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Instructions for use Title トウモロコシの登熱 - HUSCAP

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Instructions for use Title トウモロコシの登熱 - HUSCAP
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トウモロコシの登熱に関する研究 :Ⅰ.スイート種の子
実水分含有率について
吉田, 稔; 渡辺, 勝敏
北海道大学農学部農場研究報告 = Research bulletin of the
University Farm Hokkaido University, 21: 36-52
1979-03-20
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/13355
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
21_p36-52.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
トウモロコシの登熟に関する研究
1.スイート種の子実水分含有率について
吉田
稔本・渡辺勝敏料
ホ北海道大学農学部農学科
事寧北海製缶缶詰研究所
緒 言
(
19
6
3
)2
7
)の 60日説がある o Andrewら (1
9
5
6
は栽培条件ならびに年次変動を通じて,成熟の
) 4)
スイートコーンの絹糸抽出(以下抽糸)期以後
指標となるものは最大乾物重であることを支持し
における,子実の発達にともなう理化学的変化に
7
2
)3
1
)にいたり,
た。この考えは Johnsonら(19
ulpepperら (
1
9
2
4
)1
2)13
)の基
ついては,古くに C
子実収量が乾物増加の期間と増加速度との盈数で
0
礎的で体系的な研究がある。その内容は抽糸後 3
あると論議されるようになった。
日目までの穂重および子実重の増加,水分の連続
生理的成熟に関連して子実の組織形態学的研究
的低下,還元糖の緩徐な減少, 1
5日目を頂とする
がある。それらの多くは生理的成熟の指標として
非還元糖と全糖の単頂曲線的変化,でん粉の連続
lackl
a
y
e
rが用いられて
粒座斑あるいは黒色層 B
的増加,抽糸後 15-20日目の適食期,子実熟度の
いる。これは初め Johann(
19
3
5
)3
0
)によって記述
親指検杢,果皮の堅きの ì~IJ 器の考案ならぴに成熟
され, K
i
e
s
s
e
l
b
a
c
hら (
1
9
5
2
)3
3
)によってその構造
にともなう裂皮抵抗の増加などからなる。そして
と 形 成 に つ い て 明 ら か に さ れ た 。 Daynardら
2の文献を引用しているから,この面の研
彼らは 7
(
19
6
9
)1
4
)が そ の 発 達 と 成 熟 程 度 に つ い て 研 究
究の古さと広さが知れる。その後もそれぞれ理化
し,成熟日数と子実重とから二次回帰によって成
学的分野で多数の研究が累積され,近年はこれに
熟期を推定した。 C
a
r
t
e
rら(19
7
3
)8
)は自殖系統の
関連して成熟期の判定あるいは推定を行い,収穫
uttonら(19
7
4
)
4町
立
聞に成熟期の差異を見出し, S
期の予測を可能にし,早晩性に関する育種の精度
これを一方で、発展していた積算温度説と関連ずけ
を高めようとする研究が多くある。そしてスイー
た
。
ト種においてはこれらに附随して缶詰用としての
適正収穫期の予測が最大の課題である。
成熟期を初めて定義したのは A
l
d
r
i
c
h(
1
9
4
3
)2
)で,子実が最大乾物重に達した最初の時期で,子
積算温度あるいは有効積算温度によって成熟期
を推定する研究も古い。 Lanaら(19
5
2
)3
5
)は積算
温度時聞からスイート種の適食期を推定した。
Gilmoreら(19
5
8
)2
1)は有効温度から成熟期を推定
実水分含有率が約 65%になるまで成熟に達しな
できるとし, Gunnら(19
6
5
)2
3
)は有効温度に ED
いと述べている。そして登熟期間は品種によって
説を提出し,成熟期に 45-70日の変動があること
9.5日 の 差 異 が あ る と し た 。 Show (
19
50,
を認め, Daynardら(19
7
1
)1
5
)は 有 効 登 熟 期
51
)4
4
)
4
5
)は最大乾物期を今日用いられている生理
EFPD (収量/平均乾物増加速度)を提唱した。
的成熟と名イ寸けた。そしてそれが約 50日であると
Suttonら(19
7
4
)4
8
)は黒色層の水分が 22.6-32
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e
r
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s(
1
9
2
6
した。登熟期間については古くに A
9%に変異し,雑種の成熟速度と黒色層期までの積
がデント種は品種に無関係に 4
0日目でデント
) 1
)
算溢度との関係に強い疑問をもった。
するという,いわば一定説を提出した。このほか
Bunting(
19
7
6
)7
)は抽糸後子実乾物率 40%期まで
一定説としては, H
a
l
l
a
u
e
rら (1
9
6
1
)24)Hanway
の有効積算温度が 255Tであると結論した。
吉田・渡辺:トウモロコシの登熟
子実水分の低下速度を扱ったものとしては
3
7
も信頼される指標となってきた。子実水分測定器
Appleman(
1
9
2
3
)5)が水分含有率による適食期の
も開発されたが,普及するほど軽便迅速なもので
推定を初めて提唱し, Ci
11
p
e
p
p
e
rら(19
2
4
) 12)に
はなかった。特殊な屈析計を用いた全可溶性固形
よって広〈試験されて以来,最も確実な直接法と
分の測定法もあるが,特殊な屈析計を必要とする。
して用いられてきた。しかしこれも環境条件と材
D
e
s
r
o
s
i
e
rら (
1
9
5
8
)1川まスイート種の熟度判定に
i
l
e
s(
19
5
8
) 38)は 子 実 水 分
料によって変動し, M
水分と果皮の含量を用いた関係式を提唱した o
26%をもって成熟期とし, C
r
a
n
eら (
1
9
5
9
)1町立水
Kramerら(19
6
2
)34)はスイート種の熟度判定に水
分低下が果皮透過性の強いほど早いとし, T
r
o
y
e
τ
分含量,果皮含量および穀粒の大きさを組合わせ
ら (
1
9
71
) 51)は水分低下速度の差異が琶葉の構造
た三元試験法を開発した。 Twiggら (1
9
5
6
) 52)は
に関係するとし, H
i
l
l
s
o
nら (
1
9
6
5
) 28)は水分低下
アルコール不溶性固形分と果皮の含量ならびに子
速度が単交配雑種間で有意な差があり,生理的成
実の大きさを組合わせた三元試験法を開発した。
期は 53-61日に変異する結果をえ
熟の乾物 95%
これは精度が高いが時聞がかかりすぎた。 Weiら
た。これらは前記の遺伝的に一元的で、あるとする
(
1
9
6
7
) 54)は二つの迅速試験法を発案した。その
説に対し,水分生理の上から変動するという説で
一つは子実をつぶし二層のチーズクロス中で圧搾
ある。
このほか古くから品種の早晩性が成熟期間と宮、
19
3
5
)47)は
接に関係するという説がある。 Smith(
自殖系統聞に成熟期の差異があることを認め,
し,汁液の密度を 5
0m
-e比重瓶で制定する 他の一
Q
つはでん粉を取除いた後屈折計で可溶性図形分を
測定する。
これらを総括すると,熱性,生理的成熟,粒座
R
a
t
h
e
rら(19
4
0
) 42)は発芽期から成熟期までの日
斑,積算温度,乾物最大期,水分含有率ならびに
数が品種を類型化する要因として信頼性が低し
固形分あるいは果皮の含有率のすべてが成熟程度
それは年次と地域によって変動すると論じた。
の推定に利用できるが,それぞれ多様な結果が提
D
e
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s
u
r
e
a
u
x(
1
9
4
8
) 18)は 4系統で成熟期間に 4日
示され,正確を期すには自らその地域と材料の情
の差異があり,早生種は急速に成熟すると記述し
報をえるほかはない。
anEynatten(
1
9
5
7
) 53)と Mohamed(
1
9
5
9
た
。 V
も同様な結果をえ, G
i
e
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b
r
e
c
h
t(
19
6
0
)2町立抽
今日のスイートコーンの消費は急速に伸び,食
) 39)
品の多様化とともに加工用も著しい発達をみると
h
a
糸まで日数から成熟期間を推定した。そして C
思われる。北海製缶缶詰研究所では以前から主要
s
e(
1
9
6
4
) 町討由糸がおそく水分低下の早いもの
品種における抽糸後水分含有率の推移を決定し,
は,抽糸が早〈乾燥のおそいものより多収であっ
適食期の判定に寄与してきたが,同一品種にもか
たという。
かわらず年次間変動が著しいという経験に基き,
以上のほかに糖,デギストリンおよびでん粉な
どの化学成分変化に関する研究も多数にのぼ、る
この面の基礎研究を計画し,いくつかの知見をえ
たので報告する。
が,本研究に直接的関係がないため割愛する。
材料と方法
今日のスイート種はほとんどが交雑種であり,
高収量で成熟は均様であるから加工用に好適で、あ
る。しかし高品質の製品をえるには高い精度の熟
1.試験場所北海道大学農学部附属農場精密圃
場(札幌)および北海製缶缶詰研究所(石狩)。
度判定が必要である。熟度測定には, (1)肉視検
2
. 供試品種 表 1に供試品種の播種から抽糸ま
査
, (2)水分, (3)果皮の硬さと量, (4)全可
で日数および粒列数を示した。
溶性固形分, (5) 不溶性多糖類, (6) 果汁およ
3
.播種期
1
9
7
6年 5月 1
3日(札幌)および同年
び (7)比重による測定法がある。かつては肉視
5月 1
7日(石狩)。
検査とくに親指の爪による検査が一般的であった
4
.栽植密度畦巾 7
5c
m,株間 30cm。
がこれは個人差が大きい。水分含量がこれまで最
5
. 施肥
1
0アール当り N 8
.
0k
g, P20
5 8
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北海道大学農学部農場研究報告
第2
1号
Table 1
. Varietal characteristics
Row Number
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kg,KzO 8.0kg 全量基肥播溝施用。
た。当年度の北海道の稲作は冷害を受けた。それ
6. 区
市
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はこれまでに例の少い 8月における低温が原因で
1区 5畦
,
1畦 45株
3反復乱塊法。
7
. 調査 全個体の抽糸期を決定,抽糸後 5日間
あった。そして 7月中に出穏期を迎えた水聞は平
隔で l区 4個体について,穂長,穂、径,粒列数およ
年作となり
び 1列粒数の調査,百葉,穂柄,穂芯および子実
穂遅延から大なり小なり冷害となった。このよう
の部位別に生重と乾物重を測定した。試料は 9時
な条件で 7月下旬から 8月に抽糸期を迎えたス
8月に入って出穂し始めた水田は出
から 1
0時の間に採取し区ごとに順次解体,生重測
イー卜種は,登熟が比較的緩徐にすすみ,適食期
定後直ちに 8
0C強制通風乾燥器で 7
2時間乾燥し
間が長<.乾物収量も比較的高いという好結果と
乾物重を測定した。
なった。
0
結果と考察
2. 抽糸期
抽糸期は一般に平均抽糸期をもって
示し,平均抽糸期は 50%抽糸期をあてる。本試験
1976年の当圃場における半句平均
では全個体の抽糸期を決定し,抽糸期を同じくす
気温,半旬降水量および 1946-1975年の 30年間
る個体を同時に採取する必要があった。そして抽
平均値による半旬平均気温を図 lに示した。播種
糸の早過ぎる個体およびおそ過ぎる個体のいずれ
期に土壌水分が不足したばかりでなしその後 5
も部分的不受精の危険があり,最盛期の個体を用
1. 気象概況
月末まで降雨がなく発芽はやや不良で¥初期生育
いる必要があった。それで明らかになったことは
は順調で、なかった。 6月は土壌水分も十分となり
抽糸最盛期以後に予想以上の長期にわたって多数
気温も平年並に経過し,生育も順調となったが,
個体が抽糸することである。図 2に当農場におけ
7月はやや降間が少なかったため草丈と梓長は平
る 9品種の抽糸期分布を示した。いずれの品種に
年に比しやや低<,生育の不揃いもやや認められ
おいても明らかな単頂分布を示したが頂までに約
3
9
吉田・渡辺:トウモロコシの登熟
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品種も抽糸後 1
0日目まで急速に伸長し,早生 2品
るいはそれ以上にわたって抽糸を続ける。また頂
種 GoldenBeauty(GB と略記)と 72-1707(72と
までの期間は図内に示した抽糸始期と平均抽糸期
略記)および中生 3品種 QueenAnne(以下 QA),
から知れるように,晩生品種が早生品種に比較し
Mellogold (以下 Me) と Exp.2580 (以下 Ex) は
50%の個体が抽糸するものの,それ以後
て遅れ,そして頂以後の抽糸期間も長い傾向が認
1
0日目でほほ、最大値に達し,その他の晩生品種
められた。
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e(以下 Ju),GoldenShipper(GS),Golden
3
. 穂長 穂長の推移は図 3に示した。いずれの
CrossBantam(
GCB)および GoldenCharm(GC)
4
0
北海道大学農学部農場研究報告
第2
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は1
5日目に最大値に達した。そして早生,中生お
は比較的小な群であり,これらの特性は抽糸後 5
よぴ晩生の順に穂長が大となった。また抽糸後 5
日目にして明らかに表現され,さらに前述した早
日目の穂長は GBがとくに短いが,早生が必ずし
生品種が早期に決定する特徴を示した。
も小ではなし 7
2は 5日目の穂長が最大である。
5. 全雌穂重全雌穂、重の推移を図 5-aに示し
しかし晩生品種は概して発達がよしとくに 1
0日
た。いずれの品種も漸近線的に推移した。抽糸後
目から 1
5日自の聞の生長量が最終穂長に強〈関
5 日目にすでに有意な品種間差異があり, 7
2と
与している様相を呈する。
GCが他に比し大で,その後品種間差異はしだい
4
. 穂径 図 4にみるとおり全品種が漸近線的に
に大となった。早生 2品種は抽糸後 2
0日目にほぼ
推移する。抽糸後 1
0日目までは早生 2品種の発達
最大値に達したが,中生 3品種は抽糸後 3
5日目に
が他品種に比較して良<.抽糸後 2
0日目に最大値
最大となり,晩生品種は抽糸後 4
0日目あるいはそ
に達した。他の中生および晩生品種は抽糸後 3
5日
れ以後に最大値になった。晩生品種のうち粒列の
目まで明らかな増加を続けた。穂径は品種特性の
比較的少い GCBとGSは抽糸後 3
0日目で最大値
一つであり供試材料のうち中生品種の Meと Ex
近い値となり,その後の増加は少し粒列の多い
ならびに晩生品種の J
uと GCは比較的大な群,他
晩生品種 J
u,GCと中生品種 Meは抽糸後 1
5日目
吉田・渡辺:トウモロコシの登熟
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Fig.6-a.
いが 1
5日目以後の増加速度が大でとくに高い値
に達した。このような品種間差異はあるが,生重
に比し概して類似するから,生重の場合の 2
0日目
以後に次第に拡大した大きな品種間差異は水分量
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によるものである。
6
. 子実重
図 6に子実生重の推移を示したが,
一般に S字曲線的である。抽糸後 5日目から早生
品種 7
2だ け が 有 意 に 高 し そ れ は 抽 糸 後 2
0日目
2は 2
5日目以後の増加量が
まで続いた。その後 7
少<4
0日目以後に他品種より劣った。 7
2を除く
5日固まで大差ないが, 2
0日目に
品種は抽糸後 1
は明らかな品種間差異が認められ,早生および中
生品種が晩生品種にまきった。 2
5日目には早生品
20
。
Fig.6-b.
種 GBの増加程度が小となり, 3
5日目以後には多
列品種がほぽ直線に近い増加程度によって高い値
に達し,残る少列品種はそれらの中聞を示した o
子実乾物重は抽糸後 1
5日固までの増加程度が
小で,その後急速で直線的な増加を示した。早生
までの急速な増加によって他品種にまきり,その
品種 7
2は前項の場合と同様 2
5日目まで他品種に
後の増加量も大でとくに高い値に達した。このよ
5日目には
比し高いが,その後の増加程度が低く, 5
うに雌穂重は早晩性と関係があるばかりでなく粒
最低値となった。 GBも こ れ に 近 似 す る 経 過 で
列数によっても支配される傾向を示した。
あった。晩生品種はいずれも 2
0日目まで増加程度
雌穂乾物重(図 5-b) は生重と異なり, 7
2を
が小さいが,その後は早生品種にまさった。中生
除く全品種で抽糸後 5
5日目までほとんど直線的
品種 QAと Ex もおよそこれに準じたが
に増加した。早生で多列品種の 7
2は抽糸後 2
5日
後期の増加量が大で 5
5日目には全品種中最高値
目までとくに高いが,その後の増加程度は小で折
に達した。抽糸後 3
5日目以後における全雌穂乾物
Meは
曲れ線的推移を示し,最終的に初期から低かった
重はこの子実乾物重に強〈支配されていることが
早生少列品種 GBと同じ値となった。これは基本
わかる。
的に本葉数が少く光合成量の少い早生種のうち,
多列であることが蓄積速度を早めたと考えられ
7
. 芯生重 芯生重はすでに抽糸後 5日目で明ら
5日目ま
かな品種間差異があり,多列品種で高< 1
る。晩生品種 GCと中生多列品種 Meは初期に低
で急速に増加し,その後 3
5日目までほとんど変動
北海道大学農学部農場研究報告
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カ なしその後やや減少する推移を示した(図7)。
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晩生の多列品種 GCは抽糸後 5日目に,供試品種
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中では小な方であったが, 1
5日目までの生長がい
ちじるしく全品種中最大となり,中生品種である
が同じく多列な
Meでこれにつぐ生長が認められ
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た。早生 2品種ならびに少列品種では 35日目以降
の減少が比較的大であった。これは後にも触れる
l
まかりでなく, 炭水化物が子実へ移行したことを
が,少列品種における水分損失度が早<,多列品
示唆する。
種はおそくまで芯に水分を保持しているという特
以上のほかに雌穂内部位として穂柄と絹糸があ
徴を表わしている。乾物重はとくに図示しないが,
る。しかしそれらは全体に占める割合が少し著
生重とやや異なりおよそ抽糸後 3
5日固まではほ、
しい変動もなく、さらに品種間差異も顕著なもの
直線的に増加し続け,その後はぽ一定の値をとる
はない。これらの概況は次項の百分比の推移で述
傾向がある。これを生重と対比するとき,生重が
べる。
最大値となる抽糸後 1
5日目以後に消失した水分
9
. 雌穂、内部位別百分比の推移 上述した雌穂内
と等量の乾物が集積したことを示す。この点で晩
各部位が全雌穂、重に占める割合の推移を生重およ
生多列品種 GCは最も多くの同化産物を芯の構成
び乾物重基礎で検討したが,概して品種間差異が
材料に消費し,同じ多列ながら早生の 7
2はそれが
小で,スイート種として一元的に説明し得るもの
最も少い。したがって子実と芯の比率を検討する
であった。ここには乾物基礎のものだけを図 9に
必要がある。
かかげた。図中には全品種平均値のほかに早生品
8
. 芭葉重
琶葉は図 8にみるように雌穂内各部
種の平均値と晩生 4品種平均値もあわせて図示し
位のうち最も早く最大値に達する。他部位と同様
た。抽糸後 5日目にぱ約 50%が琶葉で占められ,
抽糸後 5日目に品種間差異が表われ,早生の 7
2と
ついで芯,穂柄,絹糸および子実の順であった。
GCが他品種に比し有意に大であった。こ
その後子実が急速に増加し,芯と穂柄は大きな変
れは品種特性といってもよい。早生および中生の
動がなく,芭葉と絹糸が減少した。 5
5日目には子
5品種は抽糸後 1
0日目に最大値となり,これに反
実が約 60%を占め,ついで初期と同様に芯が約
し晩生 4品種は 15-25日目の聞に最大値となっ
20%を占め,琶葉は著しく減少して 20%以下と
た。最大値以後はすでに述べた雌穂内各部位と異
なった。子実水分含有率を問題にする場合は,雌
なり,次第に低下した。乾物重(図省略)も類似
穂内にある水分量が重要な役割をはたすから,こ
した推移をとるが,最大値の水準が高い品種ほど
こに示された芯の安定して比較的高い割合は無視
成熟にともなう減少量が大で,生重と対比すると
できないと考えられる。早生品種は抽糸後 30日固
き水分が最大量に達した直後に消失し続けること
までの子実発達が比較的よし琶葉は比較的少く,
晩生の
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この時期以後は逆に比較的劣り,晩生種はこの反
対の傾向にある。これは早生品種が子実の成熟を
急ぐ型であり, B
免生品種は登熟の初期に同化産物
を子実形成によりはむしろその容器(芯ならびに
琶葉)形成に消費する型であるといえる。
1
0
.部位別水分量 図 1
0に部位別水分量の推移を
9品種平均値で示した。子実中の水分量は抽糸後
2
5日目まで急速に増加し,その後も増加を続ける
1
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が増加程度はしだいに低下した。そして図示して
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大となり,その後は前述のように生重と乾物重の
両者とも増加したにもかかわらず水分量は減少
し,禾穀類に一般的な成熟の過程を辿ったが,他
聞に有意差がなししかも直線的に低下した。既
の品種は少くとも 4
0日目まで増加を続けた。とく
述の各部位における重量の大きな品種間差異にも
に GC,J
u,Exおよび Meなど多列品種では急速
かかわらず,単純で一元的に示されたことはこれ
な増加が認められ,これらでは登熟の後期まで雌
をスイートコーンの基本的特徴として把握しうる
穂、への水分補給が行われることを示した。これに
もの,あるいは今日の品種がほとんど交雑種で比
対して芯と百葉における水分量は,抽糸後 1
5日目
較的狭い遺伝子給源であることを示唆している。
または 2
0日目に最大値となり,その後直線的に減
なお詳細にみると抽糸直後に品種間差異がとくに
少した。琶葉における減少程度は芯に比較してや
小で,その後次第に差が広がり,早生 2品種の低
や大であった。晩生多列品種 GCは抽糸後 2
0日目
下程度が比較的大で, B
免生品種の
における芯および琶葉の最大値が他品種に比し著
ノ
J
uの低下程度が
j
、
さ L、
しく大であったほかは両部位の水分量における品
1
2
. 剥皮雌穂水分含有率
種の関連は明らかでなしそれぞれ品種の特徴を
剥皮雌穂の水分含有率(図 1
2
)は,前項と異なり抽
示すものと考えられる。
糸後 1
0日目に早生 2品種は低下しはじめたが,他
雌穂から芭葉を除いた
図1
1に雌穂全体の水分含有
の品種は抽糸後 5日目とほとんど変化ないかまた
率の推移を示した。抽糸後のいずれの時期も品種
はやや上昇した。このように 1
0日目から品種間差
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.雌穂水分含有率
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異が表われ,その後も差を拡大しながら急速に低
に低下速度が小となるため,品種間差異は一層拡
下し, 3
5日目からは Ex,J
uおよび GCの多列品種
大きれた。適食期の水分 68-73%の期間は,早生
の低下程度が小となり,他は継続的な低下を示し
品種が 2
5日目からであるが, GBは 3
0日目で適
た。したがって 9品種の平均値では逆 S字型の傾
食期を過ぎるのに反し,同じ早生種で多列な 7
2は
向が認められた。これらは芭葉の水分発散に果た
35日目までと長かった。一方晩生品種のうち少列
す大きな役割を示唆している。
5日目から 1
0日以内で適食
品種の GCBはほほ、 2
1
3
.部位別水分含有率
0日日を過ぎてか
期を過ぎたが,多列品種 GCは 3
子実水分含有率は図 13-
aに示したようである。前項の傾向とさらに異な
ら4
0日目を過ぎるまで適食期であり, J
uの場合
り
, 5日目から 1
0日自の聞にいずれの品種もやや
は3
0日目から 45日目までの長い適食期間であっ
上昇し,その後 1
5日目に多列品種の GCと J
uは
た。このように子実水分低下程度とこれに密接な
さらに上昇したほかは低下し,品種間差異が明ら
適食期間は,登熟の初期に早晩性,中期以後に粒
かとなり,早生 2品種の低下が早し 1
5日自の値
列数が強く関与している。幸にして本年は登熟が
はほぼ早晩性の 111買に配列した。 1
5日目から 3
0日
緩徐にすすんだ年で,一つの基準年と考えられる
目までは全品種ほぽ直線的かつ平行的に低下し,
ので,水分含有率の明らかな低下の始まる抽糸後
その後はいずれの品種も大なり小なり低下速度が
1
5日目から 55日固までの値を用い,その i
斬近線
緩徐となり,多列品種の GC,J
uおよび Exがとく
的な傾向を品種ごとに曲線回帰式で表わした。そ
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てはめが成熟期とか適食期の推定に適確な資料と
なろう。
適食期間を表 lの粒列数と対比すると多列品種
れが図 14である。図中に付記した相関係数は直線
が比較的長い。抽糸後 15日目において早晩性が子
式あるいは二本の直線式より高い。また同様にし
実水分含有率に強〈結びついていることと,適食
て適食期間を求めたのが表 2である。相関係数は
期間に粒列数が関与していることを詳細にするた
全て極めて高<,登熟の経過は子実水分あるいは
め,抽糸後日数ごとに相関係数を算出すると表 3
乾物含有率からみて生長曲線的である。 Rawson
のようになる。子実水分含有率と粒列数との聞は,
ら(1971
) 4¥)は春小麦の登熟期間における子実生
抽糸後 1
0日目まで関連がなく, 15 日目以後に有
長速度に二次式 Y=el十 bt十 ct>を用し、 tmの時期
意な相関関係があり,その後相関係数は次第に高
の生長率を r (tm) = b十 2ctmで推定したが,
くなり, 35 日目から 45日目の聞では 0.1%水準で
8品種のそれらは最終収量と r=0.84の高い相
有意となる。抽糸後 40日目における粒列数と子実
関があることを見出した。このように二次式のあ
水分含有率との相関図が図 15である。一方子実水
北海道大学農学部農場研究報告
4
6
第2
1号
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子実以外の各部位における水分含有率の推移に
分と早晩性すなわち播種後抽糸まで日数との間で
ついては図 17に 9品種平均値で示した。芯の水分
0日目に 1 %水準, 15日目以
は
, 5 日目を除き, 1
は子実の場合に類似するが, 30日目までは子実に
後は 0.1%水準の高い相関関係があリ,
先んじて低下し, 30日目以後は低下程度が緩徐と
とくに 15
日目がもっとも高い。図 16に抽糸まで日数と抽糸
な久長期間にわたリ多量の水分を保持する働き
後 15日目水分との相関図を示した。このように子
をもっといえよう。子実と芯のやや急速な低下に
実水分は粒列数と早晩性の両特性が強〈関与し,
対L
,穂柄と百葉の水分含有率はかなり長期間に
しかも関与する時期を異にし,登熟の初期に早晩
わたって大きな変動がなく高い水準を維持した。
性が支配要因となり,早生品種の子実形成を急〈
とくに穂柄は 55 日目まで 80%以下になることは
特性が表われ,雌穂の発達が進んだ段階で子実の
なし同化産物の転流活性保持に好都合となって
割合が高くなるとき,
いる。また百葉は前述のように生重および乾物重
多列であることが水分を取
吉田・渡辺:トウモロコシの登熟
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0日日を頂として次第に減少したことと
はこの時期まで及んでいる。そして抽糸後適食期
対比すると弓子実水分の変化にある程度の影響が
にいたるまでの期聞が長い品種は適食期が長し
あることと, 30日目以後に同化産物が子実へ転流
たとえば抽糸後子実水分 70%期 ま で の 日 数 と 適
している可能性のあることを表わす。
食期間との聞には rニ 0.813,1%水準で有意の関
これらの部位は子実に比較して品種間差異が少
係がある。これらは前述のように子実水分低下速
い。とくに芯は有意な品種間差異がなく,穂、柄お
度を含めた登熟作用が基本的に早晩性によって左
よび絹糸がこれにつぐ。芭葉は 30日目以後にやや
右され,早生種は子実形式を君、ぎ H
免生種は子実以
J
uが高い水分含有率を保
外の部位の発達がよく多くの水分を保有し,完熟
持し, 7
2は比較的低下が早いが,これらは早晩性
種子を生産するのに長期間を必要とするといえ
とか粒列数と関係がない(図省略)。
る
。
品種間差異が認められ,
子 実 水 分 含 有 率 73%から 68%までの適食期聞
品
目問
は表 3から類推されるように,抽糸まで日数およ
議
び粒列数と密接な関係を有する。図 1
8は粒列数と
イ共試全個体の抽糸期を調査して明らかになった
適食期間との関係を示したが,両者には 1 %で有
ことは,本年の気象条件による影響を考慮、に入れ
意な相関関係がある。適食期は本年の場合早生品
でも,極めて個体変動が大なることである o この
種で抽糸後 2
5日以後であり,日免生品種では 3
5日
点については品種の早晩性その他諸形質に無関係
以後に及ぶ。この時期になると粒列が少くて水分
で,いずれも 10日以上,長いもので 1
6日にわたっ
を保持する芯ならびに百葉の容量が小さい品種で
て抽糸した。早生品種は抽糸始期後 2-5日に集
は,継続的に水分が低下するのに反し,多列で芯
中的で, B
免生品種は
と琶葉の容量も大な品種では,水分低下は停滞す
傾向を示したが,これは熟性の早いものほど初期
る。それが高い子実収量に結びつくと考えられる。
生育が比較的揃っていることを意味している。こ
図1
9は抽糸まで日数すなわち早晩性と適食期間
の点を含めて個体変動が何に起因するかについて
との関係を示したものであるが,これも有意な相
別の機会に述べる。
聞があり,すでに述べた抽糸直後の早晩性の影響
4-8日の聞に集中している
受精時の雌穂長は品種に関係なく 5-7c
m程度
4
8
北海道大学農学部農場研究報告
第2
1号
であり,絹糸は基部で発達がよく頂部はいまだ分
5
5日目には子実が約 60%芯が約 20%そして百葉
化途上にあり,基部から頂部に向って順次抽出受
が約 15%となる。
粉することはすでに報告した(吉田, 1
9
7
7
) 55)。
雌穂水分含有率はほとんど品種間差異がなし
また T
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9
7
8
)49)は穂の先端の子実は基
かっ直線的に低下した。 Gunnら(19
6
5
)23)は抽糸
部のものに比較して発達が 4-5日おくれると述
後3
0-100日自の雌穂水分含有率の回帰直線を求
べている。雌穂長が最大値に達する時期は品種に
め早生系統に比し低〈経過することを見出した。
0日目,晩生品
よって異なり,早生品種は抽糸後 1
本研究結果では 5
5日目までの範囲ながらこれと
5日目である c また芯生重および芭葉生重も
種は 1
異なり品種聞に有意差はなかった。しかし詳細に
早生品種で 1
0日目晩生品種で 15-20日目で最大
みるとその傾向はある。これに対して剥皮雌穂水
期となり,いずれもその後一定値を保つかないし
分含有率は曲線的低下を示すとともに品種間差異
はやや減少する。このような品種間差異は早生品
も明らかとなった。さらに子実水分含有率は明ら
種において同化産物の子実への分配率が高し子
かな曲線的低下を示し,抽糸後 1
5日目には早晩性
実形成を急ぐという特性によるもので¥晩生種の
5日目には粒列数との強い相関関係で品種間
と3
場合は生殖生長期間内の栄養生長性が強し同化
差異が経時的に拡大した。このように水分含有率
産物の雌穂内の子実以外の部位への分配量が多い
は受粉後生長曲線的に進むものであり,前述した
ものと考えられる。この点で早晩性すなわち抽糸
子実水分含有率低下が直線的であるとする諸説
まで日数と雌穂重あるいは雌穂、内各部位聞の比と
は,生長曲線内の第 2相における比較的直線に近
の相関関係を,北海製缶缶詰研究所で保存する 4
2
い急速な過程を,便宜的に直線経過として扱って
品種について 1
9
7
7年に検討したところ,適食期で
いるか,登熟の進行にとって環境が十分高温であ
ある子実水分 70%期に抽糸まで日数と雌穂重と
るとか土壌水分の影響を強〈受けているかのいず
.4
5十 8
.
0
3X,r=0.651,0.1%
の聞には, Y=13l
れかであろう。また子実水分合有率が雌穂および
有意の高い相関関係があり,同じく子実重/雌穂
剥皮雌穂の水分含有率に比較して強い曲線的経過
重比との聞には r=
0.366,5%有意の相関,子実
をとるのは,百葉ならびに芯の水分保持能力また
重/
*
"
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J皮 雌 穂 重 比 と の 聞 に は Y=46.62十 0
.
3
7
8
は発散能力と密接な関係があることを示唆してい
X, rニ 0.478, 1%で有意の相関があり,芯重/
る
。 T
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7
1
)51)は琶葉が子実をとりまく
雌穂重比との聞にも Y=32.21-0.207X, r= -
空気の動きを制御し,構造が粗で短〈少数なほど
0
.
4
1
4, 1%有意の相関関係があった。これらは前
子実的乾燥の助けとなることを見出した。芭葉な
述のとおり雌穂内部位の発達が基本的に早晩性に
らひ、に穂柄の水分含有率は登熟期間中かなり高〈
よって左右されていることを示唆している。
保持されているから,子実水分含有率を検討する
雌穂生重の推移はいずれの品種も漸近線的で,
早生品種は抽糸後 2
0日目でほほ、最大値となるに
5日目まで増加が続き,
反し,多列な晩生品種は 3
に当っては今後宮葉の役割を重視する必要があろ
7。
芯の水分含有率は子実水分に先行して低下し初
品種間差異は極めて大となる。これに対して雌穂
めるが,抽糸後 3
0日目に両者ほぽ同ーの値とな
乾物重は直線的増加を示し,前者より品種間差異
り,以後は逆転して芯が比較的高い水分を維持す
が小となり一元的に示された。雌穂生重における
る経過を辿る。これは芯の水分保持能力が芭葉以
品種間差異は主として抽糸後 3
0日目以後におけ
上に子実水分と関連していることを示唆する。
る子実生重の差に基因し,さらにそれは子笑水分
の影響を受ける。
抽糸期から子実水分 73%に達するまでの期間
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nBeautyが最短で,日免生多
は早生少列品種 G
雌穂は抽糸後 5日目に琶葉乾物重が約 50%芯
列品種の J
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eおよび G
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nCharmが最長で
が約 30%を占めるが,子実的発達にともない穂柄
他はその中間であった。これは前述のように登熟
と芯の重量比は大差なし琶葉の割合が減少し,
作用は基本的に早晩性によって制御され,登熟の
吉田・渡辺:トウモロコシの登熟
4
9
中期以後は粒列数によって強〈影響されることに
実,芯および絹糸の部位別とし,生重と乾物重を
よる。このように粒列数は水分に強い影響を与え
測定した。結果の主なものはつぎのとおりである。
るばかりでなく,雌穂重に対する子実および芯の
1.雌穏長は早生品種で抽糸後 1
0日目,晩生品種
割合を左右し,粒の形状さらに収量にも関連する
で1
5日目に最大値に達した。芯重と芭葉重は早生
性質で,今後一層重要視される形質となろう
品種で 1
5日目日免生品種とくに多列品種で 2
0日目
o
適食期間は抽糸後 1
5日目以後に,子実水分含有
に最大となり,以後はやや減少した。穂径および
率が直線に近くかっ品種が平行的に低下する期間
雌穂重は早生品種で抽糸後 2
0日目に最大となる
から,緩徐な低下期間へと移行するときにあたる。
が,晩生品種とくに粒列が 1
6以上の品種は 3
5日
これはまた芯の水分が子実水分に先行する型から
目まで増加し続けた。子実重は抽糸後 2
0日目まで
水分保持型へ転換するときにもあたる。この頃に
早生品種が晩生品種に比較して高く, 30日目には
早生品種は子実乾物重のほぼ最大期を迎えるが,
早生品種の増加程度が小で,晩生品種は直線的に
晩生品種とくに多列品種はさらに乾物蓄積を続け
増加するため 3
5日以後は逆転した。
る。この点はすでに引用した子実水分低下速度に
2
. 抽 糸 後 5日目には乾物重基礎で雌穏に占める
関する多くの報告に比較して低下がおそいことと
芭葉,芯,穂柄および子実はそれぞれ約 5
0,2
0,
関係があるかもしれない
気温が登熟速度を左右
1
0お よ び 5 %であるが, 5
5日 目 に は 芭 葉 が 約
することは数多くの引用文献にてらして明らかで
15%, 芯 と 穂 柄 は ほ と ん ど 変 動 が な し 子 実 が 約
あるが,登熟作用は子実のみならず雌穂内各部位
60%になった。そして早生品種は晩生品種に比し
から水分が失なわれる過程であるともいえるか
抽糸後 3
0日目まで子実の割合が高<.以後は逆転
ら,雌穂内への水分供給および雌穂内各部位への
した。
水分の分配保持ならびに発散が問題にされるべき
3
. 雌穂の水分含有率は品種間に有意差なく直線
である。登熟過程の子実水分含有率低下と子実乾
的に低下した。剥皮雌穂、の水分含有率は早生品種
物増加とは表裏の関係にあり,子実水分低下速度
が晩生品種に比し急速に低下し, 3
5日目以後には
にはつぎの要因が関与していると考える必要があ
多列品種が高〈低下程度が小で,経時的に品種間
ろ う (1)光合成速度, (2) 同化産物の雌穂へ
差異は拡大した。官葉および穂柄の水分含有率は
の転流量あるいはその活性, (3)前者の活性を左
比較的低下が緩徐で,抽糸後 2
0日目まで有意な品
右する個体ならびに雌穂への水分供給量, (4)雌
種間差異がなしその後やや差異が表われるが,
穂あるいは子実からの水分発散機構。そして(5)
これには早晩性も粒列数も無関係である。
これらの水分生理に関与する温度の影響。
4
.子実水分含有率は早生品種て、抽糸後 5-10日
温度と水分の両要因は同じ外界要因でありなが
5日目から急速に低下し 3
5日目
で変動がなく, 1
ら,登熟にとって水分は一義的であり,温度は二
以後はやや緩徐に低下したが,日免生品種では抽糸
義的または可変的要因である。比較的取扱いやす
後1
5日まで変動が少いかまたは上昇し, 2
0日目
い温度要因が主として追究きれる現況にかんが
から 3
5日目まで早生品種に類似した低下速度で
み,総合的で、解析的研究の必要が痛感される。
経過するが,その後は他品種より一層緩徐に低下
摘 要
した。その結果品種間差異は 1
5日目から明らかと
なりその後次第に拡大した。芯の水分含有率は抽
スイート種の登熱過程における雌穂内各部位の
糸後 30日固まで子実より急速に低下し,その後は
水分含有率の推移を調査するため,早晩性および
低下程度が小で品種間差異も小さい。これは芯が
1
4品種を当農場精密囲場と北
子実の水分保持に強〈関連していることを示唆す
粒列数を異にする
海製缶缶詰研究所試験園場(石狩)に,標準栽培
る
。
条件で播種した。抽糸後 5日目から 5
5日目まで 5
5
.抽糸後 1
5日目の子実水分は早晩性または播種
日ごとに採取した雌穂について,芭葉,穂柄,子
から平均抽糸まで日数と高い相関(r=0.807,O
.
北海道大学農学部農場研究報告
5
0
1%有 意 ) が あ り , 抽 糸 後 35-45日目には粒列数
と高い相関 (40日目で r=0.704,0.1%有意)が
あった。このことは子実水分が基本的に早晩性に
よって支配され,粒列数によって強い影響をうけ
第 21号
。
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6. 適食期間(水分 73-68%期間)は抽糸後 15日
目から 55日目の水分の曲線回帰式から推定した。
早 生 少 列 品 種 Golden Beautyで 短 〈 適 食 始 期 も
早 い ( 抽 糸 後 23日)が,日免生多列品種 Golden
Charmの適食期間は長く,適食始期もおそい(抽
糸 後 34日目)。他品種はこれらの中聞を示した。
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