...

サロン実勢調査 - ZOIC|株式会社ハートランド

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

サロン実勢調査 - ZOIC|株式会社ハートランド
HEARTLAND
REPORT
1.調査地域
サロン実勢調査
東北・関東・信越・東海・関西・中国・九州エリア
2.サンプル数 74軒
3.調査対象 上記エリアのペットサロン様
株式会社ハートランド
4.調査方法 任意抽出により直接経営者の方と面談の上、聴取
5.調査期間 平成 20 年 6 月~7 月
2回シリーズ-NO.①
前回、当調査を実施致しました平成7年5月より、12年以上が経過致しました。この間、私達を取り巻く環境の変化は目まぐるしいものがありま
す。今般、ペットサロン様に直接アンケートを取らせて頂くことで、その間の変化を検証し、今後の皆様方の経営の参考、指標として頂きたく、当
調査を行いました。尚、今回ご協力頂きましたサロン様は比較的経営意欲の高いサロン様であり、本数値は全国平均として捉えて頂くのではな
く『経営意欲の高いサロン』の平均値と解釈頂ければ幸甚です。また、サンプル数が74軒と言う事もあり参考資料としてお考え下さい。
■経営者の性別
今回データ
前回データ
男
女
合計
男
女
合計
28名
43名
71名
36名
32名
68名
39%
61%
100%
53%
47%
100%
※前回、男女比は 53:47 であったが、今回の調査では 39:61 となる。
■店舗規模
今回データ
1~5 坪
6~10 坪
11~15 坪
16~20 坪
21 坪以上
合計
平均
5軒
4軒
12 軒
11 軒
21 軒
53 軒
42.0 坪
9.4%
7.5%
22.6%
20.8%
39.6%
100%
前回データ
1~5 坪
6~10 坪
11~15 坪
16~20 坪
21 坪以上
合計
平均
6軒
18 軒
10 軒
8軒
24 軒
66 軒
23.0 坪
9.0%
27.3%
15.2%
12.1%
36.4%
100%
【考 察】
店舗の大きさの表では、12年前と比較すると特徴的なのが、『6~10 坪』のペットサロンが激減して
おり、
『11~15 坪』
『16~20 坪』
『21 坪以上』の値がほぼ均等に増加している。結果、以前の調査と比
較しアンケート平均坪数値が『23 坪』から『42 坪』となり、店舗スペースを大きくとる傾向が見られ
る。こうした意味から、この12年間の間においてサロン規模が一層拡大化している事が窺える。
(大
資本による経営参入、チェーン展開、インショップコーナーの拡大、等)
・店舗規模別1ヶ月坪売上
店舗規模
商品売上坪単価
店舗規模
総売上坪単価
20 坪以下
20,691 円
20 坪以下
100,698 円
20 坪以上~100 坪以下
24,895 円
20 坪以上~100 坪以下
69,287 円
100 坪以上
15,794 円
100 坪以上
25,427 円
・アンケート全体1ヶ月平均坪売上
商品売上坪単価
総売上坪単価
19,133 円
47,800 円
※ 今回美容売上に関しましては、美容室面積の集計が出来なかった為、データを算出する事が出
来ませんでした。
■スタッフに関して
・ スタッフ数に関して
今回データ
1名~2名 3名~4名 5名~6名 7名~9名 10名以上
合計
平均
4.0 名
29 軒
23 軒
11 軒
6軒
5軒
74 軒
39.2%
31.1%
14.9%
8.1%
6.8%
100.0%
前回データ
1名~2名 3名~4名 5名~6名 7名~9名 10名以上
合計
平均
4.0 名
28 軒
24 軒
4軒
10 軒
2軒
68 軒
40.0%
36.0%
6.0%
15.0%
3.0%
100.0%
※ 全体の平均は前回の調査と同様の4名であった。店舗規模の変化と合わせて考えると従業員
1人当りの床面積は 23 坪/4 人≒5.8 坪から 42 坪/4 人=10.5 坪と広がっている。
2
・給与・時給に関して
エリア
初任給
3年後給与
アルバイト時給
関東アンケート平均
151,250 円
175,000 円
750 円
東海アンケート平均
116,000 円
163,667 円
740 円
関西アンケート平均
143,542 円
171,895 円
762 円
全国アンケート平均
140,286 円
169,467 円
741 円
☆☆ 参考データ ☆☆
※一般的な新卒初任給データ
高校卒
専門学校卒
短大卒
大学卒
162,900 円
172,546 円
171,109 円
202,202 円
資料:労務行政研究所「決定初任給調査」(07 年度)
※コンビニ時給
※最低賃金(07 年度)
エリア
S社
L社
エリア
時給
東京
800 円
800 円
東京
739 円
愛知
750 円
800 円
愛知
714 円
大阪
920 円
860 円
大阪
731 円
資料:各コンビニホームページより
資料:厚生労働省ホームページより
・休日に関して
アンケート平均年間休日数
サービス業
卸・小売業界
82.7 日
111.7 日
102.4 日
資料:労働産業局ホームページより
※他業界との開きが大きい結果となった。閑散日・閑散月などのデータを基に休日の再考の
必要性もあり。
3
【考 察】
ペットサロン(美容サービス)の特性
ペットサロンの主たる『商品』は美容サービスである。美容サービスは『無形の商品』である。
ここで言う『無形の商品』とは、
『美容技術』であり『接客サービス』であり、『雰囲気・システム』
の事である。ペットサロンではコンビニやスーパーの様に画一された『商品』『モノ』を販売してい
るのではなく、人が作り出した付加価値を『商品』として販売しているのである。
料金<価値=満足
と言うように、人が美容技術・接客サービス・雰囲気・システムを作り、その付加価値を何処まで引
上げる事ができるかがペットサロンの盛衰に大きく影響するのが我々ペット美容業界の特性である。
これ程、
『経営者の姿勢』並びに『従業員の努力・意欲』が営業業績に結びつく業種はないのではな
いか?しかし、上記のアンケート結果並びに参考データを見てみると、ペットサロンの現状と他業界
との比較においては、まだ働く環境(他業界との比較において初任給の低さ・休日の少なさ)と言う
意味において開きがあるように思える。少子高齢化が進む中で、人材の確保はあらゆる産業で問題視
されているテーマである。単にペット業界内だけの労働条件だけではなく他業界との比較も行い、自
店の労働環境・待遇が有能な人材を確保出来うるかどうかの見方も必要である。
美容業特性から考えて、むしろ言うならば、他業界以上の労働条件を創り出すと言った基本的な経営
姿勢が必要であろう。そして、
『価値』を創り出す根源である『人』が集まる店作りが必須課題とされ
る。
■項目別集計(店舗規模別)
no
項目
1 営業時間
60 坪以上
10 坪以上
10 坪未満
全体
9 時間 36 分 9 時間 44 分 8 時間 51 分 9 時間 10 分
2 スタッフ数
8.8 人
6.0 人
3.2 人
4.5 人
3 トリマー数
3.4 人
4.3 人
2.6 人
3.1 人
4 家賃
683,333 円
355,333 円
131,375 円
251,360 円
5 給与初任給
151,000 円
145,500 円
135,000 円
140,286 円
6 勤続 3 年給与
178,750 円
184,300 円
157,875 円
169,467 円
713 円
743 円
745 円
741 円
7 時給
4
8 美容売上
1,251,200 円 1,059,914 円
660,458 円
9 商品売上
3,884,800 円 1,487,672 円
250,092 円 1,065,856 円
10 ホテル売上
186,800 円
11 月商合計
245,514 円
132,956 円
824,806 円
174,493 円
5,900,000 円 3,363,741 円 1,596,250 円 2,738,402 円
12 美容客単価
4,779 円
4,161 円
4,457 円
4,415 円
13 商品客単価
2,833 円
2,589 円
3,988 円
3,473 円
14 生体客単価
102,667 円
88,000 円
80,833 円
88,067 円
2,600 円
3,315 円
9,582 円
7,003 円
16 平均美容頭数/月
273 頭
272 頭
147 頭
192 頭
17 最繁忙月美容頭数
405 頭
338 頭
233 頭
280 頭
18 スタッフ 1 人当り商品売上/月
441,455 円
249,331 円
78,228 円
236,361 円
19 トリマー 1 人当り美容売上/月
368,000 円
249,391 円
257,537 円
264,361 円
80.3 頭
63.9 頭
57.4 頭
61.7 頭
15 総売上客単価
20 トリマー1人当りトリミング頭数/月
(注)各項目の有効回答数に違いがある為、列計に誤差あり。
☆☆ 参考データ ☆☆
・前回アンケートデータと今回データとの比較
項目
前回データ
今回データ
前回比
初任給
124,600 円
140,286 円
112.6%
美容売上/月
843,037 円
824,806 円
97.8%
4,691 円
4,415 円
94.1%
スタッフ 1 人当り商品売上/月
248,439 円
236,361 円
95.1%
トリマー 1 人当り美容売上/月
232,265 円
264,361 円
113.8%
49.9 頭
61.7 頭
123.6%
美容客単価
トリマー1人当りトリミング頭数/月
※人間美容サロン…美容師1人当り美容月売上推計 約37万程度
※各項目により有効回答数に違いがある為、列計に誤差があり。
5
【考 察】
今回と前回のアンケートを比較してみると、月平均美容頭数は伸び、トリマー1人当りの美容
頭数も伸びており、作業効率も上がっていると見られるが、客単価の低下傾向もあり、売上はダ
ウンしている結果となった。一方、人件費は他業界から比較すると低いが伸びている。当然、家
賃・テナント料の上昇も考慮しなければならない。これらの事はペットサロンの収益性の圧迫を
示すものである。客単価の低下の原因として考えられるのが、この12年間で美容主要犬種が変
化してきた事が挙げられる。
・参考資料:2003~2007年JKC年間登録頭数ベスト10
年度
no
2003年
犬種
犬種
2005年
登録頭数
犬種
2006年
登録頭数
犬種
2007年
登録頭数
犬種
登録頭数
1 ダックス
177,144 ダックス
159,272 ダックス
138,163 ダックス
116,505 ダックス
93,073
2 チワワ
73,684 チワワ
80,923 チワワ
86,343 チワワ
86,752 チワワ
82,658
3 プードル
29,629 プードル
42,876 プードル
57,686 プードル
70,769 プードル
79,981
4 コーギー
28,494 ヨークシャテリア
23,741 ヨークシャテリア
25,054 ヨークシャテリア
23,787 ヨークシャテリア
21,486
5 シーズー
25,899 パピヨン
23,003 パピヨン
23,230 ポメラニアン
20,856 ポメラニアン
19,990
6 ヨークシャテリア
24,234 コーギー
22,783 シーズー
19,285 パピヨン
19,663 パピヨン
16,944
7 ラブラドール
21,884 シーズー
21,907 コーギー
18,426 シーズー
17,188 シーズー
14,801
8 パピヨン
21,836 ポメラニアン
16,315 ポメラニアン
17,840 シュナウザー
17,089 シュナウザー
14,022
9 ポメラニアン
16,929 ラブラドール
15,895 シュナウザー
16,850 コーギー
14,382 ブルドッグ
13,124
15,736 シュナウザー
14,980 マルチーズ
12,167 ブルドッグ
12,932 マルチーズ
11,284
10 柴
合計
2004年
登録頭数
146犬種
575,792 151犬種
561,713 148犬種
554,141 145犬種
533,941 144犬種
491,429
データ:JKCホームページより参照
上記参考資料の通り、ダックス・チワワといった小型・短毛犬種の台頭が少なからず影響している
ものと考えられる。地代・家賃・人件費・光熱費などは経営するうえで業界を問わず一定の条件と
考えると、環境の変化による売上の低迷をどう打破して行くかが鍵である。
前回の調査時より伸びてはいるがトリマー1人当りの月美容売上の 264,361 円は人間の美容サロ
ンの美容師1人当り推定月美容売上の 37 万と比較すると経営効率的に、まだまだ低いと言わざるを
得ない。 更に、商品売上に関しては、スタッフ1人当りの商品月売上で見てみると大規模店の 441,
455 円、小規模店の 78,228 円では、5.6 倍もの開きなる。
(特に、小規模店については小売の在り方
について再度見直して売上の拡大を図り、そこから生み出される利益をスタッフの労働条件を向上
させる原資の1つとすべきである。=好循環の要因)更に、月平均美容客数で見ると大規模店は 273
人の美容の顧客があり、小規模店では 147 人である。美容顧客数での商品売上客単価を求めますと大
規模店では 14,230 円(P5.⑨商品売上〔60 坪以上〕3,884,800 円÷273 人)であり、小規模店では 1,7
01 円(P5.⑨商品売上〔10 坪以下〕250,092 円÷147 人)となる。その差は実に 8.3 倍にもなる。
大規模店では商品の販売スペースの広さ・商品購買のみの顧客がいる事を差し引いても、小規模店の
商品売上がドッグフード3㎏の価格にも及ばないのは淋しいと言えるのではないか。少なくとも顧客
の来店もしくは送迎時でのコミュニケーションがあるのであれば、スタッフ1人当りの生産性の向上
という点で一考を要する課題である。店舗規模の大小に拘わらずスタッフ1人当りの生産性向上はサ
ロンの利益向上につながり、結果として人への投資、店舗への投資、顧客への還元が可能となりサロ
ンの活性化が促されると言える。
<次号に続く>
6
Fly UP