...

特定重大事故等対処施設の 基本要件と代替対策について

by user

on
Category: Documents
22

views

Report

Comments

Transcript

特定重大事故等対処施設の 基本要件と代替対策について
特定重大事故等対処施設の
基本要件と代替対策について
2015年10月30日
日本保全学会
原子力安全規制関連検討会
1.規制要求事項(1/2)
(「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則」42条)
(1) 特重施設の想定する外部ハザード
特重施設は、下記の外部ハザードに対して、安全機能がDBA及びSA対策設
備と同時に重大事故等に対処する機能が喪失しないことを求められている。
No
外部ハザード
要求事項
1 意図的な大型航空機 (1)頑健性確保
衝突
(2)原子炉建屋との離隔(例えば100m)
→連続衝突(R/B貫通→特重施設衝突)を想定した
離隔距離が必要
2
テロリズム
3
設 計 基 準 を 超 え る 地 ・設計基準を一定程度超える地震に対して機能確保でき
震
る設備とする。
4
設 計 基 準 を 超 え る 津 ・設計基準を一定程度超える津波に対して機能確保でき
波
る設備とする。
テロリズムによる重大事故等に対処することが可能なこと。
1
1.規制要求事項(2/2)
(「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則」42条)
(2) 特重施設の機能要求
No
要求機能
1 原子炉冷却材圧力バウン
ダリの減圧操作機能
2 炉内 の溶融 炉心 の冷 却
機能
3 格納容器下部に落下した
溶融炉心の冷却機能
4 格納容器内雰囲気の冷
却・減圧・放射性物質低
減機能
5 格納容器の過圧 破損防
止機能
6 水素爆発による原子炉格
納容器の破損防止機能
7 サポート機能
8
9
対 応
・原子炉圧力容器を減圧するためSRVの開操作が可能な原子炉
減圧操作設備を設置する。
・原子炉圧力容器へ注水し炉内の溶融炉心冷却が可能な注水設
備を設置する。
・格納容器下部に落下した溶融炉心の冷却が可能なペデスタル
への注水設備を設置する。
・格納容器内雰囲気の冷却・減圧・放射性物質低減が可能な格
納容器スプレイへの注水設備を設置する。
・格納容器の過圧破損防止を図り、FP放出を抑制可能なフィルタ
ベント設備を設置する。
・BWRは格納容器内をN2ガスにより不活性化することで対応している。
・PWRは、静的水素再結合器およびイグナイタを設置せる。
・専用電源設備の設置し、さらに可搬型代替電源及び常設代替
電源の接続可能として電源を確保する。
・通信連絡設備を設置し中央制御室、緊急対策所、その他必要
箇所との連絡を可能とする。
・プラント監視及び設備操作上必要となる計装設備を設ける。
格納容器破損防止設備 ・特定重大事故等対処施設の各設備を制御する緊急時制御室を
設置する。
の制御
外からの支援が受けられ ・7日間の水源及び発電用燃料を確保
るまでの間,使用可能
2
2.第1回新安全基準検討チームで提示された概念
3
3.特重施設の構成例
特重施設の基本コンセプト
¾原子炉建屋近傍に設置するFV格納建屋、注水配管ルート等
航空機衝突から防護(意図的航空機衝突およびテロリズム対応)
¾7日分の水源および電源供給を考慮(居住性の確保)
原子炉建屋
格納容器
MS
SRV
S/C
原子炉
圧力容器
4.PCVスプレイ
1.SRV操作設備
特重建屋
8.緊急時制御室
2.RPV注水
7。
電源
設備
3.ペデスタル注水
洞道
9.
水源
2~4.注水ポンプ
5.PCVベントS/P
FV格納建屋
立坑
4
4.特定重大施設等対処施設の設備対策例
格納容器除熱設備
その他設備
・貯水タンク
・海水取水設備
SPCテスト戻りライン
水源
AFC設備
特定重大事故等
対処施設建屋
サポート設備
・専用電源設備(GTG)
・電源供給設備(電源盤)
・緊急時制御室
・監視操作設備
・通信設備
・換気空調設備他
その他設備(外部電源など)
格納容器除熱・減圧設備
・高台電源(高台GTG)
・外部電源
・可搬式代替電源(電源車)
・緊急時対策所(第2中操)
・FCVS
R/B
SFPスプレイ
R/B側立坑
ウェル注水
PCV
原子炉減圧設備
SRV
サプレッションプール
クーリング(SPC)設備
高温・高圧用
プレート式熱交換器
SPCポンプ
代替注水設備
R
HR
①
RPV
D/W
スプレイ
S
M
FD
W
S/Pスプレイ
水
注
V
PR
ペデスタル注水
①
MUWC
HPCF
5
5.(1) 原子炉減圧設備強化の概要
原子炉減圧設備
PCV内
MCRへ
既設常用系
ADS系 常用系
7台
電路:各1系統
緊急時制御室より
特重系 常用系
8台
S
R
V
R/B内
特重設へ(DC)
電路:各8系統
立坑(R/B近傍)
SR
V
MO
配管:1系統
配管:8系統
(20A)
既設
ACC
AC系より
PI
PI
既設ACC
既設常用系
ボンベ:10本
(仮設定)
既設ADS系
№
機器名称
機器仕様
機器仕様の考え方、他
1 対象SRV
・対象弁数:必要数
(1)既設ADS機能の対象数を考慮した弁数とする。
(2)具体的なSRVは、既設SRVのうち、ADS機能付きでは無い、
逃がし弁機能のみのSRV弁のうち、施行性を考慮した上で、
対象弁を選択する。
2 窒素ガスボンベ
・ボンベ本数:必要数
(1)既設窒素供給系(ボンベ数本×2系列)に接続する。
6
5.(2) 減圧機能の強化(SRV補助作動装置)
【補助作動装置の特徴】
■動作原理が異なる駆動源の多様化として、
駆動用窒素ガス+補助作動装置の組合せを採用
■既設SRVに補助作動装置を直付けする構造
■対象弁は合理的な配管ルートを考慮した任意の弁選定が可能
【系統概要】
■可搬ボンベより供給される駆動用窒素ガスをSRVへ供給するラインを追設。
■このとき、SRV作動は既設SRV用及び既設窒素ガス供給の機能が喪失しても、
窒素ガスボンベ+補助作動装置で行うことから、電源喪失に対するリスク低減が可能
空気切替弁
駆動源供給ライン
特定安全施設(緊急時制御室)から
の原子炉減圧操作
RMS
SRV電磁弁:OFF
N2ボンベ等
RMS
SRV
二次格納容器内等へ
HPIN
実機は「空気切替弁+電磁弁」一体物で計画
【炉心損傷防止に必要なSR弁数※】
○BWR ⇒SRV1弁+1弁(予備)
○ABWR⇒SRV2弁+1弁(予備)
図 既設SRVに追設した補助作動装置イメージ
7
6.代替RHR対策例(高温・高圧用プレート式熱交換器)
¾残留熱除去系(RHR 系)に適用可能な高温・高圧用のプレート式熱交換器を適用する。
¾プレート式熱交換器はシェル&チューブに比べ機器全長で1/2以下、メンテナンスス
ペースを含めた設置スペースは約1/3となり、狭隘スペースに配置が可能となる。
.
狭隘部への設置イメージ
φ8m
0
0
0
5
約
機器ハッチ
代替RHR
ライン(2次系)
注水ライン
代替RHR
ライン(1次系)
プレート式熱交換器
0
0
0
3
H
A
L3600
上
以
0
0
7
4
ポンプ
電動機
8
7.フィルタベントシステムの構成
<頑健性確保型フィルタベントシステム例>
排気筒
9航空機衝突によるR/B内安全機能と特重施設FV排気の同時被災防止
→FV排気の多重化
9航空機燃料流入火災の防止堰設置
9航空機衝突からの防護
9緊急時制御室と中央制御室からの弁操作
原子炉建屋
緊急時制御室と中央制御室
からの操作を考慮
堰により航空機衝突時の
燃料流入火災を防止
航空機衝突
からの防護
FMCRD制御盤室
SFP
同時被災防止
フィルタベント
設備建屋
中央制御室
所員用エア
ロック室
FCS(B)室 FCS(A)室
給気
フィルタ
格納容器フィルタ付
ベント装置
CRD
HCU
S/P
弁室
ペネ室
CRD
補修室
HCU
粒子よう素
現場盤
水素モニタ
FV送風機
C/C
フィルタベント
トレンチ
9
8.猶予期間の見直しに関する代替対策の検討
●新規制適合性審査では,すでに、発電用原子炉設置者は、故意による大型航
空機衝突事故その他のテロリズムも想定した対応を整備する方針で、これには、
可搬設備の設置等も含まれる。
このことは、特重設がなくとも可搬式設備等を用いた対応により、特重設竣工前
に一定期間のプラント運転を許容しているものと認識している。
●しかしながら,前述の特重設に係る審査等の状況により事実上法令の猶予
期間内での設置が困難な場合は,ある時点で,原子炉等規制法第43条の
3の23に基づき,原子力規制委員会より原子炉設置者に対して何らかの措置
(命令)が発せられる可能性があると考えられる。
●この措置(命令)は原子炉施設の使用の停止を含むものとされているが,この
措置の内容に関して、以下の対応案を検討すべきである。
たとえば,特重施設の竣工が平成30年7月7日を越えても、運転が継続できる
適合猶予期間を設ける。
次に、竣工までの猶予期間の間に、代替対策を検討する。
猶予期間については、『特重設の工事計画が認可されてから、5年程度の猶予期
間』とする等の変更案が考えられる。
10
参考1 特定重大事故等対処施設の猶予期間の考え方
※1 新規制基準施行後,特重設審査ガイド発出まで1年超.この間,事業者の
自主的取り組みにより基本設計を進捗.現時点で3社(東電,関電,電発)
のみ設置許可申請済.
ガイド発出の遅れ → 事業者の準備(基本設計)遅延
※2 ガイドでは設備の設計要件が明確では無く,審査において事業者の提案
事項が審査され,審査に時間を要している.
クライテリアの無い審査 → 特重設審査期間の遅延(リスク)
※3 特重設の審査について,プラント新規制基準適合性審査(再稼働申請)と
の紐付けが求められており(基準地震動、基準津波、SA、大規模損壊等),
特重設の審査が大幅に遅延するリスク
再稼働申請審査との紐付け → 特重設審査期間の大幅遅延(リスク)
※4 目標である短期間での工事認可取得は困難な見込みであり,工事認可
取得から竣工まで2年を割り込むリスク
許認可取得の遅延
の竣工期限を遵守できないリスク大
→ H30.7.7
「実用発電用原子炉及びその附属施設の技術基準に関する
規則」附則」(原子力規制委員会規則第六号)附則4の改訂
特重設に係る工事計画の認可から、5年程度の猶予期間が妥
当
技術基準規則制定時点で,
特重設なしでの一定期間のプ
ラント運転を許容(規制委員会のリスクテイクは再稼働から
の猶予期間でも変化なし)
‡ 特重設審査がプラント再稼働審査と紐付けられる場合,両
者はシーケンシャルに対応すべき
‡ 事業者への過度の要求は,安全性を阻害する意識を生ず
る可能性
‡
11
参考2 新規制基準を取り巻く状況と特定重大事故等対処施設に係る動向
12
参考3 特定重大事故等対処施設の工程について
BWRの建設工程をもとに特定重大事故等対処施設の工程を想定すると、掘
削開始から運用開始まで52か月程度かかる。
※検討条件
地下4階構造
耐震Sクラス
FV、連絡トレンチ等の工程は本体工程に包含されるものとする
52ヶ月
建設工事
掘削 12M
建屋工事 24M
機電工事 16M
13
9.猶予期間見直しの考え方(案)
原子力規制委員会(NRA)規則によると、特重施設の竣工時期の猶予期限は、
① 2018年7月7日である。
一方で、現状の特重施設の規制基準審査の進捗は、遅延しており、2018年
② 7月7日で、規制基準に適合する施設の竣工は困難である。
そこで、このNRA規則を見直す必要がある。
③ (例えば、竣工期間の猶予を「特重設の工事計画の認可から約5年程度」等)
その場合、事業者は、NRAに対して「技術基準適合猶予期間延長申請(仮称)」
④ を提出する等の手続きをとる。
本来は、上記の手続きと取ることで延長は可能となるが、事業者側は、
⑤ 猶予期間の間に、分散型代替対策について提案することができる。
14
10.規制要求事項に対する代替対策の考え方(1/2)
(「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則」42条)
(1) 特重施設の想定する外部ハザード
特重施設は、下記の外部ハザードに対して、安全機能がDBA及びSA対策設
備と同時に重大事故等に対処する機能が喪失しないことを求められているため、
代替対策もそこを考慮した対応とする。
N 外部ハザー
o
ド
要求事項
代替対策
1 意図的な大型 (1)頑健性確保
●頑健性のある一定の離隔場所に可
航空機衝突
(2)原子炉建屋との離隔(例えば
搬設備を配置(代替RHR熱交換シ
100m)
ステム)
→連続衝突(R/B貫通→特重施設衝 ・特重施設の主な注水・冷却機能を補
突)を想定した離隔距離が必要
完できる機能を所有
2 テロリズム
テロリズムによる重大事故等に対処す ●中央制御室(MCR)以外での操作・
ることが可能なこと。
制御が可能な施設(RSS盤等)によ
る対処
3 設計基準を超 ・設計基準を一定程度超える地震に
える地震
対して機能確保できる設備とする。
●耐震性を考慮した場所への可搬設
備配置
4 設計基準を超 ・設計基準を一定程度超える津波に
える津波
対して機能確保できる設備とする。
●耐津波を考慮した高台の場所に可
搬設備を配置
15
10.規制要求事項に対する代替対策の考え方(2/2)
(「実用発電用原子炉及びその附属施設の位置,構造及び設備の基準に関する規則」42条)
(2) 特重施設の機能要求(代替対策で対応可能)
N
o
1
2
3
4
5
6
7
8
9
要求機能
対
応
代替対策
原子炉冷却材圧力バウンダリ ・原子炉圧力容器を減圧するためSRVの開操作が可能な原 ・SRVの開操作が可能な原子
の減圧操作機能
子炉減圧操作設備を設置する。
炉減圧操作設備を設置する。
炉内の溶融炉心の冷却機能
・原子炉圧力容器へ注水し炉内の溶融炉心冷却が可能な注 ・代替RHR熱交換システムを
活用して、第2項から第4項
水設備を設置する。
までの注水を可能とする可
格納容器下部に落下した溶融 ・格納容器下部に落下した溶融炉心の冷却が可能なペデス
搬設備を設置する。
炉心の冷却機能
タルへの注水設備を設置する。
格納容器内雰囲気の冷却・減 ・格納容器内雰囲気の冷却・減圧・放射性物質低減が可能
圧・放射性物質低減機能
な格納容器スプレイへの注水設備を設置する。
格納容器の過圧破損防止機能
・格納容器の過圧破損防止を図り、FP放出を抑制可能なフィ ・同左
ルタベント設備を設置する。
水素爆発による原子炉格納容 ・BWRは格納容器内をN2ガスにより不活性化することで対 ・同左
器の破損防止機能
応している。(新たな設備対応は不要)
サポート機能
・専用電源設備の設置し、さらに可搬型代替電源及び常設 ・同左
代替電源の接続可能として電源を確保する。
・通信連絡設備を設置し中央制御室、緊急対策所、その他
必要箇所との連絡を可能とする。
・プラント監視及び設備操作上必要となる計装設備を設ける。
・特定重大事故等対処施設の各設備を制御する緊急時制 ・中央制御室(MCR)以外で
の 操作・制御が可能な施設
御室を設置する。
(RSS盤等)による対処
外からの支援が受けられるまで ・7日間の水源及び発電用燃料を確保
・同左
の間,使用可能
格納容器破損防止設備の制御
16
参考4 特重用可搬式熱交換システムの例
特重用可搬式熱交換システム
• 可搬式熱交換器(プレート熱交)搭載
• 可搬式冷却ポンプ搭載
プレート熱交
ポンプ
特重用可搬式熱交換ポンプ車載外観
17
参考5 可搬式熱交換システムによる炉心冷却概念
可搬式熱交換システム
RHR熱交換ニット
プレート熱交換器
PCV
ポンプ
R
P
V
CUW他出口
CUW他入口
可搬式熱交換ポンプ車載
S/P
2次冷却システム
RHR プレート熱交
450m3/h
180℃
M
循環ポンプ
循環ポンプ
最終ヒート
シンク
(海水)
冷却水
非常用電源
RHR ポンプ
非常用盤
18
スイスの事例:SEHR (特定事故除熱システム)
„TMI-2号機事故のあと、スイスのKKL電力が設置
深層防護第3層 (格納容器冷却)
深層防護第4層 (事故緩和).
DiD: Defense in Depth
Steam
熱交換器
Fuel rod
地下水揚水
Suppression Pool
D/G Underground
Dwells
Two D/G for SEHR
D/G
19
19
19
フランスの事例(FARN)
2020
EDF: BUNKERISED BUILDING /Diesel generator for SBO
21
EDF:THE FARN
22
EDF:THE FARN
23
The Site Emergency Response Center
Hard core for the reactor building
• information required for precise knowledge of reactor status;
• means of communication and transmission with the corporate emergency response
organization;
• filtration protecting the inside of the rooms in the event of external air contamination;
• decontamination area to protect the users by keeping the building clean;
• autonomous power supply;
• living logistics for 3 days’ autonomy (after which, supplies are ensured by the FARN).
24
EDF:THE FARN
25
Fly UP