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沖ノ鳥島勉強会 主提案者 茅根 創・理学
海洋アライアンス イニシャチブ報告書 採択課題名: 沖ノ鳥島勉強会 主提案者 茅根 創・理学系研究科地球惑星科学専攻・教授 共同提案者 高木 健・新領域創成科学研究科海洋技術環境学専攻・教授 田島芳満・工学系研究科・教授 久保麻紀子・海洋アライアンス・特任准教授 報告書提出年月日 2015 年2月 20 日 平成 21 年度から,海洋アライアンスイニシャチブのもとで,沖ノ鳥島に関する研究 会を設け,沖ノ鳥島の海岸保全・州島の維持を生態工学的に進める方策を検討するとと もに,異なるセクターで行われている沖ノ鳥島に関わる事業などに関する情報交換を進 めてきた.平成 22, 23 年度に本イニシャチブで予備的な調査を行った成果に基づいて, 平成 23-25 年度国土交通省の建設技術開発「サンゴ礁州島の形成モデルの開発」として, 平成 26-27 年度は国土交通省河川技術開発「サンゴ礁海岸保全モデルの開発」によって, サンゴ礁州島と海岸の生態工学的技術開発を進めている. 一方で,異なるセクターで行われている事業の情報交換と,様々な事業を沖ノ鳥島研 究会のフィロソフィーのもとで統合する機能については,引き続き海洋アライアンスイ ニシャチブの場を維持している.研究会には,現在,大学,内閣府総合海洋政策本部, 国土交通省,水産庁,東京都,政府関係財団法人と民間の関係者が出席して,各セクタ ーの取り組みについて情報交換を行うとともに,同島のサンゴなどの生態,地形,海洋 環境,海底資源,国際法上の位置づけや,他の諸国における離島管理の実態などについ て勉強会を行った.研究会の名簿リストは105名に達し,勉強会には40−50名ほ どが参加する. 本年度は,2014 年9月4日と 2015 年2月19日に,沖ノ鳥島勉強会を開催して,そ れぞれ50名,46名が出席した.河川技術開発「サンゴ礁海岸保全モデルの開発」の 1/4 現地調査,水槽実験,シミュレーションの結果を紹介し,内容について参加者からコメ ントをもらうとともに,国土交通省京浜河川事務所による沖ノ鳥島保全事業,国土交通 省東京港湾事務所の港湾建設事業,水産庁によるサンゴ増殖事業,東京都によるフォー ラムの開催について,情報交換を行った.拠点整備が進む中で,沖ノ鳥島の利活用策に ついて相互の関係,とくに互いに阻害しないか,島を保全するために各セクターの取り 組みが相対的にデザインされているのかという視点から,検討,調整を行った.さらに, 沖ノ鳥島の国際法上の位置づけについても議論を行い,同島の拠点整備のグランドデザ インを策定,提案を進めた.議論の成果は,東京都の第9回沖ノ鳥島フォーラムにおい て,誰がために保全するのか−国際社会と地球環境の中の絶海孤島・沖ノ鳥島」の総合 討論として社会に成果を還元することができた. さらに,沖ノ鳥島勉強会での成果に基づいて,海洋アライアンスとして遠隔離島にお ける産学官連携型の海洋関連技術開発に,「サンゴ礁からのなる遠隔離島の生態工学的 保全技術開発」を提案し,採択された. 沖ノ鳥島は,国境の遠隔離島という位置づけから,各省庁の情報公開が十分でない. そのため,省庁を越えたグランドデザインを描きにくい状況にある.そんな状況で,省 庁,民間の様々なセクターが勉強会に集まって,情報を可能な範囲で交換していたのも, 海洋アライアンスという場があってこそである.省庁,民間の方々にも,東京大学海洋 アライアンス沖ノ鳥島研究会は,広く認知され,この場でなら通常は各省庁の場の外に は出せない情報も出して,議論しようという雰囲気ができあがっている.上記課題の検 討会として研究会を引き継いでも,これまでのように多様なセクターからの参加は望め ない. 現在,沖ノ鳥島は,国土交通省河川局が国の直轄海岸として保全事業を実施している. 一方,同じ国土交通省の港湾局は,沖ノ鳥島の拠点整備のための港湾建設を進めている. しかしながら,同じ国交省内にあっても,海岸保全事業と港湾整備事業の間での情報交 換は,必ずしも十分ではない.水産庁は沖ノ鳥島におけるサンゴ種苗技術開発を進め, 6万株の稚サンゴ種苗に成功している.東京都は,島の周辺に浮き魚礁を設置して,漁 場開発に力を注いでいる.こうした様々な事業,島の保全や港湾整備と,サンゴの再生, 水産振興は,お互いに関係しあう内容であるが,異なるセクターで行われているこうし た事業の情報を交換し,成果を共有し,国としてのグランドデザインを構築する場はこ のイニシャチブ以外にはない.海洋アライアンスイニシャチブが持っていた,幅広いセ クター間の情報交換と勉強会,国のグランドデザインを構築する場を維持したい. 2/4 沖ノ鳥島勉強会(2015 年2月 19 日)東京大学,高知工科大,国土交通省(海上保安庁, 水管理・国土保全局,京浜河川事務所,東京港湾事務所),水産庁,東京都,海洋政策 研究財団,国土技術研究センター,民間(五洋建設,鹿島建設,八千代エンジニアリン グ等)から 46 名が出席. 3/4 東京都「第9回沖ノ鳥島フォーラム」において,沖ノ鳥島勉強会での成果に基づいて, 講演,総合討論を行った. 産学官連携型の海洋関連技術開発に,海洋アライアンスとして「サンゴ礁からのなる 遠隔離島の生態工学的保全技術開発」を提案して採択された. 4/4