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欧米における組織、日本型組織
プロジェクト・マネージャー育成講座 Project Manager Training Course イノベーション創出に向けた産学官連携概論 Introduction of Industry-Academia-Government Cooperation for Innovation” 第2章:産学官連携の 章:産学官連携の構造 章:産学官連携の構造 Structure of Industry-Academia-Government Cooperation 第1節 産業技術研究組織:欧米における組織、日本型組織 Organization of Industrial Research : Europe, USA and Japan 荒磯恒久(北海道大学産学連携本部・特任教授) Araiso,Tsunehisa (Hokkaido University, Center for Innovation and Business Promotion, Professor) 23, Jan. 2013 1 産学官連携とは What is Industry-Academia-Government Cooperation 産学官連携の目的: 科学技術の研究成果を基盤とする経済・文化の活性化 Aim of Industry-Academia-Government Cooperation : Science-Based Activation for Economy and Culture 産学官連携活動: 上記の目的を達成するための諸活動 Activity of Industry-Academia-Government Cooperation : All Efforts to Complete the Aim 2 イノベーション About Innovation ☆ワットが蒸気機関を作ったのは : 発明(1776) Steam Engine by James Watt : Invention ☆リチャード・トレビシックが蒸気機関車を作ったのは : まだ発明 (1802) Steam Locomotive by Richard Trevithick : Still Invention ☆ジョージ・スティーブンソンが線路を敷いて駅を作り、 人や物資を輸送して : はじめてイノベーション (1830) Railroad by George Stephenson : Innovation ☆中国語では「創新」 3 蒸気機関の実用化と蒸気機関車 アレキサンドリアのヘロン(10 アレキサンドリアのヘロン(1010-70? 70?)の図 スティーブンソンの「ロケット号」(1829 スティーブンソンの「ロケット号」(1829) 1829) ワットの蒸気機関(17 ワットの蒸気機関(1776 1776) 76) ペリーが幕府に献上した蒸気車の図 4 1830年にリバプールとマンチェス ター 間56kmを結んだ鉄道は瞬く 間にヨーロッパとアメリカに広がり、 1869年にはアメリカ大陸を横断す るに至った。 鉄道から得られた利益は鉄道会 社より、はるかに産業界に大き かった点がイノベーションの本質 を示している。 イノベーションには新技術がポイ ントになるケースが多く、それらの 技術が特許化されていることも事 実であるが、それらの技術を経済 活動に結びつけなければイノベー ションとは言えない。 5 イノベーションのスパイラルモデル 概念設計 市場開発 研究開発 試作 市場開発 研究開発 試作 市場開発 応用研究 基礎研究 研究サイドから見た イノベーションフロー 試作 開発研究 生産 (商品化) 販売企画 販売 社会のニーズ 科学技術のののの蓄積 商品アイディア 研究開発 事業化 (産業技術化研究) (実用化研究) 6 Idea, Concept Marketing Production Development Trialproduction Marketing Planning Development Trialproduction Marketing Innovation sequence from a view point of Academic Site Applied Research Development Research Sales strategy Sale Needs of Society TrialDevelopment production Commercialization Basic Research Science, Technology Spiral Model for Innovation 7 ヨーロッパにおける産学官連携組織 Organization for Industry-Academia-Government Cooperation in Europe 8 アイルランド 9 Governmental Supported Ecosystem Minister, Sean Sherlock Department of Jobs, Enterprise and Innovation Ambassador, John Neary Minister for Research & Innovation Irish Enterprise World-Class Research Policy Analysis And Advice 2012年10月29日アイルランド機能性食品ミッションワークショップ の講演資料を参考にして荒磯作成 Inward Investment 10 Enterprise Ireland is the government organization responsible for the development and growth of Irish enterprises in world markets. We work in partnership with Irish enterprises to help them start, grow, innovate and win export sales on global markets. In this way, we support sustainable economic growth, regional development and secure employment. Enterprise Ireland HP より 11 12 Technology Transfer Office テクノロジー トランスファー オフィス イノベーション 研究 献身 起業家精神 ひらめき 交流 13 コンセプトの検証 製品開発 アイディア 創出 商業化準備完了 ビジネス アナリシス テスト 製品開発 試作 販売戦略 販売戦略+ 妥当性の確認 ビジネス立ち上げ 投資が必要 ビジネスパートナーが必要 共同研究者/ライセンシーが必要 共同研究者 ライセンシーが必要 14 15 二つのセンター 官と産の連携~二つの異なるモデル~ Public Research Organization アイルランド科学財団 アイルランド商務庁 16 17 Food for Health Ireland 健康への様々な要求 乳の高品質化 バイオアッセイ 食品化 介入試験 要請 マーケティング 販売 スケールアップ 高機能化 18 Teagasc 政府系の食品研究機構 MTL 3,000㎡以上の超近代的なパイロット施設 Industry) BioScience Technology Moorepark Food Mooreparkは、コーク市街から約50km Teagasc(チャーガスク)、FHIもMoorpark内 に拠点を構え、大学の教員も出向。 研究成果の実証試験をon timeに検証できる体制 が構築されている。 19 開発研究の4つのディメンジョン (Teagasc) 4 Dimensions of RDI in the Food Sector 成果 Results Open Low to Moderate Closed Commercial Deployment リスクと 必要な 資金 Market Introduction Risk & Capital need ビジネス 価値創造と 競争力 Value creation & Competitiveness Product Development Applied Research Basic Research 人類共通 Society High Time Horizon >5 years 1-5 years 時間 <1 year 20 研究 VS. 開発 Research Versus Development The R:D Split 「研究:開発」の分割 Time to product >5 years 1-5 years Basic Research Applied Research <1 year Product Development R&D 95:5 R&D 5:95 R&D 40:60 R&D 75:25 R&D 0:100 21 University College Cork Eddie Hughes, EI Prof. Gerald Fitzgerald, PhD., D.Sc. ,UCC Prof. Colin Hill, PhD., D.Sc. ,UCC Dr. Sally Cudmore, APC Teagasc Dr. Catherine Stanton, Teagasc Prof. Paul Ross, PhD., D.Sc. Teagasc 22 アイルランドの乳業メーカー”glanbia”によるホエーの高付加価値化 ホエー 1970年代:豚の餌 1980年代:ボディビルダーが利用 1990年代:一流アスリートのタンパク補給剤として利用 2000年代:一般のスポーツマンが利用 2010年代:一般の人が利用:ヨーグルト、焼き菓子 カナダに輸出 23 オランダ 地域の特色を活かし、 集中的に発展させる。 地域の成果を結集して 国家の活性化を図る。 24 Dr. Anne Mensink 競争的研究 企業 前競争的研究 Contract Research Organization 応用研究センター Dr. Bernold Kemperink 応用研究 大学 基礎研究 25 フィンランド・オウル Finland Oulu Univ. of Oulu VTT 1995年のOulu Tec. 1995年の Oule Technopolis Ltd. 製品化の企画 Planning for commercialization 2003年までの発展 26 資金( 資金(民間系) 資金( 資金(官系) 商品化 地域システム リエゾン機能 企業支援 産業技術化研究 基礎研究 VTT 国による産業化 システム 27 28 29 30 USAにおける産学(官 連携組織 における産学 官)連携組織 Organization for Industry-Academia (-Government) Cooperation in USA 31 シリコンバレーにおける産学連携ー事業化のシステム 事業化 エンジェル、ベンチャーキャピタル ビジネススクール インキュベーションプログラム リエゾンオフィス: 企業からの委託研究や寄 付の受け付け。 産業界からのニーズに対 応し「 応し「技術指導」「 技術指導」「ライセ ンス供与」「 ンス供与」「研究者によ るコンサルティング」な どを行う。 産業技術研究 OSR: Office of Sponsored Research 受託研究契約をサポート TLO: Technology Licensing Office 技術移転、マーケティング 大学の研究 研究マネージメントシステム 1.大学・学部の研究分野の方向性の指示、評価 2.学部、研究室、研究者に対する経済的自立の要請 3.教授、研究者、スタッフの採用、昇進に関する人事評価システムと 金銭的インセンティブ 4.教授、研究者の産学連携を支援する大学のサポートシステム Technology-based Economic Development の風土 32 メリーランド大学 Mtec オープン・ラボ Open Laboratory 33 メリーランド大学の産学連携施設 Mtech 34 National Science Foundation (Washington) 35 2013年からの新たな施策 として、: 6か月で使う、5万$(500 万円)を立ち上げ時のベン チャーに補助する。6か月の 間にパートナーを探す。 36 日本における産学官連携組織 Organizations for Industry-Academia-Government Cooperation in Japan 37 大学:北海道大学の産学官連携システム 北海道大学 管理運営組織 総長 理事会 産学連携本部 事務 教育研究組織 ◆知的財産管理 ◆リエゾン(ネットワーク) 学部 企業 大学院 創成研究機構 附置研究所等 附置 ◆共同研究等 地方自治体, 地域産学官連携組織、研究組織 38 University : Cooperation System at Hokkaido University Hokkaido University Management section President Executive Office Secretariat Center for Innovation and Business Promotion Education and Research section ◆Intellectual Properties ◆Liaison (Networking) Faculties Companies Graduate Schools Creative Research Institution Research Institutes ◆Cooperative Research Local Government, Local Administrative Organization, Institutions 39 産学連携本部の活動 ~代表的な例~ 企業への技術移転 特許取得 支援 共同研究 プロジェクト 研究形成 産学連携本部 研究者探索 産学連携本部 特許取得支援 研究者 発明 企 業 技術相談 企業と研究者の マッチング 共同研究 企業探索 企業への技術移転 ベンチャー起業支援 40 Problem, New Idea, etc. Search for suitable researcher CIBP Researcher Invention Support to secure intellectual property Support to secure Intellectual Property Formation of collaboration with company Organize to Venture Business Organize to Collaborative Project Company Technology transfer CIBP Formation of collaboration Technology transfer Function of “Center for Innovation and Business Promotion (CIBP)” 41 日本における代表的な産学官連携組織 (北海道を例に) Typical Organizations for Industry-AcademiaGovernment Cooperation in Japan (Examples in Hokkaido) 42 コラボほっかいどう 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター (ノーステック財団)による運営 ● 研究開発支援事業 (オープンラボ、資金援助) ● 産業クラスター形成事業 ● 産学官連携事業 43 Collaboration Hokkaido Managed by "Northern Advancement Center for Science & Technology (NOASTEC)", a regional foundation. ● Provide Laboratories for Industries to Create New Production ● Promote Industry-Academia Cooperation Project ● Support with funding 44 北海道立総合研究機構 工業試験場 地方独立行政法人が運営する「試験研究機関」 ● 地域企業への技術支援 ● 地域企業との共同研究 ● 地域ニーズに応える先端研究 ● 地域企業と大学の架け橋 45 Hokkaido Research Organization Industrial Research Institute Regional Corporation for Development of Industrial Technology ● Support Technology Development for Regional Companies ● Collaborative Research with Regional Companies ● Perform Advanced Researches for the Regional Requirement 46 北大 ビジネス・スプリング 中小企業基盤整備機構による ビジネス・インキュベーション施設 ● R&D企業とベンチャー企業を中心とした施設提供 R&D企業とベンチャー企業を中心とした施設提供 ● 企業育成のためのマネージメント支援 ● 事業化・ベンチャー起業を目指す 研究へのラボ提供 47 Hokkaido University Business Spring A business incubation facility managed by “Small and medium Enterprise Agency (Japan)” ● Provide Laboratories for R&D and Venture Companies ● Consulting of Business Management by Incubation Managers 48 日本における代表的な産学官連携組織 (産総研:産業技術総合研究所) Typical Organization for Industry-AcademiaGovernment Cooperation in Japan (National Institute of Advanced Industrial Science and Technology) 49 50 51 52 学術研究と産業技術研究の関係 リニアーモデルと併行モデル (丸山瑛一氏より) 【リニアーモデル】 基礎研究 応用研究 製品開発 大学 独法研究所 企業研究所 企業 【併行モデル】 製 品 開 発 基 礎 研 究 53 日米欧の比較と我が国の取るべき方向性 Characteristics of Japan as Compared with Europe and USA 54 FHIの活動:日本では? の活動:日本では? Food for Health Ireland 健康への様々な要求 乳の高品質化 バイオアッセイ 食品化 介入試験 要請 マーケティング 販売 スケールアップ 高機能化 農水省 文科省 農研機構 大学 厚労省 病院・保健所 文科省 大学 農水省 文科省 農研機構 大学 厚労省 病院・保健所 経産省 食品メーカー 55 我が国と欧米の産学官連携体制の相違 ◆ヨーロッパでは、企業活動と大学等の基礎研究の間に「産業科学技術研究」 を明確に目的とし、世界的な研究者を配置した研究機関があるが、我が国で は不十分である。 ◆アメリカでは大学の活動が産業界に近い部分まで広がっていて、産業化をサ ポートする機関が機能している。我が国では類似の機関はあるものの、機能 させることは困難である。 我が国に必要な力と、その力を発揮させる方策 ◆我が国では、大学・研究機関と企業研究部署が優れた研究を行なって おり、その力は欧米に遜色ない。 ◆すでにある施設や機能をコーディネートする力 ◆社会ニーズと科学技術の蓄積から商品アイディアorコンセプトを創出する力 ◆社会ニーズと科学技術の蓄積から商品アイディア コンセプトを創出する力 ◆創出された商品アイデアを、科学技術を基盤として実体に持っていく力 ◆アイディアの創出から、ビジネス化までを一貫しマネージメントする力 → コーディネーター、プロジェクトマネージャーの育成 → 資格化等による社会的地位、プロジェクトにおける地位の向上 → 優れた人材を活用する施策 56