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議事録 (225KB)
研究評価委員会
「高温鉛はんだ代替技術開発」
(事後評価)分科会
議事録
日時:平成20年11月12日(水)
13:00 ~ 17:00
場所:コンベンションホール AP 浜松町 ルーム BC
(東京都港区芝公園2-4-1 TEL 03-5405-6109)
出席者(敬称略、順不同)
<分科会委員>
分科会長
成田 敏夫
北海道大学大学院 工学研究科 客員教授/名誉教授
分科会長代理 越智 光一
関西大学 化学生命工学部 副学長/教授
委員
新井 進
信州大学 工学部 物質工学科 准教授
委員
塚田 裕
アイパックス 代表
委員
縄舟 秀美
甲南大学 理工学部 機能分子化学科 教授
<推進者>
宗像 鉄雄
(独)NEDO
環境技術開発部 部長
唐沢 順市
(独)NEDO
環境技術開発部 主任研究員
江口 弘一
(独)NEDO
環境技術開発部 主幹
緒形 仁
(独)NEDO
環境技術開発部 主査
間瀬 智志
(独)NEDO
環境技術開発部 職員
<実施者>
菅沼 克昭
大阪大学 産業科学研究所 産業科学ナノテクノロジーC
清 紹英
(社)電子情報技術産業協会 特定プロジェクト プロジェクト担当
渡辺 聡
藤倉化成(株) 開発研究所 電子材料事業部 技術部 部長
菅 武
藤倉化成(株) 開発研究所 電子材料事業部 技術部
田中 俊明
日立化成工業(株) 実装材料・システム開発センタ 主任研究員
林 宏樹
日立化成工業(株) 実装材料・システム開発センタ
白井 恭夫
ナミックス(株) 営業本部テクニカルサポートG Gマネージャー
田代 敏哉
タムラ化研(株) 電子機材事業部 実装材料開発本部 研究員
-1-
教授 (PL)
田中 浩和
エスペック(株) 技術開発本部テストソリューション開発室 室長
苅谷 義治
芝浦工業大学 工学部材料工学科 准教授
<NEDO企画担当>
坂井 保之
(独)NEDO 企画調整部 課長代理
<事務局>
寺門 守
(独)NEDO 研究評価広報部 主幹
峯元 克浩
(独)NEDO 研究評価広報部 主査
森山 英重
(独)NEDO 研究評価広報部 主査
八登 唯夫
(独)NEDO 研究評価広報部 主査
広田 健
(独)NEDO 研究評価広報部 主査
山田 武俊
(独)NEDO 研究評価広報部 主査
岡田 桃子
(独)NEDO 研究評価広報部 職員
<一般傍聴>
参加者
4名
議事次第
<公開の部>
1.開会、分科会の設置、資料の確認
2.分科会の公開について
3.評価の実施方法
4.評価報告書の構成について
5.プロジェクトの概要説明
(1)事業の位置付け・必要性
(2)研究開発マネジメント
(3)研究開発成果
(4)実用化、事業化の見通し
(5)質疑
<非公開の部>
6.プロジェクトの詳細説明
(1)プロジェクト全体詳細説明(PL)
-2-
(2)高機能材料開発/高機能材料の実装技術開発
(藤倉化成、日立化成工業、ナミックス、タムラ化研)
(3)信頼性技術開発(エスペック)
7.全体を通しての質疑応答
<公開の部>
8.まとめ・講評
9.今後の予定、その他
10.閉会
議題1.開会、分科会の設置、資料の確認
事務局より資料 1-1、1-2 に基づき、本分科会設置についての説明があり、予めNEDO理事長
より指名された成田分科会長が紹介された。成田分科会長の挨拶の後、分科会委員、プロジェクト
の推進・実施部門、評価事務局の出席者が紹介された。事務局から配布資料の確認が行われた。
議題2.分科会の公開について
事務局より資料 2-1、2-2、2-3、2-4 に基づき、研究評価委員会関係の公開について説明が行わ
れた。また、本日の「議題6.プロジェクトの詳細説明」と「議題7.全体を通しての質疑応答」
については非公開とすることが了承された。
議題3.評価の実施方法
事務局より資料 3-1、3-2、3-3、3-4、3-5 に基づき、評価の実施方法について説明が行われた。
事務局からの提案内容を基本に本評価を進めることが了承された。
議題4.評価報告書の構成について
事務局より資料 4 に基づき、評価報告書の構成について説明が行われた。事務局からの提案を
基本にした評価報告書の構成が了承された。
議題5.プロジェクトの概要説明(質疑応答25分を含む)
推進・実施者より資料 5-2 に基づき説明が行われた後、質疑応答がなされた。
【成田分科会長】
ありがとうございました。ただいまのご説明に対しまして、ご意見、ご質問
等がございましたらお願いいたします。なお、技術の詳細につきましては、後ほど議題6で議論い
たしますので、ここでは主に研究の必要性、マネジメント、実用化の見通しなどについてご意見を
-3-
お願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【越智分科会長代理】
【成田分科会長】
そうしたら。
どうぞ。
【越智分科会長代理】
2点ほど。1つは、全体としては、一番最初のご説明にありましたけれ
ど、3Rということで、リユース、リサイクル、そういういわゆるサステイナブルですね。そうい
うものを念頭に置いてのお話ですね。
【緒形主査】
はい。
【越智分科会長代理】
お話としては、鉛を、いわゆる有害物質を使わないということですけれ
ども、有害物質を使わないイコール3Rにつながるとは限らないですね。有害物質は使ってなくて
も、リサイクルできない材料というのはたくさんありますね。この場合、このプロジェクトでは、
そのリサイクル性とかリユース性とかというのは、どの程度まで考えておられるのか。事業として
はどういう形で、どこまでそれをやろうとしておられるのかというのをお教えいただけませんでし
ょうか。まず1つ。
【緒形主査】
この高温鉛はんだを使ったときの循環型社会構築というような考えでよろしいで
すかね。
【越智分科会長代理】
そうですね。もっと具体的に質問しますと、技術的な話だから後のとき
にします。全体としては、今言っているような質問です。
【緒形主査】
先ほどもちょっと説明したのですが、3Rプログラムとしましては、環境配慮設
計、建築ストック3R対策、それから貴金属資源等3R対策というようなことでして、今回のプロ
グラムは、その中の1番の環境配慮設計の推進というようなことになっています。それで、一番最
初に説明しましたが、有害物質を含んだ製品というものは、一応(リサイクル)しにくいというよ
うな面と、環境汚染というような面がありますので、今回はその中で、この環境配慮設計というも
のを推進するために、この事業を行ったというような格好にしております。それとヨーロッパ対策。
RoHS対策等も入っているというようなことです。
【越智分科会長代理】
考え方としては、いわゆる有害物質を含んでいないという形でつくった
ので、何らかの形でのリユースとかリサイクルに、そこの面でプラスになっているという範疇で考
えればいいですね。
【緒形主査】
はい、そうです。
【越智分科会長代理】
【成田分科会長】
【塚田委員】
わかりました。
どうぞ。
2つ質問させていただきたいのですが、高温鉛はんだというのは、世界的に見ま
すと、量としてどのぐらいあるのでしょうか。実際に使われている量ですね。
-4-
【緒形主査】
ちょっとこの画面で説明しなければいけなかったのですが、この下のほうに、高
温鉛はんだ市場としましては、これは昨年度のデータですが、世界で6,000トンほど使用して
います。
【塚田委員】
わかりました。ありがとうございます。あと、2ページでちょっと質問させてい
ただきたいのですが。もう一つ前、失礼、今の。このチャートですと、実装温度というのは、使わ
れるとき、つくるときの温度ですね。下の横軸。
【緒形主査】
デバイスをくっつけるときの温度。
【塚田委員】
はい。それで、こちらの耐熱温度というのは、使われるときの温度ですか。耐熱
温度というのは、何が定義なのでしょうか。
【菅沼PL】
耐熱温度は2種類の意味がありまして、先ほどのリフロー耐熱というもの。これ
も非常に短時間、長い場合で大体10分ぐらい、何回かリフローをかけるという場合ですから、1
0分ぐらいもてばいいということ。それと常時、常用するという耐熱温度がございます。それに関
しては、導電性接着剤の図の中で縦に長く伸びたというのは、200℃、150℃ぐらいまで常用
でいけるというところを含んでいますので、その2つの意味を含んで、実際には重要ですので、微
妙にその辺は重なっています。基本的にはリフロー耐熱です。
【塚田委員】
リフロー耐熱ですから、やはりつくっているときの温度ですね。
【菅沼PL】
つくっているときの温度ですね。はい。
【塚田委員】
ですね。そうすると、信頼性試験をするような、使われるときの温度というのは、
ちょっと別の意味で信頼性試験のところに出てくるというように理解していいですか。
【菅沼PL】
そうですね。はい。
【塚田委員】
わかりました。
【成田分科会長】
どうぞ。
【縄舟委員】
14枚目のこれですが、左の図はZn-Snの合金。
【菅沼PL】
はい。
【縄舟委員】
それから、右のほうで、これはペースト化して導電性接着剤としての使用を検討
されたのでしょうか。
【菅沼PL】
これは導電性接着、はい。
【縄舟委員】
それの材料というのは、やはり同じ Zn-Sn 系合金ですか。
【菅沼PL】
これは従来の銀系に近い、銀エポキシ系の導電性接着剤です。
【縄舟委員】
Zn-Snでペースト化したという意味ではないわけですか。
【菅沼PL】
違います。こちら側が金属系の代替材料。これはここに線が引かれまして、別々
のものです。
-5-
【縄舟委員】
わかりました。
【成田分科会長】
【新井委員】
どうぞ。
よろしいでしょうか。今回のこのプロジェクトなのですけれども、諸外国でも似
たようなプロジェクトをされているとは思うのですが、それと比べると、何か特徴的なものとか、
または、やった時期ですね。非常に時期的に早く何か目的を達成できたとか、その辺のところはい
かがなのでしょうか。
【菅沼PL】
高温はんだ、金属系と導電性接着剤系と分けないといけないと思いますが、導電
性接着剤に関しては、1990年代の中ぐらいにヨーロッパで、大きなプロジェクトというのでは
なくてコンソーシアムが組まれまして、産業界、大学も入りましたけれども、産学協同で行われま
した。ただし、その中からは、高温はんだ代替に使えるものの汎用的なものは出てきませんでした。
無理だという判断です。というのは、実際の導電性接着剤の導通メカニズムがわからないので使え
ないというのが一番大きかったようです。あるいは、すずとの相性が悪いであるとか、課題が多過
ぎたということです。
それと、金属系のはんだのプロジェクトというのは、このプロジェクトが開始された次の年から、
欧州連合でコスト65何番という番号がつきまして始まっております。これは5年間のプロジェク
トで長いものです。欧州の40ぐらいの大学と、それぞれの国の産業界から企業が参加しまして、
ペアとなってそれぞれで取り組むという形です。これは金属系に集中しているものですが、合金開
発が進んでおりまして、これは私の個人的な見方ですけれども、合金開発では種は尽きていると感
じておりまして、彼らの開発は、新しい合金元素をどんどん加えるという形で状態図を設計しよう
と。これはご存じのように、無理なところにきているのですね。むしろ見方を変えた高温はんだの
ダイアタッチなり、あるいは自動部品の内部接続というのを考えないといけないというところがご
ざいますので、そういうところで信頼性とプロセス、両方の観点からの開発が必要であると思って
います。
彼らはまだあと2年ほど残っておりますので、そこから最終的にどういう結論を出すのかという
のは見ないとわかりません。ただし、法律がもうできようとしておりますので、そこのところは彼
らも焦るのではないかと思います。そういうところで、我々はどんどん今回の技術、導電性接着剤
の新しい形と金属系というのを提案できていますので、日本の技術をアピールできる状況になって
いるのではないかと思っています。
【新井委員】
わかりました。
【越智分科会長代理】
【成田分科会長】
いいですか。
ええ、もちろんどうぞ。まだまだ時間はございます。
【越智分科会長代理】
いろんなご検討をされているというのは、よくわかるのですね。要は、
-6-
いろいろな金属の組み合わせを検討されるところから、実際には導電性の接着剤にするやり方、そ
れから、信頼性。それぞれに分担されて、このメンバーでやられているということなのだと思うの
ですが、現実に、要はその基礎技術を生かして、こういう形の新しい導電性接着剤をつくり、それ
の信頼性の評価を行いというような、組んだグループがずっと1つのテーマで最後までいったとい
うものは、現実にはどういう系なのでしょう。どれがあるのでしょう。あるいは、それはまだここ
までで止まっているという状態なのでしょうか。その辺、全体像としてお聞かせいただけますでし
ょうか。
【菅沼PL】
個々の内容の中では、そういうものもございます。この後少しまた紹介させてい
ただければと思います。ただ、すべてがすべて初め計画したように、基礎がわかって、その基礎を
もとに新たな材料設計ができているというところではなくて、同時に並行して進んでおりますので、
導電性接着剤メーカーさん各社、それぞれの独自の技術開発というので、いい材料というのを提案
いただいていると思います。
【越智分科会長代理】
【成田分科会長】
【塚田委員】
ありがとうございます。
ほかにいろいろご質問お願いします。どうぞ。
済みません、最初の質問の続きになるのですけれども、スライドを拝見した限り
では、使われる温度に関して出てくる温度は、このスライドの125℃というのが最高温度だとい
うように理解してよろしいでしょうか。
【菅沼PL】
いえ、導電性接着剤に関しては、150℃という信頼性評価をやっておりますの
で、導電性接着剤系では150℃……。
【塚田委員】
150℃が使われる際の最高温度ということですか。
【菅沼PL】
今回評価した中ではそうです。もっと上にいけるとは思っております。
【塚田委員】
わかりました。例えば、車のエンジンルームの中で、300℃に耐えるというよ
うな耐熱性という意味ではないわけですね。
【菅沼PL】
実は、できております。こちら側のはそうです。
【塚田委員】
わかりました。それは後ほど、技術のほうで。
【菅沼PL】
後ほど紹介いたします。
【塚田委員】
わかりました。ありがとうございます。
【成田分科会長】
私も質問していいですか。事業化の見通しといいますか、これからのことに
ついて、最後のほうの2枚目のOHPを出していただいて。多分導入時期が、2012年、14年
でいけるでしょうと。今は2008年ですけれども、そこに導入時期を持っていく間に、何をなさ
なければいけないというように考えておられますでしょうか。
【菅沼PL】
こちらとこちらと分けていきますと、金属系に関しては、一応これに絞っていけ
-7-
るはずだと。相当の範囲がいけるというところで提案は、今、やられておりますので、これが各社
――各社といいますのは、高温はんだを使うアプリケーションというのは、非常にバラエティーに
富んでおります。それぞれに要求項目もまた違うわけです。ですから、そこでこの合金系だけでは
いけないところは、もちろんこちらの新しい技術、あるいはこちらの新しい技術とこちらを補完す
るという、それを実際に証明しないといけません。実証しないといけないというところで、現在も、
例えば金属系の半導体メーカーさん何社かで、これは少しやはりまとまって評価をしないと、各社
個々では難しいかなというところで話を始めたところです。そういうところで、おそらく少し、こ
の時期までは実証実験の段階というのがあると思います。特に車の場合には、信頼性評価というの
は非常に時間がかかるというのはわかっておりますので、その辺は急いで評価しないといけないと
いうところだと思います。
【成田分科会長】
【新井委員】
わかりました。ほかには。どうぞ。
事業化にかかわるところなのですけれども、このプロジェクトで、幾つかパテン
トを出されているかと思うのですが、その辺は外国とかの国際パテントみたいなもの、パテント戦
略みたいなものは、何かされているのでしょうか。どこかに積極的にパテントを出していくという
ようなことは。わかる範囲で結構ですが。
【菅沼PL】
ご指摘のように、非常に国際的なところが重要ですので、国内だけではなくて、
国際化をしようというところで、現在、全部ではないにしても、それぞれの個々のところでいかに
国際化ができるかということで検討しております。
【新井委員】
わかりました。
【塚田委員】
このスライドで結構なのですけれども、樹脂系の話と金属系の話が、先ほどちょ
っとご説明にありましたけれども、その両者で使われる温度が違うという線をお引きになっている
わけですか。
【菅沼PL】
使われる温度……。
【塚田委員】
信頼性の話にいくと、どうしても信頼性というのは、使われるときの温度が何度
であるかというのが一番のキーになりますけれども、その意味で、樹脂の話と金属の話が両方出て
きているのですけれども、使われる温度は、例えば、高温の金属系のはんだだと、先ほどの何百℃
という温度であって、樹脂系のものは最高が150℃だというような、そこに線をお引きになって
いるのかどうかという。
【菅沼PL】
高温のはんだというのは、実際の実装温度が高いわけです。これは300℃を超
えます。こちらは低温でつけて、しかも高温に使えるというものです。使用環境というのは、ご質
問の意味はわかるのですが、同じところで、同じレベルでも使えますが、こちらは150℃という
のがまず1つ目のターゲットにしておりまして、こちらは別に150℃にはこだわらなくて、十分
-8-
もちますので、おそらくこの場合には、200℃以上はだめなのですが、200℃以下であれば十
分使える接続材料です。
【塚田委員】
そうすると、このプロジェクト全体として、使う温度はある温度範囲ということ
を想定して、信頼性の評価をされているわけですか。
【菅沼PL】
信頼性の評価は、こちらの金属系とこちらは全く別に行っております。こちらは
導電性接着剤の評価技術ということで、従来のはんだ接続に類似の評価方法、どこまで通用するか
というところと、さらにその上の温度範囲、150℃というところを目標にしておりまして、こち
らは特にダイアタッチのところで必要な温度サイクル条件というのを想定して……。
【塚田委員】
一般的にダイアタッチをしてつくった後は、信頼性的にいうと、ほとんど問題が
ないということですか。
【菅沼PL】
問題ないです。全く150℃ではびくともしませんので、こちらは問題ないです。
【塚田委員】
わかりました。ありがとうございます。
【越智分科会長代理】
お教えいただきたいのですけれども、6枚目の図面の一番下の意味がよ
くわからないので。ここに、「導電性接着剤の高温はんだ代替への展開+金属はんだの可能性」と
いうように書かれているのですけれども、これはある条件では、導電性接着剤で代替するし、ある
条件では、金属はんだで非常にいいものを目指すというような意味なのでしょうか。「+」と書い
てあるのが、条件で使い分けるという意味で両方開発するという、そういう意味で書いておられる
と思えばいいのですか。
【緒形主査】
はい、そうです。高温鉛はんだの代替技術というようなことで、導電性接着剤と
金属系の鉛フリーはんだの両方の技術開発といいますか、両方の可能性を追求して、国際競争力を
強化するというような意味でございます。だから、条件によっては両方という格好になります。
【越智分科会長代理】
先ほどの話と関係してくるかと思いますが、非常に高温で使うとかいっ
たら、金属はんだの開発したものがそれに対応できるであろうし、そうでなくて、低温での接着と
かそういうことを考えた場合には、それは使えないので、それを補完できるような導電性の接着剤、
そういう用途にはこっちのほうで開発してあるものを使えるように持っていくのだという目的だと
いうように解釈すればいいのですね。
【緒形主査】
先ほど菅沼先生もおっしゃられていましたが、導電性接着剤も高温域まで使用で
きますので、その用途によって補完し合いながら両方使うというような格好と、私は理解しており
ます。
【越智分科会長代理】
【成田分科会長】
【縄舟委員】
はい、わかりました。
どうぞ。まだ時間がございます。
材料的なことで少しお尋ねしたいのですが、金属、亜鉛とスズの合金ということ
-9-
になりますと、やはり一番亜鉛の耐酸化性ということが非常に気になる点です。それからもう1点
は、例えば、亜鉛-30Snの合金の場合、例えば、260℃にすれば、すずと亜鉛のイーター層
はもっと低い温度で液化しませんか。
【菅沼PL】
すずと?
【縄舟委員】
スズ-亜鉛のイーター層、いわゆる共晶のところです。それは非常に低いですか
ら、そこの部分については、金属の中で液化して、金属の骨格のところは残るという、そういう考
え方でよろしいのですか。
【菅沼PL】
後半のお話ですけれども、これはここにバリア層を設けています。カッパー
(銅)と亜鉛は直接接しないようにしていまして、これがないと、おっしゃるように確かにここに
化合物ができまして、これは温度サイクルにも非常に弱いです。弱いといっても、大体劣化はPb
-Snと同じぐらいで落ちてきます。これはそれをとめるためにバリア層、こちらは必要ないので
すけれども、こちらも両方ともバリア層をつくっておりまして、2,000サイクルかけた後です
けれども、全く組織的な変化はありません。これは両方セットにならないと、多分なりません。
1つ目のご指摘の酸化ですね。おっしゃるように、亜鉛は非常に酸化しやすいので、特に高温高
湿環境で、Sn-Zn系のはんだというのは、酸化に弱いということが大きな弱点になっています。
これは低融点のはんだ、組成としては亜鉛が9%ぐらいなのですけれども。その問題は、我々も長
年取り組んでおりますので、メカニズムもすべてわかっておりまして、一番懸念したのはその点で
す。それを確認しましたところ、亜鉛が多いところになりますと、例えば85℃、85%という非
常に厳しい条件でも、1,000時間たっても、表面から酸化されるのは10ミクロンに至らない
数ミクロン。亜鉛の多いところは、ほとんど高温高湿で劣化しないということがわかりました。そ
ういう意味で、ある程度露出された環境でも、これは十分耐え得ると思っております。
あと、通常はこれはパッケージにされますので、モールドされた形になれば、もっと安定になる
だろうとは思っております。それはまだこれから、パッケージにした形での評価というのはするこ
とになると思いますけれども、現状では、一応耐酸化性も十分であると思っています。
【成田分科会長】
よろしいですか。私から1つお聞きしたいのですけれども、今、鉛フリー、
いわゆる高温鉛はんだ6,000トン、それを今の導電性接着剤でかえていくと。これから多分、
後で話が出てくる、銀粒子を使うとかそういうときに、今度は例えば銀の生産トン数とか、そうい
うのからいったときに、対応できるのかどうか。その辺について、どういうようにお考えでしょう
か。
【菅沼PL】
おっしゃるとおり、確かに銀というのは、無限にある資源ではございません。耐
用年数というのが、大体元素に関しては調べられておりますが、銀に関しても調べております。た
だ、銀だけが突出して資源的な問題があるというわけではないので、それは亜鉛並みであると思っ
- 10 -
ています。
もう一つ、銀というのは人間の有史以来使われてきた貴金属の代表選手ですので、地球上の8
0%は掘り起こされているのだそうです。リサイクルする部分というのは、そういう意味ではふん
だんにあるのではないかと期待しておりますが、その辺はまた十分に調査しないといけないと思い
ます。
【成田分科会長】
【新井委員】
わかりました。ほかに。
導電性接着剤について、ちょっと教えていただきたいのですが、この場合、接続
する相手の材料、金属は、このプロジェクトでは主にどの金属を想定して進められたのでしょうか。
【菅沼PL】
相手材は、電極となり得る一般的なものは大体含めて――それほどたくさんでは
ないですが、もちろん銅とすずと金とニッケルですね。その辺を含めて評価を行っております。
【新井委員】
ありがとうございました。
【成田分科会長】
ありがとうございました。たくさんのご意見が出ましたが、ほかにもご意見、
ご質問があろうかと思いますが、本プロジェクトの詳細内容につきましては、この後に詳しく説明
していただきますので、その際、またご質問をいただくことといたします。
なお、後半のプロジェクトの詳細説明につきましては、知的財産権の保護の観点から非公開とな
りますので、一般傍聴の方々にはご退席をお願いいたします。休憩に入ります。
(休憩)
<非公開の部>
議題6.プロジェクトの詳細説明(質疑応答70分を含む)
非公開のため省略
議題7.全体を通しての質疑応答(質疑応答20分)
非公開のため省略
<公開の部>
議題8.まとめ・講評
【成田分科会長】
よろしいでしょうか。それでは、議題8、まとめ・講評に入りたいと思いま
す。本日の分科会全体を通しまして、各委員の皆様から講評をいただきたいと思います。縄舟先生
から、どうぞよろしくお願いします。
【縄舟委員】
テーマにつきましては、やはりRoHS関係で、高温の非常に鉛の多いはんだが
- 11 -
使われている。それが使われているのだけれども、規制対象外になっているという不条理なことが
現実に行われているわけで、それを解決するプロジェクトというのは、非常に大事なことだと思い
ます。テーマそのものは非常に大事だと思います。それから、方向性もそれでいいのだと思うので
すが、ただ、材料メーカーさんの説明の中といいますか、そのターゲットが、やはり我々には非常
にわかりにくい。あまり明確にされていないのではないか。そこが少しわからない部分として残っ
ております。以上です。
【塚田委員】
ご説明どうもありがとうございました。いろいろ各社の方々、開発されて、それ
ぞれ特徴のあるものが出てきて、有望だなというのもあるのですけれども、私も、質問のところで
申し上げましたように、やはり耐熱性というのは2種類ありまして、リフロー耐熱性と信頼性上の
耐熱性です。今、信頼性上の耐熱性に関するスコープがあまりよく見えていなかったので、実際に
は試験をされているようなのですけれども、その辺のところも、スコープを全体を見せていただい
て、この部分ができていて、この部分がこれから先というような形でご説明いただければ、より良
かったのではないかと思います。
【新井委員】
たしかNEDO事業で、最初に鉛フリーはんだという形でやられたのが、199
8年から2年間行われまして、そのときは私もいろいろ参加させていただきましてやらせていただ
いたのですが、それでちょうど10年後、そのときからずっとどうなるのだろうと思われていた高
温鉛、高温はんだの代替技術が大分現実的に見えてきたということで、大分煮詰まってきたなとい
う感じはあります。
あと、これはちょっと講評にならないのですけれども、資料を全般に見させていただきまして、
めっきの表記が片仮名の「メッキ」と平仮名の「めっき」が常に混在していまして、できれば平仮
名の「めっき」に統一していただけますと、めっきをやっている者としてはありがたいなというこ
とだけ、ちょっとつけ加えさせていただきます。以上です。
【越智分科会長代理】
まずは、ご説明いただきましてありがとうございました。こちらのほう
があまりわからない部分とか、そういうのがいろいろありまして、とんちんかんな質問をしたかも
しれないと思います。ただ、全体として、大学のご発表は、ある意味非常によくわかりました。多
分、何も隠さずにみなしゃべっておられるからだと思うのですが、企業のご発表というのは、ポイ
ントになるところをしゃべっておられないというのが結構あるのではないかと思うのです。聞いて
いてどこがポイントで、どこが新しいのかというのがよくわからないというのが、結構中に混じっ
ていたように思います。こういうところで我々のほうに言えないということはあるのかもわかりま
せんが、やはりある程度は出していただかないと評価にならないという感想を持ったものもありま
す。すべてではありません。持ったものもありますというのが、私の感想です。
【成田分科会長】
ありがとうございました。
- 12 -
会長の私がよろしいのですか。それでは、最後に。本日は、いわゆる鉛フリーということで、こ
れは世界的な大関心事でありまして、いわゆる鉛フリーはんだから、今回ご提案されている導電性
接着剤による、非常に新しい分野。これは世界的にも、多分最初に走っているフィールドではない
かなと思います。今回お聞きしまして、大学、企業、NEDOさんという形で非常に広範に、基礎
から応用までやられているなと、大きな発展性があるというように感じました。これからの発展を
期待しております。
それで、個人的には私も大学の人間ですので非常に興味を持ちましたのは、菅沼プロジェクトリ
ーダーの言われた、例えばある部分、局部的に溶融させておいてとか、それから、ナノ粒子を入れ
て局部的に溶かして接合してと、そういう構造の提案、大変私も興味を持ちました。それから、今
回はあまりお話がなかったのですが、メタマテリアルというのは、ぜひ展開させてほしいなと思い
ます。これは新しいはんだのいろいろな材料につながっていく可能性もあろうかと。これは直接、
今回のプロジェクトではないのですけれども、非常に私は興味を持ちました。
それから、もう一つですが、やっぱりこれはグローバルなことを考えると、特許といいますか、
ノウハウといいますか、その管理はきちっとされたほうがいいかなと、私自身もいろいろ別のプロ
ジェクトで感じているところであります。それから、標準化試験は、日本国内での標準化云々のみ
ならず、やっぱり世界のリーダーとして、世界的な標準化にこれをつなげていってほしいなという
感じを持ちました。今回のプロジェクトの講評ではないのですけれども、いろいろそのようなこと
を感じた次第です。どうもありがとうございました。
議題9.今後の予定、その他
事務局より資料 8 に基づき今後の予定について説明がなされた。
議題10.閉会
寺門主幹から挨拶があった後、閉会した。
―― 了 ――
- 13 -
配布資料
資料 1-1
研究評価委員会分科会の設置について
資料 1-2
NEDO技術委員・技術委員会等規程
資料 2-1
研究評価委員会分科会の公開について(案)
資料 2-2
研究評価委員会関係の公開について
資料 2-3
研究評価委員会分科会における秘密情報の守秘について
資料 2-4
研究評価委員会分科会における非公開資料の取り扱いについて
資料 3-1
NEDOにおける研究評価について
資料 3-2
技術評価実施規程
資料 3-3
評価項目・評価基準
資料 3-4
評点法の実施について(案)
資料 3-5
評価コメント及び評点票(案)
資料 4
評価報告書の構成について(案)
資料 5-1
事業原簿(公開)
資料 5-2
プロジェクトの概要説明資料(公開)
資料 6-1
事業原簿(非公開)
資料 6-2
プロジェクトの詳細説明資料(非公開)
資料 7
質問票
資料 8
今後の予定
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