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光が君を呼んでいる! - 公益社団法人 日本照明家協会
「平成19 年度 舞台・テレビジョン照明のための公開講座」 地域講座参加レポート 『光が君を呼んでいる!』 今回の地域講座のテーマは『光が君を呼んでいる!』 。演出空間を彩る照明に魅せられ、この職種を一生の仕事と しようと参加を決意した気概溢れる受講者たち。その受講者に対し、 (社)日本照明家協会が全国で行っている公開 講座共通のこのテーマはまさにうってつけなのでは。 昨年度の東京支部地域講座では、特別講座担当の須賀先生によって影絵ではあるが役者に仕立て上げられた N.G.C.メンバー。そのアクターの1人であった野口が今年度の地域講座に潜入し、見て感じたままを報告させていた だきます。間違いもあるかと思いますが、どうぞご笑覧下さい。 いざ講座会場へ 地域講座のポスターに一言 平成 20 年 1 月 30 日。早朝に東京を出発し、東京支部地 ロビー周りの準備を手伝いに行くと、小ホールへのガラ 域講座会場最寄り駅の「宇都宮」には余裕を持って到着。 ス扉前に今回の地域講座のポスターが出迎えるように準備 会場となる「宇都宮市文化会館」には駅から車で 10 分程の されていました。ここであえて苦言を申せば、このポス 距離ですが、ちょうど通勤時間とぶつかり少し時間がかか ターには講義内容が記載されていないため内容が分からな りました。それでも集合時間のだいぶ前には着きました。 い。講師の先生が何方なのかわからないのも残念です。ポ が、会場となる小ホールではすでに受付準備やサスへの吊 スターは全国共通として使っているため表記出来ない部分 り込み・回路とり・DMX の配線などの作業が始まってお があることは致し方ないのですが、せっかく興味を持った り、自分が正しいはずなのに遅刻した気になり、大変申し ポスターに「続きは web で」といった具合に書いてあるの 訳ない思いで一杯になりました。 早速、仕込みを手伝おうと舞台袖に行くと、昨年度の地 域講座で同じアクターの 1 人と再会。仕込みそっちのけで 話し込んでしまい、何のためにお手伝いに行ったのか分か らなくなりました。また再会と言えば、栃木の N.G.C. メ ンバーである本澤さんとも久し振りにお会いして話し込ん でしまい、本当に何しに行ったのか分からなくなりました。 受講者が会議室で講義を受けている間に、午後に使用す る小ホールの準備を行いました。仕込みは簡単なもので基 本的な地明かりや立ち上げ用の回路出しなどは、会場であ る宇都宮市文化会館職員の和気さんの指示のもと(要する に簡単な仕込みのため仕込み図なしの口頭指示) 、現地お 手伝いである(株)ホライズン、 (株)ハーモニー、 (財)黒 磯市緑化・スポーツ・文化振興公社の方々と行い、30 日 の 4 限目の特別講義で使用する特殊機材は、機材協力をし て下さった国内の各照明メーカーの指示に従い仕込みまし た。 地域講座開催告示のポスター Journal of Lighting Designers & Engineers Association of Japan 51 は味気ないものです。そして、このポスターをそのまま縮 安全作業に関する講義 フェアのセミナーで「高所作業の安全と落下防止」という に「巨人の星」の星一徹ばりの地獄のトレーニングとしか 小ホールを使った午後の講義は、湯澤薫さんによる安全 照明現場の安全作業」という日本の弁護士によるセミナー 受け取れないような小文字なので、各支部の連絡先がとて 作業に関する講義から始まりました。私たち仕込み本番に が行われ、その時の講演内容が冊子になっています。ぜひ も読み辛かったです。このチラシ、裏面が真っ白であるよ 携わる技術者だけではなく、実演者に安全に舞台を利用し 一度読んでみてはいかがでしょうか。 りは FAX の申込用紙となっていてもよかったのではと思 ていただくための道具がいくつか紹介されました。ケーブ う今日この頃です。それと、今回のポスターとチラシは劇 ルの養生処理は舞台だとマットを用いたりしますが、海外 場などで見たことがないのですが、インターネットや当協 製品のケーブルプロテクターも紹介されました。ただ、今 会誌以外で呼びかけを行っていたのでしょうか。小言幸兵 回のような小ホールクラスの舞台にトラックが乗っても大 さて、休憩をはさんでいよいよ特別講義です。受講者は 衛はこれぐらいにしないと闇に消されそうなのでやめます 丈夫なケーブルプロテクターがあっても、場所をとってし 休憩中にロビーに置かれていた今回の機材協力をしていた が、自分が担当することがあれば気をつけたいです。 まう上、かえって危険という忠告もありました。保護帽 だいた各メーカーのカタログを持っての参加です。司会の 昼食後、N.G.C. メンバーと尽きない話を続けるため搬入 (ヘルメット)は会場で実際に使用しているものを紹介し 方から講師の松下電工エンジニアリング(株)の太田拓治 口そばの喫煙所に行くと(私は煙草をのまないのですが) ていましたが、ツバの部分が透明なものもあると補足説明 さんの紹介があり、まずはレジュメに沿って DMX-512 の 最近どうも屋外にしか喫煙所がないなど冷遇されているよ がありました。高所作業用の安全帯は、ベルトタイプのも 基礎知識という講義から始まりました。最初の部分は昨 うな気がします。隔離された喫煙スペースでも構いません のと腰・太腿にバンドがあるハーネスタイプが紹介されて 年夏に行った「チャレンジムービングライト」と重複する から、どうぞ雨風を凌げるような環境作りを劇場管理者様 いました。ここ近年のワールド・ライティング・フェアで 部分があるので割愛しますが、講義内容の途中に「劇場内 にはお願い申し上げ奉りたいものです。 はこういったハーネスなどを取り扱っているメーカーや、 イーサネットシステム」の話が少し出てきました。既存の 高所作業台(ローリングタワー)を取り扱っているメー DMX というデータ伝送システムは 1990 年の規格で、その カーの出展もあるので今年も出展していたらきちんと見て 発展した伝送システムは海外・国内と模索している状況な おきたいです。それと過去にはワールド・ライティング・ ので詳しく聞きたかったのですが、講義時間との兼ね合い 小したのが今回のチラシです。目を酷使する我々のため 外国での作業を紹介するセミナーや「法律家の目から見た 特別講義 丸茂電機(株) 「プレルーチェ」 で紹介程度で終わってしまったのは残念です。 受講者を舞台に上げて、いよいよ今回仕込んだ機材の説 明です。今回は一人で作業する場合を考え、舞台袖でサブ 丸茂電機(株)DMX 制御のディスクマシン 卓となるよう調光卓の紹介と DMX 対応の機材の紹介で、 まずは丸茂電機(株)からの紹介となりました。 替えで72本一段とすることも可能です。効果機は DMX 制 御となったディスクマシンの紹介で、フェーダーは「モー 機材紹介①「プレルーチェ」 ター速度と種板の正転」 ・ 「モーター速度と種板の逆転」そ 丸茂電機(株)の卓は「プレルーチェ」 。今回提供された ります。ディスク側で種板の正転・逆転とスイッチの切り ものは、36 本のフェーダー二段のタイプですが釦の切り 換えをしなくても袖の卓で出来るのは有難いです。 れとエフェクトスポット用のランプの都合 3 本が必要とな ケーブルプロテクター 機材紹介②「F103」 次の(株)松村電機は、協会誌の裏表紙によく広告記事 協会出版物も が載っている「F103」が調光卓として紹介されました。32 照明通論担当の大澤先生 52 Journal of Lighting Designers & Engineers Association of Japan 湯澤さんによる安全作業の講義 ロビーのカタログ置き場 (株)松村電機「F103」 Journal of Lighting Designers & Engineers Association of Japan 53 機材紹介④「イーサネットシステム」 トリを飾るのは松下電工(株)で、調光卓はノートパソ コンです。パソコンでの調光作業をしたことがない私に とっては若干抵抗があります。しかし、一番場所をとらな い機材といえばまさにこれほどのものはないです。そして 一番の目玉は、イーサネットシステムを使った配線作業で す。実際の物を私は初めて目にしたのですが、松下電工 東芝ライテック(株) 「トルスターⅡ」 (株)からの説明では「市販のスイッチングハブを用いてい くつでも回線が増やせ、好きな場所に取り口を出せます。 そして最後に変換器を用いて DMX に変えるだけです。 」と (株)松村電機 DMXワイヤレスの送信機 二次会(居酒屋にて) いうコスト的な部分を見越しての説明は、劇場管理側が今 後改修で考えても良いのではないでしょうか。当協会から 出版している『新編・舞台テレビジョン照明[技能編] 』の ほぼ全員参加しているのだから大変な人数に。乾杯の後は 中にもイーサネットシステムは紹介されていますが、実際 もう受講者も講師もメーカーさんも関係なく、親密に話し 目にすると分からないなりにも俄然興味がわいてきて、自 合って自分たちの思うところを忌憚なく話し合うという素 分の勤務地で導入しての利点や欠点を考えてしまいます。 晴らしい場所に。ただ、皆さんペースが早く、明日も講義 があるということと、せっかく良い話をして聞いたのにお 酒の勢いで忘れていないか不安でした。 二次会には講師と現地お手伝いさんで会館近くの小さ 東芝ライテック(株)DMX 制御のディスクマシン な居酒屋に行ったのですが、やはり飲みにケーション(死 語?親父ギャグ?)は、いいなぁと思いました。ジャンル (株)松村電機 DMXワイヤレスの受信機 の違う大先輩たちの経験談・失敗談はそうそう聞けるも のではありません。私も頭をぽかぽか叩かれましたが、こ 本二段とフェーダーはやや少なめですが、300 シーンの記 の飲みでは良いお話が聞けました。そういえば、以前会社 憶はこのクラスでは有難いです。それよりも個人的には でみた協会誌には「全国うまいもの店」というグルメコー DMX ワイヤレスが気になりました。配線の問題をクリア ナーがありましたが、そういう劇場近くのおすすめのお店 するためのワイヤレスですが、無線であるが故の話もち が分かる記事がもう一度読みたいものです。 らほらと小耳に挟んでいたのでどの様になっているか気に ディスクマシンの制御部分 松下電工(株)のイーサネットシステム なっていました。ただ、やはりメーカーとしては言えない 幻の機材 部分もありましたが、その他の説明という形で面白いと 思ったのは、ワイヤレスが弱い・届きにくいではなく劇場 大勢で乾杯 明けて翌日 31 日は、1 限目が終わるまでなにもすること た。客席や建物はデザイン重視になりつつあるから、その さて、講義終了後に明日の講義のため仕込み替えをし の講義なのに結構欠落している知識があることに驚きまし ための弊害はよく聞きます。照明家もそういった建てると て、懇親会会場へ。今までは会館内の会議室でよくありま た。有資格者に対してもう一度復習する機会があってもい きの会議に参加させていただきたいものです。とにかく乱 したが今回は近くの居酒屋にて開かれました。受講者が いかもと思いました。 の客席の造りが電波を乱反射させてしまうということでし がないので客席で講義を聞いていると、自分も受けたはず 反射への解決方法として受信アンテナが 2 本あるというこ 講義終了後、撤収作業を開始しようとすると劇場職員 とですが、見た目が大きく少々場所をとるのではと感じま の和気さんが寂しそうに「結局この機材を紹介してもらえ した。 なかった」とぽつりとこぼしました。それは丸茂電機(株) 東芝ライテック(株)DMXワイヤレスディムスターの受信機 の『オーバルビーム』という会場にいたどのメーカーの方 機材紹介③「トルスターⅡ」 も知らないという幻の機材で、一見すると凸スポットの と同じように DMX 制御による効果機の紹介でディスクマ ボディに狭角フレンネルレンズが入っているようなのです 続いて隣に控えしは、東芝ライテック(株) 。サブ卓は シンがあったのですが、これは 1 本のフェーダーで「モー が、このレンズにはさらに真っ直ぐなスジが入っていて、 「トルスターⅡ」で、フェーダー数 48 本二段のもので今回 ター速度と種板の正・逆転」が出来て、それにランプなの このスジを横にして出た明かりはカッタースポットで切っ 来ている中では一番のフェーダー数です。 (株)松村電機 で従来通り都合 2 本で済むのは大変有難いです。正転・逆 たような横に長い長方形に。会場では花道当ての機材とし と同じく無線 DMX システムの紹介がありました。機材と 転の切り替えは、フェーダーの 50 から始まり、そこから て使用しているそうです。色枠を入れる場所から手を入れ しては場所をとらずスリムなのですが、そのために飛ばせ 100 に向けて上がれば正転とモーターの加速となり、下が てレンズを回し、縦スジにすれば客席通路を綺麗に染める るチャンネル数にはやや不満が残ります。丸茂電機(株) れば逆転とモーターの加速です。 54 Journal of Lighting Designers & Engineers Association of Japan 懇親会会場 ことも出来る縦長に。ただ、工場から出荷される際、大体 Journal of Lighting Designers & Engineers Association of Japan 55 丸茂電機(株)オーバルビーム 丸茂電機(株)オーバルビーム投光 私の会社でもそのうち後輩が入ってきます。その時こう いう講座があるときちんと紹介して、会社で一人ではな く、連綿と続けられるように熱意ある人になりたいです。 この時のメンバー数人と一週間後に新宿で再会して、鍋を つつきながら酒を飲み照明談義に花を咲かせるという機会 がありました。会社だけではない照明家の知り合いが出 来るということは、自分のやっていることに迷いがあった ときに大いに励みになります。そういう意味では協会を通 じてさらに横のつながりが出来たことは大変有難いことで す。それは今の東京支部 N.G.C. メンバーと知り合えたこ とも同様です。 丸茂電機(株)オーバルビーム内部 普段はテレビやコンサートに演劇、日本舞踊にベリーダ レンズの前にはレンズの飛散防止のための網が入っている ンスと様々な演目を担当する人間や専門学校の先生が集 ので、どのメーカーの方もこのレンズを直接回すことに関 まって N.G.C. メンバーは会議をしています。様々なジャ してはいい顔をしていませんでした。劇場に納品されたの ンルの情報交換は出来るのですが、どうしても同じメン が昭和 55 年で、今だに愛着を持って現役で使用されてい バーだけなので、マンネリ化した企画になりつつあるので るということはメーカーとしては嬉しい反面、経年劣化が はないかと危惧しております。それでも、より良いものを 心配なのではないでしょうか。 提供できるように精進していきたいです。そして、大先輩 方に笑われないように、自分が疑問に思っていることをど 熱意ある人に 〜講座によって得たもの〜 んどん勉強できるような、自分が参加したいと思えるよ 2 日間にわたる公開講座を終え、効果測定の採点作業を 一緒に企画や活動をしていってくださる N.G.C メンバーを していて思ったのは、やはり熱意を持って今回の講座に臨 随時募集していますので、是非是非参加してみてはいかが んでいるからこそみなさん良い結果がついてきているなと でしょうか。心よりお待ち申し上げております。 うな企画(わがまま)をしていきたいです。そのためには、 いうことです。 せっかくギョウザの街に行ったのだからとギョウザをたらふく食べ、 地元のギョウザ地ビールを飲み、帰りの電車内で新聞を読むまで今世 間ではギョウザによる食中毒の問題が取り沙汰されているとは知らな かったN.G.C.コアメンバーの、野口が報告させていただきました。 56 Journal of Lighting Designers & Engineers Association of Japan