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2-2 商標権 2-2-1 概説 独占販売権、独占代理権 商号権・会社名・氏名

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2-2 商標権 2-2-1 概説 独占販売権、独占代理権 商号権・会社名・氏名
2-2 商標権
2-2-1 概説
■独占販売権、独占代理権
■商号権・会社名・氏名独占権
、商標出願の世界に於いても、台湾はマドリード条約に加盟していないので、第三者が不
法にに先登録を受けないうちに有効に台湾特許庁に対する出願を提起することも重要で
ある。
商標登録の出願 従来では、一出商標願は一商品や役務区分に限って複数商品や役務
の指定のもとで行われてきた。
2003 年 11 月以降から商標法改正によって多区分出願とその後の分割出願や指定商品
や指定役務の分割使用許諾が許容されてきた。 客観的に商標は顕著性を備えないもので
なければならないが、原生的な顕著性のほか、副次的な顕著性も認められる。出願人側で
は出願される商標の使用の意思を表彰する誓約書があれば出願できる。(商標法第 2 条)
商標は登録の日から登録者が商標専用権を取得する。又商標専用権は労特許法を受けた商
標及びその指定商品又は役務に限る。(商標法第 21 条)しかし権利侵害に関する侵害事
実の場合は、類似商品や役務の概念を用いて判断される。
商標権の存続期間は、登録日から 10 年間とする。(商標法第 24 条)商標は登録後、
商標の図形を任意に変更したりする場合と、正当な自由なくして使用せず、又は引き続き
使用を停止して三年を経過した場合、ならびに登記をせずに他人に使用を許諾したりする
場合、更に商標が他人の著作権、意匠権又はその他の権利を侵害した場合、利害関係人の
請求により、取り消されることがある。(商標法第 31 条)
登録商標の専用権は長年会社名称専用権、商号権又最近ではドメインネーム登録と使
用権などとよく競合してしまうが、必ずしも商標権が優先とされない。例えば、他人の著
作権,意匠専用権またはその他の権利を侵害したものは,商標登録を受けられない(商標
法第 31 条第 1 項第 4 号)。又,他人の肖像,法人及びその他の団体または全国著名の商
号名称あるいは姓名,芸名,筆名,字号を無断に襲用したものは原則上商標登録を受けら
れない。但し、商標の指定商品や役務が消防または法人の営業事項と抵触しない場合はそ
の限りでない。(商標法第 37 条第 11 号)
一方,他人の登録商標を自分の会社名または称号に故意を持って襲用するることは原
則上禁止される。侵害差止請求を受けてもなお権利侵害の行為を改めないものは刑事罰則
を受けることがある。(商標法第 65 条)。そのため、権利者は業務形態に合わせて運用対
策を早期に立てるべきである。
又、商標の著名性を立証できれば、消費大衆に対して対象商標と混同誤認を招致する
恐れがある場合、その対象商標の商標登録の取り消しの根拠となりうる。(商標法第 37
条第 7 号)改正法案では、混同誤認を要求する度合いを下方修正して、商標の名誉或いは
著名性を期害する「希釈効果」を排除する画期的な改正も実現されてきた(改正商標法第
23 条)。
■新たな法改正の雛議
商標保護に関する適用法の競合問題について、公平交易委員会(日本の公正取引委員会に
相当。通称「公平会」)と知的財産局が協議した結果、それぞれ公平交易法(日本の独占
禁止法と不正競争防止法に相当。通称「公平法」)と商標法の改正案を提出することで合意
したことが明らかにされた。国際的規範に合致するように、商標権侵害に関しては商標法
に立ち返って定めるべきであるとして、公平法における商標に関する保護規定を削除する
ほか、未登録著名商標を新たに商標法が保護する対象に加えいれ、公平法、商標法の競合
による適用法の不明確性を解消する。2006 年 1 月頃、IPOは公平取引委員会と協議を試み
て、法改正の必要性と具体的なアプローチについてヒアリングを開いた。
商標やトレードドレスなどといった識別機能をもつ知的財産への保護においては、公平法
は商標法の不足を補う位置付けにあるとされている。登録済み著名商標が商標法によって
保護されているにもかかわらず、公平法第 20 条は「関連事業者若しくは消費者の間で広
く認識されている表示」について、「商標」等を列挙している。
商標法では、商標を、文字、図形、記号、色彩、音声、立体的形状であるかこれらの結合
からなり、消費者が商品(役務)の出所を示す標識として認識し、他人の商品、役務と識
別できるものと定義している。一方、公平法第 20 条は、関連事業者若しくは消費者によ
って広く認識されている他人の氏名、商号若しくは会社名称、商標、商品の容器、包装の
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外観その他他人の商品を示す表示を規定している。
実務上、商品表示等が類似し、消費者に混同誤認を生じさせたことにより、公平法違反と
される行為に対して科される処罰は、商標法のそれよりも厳しい、というのが本末転倒で
あるとかねてから指摘されている。商標権を侵害された場合、商標法より、公平取引法の
ほうが実効的な救済を受けられるという印象を権利者に与えているだけでなく、制裁手段
が不条理になり、本来ならば司法事件として扱われるべき商標権侵害への度を過ぎた行政
権の介入というおかしな現象を生み出している。そのため、商標法と公平取引法の内容を
相互に強調できるようにそれぞれ改正する余地があると見られている。同結論に基づいて、
知的財産局と公平取引法が法改正の素案の作成に向かって取り組んでいる。
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2-2-2 商標法の実体
■ 2003 年商標法改正法要綱
旧来商標法は主に 1993 年に改正された内容からなっている。その後、WTO 加盟に備えての法
整備が進められ、1997 年に 8 ヶ条について改正が行われたが、ここ数年、産業界の競争がいっ
そう激しさを増し、企業活動が時流に逆行できず、目まぐるしく変化するなか、現行商標法で
はもはやこうした環境の変化に対応しきれないという指摘がなされている。実際、商標をめぐ
る紛争が国内にとどまらず、国境を越えて起きている。
1994 年 10 月 27 日に商標法条約がスイスのジュネーブで採択され、さらに国際登録制度の確
立を目的とするマドリッドプロトコル議定書の制度運営も翌年に始められた。商標制度の国際
的調和に積極的に取り組んできた国際社会と足並みをそろえるため、また国内においても企業
活動の実情に即した法改正の要請が高まっていることから、これまで問題とされた全ての点を
取りあげ、商標制度全般にわたって改正する新たな案を提出した。この案は公聴会の段階を経
て各界の意見を取りまとめた上で、2003 年 5 月 7 日に立法院へ上程された。その後、改正方案
が着実に国会通過し 2003 年 11 月 28 日付け施行するようになった。今回の改正は、制度の国際
調和を機軸にする上、手続きの簡素化と合理化の実現が主旨とされている。
改正案の概要
1. 商標の定義の拡大
現行商標法においては、自社商品を表示するものを「商標」、営業上の役務に使用される
ものを「サービスマーク」というが、実務上のニーズ及び商標制度に関する国際動向に対応
して、サービスマークに関する規定を削除し、商標の定義を拡大して商品及び役務について
使用される標章を総じて「商標」でカバーする。(改正条文第 2 条)
2. 規制緩和
(1)商標登録出願に係る商標をもって自社の営業を表示し、かつ当該商標を使用する意思を確
かに有することに関する規定を削除する。手続き簡素化の一環の改正である。(改正条文
第 2 条)
(2)優先権主張の手続的要件:
現在、商標登録出願と同時に優先権を主張する場合、外国での出願日、出願番号及びその出
願を受理した国の国名を明記しなければならない。そのいずれの記載が欠けていたら、優先権
を失うことになり、あとで補正することもできない。ただし、出願番号は、単に我が国での出
願と同一であることを確認するための根拠に過ぎないので、規制緩和を確かなものにするため
に、補正のできる事項と位置付ける。(改正条文第 4 条)
3. 音声及び立体商標が商標となりうる構成要件の追加
現行商標法により、平面的に表現された文字、図形、記号、色彩の結合若しくはこれらと
色彩との結合が出願の対象になる。しかし、経済活動が活発に行われ、情報伝達の媒体(マ
スメディア)及び広告デザインが日進月歩の世の中で、伝統的な表現方法ではこれらの変化
に追いつかない。したがって、当事者の権利保護を強化するため、商標の対象に音声及び立
体商標を加え入れることにした。そのため単独色彩や単純幾何形の図形などシンプルな標章
は、顕著性さえ認められれば出願の対象になり得る。(改正条文第 5 条)
4. 商標使用の定義の修正
電子商取引及びインターネットの普及に伴い、ネットワークでの商標使用とドメイン名を
めぐる紛争が相次ぎ、経済活動もグローバルな規模で行われている現状に鑑みて、現行条文
第 6 条に定める商標使用の態様ではこうした経済事情の実情に対応しきれないという問題の
抜本的解決を図るために商標使用の定義を修正する。(改正条文第 6 条)
5. 行政手続法対応の修正及びコンセント制度の導入
代理、期日及び期間、公示送達、商標主務官庁所管情報の公開、書面及び電子方式による
出願、忌避などに関して、行政手続法に規定が置かれているため、現行商標法上の関連規定
第 10 条から第 12 条まで、第 15 条、第 20 条、第 33 条、第 40 条、第 55 条第 2 項及び第 57
条を削除し、並びに一部の条文を修正する。他人の著名商標又は標章と同一又はこれに類似
するものであって、公衆に混同を生じさせる恐れがある、又は著名商標若しくは標章の識別的
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性質若しくは信用を減損する(ダイりゅ-ション)恐れがあるものは原則上商標登録にならな
いが、但し当該商標又は標章を所有するものの同意を得て登録出願がなされた場合はこの限
りでない。他人の同一又は類似の商品又は役務について使用する登録商標又は出願が咲きに
なされる商標と同一又は類似のものであって、関連消費者に混同五人を生じさせる恐れがあ
るものも原則上商標登録を受けられないが、しかし、当該登録商標又は先の出願に掛かる商
標の所有者の同意を得て出願をするものは、二つの商標及び指定商品又は指定役務がすべて
同一の場合を除き、この限りでない。(改正条文第 9 条から及び第 24 条、第 23 条第 1 項第
12 号,13 号)
6. 審査員署名制度の採用
従来では審査官が署名せずに単なる自分の人別番号を審定書または拒絶理由書に記入する
に留まっている。審査の質の向上を図るため、商標審査にあたる審査員が審査の結果につい
て責任を明確に意識すべく自分の氏名を記入するという日本の制度、及び台湾専利法(特許、
実用新案、意匠を含めて定める法)第 38 条第 3 項を参考に、査定書における審査員氏名の記
載を求める。(改正条文第 16 条)
7. 商標登録を受けることのできない事由の追加
(1)立体商標登録への制限
今回の法改正は立体的形状で識別機能のあるものを、商標として法的保護が受けられるよ
うにするものとはいうものの、その立体的形状が機能を確保するために必要とされているも
のであれば、特定の人間によって商標登録されることを認めない。機能関連性の排除に関し
てはほぼ意匠制度の主旨と同様である。(改正条文第 23 条第 1 項 4 号)
(2)著名商標(周知商標)又は標章の識別機能又は業務上の信用を減損する虞のある商標が商
標登録を受けることができない(希釈排除の機能)
1999 年 9 月に開催された WIPO 一般総会において採択された『周知商標の保護に関する勧
告決議案』は、周知商標に対する保護がその業務上の信用が毀損されるなどの場合に及ぶも
のとしている。周知商標に対する保護を強化することが諸外国の立法の趨勢であるにもかか
わらず、現行条文による著名商標に対する保護は、他人の商標と同一又は類似のものが公衆
に混同誤認を生じさせるおそれがあるときは、指定商品又は役務と関係なく、登録を受ける
ことができないと定めるにとどまり、周知の商標又は標章の希釈化については規定がない。
そのため、今回の改正をもって、その周知商標又は標章の識別機能又は業務上の信用を減損
する虞のある商標は登録をうけることができないようにする。しかし商標の顕著製が他方の
表示の存在によって希釈される事実の存在如何につき、係争の商標と表時間の類似性の認定
次第で結論が分かれるので、一層類似性認定の影響力が強まる。(改正条文第 23 条第 1 項 12
号)
(3)法人、商号及びその他団体名称を合理的に保護する。
現行条文第 37 条第 11 号について、大法官会議第 486 号解釈は、法人又はその他権利能力
を持たない団体が「相当の知名度があり」かつ「保護を受ける利益がある」に該当し、その
名称が商標法が保護する対象であるときは、権利能力があるかないかの影響を受けないと解
している。しかし、同条項によると、商標の図形が法人又はその他商号の名称と同一である
ときは、その承諾を得なければ商標登録されないものについて、商号のほうは「全国におい
て有名なものでなければならない」とあるのに対し、法人の名称についてはこのような制限
がない。前述解釈の趣旨からして、このような区別は妥当でないことから、法人、商号又は
団体を問わず、その名称が「著名」でなければならないように改める。また、法人、商号又
はその他の団体の名称と同一の商標が登録されるべきかどうかについては、公衆に混同誤認
を惹起するおそれがあるかによって判断すべきであって、商標の使用を指定された商品が法
人、商号の営む事業と同一であるかによって判断するとしている現行条文は妥当とはいいが
たい。結局法人の名称は登録商標に対抗するためには著名性が必要となり、商標登録の安定
性が強固になる。(改正条文第 23 条第 1 項第 16 号)
(4)酒類に関する地理的表示の保護強化
酒類の地理的表示に関し、TRIPS 協定第 23 条第 2 項は明確に、商品について真正の原産地
以外の地理的区域を原産地とする表示をもって、商標登録を出願することを禁止しているの
で、酒類の地理的表示が我が国においても保護されるということをはっきり示す必要がある。
台湾産の紹興酒の商標登録性が少し疑問が残る。(改正条文第 23 条第 1 項第 18 号)
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8. 一出願多区分制の導入
1994 年 10 月 27 日に商標法条約が発効して以来、一商標について多種の商品又は役務の分
類を指定することのできる、いわゆる一出願多区分制の導入が各国における商標法改正にあ
たっての大きなポイントとなっている。また、出願人にとって、分類が多岐にわたる商品又
は役務について複数の出願書をもって出願しなくて済むというメリットから、この制度を取
り入れる。ほぼ日本の現行商標法の制度を因襲するものである。出願人にとっては若干経費
節約の効果が予想されるが、但しハウスマークを除けばブランド商標の場合、個別区分ごと
に出される審査意見に対応しきれずに結局途中で出願を分割乃至して商品や役務の削除を余
儀なくされる場合も多発すると予想され、必ずしもメリットがあるとは限らない。(改正条
文第 17 条(4))
9. 分割制の導入
一出願多区分制の導入に合せて、出願人又は商標権者は必要に応じて、出願中に一の出願
を二以上の出願に分割することを申立てることができる。登録後においても、一部の商品又
は役務を分割して移転することができ、また異議申立ての決定、無効審判の審決が確定する
までに商標権の分割を申立てることもできる。登録後の権利分割も可能となっている。(改
正条文第 21 条、第 31 条)
10. 登録料及び登録料分納制度の導入
現行規定により、商標登録出願をしてからほぼ 10 ヶ月前後で査定が降りて、そのまま公告
期間満了すれば登録を受けられるが。しかし出願の際に出願料を支払わなければならない。
登録を受けるときは十年間の専用権の権利期間が満了するまで、商標の使用の有無を問わず、
登録料を納入する必要がない。しかしこれでは、登録した後に全く使用されていない商標を
有効に管理することができず、不使用商標の不当な蓄積を防ぎ、商標審査の効率を高め、さ
らにライフサイクルの比較的短い商標が市場で自然に淘汰されるようにするため、登録料の
徴収及び登録料の未払いによりもたらされる法的効果を定めたうえ、商標権者が第二期の登
録料を納めるかどうかを自ら決められるように二回払いの分納制度を新たに設け、効果的な
商標管理を図る。(改正条文第 26 条)
11. 商標権の効力が及ぶ範囲の明文化
他人が商標を使用する行為は民事或いは刑事上の責任問題に発展することになるかどうかは、
商標権の効力が及ぶ範囲にかかっている。このため、その範囲を明確に定めるべきである。原
則上指定商品や指定役務について専用権を排他的に主張することが出来るが、類似性の概念を
通して更に商標権の効力が類似性の判断次第で拡張され得る。二つの課題が残る:一、しかし、
商標登録の審査に於ける特定の係争商標間の排他効力の判断は原則上類似商標判断基準に沿っ
てなされるが、その判断基準は司法事件に於ける係争商標間の類似性の判断にもしばしば援用
されるが、司法当局と行政側の見解と理論が分かれている。行政側の登録商標のはいた効力と
司法側のそれに関する認識のずれが根本的にあるかどうかの問題。二、著名性の拡大によって
類似性の認定範囲も広がるかの疑問。(改正条文第 29 条)
12. 付与後異議申立て制度への移行、商標登録出願の時間短縮
現行制度の下では、商標権の付与は、登録査定公告の後、3 ヶ月の異議申立可能期間内に異
議申立てがなく、又は異議申立ての不成立が確定してはじめて許可される。ところが、統計資
料により、登録査定を経た出願のうち、異議を申し立てられたのは 3%に足らず、そして異議
申立てによって原登録査定が取消しとなったのはわずか 1%にとどまっていることがわかる。
要するに、登録査定を経た出願の大半は商標設定登録を受けることになる。商標の早期権利化、
登録出願の時間短縮を図るため、商標登録の査定を受けた出願人は、第一回の登録料を納入す
ることにより、商標登録公告される。また何人も当該登録商標について不適法であると認める
ときは、登録査定公告後 2 ヶ月内に異議申立てを行うことができる。(改正条文第 40 条)
13. 連合商標及び防護商標の廃止
1993 年の改正商標法第 21 条により、同一又は同類の商品に及ぶとされていた商標権の範
囲が、指定商品に限ると狭められ、これを受けて企業側がビジネスチャンスを確保するため
の連合商標出願が大幅に増え、審査の遅滞を深刻化させた。実際、連合商標は期待されるほ
ど機能しておらず、またイギリス、日本がそれぞれ 1994 年、1996 年に連合商標制度を撤廃
した前例があることから、今回の改正を機に、審査の行政負担の軽減と、権利者側のリスク
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管理の見地から、連合商標を廃止することにした。勿論商標の不使用取り消しに対抗する使
用証明の援用効果は廃止されることになる。なお、今回の改正案では、登録商標に対する保
護が商標の使用により獲得したブランドイメージのダイリューションにまで及ぶように範囲
を拡大し、これまで防護商標が果すべき役割を登録商標でカバーすることができたので、商
標制度の単純化を目指して、防護商標を段階的に廃止する。このため、現行条文第 22 条を削
除し、経過規定を設ける。(改正条文第 86 条、第 87 条)
14. 更新登録出願の実体審査の廃止
現行第 25 条第 2 項により、存続期間の更新登録の許可、不許可は、法定要件のみならず、
商標の使用状況についても審査しなければならない。このような規定は商標法条約に合致し
ない。しかも実体審査を行うには時間や手間がかかり、行政作業の効率的な進行にも影響す
る。商標の不使用を管理する目的からみても、ほかに適用の根拠となる廃止制度が設けてあ
ることから、商標が実際に使用されていないかを審査するまでもないとして、更新登録出願
に対する実体審査を廃止する。世界潮流に符号する改正事項。
15. 商標権の移転が使用許諾の関係存続に影響しない
商標の使用許諾が登録された後、商標権の移転があった場合、使用権者(許諾を受けた者)
の権利を保護するため、使用許諾契約が商標権の譲受人にも継続してその効力を有する。商
標使用許諾の優位性を明文化する改正時効である。(改正条文第 33 条)
16. 商標権移転後の使用制限
商標権の移転が可能なので、商標権が移転されたことにより、出所について消費者に混同
誤認を生じさせるおそれがある場合の使用を制限する必要がある。したがって、このような
場合においては、両者に区別がつくように適切な表示を付け加えなければならない。(改正
条文第 36 条)
17. 廃止の申立てにおける利害関係者資格制限の撤廃;一方、無効審判提起の除斥期間の増設
商標登録後、実際に使用している商標が、その登録を廃止とすべき法定事由に該当すると
きは、公益確保の観点から、公衆審査にかけるのが望ましいということで、申立てのできる
のは利害関係者に限るという制限を撤廃する。(改正条文第 57 条)商標の登録が第 23 条第
1 項第 1 号、第 2 号、第 12 号から第 17 号又は第 59 号第 4 項の規定に違反した時は、登録公告
の日から五年を経過した後は、その商標登録についての審判を請求し又は提起することが出
来ない。但し、この五年間の除斥期間の制限は、登録商標に関して第 23 条第 1 項第 12 号の
状況がある場合、当事者が悪意である時に適用しない。(第 50 条、第 51 条) また、商標登録
前、他人の著作権、特許権又はその他の権利を侵害し、登録した後、裁判所による侵害判決が確
定した時は、登録商標は利害関係者によって無効審判請求を受けることがある。しかし、当該
判決確定日から五年経過した後は、その問題の登録商標に対して向こう審判を提起すること
が出来ない。(第 50 条第 2 項及び第 51 条第 2)
18. 商標権侵害とみなされる態様の明文化--著名商標に対する保護の強化
従来では、他人の著名商標があるにもかかわらずに、その商標の全部又は重要部分を自分
の会社名や商号名、ドメイン名に録商標の同一又は類似の指定商品や役務に関してのみ使用
する状態に対して、商標権者はそれを差し止める権利が認められたが、これだけでは著名商標
の保護が無断襲用側の使用形態によって大分制限を受けることになり、周到と言いがたい状
態である。改正法はこのような不正競争に対策を提供する。他人が所有する(1)著名商標であ
ることを(2)明らかに知りながら、(3)それと同一又は類似の商標を使用し、又はその著名商
標の文字をもって自己の会社名称、商号、ドメイン名、その他営業の主体若しくは出所を表
示することにより、その著名商標の識別機能又は業務上の信用を減損するに至らしめた行為。
他方、他人の(一般で非著名の)登録商標を明らかに知っていて、その商標中の文字をもって
自己の会社名称、商号、ドメイン名、その他営業の主体若しくは出所を表示することにより、
商品(役務)を購入し或いは利用する消費者に混同誤認を生じさせる行為を明示して禁止す
る。(改正条文第 62 条、旧法第 65 条削除)
19.商標権侵害物品に関する水際措置
商標権者がその商標権の侵害に係る物品について、税関に差押えを申立てることのできる
規定及び手続き、並びに税関において差押え処分を廃止すべき、申請による保証金返還に関
する法定事由及び実施方法の制定に関する授権など関連事項を定める。(改正条文第 65 条か
32
ら第 68 条まで)
20. 産地証明標章の追加
地理的表示に対する保護を強化し、並びに TRIPS 協定中の関連規定に合致させるため、外
国の立法例を参考に、原産地証明標章が商標登録出願の対象になりうる法的根拠を追加する。
(改正条文第 72 条)
21. 団体商標の追加
法人格をもつ公会(組合)、協会又はその他の団体がその団体構成員が提供する商品又は
役務であることを明確にして、他人の商品又は役務と区別させるために標章の専用権を取得
しようとするときは、団体商標の登録出願をすることができる。団体マークとの区別も留意
すべきである。(改正条文第 76 条)
22. 証明商標、団体標章及び団体標章の不当使用の態様
標章の不当使用についての認定が標章の登録を廃止とすべきかどうかの決定にかかわるの
で、態様の多様化が疑義を生じさせないように、それを明示して明確を期する。(改正条文
第 79 条)
23. 新旧法適用の経過措置
今回は商標制度全般にわたって大幅に改正するもので、新制への移行にあたって、例えば
サービスマーク及び未登録商標の取扱い、連合商標、及び防護商標の存続期間中権利に関す
る規範、並びに異議申立て、無効審判及び廃止請求に関する審理等について明確に定める。
(改正条文第 85 条から第 92 条まで)
33
表一:商標に関する手続のフロ−図
出
拒
拒絶理由通知
願
方 式
審 査
実 体
審 査
(9ケ月)
絶
(30日内)
理
由
登 録
意見書提出
査 定
(60 日間)
未納付
登録料納付通知
審決却下
(一括納付/分割)
納付済み
(2 ケ月以内)
登録廃止
成
立
廃
止
登録公告
無 効
審 判
不 成
立
異議申立
登録料納付通知(後期)
(登録日より三年満了日
前の 3 ケ月前)
存続期間満了
更
新
34
成
立
登録取消
Fly UP