...

碧南市立棚尾小学校

by user

on
Category: Documents
27

views

Report

Comments

Transcript

碧南市立棚尾小学校
地域の人々とともに、心をこめた復興支援を届けよう
~ 義援米づくり・復興支援資源回収・ブラスバンド支援演奏などを通して ~
碧南市立棚尾小学校
1 実践のねらい
(1) 地域の人々や保護者とともに東日本大震災に向けた復興支援活動を行い、
「助け合い」の絆を深
める。
(2) 被災地岩手県釜石市立釜石小学校と直結した中長期的な支援交流を行うことで、震災時に逞し
く生きる力と心を真摯に学ぶ。
2 実践の内容
(1) 義援金活動
卒業式を直前に控えた3月 15 日から3日間、
当時の6年児童会役員が中心となって募金を呼び
かけた。貯金箱ごと持ってくる子、貯めたお年玉袋ごと入れる子、祖父母からお金を託された子
など、心を届けようとする全校児童の姿があった。金額は 305,023 円となり、日本赤十字社に送
金した。この活動が、平成 23 年度の復興支援活動の出発点となった。
(2) 義援米・芋づくり
5年生は社会科で日本の米作りを学習する。その一環として、碧南市所有の平和ふれあい農園
で、田植え体験活動をする計画があった。子どもたちと職員は「採れたお米は、自分たちで全部
使ってしまわずに被災地に贈りたい。
」と収穫米を被災地へ贈ることを発案した。どこに贈るか
学年で考えた結果、新聞記事で子どもが全員避難できた釜石小学校のニュースが目に留まり、候
補に挙がった。そして、本校の校長を通じて釜石小学校の校長先生に話したところ、
「大変被害
が大きいのでとてもうれしいです。
」と話が進んだ。
4月 27 日、学級代表者が早乙女衣装で田植えを行ったあと、120 名全員、初めての田植えを行
った。子どもたちは「たくさんお米を贈って、おいしいお米をお腹いっぱいに食べてもらいたい」
と、被災者への思いを語った。この様子は、ヤフーのトップニュースとして全国へ配信された。
その後、この義援米は、釜石小学校で「友情米」と呼ばれるようになった。
9月8日、稲刈りを行った。実りが多いほど心が被災地に届くことを願って、まず、代表の女
子8名が、稲刈女姿で稲刈りを行った。そして、5年生 120 名が鎌で稲刈りを初めて体験した。
刈り取った稲を一束ずつ縛り、あぜ道に並べる作業は友達と共同で行った。田植えから収穫まで
農家の方々と作業を行い、合計 485 ㎏収穫できた。その内 400 ㎏を釜石小学校へ贈ることにした。
6年生も自分たちのできることを考え、自分たちの作っている金時芋を被災地へ贈ることにし
た。しかし、1年生と一緒に芋を育てている畑は狭く、多くの収穫は見込めない。そこで、児童
会役員が中心になって、碧南市あおいパークの園長さんにお願いして、畑を借りることにした。
6月6日の授業後、児童会役員と職員が中心になり、あおいパーク園長さんと農業活性化組合
長さんの指導を受け、金時芋の苗を植えた。約 500 ㎡の畑に 150 本の苗を植えた。そして、9月
13 日、6年生 109 名全員で金時芋を収穫した。心
をこめた金時芋が 200kg 収穫でき、その内 100kg
を贈ることにした。
10 月3日、本校で友情米・芋の出荷式を行った。
10 月6日、本校職員が釜石小学校を訪問して贈
呈式を行った。贈呈式では、本校5年生が作った
「絆」の横断幕の前で、6年代表児童が「碧南と
釜石は遠く離れているけど、絆で結ばれているこ
とがわかりました。
」と感想を述べた。
友情米・芋贈呈式
(3)
復興支援資源回収
6月 12 日、PTA復興支援資源回収を行った。学区 1,500 世帯の資源回収で、業者・市からの
お金を合わせて、収益金 228,439 円となった。このお金はすべて義援金として、今回親交のあっ
た岩手県と宮城県に贈った。子どもと保護者、学校と地域の絆を深めた資源回収となった。
(4) 吹奏楽クラブ支援演奏
吹奏楽クラブの子どもたちも「何かできないか」と
立ち上がった。碧南市長からは、演奏で東北を応援で
きないかということが伝えられた。早速、顧問が親交
のある宮城県仙台市立南材木町小学校の教諭と連絡を
取り合い、音楽交流を行うことを決めた。何ができる
か、子どもたちは自分たちで考え、メッセージを書き
入れた横断幕を完成した。
7月9日、吹奏楽クラブの子どもたちが作ったメッ
セージを持ち、代表である吹奏楽クラブの部長と2年
仙台市立南材木町小で友情演奏
間練習を共にしてきた昨年度の部長と顧問教師が仙台
市を訪問した。午後、南材木町小学校と音楽交流を行った。南材木町小学校の吹奏楽クラブの子
どもたちは合唱で歓迎してくれた。互いのあいさつや被災に対する思いを交換した後、
「会いたか
った」
「勇気 100%」を合同演奏した。碧南市に戻ってきた部長は「音楽は私たちに元気、愛、勇
気を届けてくれると感じた。被災した現地で合同演奏することができ、被害にめげず、前向きに
生きる人たちに胸を打たれた。
」と、碧南市教育長に報告した。
(5) オブジェ「いのり」
4年生の子どもたちも何か支援したいと声を上げた。本校は近代工
芸家藤井達吉の母校であることもあって、藤井達吉の創設した小原和
紙を学習に取入れている。そこで、子どもたちと話し合いの結果、一
刻も早い震災復興を祈り、紙すきでオブジェを作ることにした。
和紙づくりには多くの保護者も参加して、藤井達吉の和紙工芸を継
承している加納恒さんに指導していただき、一緒にはがき大の「いの
り」を完成させた。
8月 10 日、
藤井達吉現代美術館の宮嶋さんから障子の格子に赤い糸
で結んでいく作業の指導を受け、オブジェ「いのり」を作り上げた。
8月 21 日、
妙福寺で行われた藤井達吉追弔会でオブジェを展示する
と同時に、子どもたちと職員で震災復興を祈った。
紙すきオブジェ「いのり」
3 実践の成果や課題
社会、図工、総合的な学習などの教育課程の中で、教師と共に震災を見つめることで、学年の発
達段階に応じて自分たちにできる支援活動を具体的に考え出すことができた。また、学年便りなど
を通じて、
地域や保護者の協力を得ることもできた。
「友達との絆が深まったか」 4・5・6 年生児童 336 名(2011.9.13)
4・5・6年生の全児童 336 人を対象にアンケート
「復興支援活動を通して友達との絆が深まったか」
8% 1%
深まった
をとった。
「友達の絆が深まった」とする児童は 91%
どちらともいえない
に達した。具体的には、
「みんなで友情の金時芋をほ
った」
「学年の皆で義援米を育てた」
「学年で小原
深まらなかった
和紙作りをした」などと回答している。
今後も、被災地の人たちを支援することが自分
たちの支援につながることを感じさせつつ、継続
91%
的な活動に発展させていきたい。
Fly UP