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ロングテール

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ロングテール
ロングインタビュー「
ロングインタビュー「米国キーパーソン
米国キーパーソンが
キーパーソンが語る Web2.0」
Web2.0」(2
(2)
ロングテールの
ロングテールの“生みの親
みの親”が語る真実
大企業であっても
大企業であってもニッチ
であってもニッチを
ニッチを狙うべし
IT 業界に限らず、あらゆる会社の管理職やマーケッターが「Web 2.0」を学ぼうとするな
ら、多くのどんな解説書よりも、ある1冊の本を読むべきだろう。それは米国のデジタル
カルチャー誌「Wired」編集長であるクリス・アンダーソン氏の著書「ロングテール」
(早
川書房、1785 円)だ。理由は一つ。著者が「ロングテール」という言葉を最初に言い出し
た張本人だからだ。
ロングテールは Amazon(アマゾン)や Google(グーグル)のビジネスモデルとして、
いわば IT 業界だけの話として語られがちだ。だが、それはアンダーソン氏のロングテール
という概念を矮小化している。次ページから詳細なインタビューを掲載しているが、彼は
この概念により、21 世紀の市場とビジネスの姿を説明しようとしている。
インターネットの普及以前は、市場にヒット商品しか流通しなかった「不足の時代」
(著
書より)だった。だがこの 10 年で状況はガラリと変わった。ネットの普及により、どんな
ニッチな商品でも低コストで手に入る「豊饒の時代」(著書より)に入った。これにより
21 世紀の市場やビジネスがどう変わるのか。これこそが、彼がロングテールという言葉で
説明したかったことだ。
著書では小売りやメディア、娯楽産業など、21 世紀の市場をロングテールがいかに変え
るかを、豊富な実例をもとにわかりやすくまとめている。例えば 19 世紀の鉄道網の発展と
百貨店シアーズの隆盛、米国のインディーズバンドの売り出し方、古本市場のビジネスが
伸びた理由などの記述はハッとさせられた。「Web 2.0」という正体がぼやけた言葉に惑う
人は、この本を読めば頭の整理になるだろう。
なお、ロングテールという言葉は 04 年、「Web 2.0」という言葉とは全く別に生まれて
いる。結果として「Web 2.0」の中核理論として位置づけられてしまった「ロングテール」
の創始者が、インタビューの冒頭で「Web2.0 という言葉については、何も教えられないよ」
とコメントしたのは興味深かった。
アンダーソン氏がロングテールの説明に
用いるグラフ。横軸が商品の種類の多さ、
多様性(SKU)を示し、縦軸が人気度
(Popularity)ーー製品であれば売り上
げ、ウェブサイトであればアクセス数、
テレビ番組であれば視聴率、ラジオであ
れば聴取率などを指す
大ヒットビジネスの
ヒットビジネスの時代は
時代は終わった
Q: Web2.0 について、それとロングテールについて詳しく伺えたらと思うのですが。
あなたは Web2.0 についてご存知なんですか?
ングテールについてなら大丈夫。
1
実は、僕はあまり知らないんだ(笑)。ロ
Q: では最初に、ロングテールの定義についてお聞きしたいです。ロングテールを一言で説明す
るとすると、何でしょうか
ロングテールとは、大ヒットを生み出すビジネス(ブロックバスター)が終わった後の市
場のこと。実際世の中では、限られたヒット商品から多数のニッチ商品に人気が拡散する
傾向が生まれている。このとき文化や経済がどう移行していくのか。これがロングテール
の主題だ。
Q: 日本では、ロングテール=商品数が多いという捉え方をしています。例としてアマゾンの商
品数や売り上げの話が出てきます。ロングテールとはこうした捉え方でいいのでしょうか。
それとも、我々は誤解をしているのでしょうか。
ロングテールとは、商品の種類が格段に多いことだ。昔
から市場はこのグラフ(左写真)のように、一部のヒッ
ト商品が人気の大半を占める状態だった。理由は出荷に
ある。ほとんどの市場で、棚代や倉庫代など、多大な流
通コストがかかっていた。マスコミであれば、テレビの
電波帯域やチャンネル維持コストといったところ。映画
ビジネスであれば上映館数だった。コストがかかる今ま
での流通方法だと、人気のある商品や番組でなければ売
り手は損をする。結果としてヒット商品や番組しか流通しなかったのが従来の市場、いわ
ゆる 20 世紀のマーケットだった。
だが現在は、ネット販売であれば棚スペースがいらないなど、流通コストが低い市場に
なっている。余計なコストを排除できたことで、さほど売り上げがない商品でも流通する
可能性が広がっている。これがニッチ市場だ。図のカーブにおけるヘッド(頭)の部分が
ヒット商品、いわゆる「ブロックバスター」。カーブのテール(尻尾)の部分がニッチ商品
でありニッチ市場。そしてヒットからニッチまで、すべてをカバーできるのが、21 世紀型
のマーケットなのだ。
"コストゼロ"
コストゼロ"が市場を
市場を支える
Q: ニッチ市場を扱うビジネスは、例えば通信販売という形で以前も存在していました。こうし
た既存ビジネスと、今言われたロングテールとの違いは、どこにあるのでしょう。
その2つに関連性はある。米国では 19 世紀に巨大な鉄道網ができたことで、一つの巨大
倉庫へ在庫が集約でき、倉庫のコストが大幅に削減できた。これにより通信販売は、全国
の消費者に向けて、低コストで商品を配送できるようになった。鉄道の駅長が始めた通信
販売を元に、その後全米屈指の百貨店に成長したシアーズが典型的だ。
こうした既存のニッチビジネスと“ロングテール”の違いは、デジタル革命により流通コ
ストがさらに低減したことだ。商品カタログもデジタル化したことで掲載できる商品数は
格段に増える。
また本のカタログと違い、検索やレコメンド機能があり、消費者は自分に合ったニッチ
商品に効率良くたどり着ける。消費者一人ひとりの嗜好に合わせて、カタログの見せ方さ
え変えることができる。
ここまでは形がある商品、フェデックスや郵便などで配送されるモノについての話だが、
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デジタル音楽やビデオなどの配信コンテンツは、流通コストが少ないどころかほとんどか
からない。エコノミストが言うところの「ニア・ゼロ・マージナルコスト」
(生産量が一単
位増えたときにかかる追加費用である「限界費用」がほとんどゼロ)という市場になって
いる。商品数も、種類も、録音時間も関係なく、ほぼ無限にコンテンツを提供し続けるこ
とができる。
まとめると、ロングテールビジネスにも2種類あるということ。アマゾンなどは、モノ
としての商品を扱う「ハイブリット小売業」。従来の通信販売や、現在のネット販売が扱う
ニッチ商品だ。一方、音楽や映像などデジタルコンテンツを扱う小売業は、尻尾のさらに
先の部分、よりニッチな商品をも扱うことができる。彼ら「デジタル小売業」は、歴史上、
かつてなかった新しいニッチ市場を開拓しているのだ。
"ニッチ"
ニッチ"が"ヒット"
ヒット"を駆逐するわけではない
駆逐するわけではない
Q: 尻尾部分(ニッチ商品)と頭部分(ヒット商品)との力関係はどうなっているのでしょうか。
最近、ウォールストリートジャーナルが、あなたのロングテール理論に疑問を投げかけまし
たね(注:論争の詳細は、日経ビジネス オンラインの記事を参照)。「『ニッチ商品の市場規
模が、ヒット商品の市場を追い抜く』というのがロングテールの主張だが、そんな事実はな
い」と。これに対してあなたは、ロングテールの市場のほうが勢いが増していると考えてい
るのでしょうか。
ウォールストリートジャーナルが言っているのは、まさに私が本で述べていることと同じ
だ。ヒット商品がニッチ商品よりも重要という考えは確かに正しい。
前ページで述べた、パワー・ロー(力の法則)ともいわれるカーブ曲線は、オンライン
の市場でもオフラインの市場でも同じだ。この形のように、頭部分のヒット商品が尻尾部
分のニッチ商品よりもよく売れている。
ただし市場によっては、尻尾部分を集めると全体の 40%以上を占める場合がある。例え
ばデジタルコンテンツだ。それが従来は存在せず、ネットによって初めて生まれた現象だ。
Q:
尻尾部分の市場は、これから規模がさらに大きくなると思いますか?
わかりやすく考えれば、頭とは実店舗で手に入る商品のことで、尻尾とはネット販売で手
に入る商品のことだ。ネットのない時代は、尻尾の部分が表に出てくるはずはなかった。
書籍の場合は、頭部分の売り上げは市場の 70%を占めて、尻尾部分は 30%。言い換えれ
ば、市場の 30%の売り上げは、これまでの書店はつかめなかった。ここをつかんで成功し
たのがアマゾンということだ。
音楽市場ではさらに多く、売り上げの 50%を尻尾部分が占めることになるだろう。なぜ
なら、実際の CD ショップでは(一部のヒット CD しか置かないウォルマートの隆盛や米
タワーレコ―ドの倒産があるように)品ぞろえがどんどん狭まっているからだ。そのため
結果的に、ネット販売でしか手に入らない尻尾部分が長くなる。
※記者注:著書を読んだ感じでは、
「尻尾と頭では、どちらが上回るか」という論争には大
した意味がない。なぜなら消費者にとっては、ヒットもニッチも含めて「欲しいものが何
でもあるという確固たる信頼」
(著書より)がある店を選ぶからだ。著書では、新しい市場
では「ニッチとヒットの両方を抱えなければ成功できない。幅広い層で人気を集める商品
から無名の商品まで、品ぞろえを最大限広げる必要がある」という。ニッチ商品ばかりそ
ろえて失敗したのが MP3.com であり、ヒットからニッチまで幅広くそろえて成功したの
がアマゾンであり iTunes だった。
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「消費者はニッチ市場に向かっている」とい
Q: ヒットとニッチとの関係についてお聞きしたい。
う話が昔からあったはずです。だが、アマゾンや iTunes Store が登場した現在、ヒットとニ
ッチとの関係はどう変わってきたと思いますか。
昔からニッチ市場はずっとあったし、消費者の多様性も存在したはずだ。だが、市場がど
のぐらいの大きさかはつかめず、ニッチ市場は“可能性”にとどまっていたと思う。
以前の消費者は、限られた選択肢でしか、商品を選べなかった。我々が大ヒット商品や
ヒット商品を欲しがった理由は、本当にそれが欲しいからだというよりも、単にヒット商
品は「いつでも、どこでも手に入る」ものだからだった。だがネットが普及して、我々は
どんな商品でも手に入れられるようになった。そうすると今まで手が届かなかったものが
売れ出し、企業は「多様性は予想よりはるかに大きい」と気付いた。
今の時代はこのように、より広い視野で市場を見ることができるようになり、より多様
な消費者の趣味趣向に合わせて、流通システムを広げられるようになった。
企業は
企業は"テール"
テール"との競争
との競争を
競争を強いられる
Q: 例えば音楽小売りでいうと、(インディーズ音楽を配信する)マイスペースは、ロングテー
ル部分の流通を開拓したと考えてよいのでしょうか。
例えば、音楽の場合でベル・カーブ(鏡型曲線)を描くと、
中央の消費者グループに対して、ウォルマートが大ヒット
CD を供給する。その次のグループに対して、音楽スペシャ
リストのタワーレコードが専門的な CD を供給していた。
ここまでが、既存の音楽小売りだった。
それに対して iTunes Store は、世の中にある商業的な
音楽のすべてを、尻尾部分の消費者に向けて配信する。さ 音楽市場についてのベル・カーブ
らに SNS のマイスペースは、商業ベースでは流通しにくい
インディーズ音楽をも配信する。これがロングテールだ。
Q: ロングテール時代になると、グーグルやアマゾンのようなアグリゲーター(集積者、テール
部分にあるニッチ市場へ独占的に商品、サービスを供給するプレーヤー)が強くなると著書
に書かれていました。アグリゲーターが強くなると、CD ショップや書店などはグーグルやア
マゾンに負けてしまうのでしょうか。ロングテールによって、産業構造はどう変化しますか。
まず、デジタル市場はまだ小規模だということを認識すべきだと思う。アマゾンが押さえ
ているのは書籍市場全体の約 10%。iTunes Store などを含めたデジタル音楽ビジネスも、
まだ音楽市場の 10%未満。Netflix などのネット DVD レンタルも市場の 10%以下だ。ロン
グテールの話は、まだまだ小さな範囲で起きていることだ。ネット広告でさえ、おそらく
広告産業全体の 10%以下だと思う。従来のビジネスというのは、なかなか消えていかない
と認識することが重要だ。
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店も、ヒット商品も、レコードレーベルも、テレビ放送網も、出版社も、簡単には消え
てなくならない。ただし、競争は激しくなる。同業他社との競争だけでなく、ロングテー
ルとも競争する必要があるからね。「Wired」や「日経トレンディ」のような雑誌はこれま
で、他誌との競争を続けてきた。だが今ではそれに加えて、“ロングテールメディア”で
ある約 2000 万サイトものブログとも競争しなくてはならない。
それでは、我々雑誌のほうが消えつつあるのか? 私はそうではないと思う。2000 万の
ブログができないことを、雑誌がやるべきだということだろう。我々雑誌社の経験が違い
を作れるし、誌面では長い文章を載せられる。ぜいたくな写真の見せ方もできる。これは
オンライン上では簡単にできることではない。
新聞によっては、オンライン記事のほうがより良いこともある。新聞にとってはチャレ
ンジの時期だろう。音楽レーベルは、デジタル音楽のほうが、従来の CD の流通形態よりも
良いだろう。
印刷メディアでは、ロングテールとの競争が 90 年代に始まり、音楽業界のロングテール
との競争は、2000 年ごろから始まった。そして今現在は、テレビ業界が(YouTube に代表
される)ロングテールとの競争に突入している。
一方、書店にとってアマゾンはそれほど競争相手ではないはずだ。書店での購入は依然
として強く残っているし、人々はオンライン配信でなく、実物の本として読みたがってい
る。書店はそういう意味で今後もまだ安泰と思う。
今後 10 年、20 年で、ネット販売の市場は米国内のうち 15%ぐらいを占めるようにまで
なる。おそらくね。それでも、割合として大きいわけではない。
"フィルター"
フィルター"を提供できる
提供できる企業
できる企業が
企業が勝つ
Q: 書籍や雑誌などの既存の産業は、どうロングテールを取り入れてビジネスにしていけばよい
のでしょうか。
私はブログ「The Long Tail」において、ロングテールに関する説明
や理論を一般に公開しながら著書を書き進めた。書籍の発売前に、
ある程度内容を公開していたのだ。
このようにブログ上という“パブリックな”場所で本を書き進め
るというのは正しいやり方だと思う。書く内容も改良されるし、本
も(PR によって)売れるようになる。著書を出した後も広がりがあ
る。本に載せきれなかった出来事にも触れられるし、本を出した後
も話を続けることができる。
雑誌についても同じことだ。雑誌「Wired」にはブログもあり、いくつかの記事や編集記を
載せている。ブログにのみ載せている情報もある。
雑誌には幅広い分野の記事を載せる。テクノロジー、サイエンス、カルチャー、ガジェ
ット(小型電子機器)、ビジネスなどの分野だ。一方ブログは、すべての分野でなく、(ゲ
ームや Mac など)狭い範囲内に焦点をおいた話題を扱っている。幅広い話題を扱うのが印
刷メディアで、ブログは1本の線のように狭く深い話題を取り上げている。
ブログは個々のライターが、くだけた形で、1日複数に分けて小分けの、ほんの小さな
出来事について記事を載せられるメディアであり、それはあるべきものだと考えている。
5
Q: ウェブサイトでは掲示板やコメント欄などが一般的になっていますが、こういったユーザー
参加も“ロングテール”なのでしょうか?
ある意味では、それもロングテールといえるね。ネットによって、持論や意見などを分か
ち合おうとする聴衆が発見され、単体ではメディアとして成り立たない彼らの力を集める
と価値のある情報になる。そういう意味でこれは、マス・メディアに対する「ロングテー
ル」かもしれない。
しかし私は、ロングテールをすべての出来事に適用しないよう、注意している。そのた
めに私は「Web2.0」という言葉も使わないようにしている。この言葉はあらゆる事象に対
して適用されすぎ、私にとって何も意味を持たないから。もし私がロングテールという言
葉ですべてを説明しようとしたら、これも意味を持たなくなってしまう。自分のロングテ
ールの定義についても、常に批判的でいるようにしている。
Q: ロングテール時代で、生き残る企業と、そうでない企業の差は何か。勝者となる企業は、ど
んな企業なのでしょうか。
難しい質問だ。もちろん、そうシンプルなものではない。
おそらく、最も効率良く、多様性のある商品提供の方法
を見つけた企業が勝者になる。今後は、消費者の多様性、
幅広い選択肢に対応できない企業は負ける。人々は選択肢
が欲しいし、その選択肢を見つける手助けを欲しがってい
る。数多くの選択肢と、それらを選ぶためのきめ細かい手
助けを、検索やレコメンド機能のような「フィルター」に
今回取材した「Wired」編集部の風景
よって提供できる企業が最も成功するだろう。
Q: ロングテールの勝者になるための戦略とは?
う。
例えば小売業の場合はいかがでしょ
実店舗とネット販売を両方扱う従来型の企業には、効果的な戦略が2つある。一つは、ネ
ット販売と実店舗につながりを持たせて、仕入れ購買力を上げて商品を安く提供すること
だ。実店舗の消費者に対して、オンライン上のディスカウント価格で売る。あるいは実店
舗での購買パターンを使い、オンライン店舗の商品を推奨する手助けをすることができる。
こうやって実店舗がオンライン店舗の影響力を高めることができる。
もう一つ興味深いのは、ネット販売での検索やレコメンド機能、価格比較、ディープな
情報を、どうやって実店舗へ持ち込めばよいのかということだ。例えば店舗のキオスクに
検索端末を置いて、商品を探したりスマート・ショッピングカート機能が使えたらどうだ
ろうか。実際に、我々はネット販売で検索やレコメンド機能を使いこなし、ネットを駆使
して探している商品を見つけるよう訓練されている。実店舗がこうした我々の行動を、い
かに取り込んでいけるかが競争のカギになるだろう。
例えば百貨店に入ったときに、店内にある商品を“グーグル検索”できたらどうだろう
か? 興味深いところだ。検索はきっと必要とされるだろう。どのフロアに商品があるの
か、ほかの人々は何を探しているのか、他店との価格の違いは? ネット販売の購買パタ
ーンを実店舗に組み込むこともできるだろう。こうした情報が検索できる実店舗があった
ら興味深い。
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Q: ビジネスマンはロングテールの考え方をどう取り入れて、実際のビジネスに生かせば
よいでしょうのでしょうか。
小さい企業のビジネスマンは、ニッチ市場を見つけるべきだ。ニッチ市場を見つけ、その
なかで優位に立つこと。あまり手を広げすぎないようにすること。いかにニッチ市場にフ
ォーカスするか、差別化していくかにかかっている。
Q: それは、ロングテールによってニッチ市場を見つけやすくなっているから、その市場
をもっと掘り下げていけということなのでしょうか。
ニッチ市場を探すべき理由は、まずニッチ市場は限られたヒット商品の市場よりもたくさ
んあって見つけやすいから。次に、今はニッチな消費者を見つけやすくなっているから。
ニッチな消費者は世界中に見つけることだってできる。最後に、より大きい市場では、競
争が激しいからだ。
大企業がカバーする市場のさらに下に、ロングテールという新たな市場が存在すること
がわかったのだから、小さい企業のビジネスマンは、ウォルマートなどの大企業と競争し
ないほうがいい。大企業に忘れられているニッチな部分を狙うべきだ。
例えば私は大のレゴ好きなのだが、レゴのなかでもレゴマインドストーム(レゴでロボ
ットを作れるキット)だけにフォーカスして成功しているサイトもある。重要なのは市場
へのフォーカスの仕方、切り口なのだ。
Q: それでは大企業の社員は、ロングテール理論をどう生かせばよいのでしょう。
現実の社会では大企業でも、オンラインではあたかも小さな企業のように、ニッチな存
在のところが多い。大企業でもオンラインではニッチプレーヤーだと思う。
考えてみれば、大きい会社というのは多くの個人から成り立っている。それに、多種多
様の商品によっても成り立っている。これらの商品の一つ一つはニッチだ。大企業にいる
人々も、ニッチを見つけ出すこともできる。市場における大企業というのは、木々の集ま
った森のようなものだ。遠くから見ると、森のように大きな塊に見える。だが近くでみる
と木々のように、ニッチ商品やニッチビジネスの集まりで成り立っているのだ。
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