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学習指導案
学習指導案様式 中学部 数学科 学習指導案(細案) 指導者 1 日時 平成28年7月1日(金曜日)第5校時 2 学級 中学部 3 場所 中学部3年1組教室(237教室) 4 単元名 2章 教諭 松岡 通浩 13:30~14:20 第3学年1組(女子3名)習熟度別指導 平方根(根号をふくむ式の計算) 東京書籍 新しい数学3 5 単元設定の理由 ○単元観 学習指導要領に示された本単元にかかわる目標,内容は以下のとおりである。 A 数と式 (1)正の数の平方根について理解し,それを用いて表現し考察することができるようにする。 ア 数の平方根の必要性と意味を理解すること。 イ 数の平方根を含む簡単な式の計算をすること。 ウ 具体的な場面で数の平方根を用いて表したり処理したりすること。 小学校算数科においては,身の回りの物を数えることに始まり,負でない整数,小数,分数につい て,それらの概念を理解するとともに,四則計算の意味を理解することができるようになることを目 指す。 中学校数学科においては,数の範囲の拡張と数の概念を理解すること,新しく導入された数の四則 計算の意味と方法を理解し,その計算ができるようになることを目指していく。第1学年では,数を 正の数と負の数にまで拡張し,数の概念について理解を深めてきた。第2学年では,数そのものにつ いて新しく取り上げる内容はないが,具体的な場面への適用や方程式,関数などについての学習を通 して,正の数と負の数についての理解を深めてきた。第3学年では,二次方程式を解く場合や,三平 方の定理を活用して長さを求める場合には,有理数だけでは不十分なので,数の範囲を無理数にまで 拡張する。有理数では表すことのできない数が存在することを理解させ,その数を平方根を用いて表 現できるようにさせたい。このような学習を通して,二次方程式の解が得られるようになり,三平方 の定理を活用して長さを求めることもできるようになる。そうした良さを理解することを通して,数 学の良さの理解を一層深めることが期待できる。 ○生徒観 本学級は,単一障害の中学部第3学年の5名で編制しており,3名と2名のグループに分け,習熟 度別の指導を行っている。本時の指導グループは3名であり,授業内容を精選してゆっくり丁寧に進 めている。生徒は3年生ということもあり,昨年に比べて学習意欲が増し,宿題をほぼ提出できるよ うになっている。コミュニケーション手段は全員,手話が中心であり,読書力診断検査の結果から「読 む」「書く」ことに苦手意識をもっている。そのため,授業では,手話で密にコミュニケーションを とることで「聞く」「話す」ことを意識しながら進めている。ただし,「読む」「書く」ことも重要 なので,まとめの際に,数学的な用語を用いながら板書により説明するようにしている。 「数と式」領域に関しては,九九の計算が完全に定着しているとは言えず,分配法則で展開する時 に符号を間違えることがある。形式的に計算するだけになっているため,本質をつかめておらず,数 学に対する理解度は高いとは言えない。そのため,つまずきがたくさんあることが想定され,学習を 進めるにあたり,既習事項を一つ一つ確認しながら丁寧に指導を行う必要がある。 間違いを指摘しても,生徒は嫌がる様子もなく,自分で考え,直そうとする姿勢が見られる。また, 生徒が考えてもわからないときに,他の生徒が教えようとする場面もあり,お互いに理解を高め合う - 1 - ことにつながっている。 ※個々の実態については省略する。 ○指導観 指導に当たっては,1時間の授業を①つかむ(気付く)②追究する(思考する)③使ってみる(活 用する)の3つの展開で行い,思考を深める学習活動にする。生徒たちは,自ら考え,説明すること に課題があるため,追究する活動の中で,考えて説明する時間を確保するようにする。 本時では,√𝑎 + √𝑏 = √𝑎 + 𝑏として計算してよいかを考え,同じ数の平方根をふくむ式を簡単にする方法 を学習する。 ①「つかむ」活動においては,根号をふくむ式の加減の計算の仕方を導入するために,√2 + √8 = √2 + 8と ならないことに気付かせたい。課題の意味を正確にとらえることができるよう,板書に問題文を書き, 生徒に発問する。既習事項の中から「何を」「どうやって」使ったら問題を解決できるのかを考えさ せるために,最初は既習事項を提示しないようにする。正しい計算方法は,√2 + √8の式を√2 + 2√2に 変形し,3√2にまとめることができるので,√2 + √8 = √10とはならない。正しくない理由を考えるために は,近似値表を用いて調べたり,両辺を2乗して計算してみたり,√9 + √16のような根号を使わずに表せる 数で調べたりするなど,方法は多様であるが,生徒が自分で選ぶようにする。 ②「追究する」活動においては,自力解決の場と集団解決の場を設定し,考えを深める時間を確保す るようにする。自力解決の場面では,課題を解決するための方法を生徒にそれぞれ考えさせる。そして, 活用する既習事項を付箋に書かせる。√2 + √8 = √2 + 8とならないことを調べる方法は,①「つかむ」活動 で述べたように多様である。しかし,生徒の実態を考慮すると,多様な考え方を引き出すことは困難であり, 近似値を用いて調べる方法が生徒にとって取り組みやすいと予想される。そのため,生徒が自力で考えるこ とが難しい場合には,既習事項である近似値表を提示する。集団解決の場面では,生徒たちが書いた付箋を すべて1枚のワークシートに貼らせる。付箋に書かれたキーワードをもとに,結論と課題を解決するための 説明を3人で話し合わせる。考えがまとまった後,自力で考えることが難しかった生徒がいた場合は,その 生徒に説明をさせる。生徒は,順序立てて説明することが難しいと予想されるので,一度に説明するのでは なく,他の生徒の様子を見ながら一つずつ説明させるようにしたい。 ③「使ってみる」活動においては,本時で学習した内容を活用し,演習を行う。その際,どのような 考えを使って答えを求めたのかを確認する。 本単元は二次方程式や三平方の定理の学習の準備として重要なので,思考を深める学習活動を取り 入れながらも,練習問題の時間を十分に確保したい。 6 単元の目標 正の数の平方根について理解し,数の概念についての理解を深める。 - 2 - 7 単元の指導計画(総時数17時間) 次 学習内容 (配時) 一次 (7) つ か む ・ 見 通 す ・平方根の意味を知る。 ・ある数の平方根を求める。 2 ・√𝑎2 ,(√𝑎) を,根号を使わ ずに表す。 ・正方形の1辺の長さを比べ て,平方根の大小を調べ る。 ・平方根の大小を,不等号を 使って表す。 ・これまで学んだ数を振り返 って,有理数と無理数に分 類する。 ・根号のついた数が無理数か どうかを調べる方法を考 える。 ・素因数分解の意味を知る。 ・素因数分解を利用して,あ る数の平方根を求める。 二次 ・面積が5cm2の正方形を4つ並 べてできる正方形の1辺の (10) 長さを,いろいろな考えで 求める。 ・平方根の乗法の計算方法 を,具体的な数や近似値を 追 究 使って考える。 す ・根号をふくむ式の乗法や除 る 法の計算をする。 評価規準 ・ある数の平方根に関心をもち,その数に ついて調べようとしている。 ・ある数の平方根を求めることができる 2 ・√𝑎2 ,(√𝑎) を,根号を使わずに表すこと ができる。 ・正方形の1辺の長さを比べて,平方根の大 小を考えることができる。 ・平方根の大小を,不等号を使って表すこ とができる。 ・平方根の大小関係を理解している。 ◎ ○ ○ ・これまで学んだ数を有理数と無理数に 分類できる。 ・根号のついた数が無理数かどうかを調べ る方法に関心をもち,その方法を考えよ うとしている。 ・因数,素数,素因数,素因数分解の意味 を理解している。 ・平方根の乗法を,具体的な数や近似値を 使って考えることができる。 ・根号をふくむ式の乗法や除法の計算がで きる。 ・𝑎√𝑏を√𝑎2 𝑏の形に表した り,√𝑎2 𝑏を𝑎√𝑏の形に表し たりする。 ・根号のついた数を変形し て,近似値を求める。 ・ 𝑎√𝑏を√𝑎2 𝑏の形に表したり,√𝑎2 𝑏を𝑎√𝑏 の形に表したりすることができる。 ・分母を有理化することの意 味を知る。 ・ある数の分母を有理化す る。 ・分母を有理化することの意味を理解して いる。 ・ある数の分母を有理化することができる。 (本時) ・√a + √b = √a + bと計算し ・√a + √b = √a + bと計算できないわけを考 え,説明することができる。 てよいかどうかを,様々な 方法で考え,説明する。 ・同じ数の平方根をふくむ式を,簡単にす ・同じ数の平方根をふくむ式 ることができる。 を,簡単にする。 ・𝑎√𝑏の形に変形してから, 加法や減法の計算をする。 ・分母を有理化してから,加 法や減法の計算をする。 評価の観点 関 考 技 知 ・異なる数の平方根をふくむ式を変形して から,加法や減法を計算できる。 - 3 - ◎ ○ ○ ◎ ◎ ○ ○ ○ ◎ ◎ ○ ○ ◎ 使 っ て み る ・ 振 り 返 る 8 ・分配法則や乗法公式を使っ て,根号をふくむ式を計算 する。 ・根号をふくむ式の計算を使 って,式の値を求める。 ・A4判のコピー用紙の,短い 辺と長い辺の比を,紙を折 ったり,面積図を使ったり して調べる。 ・根号をふくむ式の形から,どの乗法公式 を使えばよいかを考えることができる。 ・分配法則や乗法公式を利用して,根号を ふくむ式を計算できる。 ・根号をふくむ式の計算を使って,式の値 を求めることができる。 ・身のまわりに平方根が利用されているこ とに関心をもち,調べようとしている。 ・A4判のコピー用紙の短い辺と長い辺の比 を調べて,平方根を見いだすことができ る。 ○ ○ ◎ ◎ 本時の目標 ・√𝑎 + √𝑏 = √𝑎 + 𝑏とはならないことを説明でき,同じ数の平方根をふくむ式を簡単にすることができ る。 9 本時の評価基準 十分満足できる状況 おおむね満足できる状況 努力を要する生徒への手立て ・教師の助言なしで,√𝑎 + √𝑏 = √𝑎 + 𝑏と計算してよいかどうかを説明 できる。 ・教師の助言なしで,同じ数の平方根をふくむ式を簡単にすることが できる。 ・教師の助言を手掛かりにして,√𝑎 + √𝑏 = √𝑎 + 𝑏と計算してよいか どうかを説明できる。 ・教師の助言を手掛かりにして,同じ数の平方根をふくむ式を,簡 単にすることができる。 ・解決に必要な既習事項を提示する。 ・自分で考えることができるように,既習事項を提示する等の支援 を行う。 - 4 - 10 学習過程 学習活動 (時間配分) つ か む ・ 見 通 す 指導上の留意点 1 はじめのあ いさつをする (1分) ・音声と手話をはっきり表現するように促すと ともに,聞こえの確認を行う。 2 本時の学習 課題を知る。 (4分) ・課題解決に必要な既習事項を提示しない。 ・2+8=10となるが,平方根の場合も同様にでき るか,を確認する。 評価規準と評価 目標 根号をふくむ式の加法・減法の 計算の仕方を理解する① 太郎くんは次のように √2+√8の計算について, 計算した。 √2+√8 = √10 この計算方法は正しいだろうか。 追 究 す る 3 既習事項を 活用して課題 を解決する。 【自力解決】 (10分) ・ワークシートと付箋を用意する。 √𝑎 + √𝑏 = √𝑎 + 𝑏は成り立 ・既習事項を用いてどのように考えたか,図, たないことを,根拠に基づ いて説明しようとしている 式,言葉を付箋に書かせる。 ・自力では難しい場合は,近似値表を提示する。【見方・考え方】 ・予想される反応 [正しい]平方根の乗法と同じように,数同士を足していい。 [正しい]整数のように2+8=10だから,√10になる。 [正しくない]√2=1.414…√8=2.828…合わせると大体4.24 [正しくない]√2+√8=√2 + 2√2となるので,大体4.24になる。 ・1枚のワークシートに,それぞれが書いた付 4 考えた方法 箋をすべて貼らせる。 を発表しあう。 ・生徒同士で付箋を確認し,3人で結論を考え 【集団解決】 させる。そのときに,必要な既習事項を絞り, (10分) 結論を説明するための文章を考えさせる。 ・√2+√8の正しい計算方法を紹介し,同じ数の平 5 まとめを 方根をふくむ式の計算について教師がまとめる。 行う。(5分) √𝑎 + √𝑏 = √𝑎 + 𝑏は成り立たない。 𝑚√𝑎 + 𝑛√𝑎 = (𝑚 + 𝑛)√𝑎 使 っ て み る ・ 振 り 返 る 6 演習問題を ・p55例1p56例2を教師と一緒に解く。 同じ数の平方根をふくむ 解く。 (15分)・演習問題に取り組ませ,自力で解くことが難 式を簡単にすることがで しい生徒には個別指導を行う。 きる【技能】 7 振り返りを ・「追究する」活動でわかったことを,手話で 行う。(4分) 表現させる。 8 終わりのあ いさつをする。 (1分) ※ゴシック体で書いてあるところは,「思考力を育てる指導」に関する事項である。 - 5 - 11 準備物 既習事項の掲示物,ワークシート,付箋 12 座席配置(基本は馬蹄形) ホワイトボード 13 板書計画 目標 根号をふくむ式の加法・ 減法の計算の仕方を理解する① ワークシート 例題 √2+√8の計算について,太郎くん は次のように計算した。 √2+√8 = √10 この計算方法は正しいだろう か。 √2+√8 =√2+2√2 =𝑎+ 2𝑎 = 3𝑎 既習事項 √2 =… √3 =… √4 =… まとめ =3√2 √2=1.414… 2√2=2×1.414…=2.828… √5 =… √6 =… - 6 -