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埋込式体積歪言十による地球潮汐の観測

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埋込式体積歪言十による地球潮汐の観測
験 震 時 報 第 48巻
83)23-33頁
(
19
埋込式体積歪言十による地球潮汐の観測'
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地震の前兆には各種の現象がある.その中には.明
S1 はじめに
8
2
)
)
.
瞭な地殻変動が生じた報告もあり(例えば.茂木(19
大規模な地震の前兆現象を捕捉し.地震予知に結び
地殻変動の監視は重要な観測要素の一つになっている.
つけるため.気象庁では東海および南関東地域に埋込
この目的のため体積歪計.伸縮計.傾斜計など各種の
式体積歪計(以下,体積歪計と略す)を設置して.地
計器で連続観測が続けられている.一般に.地震の前
殻体積歪の連続観測を実施している。体積歪計も.ほ
兆を捕捉するには.予想される震源域付近11:.なるべ
かの地殻変動の観測計器と同様.立地条件.岩盤の性
く多くの観測計器を設置するのが有効である.この点.
質.海洋潮汐の影響.気象の擾乱.岩盤との結合.地
体積歪計はセンサ}の設備が横穴式の計器に比べ比較
下水の変動など様々な環境条件の影響を受けている.
的簡単であり.観測網の展開が容易であると L、う利点
この環境条件の差異は.そこで得られる観測値に影響
を持っている.
を及ぼすため.各観測地点の環境条件の把握は焦眉の
現在,気象庁では東海および南関東地域の 3
1ケ所に
問題であるといえよう.すでに.古屋ら (1983)は気
体積歪計を設置して.テレメー夕方式で観測を行って
圧変化と遠地地震波に対する体積歪の応答から.これ
i
g
.
1にその観測点の配置を示す.なお.気圧,
いる. F
らの環境条件の一部について調査している.
変化 K起因する歪変化を補正するために榛原.富津の
今回.環境条件に関する調査の一環として.体積歪
2地 点 K気圧計が設けてある.
計で観測きれる潮汐変化を解析し.それに対する応答
体積歪計で観測される地殻変動の中には,地殻の永
V
L
.い
年歪などの長周期変動と.気象の擾乱や地震波などに
と環境条件の関わりについて調べた.このよう
ろいろな現象に対する応答を知ることは.各地点の環
による短周期変動とを含んでいる.この振幅.周期の
境条件の把握 K役立つばかりでなく,そとで得た観測
異なる変化を正確に.また効率よく観測するため.時
結果の解釈にも有益であると考えられる.
~2
観測
間単位から永年変化までの長周期変動を対象 K した差
0
0
動変換器出力 (DC.DT) と.これより感度が約 1
倍高く地震波などの短周期変動を対象にした短周期出
力 (Ac. Bm)の 2つに分けて記録している.両成分
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.2
2
.1983
H
気象庁地震予知情報課
のフィルター特性を F
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g
.
2V
L示す.
本報告では.地球潮汐の解析および気圧変化(周期
-23ー
24
験震時報第 4
8巻 第 1-2号
解 析 K用いたデータを F
ig.4K示す.この中で.三
,
,
J
ケ日の変化は観測井が浅いための降水による影響であ
る.このような変化については.タンクモデルを用い
80%程度説明できることが示されている(二瓶ら .1983).
F
i
g
.
4
.
2の東伊豆はドリフトを除いたものを示してあ
る.実際は地中温度の低下によって生じたと考えられ
る急激な膨張変化がみられる.このほか.静岡などで
時
前J
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は人工的な地下水位の変化に対応した変動が認められ
j
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る.
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言うまでもなく.長期間の連続観測を行う場合.欠
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3
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"80時間)による出力は差動変換器出力.また遠
地地震の表面波(周期 4
0秒)の解析には短周期出力を
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K
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GAM
用いている.、
ところで,地殻変動は気象の擾乱によるノイズを含
んでレる.その中で.特に気圧変化と降水の影響は見
逃せない。気圧変化が体積歪 K及ぼす影響は.例えば
1mbの気圧変化に対し 0
.
1
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"2
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0X 1
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-8程度の変動が
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. また.、気圧の半日およ
認められる(槽皮ら .1
び 1日潮などの潮汐成分 (
Fig.3)は地球潮汐と同じ,
あるいは極く接近した周期をもっているため.ーあらか
じめ気圧の影響を除いておく必要がある.本報告では.
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H
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K
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東海地域は榛原.南関東地域は富津の気圧をそれぞれ
用い.ほかの地点においても同時期I
J
. 同様な気圧変化
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U
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が生じたものとして槍皮ら (1983)の方法によって.
気圧変化の影響を除いた.このため榛原.富津以外の
地点では気圧の影響が完全 K除かれていない可能性が
ある.一方.降水の影響は三ケ日で顕著であり.. 1
0
0
m 以上の降水 K対して 1
0
-6もの変化を生じるが.ほか
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の地点では比較的小さいようである.
9
8
2年 1月 1日0
0
今回の解析期聞は 1カ年として .1
時0
0介から同年 1
2月 3
1日23時 0
0介 (
JST)の 毎 時 の
値を用いた.なお.館山は計器不安定のため同年 7月
1日0
0時 0
0分から 1
0月 24日23時 00介 (
JST)の値を
使用した.
-24ー
1982
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調j
は免れない.火測は現地記録によって.または短時
それから各分潮を検出した.そして.多くの地点て検
間のものは前後のデータから推察して修正を行ったが.
出された分潮の存在を仮定して.最小二乗法によって
それでも資料の一部.解析期間の 0.5%程度は解析に
握幅と位相を求めたデータはドリフトを除いたあと
適きないデータが含まれている.なお解析期間中.計
F
i
g
.
5の特性を示すフィルターを適用している.
器の感度 K自立つた変化の生じた地点は認められな
①
つた.
i
g
.
6t'(示す.
フーリェ解析による解析結果の一例を F
フーリェ解析法による解析
2.82,
M2'N2,
¥
これは藤枝についての結果であるが K
~3
地球潮汐に関する解析
K1,
Pl' 01,
Ql の 8分潮が検出されている.さらに.
L2(12時間 1
1
.
5分). J1
(
2
3時 間 5
.
9介).M1(
2
4時間
1)地球潮汐分潮の検出
5
0
.
0分)などに相当する小さいピークが認められる.
この調査では.地球潮汐の解析にフーリェ解析法と
最小二乗法を用いた.前者は分潮の仮定をせずに解析
上記の 8介潮がすべて検出できたのは 1
2地点である.
を行えるが欠測があってはならない.後者は.あらか
lt S1; P1の
また.一日潮付近でごく接近している K
じめ分潮を仮定する必要があるが.欠測があっても適
8地点でできた.しかし.八日市場では最も振,
分離は 1
用できる.このように.両解析法は一長一短があるの
幅の大きい M2を含め.明瞭な介潮がほとんど認められ
) ェ解析法K よって対
で.まず全観測点についてフー 1
なかったほか.浜岡.大多喜.長柄など Kおいても二.
象とする半日および一日潮付近のスベクトルを求め,
三の分潮しか介離できなかった.
-25-
26
験震時報第 4
8巻 第 1-2号
1
.
0一
幅が最大(とこでは膨張)になるまでの時聞を角度で
示したものである.
2) 環境条件の影響
T
a
b
.
1
.
.
.
.
.
.
.
2の振幅と位相の特性から.約半分の観測
点では国体潮汐の理論値と大きくくいちがっている.
o
そのうえ.ごく近接している観測点で解析結果が大き
2 3 45
1
0
く異なっている場合がある.例えば.御前崎と浜岡は
50hour
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体積歪の観測点の中で最も近接(距離 7
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)しており.
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これに榛原が隣接している (Fig.l).ところが.Tab.
1.......2~ 示すように御前崎の位相.浜岡の振幅と位相
1
.
5
♂
x
1
は固体潮汐の理論値と大きくくいちがっている. この
1
12
,
3地点における半日および 1日潮付近のスベクトルを
Fig.7V
L示した.御前崎,榛原の振幅は固体潮汐の理
K
l
1
.0
1
9
8
2
.
1・1
2
論値に比べ.やや小さいものの明瞭な分潮が認められ
0
1
る.一方,浜岡はほかの 2地点に比べて振幅が小さく.
このうち 82, 81は気圧変化の影響を含んでいる可能
5
2
性もあり.いうならば明瞭な分潮はほとんど認められ
P
l
k
r
n離れたところでスペク
ない.このように.距離が 7
0
.
5
トルの様子が一変して.地球潮汐の明瞭な分潮がほと
N2
んど認められなくなるのは大変興味深いことである.
この 3地点における 2カ月間の観測値および気圧補正
1
2
1
32
3
2
4
2
5
2
6
2
7
Hour
後の値を気圧値とともに Fig.8V
L示す.各観測値には.
気圧が高い時期に収縮.低い時期に膨張する気圧変化
に対応する変動が認められ.また永年歪,短周期変動
Fig.6 Spectraofvolume s
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nd
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1982a
tFujieda.
ともよく類似している.気圧補正後の様子をさらによ
②最小二乗法による解析
御前崎と榛原は満月や新月の時期に大きく.その中
ここでは.上記 8介潮のほか忙気象変化の項である
間の時期 K小きい.いわゆる潮汐変化が認められる.
くみるため Fig.8の一部 を拡大して Fig.9VL示した.
1
81を含めた 9分潮について解析した.このうち.主要
しかし,浜岡では潮汐変化はみられない. Fig.l0V
L満
4分潮の振幅を.同期間の固体潮汐の理論値との比お
月の噴の 1日半の気圧補正後の値と固体潮汐の理論値
Tab.1~示した.
を示した.この図からも御前崎の潮汐変化は理論値と
よび M 2 とほかの分潮との比ととも ~
固体潮汐の理論値はすべての地点で Love定数 h=O.60,
ほぼ逆位相であり,榛原は同位相になっていることが
k=0.24. 志固定数 1=0.08. a'dh/d
r= -1.40 と
わかる.
仮定.して小沢 (1974)の式によって計算したものを観
このように援幅.位相のくいちがう原因は.各体積
測値の解析と同様.最小二乗法によづて解析した.な
歪計の分解能.安定度など性能のばらつきは極めて小
お.フーリェ解析法によって分潮のピークが小さく不
,. Plの分離ができなかっ
さく一様であることから.各観測点の環境条件の違い
l' 8
明瞭なもの.および K
K よるものと考えられ.例えば. (1)観測点周辺の地殻
た KIVLはそれぞれ.. ..印を付した.これらの分潮の
の性質. (
2
)
岩盤との結合. (
3
)
海洋潮汐. (
4
演象の擾乱
値は他に比べて精度がおとる.各分潮の握幅の最も大
などの影響があげられる.
地殻の性質および岩盤との結合
きい地点と最も小さい地点の振幅比は M2において 2
6
0
①
倍. 01VLおいて 1
7
0倍忙なっている.すでに述べたと
地球潮汐の振幅が小さい.あるいは位相差が大き L、
おり榛原.富津以外の地点は気圧変化の影響が残って
地点は岩盤とセンサーの結合が悪い』可能性と地殻自体
L82
いる可能性がある.この影響を完全に除けば.特 V
の性質 K起因するもの,例えば地殻の異方性.非弾性
の振幅はさら K小さくなるだろう.
的ふるまい.あるいは局所的破砕帯の存在などの影響
各分潮の位相および固体潮汐の理論値との位相差を
こ地
等が考えられる.ここでは.岩盤との結合を含め T
Tab.2V
L示す.各分潮の位相は.解析開始時期j
から振
殻の性質をポアソン比の違い K よって表し,それが地
-26ー
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SHIMIZU
FUJ1
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1ROZAKI
HIGASHIIZU
AJIRO
YUGAWARA
HADANO
HINO
YOKOHAMA
YOKOSUKA
MIURA
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KAMOGAWA
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Haibara.
球潮汐に及ぼす影響について論じる.
F
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.
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lは横軸の気圧変化(周期 3
0
8
0時間) ~対
する感度.縦軸 K遠地地震の表面波(周期 4
0秒)に対
する応答をとったものである、(古屋ら, 1
983). 図中
Fig.7 Spectrao
fvolume.
~train d
a
t
a from
January t
o December,1
9
8
2a
t
Omaezaki,HaibaraandHamaoka.
Tab.1---2). F
i
g
.
l
lの横
の数字は地点番号である (
軸は気圧 1
mb.の変化によって生じる値であり.縦軸は
遠地地震の表面波であるため各観測点 Kほとんど同じ
入力があるとy考えられるが体積歪計の変動量には大き
な違いがある.そし七.一般的傾向として気圧に対す
る感度の良い所は表面波に対する応答が小さい.古屋
1983)は.この理由を各地点 Kおける周辺媒質の
ら(
C
M
A
E
Z
R
K
l
ポアソン比の違いに求めた.ポアソン比が小さい所.
すなわち「より固体的」な所では表面波 K対する応答
円R
A
H
A
l日
H
A
M
A
口
KA
が大きく,
1
/
2trL近づくにつれて.すなわち「より流
体的 J~なるに従って気圧変化に対する感度がよくな
る.ところで.地球潮汐による体積歪 νは地球表面に
Melchior,1978).
おいて次式で表わされる (
A
T
M
.
t
剖1
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円
1ーワ υ
v =寸 士 云 (100+1μ)
刊
日R
.
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R
.
ここでイ νはポアソン比
1982
1
0
0, μ はそれぞれ緯度
方向.経度方向の歪である.これから.ポアソン比が
Fig.8 O
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.
1
/
2trL近づく Kつれて体積歪は小きくなることがわか
る.この様子を F
ig.12trL示した.これは,
r
流体的J
な所は地球潮汐の体積歪が小さいことを表している.
このことから. F
i
g
.
l
lの右下の「より流体的 Jなグル
-2
9ー
3
0
験震時報第 48 巻第 1~2 号
S
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1
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7
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3
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9
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t
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eperiod o
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e
c from near New
Zealand earthquake,May25,
1
9
81
.
Notes:
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t
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2
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1
1 March1982
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0
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h.
=O
.60,k=0.24,1=0
40
a・dh!dr=ー1.
一プ K属する地点では.地球潮汐の体積歪が小きくな
っていると考えられる.そこで.M2~ おいて観測値と
固体潮汐の理論値の比 (
Tab.1)が 0
.
2
0未満の地点に
V
"
(Y
l
.
10ー
はF
i
g
.
l
l~丸を付して振幅が小さい地点を示した.
Tab.lおよび F
i
g
.
l
lから周辺媒質が「流体的」な地点
では,実際 ~M2 の握幅が小きくなっていることがわか
0
.
5-
る.しかし.その張幅はあまり K も小きすぎるようで
あり.実際 K周辺媒質の違いが地球潮汐の握幅にどの
程度影響を及ぼしているのか今のところ不明である.
この地球潮汐が小さく観測される地点は.気圧変化に
応じた変動が相対的 K大きく.その影響を除くと短期
聞においては直線的であって.潮汐変化は小さい.つ
まり.その短周期変化の大部分は気圧変化に応じた変
化である.そのうえ.ステップ状の変化等特異な変化
oseismicな変化も相対的に
が現われることが多く. c
大きくなる傾向が認められる.また.南関東地域に多
く偏っている.
-30-
0
.
1ー
0
.
1
ν0.5
Fig.12 T
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.
3
1
埋込式体積歪計による地球潮汐の観測
② 海洋潮汐の影響
海岸からの距離に応じて減小しているようにみえる.
地球潮汐には.海洋潮汐や気象の擾乱などの影響も
この傾向はほかの分潮でも同じである.
含まれている.周知のとおり.日本は周囲を海洋 K囲
まれ.内陸部の観測所においてもその影響は免れない.
一般に.体積歪に対する海洋潮汐の影響はそれによ
る地殻の変形だけを考えれば.例えば荷重変形陀つい
特~.気象庁の体積歪計による地殻変動の観測は.震
てのプシネスクの近似などで示きれるよう~;体積歪
源 域 K海底を含む地震の前兆を捕捉する目的をもって
計の深きが海岸からの距離に比べて十分浅い場合には
いるため海洋の近く K設置してある.例えば各地点の
無視できる C
Melchior,1978). しかし.海岸の近く
.
.
.
.
.
.
.1
0
最も近い海岸までの距離は 1km未満 9地点. 1
983). き
ではある程度の大きさを有する(古舘ら. 1
km1
3地点.最も近い地点は 100m. 最も離れている
ら~,地形の影響や海水の上下運動に応じた海水とつ
地点でさえ 29km~ すぎない.
一般の地殻変動の観測
ながりのある地下水位の昇降なども加わり.複雑な地
所に比べ海洋の影響を受けやすい位置にあるものが多
殻変形が生じると考えられる.実際.このような地殻
い.海洋潮汐は観測点と周囲の海洋との相対的位置関
の変形によって生じる体積歪は,潮位の変化 Kよく対
係によって複雑に影響するが.ここでは一応海洋から
応し.潮位が高い時期に収縮.低い時期 K膨張である
の距離に応じて減小するものとして,最も近い海岸ま
(末贋, 1
9
7
9
)が.例えば石廊崎などでは数十分程度.
での距離をとり.これと M2の振幅との関係を調べてみ
潮位の変化に遅れて変化している. この潮位変化の原
た.その結果を F
ig.13~示す.
最も近い海捧は湾で
因は周知のように天体の引力が主因であり,天体の
あったり.太平洋に面していたりして.その影響は一
うち月だけを考えても大体の説明は可能である.月齢
律に扱えないが F
ig.13から, M2の振幅は概ね海岸に
や場所 K よって若干の違いがあるが.太平洋 K面した
近い地点では大きく,離れた地点では小さい傾向が認
南関東の海岸では月が南中する 2時間前位.東海では
められる. この関係を最小二乗法によって求め.直線
1時間前位が干潮であって.月の南中時には満ち始め
A Bで示してある. M2の振幅は直線 ABで示す傾きで
ているものの潮位は低い時期に相当する.この低い潮
位による体積歪は膨張である.一方.月の起潮力によ
って生じる体積歪は南中時に膨張であって.その位方自
M2
6
差は大変小さい.次~.月が子午線と天頂底の中間の
1
O
位 置 K達した時.月の起潮力による体積歪は収縮であ
る.この時潮位は高い時期 K相 当 し , こ れ K よって
生じる体積歪も収縮である.このように.天体の起潮
力 K よって変化する体積歪と,潮位変化によって生じ
る体積歪は.ほとんど同位相で加わることになる.
Tab.1 および Fig.13~ 示すよう~,海岸 K 近い観測点
では固体潮汐の理論値に比べ.例えば石廊崎で 7倍 以
5
4
上 , 土 肥 , 勝 浦 で も 2倍以上になうている.また,
こ れ ら の 地 点 の 位 相 は Tab.2~示すよう~,
固体
潮汐の理論値に比較的よく合っている.これは.東海
および南関東の海岸の近くでは海洋潮汐が地球潮汐の
10
2018
3
0
2
9
8
体積歪にほとんど同位相で影響していることを示し
ている.なお,実際の潮位変化と体積歪計の出力の関
28
係を Fig.14~ 示した.これから.潮位 1m の変化 K よ
6
って
石廊崎
土肥
10
100
附n
勝浦
3
.
6X 1
0
-7
1
.4X 1
0
-7
1
.2X 1
0
-7
の体積歪の変化が生じているようにみえる.しかし.
F
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3 Relationship between t
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この値は地域潮汐の影響を含んでいるので.実際はも
う少し小きいと考えられる.
一
3
1-
3
2
験 震 時 報 第 48 巻 第 1-2号
S
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~6
地球潮汐に対する応答差と表面波
体積歪の気圧変化と遠地地震の表面波 K対する応答
0倍.後者に 1
8
5倍位の差が
は
, Fig. l1から前者~ 2
あることがわかる.同様に,地球潮汐に対する応答の
M2につ
差をみるため最も振幅が大きく.擾舌しは小さ L、
いて比較する. まず, Fig.13~ おいて直線 AB から各
M2の値との偏差をとり.それと遠地地震の表面波 K対
i
g
.
1
5~示した.したがって, M2
する出力の関係を F
の振幅 K及ぼす海洋潮汐の影響は.直線 ABの傾き K
10
0
.
0
1
0
.
1
10
M2
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near New Zealand earthquake,
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9
8
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3
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No
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s:Sensorso
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e Borehole
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h
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h
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r
s
.
より海岸からの距離に応じ滅小するものと仮定して.
それぞれのグループ K分けて M2の 握 幅 と 表 面 波 出 力
距離虻よる補正を行ったことになる.もちろん,この
の関係をみると,いずれも M2の 振 幅 が 大 き い 地 点 は
大雑把な方法 K よって海洋潮汐の影響が完全に除ける
表面波出力も大きい傾向がある.
わけではないが. Fig.15 かち M2~ 対する応答をみる
この関係は 01などの分潮 Kおいても認められるの
と.川根が最も大きく.浜岡のそれの 9
5倍あることが
で,地球潮汐が大きい地点は表面波出力が大きいとみ
わかる.なお,体積歪計の短周期出力は設置年度 K よ
なしてよいだろう.
って二つの方式 (ACおよび Bm) ~分かれている.
~6
Fig.15 は Bm~ 白丸を付して二つの方式を分類してあ
あとがき
る.特~,図の上の 5 地点①,③,⑦,⑬,⑬はセン
地殻体積歪の観測に及ぼす環境の影響を把握する目
サー内部の流体フィルターの特性上,短周期変化を記
的で地球潮汐を解析したところ.体積歪データは各観
録しやすい指摘(メーカーによる)もあり,実際は図
測点の環境の影響を大きく受けていることがわかった.
の位置より下がる可能性がある. これを考慮、にいれて
そのほかに.各種ノイズの影響も見逃せない.現在.
-32ー
3
3
埋込式体積歪計による地球潮汐の観測
気象庁では体積歪に含まれる気象の擾乱.地下水の変
参芳文献
化などによる各種ノイズを除去し.データの質の向上
を目指している.すでに東海 15地 点 K気圧計の設置が
小沢泉夫(19
7
4
)
地球潮汐変化の介類と分布.測地
学会誌. 20. 1
7
8
1
8
7
.
実行の段階 Kあり.また水位や水湿などによる影響に
L
. 今回の調査で地球潮汐
ついても調査中である.特 V
末贋重二(19
7
9
)
地殻変動連続観測と埋込式歪計{I).
測候時報 .46. 1-2号
,
が小きく観測された観測点はノイズレベルが高い所が
9-2
6
.
櫓皮久義.佐藤馨.二瓶信一.福留篤男.竹内新,古
多いので,将来データの質の向上を図ったうえで改め
て調査した方がよいと思われる.なお,この報告では.
8
3
)
屋逸夫(19
地球潮汐に及ばす気象の擾乱の影響等については述べ
時報. 47. 3-4号
,
埋込式体積歪計の気圧補正.験震
1-21
.
二瓶信一.櫓皮久義(19
8
3
)
なかった.これについては続報で報告する.
三夕日 Kおける埋込式
体積歪計に対する降雨の影響.験震時報. 48. 1-
謝辞
地震予知情報課長長宗留男博士 Kはこの調査の全般
2号
,
18-22.
古舘友通.古屋逸夫(19
8
3
)
を通して御指導を賜わった.また.同課浜田信夫氏お
容積歪計で求めた地殻
9
8
3
,N
o
.l
の弾性定数.地震学会講演予稿集. 1
よび静岡地方気象台吉田明夫氏 Kは.終始多くの御助
L
. 気象大学校古屋逸夫
言と協力をいただいた.さら V
古屋逸夫.槍皮久義(19
8
3
)
先生そして静岡大学教養部里村幹夫助教授にも御助言
気圧変化及びレーリー
波入射に対する埋込式体積歪計の応答.験震時報.
48. 1-2号
,
をいただいた.以上の方々に深く感謝します.
1-6
Melchior,P (
19
7
8
) :TheTides o
fPlanetEarth.,
64-71,3
1
6
3
1
8
.
茂木清夫(19
8
2
) :1944年東南海地震直前の前兆的地
I
. 35. 145-148.
殻変動の時間的変化.地震. I
t
u
円
円
δ
Fly UP