった。0~9 0㎝の表層にまで残留養分が、ソルゴー区では15ppm迄まで下がってい た。雑草区は、表層17~18ppmだったが下層では40ppm。吸収出 来なかった養分が、地下に流れてしまう。カバークロップがあれば、残留し ている養分を吸い上げる。この後、コムギを栽培。134kgを直ぐに利用 されることはないが、表層に鋤もまれる。雑草区では、表層部は吸収出来る が、下層部にある養分は、コムギの根が伸びてくるまでに、流亡していく。 残留している養分をもう一度利用した栽培につながる。養分の循環。少ない 資源で栽培していく事につながっていく。 ○水田の裏作としての緑肥の利用について。長野県などではレンゲ草がかつて は一般的。私共では「イタリアンライグラス」などのイネ科が良いと考えて いる。マメ科では、窒素固定もあり食味を重視する昨今の栽培では、肥効が 遅くなるにより食味を悪くする恐れがあるので、イネ科が良いと検討してい る。 ○雪印種苗の冊子に掲載したことがあるが「緑肥利用による低コスト高品質栽 培」 。茨城県の水稲栽培でも裸地状態が多い。収穫後に、イタリアンライグラ ス10a当たりで3kgの播種により、翌年には2tの有機物を供給出来る。 ○茨城県でも、水稲の大規模経営化により20~100ha経営が見られてき た。規模拡大していくと、土づくりは特に重要である。例えば、1haあた り10kgの減収は、10ha規模以上になると数百万円の減収につながる。 通常は、有機物の多量投入は困難。緑肥作物では、その有機物の投入が出来 る。お米を収穫した後、緑肥を播種しておけば可能。 ○田んぼからも窒素は、溶脱している。綺麗な水の地域では問題になっていな いが、茨城県の霞ヶ浦周辺では深刻。稲が生育している期間では、水田を通 るときれいな水(土壌に吸着など)になる。冬期は、何も栽培していないの で逆に溶脱していく、窒素濃度が高い。 ○緑肥を栽培すると、余っている養分を吸収してくれる。緑肥は、1,5~2 kg位の窒素成分を持っているので、少ない肥料で栽培することも出来る。 これを分解させるには、化学肥料では良くなかったが、ぼかし肥料を入れる と良い結果が見られた。低コスト栽培の一つとして提案していきたい。 ○有機農業を考えたとき、肥料を購入して行う方法もあるがコストも高い。自 家製肥料と緑肥を組み合わせる方法も一つである。 ○ヘアリーベッチは、雑草抑制効果(アレロパシー効果)。ヒマワリ等は、景観 作物。 「草を持って土を守る」。 ○緑肥を土に返す。養分供給量を調べてみた。夏場での事例。特徴としてはマ メ科では、窒素が多い。ソルガムは、NPK等の吸収量、回収量も多く、有 力であると考えている。雑草(夏作)はどうか?NPK等を調べると、夏雑 草では、悪くない。土壌条件にも変わる。痩せた畑での雑草効果は分からな いが、通常では雑草も有益な資源であると考えられる。 ○ブロッコリーでの試験例。その前にヒエを栽培し、それを刈り取り、マルチ として利用してみた。カバークロップでマルチをすると、硝酸窒素の割合い が急激に減ってきている。糖度が若干高く、苦みが少ない出来となった。 「土の力で作物を育てる」 ○土壌中の有機物に注目している。土の構造は、土粒子、粘土鉱物とそれをつ なげる有機物に分かれる。その有機物を全部取り除くとサラサラになる。こ の状態では、作物の栽培が出来ない。有機物が入ると黒くなり、水分を保持 し微生物が育つ土になる。 ○有機農業の中では、この土壌有機物に含まれている養分の分解量をいかに、 大きくするかが大事である。いかに、土壌由来の養分を放出するかが重要。 ○土壌には、安定性の有機物があり1000年以上ものや、5~100年以上 も営農に利用することが出来ないものがある。2年以下のものは、有効態の 窒素として期待出来る。 ○土が持っている養分量について、土は圧倒的に多くの養分を持っている。土 そのもの0~30㎝の間に、窒素成分で換算すると、約150~180kg 持っている。大部分は直ぐに植物が使えるものではないが、分解しやすいも のは利用できる。例えば、肥料を上げなくても雑草が育つのはその現れ。一 部が利用されている。 「土壌養分量を見直そう」 ○例えば、炭素含量3%。10a当たり畑で30㎝と想定し、計算上では有機 物として約9.3tとなる。窒素成分では、10a当たり約540kg。大 部分は利用できないが、これを1~2%分解することで、大きく変わる。1% で5.4kg。2%で10.8kg。この値では、作物が栽培出来そうでは ないか。そういう意味では無肥料栽培としては、土壌中の有機物を増加させ ていき、分解させ上手に引き出すことになる。貯める技術は「カバークロッ プ」引き出す技術は、木村先生も言われていたとおり「乾かす(耕す)」。 ○管理方法で放出される養分が変わるので、上手に管理していくことで、土の 力で作物を育てることが出来る。炭素と窒素を変えるのが緑肥である。 ○長期試験の例。2002年秋~現在まで試験。02~08年まで陸稲。09 ~10年までダイズ、10年以降は有機野菜。炭素量が変わってくるかを調 査。 ○土の中の炭素は、中々変わらない。03~11年まで測定。04年表層で、 多少見られ。2006年下層まで。2011 15~30㎝まで、有意な差 が見られるようになった。高めていくのは時間がかかる。 ○土の中の炭素の貯留量については、不耕起で、炭素が増加。緑肥では、ライ ムギが増加。ベッチも増加する。断面で見ると ライムギ区では表層から3 0㎝まで炭素が増加してくる。不耕起は表層で高くなってくる。耕運区では 鋤込むので下層部で高くなる。トータルで炭素貯留が多いのは、不耕起+ラ イムギが一番高い。次にベッチ。ロータリー耕運でも案外良い結果が出てい る(貯める効果がある)。プラウ耕+カバークロップ組み合わせでも有機物を 維持できている。 ○土の炭素の変化は、土の生態系に大きな影響を与える。不耕起栽培では、微 生物の量が多い(バクテリアより、カビの比率が高い)。平均残留でも不耕起 が多い。 ○裸地、ベッチ、ライムギで比較すると、微生物はライムギで多くなってくる。 供給する有機物が多いのが関係していると思われる。カビが多いのは、ダメ だと思われたが、森林を見るとカビの優先度が高い。土を分解するのは、カ ビが圧倒的に強い。ベッチでも残留量が増えてくる。土壌の構造が変化して いく。 ○センチュウ相も研究している。センチュウは農家にとっては、寄生して悪さ をするイメージが多い。バクテリアを食べるセンチュウ。カビを食べるセン チュウ。センチュウを食べるセンチュウなど、殆どが悪さをしないで、有機 物を分解し、土の生態系を安定化させる働きがある。しかし、土壌消毒でこ の有用なセンチュウも殺してしまう。 ○不耕起区が、センチュウが多くなってくる。カバークロップでも多くなって くる。例えば陸稲の連作すると、イネシストセンチュウが増える。耕運区は 増えるが、不耕起は少ない。それに伴い収量も増えてくる。有害な線虫を抑 制する効果もある。 ○土の中の炭素量が多くなると、センチュウの同士の喰われる関係が生まれる。 有機物が増えるとその関係が活発になる。有機農家のほ場を調べると根腐れ センチュウの生息数が少ない例も見られる。もしかしたら、そのような効果 なのかもしれない。 ○ミミズについて。不耕起栽培やカバークロップを行うと増えてくる。これも 興味を持っている。土壌中の無機態窒素の濃度について、ミミズがいると窒 素が増えてくる。飼育実験だが、土の可給態リン酸濃度と、ミミズの糞から のリン酸濃度を調べるとミミズの糞が高い。ミミズがリン酸をつくっている。 ありえるのか?日本はご存じの通り、火山灰土壌。吸着しているものをミミ ズが食べるので、ミミズの体の中で分離し利用しやすくしている。3年間や ってみたが、作物の収量が高まる。 ○10年間やってみた中で、不耕起栽培と耕起栽培を比較すると土壌中の炭素 量50~80%多い。微生物は16%。センチュウも増える。土壌動物ミミ ズは、11倍に増える。生産性は、ほぼ同等である。 ○今日の木村さんの自然栽培の話もあったが、研究の場面では、無施肥は難し い。大学の中で試験ですが、無肥料による「耕運区」 「雑草区」を設定した比 較試験を行った。初期生育は同じであったが、約1ケ月から雑草区で生育差 が現れた。改めて土の持っている力を検証できた。 ○2008年からインゲン、カブの試験。草を刈らずに栽培。耕運して栽培の 試験を実施したが、結果は、耕運したほうが良かった。良い結果が見られな かった。収量は低かった。炭素量は増加した。夏作ではあまり良い差がなか った。 ○一方秋作(ダイコン)では、耕運区は台風で痛めつけられ欠株も多くネキリ ムシの被害を受けている。しかし、不耕起栽培ではシッカリ育っている。何 の差があるのか調査実験した。ピットホールによる害虫の捕獲調査を行った。 捕食性昆虫が増えている。相対的に害虫にプレッシャをさげていた。 ○不耕起草生による省力でダイコン栽培。無施肥区、施用区を設けた。秋野菜 では、順調に育つ。秋作では、雑草の生育が抑制。不耕起草生でも可能。特 徴的なのは、硝酸イオンの濃度が下がる。 ○夏作は芳しくないので、改善策を考え中。炭素を入れると窒素がでてくるの で、私の妄想でもあるが、カラクリを自分なりに証明できればと考えている。 有機物を入れると炭素、窒素が入り微生物が分解。窒素飢餓がおこる。この ため炭素率の高い有機物は悪い事であると言われている。そこで逆に炭素を 追加すれば、微生物の生態系により土の持っている力を引き出せるのではと 考えている。 ○アメリカの雑誌で紹介されたもの、紙マルチを入れると植物寄生センチュが 減って微生物が増えるとの報告がある。日本の伝統農法である草敷の検討し てみた。不耕起栽培。夏作では、収量がなかなか安定しない。試験では、5 m区画にて100kgの生草を敷いてみた。草の種類は定めず、近くの草を 利用。 ○不耕起栽培で無肥料による「白なす」を栽培。植え付け当初は、差が見られ ない。8月。不耕起、敷草でも同等の収量。データを整理中であるが9月に は逆転。草を敷くことは、土の持っている力を引き出すことにつながる。品 質は、カリウム含有量が多くなる傾向が見られ良くなる。 ○敷草マルチをめくると、黒々している。不耕起でマルチの中で、圧倒的に土 壌動物昆虫が多い。 ○私が考える自然共生農業技術。有機農業にも色々ある。化学肥料を、有機質 肥料に置き換えたもの。有機認証の農薬を使うものなど様々であるが、本来 は土の持っている力を発揮させる技術が必要。環境保全農業では、投入量を さげていっても収量確保の解明が主流であった。 ○自然共生農業では、混作、輪作、緑肥などにより、生物の住処、多様性を確 保して、農地の持っている様々な生態の機能を高める。肥料等の投入量が減 っても、生態系の向上を見出す技術、自然共生栽培技術を検討している。 ○カバークロップの利用については、土そのものを保全し、窒素の溶脱を防ぐ。 地力を維持。緑肥利用の効果が高い。栽培体系に応じた緑肥の選択が重要。土 づくりと品質保全の高い肥料農薬の削減する生産体系に向けて、カバークロッ プ、不耕起栽培などの組み合わせなどのアプローチがある。ひいては、木村秋 則さんが実践提唱している自然栽培(共生農業)にもつながる。なお私は、茨 城での事例。山梨では違う点があるかも知れない点はご承知頂きたい。 「会場からの質問」 質問① ○大学で果樹のコンパニオンプランツについて研究勉強している。病害虫の防 除からの効果を教えて欲しい。 「小松崎将一氏」 ○私は土壌中の肥料等の専門で、地上部の害虫については詳しくない。ただ、 地上部の改善が昆虫層の多様化につながることが分かっている。また、この 点は、県技術センターの赤池氏が試験していたのでお話を聞いたみたい。 「司会(赤池部長)」 ○野菜の試験成果だが、カバークロップなどの、植生を多様化させることで病 害虫の被害が減る。葉根菜では効果が高い。特に地際に這わせることが出来 るので、土着の昆虫類が活躍する。植生により特定の害虫発生を防ぐことに つながっている効果である。 質問② ○カバークロップの種類は、どうやって決めるのか? 「小松崎将一氏」 ○主な選択肢としては、マメ科、イネ科。何を期待するかによって変わる。窒 素の供給であれば、マメ科。野菜畑で、溶脱防止効果などを期待するのであ ればイネ科。また、播種時期も重要でマメ科では遅い播種では生育出来ない ので、生育期間を確保できるかが大事。イネ科では、12月迄は播種できる。 今後の課題として、イネ科とマメ科の組み合わせる「混播」も重要。アブラ ナ科は、日本では検討されていない。しかし欧米では検討され、窒素溶脱防 止効果が高いと言われているが、鋤込んでも分解が早く吸収も早い。日本で はまだ、検討されていない。 質問③ ○県内でモモ栽培を行っており、ライムギ草生を行っている。果樹園での草生 栽培を行った場合、窒素養分などがいつ頃効果があらわれるのか? 「小松崎将一氏」 ○へアリーベッチでの試験で、土の種類でも変わってくるが、一般的には、マ メ科の緑肥では早く約1ケ月後まで。イネ科の緑肥では遅く、青刈の物で2 ~3月かかる。また後作の吸収力は高くなく5~10%くらい。そのような 両面があるので、まだ研究に取り組んでいないがイネ科、マメ科の混播によ り分解の速度をコントロールするなどの研究も重要になってくると思う。 質問④ ○就農2年目で有機栽培に取り組んでいる。雑誌などに紹介されたヘアリーベ ッチを使ったジャガイモ栽培に取り組んでみた。はっきりした差が分からな い、ジャガイモでの緑肥利用などについて助言をお願いしたい。 「小松崎将一氏」 ○ジャガイモノは難しい。私も悩んでいる。地力だけで育てようとしても、関 東では3月種イモを植え付けるが、地力が発現してくるのは、早くて5~6 月頃。その時期に「窒素」が発現してからでは、間に合わないので難しい。 ○海外の事例であるがドイツでは、アブラナ科、マメ科を組み合わせた有機栽 培体系の事例がある。初年度に窒素補給のためベッチ類を播種し、次にアブ ラナ科を播種。アブラナ科は吸収が、分解が早い。チッパーで鋤込んでいる。 今後の研究課題でもある。以外とジャガイモは難しい。