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元気ニュース第8号 [PDFファイル/597KB]
Vol.8 平成23年9月12日 【発行】 ~仙台地域の元気な情報を掲載!~ 宮城県仙台地方振興事務所 絶対に亘理を忘れたくない! 寿司の“あら浜” ~残された看板が告げる,希望の未来~ 亘 理 町 荒 浜 の 名 店“ 旬 魚・鮨 の 店 あ ら 浜 ”が , 8月1日から仙台三越地下1階で寿司弁当の販 売を始めました。親方の塚部久芳さんが寿司の 道を志したのは,21歳の時。以来,修行に明 け暮れ,亘理町の荒浜に店を構えたのは,18 年前のことです。しかし,ベテランの親方も, 百貨店でお弁当の販売を行うのは初めてのこと。 慣れない食品表示や持ち歩きに耐えられる商品 作りには苦労も多かったといいます。 「できるだけ商品を崩さないようにしている。 お客様には“あら浜”の味を味わってほしい」 と語る親方の眼差しは,再び荒浜の店に暖簾をかける未来を見据えています。 地震の当日,店では土日に向けて仕入れたホッキの仕込みが行われていました。家族 に 連 れ ら れ て 亘 理 中 学 校 に 避 難 し た も の の ,店 の あ る 一 帯 は 壊 滅 し た と い う こ と を 知 り , がくぜんとしました。そんな塚部さんに三越での出店を決意させたのは,息子の慶人さ ん の 「 店 を や り た い 」 と い う 一 言 で し た 。「 息 子 が や ろ う と し て い る 。 息 子 の 熱 意 に 応 え て,持っている知識や人脈を活かし,息子とともに頑張ろう」と心に決めました。 今 ,店 に は あ ら 浜 の 出 店 を 聞 き つ け た 多 く の フ ァ ン や 知 り 合 い が 訪 れ て い ま す 。「 三 越 で も ,人 と の 出 会 い や 繋 が り が 1 番 で あ る の に 変 わ り は な い 。人 と の 繋 が り が あ る か ら , やっていける」そう語る親方の目標は,亘理で店を失った人々の期待に応えること,そ して地元亘理に貢献することです。新調した従業員用のTシャツに刻まれた“わたり” の文字は,絶対に亘理を忘れないという想いの表れです。 店は取り壊されたものの,奇跡的にあの津波を耐え抜いたあら浜の看板は,今も元の 場所に残されています。それは塚部さんにとって,必ず亘理で店を再開するための道標 で す 。( 写 真 : 仙 台 三 越 地 下 1 階 の 店 舗 前 で 微 笑 む 塚 部 さ ん ) “森林資源フル活用”を目指して ~地域の木質バイオマスエネルギーで “光のページェント”の明かりを灯したい~ 仙台市青葉区大倉地区で林木の伐採事業や廃棄物 の中間処理業を営む石垣光一朗さんは,明治時代に 創 業 し た (有 )石 垣 林 業 の 5 代 目 と し て , 公 私 に わ た り,多忙な日々を送っています。廃棄物処理法の改 正をきっかけに,資源の有効活用を目指し,平成9 年には本業である林業の関連会社として,木質系廃 棄物中間処理会社を立ち上げました。 ま た ,地 元 商 工 会 関 係 者 と も 繋 が り が あ り , “仙台 光のページェント実行委員会”の事業運営室長とし てイベント活動などにも参画しています。 震災直後は,仙台市荒浜・井土地区においてガレキ中の木質資源の処理に携わってい ましたが,現在は沿岸地区の流木を自社工場に運搬してチップ化し,バイオマス発電所 や堆肥工場へ納入しています。 石垣さんの目標は“森林資源フル活用”です。これまで使われることなく放置されて いた林地残材を全て自社工場でチップ化し,バイオマス資源として供給したいと考えて います。現在は,その目標を実現するため,地元大倉地区での実証事業を計画していま す。そして将来,県内にバイオマス発電所が建設されたら,自社で製造したバイオマス 資源を納入し,そこで供給されたエネルギーで「ページェントを灯したい」と夢を熱く 語 っ て く れ ま し た 。( 写 真 : 震 災 で 発 生 し た 木 質 ガ レ キ を 前 に … … ) 食文化の継承を目指した 「仙台・みやぎ納豆プロジェクト」商品完成! 仙 台 市 青 葉 区 栗 生 の 萬 歳 食 品 工 業 (株 )は 大 正 1 3 年から納豆製造を手掛けています。 東日本大震災では,幸いにも工場に大きな被害は ありませんでした。そのため,震災直後も納豆の製 造 を 続 け る こ と が で き ,食 料 が 不 足 し て い た 気 仙 沼 , 石巻,仙台など沿岸部の避難所に納豆を届け,避難 されている方々から大変喜ばれました。 現 在 , 萬 歳 食 品 工 業 (株 )で は , 食 文 化 の 継 承 を 目 的とした“仙台・みやぎ納豆プロジェクト”を進め ています。このプロジェクトは,同社と仙台管内の 大豆生産者,そして地元の消費者が一体となって商品の開発を 行うというものです。 同社の照井専務は,かねてより地元産の極小粒大豆の新商品 を作りたいという構想を持ち続けていましたが,JA仙台とJ Aあさひなの生産者がその想いに応え,仙台地域で初めて“す ず ほ の か ”の 栽 培 が 実 現 し ま し た 。3 ,0 0 0 名 以 上 の 地 元 消 費 者等からの意見を伺いながら,試作と試食を繰り返し,魅力あ る商品を仕上げました。当初,新商品の製造・発売は3月を予 定していましたが,震災の影響を受けて延期となり,9月1日 から発売されました。 製 造 ・ 販 売 に 当 た り , 照 井 専 務 は ,「 地 元 大 豆 生 産 者 と 地 元 消 費 者 の “ 想 い と 声 ” を 当 社 が 加 工 し ,仙 台 ・ み や ぎ を 代 表 す る 納 豆 “ 仙 台 小 粒 納 豆 ”に つ く り 上 げ ま し た 。商 品の販売金額の一部を被災地に寄付することで,宮城の復興につなげていきたいです」 と語ってくれました。 (写真:プロジェクトチームの皆さんと仙台小粒納豆) 仙台東土地改良区,“水資源功績者表彰”を受賞! 仙台東土地改良区は仙台市東部の農地及び農業用施 設を管理する団体です。同土地改良区では,毎年,水 路や土地改良施設の役割や,土地改良区の仕事を理解 してもらうことを目的に,市民を対象とした“六・七 郷堀ウォーキング”を実施しています。また,六・七 郷堀の下流に位置する大沼ため池におけるゴミ拾いを 市民と一緒に実施することで水資源の保全にも貢献し ています。今回,これらの活動が認められ,水資源行 政 の 推 進 に 関 し ,特 に 顕 著 な 功 績 の あ っ た 団 体 と し て , 8月1日に水資源功績者表彰を国土交通大臣から授与 されました。 このたびの地震及びそれに伴う津波によって,同土地改良区が管理している仙台市東 部の農地及び農業用施設は甚大な被害を受けました。今回の授賞式と同日開催されたシ ンポジウムでは,現 在の状況につ いて話す機 会があり, 約200 人の聴衆の 前で,被災 の状況や被災者としての思い,そして,着実に復興が進んでいる様子を報告しました。 同 土 地 改 良 区 は ,“ 六 ・ 七 郷 堀 ウ ォ ー キ ン グ ” な ど の 活 動 を 再 び 実 施 で き る よ う に , 仙 台市東部地域の農業農村の復興に全力で取り組んでいます。 (写真:シンポジウムで発表をする仙台東土地改良区佐藤理事長) クリスマス出荷に向けて! ~“小山いちご団地”着々と造成中~ 亘 理 町 及 び 山 元 町 で は ,津 波 被 害 を 受 け た“ 仙 台いちご”の生産再開を目指した取り組みが始 まりました。 亘理町逢隈小山地区で生産を再開するため, 県農業公社が主体となって,未利用農地を新た に 造 成 し , J A み や ぎ 亘 理 が パ イ プ ハ ウ ス (施 設 面 積 2 4 0 a )を 建 設 し て い ま す 。 建設されたパイプハウ スは,亘理町と山元町の いちご生産者8戸が借り 受け,クリスマス出荷に 向けて栽培を開始することになっています。多くの生産者は自宅 も津波で失っており,仮設住宅等から“通勤型農業”となります が,ハウスの完成を心待ちにしながら,栃木県から譲り受けた苗 をJAみやぎ亘理の水稲育苗施設を利用して育苗に励んでいます。 亘理農業改良普及センターでは,生産者の想いを実現するため に,関係機関と連携しながら生産者を支援していきます。 (写真:整地とパイプハウス建設の様子) 亘理町逢隈地区にキャベツ畑が広がっています! 亘理町逢隈鷺屋地区では,8月7日にキャベツ の定植作業が行われました。キャベツを作付けす るのは3戸の農家で,中心となる清野真彦さんの ほ場では,炎天下での定植作業にもかかわらず, 近所の方や仮設住宅に住んでいる農業者ら10人 以上が支援に集まりました。 このほ場は,津波の被害を受けたため,土壌の 塩分濃度が高く,水稲の作付けが出来ませんでし た。しかし,早期の営農再開に向け,ほ場除塩対 策に積極的に取り組み,塩分濃度の低下が確認さ れ た た め ,キ ャ ベ ツ の 作 付 け が 可 能 に な り ま し た 。 キャベツは,約7ha作付けされており,加工用として11月下旬頃に出荷される予定 になっています。 清 野 さ ん が キ ャ ベ ツ の 栽 培 を 始 め た の は 3 年 前 か ら で す 。水 稲 に 加 え ,経 営 の 柱 と な る 作 物 と し て 手 ご た え を 感 じ た 矢 先 に ,地 震 と 津 波 の 被 害 を 受 け ま し た 。水 稲 が 作 付 け で き な い と い う 苦 境 に 立 た さ れ て し ま い ま し た が ,「 自 分 た ち の 経 営 の た め ,生 活 の た め に 動 き だ さ な け れ ば 」と ,積 極 的 に キ ャ ベ ツ の 栽 培 再 開 に 力 を 注 い で き ま し た 。逢 隈 で 緑 広 が る キ ャ ベ ツ 畑 は ,再 生 し て 行 く 亘 理 町 農 業 の 第 一 歩 と し て 輝 い て い ま す 。( 写 真:キャベツを作付けする様子) 両県の長年の悲願を叶えるために ~着実に進む林道二口線の工事~ 林道二口線は,宮城県仙台市太白区秋保町の二 口温泉と山形県山形市の山寺を結ぶ総延長19k mに及ぶ峰越林道です。宮城県側から林道をスタ ートすると,二口渓谷沿いに標高500mから勾 配 が き つ く な り ,標 高 1 ,0 0 0 m の 二 口 峠 ま で 1 0kmにわたって上り坂が続きます。途中から急 峻なつづら折りの山岳ルートとなりますが,東日 本大震災では,幸いなことに大きな被害はありま せんでした。 この林道は,林業の用に供するだけでなく,両 県 の 有 名 観 光 地 を 結 ぶ ル ー ト で あ る こ と か ら ,観 光 資 源 と し て 地 域 振 興 に も 活 か さ れ る こ と が 期 待 さ れ て い ま す 。 国 の 名 勝 に 指 定 さ れ て い る 磐 司 岩 (ば ん じ い わ )や , 姉 滝 , 白 糸 の 滝 な ど を 見 な が ら ,原 生 林 と 名 取 川 源 流 部 の 渓 谷 が 織 り な す 風 光 明 媚 な 沿 道 を 進 め ば ,誰 も が 情 趣 に 魅 了 さ れ る こ と で し ょ う 。現 在 ,通 行 の 安 全 を 確 保 す る た め の 法 面 工 事 や 路 面 工 事 な ど が 実 施 さ れ て お り ,交 通 規 制 も 行 わ れ て い ま す が ,今 年 の 秋 に は 全 線 開 通 す る 予 定 で す 。全 線 が 開 通 し た 暁 に は ,震 災 復 興 の 一 助 と し て ,多 く の 県 民 に 利 活 用 さ れ る こ と を 願 っ て い ま す 。( 写 真 : つ づ ら 折 り の 林 道 越 し に 遠 く 磐 司 岩 を 望 む ) “塩害”に負けない米づくりへの挑戦! 3月11日の地震に伴う津波により,仙台農業 改良普及センター(以下普及センターという)管 内 で は ,約 3 ,0 0 0 h a の 農 地 が 海 水 や 泥 土 を か ぶる被害を受けました。浸水した農地では,海水 の塩分が作物の生育に悪影響を及ぼす“塩害”が 心 配 さ れ ま し た 。そ こ で ,普 及 セ ン タ ー 管 内 で は , 用排水に支障のない田んぼ80haで除塩事業を 実施することになりました。 除 塩 に は ,「 土 に 付 い た 塩 分 を 真 水 で 洗 い 流 す 」 という方法が用いられました。田んぼに真水を引 き,トラクターを使って土とかき混ぜたあと,塩 分を含むようになった水を排出する。この作業を数回繰り返し,5月下旬に田植えを行 いました。 ま た ,普 及 セ ン タ ー で は ,関 係 機 関 と 協 力 し な が ら 除 塩 を 実 施 し た 田 ん ぼ の 塩 分 濃 度 と 稲 の 生 育 を 調 査 し ま し た 。そ の 結 果 ,浸 水 直 後 は 塩 害 基 準 値 の 約 7 倍 も の 塩 分 が 含 ま れていた土壌が,除塩作業後には約5倍までに軽減していることが分かり,その後も, 田 ん ぼ へ の 水 の 出 入 り を こ ま め に 管 理 す る こ と に よ っ て ,7 月 に は ほ ぼ 基 準 値 ま で 下 げ る こ と が で き ま し た 。稲 の 生 育 は 順 調 に 進 み ,9 月 始 め の 調 査 で は ,豊 作 と 言 っ て も 良 いくらいの収量が期待できるようになりました。 本 年 度 ,除 塩 作 業 が 行 わ れ た 面 積 は ,浸 水 農 地 の わ ず か 3 % 弱 で は あ り ま す が ,今 後 実 施 さ れ る 除 塩 作 業 が 円 滑 に 行 わ れ る よ う ,今 回 の 成 果 に つ い て ,活 用 を 図 っ て い き ま す。 ★ 仙 台・宮 城 元 気 ニ ュ ー ス は ,宮 城 県 の 復 興を目指す皆さまに少しでも元気になって い た だ け る よ う ,仙 台 地 域 の 明 る い 話 題 や 元 気 な 人 の 情 報 を 発 信 し て い き ま す 。読 者 の 皆 さまからのたくさんの明るい情報をお待ち しております。 お問 い合 わせ先 宮城県仙台地方振興事務所 地 方 振 興 部 (担 当 :鈴 木 ,高 橋 ) (HP) http://www.pref.miyagi.jp/sdsgsin/ (E-Mail) [email protected] (TEL) 022-275-9140