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味はもちろん、形もおいしい⁉ 各地の在来野菜、まだまだあります。
Traditional 鹿ケ谷カボチャ /京都 安楽寺で行われる「かぼちゃ供養」で毎年参拝者に振る舞わ ししがたに れる「京野菜」の鹿ケ谷カボチャは、ちょっぴりグロテスク 古いけど新鮮な味⁉ 伝統の在来野菜。 天王寺蕪 /大阪 桑の木豆 /岐阜 「天下の台所」と呼ばれ、野菜の産地としても栄えてきた大 阪。府内の伝統野菜を認定した「なにわの伝統野菜」の中で ねずみ大根 /長野 かすり インゲン豆の一種で、赤い絣模様の「桑の木豆」 。かつて養 蚕が盛んだった岐阜県山県市で、蚕のエサとなる桑の木を有 県北東部の坂城町でおもに栽培されている地大根で、ネズミ の後ろ姿のようなユニークな形。ぴりっとした辛さの後から、 八名丸サトイモ /愛知 や 仙台曲がりネギ /宮城 な 愛知県と静岡県の境に近い八名郡八名村(現在の愛知県新城 市)で、水田の転作作物として栽培されたのが始まりという 柔らかく、格別の甘みを誇る曲がりネギ。大きく湾曲してい る理由は、畑から一度抜き取り、角度をつけて寝かせるよう 「八名丸サトイモ」 。肥沃な土地で育つ丸いイモは、柔らかい 食感が特徴。9月から出回るイモはみずみずしく、10月に出 に植え替え栽培するため。発祥の地である仙台市余目地区は 地下水位が高く、通常のネギのように立てて栽培すると根腐 あまるめ いた菊カボチャが、突然変異した形だとか。成人病予防に効 果があるという、リノレン酸を多く含むことでも注目される。 も、天王寺付近を発祥とし、さまざまな文献に記載が残る代 かぶら 表選手が天王寺蕪。小ぶりでしっかりとした根は十分な甘み があり、葉も美味。浅漬けのほか、粕漬けや煮物に使われる。 効活用しようと、その根元にタネをまき、ツルを桑の木に わせ栽培したことから、こう呼ばれる。若いサヤは天ぷらに、 ほんのり感じられる甘さが身上。大根をすり下ろした搾り汁 に、味 とネギやクルミなどの薬味を入れ、釜揚げうどんを 完熟サヤは乾燥させ煮物に、と食卓で幅広く活躍。 浸ける「おしぼりうどん」が、郷土ならではの食べ方。 回るイモはもっちりしていて、味 ハンダマ /鹿児島 打木赤皮甘栗カボチャ /石川 阿蘇高菜 /熊本 紫トウガラシ /奈良 小野川豆モヤシ /山形 神楽南蛮 /新潟 葉裏が赤紫色のハンダマは、別名「水前寺菜」や「金時草」 と呼ばれ、おもに鹿児島県奄美地域の家庭で栽培され食され てきた超地産地消の伝統野菜。鉄分などのミネラルが豊富な ほか、ポリフェノールを多く含み、抗酸化作用が期待される 野菜としても注目度大。おひたしやサラダ、天ぷらなどに。 栗のような円錐形をした、鮮やかな橙色のカボチャは、5月 下旬から8月下旬にかけて出荷される、金沢を代表する夏野 菜。厚い果肉は水分が多く、ねっとりとしていて、強い甘み がウリ。煮物や天ぷらなどの料理にはもちろん、近年はその 甘みを生かし、和洋菓子にも用いられている。 標高400ⅿ∼800ⅿという高地の阿蘇地方で栽培されている、 カラシナの一種。通常の高菜に比べ、茎の部分が柔らかく、 適度な辛みが感じられる。花が開く前に収穫し、高菜漬けに するのが、古くから伝わる食べ方。収穫したての高菜を、炒 め物や白和えにして食べることも。 奈良県東北部の高原地帯で栽培されている紫トウガラシは、 ブルーベリーやカシスの色素成分、アントシアニンを含む稀 少な紫色。完熟すると赤色、熱を加えると緑色に変化すると いう摩訶不思議なトウガラシで、辛みはほとんどなく、炒め 物や天ぷらなど、さまざまな野菜、肉との相性抜群。 11月から3月が旬の「小野川豆モヤシ」は、米沢市小野川地 区の温泉街が産地。温泉が流れる堀の上に小屋を建て、木箱 を並べ、そこに豆をまいて育てるという伝統的な方法が守ら れている。普通のモヤシに比べ、25㎝ものロングな軸と、し ゃきしゃきとした歯応えは食べた者を虜にするという。 ピーマンのような形をした、辛みの強いトウガラシ。ごつご つした姿が神楽面に似ていることから、この名前がついたと いう。昔ながらの食べ方は「タタキ」 。千切りにして塩をま ぶし、1、2時間置いた後、氷水に放ってシャキッとさせた ら、ミョウガやキュウリと和えて…。ビールのお供に最高! な見た目。江戸時代に津軽から京都へ持ち帰られ栽培されて だいだい 星 付 き の 店 か ら も 日 本 各 地 の シ ェ フ か ら も 注 目 を 集 め は じ め た 「在 来 野 菜」。 それに後押 しさ れるよ う に、 全 国 で、 独 自の 基準を 設け 伝統 野 菜 を 認 定 す る 動 き が ブームの兆し。 その 中 から個 性 豊か な面 々を 集め てみま し た。 p.043 汁の具や煮つけに向く。 れしてしまうことから、そうした方法が編み出されたという。 味はもちろん、形もおいしい⁉ 各地の在来野菜、まだまだあります。 illustration / Noriko Wada text / Aya Nihei p.042