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Open Enterprise Magazine 200905

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Open Enterprise Magazine 200905
連 載
新テクノロジー・ビジョン̶第53 回
岩山知三郎/編集部
サイエンス・ライター
TechnologyVision
TENEXと電子メールの誕生
レイモンド・トムリンソン
レイモンド・
トムリンソンは、
コンピュータ間で利用できる最初の電子メールを実用
化し、
「ユーザ名@ホストコンピュータ名」のアドレス表記の創始者になった。
トム
リンソンはBBN社でタイムシェアリングOS「TENEX」の開発に従事し、TENEX
が構築され始めたばかりのARPANETのOSに選定されると、ARPANETのプロ
トコル「NCP
(ネットワーク制御プロトコル)」
を実装する役割を担った。1台のタイ
ムシェアリング・システムで複数の利用者がメールを電子的に送信するプログラ
ムは1960年代に存在していたが、
トムリンソンはNCPの機能を利用して2台のコ
ンピュータ間でメッセージを送信できるようにした。このメール機能はTENEXに
実装され、ARPANETで利用者を広げたほか、
その後にファイル転送プロトコル
「FTP」
に組み込まれた。
レイモンド・トムリンソン(1941 ∼)
Raymond Samuel Tomlinson
音声合成の研究からOSの開発へ
(c) 2009 BBN Technologies All Rights Reserved
Polytechnic Institute)
・
(Raymond
・
Samuel Tomlinson) 、1941 年
州中部
生
、
市
川 沿
北
230km 位置
、
約
約 56km北
川沿
。
会社
24
・
Open Enterprise Magazine May 2009
湖畔 村、
転居 、
北東
、電機
・
・
、1824 年
(Stephen Van
Rensselaer) 創立
私立工科大学
米国最初
、
IBM
電気工学部
12km
・
提供
教育
学習
工
、
工科大学(MIT)電気
(Broadalbin Central
工学部 修士課程 進学
課程
。
、
位置
。1963 年
科大学 卒業
近郊
1959 年
・
・
、
北部
大学
。
家族
School) 通
、1887 年
移転
(GE)
社
中央
中間 位置
市
・
州
州都
西
1892 年 設立
市
。
合併
。
入学
市
工 科 大 学(RPI:Rensselaer
音声通信
。修士
(Speech
Communication Group) 在籍 、
/
併用
声合成装置 研究
音
、1965 年 修士
TENEXと電子メールの誕生
号 取得
。
4 人目
後
、博士課程
年間在籍
、1967 年
&
2
・
「PDP-1」 仮想記憶 実現
記述 、
・
PDP-1
(Daniel Gureasko Bobrow)
、MIT 人工知能研究 立 上
・
・
対話型 利用
型言語LISP 実装
TENEXとEmailの誕生
持
(Marvin Lee
Minsky)
社(DEC) MIT 寄贈
加
・
(John
。
、1963 年
・
言語LISP 活用
and Corrector、
。
1957 年
工科
大学 卒業 、
。
学
博士号 取得
入社
。
。
TECO
言語
強力
、BBN
人工知能
・
・
数
開発
「vi」 登場
最
、
・
究所
・
最初
EMACS
(Editor MACROS for the TECO)
(Daniel L. Murphy) 所属
、
土台
音響心理学研
MIT 移 、MIT音響研究
研究員
携
米国空軍
、1957 年
仕事
1962 年 9月
BBN 音響心理学研究 所長
(Guy Lewis Steele Jr.)
1976 年 開発
大学
所
TECO 、MIT
・
(Jerry
D. Burchfiel)
。
年
(Richard Stallman)
OS開発
・
CC-BY-SA-3.0/Wadester16 at Wikipedia
備
、UNIX用
多 利用
研究 立 上
当時、BBN
レンセラー工科大学
Text Editor
and Corrector)
」 開発
後MIT
進学 、1964 年
文字編
「TECO(Tape Editor
大学 数学
修士号 取得
紙
、文字列 検索・置換
集
理想的
経歴
修正 容易
McCarthy) 学 、BBN 人工知能
処理環境 研究
・
ARPANET誕生を支えた待ち行列の研究者
入社 、
OS 開発
。
1965 年 BBN 入社
、MIT在学中 、
(BBN:Bolt Beranek
and Newman)社
。
。
務
。
BBN
研究
人工知能
関心 示 、1960 年
PDP-1
1 号機 購入
雇 、
BBNでタイムシェアリング・システムを開発
・
開発
立 上
。
完成
非力
、
BBN 国立衛生研究所(NIH)
病
院間 情報 共有
構築 受注
BBN 、MIT音響研究所 所長
務
物理学教授
・
(Richard Henry Bolt) 技術部
長
音響学教授
・
(Leo
Leroy Beranek) 、
学生
・
掛 、
以降 映画館
音響効果、
騒音対策
設計
1962 年 10月
(IPTO)部 長
1948 年 設立
ARPANET計画
会社 、最初 仕
間
事
市 建設
国
音響設計 手
、1963 年
起点
設計
活用
MIT
1964 年 、ARPA 助成
受
開発
・
「
MAC」 始動 、
「 銀河
「Multics」 呼
J.C.R.
。
(Joseph Carl Robnett
誘
、
。
」構想 発表
Licklider) 、
後BBN
雇用 、音響
。
任命
音響
国際会議場
機 工場
国防省高等研究
Newman) 加
連
・
計画局(ARPA) 情報処理技術部
(Robert
。
1950
OS 開発
始
・
、
人工知能研究
必要
使 方
提唱
Open Enterprise Magazine May 2009
25
TechnologyVision
、
知能研究 支援
BBN
MAC 人工
購入
。
、仮想記憶 理解
手腕 見込
「PDP-6」
発
計画 立
。PDP-6
1964 年 発表
型
36
・
Kotok) 中心
開発
処理速度
、PDP-6
動作不良
。
頻発
止
(David C. Evans)
、英国
大学
、24
940」 代替機
Atlas
仮想記
磁気
変換機構 追加 、
保
護機能 備
、PDP-6
開発
OS
(SDS) 「SDS
検討 、1966 年
固定 容量単位 細分化 、変
上
磁気
学
気
共有
小
、
校
大
後継機「SDS
Sigma-7」 接続実験 実施
、磁
後、SDS
1969 年
万
。多人数
仕組
研究
・
・
買収
・
参入
・
・
各
必要
容量 割 当
。
校
OS
改造
。
9 億 1,800
、
事業
1台
、
SDS
、約 60 台販売
、ARPANET 最初
所(SRI) 採用
、必要 応
。SDS 940
、外部記憶 磁気
対応付
、
” 、SDS
商品化
接続実験 実施
上
使
・
・
主記憶
容量
“
・
940
空間
単位 呼 出
ダニエル・ボブロウ
Daniel Gureasko Bobrow
構成
。
仮想記憶 、
、
DEC PDP-6
(c) 2009 Hewlett-Packard Development Company, L.P.
語長
「SDS 930」
換機構
・
・
1961 年 開発
低下
州
・
・
方式
23 台 製造 中
、
。
取 組
憶 参考
著
開発
、1964 年 4月 完成
。
開発
DEC 働
(Harry
Douglas Huskey) 中心
仮想記憶用
変換
・
(Alan
、仮想記憶
実現
校
研究所
TX-2
予算
大学
DEC
設計
DEC
配分
語長 大
、MIT
・
、ARPA
、
OS 開
。
。
・
開発
設立
、1970 年
・
所 移籍 、
開発
研究
「Alto」
。
TENEXの誕生
PDP-6
ダニエル・マーフィー
Daniel L. Murphy
oratory
長 「PDP-10」 発表
搭載
26
Open Enterprise Magazine May 2009
成功
DEC 、
1967 年 9月 PDP-6 同 36
第1世代
語
。PDP-10
「KA-10」 、再配置可能
内容 保護
組搭載 、PDP-6
備
。
16 個
2倍
2
容量
TENEXと電子メールの誕生
再
DEC
換機構 KA-10
変
追加
、DEC 対応 渋
PDP-10
要望
KA-10
、BBN
16
開
容量 稼働
空間 利用
。BBN 開発
最適化
OS「TOPS-10」 改造 検討 始
、1968 年 出荷開始
PDP-10 購入 、
、
機構 「
変換機構
・
容量
必要
大
。仮想記
憶 、1 台
数人 同時
現
必要
KA-10
介
。
・
・
理方法
18
、256
1
構造 利用
設計
。
・
、
装
、
Multics 実現
、DEC
、
上
、TOPS-10
。
、MIT 開発
”機構 組 込
。
1961 年
発表
「B5000」 導
仕組
、
格納
、仮想
“
番号 割 当 、
512 個
・
”
表示
、Multics 参
考
・
機能 採用
、
簡
素 OS 目指 、
役割
分担 明確
。
空間 利用
・
。
BBN 開発
Multics 実
“
入
外部記憶装置
対応
用意
仮想記憶 実現
実装 困難
格納場所
変換
検討
異
名前 仮想
OS 同
間
512
。
管
記述
実行
・
変換機構 配備 、
OS
法、
等
・
継承
DEC PDP-10
。
参考
・
、
、
・
仮想記憶構造、
実
複数 独立
TX-2
込
方法 考案
TOPS-10 向
、多重
」
photo: Columbia University Computing History
・
対話型処理 利用
・
・
、
人工知能
、仮想記憶 利用
変換
使用
画像処理、自然
研究
、
組
参照 監視
言語処理 取 組
利用状況
・
。
BBN 音声認識
、性能
履歴 記録
OS 自前 開発
決
・
16 倍
変換機構
発 8
装備
、仮想記憶
・
、
。
。
、
仕様 設計
OS 「TENEX」 名
、1969 年 11月
計画 立
約半年
実装
。
ARPANETを支える OSとして NCPを実装
1968 年 12月、BBN
・
(Frank E. Heart)
ARPANET
、
通信 担 IMP
(Interface Message Processor)
アドレス変換機構(Pager)
開発 ARPA
受注
。
BBN 、ARPA情報処理
技術部
選定
起源
月1 台
大学
納品
、ARPANET 形成
役割 担
ARPANET
研究所 、
IMP 1969 年 9月
重要
。
4 番目
Open Enterprise Magazine May 2009
27
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