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訪問販売 110 番における受付状況より 「『誘引に問題』ある相談」及び
資料3 訪問販売 110 番における受付状況より 「『誘引に問題』ある相談」及び「連鎖販売取引に関する相談」を中心に 2003 年 10 月 (社)日本訪問販売協会 1. (社)日本訪問販売協会消費者相談室の概要∼相談受付体制∼ 当協会相談室は東京 1 ヶ所のみ、7 ヵ所に転送電話を設置し全国からの相談を受け付けてい る。回線は 3 回線、相談員 7 名で交替勤務、常時平均 4 名が出勤している。訪問販売に専門 特化した相談窓口なので、訪問販売以外の消費者相談は多少の整理・助言はしても他機関を紹 介するので記録に留めていない。相談受付件数は 1999 年に 6648 件となった後、ほぼ 6500 件前後で推移している。今年度上半期は前年対比 6%増で、このペースでいくと今年度は 7000 件を超える可能性がある。 2.最近の相談受付件数 ①会員・非会員別受付 会員(正会員・準会員の合計)についての相談は全体の 20%で推移している。この相談の中 のいわゆる苦情(当協会では「問題性ありの事例」と分類している)だけでみると会員の占め る率はおよそ 8%程度である。 会社名が不明の相談件数は平成 12 年度には全体の 8%であったものが年々増加し、今年度 上半期は 18%を占め、不明率が高まってきている。具体的には、電話がかかってきて何か社名 を言われたかもしれないが、よくわからないというもの、名称はわかるが所在地等が一切わか らないものや、 何かの点検等告げて公的機関のように名乗ったがよくわからないというものの ほか、もともと企業名が問題にならない質問相談等がここに含まれる。これは必ずしも販売側 の問題ばかりではなく、相談してくる消費者が、外出先から気楽に携帯電話で相談してくるた めに手元に書面がなく、契約相手先の名前がわからないというようなものも確実に増えてい る。 ②取引方法別・法律定義区分別受付 現状は 8 割以上が家庭訪販である。家庭訪販が相談に占める割合は年々増加している。それ に連動して、キャッチセールス、アポイントメントセールス、宣伝講習販売の率は減少してい る。連鎖販売取引に関しては、全体の 5%程度である。家庭訪販の比率が連鎖販売取引に比し て圧倒的に高いのは、当協会の団体名や相談室を訪問販売 110 番と呼称していることにも大 きく要因があると考えられる。 1 3. 最近の相談傾向から ①誘引に関する問題 当協会では事例に問題性があるかないかで分析しているが、消費者に最初に接し、販売活 動を開始する時点での問題については『誘引に関する問題』として分類している。 当相談室で受けた相談の内容からみると、家庭訪販では浄水器・磁気水質改善装置等の水廻 り商品、寝具等と住宅リフォーム・害虫駆除等に関する相談のなかに、この誘引に関する問題 が多く見うけられる。先に述べた会社名が不明の事例の増加とも関連するが、水道局や公的 機関等と思わせたというものもここに含まれる。当協会自主行動基準(及びその細則として の商品別禁止事項)の中でも「販売目的を隠していたと消費者から指摘されるような」訪問 の仕方や、同じく事前の電話での約束の取り付け方は禁止している。嘘をつく、あるいは全 く社名も何も告げないというのは論外としても、ドアを開けてもらいたいために販売以外の 目的が主であるかのように印象付けてしまうようなケースもある。それがただちに苦情とな るケースもあるが、契約後、時間が経ってから解約を希望してくる消費者に、第三者相談機 関が業者との接触の様子を聞き取りをしたむときにはじめて誘引時の問題が顕在化するよう な場合もある。 アポイントメントセールスは、誘引に問題があるケースとしてしばしば取り上げられるが、 ここ数年は横ばいないし微増であったが、15年度上半期は減少している。具体的な申出内 容としては、 消費者が何を勧誘されているのかが、 よくわからないという事例が増えてきた。 たとえば、過去にアポイントメントセールスで会員サービスの契約等をした者に、その会員 サービスの脱会のために費用が必要などとする電話などである。 ②連鎖販売取引に関する相談事例 先にも述べたとおり、 連鎖関連の相談件数の全体に占める割合は多くない。商品別で多いの は健康食品、化粧品、下着、インターネット・パソコン関連等である。 最近の相談内容の傾向を見ると、書面関係の問題が目立つのが特徴で、連鎖販売取引の概 要書面不交付、契約書面不交付、書面の不備欠落、記載漏れなどである。次いで、一部に「儲 け話を強調」するものが見受けられ、また、名義貸しの事例が他の取引形態に比べ散見され る。その他では連鎖販売取引独自の問題というより、 例えば効能効果を謳う等の勧誘方法の問 題である。 ③問題性のありの事例の概要 当協会では従来、相談を苦情、問合せという仕分けにしていたが、平成 13 年より客観的 に訪問販売の現場における問題が把握できるように、問題性があるかないかという視点で分 析している。そもそもが申出によって分類しているので、 どこまで事実と言えるのか疑問とい う考え方もあるが、トラブルを誘発させる原因について、より具体的に事業者に対し啓発す ることが重要であるという点に着眼したものである。具体的には各事例について、5 項目ま で相談内容項目が選択でき、それぞれの相談内容項目にはあらかじめ 0、1、2 という問題 性数値が振付けられている。したがって 1 事例につき最高 10 点となる。相談内容項目は、当 協会の自主行動基準の内容とも連動させた販売活動や対応等を網羅した項目になっており、 2 基本的に 2 点は法令違反、1 点はモラル違反、0 点はいわゆる問合せ項目である。 集計値が 0 点という事例は問題性なし、1 点以上 10 点までは問題性ありという分類となる。 ちなみに、問題性のある事例と問題性のない事例の比率を、15 年度上半期の件数で見ると、 問題性ありが約 46%、なしの事例が約 54%である。また、問題性ありの事例件数の推移を 13 年度から平成 15 年度上半期までの状況でみると、14 年度で減少、15 年度上半期で増加 に転じたが全相談件数の増加割合に比べ微増に止まっているというのが現状である。 問題性ありの事例は、大きく 10 項目に区分し、申出内容に沿って複数カウントしている。 例として 15 年度上半期の相談(3528 件)で上位 5 項目をみると、もっとも多いのが、 「勧 誘行為」(624)、次いで、「説明に関する問題」(467)、「誘引に関する問題」(337)、「書面 の問題」(289) 「解約交渉過程の問題」(231)となっている。 「勧誘行為」でもっとも目立つのは、強引・執拗な勧誘で、次いで長時間勧誘、威迫的勧 誘などの不適正な勧誘もある。また、次の「説明に関する問題」については、誤解を与える 説明が目立つ、そして不安を与える説明、商品の不十分な説明、誇大説明などもみられる。 「誘引に関する問題」については先ほど述べたとおりである。次に、「書面の問題」として は、書面不交付という事例が多いほか、一部記載不備などもある。そして、「解約交渉過程 の問題」については、クーリングオフ申出に対する不適切な対応が目立つほか、原状回復の 遅滞も一部に見受けられる。 以上が相談の概況である。 当協会では、会員の苦情で解決がつかないものは昨年 6 月に設置した消費者取引紛争処理機 構にかけることなるが、未だ上部機関に掛けた案件はなく、全て消費者相談室で解決している。 また、会員の行った取引に法律違反等の重大な問題があった場合は、協会内に設置した第三者 委員で構成する倫理審査委員会にかけ、改善勧告、除名等の処分を行うことになっている。こ れらの紛争解決、倫理審査の判定は、特商法等の関係法令、協会が定めた倫理綱領、自主行動 基準が基準となる。自主行動基準は昨年 6 月に倫理綱領を具体化させるべく新たに規定したも のだが、この自主行動基準を末端の販売現場へ遵守徹底させることが現在の大きな課題である。 3