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熊本市児童虐待防止ハンドブック

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熊本市児童虐待防止ハンドブック
熊本市児童虐待防止ハンドブック
平成 27 年3月
熊本市
「通告」は、
「支援」の始まりです。
このハンドブックは、日頃から地域などで子どもと関わ
る機会の多い関係機関の方々に活用していただくことによ
り、子どもの虐待を早期に発見し、早期に対応を図るため
に作成しています。
は
じ
め
に
熊本市では、平成12年10月に「熊本市児童虐待防止ネットワーク連絡会」を立ち上
げ、県中央児童相談所、警察署、民生委員・児童委員協議会及び市関係各課など子ども
に関係の深い35関係機関が連携・協力しながら、児童虐待の早期発見、早期対応、発
生予防に努めてきました。
平成16年の児童福祉法及び児童虐待防止法の改正に伴い、あらゆる児童相談に対応
するため、市町村が第一義的な相談窓口になることが法律上明確にされました。
平成18年6月、「熊本市児童虐待防止ネットワーク連絡会」を改編、37構成機関か
らなる「熊本市要保護児童対策地域協議会」を設置しました。同協議会では、児童虐待
を防止するため様々な活動を展開し、要保護児童等の適切な保護及び支援を図るため、
必要な情報の交換を行うとともに、要保護児童等に対する支援の内容に関する協議を行
い、関係機関の円滑な連携・協力を行ってきました。
平成 22 年 4 月、児童虐待対応に関する専門の機関として、熊本市児童相談所を開
設しました。児童相談所は、24 時間の虐待通告への対応、18 歳未満の子どもの養育
相談や障がい、非行などの子どもに関する様々な相談に対応し、立入調査や一時保護、
施設入所措置等の権限を行使し、児童の健やかな成長のため支援を行う相談機関となり
ます。
平成 24 年 4 月、新設された熊本市こどもセンター(あいぱるくまもと)内へ児童
相談所を移転し、一時保護所を新規併設するなど、要保護児童等対策の施設整備を行っ
ております。なお、同センター内には、教育相談室(子どもの発達、就学、不登校など
に関する来所相談等)、障がい者福祉相談所(身体・知的障がい者に関する専門的相談
機関)も併設しており、子どもに関する総合的、専門的な相談支援の拠点となっていま
す。
平成25年9月、熊本市東区において当時15歳の児童の一部白骨化した遺体が見つか
るという事例が発生したことを重く受け止め、本市においては、検証を行い、再発防止
策を策定しました。再発防止策の具体的な取り組みのひとつとして、関係機関のより一
層の連携を図り、児童虐待等に迅速かつ適切に対応できるよう本市要保護児童対応マニ
ュアル等の見直しを行い、今回、本ハンドブックの作成に至りました。
今後、児童虐待による痛ましい事件が起こることのないよう、このハンドブックを児
童虐待に関わる多くの関係機関、関係者に活用していただき、虐待の予防から早期発
見・早期対応、更には家族再統合や再発防止に向け、熊本市一丸となって子どもたちの
育ちや未来を守っていくことができるよう願っています。
平成 27 年3月
熊
本 市
目 次
目
次
はじめに
第1章
児童虐待をめぐる動向
1
児童虐待の現状
2
法改正
第2章
1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
児童虐待の基本的理解
5
1
要保護児童等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2
児童虐待とは ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
3 児童虐待の要因 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
4 児童虐待の子どもへの影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
第3章
要保護児童対策地域協議会の仕組み
13
1
熊本市要保護児童対策地域協議会
2
熊本市要保護児童対策地域協議会の仕組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
第4章
児童虐待の早期発見と対応
5
1 児童虐待の発見・観察のポイント
2 通告義務
4 通告手順
20
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
3 発見時の対応
第5章
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
各機関の役割と対応
-関係機関との協働-
29
1
児童相談所
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
2
区保健子ども課
3
民生委員・児童委員、主任児童委員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37
4
保育所、幼稚園・子育て支援センター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
5
小学校・中学校・高校
6
医療機関
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
7
警察
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
8
消防局
9
区福祉課
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
10 区保護課
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52
11 障がい保健福祉課
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
12 子ども発達支援センター
13 障がい者福祉相談所
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
14 こころの健康センター
15 青少年育成課
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58
16 熊本地方法務局・熊本人権擁護委員協議会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61
17 熊本大学大学院生命科学研究部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
18 熊本県弁護士会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
19 熊本県臨床心理士会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67
20 熊本市歯科医師会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68
21 熊本県養護協議会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
22 熊本県里親協議会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71
23 熊本県母子生活支援施設協議会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・72
24 子どもの虐待防止コンサルテーションチーム・くまもと ・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
25 特定非営利活動(NPO)法人くまもと子どもの人権テーブル ・・・・・・・・・・・・・75
26 ほっぷ・すてっぷ・CAP くまもと ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
第6章
児童虐待の予防と支援
77
資料
個別ケース検討会議役割分担表
児童虐待防止連絡メモ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
児童相談所、区役所保健子ども課への定期的な情報提供に関する取扱要領
・・・・・・・・3
熊本市要保護児童対策地域協議会要綱 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
第1章
1
児童虐待をめぐる動向
児童虐待の現状
(1)全国の児童虐待相談対応の現状
児童虐待に関わる事件は後を絶たず、全国の児童相談所が平成 25 年度に受けた
虐待相談対応件数は 7 万 3802 件で、集計を開始した平成 2 年度から増加の一途
をたどっています(図1)。
図1
児童虐待相談対応件数の推移(全国)
注:平成 22 年度は、東日本大震災の影響により、宮城県、福島県を除いて集計した数字
1
(2)熊本市の児童虐待相談対応の現状
熊本市における状況は、区保健子ども課対応分(図 2)はここ数年、200 件前後
で推移しています。また、児童相談所対応分(図3)についても依然として高い水
準で推移しています。
図2
400
児童虐待相談対応件数の推移(区保健子ども課対応分)
366
350
305
109
300
合計
250
119
200
192
114
150
78
3
5
100
140
103
50
79
201
210
62
66
ネグレクト
194
188
85
70
69
56
67
1
1
50
0
71
72
68
74
4
48
H21
H22
H23
H24
H25
42
0
心理的虐待
性的虐待
身体的虐待
0
H19
H20
※平成21年度までは市独自統計による。平成22年度以降は福祉行政報告例による。
図3
450
児童虐待相談対応件数の推移(児童相談所対応分)
420
400
399
374
359
350
180
153
合計
132
300
167
ネグレクト
250
200
115
111
100
5
12
6
120
123
136
H22
H23
H24
150
76
性的虐待
18
100
50
心理的虐
待
98
0
2
H25
身体的虐
待
2
法改正
子どもに対する虐待の禁止、虐待防止に関する国及び地方公共団体の責務、虐待を
受けた子どもの保護と自立支援等を定めた法律として、平成 12 年 11 月 20 日に
「児童虐待の防止等に関する法律」(以下「児童虐待防止法」という。)が施行されま
した。
また児童虐待の対応としては、児童相談所による専門的な対応が求められる一方で、
児童虐待相談件数の増加に伴い、市町村の身近なネットワークによる対応も求められ
ることから、平成 16 年の児童福祉法の改正により、市町村も虐待通告先として位置
づけられました。
その後も、関係法令等も改正され、引き続き児童虐待防止対策の強化や支援体制の
整備等が図られています。
 関係法令の改正経過と主な内容
○ 平成 12 年
児童虐待防止法の成立
・児童虐待の定義(身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待)
・住民の通告義務 等
○ 平成 16 年 10 月
児童虐待防止法・児童福祉法の改正
・児童虐待の定義の見直し(同居人による虐待を放置する事等も対象)
・通告義務の範囲の拡大(虐待を受けたと思われる場合も対象)
・市町村の役割の強化(相談対応を明確化し、虐待通告先に追加)
・要保護児童対策地域協議会の法定化
○ 平成 20 年
等
児童虐待防止法・児童福祉法の改正
・国及び地方公共団体の責務の強化(医療の提供体制の整備、重大な被害を受けた
事例の分析等の追加)
・児童の安全確認等のための立入調査等の強化
・保護者に対する面会・通信等の制限の強化
・保護者に対する指導に従わない場合の措置の明確化
・要保護児童対策地域協議会設置の努力義務化 等
○ 平成 21 年4月
児童福祉法の改正
・乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業等子育て支援事業の法定化及び努力
義務化
・要保護児童対策地域協議会の機能強化
・里親制度の改正等家庭的養護の拡充
等
3
○ 平成 24 年4月
民法改正
・親権停止(2年以内)制度の新設
・親権喪失制度の要件見直し
・施設長等の権限と親権との関係の明確化
・複数の未成年後見人を選任することが可能となる
○ 平成 24 年4月
等
児童福祉法の改正
・親権停止及び管理権喪失の審判等について、児童相談所長の請求権付与
・施設長等が、児童の監護等に関し、その福祉のために必要な措置をとる場合には、
親権者等はその措置を不当に妨げてはならないことを規定
・里親等委託中及び一時保護中の児童に親権者等がいない場合の児童相談所長の親
権代行を規定
等
4
第2章
1
児童虐待の基本的理解
要保護児童等
(1)「要保護児童」とは
児童家庭相談
児童福祉法第6条の3第8項に規定する「要保護児童(保護者の
ない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められ
要保護児童
る児童)
」であり、虐待を受けた子どもに限らず、非行児童、不登
校児童なども含まれます。
虐待
また、後述する要保護児童対策地域協議会では、「要支援児童(保
護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童)」と「特定妊婦(出産後の
養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦)」を合わ
せて、「要保護児童等」とし、支援の対象としています。
なお、ここでいう「児童」とは、18歳未満のすべての子どもを指します。子どもに関
わるその他の関係法令では新生児・乳幼児・児童・生徒・学生等、さまざまな呼ばれ方を
していますが、児童福祉法や児童虐待防止法では「児童」と表記されます。
(2)「通告義務」とは
児童福祉法第25条により、
「要保護児童を発見した者はこれを通告しなければな
らない」
、また児童虐待防止法第6条により、
「児童虐待を受けたと思われる児童を発
見した者は、速やかに通告しなければならない」と規定されています。
特に、学校や児童福祉施設、病院などの職員については、児童虐待防止法第5条に
おいて、
「学校、児童福祉施設、病院その他児童の福祉に業務上関係のある団体及び
学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、保健師、弁護士その他児童の福祉に職務
上関係のある者は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早
期発見に努めなければならない」と規定されています。
(3)誰から「通告」があったかについて、秘密はかたく守られます。
児童虐待防止法第7条において、「市町村、都道府県の設置する福祉事務所又は児
童相談所の所長、所員その他の職員及び当該通告を仲介した児童委員は、その職務上
知りえた事項であって当該通告をした者を特定させるものを漏らしてはならない」と
規定されています。これは、虐待を行っている保護者に対して、通告をしたことが漏
れることを懸念し、通告を躊躇することがあってはならないとの趣旨から設けられて
います。
5
2
児童虐待とは
(1)児童虐待のとらえ方
児童虐待は、子どもの心身の成長及び人格形成に重大な影響を与える、子どもに対
する最も重大な権利侵害になります。児童虐待の対応に際しては、常にこうした認識
に立ち、
「子どもの権利擁護」を図るよう努めることが求められます。保護者の意図
の如何によらず、子どもの立場から、子どもの安全と健全な育成が図られているかど
うかに着目して判断すべきです。たとえ、保護者が子育てに一生懸命であったとして
も、その子をかわいいと思っていても、子ども側にとって有害な行為であれば虐待に
なります。
なお、平成23年に改正された民法において、「親権を行う者は、子の利益のため
に子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。」と規定されていることにも留
意することが必要になります。
(2)児童虐待の定義
児童虐待防止法においては、殴る、蹴るなどの身体的暴行や、性的暴行によるもの
だけでなく、心理的虐待やネグレクトも含むものであることを明確に定義しています。
児童虐待防止法第 2 条(児童虐待の定義)
この法律において、
『児童虐待』とは、保護者(親権を行う者、未成年後見
人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)がその監護す
る児童(18 歳に満たない者をいう。以下同じ。)について行う次に掲げる行
為をいう。
一
児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴力を加えること。
二
児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせ
ること。
三
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保
護者以外の同居人による前2号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置
その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
四
児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭に
おける配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚
姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって
生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及
ぼす言動をいう。
)その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこ
と。
6
■「児童虐待防止法(第2条)」による児童虐待の4つの類型
①身体的虐待
①
②性的虐待
③ネグレクト
④心理的虐待
身体的虐待
児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
・ 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、溺れさせる等の行為
・ 意図的に子どもを病気にさせるなど
②
性的虐待
児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
・ 子どもへの性交、性的行為の強要(教唆を含む)子どもに性器や性交を見せる
子どもをポルノグラフィーの被写体などにするなど
③
ネグレクト
保護者としての監護を著しく怠ること。
※ 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置
※ 保護者以外の同居人による虐待行為の放置
等
・ 子どもの健康・安全への配慮を怠っているなど
例えば、病気なのに医者に診せない・乳幼児を家に残したまま外出する
親がパチンコに熱中したり、買い物をしたりするなどの間、乳幼児等の低年齢の
子どもを自動車の中に放置し、熱中症で子どもが死亡したり、誘拐されたり、乳
幼児等の低年齢の子どもだけを家に残したために火災で子どもが焼死したりす
る事件も、ネグレクトという虐待の結果であることに留意すべきです。
・ 子どもの意思に反して学校等に登校させない、子どもが学校等に登校するよう
に促すなどの子どもに教育を保障する努力をしない
・ 子どもにとって必要な情緒的欲求に応えていない(愛情遮断など)
・ 食事、衣服、住居などが極端に不適切で健康状態を損なうほどの無関心・怠慢
等
例えば、
・適切な食事を与えない
・下着など長期間ひどく不潔なままにする
・極端に不潔な環境の中で生活をさせるなど
・ 子どもを遺棄したり、置き去りにする
・ 祖父母、きょうだい、保護者の恋人などの同居人や自宅に出入りする第三者が
①、②、④に掲げる行為を行っているにもかかわらず、それを放置するなど
7
④
心理的虐待
児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
※ 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な態度
※ 児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力など
・ ことばで傷つける
・ 子どもを無視したり、拒否的な態度を示すことなど
・ 他のきょうだいとは著しく差別的な扱いをする
・ 心に不安やおびえをあたえるなどの行為
・ 子どもの面前で、配偶者やその他の家族などに対する暴力(DV 等)や暴言
・ 子どものきょうだいに、①~④の行為を行うなど
(3)「保護者」及び「監護する」の解釈
児童虐待防止法第2条では、保護者による虐待が定義されていますが、ここでいう
「保護者」とは、子どもを現に監護、保護している者をいいます。そのため、親権者
や未成年後見人であっても、子どもの養育を他人に委ねている場合は保護者ではあり
ません。また親権者や未成年後見人でなくても、例えば、子どもの母親と内縁関係に
ある者も、子どもを現実に監護、保護している場合には保護者に該当します。子ども
が入所している児童福祉施設の長又は子どもの委託を受けた里親も、子どもを現に監
護している者であり、
「保護者」に該当します。
「現に監護する」とは、必ずしも、子どもと同居しなくともよいですが、少なくと
もその子どもの所在、動静を知り、客観的にその監護の状態が継続していると認めら
れ、また、保護者たるべき者が監護を行う意思があると推定されるものでなければな
りません。
(4)子どもに対する虐待の禁止
〇何人も、児童に対し、虐待をしてはならない(児童虐待防止法第3条)
児童虐待防止法の第 3 条でいう「虐待」とは、第2条で規定されている保護者に
よる児童虐待のみならず、幅広く子どもの福祉を害する行為や不作為を含むものにな
ります。
何人も子どもに対する様々な虐待行為(児童福祉法第 34 条や児童買春・ポルノ禁
止法に掲げる禁止事項や、暴力罪、傷害罪、保護責任者遺棄罪、強制わいせつ罪等は
当然含まれる。
)をしてはならないことが規定されています。
なお、保護者以外の者から虐待を受けている子どもについても、保護者がそれを放
置した場合も、その保護者によるネグレクトとして、児童虐待防止法にいう児童虐待
に該当し、同法に基づく通告および保護の対象になります。
8
3
児童虐待の要因
(1)児童虐待を発生させる要因
虐待には、様々なタイプがあり、身体的、精神的、社会的、経済的な要因等が複雑に
絡み合って起こると考えられています。
子どもの養育環境が危機的状況にあるのか、または虐待につながるリスク要因がどの
程度なのかなどを見極めることが重要ですが、それらの要因があるからといって必ずし
も虐待が起こるわけではありません。虐待のおそれを適切に判断するためには、リスク
要因とともに虐待を発生させることを防ぐことにもなるプラス要因も確認することが
重要になります。
とりわけ、近年の児童虐待の発生要因は、家族形態の変化、地域のコミュニティから
の孤立または経済的な不安・不況等の世相の影響が加わった生きづらさの表れとして指
摘されています。虐待は、特別な家族の問題ということではなく、「いつでも、どこで
も、誰にでも」起こりうるものとして捉えらることが必要になります。
虐待を発生させる要因としては、次のようなものが考えられています。
虐待に至るおそれのある要因・虐待のリスクとして留意すべき点
① 保護者側のリスク要因
・妊娠そのものを受容することが困難(望まない妊娠)
・若年の妊娠
・子どもへの愛着形成が十分に行われていない
・マタニティブルーズや産後うつ病等精神的に不安定な状況
・性格が攻撃的・衝動的、あるいはパーソナリティの障害
・精神障害、知的障害、慢性疾患、アルコール依存、薬物依存等
・保護者の被虐待経験
・育児に対する不安、育児の知識や技術の不足
・体罰容認のしつけ
・特異な育児観、脅迫的な育児、子どもの発達を無視した過度な要求
② 子ども側のリスク要因
・乳児期の子ども
・未熟児、障がい児、多胎児
・保護者にとって何らかの育てにくさを持っている子ども
③ 養育環境のリスク要因
9
等
等
・経済的に不安定な家庭
・親族や地域社会から孤立した家庭
・未婚を含むひとり親家庭
・内縁者や同居人がいる家庭
・子連れの再婚家庭
・転居を繰り返す家庭
・保護者の不安定な就労や転職の繰り返し
・夫婦間不和、配偶者からの暴力(DV)等不安定な状況にある家庭
等
④ その他虐待のリスクが高いと想定される場合
・妊娠の届出が遅い、母子健康手帳未交付、妊婦健康診査未受診、乳幼児健康診査
未受診
・飛び込み出産、医師や助産師の立会いがない自宅等での分娩
・きょうだいへの虐待歴
・関係機関からの支援拒否
4
等
児童虐待の子どもへの影響
児童虐待は、子どもに対する最も重大な権利侵害です。
そして、児童虐待は子どもの心身の成長や人格形成に重大な影響を与え、身体的に重
大な後遺症を残したり、最悪の場合は、死に至ることもあります。
また、子どもに与える心の傷の深さも深刻な問題です。虐待の影響は、虐待を受けて
いた期間、虐待の態様、子どもの年齢や性格等によりさまざまですが、身体的影響、知
的発達面への影響、心理的影響について、いくつかの共通した特徴が見られます。
(1)身体的影響
・ 打撲、切創、熱傷など外から見てわかる傷、骨折、鼓膜穿孔、頭蓋内出血などの外
から見えない傷、栄養障害や体重増加不良、低身長などが見られる。
・ 愛情不足により成長ホルモンが抑えられた結果、成長不全を呈することもあり、こ
うした子どもは、一時保護された後の短期間で大幅な身長の伸びや体重増加を示す
ことがある。
・ 身体的虐待が重篤な場合には、死に至ったり、重い障害が残る可能性がある
(2)知的発達面への影響
・ 安心できない環境で生活することにより、落ち着いて学習に向かうことができなか
ったり、ネグレクトの状態で養育されることで、学校への登校もままならない場合
10
があり、そのために、もともとの能力に比しても知的な発達が十分に得られないこ
とがある
・ 虐待する保護者は子どもの知的発達にとって必要なやりとりを行わなかったり、逆
に年齢や発達レベルにそぐわない過大な要求をする場合があり、その結果として子
どもの知的発達を阻害してしまうことがある
(3)心理的影響
[対人関係の障害]
子どもにとって最も安心を与えられる存在であるはずの保護者から虐待を受ける
ことにより、子どもは欲求を適切に満たされることのない状態となり、そのために、
子どもは、愛着対象(保護者)との基本的な信頼関係を構築することができなくなり、
結果として他人を信頼し愛着関係を形成することが困難となり、対人関係における問
題を生じることがある。
[低い自己評価]
子どもは、自分が悪いから虐待されるのだと思ったり、自分は愛情を受けるに値す
る存在ではないと感じたりすることがあり、そのため自己に対する評価が低下し、自
己肯定感を持てない状態となることがある。
[行動コントロールの問題]
保護者からの暴力を受けた子どもは、暴力で問題を解決することを学習し、学校や
地域で粗暴な行動をとるようになることがある。そのために攻撃的・衝動的な行動を
とったり、欲求のままに行動する場合がある。
[多動]
虐待的な環境で養育されることは、子どもを刺激に対して過敏にさせることがあり、
そのために落ち着きのない行動をとるようになる。ADHD(注意欠陥・多動性障害)
に似た症状を示すため、その鑑別が必要となる場合がある。
[心的外傷後ストレス障害]
受けた心の傷(トラウマ)は適切な治療を受けないまま放置されると将来にわたっ
て心的外傷後ストレス障害(PTSD)として残り、思春期等にいたって問題行動とし
て出現する場合がある。
[偽成熟性]
大人の顔色を見ながら生活することから、大人の欲求にしたがって先取りした行動
11
をとるような場合がある。さらには、精神的に不安定な保護者に代わって、大人とし
ての役割分担を果たさなければならないようなこともあり、ある面では大人びた行動
をとることがある。一見よくできた子どもに思える一方で、思春期等に問題が表出し
てくることもある。
[精神的症状]
反復性のトラウマにより、精神的に病的な症状を呈することがある。例えば、記憶
障害や意識がもうろうとした状態、離人感等が見られることがあり、さらには強い防
衛機制としての解離が発現し、まれには解離性同一性障害に発展する場合もある。
以上のように、虐待は子どもの心身に深い影響を残し、その回復のためには長時間の
治療やケアが必要となります。
12
第3章
1
要保護児童対策地域協議会の仕組み
熊本市要保護児童対策地域協議会
(1)設立主旨
虐待を受けている子どもの早期発見や適切な保護を図るためには、関係機関がその
子どもや保護者等に関する情報や考え方を共有し、きめ細かな連携の下で対応してい
くことが重要になります。そのため、平成 16 年の児童福祉法改正により、多数の関
係機関の円滑な連携・協力を確保するために、虐待を受けた子どもをはじめとする要
保護児童等に関する情報交換や支援内容の協議を行う「要保護児童対策地域協議会」
が法的に位置づけられました。
熊本市においても、平成 18 年 6 月に「熊本市要保護児童対策地域協議会」
(以下
「要対協」という。
)を設置し、児童福祉法第 25 条の2第 4 項の規定により、熊本
市健康福祉子ども局子ども支援課は市全体の「調整機関」として、代表者会議の事務
局及び関係機関との連絡調整に努めています。また、区保健子ども課は実質的な要対
協の調整機関として、各区の要保護児童に対する支援の実施状況の把握や関係機関の
調整を行い、関係機関と情報や援助方針を共有し支援につなげています。
(2)構成機関
要対協は、46 機関の構成機関で構成されています(平成 27 年 4 月 1 日)
。
13
(3)運
営
要対協は、児童福祉法第25条の2第2項で規定する、要保護児童若しくは要支援
児童及びその保護者又は特定妊婦に関する情報、その他要保護児童の適切な保護又は
要支援児童若しくは特定妊婦への適切な支援を図るために必要な情報並びに児童虐
待及び非行を防止するために必要な情報の交換を行うとともに、要保護児童等に対す
る支援の内容に関する協議を行います。
2
熊本市要保護児童対策地域協議会の仕組み
(1)組織
要対協は、代表者会議、区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)、区進行管理会議
及び個別ケース検討会議によって組織されています。また、要対協には専門部会を置
くこともできます。
14
(2)要保護児童対策地域協議会の構成員の守秘義務について
要対協は、保護を要する子ども等に関する情報の交換や支援の内容に関する協議を行
うために必要があると認めるときは、関係機関等に対し、資料又は情報の提供、意見の
開陳その他必要な協力を求めることができるとされています(児童福祉法第25条の3)
。
要対協の構成員以外の関係機関等と要対協の構成員の間で双方向の情報の交換等を行
うことが見込まれる場合には、協力要請時に、守秘義務が課せられる要対協の構成員と
なることについても要請します。
個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)においては、本人の同意を
得ない限り、①あらかじめ特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を
取り扱ってはならないとともに、②第三者に個人データを提供してはならないこととさ
れています(同法第16条及び第23条)。
しかし、
「法令に基づく場合」は、これらの規定は適用されないこととされており、要
対協の構成員が、児童福祉法第25条の3に基づく協力要請に応じる場合は、この「法
令に基づく場合」に該当するものであり、個人情報保護法に違反することにはなりませ
ん。
15
要対協の取り扱う情報に関しての法的位置付け
○要対協の構成機関内における情報共有は、守秘義務違反にならない。
(児童福祉法第 25 条の 2 第 2 項)
○要対協は必要に応じて、要対協に構成されていない機関等に対しても、資料または
情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。
(児童福祉法第 25 条の 3)
○要対協の構成員は要対協で知り得た情報を漏らしてはいけない。
(児童福祉法第 25 条の 5)
○守秘義務に反し、秘密を漏らした場合には、1 年以下の懲役または 50 万円以下の
罰金。
(児童福祉法第 61 条の 3)
(3)代表者会議(熊本市要保護児童対策地域協議会要綱第7条)
要対協の構成機関等の代表者で構成し、要保護児童等への支援活動が円滑に機能す
るよう、年に1回以上開催し、要保護児童等の支援に関するシステムや要対協の年間
活動方針等について協議します。構成機関の代表者は、要対協の運営が円滑に機能す
るよう、情報提供や研修等を実施する等構成員の理解の増進に努めてください。代表
者会議の事務は、子ども支援課で処理します。
(4)区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)
(熊本市要保護児童対策地域協議会要綱第8条)
要対協の構成機関等の各区実務担当者で構成し、定例的な情報交換や困難な事例へ
の対応の検討、各区の活動方針に関する協議、研修等を実施します。
区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)は、区ごとに開催し、各区で年に1回以上開
催します。区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)の事務は、各区保健子ども課で処
理します。
(5)区進行管理会議(熊本市要保護児童対策地域協議会要綱第9条)
各区保健子ども課において受理した、区内の全ての要保護児童等ケースについて、
ケースの見落としを防ぎ、幅広い観点から多角的に見立てることを目的とした進行管
理を行う会議を定期的(1 ケースにつき3か月ごと)に開催します。区進行管理会議
の事務は、区保健子ども課で処理します。
(6)個別ケース検討会議(熊本市要保護児童対策地域協議会要綱第10条)
個別のケースについて、そのケースに直接関わりのある関係機関及び今後関わる可能
性のある関係機関の担当者で構成し、ケースに対する具体的な支援の内容等を検討します。
16
①
開催時期
・
ケースに対応している機関が「単独機関では対応困難」と判断した時
・
ケースが複雑で多機関の連携が必要と判断した時
・
改善が見られない時
②
参加者・参加機関
・
ケースに直接関わっている担当者ケースに以前関係し、今後、事例との関わりを持
つ可能性がある機関
③
召集方法
ケースの主担当機関が主催します。いつ・どこで・どの機関を召集するのかを主担当
機関が事前に検討し、参加が必要と思われる機関を召集します。各構成機関で個別ケ
ース検討会議開催についての意見がまとまらない場合は、ケースの主担当機関調整を
行います。
・
援助機関等は事前に連絡窓口担当者を決めておきます。
※主担当機関は、区保健子ども課又は児童相談所のどちらかが担います。
※援助機関とは、日常的に具体的な場面で、子どもや家族を支援する関係機関(者)
のことをいいます。特に、支援の中心的な機関を主援助機関といいます。
④
会議の流れ
会議では次のとおり、情報を共有し、連携して組織的、継続的に対応します。
17
個別ケース検討会議の流れ
会議のステップ
内
容
① 会者があいさつ
ステップ1
開会
留 意
事 項
◇守秘義務、資料の取扱いにつ
・相談通告の受理、会議開催までの
いて確認
説明
・資料の説明
・会議の流れと時間の確認
・守秘義務の確認
②出席者の紹介
③今までの経過について関係機関
ステップ2
情報共有
から報告
◇新たに加わった情報や状況の
変化を整理する
・主援助機関等から経過報告
◇それぞれの情報がどのように
・関係機関からの追加説明
関連しているか現状を正確に
・質問等
捉える
◇家族が持つ強みにも注意する
④状況を明確化し、共有する
ステップ3
課題の明確化
・検討内容を焦点化する
(評価)しながら課題・論点
・気になる問題点について報告者か
を整理する
ら説明
◇原因究明よりも解決に向けた
・課題が何か再度検討していく
⑤ ⑤スク軽減のためのアプローチの
ステップ4
対応と役割分担
◇これまでの支援を振り返り
検討
検討を中心とする
◇課題としてあげられたことに
ついて、どの機関が何を目的に
・どういったことから、問題が軽減 対応するか明らかにする
されうるか
◇できるだけ課題は具体的に
・もっとも実現できそうなものは何 し、必要に応じて方法と期限も
か
設定する
・優先順位、短期目標、長期目標は ◇会議の場以外でも、定期的に
何か
情報を交換する
・援助方針の決定
⑥用できる力や社会資源について
の検討
⑦割分担の確認
・主担当機関及び主援助機関の確認
・各機関の役割の確認
18
⑧今後の支援の確認
ステップ5
・会議の決定事項の確認
今後の援助方針
・緊急対応の連絡方法について確認
の確認
⑨次回の会議開催(の目安)の決定
⑩記録の作成、課内報告(主担当機 ◇主担当機関の変更、援助機関
ステップ6
役割分担の再確認
(会議終了後)
関)
の役割等について、役割分担表
・会議録を作成し、決裁
に具体的に記載し、参加機関は、
⑪役割分担表の配布
再度役割分担を確認する。
・
「個別ケース検討会議役割分担表
〈資料編 P1〉」を作成し、主担当機
関が参加機関へ配布
19
第4章
1
児童虐待の早期発見と対応
児童虐待の発見・観察のポイント
児童虐待は未然に防ぐことが第一ですが、これが困難な場合は、できるだけ早く発見し、
対応することが必要です。虐待ではないかと疑いを持った場合は、確信が持てなくても、
区保健子ども課や児童相談所に連絡することが大切になります。
子どもや保護者の様子について、一般的には次の点に注意が必要になります。
(1)子どもの様子
□
原因のはっきりしていないケガをしている
□
身体的発達が著しく遅れている
□
表情が乏しく元気がない
□
落ち着きがない、警戒心が強い
□
衣服や身体が非常に不潔である□ いつもお腹を空かせていて、与えると、が
つがつ食べる
□
家に帰りたがらない。あるいは家出を繰り返している
□
養育者と離れると安心した表情になる□ 性的なことで過度に反応したり、不
安を示したりする 等
(2)保護者の様子
□
子どものケガなどについて不自然な状況説明をする
□
養育態度が過度に厳しい□
□
育児に対する常識のなさ、偏った育児の知識、養育能力の問題がある
□
夫婦関係や経済状態が悪い
□
地域や親族と交流がなく、孤立している
□
自分自身の親子関係に問題があるとよく言う 等
気分の変動が激しく、すぐに体罰を与える
※児童虐待の相談と通告先は(P22 または裏表紙)を参照して下さい。
20
2
通告義務
(1)虐待に気づいたときには
迷わず、まず通告を(通告義務)
 虐待を発見した人には通告の義務があります
児童福祉法(第25条)では、
「要保護児童を発見した場合は連絡しなければならない。」
また児童虐待防止法(第6条)では、国民は「虐待を受けたと思われる児童を発見した
場合は連絡しなければならない」と定めています。これを「通告」といいます。
また、児童虐待防止法(第5条)では、子どもの福祉に職務上関係のあるものは児童
虐待の早期発見に努めなければならないとされています。
通告をした後の調査で虐待の事実はなかったとしても、責任は問われません。また、
通告者の秘密は固く守られます。ただし、保育所や学校等からの通告の場合、地域、近
隣住民あるいは家族、親族からの相談とは異なり、通告した機関が特定される可能性が
高いことは理解しましょう。
21
(2)児童虐待の相談と通告先
【相談・通告窓口】
相談・通告窓口
管轄地区(小学校区)
中央区保健子ども課
壺川・碩台・白川・城東・慶徳・一
中央区手取本町1-1
新・五福・向山・黒髪・大江・本荘・
(熊本市役所本庁舎3階)
春竹・出水・砂取・託麻原・帯山・
電話番号
328-2421
白山・帯山西・出水南
東
区保健子ども課
画図・健軍・秋津・泉ヶ丘・若葉・ 367-9130
東区東本町16-30
尾ノ上・西原・託麻東・託麻西・託
(東区役所3階)
麻北・桜木・東町・月出・健軍東・
託麻南・山ノ内・長嶺・桜木東
西
区保健子ども課
古町・春日・城西・花園・池田・白
西区小島2-7-1
坪・高橋・池上・城山・松尾東・松
(西区役所3階)
尾西・松尾北・小島・中島・芳野・
329-6838
河内
南
区保健子ども課
田迎・田迎西・田迎南・日吉・日吉
南区富合町清藤405-3
東・御幸・川尻・城南・力合・力合
(南区役所3階)
西・飽田東・飽田南・飽田西・中緑・
357-4135
銭塘・奥古閑・川口・富合・杉上・
隈庄・豊田
北
区保健子ども課
清水・龍田・城北・高平台・楠・麻
北区植木町岩野238-1
生田・武蔵・弓削・楡木・川上・西
(北区役所1階)
里・北部東・植木・山本・田原・菱
272-1104
形・桜井・山東・吉松・田底
熊本市児童相談所
366-8181
中央区大江5-1-50
(あいぱるくまもと3階)
◆業務時間/平日:午前8時 30 分~午後5時15分
 緊急・夜間・休日の通告は「児童相談所」へ
 昼夜を問わず、子どもの生命に危険が生じる状況が予想される場合には、ま
ず警察(110 番)に連絡し、子どもの安全を確保してください。
22
3
発見時の対応
(1)発見したときの注意点
虐待を発見したとき

虐待あるいは虐待しそうな保護者に対して否定的なイメージを持たない
児童虐待は特別な個人の問題というよりも、様々な社会的要因が重なって発生して
おり、決して他人事ではなく、誰にでも起こえます。
虐待を起こしている家族に対して「悪いイメージ」を持ったり、非難することは、
その家族を追い詰めることにもつながります。また、それは支援者からの介入を保護
者が拒むきっかけにもなりえます。

保護者を罰することよりも、子ども・家族への援助を優先する
虐待の通告の目的は、虐待をしている保護者を罰することではありません。子ども
の健やかな成長や発達を育むため、保護者に虐待をしないように働きかけ、子どもと
の関係を修復していくための援助の出発点になります。
最も大切なことは、その家族にとって、どのような援助が必要であるのか、子ども
と保護者を取り巻く関係者で一緒に考え、支援していくことになります。
 ひとりだけで解決しようとしない
問題が大きく深刻にならないようにするためにも、早期に発見し、早期に対応する
ことが重要です。そして、早い段階から児童虐待対応の専門機関と協力して対応して
いくことが迅速かつ効果的な対応につながります。
特に、通告者(発見者)が団体組織に所属している場合は、
「組織で対応」すること
が重要です。上司に報告するなどして、組織で対応します。
※この時、組織や上司に「要対協」への理解がなくてはなりません。構成機関の代表
者等は、代表者会議や区ごとの実務者会議等を通し、要対協の現状を報告してくださ
い。
23
(2)初期対応として
①
虐待の判断
○ ひとりで虐待と判断するのではなく、関係機関等も含め何人かの意見や情報によ
り判断していきます。
○ 虐待はどのような場合でも早急な対応が必要になりますが、特に子どもの心身に
重大な危機が迫っている場合、または迫る可能性が高い場合は、すぐに区保健子
ども課や児童相談所に緊急度が高いということをあわせて通告することが重要に
なります。
②
速やかな通告と子どもの安全確保
○ まずは子どもの生命、身体の安全を確保することが大切になります。
○ 子どもが危険な状況にあったり、子どもが保護を求めていたりするときは、直ち
に区保健子ども課または児童相談所に連絡してください。
○ 児童相談所では一時保護の要否を判断し、必要な場合は一時保護を行います。
○ 子どもの生命、身体の安全を守るため一刻を争う場合には、警察に通告(110 番
通報)して、子どもの安全を確保することが必要になります。
○ 受傷状態がひどい時には医療機関での受診を優先させ、緊急時には救急車を手配
します。
通告時のポイント
1
2
・できるだけ正確に ・分かれば家族構成も
• 家族の氏名と住所
・ 子どもが受けている虐待の状況(いつ、
誰によって、どうされたか。頻度や現在の
様子等)
・ 虐待者(保護者)の状況
• 虐待の内容と程度
及び頻度・時期
・ 実際に目撃している
3
4
• 虐待を疑う理由
・ 悲鳴や音、児童の状況から推測
・ 関係者から聴いた
• 調査・支援の糸口
・
その他
・ 子どもの保育園・幼稚園・学校名、何年生、
家族の状況、通院している医療機関名等
・ 子どもを目視できているか
24
次ページの「児童虐待連絡メモ」は、通告する際の内容の整理にお使いください。
児童虐待連絡メモ
年
月
日
※通告する場合、内容の確認用にお使いください。
所属・職名
通告者
電話番号
氏名
①
②
住所
ふりがな
氏名
児童
生年
平成
年
月
女
月日
(
歳
ヶ月)
日
就学状況等
(担任名
)
住所
(電話
)
氏名
保護者
男
(父)
歳
(母)
歳
職業等
【現在までの経過】
【家族構成】
【虐待の具体的内容】
(いつから、誰によって、どうされたか。頻度は。現在の様子は。)
【連絡意図】
【備考】
・子どもの保護
・調査し対応を
・対処方法を相談したい
・取り扱いを通知する
25
児童虐待の重症度判断
○ 重度以上の場合は、躊躇なく児童相談所および警察に通告する必要があります。
○
これを保護者でない、他の者が行なっていることを保護者が放置していても同じ重
症度判断とします。
1
最重度(生命の危険が生命の危険が「ありうる」
「危惧するもの」
□ 頭部外傷の可能性
(投げる・頭部を殴る・逆さ吊り・乳児を強く揺する)
□ 腹部外傷の可能性
(腹部を蹴る・踏みつける・殴る)
□ 窒息の可能性
(首を絞める・水につける・布団蒸し・鼻口をふさぐ)
□ 脱水症状・栄養不足のため衰弱している
□ 感染症や下痢、または重症慢性疾患があるのに医療受診がなく放置されている
(障害児の受容拒否に注意)
□ 親子心中を考えている
2
重度(子どもの健康や成長・発達に重大な影響がある)
□ 医療を必要とする外傷がある、又は近い過去にあった
・新旧多数の打撲傷
・骨折、裂傷、目の外傷
・熱湯や熱源による火傷(たばこの火などによる火傷等)
□ 児に明らかな精神症状が見られ、医療的なケアが必要
□ 虐待の結果、成長障害や発達の遅れが顕著
□ 明らかな性行為やわいせつ行為、あるいはその疑いがある
□ 必要な栄養、医療、住居が保障されていない(家から閉め出されるも含む)
□ 家から出してもらえない。一室に閉じ込められている
□ 子どもを傷つけるのを楽しむなどサディスティックな行為がある
3
中度(入院を要するほどではないが子どもに影響が出る可能性がある)
□ 慢性のあざや傷痕(たばこの火による火傷等)ができるような暴力を受けている
□ 長期にわたり、身体的ケアや情緒的ケアを受けていないため、人格形成に問題が
残る危険性がある
□ 生活環境や育児条件が極めて不良なため、事態の改善が望めない
□ 大人の監護なく長時間にわたり家に放置されている
4
軽度(暴力や養育への拒否間があるが衝動のコントロールが可能)
□ 外傷が残らない暴力
□ 子どもに健康問題を起こすほどではないネグレクト
5
疑い
□ 重症度に関わらず虐待の疑いのあるもの
※「子ども虐待予防のための地域保健活動マニュアル」より
○
虐待の重症度は、①生命の危険、②子どもへ影響、③生活の状況、④援助の必要性
の4つの側面から情報を入手した上で判断します。
26
4
通告手順
虐待事実の確認から通告までの手順(保育園・学校等の場合)
(1)事実を確認する
■外傷・あざなど発見したときには記録をとる
・いつ、だれが、どのようにして発見したのか
・できれば写真(①②)を撮る
写真①:外傷部位のクローズアップ
写真②:子どもの顔の入ったもの
※フラッシュはたかない(傷が写らなくなる場合がある)
※子どもの年齢が高い場合、写真を撮られたことを親に伝える場合があるの
で、写真の撮り方には配慮が必要
・外傷やあざ等の図を描く
※傷の大きさ、色、形状等を詳しく記載するとともに図にする
■子どもへの聴き取りをする
・他の子どもたちがいない落ち着いたところで、信頼関係のある者が聴き取りを
行う
・いつ・どこで・どのようにしてできたか
いつから・頻度などを聴き取るが“質問攻めにしないことが重要”
※特に「首から上の傷」、手ではなく「物を使って」叩くなどは危険度が高い
・子どもの言葉やそのときの表情をそのまま記録する
・親をかばって言わないことがあるが答えることを強制しない
保護者に確認する
■登園・登校時に保護者に確認する
・登園登校時に外傷やあざ等に職員が気づき、保護者がいる場合には、保護者
に職員が確認する
※保護者を責める態度ではなく、確かめる雰囲気で対応する
※確認する言い方の(例)~柔らかい口調で~
「痛そうですね」
「大丈夫かしら」「手当は済んでいますか」「病院にはい
きましたか」
「今日は本人が無理をしないように気をつけておきますね」
27
■保護者がいないときに発見した場合には
・職員は上司に報告し、今後の対応を相談する
・保護者には外傷等のことを電話では確認しない、直接保護者と会って確認す
る(電話では保護者の誤解を生み、また、会話での保護者の表情も確認でき
ない。
)
■組織で対応
・保育所、幼稚園、学校などで発見した場合は、組織で対応する
・外傷、あざ等の確認は組織の長や複数の職員で行う
・子どもへの対応、保護者への対応等組織で役割分担する
・ケガの程度によっては、園医や校医、かかりつけ医の受診をすすめる
・傷、痣があった場合には、区保健子ども課、児童相談所へ連絡するよう決め
られているので連絡をする(した)と伝える
(2)通告
■通告は組織の長が行う
・区保健子ども課または児童相談所に通告する
・保育所、幼稚園は園長、学校は校長(その長の指示を受けた教諭)
(3)関係機関による援助活動
■多機関と連携・情報共有化し援助を行う
・関わり方など不明なことは区保健子ども課または児童相談所に相談する
・個別ケース検討会議が必要と思われるときは積極的に、区保健子ども課また
は児童相談所に相談する
・区保健子ども課や児童相談所の調査に協力する
・個別ケース検討会議が開催される場合は参加する
28
第5章
各機関の役割と対応 -関係機関との協働-
児童虐待への対応や支援は、一人の支援者や一つの機関だけでできるものではありませ
ん。関係機関がその子どもや保護者等に関する情報や考え方を共有し、それぞれの専門性
を生かした役割分担に応じ、相互に連携しながら対応していくことが重要です。また、複
数の機関が関わることで、見落としや支援の穴を防ぐことができ、さらには、各機関ある
いは担当者の負担を分散することができます。
熊本市では、第 3 章で記述したように要対協を活用し、児童虐待に対応するための連携
体制を構築しています。
ここでは、要対協の構成機関の取り組みや役割等についてまとめています。各機関で、
虐待を発見する場面や支援方法・役割等は異なりますが、以下については、共通して留意
すべきことになります。
○迅速な対応
児童虐待への対応においては、猶予を許さない緊急な対応が必要であることが少なくあ
りません。夜間や休日に虐待が発生することもあり得ます。夜間・休日の虐待の通告は児
童相談所で対応しています。
緊急・夜間・休日通告先
熊本市児童相談所
電話 366-8181
○子どもの安全確保の優先
児童虐待対応においては、安全確保こそが最優先事項です。根拠のない楽観論や保護者
との関係性に配慮しすぎることで介入が遅れ、重大な事態に至ってしまう事例が生じてい
ることに十分留意すべきことになります。関係機関で対応を協議する場合も、子どもの安
全に最も危機意識を持っている機関の意見に真摯に耳を傾けて判断する必要があります。
虐待を行った保護者を責めるのではなく、支援のための関係機関につなげるように努力
することが基本になりますが、一方で、子どもの安全を確保するためには、毅然として保
護者に対することも求められます。
○家族の構造的問題としての把握
児童虐待が生じる家族には、保護者の性格、経済状態、就労、夫婦関係、住居環境、近
隣関係、親族との関係、医療的問題、子どもの特性など、様々な問題が複合、連鎖的に作
用して、虐待にいたっています。
29
したがって、一時的な助言や注意、あるいは経過観察のみでは改善が望みにくく、放置
すれば事態が悪化・膠着化しやすいため、積極的介入型の援助が重要になります。
また、支援を検討する上では家族を総合的・構造的に把握するように努める必要があり、
また一方では、家族が抱えている生活上の困難やつらさを理解し、保護者の心情をくみと
って、これまで努力してきたことを認めることなども大切になります。
○組織的な対応
虐待対応を適切に行うためには、担当者ひとりの判断で行動することを避けなければな
りません。区保健子ども課や児童相談所は、組織として対応方針の判断を行うとともに、
その後の情報収集や機関連携、援助方針決定なども組織的な協議によって進めています。
保育所や幼稚園、学校等で児童虐待が発見された場合も、担任だけでの対応等は避け、
組織単位で行うことが必要になります。
○多機関の連携による支援
児童虐待の予防や虐待の問題を解消するための支援は、一つの機関や職種のみではでき
ません。地域の関係者が協働して、予防や支援に取り組むことが何よりも大切になります。
連携を効果的に行うためには、それぞれの機関が互いに持っている機能や限界を理解し合
い、役割分担をし、補い合いながらネットワークを構築していくことが必要になります。
区保健子ども課は、支援のために、地域の資源を十分に活用し、関係機関の支援をコーデ
ィネートします。
30
1
児童相談所
(1)児童相談所の役割
児童相談所は、市町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、子どもに関する家庭その他
からの相談に応じ、子どもが抱える問題または子どもの真のニーズ、子どもの置かれた
環境の状況を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行うことにより、
子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護することが主たる役割になります。
(2)児童相談所の機能
①
基本的機能
児童相談所の基本的機能は以下のとおりです。
機能
市町村援助機能
内容
根拠
市町村による児童家庭相談への対応について、市町村
児童福祉法第12条
相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供、研
第2項
修、その他、必要な援助を行う機能
相談機能
子どもに関する家庭その他からの相談のうち、専門的な
児童福祉法第12条
知識及び技術を必要とするものについて、必要に応じて
第2項
子どもの家庭、地域状況、生活歴や発達、性格、行動に
ついて専門的な角度から総合的に調整、診断、判定(総
合判断)し、それに基づいて援助指針を定め、自ら又は
関係機関等を活用し一貫した子どもの援助を行う機能
必要に応じて子どもを家庭から離して一時保護する機能
一時保護機能
児童福祉法12 条
第2項、第12条の
4、第33条
措置機能
子ども又はその保護者を児童福祉司、児童委員(主任児
児童福祉法26条、
童委員を含む。以下同じ)に指導させ、又は子どもを児童
27条
福祉施設、指定医療機関に入所若しくは委託させ、又は
小規模住宅型児童養育事業を行う者若しくは里親に委
託する等の機能
②
民法上の権限
親権者の親権喪失、親権停止及び管理権喪失宣告の請求、未成年後見人選任及び解
任の請求を家庭裁判所に対して行うことができます。(児童福祉法第33条の7、第3
3条の8、第33条の9)
31
③
児童虐待対応における児童相談所の主な権限
権限
出頭要求
立入調査
臨検、捜索等
内容
根拠
児童虐待が行われているおそれがあると認められる場
児童虐待防止
合は保護者に対し、児童を同伴して出頭することを求
法第8条の 2、
め、必要な調査や質問を行います。
第9条の2
児童虐待が行われているおそれがあると認められる場
児童虐待防止
合で、子どもの安全確認が困難な場合に、子どもの居
法第9条、児童
所に立ち入って必要な調査や質問を行います。
福祉法第29条
児童虐待が行われている疑いがあり、出頭の求めに
児童虐待防止
応じない場合は児童の安全確認または安全を確保す
法第9条の3
るため、裁判所からの許可状により、子ども居所の臨
検または捜索を行います。
一時保護
一時保護は原則として保護者等の同意が必要です
児童福祉法第
が、児童相談所長が、子どもの安否確認等の結果一
33条
時保護が必要と認める場合には、保護者の意に反す
る場合においても一時保護を行います。
家庭裁判所
承認による施
設入所、里親
委託等
④
児童虐待等により、保護者に子どもを監護させること
児童福祉法第
が、著しく子どもの福祉を害する状態であるにもかかわ
28条
わず、保護者が施設入所等に同意しない場合、家庭
裁判所の承認を得たうえで施設入所等措置を行いま
す。
夜間・休日の対応
虐待通告等の緊急な場合に備え、24時間対応可能な体制をとっています。
・ 夜間・休日に虐待が疑われ、緊急に対応する必要があると判断された場合は児童相
談所に通告・相談すると、相談員が話を聞いた上で、その日の当番職員(自宅待
機)に連絡します。
・ 当番職員は、必要に応じて、通告者から詳しい情報を聞き取ります。48時間以
内に、可能な調査や家庭訪問等を行い、児童の安全確認を行います。また保護者
への助言、指導等を行います。
・ 重大な結果が生じている、重大な結果が生じる可能性が高い、児童が家に帰りた
がらない等、緊急に保護する必要があると判断した場合は、緊急一時保護を行い
ます。
32
(3)児童相談所における相談援助活動の体系、展開
児童相談所に相談・通告・送致された場合、児童相談所では、下記の対応を行います。
①
児童相談所に相談・通告・送致された場合、児童相談所は受理会議を行い、組織として
対応します。
(夜間、休日や緊急対応が必要と考えられる場合は、電話等による協議)
②
虐待で緊急性が高いと判断された場合には早急に虐待の事実を確認し緊急一時保護を
行います。なお、一時保護は原則として一時保護所にて行いますが、子どもの状態に
応じて、乳児院、障がい児施設、医療機関等に一時保護委託を行うことがあります。
③
緊急性が低いと判断された場合、また虐待以外の相談においても、必要に応じて一時
保護を行うこともあります。
④
児童相談所で受理した相談については、児童福祉司若しくは児童心理司の調査に基づ
く社会診断、児童心理司による心理診断、医師による医学診断、一時保護部門の職員
による行動診断等をもとに総合診断(判定)をして個々の子どもに対する支援の方法
等を検討します。
⑤
施設入所や里親委託が適当と判断された場合、保護者の同意を得て、施設入所措置や
里親委託を行います。
⑥
一時保護中の子どもで、保護者の意に反して、施設入所、里親委託が適当と判断され
た場合には、家庭裁判所に対して児童福祉法第28条に基づく施設入所承認の申立て
を行います。
⑦
施設入所や里親委託の後も、児童相談所は施設職員や里親等と一緒に子どもの支援を
行っていきます。
⑧
在宅支援が適当と判断された場合または施設入所後に家庭関係の調整や家庭環境の変
化等によって家庭復帰となった場合には、児童相談所と関係機関、地域が連携して支
援を行っていきます。
33
児童相談所における相談援助活動の体系・展開
★
調
都 道 府 県 児 童 福 祉 審 議 会
社 会 診 断
査
(27⑥)
意見照会
(12②)
(意見具申)
心 理 診 断
相談の受付
・相談
・面接受付
・通告
・電話受付
・送致
・文書受付
判
受理会議
医 学 診 断
定
(判定会議)
援助方針
援助内容の
会議
決定
(所長決裁)
行 動 診 断
一 時 保 護
保護/観察/指導
(33)
その他の診断
(所長決済)
(12②)
援
助
の
実
行
(子ども、保護者、関係機関等への継続的援助)
(結果報告、方針の再検討)
援 助 の 終 結 、 変 更
(受理、判定、援助方針会議)
援
助
1 在宅指導等
(1)措置によらない指導(12②)
ア 助言指導
イ 継続指導
ウ 他機関あっせん
(2)措置による指導
ア児童福祉司指導(26①Ⅱ、27①Ⅱ)
イ児童委員指導(26①Ⅱ、27①Ⅱ)
ウ児童家庭支援センター指導(26①Ⅱ、27①Ⅱ)
エ知的障害者福祉司、社会福祉主事指導(27①Ⅱ)
オ障害児相談支援事業を行う者の指導(26①Ⅱ、27①Ⅱ)
カ指導の委託(26①Ⅱ、27①Ⅱ)
(3)訓戒、誓約帥(27①Ⅰ)
2
児童福祉施設入所措置(27①Ⅲ)
指定医療機関委託(27②)
3
里親、小規模住居型児童養育事業委託措置(27①Ⅲ)
4
児童自立生活援助の実施
(33 の 6①)
5
福祉事務所送致、通知(26①Ⅲ、63 の 4、63 の 5)
都道府県知事、市町村長報告、通知(26①Ⅳ、Ⅴ、Ⅵ、Ⅶ)
6 家庭裁判所送致(27①Ⅳ、27 の 3)
7 家庭裁判所への家事審判の申立て
(1) 施設入所の承認(28①②)
(2) 親権喪失宣告の請求(33 の 6)
(3) 後見人選任の請求(33 の 7)
(4) 後見人解任の請求(33 の 8)
(数字は児童福祉法の該当条項等)
★熊本市においては、
「熊本市社会福祉審議会児童福祉専門分科会審査部門」で審議
34
2
区保健子ども課
区保健子ども課では、地域住民の健康の保持増進を目的とした地域保健の機能と児
童福祉行政機能を担っています。
(1)予 防
○ 児童虐待の未然防止については各機関でそれぞれ役割を担っており、特に区
保健子ども課の母子保健事業では、乳幼児のほぼ全数を把握できるため、早
い段階での予防・発見につながっています。
○ 子育て支援や児童虐待についての地域住民への啓発活動、保健師を中心とし
た地域での母子保健活動、乳幼児家庭訪問指導等を実施する中で、子育て家
庭が地域で孤立しないよう活動を行っています。
○ 校区の社会福祉協議会や民生委員児童委員、主任児童委員、子育て支援セン
ター、保育所、幼稚園等と協働し、地域の子育て家庭への支援のため、校区
子育て支援ネットワークを構築するなどの地域づくりを行っています。
○ 校区子育て支援ネットワークでは、身近な場所での子育て支援として、子育
てサークルや子育てサロン等を地域コミュニティセンターや地域公民館など
で協働開催しています。
(2)発 見
○ 区保健子ども課では、地域の方々や関係機関から児童虐待の通告を受けるほ
かに、乳幼児家庭訪問指導や乳幼児健診、保育所入所、各種手当・制度利用
等の相談・申請などの窓口業務等で、間接的に親子や子育て家庭の生活状況
等を把握できる機会が多くあります。相談の主訴としてではなくても、その
背景に不適切な養育や虐待が隠れている場合があります。児童虐待を発見し
た場合には、緊急性や重症度についての組織的な判断をし、必要な関係機関
と連携を取りながら対象者への支援を行います。
(3)初期対応
○ 区保健子ども課の要保護対応チームは、児童虐待の対応において情報を集約
し、区役所内の福祉課や保護課とも状況に応じて連携を取りながら調査・相
談を行い、緊急性や虐待の程度を判断します。
○ 場合によっては児童相談所や警察、医療機関等と連携して対応します。児童
相談所による一時保護に至らない場合などは、調査・情報分析、地域の関係
機関(保育所・幼稚園、学校、民生委員・児童委員等)とのネットワークに
より、医療機関等専門機関の紹介、保育所への入所、養育者への支援など、
具体的な支援策を実施します。
○ 育児不安や負担感の軽減及び養育者の孤立を防ぐ目的で、養育支援事業への
35
導入を検討するほか、地域の子育て支援機関に繋げるなどの支援を行ってい
ます。
○ 子ども自身や保護者から虐待の電話相談が入ったり、市民や様々な機関から
「虐待である、または虐待の疑いがある」という通告を受けたときには、子
どもの安全確認を最優先に、必要な情報を収集します。相談や通告を受ける
関係者及び関係機関からできる範囲で情報を集めるとともに、可能な場合は
訪問し、住居周辺を調査し、子どもの状況や保護者の子育ての状況なども確
認します。また、今後の相談関係が継続できるよう、関係機関と連携を取り
ながら保護者との関係づくりを心がけます。
○ 現状確認と情報収集
関係各課との連携のもと区保健子ども課内での対応が可能かなど、対応の方
法の検討を行うとともに、緊急介入の必要性の判断を行います。
○ 個別ケース検討会議
在宅での支援が必要な場合、地域での支援体制を整えるため、関係機関と連
携し、共通認識を持ち対応策を検討していくとともに、それぞれの役割につ
いてきめ細かに協議していきます。
第 3 章 2(6)
○
「個別ケース検討会議」(P16 参照)
関係機関との連携
緊急介入が必要と判断された場合は、すぐに、虐待の事実を児童相談所に連絡
し、児童相談所との連携のもと、必要な対応を進めます。
(4)継続支援
○ 不適切な養育状態に置かれている子どもやその家庭を支援し続けていくため
には、単一の機関だけでの対応では困難な場合があります。子どもを見守って
くれる人の存在、さりげなく声をかけてくれる“まちづくり”
、安心して過ご
せる場を増やすことが、子どもとその家族への支援の幅を広げ、生活に広がり
が生まれます。
○ 区保健子ども課では、育児不安や負担感の軽減及び保護者の孤立を防ぐ目的で、
定期的な訪問や面接、電話での相談の継続や養育支援事業への導入を検討する
ほか、地域の子育て支援機関と連携した支援を行っています。また、生活上の
課題や養育者自身の疾患・障がい等に対する支援が必要な場合も多く、保護課
や福祉課と連携し、支援を行います。
36
3
民生委員・児童委員、主任児童委員
(1)早期発見
○ 「早期発見のためのチェックリスト」を参考にしながら、地域の子ども
たちを見つめます。
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相
談所(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 関係者に対する守秘義務遵守を徹底します。
(2)早期対応
○ 区保健子ども課から初期調査の依頼があった場合は、協力します。
【調査内容】
・日頃の子どもや家族の具体的な生活状況。
・保護者に関する情報。
*記録は、「児童虐待連絡メモ」を活用する。
○ 単独での関わりは事態を悪化させる場合もあり、その後の対応が困難に
なります。区保健子ども課や児童相談所などの専門機関と早期から連絡
を取り合いながら対応に努めます。
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡が
あった場合は、出席します。
(3)支援
○ 保護者との信頼関係を出来るだけ築くように努力し、虐待があった家庭
を見守っていく場合にも、保護者を責めず、保護者の気持ちに共感しな
がら、相談にのるようにします。
○ 区保健子ども課や児童相談所と連絡をとりながら、家庭を支援していき
ます。
○ 乳幼児で保育所、幼稚園に通っていない場合は、関係機関と連携しなが
ら支援を行います。
○ チェックリストを参考にしながら、子どもと保護者の様子を継続的に観
察します。
(4)予防、防止の取り組み
○ 毎月1回の定例会で、「様子がおかしい」と感じる子どもや家庭はない
か確認します。
37
○ 担当区域の保育所、幼稚園、学校などを定期的に訪問し、子どもたちを
めぐる課題を共有します。
○ 区域担当民生委員・児童委員、主任児童委員は、地域住民に対して「子
育てに関する相談ができる存在」であることをPRします(チラシの配
布等)。
早期発見のためのチェックリスト【子どもの特徴】
~民生委員・児童委員・主任児童委員用~
分類
状況
体
や
身
様な
子り
・
心
の
身体的虐待
心理的虐待
ネグレクト
□原因がわからないケガ
□衣服や体がいつも不潔
をよくしている。手当て
である。
が十分でない。
□他のきょうだいに比べ、
□こわがる、おびえる、急
差がありすぎる。
に態度を変える。
□喜怒哀楽の表情を表さ
ない。
□身長や体重の発育不良がみられる。
□保護者の顔色を伺う。
□保護者と離れると表情が
晴れやかになる。
□保護者と視線を合わせなかったり、態度がおどおどし
ている。
□保護者から離れたがらない。
関
わ
り
方
保
護
者
と
の
関
わ
り
方
地
域
と
の
□威圧的、攻撃的で乱暴な言葉遣いをする。年齢不相応 □食べ物への執着が強く、
な言葉を使う。
必要以上に食べる。また
□過度に注意を引こうとする。
は食欲がなさすぎる
□対人関係がうまく作れない。人に嫌われる行動を取る。
関人
わと
りの
方
□誰にでもなれなれしい。
・
そ
の
他
問
題
行
動
□家出
□金銭の持ち出しや盗癖が
□夜間徘徊
ある。
□小動物虐待
□抜毛等の自傷行為・他害
□万引き
□基本的生活習慣が身に
ついていない。
□理由のはっきりしない
欠席、遅刻、早退が多い。
早期発見のためのチェックリスト【保護者の特徴】
□ 子どもへの健康や安全、快適さへの配慮がなされていない。
□ 極端に偏った教育観、育児観を押し付けたり、体罰をしている。
□ 年齢にそぐわない厳しいしつけをしている。
□ 子どもの養育について拒否的であったり、食事をきちんとさせない等子どもを
放置している。
38
□ 夫婦関係や経済状態が悪く、生活上のストレスになっている。
□ 地域や親族と交流がなく、孤立している。
□ 身近に困った時の援助者がいない。
4
保育所、幼稚園・子育て支援センター
(1)早期発見
○ 「早期発見のためのチェックリスト」を参考にしながら、虐待の早期発見に
努めます。
○ 気になることについては、必ず園内で話し合います。
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 関係者の守秘義務遵守を徹底します。
(2)早期対応
○ 子どもの安全確認と具体的な生活状況の観察等を行います。

子どもの性格や行動について(虐待に関する事項は、
「早期発見のための
チェックリスト」を、記録は「児童虐待連絡メモ」を活用します。)

具体的な傷について(できるだけ写真撮影やスケッチを行います。)
○ 保護者に関する情報の収集を行います(性格や行動、親子関係の様子等)。
○ 単独で解決しようとして事態が悪化した場合は、その後の対応が困難になり
ます。区保健子ども課や児童相談所の専門的な対応が必要な場合もあります
ので、早期から連絡を取り合いながら対応します。
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があっ
た場合は、出席します。
(3)支援
○ 保護者や家庭の様子が把握できるよう、区保健子ども課、区担当課や児童相
談所と連携をとりながら、連絡帳、電話、家庭訪問等によって、保護者との
信頼関係を築くよう努めます。
○ 園生活を通して安心できる生活を経験させ、子どもの心身の安定を図ります。
○ チェックリストを参考に、子どもの様子を継続的に観察します。
○ 改善が見られた場合も、保護者や子どもとの関係を継続しながら支援を続け
ます。
(4)予防、防止の取り組み
○ 子育てする親を支え、育児能力を向上させるシステムを整備します。
39
○ 育児相談や教育相談等が気軽にできる環境づくりを行います。特に、職員と
親あるいは親同志の交流の場を提供し、コミュニケーションを深めることに
努めます。
○ 日常会話・連絡帳のやりとり等を活用して、児童の家庭の状況を把握すること
に努めます。
○ 全ての職員が虐待防止等に関する知識を持つよう、研修等を実施します。
早期発見のためのチェックリスト【子どもの特徴】
~保育所・幼稚園用~
分類
状況
身体的虐待
心理的虐待
性的虐待
□原因がわからな
いケガをよくし
ている。手当て
が十分でない。
□落ち着きがない。
ネグレクト
□破れたり、シミの □衣服や体がいつも
付いた下着を身に
不潔である。季節
つけたりしてい
にそぐわない服装
る。
をしている。
体
□入浴を長期期間し
や
□
性
器
を
痛
が
っ
た
ていない
身
り、かゆがったり □食べ物への執着が
□過度に緊張し、警戒心が強い
な
り
する。
強く、必要以上に
・
食べる。あるいは
□予防接種や健診を受けていない。
心
食欲がなさすぎ
の
様
る。
□イライラしたり感情を抑えられな
子
□大幅な体重の変化 □身体的な発育が著
かったりして暴力をふるう。
がある。
しく遅れている。
□表情が乏しく元気
がない。
□威圧的、攻撃的
□身体的接触や接近 □友達から食べ物を
で乱暴な言葉遣
をおそれる。
もらう。
友
達
いをする。
と
□けんかやいじ
の
め、威しがみら
関
わ
れる。
り
□友達関係がうまくつくれない。人に嫌われる行動をとる。
方
□遊びが長続きしない。
□ 異 常 に 甘 え □ 職 員 を 試 し た □抱かれたり、手を □誰にでもなれなれ
る。
り、独占しよう
つないだりするこ
しい。
保
とする。
とを避ける。
□離れたがらない。
関育
わ者
□虚言が多い。
りと
□保護者がいると顔色をうかがって
方
の
いるが、一度離れるとまったく関
心がない。
□金銭の持ち出し □異常な性的関心や □基本的生活習慣が
動 問 □小動物虐待
・
や盗癖がある。
拒否反応
身についていな
他そ題
行
□抜毛等の自傷
□保育室をぬけだ
い。
の
40
行為・他害
す。
□一端ハメをはず
すとコントロー
ルが効かない。
□自傷行為
□理由のない欠席、
遅刻、早退が多い。
□行事の欠席が多
い。
□弁当忘れが多い。
□夜間に戸外で遅くまで遊んでいる等の行動が多い。
□何事にもやる気がみられない。
早期発見のためのチェックリスト【保護者の特徴】
□
子どもへの拒否的な態度や言葉、過度に厳しい養育態度を示す。
□
子どものケガ等に対し不自然な状況説明をする。
□
周囲に相談相手がなく、孤立している。
□
保護者の気分の変動が激しく、自分の思い通りにならないとすぐに体罰を与える。
□
子どもに心理的に密着し過ぎるか、まったく放任か極端である。
□
子どもに能力以上のことを過度に要求する。
□
登園をさせない。
(職員との接触を避ける。)
5
小学校・中学校・高校
(1)早期発見の視点
○ 「早期発見のためのチェックリスト」を参考にしながら、虐待の早期発見に努め
ます。
○ 気になることについては、複数の職員で話し合い、必要時は上司に報告します。
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 関係者の守秘義務遵守を徹底します。
(2)早期対応
○ 子どもに関する具体的な生活状況の観察を行います。

子どもの性格や行動について(虐待に関する事項は、「早期発見のためのチ
ェックリスト」を、記録は「児童虐待連絡メモ」を活用します。
)

身体的な傷について(できるだけ写真撮影やスケッチを行います。)
○ 保護者に関する情報の収集を行います。
(保護者の性格や行動等、また親子関係の様子について)
○ 組織としての対応を行うために、上司に報告・相談し、担任以外の教師の対応に
41
ついても検討します。
○ 単独で解決しようとして事態が悪化した場合は、その後の対応が困難になります。
区保健子ども課や児童相談所の専門的な対応が必要な場合もありますので、早期
から、連絡を取り合いながら対応します。
○ 民生・児童委員等や医師等、様々な関係者・機関との連携にも努めます。
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があった場
合は、出席します。
(3)支援
区保健子ども課や児童相談所等関係機関と連携をとりながら行います。
①
子ども本人への支援
○ 子どもと触れ合う機会を多く持ち、安心感を与えるよう努めます。
○ 一時保護・施設入所となった場合は、児童相談所へ連絡し、立会いや子どもへの
面会等を行い、子どもの心のケアに努めます。
②
保護者への支援
○ 家庭訪問や電話連絡等で家庭との信頼関係を築くよう努め、支援を継続します。
③
まわりの子どもたちへ働きかけ
○ 温かい雰囲気づくりに努め、子どもが学校での生活を安心して過ごせるよう配慮
します。
④
区保健子ども課及び児童相談所への定期的な情報交換
○
区保健子ども課や児童相談所が関わっている児童がいた場合、「学校から児童相
談所、区役所保健子ども課への定期的な情報提供に関する取扱要領」〈資料 P3〉
に基づき、情報提供をします。
(4)予防・早期発見の取り組み
①校内の体制づくり
○ 担任・養護教諭等による児童生徒の観察を行います。
(毎日の健康観察、日記や悩みごと調査、毎月の体重測定、出席状況)
○ スクールカウンセラーや心のサポート相談員、スクールソーシャルワーカーを活
用しながら、校内の相談体制の整備を図ります。
○ 全職員による情報の共有を行い、きめ細やかな対応を行います。
②虐待防止への啓発
○ 学校から啓発文書を家庭に配布するなど、継続的な啓発に努めます。
③保護者との関係づくり
○ 保護者が虐待するきっかけをつくらないように、児童のよさを伝えながら保護者
と連携した教育を進めるよう努めます(連絡帳等)
。
42
○ 保護者の声にじっくり耳を傾け、良き相談相手となり信頼関係をつくるよう努め
ます(教育相談等)
。
○ 保護者が地域において孤立することがないように、PTA行事等への参加を積極
的に呼びかけるよう努めます。
④家庭環境を把握する
○ プライバシーに関することなので、一緒に考えるという視点で対応します。
【内容】
夫婦の不和、借金のトラブルが絶えない、アルコール依存家族、DV、近
隣から孤立しがち、たびたびの転居、学校・児童相談所等の関係機関から
の連絡・訪問に拒否的、等
⑤子どもとの関係づくり
○ 相談体制の充実を図り、相談しやすい関係づくりに努めます。
⑥地域との関係づくり
○ プライバシーに配慮しつつ、地元民生委員等との連携を深めます。
○ 地域からの情報収集に努めます。
早期発見のためのチェックリスト【子どもの特徴】 学校用
分類
状況
身体的虐待
心理的虐待
性的虐待
□ 原因が わか らない
□破れたり、シミの付いた
□衣服や体がいつも不潔
下着を身につけたりし
□季節にそぐわない服装
ている。
□服装が乱れたままになっ
ケガをよくする。
体
や
身
な
り
・
心
の
様
子
ネグレクト
□手当が十分でない。
ている。
□落ち着きがない。
□表情が急に暗くなった、乏しい(無表情、
□性器を痛がったり、かゆ
がったりする。
笑わない、怯える等)
。
□入浴を長期間していない
□食べ物への執着が強く、
□過度に緊張し、警戒心が強い
必要以上に食べる。ある
□授業中、落ち着きがなくなった
いは食欲がなさすぎる。
□身体的な発育が著しく遅
□元気がなく、意欲が乏しく、集中できない。
□イライラしたり感情を抑えられなかった
□大幅な体重の変化があ
る。
りして暴力をふるう。
れている。
□表情が乏しく元気がな
い。
友
達
り と
方 の
関
わ
□威圧的、攻撃的で乱
□身体的接触や接近をお
暴な言葉遣い。
それる。
□けんかやいじめ、威
しがみられる。
□友達関係がうまくつくれない。人に嫌われる行動をとる。
43
□友達から食べ物をもら
う。
□集団から離れ、孤立していることが多い。
□遊びが長続きしない。
□力の強い子には手を出さないが、弱い子に
は攻撃を加える。いくら叱っても、その場
だけで、反省しない。
□異常に甘える。
□職員を試したり、独
□抱かれたり、手をつない
占しようとする。
教
師
と
の
関
わ
り
方
□虚言が多い。
□誰にでもなれなれしい。
だりすることを避ける。 □離れたがらない。
□ 反抗的 な態 度をと
る。
□何かと理由をつけて、家に帰りたがらない
□親がいると顔色をうかがう反面、いなくな
ると全く関心を示さない。
□急に大泣きしたり大暴れしたりして、授業
が度々中断する。
□授業中、席を離れることが多い。
問
題
行
動
・
そ
の
他
□理由もなく、学校で遊んでいる。
□ 金銭の 持ち出 しや
□小動物虐待
盗癖がある。
□教室、保育室をぬけ
□抜毛等の自傷行
だす。
為・他害
□ 一端ハ メをは ずす
とコントロールが
効かない。
□異常な性的関心や拒否
反応
□基本的生活習慣が身につ
いていない。
□理由のない欠席、遅刻、
□性的逸脱行為(援助交際
等の性非行)
早退が多い。
□行事の欠席が多い。
□弁当忘れが多い。
□自傷行為
□家出。夜間に戸外で遅くまで遊んでいる等の行動が多い。
□何事にもやる気がみられない。
□成績が急激に低下する。
早期発見のためのチェックリスト【保護者の特徴】
□
生活や気持ちにゆとりがない。
□
子どもとの関わりが乏しい。
□
自分の思い通りにならないと、体罰を加えようとする。
□
子どもの能力以上のことを無理やり押し付けようとする。
□
子どもの外傷等を問われた時、不自然な状況説明をする。
44
虐待防止対応フロー(学校用)
学校の職員は、虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、虐待の早期発見に努め
なければならないことが、児童虐待防止法(第4条の2)に明記されています。
※「児童虐待かもしれない」と思ったら、
発
見
・疑わしい場合でも相談・通告する。
・早期発見のためのチェックリストを活用する。
虐待が疑われ、緊急に
対応する必要がある場合や
夜間・休日
必ず連絡
連絡
教育委員会(熊本市要
管轄の保健子ども課に連絡
熊本市児童相談所に連絡
保護児童対策地域協議
・中央区 保健子ども課
366-8181
会構成機関)に連絡
328-2421
・東区
・総合支援課
保健子ども課
367-9130
328-2743
・西区
保健子ども課
329-6838
・南区
保健子ども課
357-4135
・北区
立ち入り調査
保護者への勧告
警察への依頼
等
保健子ども課
272-1104
※単独で解決しようとして、事態が悪化した場合にはその後の対応が困難になります。
専門的な対応が必要な場合がありますので、早期から連絡を取り合いながらその対応
に努めてください。
必要があれば関係者召集
その他
個別ケース検討会議の開催
・児童相談所、市町村等で主として関わっている
・家庭訪問など、保護者と連絡を取りなが
機関が主催し、それぞれの機関が何をするべき
ら子どもの観察を継続する。
かの役割分担を明確にする。
・子どもや家族への温かい支援を行う。
45
6
医療機関
(1)早期発見
○
「早期発見のためのチェックリスト」を参考に、虐待早期発見に努めます。
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合、夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 関係者の守秘義務遵守を徹底します。
(2)早期対応
○ 区保健子ども課や児童相談所から調査依頼があった場合は、情報を提供します。
【調査内容】
入院や通院の事実、その他の疾病と症状(虐待に直接関係がないと思われる
ものも含む)
、保護者の態度、言動、子どもの様子、等
*記録は、
「児童虐待連絡メモ」を活用する。
○ 生命に危険がある場合や重症の場合は、まず入院させて子どもの安全を確保す
ることを検討します。
○ 外来診療で対応が可能であっても在宅では子どもの安全が確保されないと判断
される場合は、保護者に入院を勧める等積極的な対応に努めます。
(虐待への対
応は「診察結果と保護者の説明に矛盾が生じていることを明らかにする」等の
医療的アプローチが非常に有効的です。)
○ 診察の際には、保護者の養育上の相談や悩み等に関して助言や指導を行います。
○ 保護者が精神科的疾患を抱えている場合は、親子関係の安定を図るために、精
神科との連携を行います。
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があった
場合は、出席します。
(3)支援
○ 区保健子ども課等の関係機関と連絡を取りながら、退院後や通院時の経過観察
を行います。
46
早期発見のためのチェックリスト【子どもの特徴】
~医療関係機関用~
心理的
身体的虐待
子
ど
も
の
様
子
・
症
状
・
疾
病
状
況
虐待
性的虐待
ネグレクト
□全身
□子どもが
□性器・閘門
□全身が不潔
多数の小さな出血・打撲、不自然な外
保護者にな
とその周囲の
全身、特に外
傷(鈍器、バット、ベルト、ゴルフク
つかない。
外傷(男児に
陰部の湿疹
ラブ等による2重条痕等)、大人の歯
保護者の様
も起こり得
(垢、オムツ
型、不自然な火傷や熱傷(煙草、スト
子を伺い、
る)歩行・座
かぶれ等)
ーブ、アイロン等)、絞頚、鎖、縄等の
おびえてい
位困難、反復
縛りによる手足の輪状の痕跡等
る。
性尿路感染
□低身長(-2
症、性病等
S.D.以下)
、
□骨折
特に、女児の
体重増加不
新旧混在する骨折、多発性骨折、乳幼
妊娠・中絶・
良、栄養障害、
児の長管骨骨折、肋骨骨折(胸部圧迫
出産は性的虐
脱水巣症状等
による)
、捻転骨折(腕をねじり曲げる)
待との関連を
等
考慮する
□頭部と眼球
頭蓋骨骨折、脳震盪、頭蓋内損傷(硬
膜外結血腫、硬膜下血腫、くも膜下出
血、脳挫傷)、揺さぶられっ子症候群、
眼球の損傷、前眼房出血、眼底出血(胸
部圧迫、乳児の揺さぶられっ子症候群
による)
、網膜剥離、水晶体亜脱臼等
□鼻と耳と口
鼻骨骨折、鼓膜裂傷、歯肉・舌の小出
血と口唇小帯の微細な裂傷、歯牙の破
折等
□内臓
内臓損傷(内蔵出血、内臓破裂等)
、薬
物中毒、溺水、窒息、中枢神経障害(新
旧の出血性障害等)、ストレス性潰瘍等
□精神的症状
夜尿、遺尿、遺糞、不眠、過度の恐怖、無表情、無感情、チック・円形脱毛症等の心
身症、抑鬱症状、自殺企画等
47
早期発見のためのチェックリスト【保護者の特徴】
□医師に見せたがらない。症状があってから来院までの経過時間が長い。骨折、火傷
等の重篤な疾病の受診が遅れる。
□傷の状態と受傷原因が合わない。保護者の説明が曖昧で、つじつまが合わず、話が
コロコロ変わる。
□輸血、手術等の治療と医師の入院の説明を拒否したり、入院直後に転院や退院を必
要以上に強く希望する。
□入院中の面会が少なく、面会しても短時間だったり、子どもとの接触を拒んだりす
る。
□子どもの症状や治療方針等の説明に無関心だったり、服薬管理を怠ったりする。
□診察室や病室で、普通の親子とは何となく異なった態度である。
□医療関係者に対して、反抗的な態度をとったり、被害妄想的な態度をとったりする。
7
警察
(1)要保護児童の通告
○ 警察で児童虐待を含めた要保護児童を発見した場合は、原則として文書により
児童相談所に通告します。なお、緊急を要して一時保護の必要があると認める
場合は、口頭で通告し、児童相談所長の委託を受けて当該児童に一時保護を加
えることもあります。文書は、後で送付します。
○ 虐待の様態が暴行・傷害罪等の犯罪を構成する場合は、たとえ親権者であって
も児童虐待の防止等に関する法律第14条第2項に基づき、捜査を開始します。
◆
児童虐待は、警察活動を通じて生活安全、地域、刑事、交通などの全警察部門で
取り扱いますが、通告に関する事務は主に次の係が担当します。
名称
熊本北警察署
生活安全課少年第一係
熊本南警察署
生活安全課少年第二係
熊本東警察署
生活安全課少年第二係
宇城警察署
生活安全課少年係
山鹿警察署
住所
電話番号
熊本市中央区草葉町
電話323-0110
5番13号
(内線272)
熊本市中央区十禅寺
電話326-0110
3丁目3番28号
(内線274)
熊本市東区東町3丁目
電話368-0110
11番48号
(内線271)
宇城市松橋町久具
電話0964-33-0110
359番地2
(内線271)
山鹿市泉町102番地
電話0968-44-0110
生活安全課
48
(2)援助要請への対応
○ 児童相談所が、児童の安全確認、又は立入り調査等を行おうとする際に、
・保護者又は第3者から物理的その他の手段による抵抗を受けるおそれがある場合
・現に児童が虐待されているおそれがある場合
など、児童相談所職員だけでは職務執行をすることが困難と認めるときは、当
該児童の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることが
できます。
○ 援助の要請は、原則として事前に文書で行い、児童を保護するための事前協議
を開き、必要な情報を共有するとともに、援助の時期、内容、体制等について
具体的な検討を行います。ただし、緊急を要する場合は、口頭で要請を行い、
後で文書を送付します。
8
消防局
(1)早期発見
救急業務(救急患者搬送)
、消防業務(火災・救助出場)、予防業務(建物の立入
り検査)などにより、児童虐待に関する情報の収集に努めます。
(2)早期対応
情報伝達(関係機関との情報共有)
○ 救急業務で児童虐待が疑われる事例があった場合、速やかに搬送医療機関(医
師)へ報告します。
○ 消防業務及び予防業務で、児童虐待が疑われる情報がある場合は、消防局救
急課(担当課)を通じ、区保健子ども課へ連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
に連絡します。
(3)支援
区保健子ども課及び児童相談所との連携
○ 関係機関から情報確認等の協力依頼があった場合は、消防局救急課で速やか
に対応します。
(4)予防、防止の取組
○
児童虐待に係る組織内研修の実施
・ 業務中(救急患者搬送など)に児童虐待が疑われる情報を知りえた場合の、
組織内連絡体制を職員に周知徹底します。
・ 関係者の守秘義務遵守を徹底します。
49
○ 市民に対する児童虐待に係る講習会の実施
救急法講習会・消防訓練などを通じて、児童虐待に関する広報を実施します。
熊本市消防局
熊本市中央区大江3丁目1-3
救急課
096-363-2360(直通)
096-366-8725(FAX)
[email protected](E-mail)
消防局における児童虐待防止対応フロー
業務中に「虐待の疑い」または「おかしい」と感じたら
※明らかな事実に基づく必要はありません
【児童虐待防止チェックリスト参考】
救急搬送をした場合
状況報告
報告
(各所属)
搬送医療機関の医師
○各区役所保健子ども課
中央区役所 096-328-2421
東
区役所 096-367-9130
西
区役所 096-329-6838
南
区役所 096-357-4135
北
区役所 096-272-1104
○児童相談所(緊急・夜間・休日)
096-366-8181
通
連 携
消防局
告
局
(夜間・休日)
通
情報共有
告(平日・日中)
情報共有
救 急 課
【事実の把握・情報収集と調査】
※関係機関から児童虐待に関する情報確認等の(救急搬送の有無など)協力依頼が
あった場合は、救急課で対応します。
50
熊本市消防局
児童虐待防止チェックリスト
◆緊急を要する
□重大な結果が生じている(傷、衰弱、医療ネグレクト※)
□重大な結果が生じている可能性が高い(乳児への身体的暴力やネグレクトなど)
□道具を使った暴力
□暴力の頻度が高い
□当事者の訴えが差し迫っている
児童:
「家に帰りたくない」
保護者:
「このままでは殺してしまうかもしれない」等
□児童に保護者への拒否、おびえ、緊張、無表情がある
□児童の姿が確認できない
◆虐待の恐れがある
●子どもがなんとなく変だな
□親の言動に過敏に反応している(ビクビクした様子)
□発育不良(低体重、やせに注意)
□精神発達に問題が見られる
□表情が乏しい
□身体や衣服の清潔が保たれていない
□説明のつかない傷が繰り返されている
●親の様子が変だな
□妊娠や出産について喜んでいない
□子どもが未熟児であることや、子どもの障害、先天性疾患などについて不安が強
い
□子どもの扱いに自信がなく、不安が強い
□アクシデントに直面したとき、解決する能力が低い
□経済状況や夫婦関係について不安がある
□感情のコントロールが不得手である(常にイライラしている)
□実家からの支えが不十分である
□近隣・友人からのサポートを求めることが不得手である
●親子関係が変だな
□重症なけがなのに受診するのが遅い
□子どものけがなのに親が同伴しない
●家屋内の状況が変だな
□部屋が著しく不衛生な状態である(異臭がする等)
※ネグレクト:保護の怠慢、拒否
チェック項目が多いほど緊急度が高まる
51
9
区福祉課
(1)早期発見
○ 保護者等からの家庭女性相談員への面接・電話相談において、虐待の早期発
見に努めます。
(2)早期対応
○ 保護者等からの家庭女性相談員への面接・電話相談時において、保護者等に
児童虐待の認識がない場合は、認識を促すような支援に努めます。
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があっ
た場合は、出席します。
(3)支援
○ 各関係機関と連携を取りながら、家庭女性相談員による保護者等への援助(子
育てを含めて生活全般の助言指導)を行います。
(4)予防、防止の取り組み
○ 区関係機関と連携を取りながら、家庭女性相談員による保護者等への援助(子
育てを含めて生活全般の助言指導)を行います。
※「家庭女性相談員」とは…厚生事務次官通達(昭和39年)により、熊本市においては
昭和51年から、しつけ・不登校・虐待・非行・障がい児等に関する相談指導業務のため
に家庭相談員を配置しており、平成24年から女性相談員を兼務した、家庭女性相談員を
配置しています。
10
区保護課
要保護者の生活状況を把握し、処遇に反映させることや、これに基づく自立を助長
するための指導を行うことを目的として、世帯の状況に応じ、家庭訪問を行っていま
す。
(1)早期発見
○ 地区の民生委員・児童委員、主任児童委員との連携を図り努めます。
52
(2)早期対応
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 民生委員・児相委員等へ協力依頼し、区保健子ども課と同行訪問する等、迅
速に状況把握に努めます。
○ 必要時、関係機関(警察・学校・保育園等)への連絡を行います。
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があっ
た場合は、出席します。
(3)支援
○ 過去に虐待にあったケースについては、家庭訪問の強化を行います。
○ 個別ケース検討会議等への出席により情報提供を行い、関係機関との情報の
共有を行います。
(4)予防、防止の取り組み
○ 家庭訪問時、親との面接のみでなく、児童の目視や面接にも心がけ、児童の
健康状態・身体状況、通園・通学の状況についても注意をはらいます。
○ 虐待の原因の一つとして、子育てに関する悩みが考えられるので、日頃から
悩み相談に耳を傾け、適切な助言指導を心がけ、もしくは専門機関へつなぐ
よう努めます。
11
障がい保健福祉課
(精神保健福祉室)
(1)早期発見・早期対応
〇
保護者が精神疾患の疑いがある場合、
受診の勧めや、医療保護入院等、精神保健福祉法に関する相談を受け、必
要に応じ医療機関へ繋げるようにします。また、障害者総合支援法による
生活支援も含め、子育ての環境を整えます。
(2)支援
○ 保護者にアルコールや薬物の依存症がある場合や精神疾患(疑いを含む)が
ある場合、また虐待を受けている子どもの精神的問題がある場合等区役所及
びこころの健康センターと連携協力して対応します。
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があっ
た場合は、出席します。
53
(3)予防、防止の取り組み(相談事業・教室)
○ こころの健康相談(精神科医師による):各区役所月1回(予約制)
○ 精神保健福祉相談(こころの問題や病気、障がい者の社会復帰などについて、
保健師等による面接、電話、訪問相談等)
:精神保健福祉室、各区役所(月~
金)
○ 精神障がい者家族教室:西区役所で開催(開催日時は西区役所に問い合わせ)
12
子ども発達支援センター
発達に心配のある子どもの成長を手助けするため、個々の発達に応じた適切な療育
や支援・助言を行うとともに、保護者の子育てに対する不安や悩みを一緒に考え、支
援していきます。
(1)早期発見
○ 「発達障害=虐待」ではありませんが、発達の遅れやゆるやかさ・発達障害
がある子どもは、虐待を受けやすい高いリスクがあることを考慮し、子育て
からくるストレスだけでなく、育てにくさを十分に理解した上での相談対応
に努めます。
○ 電話相談や面接・療育活動・園訪問時に、子どもの様子や保護者の言動を十
分観察し、虐待のサインを見逃さないよう努めます。
(観察のポイントは、
「早
期発見のためのチェックリスト」などを参考にします。)
○ 相談ケースについて、きめ細やかな情報収集に努めます。特に、保護者の背
景や心理状態に留意します(家族や周囲の協力・理解の有無等)。
(2)早期対応
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 管轄の区保健子ども課との連携を密に取りながら相談や療育を行い、さらに、
十分な観察を行います。
○ 相談・面接や療育のキャンセル・欠席があれば、当日に親と連絡を取り、次
回の面接・相談・療育の日程確認や調整を行います。
○ 園や学校訪問は、区保健子ども課とも連携しながら実施し、状況把握に努め
ます。また、関係機関との連携を密にします。
(3)支援
子どもに障がいがあると判断されたとき、多くの保護者は、障がいを受容するの
54
に時間を要することを考慮して保護者支援に努めます。
虐待の有無に関わらず
○ 電話や面接相談にて診断後のフォローを十分に行い、障がいについての説
明・支援方法・今後の方針について、じっくりと細やかに話し合うよう努め
ます。
○ 受容困難ケースには、管轄の区保健子ども課(担当保健師)と緊密な連携を
取り、家庭訪問等の支援につなげます。また、医療機関との連携も行います。
虐待が疑われる場合
○ 夜間・休日区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催
連絡があれば出席し、よりよい対応をめざします。
○ 必要な社会資源やサービス利用のための情報提供を行い、継続した支援を行
います。
○ 適切な支援を行うために、スタッフ間の共通理解を深め、必要にあわせ、ケ
ースカンファレンスを行います。
(4)予防、防止の取り組み
○ 発達の遅れが家族関係に及ぼす影響を理解し、対応します。
○ 障がい児と虐待についての理解をします。
○ 軽度発達障害がある子どもは、
「やる気がない」、
「親のしつけがなっていない」
などと誤解されやすく、
「障がいとして認められにくい」という問題点があり
ます。家族や、周囲の理解を深めるための知識の普及・啓発を行います。
55
早期発見のためのチェックリスト【子どもの特徴】
~子ども発達支援センター用~
分類
状況
体
や
身
な
り
・
心
の
様
子
友
達
と
の
関
わ
り
方
関
わ
り
方
保
育
者
と
の
身体的虐待
心理的虐待
性的虐待
□原因がわからな
いケガをよくし
ている。手当て
が十分でない。
□落ち着きがない。
□過度緊張し、警戒心が強い。
□予防接種や健診を受けていない。
□イライラしたり感情を抑えられな
かったりして暴力をふるう。
□破れたり、シミ □衣服や体がいつも不
の付いた下着を
潔である。季節にそぐ
身につけたりし
わない服装をしてい
ている。
る。
□入浴を長期期間して
□性器を痛がった
いない
り、かゆがった □食べ物への執着が強
りする。
く、必要以上に食べ
る。あるいは、食欲が
なさ過ぎる。
□身体的な発育が著し
□大幅な体重の変
く遅れている。
化がある。
□表情が乏しく元気が
ない。
□身体的接触や接 □友達から食べ物をも
近をおそれる。
らう。
□威圧的、攻撃的
で乱暴な言葉遣
いをする。
□けんかやいじ
め、脅しがみら
れる。
□友達関係がうまくつくれない。人に嫌われる行動をと
る。
□遊びが長続きしない。
□ 異 常 に 甘 え □ 職 員 を 試 し た □抱かれたり、手 □誰にでもなれなれし
る。
り、独占しよう
をつないだりす
い。
とする。
る こ と を 避 け □離れたがらない。
□虚言が多い。
る。
□保護者がいると顔色をうかがって
いるが、一度離れるとまったく関
心がない。
□小動物虐待
問
題
行
動
・
そ
の
他
ネグレクト
□金銭の持ち出し □異常な性的関心
や盗癖がある。
や拒否反応
□抜毛等の自傷 □保健室を抜け出
行為・他害
す。
□自傷行為
□一端ハメをはず
すとコントロー
ルが効かない。
□夜間に戸外で遅くまで遊んでいる等の行動が多い。
□何事にもやる気がみられない。
56
□基本的生活習慣が身
についていない。
□理由のない欠席、遅
刻、早退が多い。
□行事の欠席が多い。
□弁当忘れが多い。
13 障がい者福祉相談所
(1)早期発見
○ 電話及び来所相談や面談時において、子どもの様子や保護者の言動を十分観
察し、虐待のサインを見逃さないよう早期発見を努めます。
○ 身体及び知的障害のある子どもは、虐待を受けやすい高いリスクがあること
を考慮し、相談対応に努めます。
(2)早期対応
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
(3)支援
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があっ
た場合は出席します。
14
こころの健康センター
市民のこころの健康についての相談や知識の普及、精神障がい者の社会復帰の促進
等を行います。
(1)早期発見
〇
保護者等からのこころの悩みについての相談時(電話相談、来所相談)にお
ける早期発見に努めます。
(2)早期対応
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
〇
虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
〇
保護者が依存症(アルコール・薬物・ギャンブル等)の疑いがある場合
本人が治療や医所グループにつながるまでは、長期的専門的な関わりが必要
で
〇
す。家庭への助言・相談、依存家族教室での助言等を行います。
保護者が精神疾患の疑いがある場合
精神保健福祉に関する相談を受け、各関係機関(区役所・児童相談所・精神
保健福祉室)と連携協力し、医療機関に繋がるよう支援します。
〇
区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があっ
た場合は、出席します。
57
(3)支援
〇
保護者にアルコールや薬物の依存症がある場合や精神疾患(疑いを含む)が
ある場合、また虐待を受けている子どもの精神的問題がある場合、各関係機
関等と連携協力して対応します。
(4)予防、防止の取り組み
〇
こころの健康相談
電話相談:月~金9:00~16:00
来所相談:精神科医師・心理士・保健師等による相談
予約制
○ 依存症家族教室:第1火曜18:30~、第3火曜13:30~
○ 依存症当事者グループミーティング:月2回
○ こころの健康についての知識の普及・啓発を行います。
○ 各関係機関と連携を取りながら保護者等の援助を行います。
15
青少年育成課
(青少年センター)
(1)早期発見
○ 専任指導員や青少年指導員による街頭指導(子どもたちへの声かけ指導)を
通じて子どもと接する場合、注意を払いながら、児童虐待の早期発見に努め
ます。
(2)早期対応
○ 関係機関との良好な関係の確立に努め、連携を強化します。
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 青少年指導員に連絡機関について周知します。
(3)支援
○ 関係機関からの要請に基づき、青少年指導員等と連携し、対応します。
(4)予防、防止の取り組み
○ 青少年指導員が、児童虐待防止の視点で活動を実施できるよう、意識啓発を
図ります。
○ 多くの人から情報が寄せられるよう、体制の強化を図ります。
○ 「健全育成懇談会」に児童虐待防止に関する内容を盛り込み、啓発を行いま
す。
58
(児童育成クラブ、児童館)
(1)早期発見
○ 「早期発見のためのチェックリスト」を参考にしながら、虐待の早期発見に
努めます。
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に連絡します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所
(TEL:366-8181)に連絡します。
○ 関係者の守秘義務遵守を徹底します。
(2)早期対応
○ 区保健子ども課や児童相談所から初期調査の依頼があった場合は、上司に報
告のうえ対応します。
○ 子どもに関する具体的な生活状況の観察を行います。
○ 子どもの性格や行動等について(虐待に関する事項は、
「早期発見のためのチ
ェックリスト」を、記録は「児童虐待連絡メモ」を活用します。)
○ 具体的な傷についてできるだけ写真撮影やスケッチを行います。
○ 保護者に関する情報の収集を行います(性格や行動、親子関係の様子等)。
○ 単独で解決しようとして事態が悪化した場合は、その後の対応が困難になり
ます。区保健子ども課や児童相談所の専門的な対応が必要な場合もあります
ので、早期から連絡を取り合いながら対応に努めます。
○ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があっ
た場合は、出席します。
○ 必要に応じて、青少年育成課に連絡します。
(3)支援
○ 家庭の様子がより把握できるように、日常会話等によって保護者との信頼関
係を築くように努めます。
○ 「早期発見のためのチェックリスト」を参考にしながら、児童の様子を継続
的に観察します。
○ 遊びや活動を通して、子どもの心身の安定に努めます。
(4)予防、防止の取り組み
○ 日常会話などにより、保護者と職員(児童厚生員・指導員)との信頼関係づ
くりに努めます。
○ 家庭が孤立しないように、職員(児童厚生員・指導員)と保護者、あるいは
保護者同士の交流の機会を提供します。
○ 子どもの保護者の些細な変化にも、職員(児童厚生員・指導員)全員が情報
の共有化を図れるように努めます。
59
早期発見のためのチェックリスト【子どもの特徴】
~児童館・児童育成クラブ用~
分類
状況
体
や
身
な
り
・
心
の
様
子
友
達
と
の
関
わ
り
方
指
導
員
)
と
の
関
わ
り
方
職
員
(
児
童
厚
生
員
・
身体的虐待
性的虐待
ネグレクト
□原因がわからな
いケガをよくし
ている。手当て
が十分でない。
□落ち着きがない。
□破れたり、シミの □衣服や体がいつも
付いた下着を身に
不潔である。季節
つけたりしてい
にそぐわない服装
る。
をしている。
□入浴を長期期間し
□性器を痛がった
ていない
り、かゆがったり □食べ物への執着が
□過度に頑固である。
する。
強く、必要以上に
食べる。
□イライラしたり感情を抑えられな
□身体的な発育が著
かったりして暴力をふるう。
しく遅れている。
□大幅な体重の変化 □表情が乏しく元気
がある。
がない。
□威圧的、攻撃的
□身体的接触や接近 □友達から食べ物を
で乱暴な言葉遣
をおそれる。
もらう。
いをする。
□けんかやいじ
め、脅しがみら
れる。
□友達関係がうまくつくれない。人に嫌われる行動をとる。
□遊びが長続きしない。
□ 異 常 に 甘 え □職員(児童厚生 □抱かれたり、手を □誰にでもなれなれ
る。
員・指導員)を
つないだりするこ
しい。
試したり、独占
とを避ける。
□離れたがらない。
□虚言が多い。
しようとする。
□保護者がいると顔色をうかがって
いるが、一度離れるとまったく関
心がない。
□小動物虐待
問
題
行
動
・
そ
の
他
心理的虐待
□金銭の持ち出し
や盗癖がある。
□異常な性的関心や □基本的生活習慣が
拒否反応
身についていな
□抜毛等の自傷
い。
行為・他害
□一端ハメをはず □自傷行為
□理由のない欠席、
すとコントロー
遅刻、早退が多い。
ルが効かない。
□行事の欠席が多
い。
□弁当忘れが多い。
□夜間に戸外で遅くまで遊んでいる等の行動が多い。
□何事にもやる気がみられない。
60
早期発見のためのチェックリスト【保護者の特徴】
□
子どもへの拒否的な態度や言葉、過度に厳しい養育態度を示す。
□
子どものケガ等に対し不自然な状況説明をする。
□
周囲に相談相手がなく、孤立している。
□
保護者の気分の変動が激しく、自分の思い通りにならないとすぐに体罰を与える。
□
子どもに心理的に密着し過ぎるか、まったく放任か極端である。
□
子どもに能力以上のことを過度に要求する。
□
夫婦関係や経済状態が悪く、生活上のストレスになっている。
16
熊本地方法務局・熊本人権擁護委員協議会
※法務局(担当:人権擁護課及び支局)と法務大臣から委嘱された人権擁護委員(民
間)は、法務省の人権擁護機関として、官と民の立場で相互に協力しながら、人権
相談、人権啓発活動、人権侵犯事件の調査救済等を行います。
職員及び人権擁護委員は法により守秘義務が課せられています。
(1)早期発見
①人権相談を通しての発見
・ 人権相談所及び子どもの人権110番には、家庭内のもめごと、いじめ等に関
する相談が数多く寄せられます。また、子どもの人権SOSミニレターでは、
学校の先生や保護者にも相談できずに悩みを抱えている児童・生徒から様々な
相談の手紙が送られてきます。このような相談事案の中に、児童虐待の問題が
潜んでいないか注意しながら、早期発見に努めます。
②人権擁護委員からの情報収集
・ 人権擁護委員は地域に密着して人権擁護を行っていることから、そのアンテナ
機能を活かして早期発見に努めます。
・ 子ども人権委員会において「児童虐待防止への取り組み」に関するマニュアル
を作成し、その中に早期発見のためのチェックリスト等を掲げています。対応
に当たっては、そのマニュアルを手引きとして活用します。
(2)早期対応
・ 近隣の方や学校等の関係者から児童虐待の疑いについての相談があった場合、
また虐待事案(疑いを含む)を発見した場合は、児童の安全確保を第一に考え
て、区保健子ども課に連絡します。
61
・ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所(T
EL:366-8181)に連絡します。
・ 関係機関と協力しながら適切な対応に努めます。
・ 区保健子ども課や児童相談所から、個別ケース検討会議等の開催連絡があった
場合は、出席します。
(3)支援
・ 虐待は、児童に対する人権侵害行為であることから、人権侵犯事件として立件
し、関係機関との連携・調整を図りながら、加害者に対し再発防止のための啓
発を行います。
・ 加害者に対し、専門家によるカウンセリング等が必要な場合や期間を要する場
合は、その経過を見守りながら、関係機関と連携して適切な支援を継続します。
(4)予防・未然防止の取り組み
①人権啓発活動
・ 児童虐待等の予防・未然防止のために、日頃から年代に応じたさまざまな人権
啓発活動を実施し、人権尊重思想の普及・高揚に努めます。
②「子どもの人権110番」の設置
・ 法務局人権擁護課に「子どもの人権110番」電話(TEL:0120-007
-110)を設置し、子どもたちや保護者から様々な相談に応じます。
③「子どもの人権SOSミニレター」
・ 県内すべての小中学校の児童・生徒に「子どもの人権SOSミニレター(便せ
ん兼封筒)
」を配布し、これを通じ子どもたちの悩みの相談に応じ、また、学
校及び関係機関と連携を図りながら、子どもをめぐる様々な人権問題の解決に
当たります。
熊本法務局
*人権擁護課
熊本市中央区大江3丁目1-53
364-2145(直通) 364-0417(FAX)
[email protected]
*人権相談(全国共通ナビダイヤル)
0570-003-110
*子どもの人権110番
0120-007-110
*女性の人権ホットライン
0570-070-810
62
17
熊本大学大学院生命科学研究部
子どもの成長・発達は、様々な要因によって影響を受けています。難病が多いとさ
れる子どもの病気の中でも、特に遺伝にかかわるものが熊本大学大学院生命科学研究
部の研究テーマの一つです。遺伝がかかわる子どもの病気には再生医学の応用がなけ
れば克服できない場合もあり、最先端の医療が必要である場合もあります。
また、新生児に特有な疾患を診療・研究する新生児学寄附講座や、主に重度の障が
いを診断・研究する重症心身障がい学寄附講座では、子どもたちを救うための医療は
もちろん、将来を担う人材の育成も行っています。
また、世界各国で懸念されているのが、人々の健康に悪影響を及ぼす環境の変化や
汚染です。中でも、私たちをとりまく環境に存在する有害物質がもららす、子どもの
成長や発達への影響に関心が高まっています。そこで熊本大学は、環境省が進めてい
る『子どもの健康と環境に関する全国調査』に参加しています。これは、妊娠中・出
産後のお母さんと、出生後の赤ちゃんの定期的な健康診断を通して化学物質を測定し、
それが子どもの成長・発達にどう影響を与えるかを統計学的に解析するというプロジ
ェクトになります。
このほか、成育医療、脳神経精神、感覚運動など多くの部門・診療科で子どもに関
わる診療、研究が行われています。さらに様々な診療施設、行政や関係機関と連携を
取りながら、成長・発達の支援を行っています。子どもは成長とともに変化するので、
総合的医療が必要になる難しい分野であると考えられます。しかし、その困難に取り
組むだけのやりがいを感じながら診療・研究をおこなっています。
18
熊本県弁護士会
第1
緒言
弁護士の児童虐待への関わり方としては、児童相談所を中心とした被虐待児童の保
護に関する活動(通常、児童通告→調査→措置という流れをたどる)への参加、児童
虐待に関して発生する民事事件(例えば、虐待親から他方の親への親権変更申立等)、
刑事事件(被虐待児童への傷害事件等)への関与などが基本的なものだと考えられる。
ただ、児童虐待の防止等に関する法律(以下「児童虐待防止法」という)の成立と
いう事情もあり、弁護士が児童虐待に関係する機会が増加しているのみならず、その
態様も多様化している。
ところで、被虐待児童の保護に関する活動は、児童相談所を中心として、心理、医
療、法律等の専門家が協力し合い、一つのチームとして行うべきものであり、弁護士
のみでなしうるものではない。そこで、ここでは、弁護士の通常業務において想定さ
れる児童虐待への関わりについて述べる。
63
第2
1
被虐待児童の側からの関与
始めに
被虐待児童の保護という観点から見た場合、児童相談所を中心とした活動以外にも、
例えば、児童相談所の活動を促す、被虐待児童の身柄を確保する、被虐待児童と虐待
親の身分関係の是正ないしは修正をする等の形で、弁護士が児童虐待に関わることが
考えられる。
2
児童相談所の活動を促すもの
児童虐待が存在する場合、出来る限り早期に被虐待児童を保護することが必要にな
ります。それは、現在の劣悪な状況から被虐待児童を保護するというに止まらず、早
い段階での心身へのケアが可能になるという意味で、被虐待児童の今後の人生をも左
右するからである。児童相談所の活動を促し、早期の被虐待児童の保護を可能にする
ための制度としては次のものがある。
(1)通告
児童虐待防止法第5条第1項において、弁護士は、児童虐待を発見しやすい立場に
あることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない義務を負うことが定
められている。
3
被虐待児童の身柄確保に関わるもの
児童虐待事件においては、子どもの身柄の保護が重要課題である。これらの活動は、
児童相談所が被虐待児童の保護手続きの一環として行う場合が多いと考えられるが、
法律上の手続きである以上、弁護士が関与することも十分に想定されうる。
このような手続きとしては、以下のようなものが考えられる。
(1)審判前の保全処分
子どもの監護に関する審判や親権者変更の審判などの申立に伴い、家庭裁判所に
おいて、審判の確定まで子どもの引渡しを仮に命ずる保全処分の手続きがある。
(2)人身保護請求
人身保護法に基づき、高等裁判所または地方裁判所において子どもの引渡しを求
める手続きがある。
4
身分関係の是正ないしは修正に関わるもの
児童虐待においては、親が親であること、親権を有していること等を盾に虐待を正
当化する事例が数多く見られる。このような事例においては、最終的に親子関係の是
正ないしは修正の必要が生じることがある。
具体的には、以下のようなものがある。
(1)親権喪失宣告(民法834条)
虐待は親権の濫用であるとして、家庭裁判所において虐待親の親権を喪失させ
る手続きがある。また、虐待状況が改善されたときには親権喪失宣告の取消し
64
(民法836条)も可能である。
(2)親権停止(民法834条の2)
親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭
裁判所が最長で2年間親権を停止させる手続きがある。状況が改善されたとき
には親権停止の取消し(民法836条)も可能である。
(3)親権者変更(民法819条6項)
虐待児童の父母が離婚したり、虐待児童が認知された非嫡出子であったりして、
父母の一方の親権に服している場合、家庭裁判所において虐待する親権者から
他方へ親権者の変更をする手続きがある。
(4)親権者指定(民法819条4項、5項)
非嫡出子が認知されていない場合で、親権者である母親の虐待があるときは、
父親が認知した上で、家庭裁判所において自分を親権者に指定するよう求める
手続きがある。
(5)監護者指定(民法766条1項)
親権の一部である身上監護権を行使する監護者を家庭裁判所において指定する
手続きがある。条文の文言上は離婚を前提にしているが、婚姻が破綻・別居状
態の場合にも利用を求める運用となっている。
(6)監護者変更(民法766条2項)
子どもの利益のために必要があるときは、家庭裁判所において、監護者を変更
する手続きがある。そこで、場合によっては、裁判所に監護権者の変更を促す
ことも考えられる。
(7)養子縁組・離縁
養子は養親の親権に服する(民法818条2項)ので、養子縁組をすることに
より虐待する実親から解放されることが可能となる。逆に養親が虐待している
場合、離縁により養親の親権から開放されることができる、離縁の訴え(民法
814条)の手続がある。
5
刑事事件としての関わり
虐待行為は、その態様により、暴行罪、傷害罪、保護責任者遺棄罪、強制わいせつ
罪、強姦罪、児童福祉法違反、青少年保護育成条例違反等に該当するので、刑事事件
となりうる。
この局面での被虐待児童の側からの関与としては、以下のものが考えられる。
(1)被害届・刑事告訴
子ども自身や親族などが、捜査機関に被害届や刑事告訴をする手続きがある。
特に、強姦罪や強制わいせつ罪等は告訴を必要とする親告罪である。
ただ、児童虐待は、密室で行われることが多く、又、被虐待児童が虐待親のこ
とを悪く言わないことも多い。そのため、刑事告訴等を想定している事案では、
虐待発見当初における証拠の収集が極めて重要になる。
65
(2)告発
児童相談所などの第三者が、捜査機関に告発する手続きがある。
第3
1
親の側からの関与
始めに
親の側からの関与としては、虐待親の側からの関与と虐待親以外の親の側からの」
関与が考えられる。虐待親以外の親の側からの関与については、基本的には虐待児童
の側からの関与と同様に考えることが出来ると思われる。
これに対して、虐待親(虐待が疑われている親?)の側からの関与は、児童虐待防
止法などにより、児童相談所の機能や権限が強化されたこともあり、児童相談所の処
分などに対する不服申立などが主なものになると考えられる。
2
児童相談所の処分に対する不服申立等
(1)調査、一時保護に対する不服審査請求
立入調査(児童福祉法29条、児童虐待防止法9条)の一時保護(児童福祉法
33条)も、行政処分の一種であるので、これに不服がある場合には、行政不
服審査法に基づく審査請求が可能である。
(2)児童福祉法27条1項各号の措置に対する不服審査請求
施設入所、里親委託などの措置も行政処分の一種であるので、これに不服があ
る場合には、行政不服審査方に基づく審査請求が可能である。
(3)児童福祉法28条に基づく施設入所措置に対する不服申立
家庭裁判所の承認を得てなす施設入所措置(児童福祉法28条)についても同
じくこれに不服がある場合には、行政不服審査法に基づく審査請求が可能であ
る。
3
刑事弁護
先に述べたとおり、児童虐待事件は、刑事事件となりうる。その場合、通常の刑事
事件と同じく、弁護士が虐待親の弁護人として事件に関わることが考えられる。
弁護士の弁護活動も通常の刑事事件と異なるところはないと考えられる。ただ、虐
待親が自分の虐待を認めている場合、事情によっては、虐待の再発防止という観点か
ら、先に述べた親権変更などの手続きを虐待親に勧めることも考えられる。
66
19
熊本県臨床心理士会
臨床心理士とは、財団法人「日本臨床心理士資格認定協会」が認定した資格を持つ
心理職です。熊本県臨床心理士会は、県内の臨床心理士資格取得者の職能団体として
組織され、病院、学校、相談機関等で、こころの悩みを持つ方々の相談援助を行って
います。
(1)早期発見
○ 各職場の相談業務の中で、子どもや保護者(親)の臨床に関わる者は、虐待を
早期に発見するよう専門的な心理学的診断(査定・評価)を心がけています。
○ 虐待が疑わしい事例に出会った場合は、職場内の他の職種と連携しながら、虐
待の解決に向けてのアプローチを検討します。
○ 虐待が疑われる場合は、区保健子ども課に直ちに通告します。
○ 虐待が疑われ、緊急に対応する必要がある場合や夜間・休日は、児童相談所へ
通告します。
(2)援助や支援
○ 臨床心理士の主な業務は、心理学的診断、心理学的援助(カウンセリング)に
なります。その対象は、虐待をしている保育者や子ども、そして家族です。保
護者の場合は、保護者自身のケアと子育ての方法に関する援助を行います。子
どもの場合は、虐待の影響によってもたらされた心や行動(体)の問題に取り
組んでいきます。また、家族への働きかけや家族の機能を回復するように援助
します。
○ 区保健子ども課や児童相談所からの個別検討会議等の開催連絡には、速やかに
出席するように努めます。
(3)予防・防止
○ 現在、臨床心理士が活躍している福祉領域(児童相談所、精神保健福祉センタ
ー等)
、医療領域(病院、クリニック等)、教育領域(学校、幼稚園等)などの
職場で、様々な職種の人々と連携を取りながら、子育ての不安や悩みを解消し、
予防や防止に努めています。
○ 公的機関が行う虐待防止に関する会議、イベント、研修などにも積極的に参加
します。
67
20
熊本市歯科医師会
(1)学校歯科医として児童虐待への対応
歯科診療所及び歯科医院において、乳幼児健診や学校健診、診療等で児童虐待を発
見しやすい立場にあります。
学校歯科医が、学校等での健康診断あるいは健康診断票から児童虐待が疑われる不
自然さに気づいたときには、養護教諭や担任教諭・健康診断の担当者に情報を提供、
最終的には学校長に報告し、また事後処理としての治療や管理は学校歯科医を含む、
かかりつけ医のもとでなされるため、学校等と学校歯科医をはじめとするかかりつけ
歯科医との連携が密でなければなりません。学校と学校歯科医の強力を1つのステッ
プとして、地域並びに関連機関と協力することで、子どもたちの健全な発育環境の整
備をしていくことが望まれます。
(2)通告について
学校歯科医は健康診断等で児童虐待が疑われる場合は、速やかに学校長に報告、学
校長の判断を仰ぎ、児童相談所などに報告する必要があります。また、児童福祉法第
25条並びに児童虐待防止法第6条によれば、児童虐待を受けたと思われる児童を発
見した者は速やかに児童相談所などに報告する義務があり(報告した者が誰であるか
については守秘される)
、地域においては児童相談所をはじめとする児童虐待防止に関
するネットワークが作られている場合が多いので、歯科医療機関で同様のことが疑わ
れる場合には、ただちに関係機関(児童相談所、歯科医師会等)に通告する必要があ
ります。
(3)児童虐待(身体的虐待・ネグレクト)について
学校歯科医はその職務の性格上、家庭という密室の中で繰り返される児童虐待やネ
グレクトなどを垣間見る事ができます。虐待がある場合「不自然さ」を感じることが
多いといわれます。
「子どもの様子がなんとなく変だ」などど感じた場合、注意して診
断することが必要です。一般的に児童虐待は1回のみでなく習慣化しやすいことから、
同時に多数の新旧混在の外傷を認めれば、児童虐待を疑う必要があります。
68
歯牙、歯周辺組織の状態による児童虐待の鑑別診断について
①歯の硬組織
②歯牙ネグレクト
③歯周組織の外傷
④口腔粘膜外傷
⑤口腔周囲外傷
⑥歯槽骨及び頬骨の外傷
歯髄の外傷:歯の亀裂(ヒビ)
、歯冠破折、歯の変色
保護者怠慢による多発う歯(むし歯)や多数歯にわ
たる歯肉腫脹、歯肉炎
動揺、不完全脱臼、陥入、搬出、転位、脱落(不完
全脱臼)
舌の外傷、頬粘膜外傷、小帯の外傷
口唇部外傷、口角部外傷、頬部外傷、顔面への打撲、
タバコの熱傷
打撲、歯槽壁、歯槽突起の骨折、頬骨骨折、顎関節
脱臼
児童の様子の不自然さによる児童虐待の鑑別診断について
①身体に触れられることを嫌がる。
②他の児童に比べ、発達、発達状態の遅れまたは発育、発達状態が悪い。
③なんとなくおどおどしている、親がいると怯える。家に帰りたがらない。
④健康診断時によく欠席している。
⑤非常に多くのう蝕(むし歯)を有している。
(養育放棄、保護怠慢と思われる多
数歯う蝕)
⑥広範な歯肉以上が認められる。
⑦前回の健康診断で治療勧告が出ているにも関わらず、治療をした形跡がない。
⑧治療報告書の回収がなされていない。
69
21
熊本県養護協議会
熊本県養護協議会は、児童福祉法に基づく県内の児童福祉施設で構成されており、
熊本市所在施設の種別及び名称は次の通りになります。
・母子生活支援施設…はばたきホーム・きらきら星レジデンス
・乳児院…熊本乳児院、慈愛園乳児ホーム
・児童養護施設…慈愛園子供ホーム・菊水学園・藤崎台童園・龍山学苑
・盲ろうあ児施設…熊本ライトハウス
・児童自立支援施設…熊本県立清水が丘学園
(1)早期発見
保育者に代わって社会的養護を必要とする児童(要保護児童)とは、児童福祉法第
6条の3第8項において「保護者のない児童または保護者に監護させることが不適当
であると認められる児童」と定義されています。具体的には、保護者が死亡あるいは
行方不明、保護者が拘留中、保護者が病気療養中、経済的事情による養護困難、保護
者が子どもを虐待している等のケースが該当します。
こうした子どもを発見した場合は、児童相談所、市町村、または都道府県の設置す
る福祉事務所に通告する義務が全ての国民に課せられています(児童福祉法第25条)
。
劣悪な養育環境に留まることは、その後の子どもの人格形成に大きな瑕疵を残すこ
とを意味します。子どもには先ず安心で安全な環境が用意されなければなりません。
(2)早期対応
子ども家庭福祉における早期対応とは、要保護児童及びその家族の問題をできるだ
け早く次のような専門的援助、①支援:子どもの発達上の障害や問題の軽減・除去、
子育て家庭への支援(相談・助言・医療・養育・子育て支援・自立支援給付等々)、②
補完:発達上の障害や問題が生じている子どもの療育の補完(保育所、障害児通園施
設、児童扶養手当、一時保護、ホームヘルプ等々)
、③代替:発達上の障害や問題が生
じている子どもの養育の代替(児童擁護施設等の入所施設、里親等々)につなぐこと
です。
入所児童福祉施設は、主に養育の補完、代替を担いますが、子どもと家庭を専門的
にアセスメントし、短期・中長期にわたる養育計画(療育計画・自立支援計画)を策
定し、関係機関との連携によって子どものウェルビーイングの実現を図ります。
70
(3)支援
国は入所児における家庭復帰、自立支援等を促進させるため、児童福祉施設に家庭
支援専門相談員(ファミリーソーシャルワーカー)
・心理職・被虐待児個別対応職員等
の専門職配置を行いました。また、子どもたちへのケアを充実させるべく、施設自体
の小規模化を図る予算措置もなされました。
これまでの児童虐待対策は、発見・通報・保護といった初期対応システムの構築に
重点が置かれていましたが、ようやくそれ以降の子どもたちや保護者のケアにスポッ
トがあたりだしました。虐待や不適切な養育によってもたらされた子どもの傷は容易
に癒えず、感情をコントロールできなかったり、関わる人を試したり、自傷行為を繰
り返したりすることも稀ではなく、その結果、人格の形成不完全に陥ることもあるま
す。児童福祉施設はそうした子どもたちの育ち直しのための治療的養育実践や家族再
統合への援助の場として期待されていますが、道のりは険しいと言わざるをえません。
そうした中、安心感・安全感の早期付与、愛着関係の再形成、家族支援等を行いな
がら、専門性の獲得・強化に努めています。併せて、こうした経験を踏まえながら、
児童虐待防止のための啓発活動及び予防のための子育て支援に寄与していくことも一
方で重要な仕事となってきました。
(4)予防、防止の取り組み
児童福祉施設は施設機能を地域に還元するため、キャパシティの許す限り次のよう
な子育て支援事業を実施し、問題発生の予防や軽減に努めています。
・子育て短期支援事業…ショートステイ・トワイライトステイ
・病児・病後児保育
・園舎、園庭の地域への開放
・職員を地域活動に派遣…主任児童委員・消防団員・交通指導委員等々
・電話相談事業
22
熊本県里親協議会
熊本県里親協議会は、親がやむを得ない事情で子育てが出来なかったり、養育を放
棄された子どもを預かり、親として、または親と同様に養育し、家庭生活を送らせ、
子どもの成長を育んでいく役割を担った里親によって構成されています。
近年、ネグレクトや家庭内暴力を受ける子どもが増えている傾向にあり、また厚生
労働省の方針により、将来里親への養育の委託を 33%まで引き上げる方針が示され
ました。その為、児童相談所も積極的に里親への委託を進めております。
そのことも含め、今般の荒れた世相をいかに潤いのある世の中に変えていけるかは、
無償の愛を持つ人を1人でも増やしていくことにあると思います。その愛情でもって
里親は委託された子どもの健全な成長を願いつつ、また、親の愛情を求める子どもた
71
ちを温かく育み、家庭生活を送っていくことを心より願っております。
(1)早期発見
里親ということを前面に押し出した保育所、学校等での活動は、子どもの真の成長
を育んでいく視点からすると、あくまで、普通の親としていくべきと思っております。
そういう意味で、早期発見の活動に対してはやりにくい面が多々あります。
自然な形での親子関係を構築していく上では、見た目からも親子の関係が大切です
が、民生委員・児童委員との連携した地域活動は可能で、緊急事態の対応は児童相談
所との連絡もとりやすく、子どもを見る目は他の方々より深いと自負しております。
(2)早期対応
子どもの態度からいろんなことを推測出来るという点では、里親としての経験が生
かせると思います。また児童相談所との連携が可能な一般人として、地域には貴重な
存在になれると思います。
(3)支援
子どもの虐待に関連して直接的な介入は難しいと考えますが、一時預かり等のバッ
クアップは可能ではないでしょうか。普通の家庭の雰囲気で子どもを保護するのは、
子どもにとって心理的に安心でき、より好ましい成長も出来ると思います。
また、
「専門里親」として特別な研修を積んだ方も増えており、児童相談所との緊密
な連携が、早期の親子再統合にもつながっていくと思います。
(4)予防・防止の取り組み
予防・防止の取り組みは、里親という立場からすれば、最前面に出るわけにはいき
ませんが、啓蒙活動をすることは十分可能です。
また、相談員として里親の立場からみなさんと接することは大いに出来ます。子ど
もへの関心が人一倍強いのが里親のみなさんです。予防にも、防止にも強く支援出来
ると思っております。
23
熊本県母子生活支援施設協議会
熊本県母子生活支援施設協議会は、熊本県内2カ所の母子家庭の入所施設で構成さ
れています。様々な理由により地域で生活することが困難な母子家庭のために、相談・
子育て支援等を始めとして、生活全般にわたる支援、援助を行うとともに、年々増加
し、心に傷を抱えているDV世帯や虐待児に対しても、心理的ケアなどを含め、適切
な対応を行い安心と安全、そして安定した生活を提供しています。
(1)早期発見
地域交流や開かれた施設づくりという意味でも、地域行事への入所者、職員の参加
72
や学校行事への参加等含め、様々な地域活動に参加しています。ネットワーク作りと、
地域の子ども達も自由に出入できる施設ということで、早期発見につなげていけると
考えています。
また入所児童に対しては、補完保育中や子ども会活動時においての観察を行ってい
ます。
(2)早期対応
学校、保育園を始めとして、その他の関係機関との連携を密に行っていますが、入
所児童に関しては、母親と十分に話をした上で各関係機関への連絡調整を行っていま
す。また、地域で暮らす退所者の家庭には、電話を入れたり訪問をするなど、関係機
関へのつなぎの役目をしています。
(3)支援
入所母子に対しては、生活全般への支援、子育て支援、専門家により心理的ケア、
関係機関との連携、公的機関への同行等を行っています。地域に対しては、子ども達
がいつでも立ち寄れる場所となり、職員と仲良くなることで、支援につなげていきた
いと考えています。
(4)予防、防止の取り組み
地域との連携、関係機関との連携、又、研修、講演会等への参加により職員の資質
の向上を図っています。
入所母子に関しては、小さな変化への気付き、見守り、母親への育児軽減支援、そ
して〈子育ては、一人で頑張らなくていいこと、子ども達は皆で育てていくこと〉を
伝えています。
(5)熊本県の母子生活支援施設
・きらきら星レジデンス
熊本市東区尾ノ上4丁目11番65号
TEL
096-331-2511
TEL
096-352-3095
・はばたきホーム
熊本市中央区壺川2丁目1番57号
24
子どもの虐待防止コンサルテーションチーム・くまもと
「子どもの虐待防止コンサルテーションチーム・くまもと」は、子どもの虐待に関連
する教育・福祉・法律・医療などの有識者から成る民間団体であり、2ヶ月に1回の
割合(奇数月の第3火曜日/18:30~)で熊本県中央児童相談所に会し、児童相
談所が児童、家庭に対応する際の配慮、工夫などについて検討し、児童相談所職員に
アドバイスを行っています。
73
今後は、市町村や各地の子どもの虐待防止ネットワークからの依頼にも応じていき
たいと考えています。
【構成メンバー】
・小児科
・児童福祉
・社会福祉
・児童精神科/精神科
・心理学
・発達心理学
・法律
(1)早期発見・早期対応
○ 早期発見・早期対応に直接的に携わることはありませんが、個々の事例を検討
する中で、早期発見・早期対応のポイントを探り、関係機関の対応に活用でき
るよう努めます。
(2)支援
○ 児童相談所への専門的な支援を行います。
○ 子どもの虐待を発見・認知した段階の対応方法から、子どもの健康状態・精神
状態・損傷状態、子どもを取り巻く保護者・教育関係者の状況と対応、更には
子どもの処遇や将来の展望に至るまで、各分野のメンバーから専門性を生かし
た話題やアドバイスを提供します。
○ 児童相談所職員から、日常的に対応に苦慮するケースの対応法などについて、
話題提供や質問があった場合に、実際の現場における諸問題を議論し、直接的
な支援の資質向上に努めます。
○ 区保健子ども課が担当の虐待事例についても、有識者の意見が必要な場合には
「熊本市要保護児童対策地域協議会」の調整機関※1 を通じて「子どもの虐待防
止コンサルテーションチーム・くまもと」の事務局※2 へ参加依頼があり、事務
局はその症例に相応しいメンバーの有識者を紹介し、個別ケース検討会議に参
加します。
(3)予防、防止の取り組み
○ 児童相談所での検討の中では、個々の事例の対応に留まらず、類似事例に対す
る予防・防止策の検討も実施し、児童相談所をはじめとする各機関の対応の改
善・向上などにもフィードバックされるよう努めます。
※1
「熊本市要保護児童対策地域協議会」の調整機関
熊本市子ども支援課
※2
「子どもの虐待防止コンサルテーションチーム・くまもと」事務局
熊本学園大学
山崎研究室
TEL:364-5161(内)1314
74
25
特定非営利活動(NPO)法人
くまもと子どもの人権テーブル
当法人は、子どもの人権を守り、暴力被害を防ぐために、次のような教育プログラ
ムを提供し、啓発活動に取り組んでいます。
① 知らぬ人への対応プログラム ②
③ ストップ!いじめモードプログラム
⑤
子どもの人権・安全プログラム
④ 子どもへの暴行防止プログラム
問題解決力アップのための8ステップ/いじめ対応編
(1)早期発見
○ 子ども対象のプログラムのなかで、自分の人権を守ることや、自分の被害に早
く気づくこと、困ったことが起きたら誰かに打ち明ける重要性を伝えています。
○ おとな対象のプログラムのなかで、「発見のサイン」「発見・援助の留意点」に
ついて資料を配布し、説明しています。
○ プログラム後の子どもアンケートの回答のなかに、被害経験が疑われる記述を
発見した場合、担任等に連絡し、対応を話し合います。
(2)早期対応
○ おとな対象のプログラムのなかで、
「おとなができること」
「援助の留意点」
「暴
力被害がわかったら」
「被害者のきもちを理解する」について資料を配布し、
説明しています。
○ おとな対象のプログラムのなかで、子どもの話を聴くときの注意点として、当
法人独自のキーワード「き・れ・い」(共感して、冷静に、一緒に考える)を
紹介、説明しています。
(3)支援
○ 虐待についての相談を受けた場合は、関係機関や相談機関を紹介しています。
(4)予防、防止の取り組み
○ 小学校、中学校、保育園などで、防止教育プログラムを提供しています。提供
プログラムは外部専門家の助言を受けて、改訂しています。子どもの人権や虐
待問題に関する講演会、研修会を開催し、虐待防止に向けた啓発活動に取り組
んでいます。
○ 子どもの被害防止のための、おとなの支援力を高めることを目指した連続基礎
講座を毎年開催しています。
○ 当法人ウェブサイトのなかで、子どもの人権や提供プログラムについて情報提
供を行っています。
75
26
ほっぷ・すてっぷ・CAPくまもと
(NPO法人CAPセンターJAPAN正会員)
CAP(子どもへの暴力防止)は、
「人権と自尊感情」をベースにした暴力から子ども
が心と身体を守るための予防教育です。
CAPくまもとは、子どもが生まれてきてよかったと思える社会の実現をめざして、
CAP・デートDV予防・子どもの権利・支援者支援などの各プログラムを実施し、
子どもと子どもに関わるおとなのエンパワメントな支援を行っています。
19年度からは、社会的養護のもとで暮らす子どもの安心と安全のために、児童養護
施設、母子生活支援施設等で、職員と協働し子どもへの暴力防止に取り組んでいます。
(1)早期発見
* 子どもワークショップで、自分の大切さを実感した子どもが発信し、早期発見
につながったケースもあります。
* ワークショップに参加した子どもに電話相談を記したカードを配布し、孤立を
防ぐ働きかけをします。
* 教職員ワークショップは、虐待の早期発見、対応に役立つよう具体的なスキル、
子どもの人権や虐待に関する内容になります。
* 保護者向けワークショップは、
「しつけと体罰」のちがいなど具体的で、保護者
自身の子育てを振り返る機会となっています。また、近隣の子どもの虐待環境
に気づく機会ともなっています。
(2)早期対応
* 子どもワークショップの実施後、必ず担任の先生とフィードバックし、虐待が
疑われる子どもを発見した場合は、学校からの通告となります。
* メンバーは、子育て、DVなどの相談に関する冊子やカードを常時携帯し、ワ
ークショップ参加者に配布しています。保護者の相談によっては、区役所や子
育て支援センター、民間の育児サークルなど個別に情報提供をします。
(3)支援
* 暴力からの回復や支援のために、関連図書の貸し出しを実施しています。
* おとなが子どものよき支援者となるように、研修会や学習会を開いています。
(4)予防、防止の取り組み
* 虐待のみならずあらゆる暴力防止のために「デートDV予防」「子育て」「コミ
ュニケーション」
「体罰」
「アサーション」などをテーマに、ワークショップ型
講座を実施しています。
* CAPセンターJAPAN(南部32都道府県)のネットワークグループとし
て全国的な虐待防止に関する働きかけをおこなっています。
76
第6章
児童虐待の予防と支援
児童虐待は特別な個人の問題ではなく、誰にでも起こりうることです。児童虐待が
起こる社会的な背景の中には、核家族化や地域社会との疎遠による育児の孤立化、育
児困難等があります。
そこで、本市では、地域子育て支援ネットワークを小学校区単位に形成することを
推奨しており、現在では小学校区単位に様々な子育て支援活動が展開され、校区や地
域単位で子育てサロンやサークル活動、育児講演会や育児相談会などが行われていま
す。このような地域全体で子育てを応援し、子どもの発達や成長を育む地域環境は、
虐待の予防にもつながっています。
虐待の予防は専門家だけで実現できるものではありません。地域ぐるみで、一人ひ
とりができることをほんの少しでも実行していくことが、子育て中の家庭を孤立させ
ない第一歩になります。
以下に本市で行っている、子育て支援事業等について紹介します。
育児相談・子どものことで相談したい
(1)育児相談
区保健子ども課
就学前の子どもの母乳育児や離乳食、歯や口の健康、育て方、予防接種の受け方
等、保健師や歯科医師、歯科衛生士、栄養士などが、育児全般に関する相談を受け
付けています。
管轄
実施場所
中央区
健康センター大江分室(ウェル
実施日
時
間
月曜日
午前 9 時~10 時半
備考
パルくまもと 3 階)
東区
東区役所 3 階 健康センター
月曜日
午後 1 時~3 時
西区
西区役所 3 階 健康センター
月曜日
午後 1 時~3 時
南区
南区役所 3 階ホール
月曜日
午後 1 時~3 時
南区
健康センター城南分室(火の君
第2・4金曜日
午後 1 時~3 時
第 2・4 金曜日
午前 9 時~10 時半
清水児童館
第 1 金曜日
午前 9 時~10 時半
龍田児童館
第 3 金曜日
午前 9 時~10 時半
要予約
文化センター内)
北区
植木健康福祉センターかがや
き館
※
この他、校区内の地域行事(育児サロンやサークル等)でも巡回の育児相談を実
施しています。
[問い合わせ先:区保健子ども課 P87参照 ]
77
子育て支援センター
就学前までの子どもをもつ親子の交流の場として、子育てに関するイベントや情
報提供を行っています。子育てに関する相談もできます。
利用時間
午前 9 時~午後5時
休館日
日曜日、祝日、年末年始
ただし、※は施設によって開館時間、休館日が異なりますので、直接お問い合わ
せください。
管轄
中央区
東区
西区
南区
北区
施
設
名
電話番号
総合子育て支援センター
☎364-0123
白山子育て支援センター
☎364-4815
イルカクラブ※
☎367-0127
京塚子育て支援センター
☎381-5784
ながみね子育て支援センター※
☎380-6645
やまなみ子育て支援センター※
☎365-9111
画図子育て支援センター※
☎284-4770
小島子育て支援センター
☎329-7250
池上子育て支援センター
☎329-0344
京町台子育て支援センター
☎352-6280
幸田子育て支援センター
☎378-7674
さくらっこ子育て支援センター※
☎357-9616
だいいち子育て支援センター※
☎357-1245
城南子育て支援センター※
☎0964-28-2147
あゆみ子どもセンター※
☎339-5673
西里子育て支援センター
☎245-0062
清水子育て支援センター
☎343-6983
植木子育て支援センター
☎272-0281
植木山東子育て支援センター※
☎272-0699
植木和幸子育て支援センター※
☎273-1225
夢もやい館
育児に関する相談や子育てに関する情報の提供などを行い、子育て中の親子が気
軽に集い、交流できる場を提供します。
利用時間
午前 9 時~午後 6 時
対象
市内に住む就学前児童と保護者
休館日
日曜日、祝日、年末年始
利用方法
事前に登録が必要
[問い合わせ先:夢もやい館
78
☎338-3210 ]
(2)児童相談・教育相談
児童相談所
18 歳未満の子どもの養育相談や心身の障がい、虐待、非行などの子どもに関する
さまざまな相談を受け付け、必要に応じて心理検査や医師による診察、子どもやその
保護者への調査、判定に基づいて必要な支援を行う専門的な機関になります。
<来所相談>
月曜~金曜日 午前 8 時半~午後 5 時 15 分
※土日祝日、年末年始を除く ※要予約 まず、電話でご相談ください。来所してい
ただくことが必要なときは、日時をご連絡します。
[問い合わせ先:児童相談所
☎366-8181]
子ども・若者総合相談センター
子ども・若者に関するあらゆる相談をお受けします。
保健師、保育士、心理士、
社会福祉士、精神保健福祉士、カウンセラーなどがお話を傾聴し、必要に応じさまざ
まな情報をお伝えします。
<電話相談>
24時間年中無休受付
☎361-2525
<面接相談>
月曜~金曜日午前 8 時半~午後 5 時 15 分
※ 土日祝日、年末年始を除く
<メール相談>
24 時間受付
[email protected]
<FAX 相談>
24 時間受付
FAX: 366-2558
※メール・FAX での休日の相談についての返信は、休み明けになります。
<市民の協力による特別相談>
不登校相談 非行と向き合う親たちの会「雨やどりの会」
☎361-2525
教育相談室
発達や就学、いじめや不登校など、子どもの教育に関する来所相談をお受けします。
また、適応指導教室「フレンドリー」において、不登校の状態にある子どもの学校復
帰と社会的自立を目指した活動を行います。
[問い合わせ先:教育相談室
☎362-7070]
●来所相談
対象
市内に住む年長児、小・中・高校生の子ども本人、保護者及び学校関係者
時間
月~金曜日
午前 9 時半~午後 3 時 45 分
電話予約
月~金曜日
午前 9 時~午後 5 時 15 分
79
●適応指導教室「フレンドリー」
活動内容
スポーツ、パソコン、学習、ものづくり、体験活動など
対象
市内に住む小・中学生
時間
午前 9 時半~午後 3 時(火曜日は正午まで)
電話予約
月~金曜日
備考
火の君学級(城南町)
、スクーリングアップ教室(植木町)もあります。
午前 9 時~午後 5 時 15 分
●ユアフレンド
活動内容
不登校の子どもの家庭や学校に、話し相手、遊び相手として熊本大学教育
学部の学生を派遣する。
対象
市立小・中学校に通う児童・生徒
活動時間
月~金曜日
午前 9 時~午後 6 時のうち、週に 1 回程度、1 回 2 時間程
度
備考
学校を通して申込み
(3)子どもの発達の相談
子ども発達支援センター
発達に心配のある子どもの健やかな成長を手助けするため、言語聴覚士や心理相
談員などの専門のスタッフが個々の状況に応じた支援を行います。
電話相談
月曜~土曜日(祝日、年末年始を除く)午前8時半~午後5時 15 分
来所相談
月曜~金曜日(祝日、年末年始を除く)午前8時半~午後5時 15 分
※来所相談は電話にて要予約
[問い合わせ先:子ども発達支援センター ☎366-8240]
80
育児のことを学びたい・子育て仲間がほしい
区保健子ども課
区保健子ども課では、子どもの発達や栄養、歯と口の健康などの健康教室を開催
しています。また、地域組織や団体等で組織する校区単位の子育てネットワークを
形成し、育児に関する講演会や育児サークルなども開催しています。
事業名
内
育児教室
容
対
象
離乳食の進め方や育て
4~5か月児の乳児
方、座談会等
と保護者
ピカピカカミカミ教
幼児食とお口の話、手
1 歳~1 歳 5 か月の
室
作りおやつの試食や歯
幼児と保護者
問い合わせ
区保健子ども課
区保健子ども課
みがき実習など
親育ち支援事業
グループミーティング
(ママほっとタイム)
育児困難感や育児不
区保健子ども課
安をもつ母親
※
その他、地域との協働で実施する場合もあります。
子育て支援センター
P78参照
つどいの広場(かがやき館内)
利用時間
午前 10 時~午後 4 時
対象
市内に住む幼児と保護者
休館日
土~月曜日、年末年始
※ 月曜日が祝日の場合、翌平日休館
[問い合わせ先:つどいの広場 ☎272-2600 ]
街なか子育てひろば(現代美術館内)
利用時間
午前 10 時~午後8時(アドバイザー対応時間は午後3時まで)
休館日
火曜日、年末年始
※火曜日が祝日の場合、翌日休館
[問い合わせ先:街なか子育てひろば
81
☎323-3222]
児童館・児童室
子どもの自由な遊びの場を提供しています。また、就学・就園前までのお子さん
を対象とした朝の活動や小学生を対象としたクラブ活動を行っているほか、季節行
事や各種催しなどを開いています。
施
設
名
電話番号
西原公園児童館
☎371-4090
託麻児童館(託麻総合出張所内)
☎380-8118
秋津児童館(秋津出張所内)
☎365-5751
東部児童館(東部出張所内)
☎367-1134
西部児童館(西区役所内)
☎329-7205
花園児童館(花園総合出張所横)
☎359-1261
幸田児童館(幸田総合出張所内)
☎379-0211
南部児童館(南部出張所内)
☎358-1705
城南児童館(城南図書館併設)
☎0964-27-5945
清水児童館(清水総合出張所内)
☎343-9163
龍田児童館(龍田出張所内)
☎339-3322
桜ヶ丘児童館
☎275-5510
大江児童室(大江出張所内)
☎372-0313
五福児童室(五福まちづくり交流センター内)
☎359-0500
天明児童室(天明総合出張所内)
☎223-0118
子ども文化会館
子ども達が楽しく集い、遊び、学べるよう、工作や遊具を使った体験活動、また
季節にちなんだ行事や舞台劇などを行っています。 また、子育て中の親子が集い、
健康やしつけ、栄養などの育児全般の相談にも応じます。
利用時間
午前 9 時~午後 5 時
(会議室、多目的ホールの有料での利用は午後 8 時半まで)
休館日
入館料
第 2・第 4 火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
無料(会議室などを利用する場合は利用料が必要)
[問い合わせ先:子ども文化会館☎323-0505]
82
妊娠・出産に関する相談
(1)妊娠に関する悩み相談
「思いがけない妊娠をしてしまった」「相談する相手がいない」「産みたいけど、
育てられない」などの悩みをお持ちの方の電話相談を受け付けています。
24時間いつでも相談を!! 匿名でも大丈夫!
電話番号:353-7830(なやみゼロ)
*窓口での相談は、区福祉課・保健子ども課で受け付けています。
(月~金、午前 8 時半~午後 5 時 15 分)
(2)親子(母子)健康手帳の交付
妊娠したら、産科医療機関で交付される「妊娠届出書」をお住まいの区保健子ど
も課などへ提出し、親子(母子)健康手帳の交付を受けます。親子(母子)健康手
帳は、母と子の健康管理に必要な検査や健診、予防接種の結果を記録するもので、
妊娠や出産、育児についての注意事項などが書いてあります。
また、親子(母子)健康手帳の交付は下記の相談日とあわせて行っています。相
談日には、妊娠から出産、育児などの保健相談や栄養相談、歯科健診(無料)が受
けられます。
場
所
相談日受付時間
中央区保健子ども課
木曜日
午前 9 時~10 時半、午後 1 時半~3 時
東区保健子ども課
月曜日
午前 9 時~11 時
西区保健子ども課
月曜日
午後 1 時~3 時
南区保健子ども課
木曜日
午前 9 時~11 時
城南地区:健康センター城南分室
(火の君文化センター内)※要予約
北区保健子ども課
第 2・4 金曜日 午後 1 時半~3 時半
水曜日
午前 9 時~11 時
(3)入院出産費の助成
経済的な理由で出産のための入院助産を受けることが困難な妊産婦に、出産費用
の一部を助成します。なお、この場合の入院先は下記の病院に限られます(所得制
限があります)
。必ず出産前までに区保健子ども課に相談することが必要になります。
助産施設名
住 所
電話番号
熊本市民病院
東区湖東 1-1-60
☎365-1711
熊本赤十字病院
東区長嶺南 2-1-1
☎384-2111
慈恵病院
西区島崎 6-1-27
☎355-6131
福田病院
中央区新町 2-2-6
☎322-2995
83
(4)産後ホームヘルプサービス事業
出産後の体調不良などで家事や育児が困難な方や、昼間に家事や育児を行う者が
ほかにいない方、また双子など多胎出産の方の家庭にホームヘルパーを派遣する制
度になります。
※
利用方法事前の登録が必要です。(受付場所は区保健子ども課)
利用可能期間
出産後 6 か月以内 (多胎は出産後 1 年以内)
利用時間および
原則
午前 8 時~午後 6 時
利用可能日
原則
年末年始を除く毎日
利用可能回数
20 回(多胎は 40 回)
1 回 2 時間以内 1,200 円(生活保護受給者は無料)
利用料金
※ 1 時間まで延長可。延長した場合は延長料金 600 円
家事に関すること
サービスの内容
食事の準備や後片付け、衣類の洗濯、
居室の掃除、買物など
育児に関すること
授乳、おむつ交換、沐浴のお手伝い、
そのほか育児支援
子どもを預かってほしい
(1)
子育て短期支援事業
●ショートステイ(宿泊:原則 7 日以内)
保護者が病気や冠婚葬祭などで一時的に家庭での子どもの世話が難しい場合や
経済的な理由で緊急一時的に母子の保護が必要な場合に、お預かりまたは保護す
る制度になります。
●トワイライトステイ(夜間・休日)
保護者が仕事などの理由で、帰宅が夜間になるような場合や休日に不在となる
場合に一時的に預かります。
※ 施設に空きがない場合は、お預かり出来ない場合もあります。
預かる施設名
熊本乳児院、慈愛園乳児ホーム、慈愛園子供ホーム、菊水学園、
藤崎台童園、龍山学苑、広安愛児園、はばたきホーム、シオン
園、愛隣園、きらきら星レジデンス
〔問い合わせ先:区保健子ども課
84
P87参照〕
(2)病児・病後児保育
児童が病気あるいは病気回復期において、保護者が家庭で保育を行うことができ
ない期間内、一時的に施設で保育する制度になります(事前に登録が必要になりま
す)
。
対象児童
原則として小学校 3 年生までの病児または病後児
病児と病後児
病児とは
病気回復期に至らないが、入院治療を必要とせず、当面
とは
の症状の急変は認められない児童(はしかはお預かりで
きません。インフルエンザ、RS ウィルスは病態に応じ
て判断します。)
病後児とは
病気の回復期であるが、集団保育が困難な児童
開所日
月曜日~土曜日
午前 8 時~午後 6 時半
及び時間
※祝日、年末年始を除く
利用料
1 日につき 1 人あたり 2,000 円(食事代含む)
※ 生活保護世帯無料、市民税非課税世帯1,000 円(証明する書類が必
要です。詳しくは子ども支援課へ。)
預かる
エーネホーム(慈愛園乳児ホーム)、みるく病児保育室、グリム病児保
施設名
育室(おがた小児科内)、キンダーハウス杉村病院付属病児保育室、病
児保育みらい(にのみやクリニック内)、病児保育エミー(えがみ小児
科内)
、病児保育室いちご(雁回まこと保育園内)
、病児・病後児保育ふ
わっと(ふわわ保育園内)
[問い合わせ先:子ども支援課 ☎328-2158]
(3)ファミリー・サポート・センター〈熊本〉
子育てを応援するため、お子さんを預けたい方と預かりたい方に会員登録をして
いただき、それぞれの条件と希望にあった会員を紹介しています。
●対象
○
子どもを預けたい方(依頼会員)
市内に住むか勤める方で、生後 3 か月から小学生までのお子さんがいる方
(事前説明を 2 時間程度受けていただきます)
。※病児の預かり活動は生後
6 ヶ月からとなります。
○
子どもを預かりたい方(協力会員)
自宅でお子さんを預かることができるおおむね 70 歳までの健康な方(事
前講習を 24 時間程度受けていただきます)。
●費用
依頼会員が協力会員に直接支払います。
・ 月曜~金曜日
午前 7 時~午後 7 時
1 時間当たり
600 円(病児は 900 円)
85
・ 土曜・日曜日、祝日、早朝、夜間、年末年始など(病児の活動は土曜のみ)
1 時間当たり
700 円(病児は 1,000 円)
[問い合わせ先:ファミリー・サポート・センター〈熊本〉☎345-3011
/病児 273-6808]
ひとり親家庭支援
(1)ひとり親家庭児童訪問援助事業
母子家庭・父子家庭の小・中学生に対し、相談相手や遊び相手、簡単な学習指導
などを行う児童訪問援助員(大学生)を月に 2 回程度派遣します(派遣には事前の
登録が必要です)
。
[問い合わせ先:区保健子ども課]
(2)ひとり親家庭等日常生活支援事業
母子家庭、父子家庭などで、病気や冠婚葬祭の参加などで一時的に身の回りの世
話や、児童を預ける必要が生じた場合に、育児や食事の世話などを手伝う家庭生活
支援員を派遣します。ただし、1 ヶ月の利用は 3 日が限度となります。(派遣の要
件があります。
)
[問い合わせ先:熊本市母子寡婦福祉連合会 ☎355-4096]
(3)母子生活支援施設
18 歳未満の子どものいる母子家庭の方で、母子保護が必要と認められた方のた
めの施設です。市内には 2 施設あり、入所者には生活指導や学習指導も行います。
[問い合わせ先:区保健子ども課]
(4)母子・父子福祉センター
ひとり親家庭及び寡婦の生活の安定を図るため就業・子育て・経済的なことなどの
各種相談ならびに専門家による法律・就職相談を行います。また就業支援のための
技能習得・教養講座、健康教室、親子料理教室なども無料で行っています。
◆中央区水前寺 4 丁目 47-50
☎385-1160 「競輪場前」バス停下車
[問い合わせ先:子ども支援課 ☎328-2158]
(5)母子・父子自立支援プログラム策定事業
児童扶養手当受給者で、求職中の方や転職を希望する方に対し、相談員が面接な
どを行い、資格取得講座の紹介、ハローワークと連携した就業支援などを継続的に
行います。
[問い合わせ先:中央区保健子ども課
☎328-2421]
(6)母子家庭等自立支援教育訓練給付
母子家庭の母または父子家庭の父が主体的な能力開発のため、市が指定した講座
86
を受講した場合、受講終了後に受講料の 2 割相当額(上限 10 万円、下限 4 千円)
を支給します(所得制限があります。申請前の相談が必要になります。)
。
[問い合わせ先: 母子父子相談室☎385-1228]
(7)母子父子寡婦福祉資金貸付
母子家庭・父子家庭や寡婦の方に技能習得のための資金や児童の修学資金などの
福祉資金をお貸しします。貸付額などの条件は種類により異なります。
[問い合わせ先:区保健子ども課又は、母子父子相談室 ☎385-1228]
(8)母子家庭等高等職業訓練促進給付金等給付
母子家庭の母または父子家庭の父が養成機関で 2 年以上の修業期間を必要とする
下記の資格を取得する場合、その修業期間の一定期間について給付金を支給します。
また、養成機関を卒業後、修了支援給付金を支給します。ただし所得制限がありま
す。また、申請前に相談が必要になります。
対象資格:看護師、介護福祉士、保育士、理学療法士、作業療法士等
[問い合わせ先:区保健子ども課又は、母子・父子福祉センター母子父子相談室
☎385-1228]
(9)養育費相談事業
養育費に関する専門相談員が、離婚前後にかかわらず、養育費の取り決め方や支
払いの履行などに関する相談や情報提供を行っています。
[問い合わせ先:中央区保健子ども課 ☎328-2421]
87
配偶者の暴力に関する相談
相 談
先
熊本市 DV 相談専用電話
受付時間等
月曜~金曜日
電話番号
344-3322
午前 8 時半~午後5時 15 分
毎月第4土曜日
午前10時~午後4時
男女共同参画センターはあもにい
火曜~土曜日
総合相談室
午前 10 時~午後4時
343-8306
ただし木曜は午後8時まで
中央区福祉課(福祉相談班)
328-2301
東区福祉課(福祉相談班)
月曜~金曜日
367-9127
西区福祉課(福祉相談班)
午前8時半~午後5時 15 分
329-5403
南区福祉課(福祉相談班)
357-4129
北区福祉課(福祉相談班)
272-1118
熊本県警察本部警察安全相談室
24 時間対応
383-9110
(プッシュ回
線 ♯9110)
配偶者やパートナーからの暴力に悩んでいたら、ひとりで悩まず相談してください。
相談された方の秘密は守ります。安心してご相談ください。
緊急時は、最寄りの警察署か 110 番へ!
育児に関するお問い合わせ等は各区保健子ども課へ
相 談
先
受付時間等
中央区保健子ども課
電話番号
328-2419
東区保健子ども課
月曜~金曜日
367-9134
西区保健子ども課
午前8時半~午後5時15分
329-1147
南区保健子ども課
357-4138
北区保健子ども課
272-1128
88
資
料
編
1
個別ケース検討会議役割分担表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
2
児童虐待防止連絡メモ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
3
児童相談所、区役所保健子ども課への定期的な情報提供に関する取扱要領・・・・ 3
4
熊本市要保護児童対策地域協議会要綱 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
第 回 個別ケース検討会議 役割分担表
開催日 平成 年 月 日( )
児童氏名:
主担当機関:
支 援 計 画
支 援 内 容
支援期間
支
援
機
関
(
主
援
助
機
関
に
は
、
◎
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く
だ
さ
い
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)
次回開催予定 平成 年 月 日( ) 時~ (場所: )
1
児童虐待連絡メモ
年
月
日
日
※通告する場合、内容の確認用にお使いください。
所属・職名
通告者
電話番号
氏名
①
②
住所
ふりがな
氏名
児童
生年
平成
年
月
女
月日
(
歳
ヶ月)
就学状況等
(担任名
)
住所
(電話
)
氏名
保護者
男
(父)
歳
(母)
歳
職業等
【現在までの経過】
【家族構成】
【虐待の具体的内容】
(いつから、誰によって、どうされたか。頻度は。現在の様子は。)
【連絡意図】
【備考】
・子どもの保護
・調査し対応を
・対処方法を相談したい
・取り扱いを通知する
2
学校から児童相談所、区役所保健子ども課への定期的な情報提供に関する取扱要領
制定
平成22年12月
8日子ども政策課
改訂
平成24年 4月 1日子ども支援課
1
趣旨
この要領は、学校から児童相談所、区役所保健子ども課への被虐待児童等に係る情報の
定期的な提供に関し、必要な事項を示すものである。
2 定期的な情報提供の対象とする児童
(1) 要保護児童対策地域協議会(児童福祉法第25条の2に規定するよう保護児童対策地
域協議会をいう。以下「協議会」という。)において児童虐待または養護ケースとし
て受理されている熊本市立の小学校、中学校(以下「学校」という。)に在籍する児
童生徒。
(2) 児童相談所が管理している児童虐待ケースであって、協議会の対象となっておらず、
かつ、学校に在籍する児童生徒。
3 定期的な情報提供の頻度・内容
(1) 学校は、1か月に1回、1か月の状況を記入し、翌月の7日までに、メール便(総合
支援課経由)にて、それぞれの児童生徒を管轄する児童相談所、区役所保健子ども課
に情報提供票を提出する。
(2) 定期的な情報提供の内容は、上記2に定める児童生徒についての、対象期間の出欠状
況、(欠席があった場合の)家庭からの連絡の有無、欠席の理由とする。
4 事務の流れ
(1) 児童相談所、区役所保健子ども課は、学校に対して定期的な情報提供の対象となる児
童生徒の氏名等を提示する。
(2) 学校は、児童相談所、区役所保健子ども課から示された児童生徒について、所定のエ
クセルファイルを用いて要保護児童名簿(様式1)を作成し、要保護児童情報提供票
(様式2)を出力し必要事項を記載のうえ、児童相談所、区役所保健子ども課へ書面
にて情報提供を行う。なお、要保護児童名簿への新規登録及び削除は、児童相談所、
区役所保健子ども課が学校への訪問等調査時に学校へ連絡することとする。
(3)学校から情報提供を受けた児童相談所、区役所保健子ども課は、これらの情報を複数
人で組織的に評価し、対応方針等を検討する。なお、必要に応じて当該学校から更に
詳しく事情を聞くこととする。
5
緊急時の対応
定期的な情報提供の期日より前であっても、学校において、不自然な外傷、理由不明又
は連絡のない欠席が続く、対象となる児童生徒から虐待についての証言が得られた、帰宅
を嫌がる、家庭環境の変化など、新たな児童虐待の兆候や状況の変化等を把握したときは、
定期的な情報提供の期日を待つことなく、適宜適切に熊本市に情報提供又は通告すること。
6
提供の開始
情報の提供は、平成23年1月在籍分から開始する。
3
公立幼稚園及び公立保育所から児童相談所、区役所保健子ども課への
定期的な情報提供に関する取扱要領
制定
平成23年12月21日子ども政策課
改正
平成24年 4月 1日子ども支援課
1
趣旨
この要領は、公立幼稚園及び公立保育所から児童相談所、区役所保健子ども課への被虐
待児童等に係る情報の定期的な提供に関し、必要な事項を示すものである。
2 定期的な情報提供の対象とする児童
(3) 要保護児童対策地域協議会(児童福祉法第25条の2に規定する要保護児童対策地域
協議会をいう。以下「協議会」という。)において児童虐待または養護ケースとして
受理されている熊本市内の公立幼稚園に在籍する幼児及び保育所に在籍する乳幼児
(以下、
「幼児等」という。
)
。
(4) 児童相談所が管理している児童虐待ケースであって、協議会の対象となっていない幼
児等。
3 定期的な情報提供の頻度・内容
(3) 公立幼稚園及び公立保育所(以下、公立幼稚園等という。)は、1か月に1回、1か
月の状況を記入し、翌月の7日までに、メール便にて、それぞれの幼児等を管轄する
児童相談所、区役所保健子ども課に情報提供票を提出する。
(4) 定期的な情報提供の内容は、上記2に定める幼児等についての、対象期間の出欠状況、
(欠席があった場合の)家庭からの連絡の有無、欠席の理由とする。
4 事務の流れ
(3) 児童相談所、区役所保健子ども課は、公立幼稚園等に対して定期的な情報提供の対象
となる幼児等の氏名等を提示する。
(4) 公立幼稚園等は、児童相談所、区役所保健子ども課から示された幼児等について、所
定のエクセルファイルを用いて要保護児童名簿(様式1)を作成し、要保護児童情報
提供票(様式2)を出力し必要事項を記載のうえ、児童相談所、区役所保健子ども課
へ書面にて情報提供を行う。なお、要保護児童名簿への新規登録及び削除は、児童相
談所、区役所保健子ども課が公立幼稚園等への訪問等調査時に公立幼稚園等へ連絡す
ることとする。
(3)公立幼稚園等から情報提供を受けた児童相談所、区役所保健子ども課は、これらの情
報を複数人で組織的に評価し、対応方針等を検討する。なお、必要に応じて当該公立
幼稚園等から更に詳しく事情を聞くこととする。
5
緊急時の対応
定期的な情報提供の期日より前であっても、公立幼稚園等において、不自然な外傷、理
由不明又は連絡のない欠席が続く、対象となる幼児等から虐待についての証言が得られた、
帰宅を嫌がる、家庭環境の変化など、新たな児童虐待の兆候や状況の変化等を把握したと
きは、定期的な情報提供の期日を待つことなく、適宜適切に熊本市に情報提供又は通告す
ること。
6
提供の開始
情報の提供は、平成24年1月在籍分から開始する。
4
5
熊本市要保護児童対策地域協議会要綱
制定 平成18年 5月28日市長決裁
改正 平成19年 5月10日市長決裁
平成19年 8月15日市長決裁
平成20年 4月 1日市長決裁
平成21年 4月 1日市長決裁
平成22年 5月14日市長決裁
平成24年 3月30日市長決裁
平成24年 4月 1日健康福祉子ども局長決裁
平成25年 4月 1日子ども支援課長決裁
平成25年 9月 1日子ども支援課長決裁
平成26年 4月 1日子ども支援課長決裁
平成26年 9月22日健康福祉子ども局長決裁
平成27年 3月27日健康福祉子ども局長決裁
(目的)
第1条 本市における要保護児童(児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。
)第6条の3第
8項に規定する要保護児童をいう。以下同じ。
)の早期発見やその適切な保護又は要支援児童(同条第5項に規
定する要支援児童をいう。以下同じ。
)若しくは特定妊婦(同項に規定する特定妊婦をいう。以下同じ。
)への
適切な支援を図るために、
関係機関によるネットワークを構築し、
当該児童等に関する情報や考え方を共有し、
適切な連携の下で対応していくことを目的として、法第25条の2第1項の規定に基づき、熊本市要保護児童
対策地域協議会(以下「協議会」という。
)を設置することとし、その組織及び運営に関し、必要な事項を定め
るものとする。
(業務)
第2条 協議会は、法第25条の2第2項で規定する、要保護児童若しくは要支援児童及びその保護者又は特定
妊婦(以下「要保護児童等」という。
)に関する情報その他要保護児童等の適切な保護又は支援を図るために必
要な情報並びに児童虐待及び非行を防止するために必要な情報の交換を行うとともに、要保護児童等に対する
支援の内容に関する協議を行う。
(構成機関等)
第3条 協議会は、別表第1に掲げる行政機関、別表第2に掲げる法人及び別表第3に掲げる児童福祉に関連す
る職務に従事する者その他の関係者をもって構成する。
(守秘義務)
第4条 協議会の構成員は、正当な理由がなく協議会の職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。その
職を退いた後も同様とする。
(会長及び副会長)
第5条 協議会に、会長及び副会長を置く。
2 会長は、健康福祉子ども局長をもって充て、副会長は、会長が指名する。
3 会長は、協議会の事務を総理し、協議会を代表する。
4 副会長は、会長を補佐し、会長に事故のあるとき又は会長が欠けたときは、会長の職務を代理する。
(組織)
第6条 協議会は、代表者会議、区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)
、区進行管理会議及び個別ケース検討会
議によって組織する。
2 協議会に、専門部会を置くことができる。
(代表者会議)
第7条 代表者会議は、協議会の構成機関等の代表者により構成し、要保護児童等への支援活動が円滑に機能す
るよう環境整備を行うため、次の各号に掲げる事項について協議する。
(1) 要保護児童等とその支援に関するシステム全体に関すること。
(2) 協議会の年間活動方針に関すること。
6
(3) 協議会の活動の評価に関すること。
(4) 前3号に掲げるもののほか、協議会の設置目的を達成するために必要なこと。
2 代表者会議は、原則として年 1 回以上開催するものとする。
3 代表者会議は、会長が必要に応じて招集し、会長がその議長になる。
4 代表者会議において個別の事項について協議が必要と認められる場合は、会長は構成機関のうち当該事項の
関係機関を招集することができる。
5 代表者会議の事務局を子ども支援課に置き、この会議に係る事務については、子ども支援課が処理するもの
とする。
(区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)
)
第8条 区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)は、別表第1から別表第3までの構成機関等に属する者(各区
保健子ども課長が指名する者に限る)のうち、それぞれの長が指名する者をもって各区で構成し、次の各号に
掲げる事項について協議する。
(1) 定例的な情報交換やケース支援で課題となった点の更なる検討に関すること。
(2) 要保護児童等の実態把握や支援を行っているケースの総合的な把握に関すること。
(3) 要保護児童等に係る対策を推進するための啓発活動に関すること。
(4) 各区の年間活動方針の策定、代表者会議への報告に関すること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、協議会の目的を達成するために必要なこと。
2 区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)に、議長及び副議長を置く。
3 議長は、保健子ども課長をもって充て、副議長は議長が指名する。
4 議長は、区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)を主宰する。
5 副議長は、議長を補佐し、議長に事故があるとき又は議長が欠けたときは、議長の職務を代理する。
6 区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)は、年1回以上開催するものとする。
7 区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)の事務局を各区保健子ども課に置き、この会議に係る事務について
は、各区保健子ども課が処理するものとする。なお会議結果を子ども支援課に報告するものとする。
(区進行管理会議)
第9条 区進行管理会議は、別表 1 に定める構成機関等に属する者(各区保健子ども課長が指名する者に限る)
のうち、それぞれの長が指名する者をもって構成し、次の各号に掲げる事項について協議する。
(1) 全てのケースについての定期的な状況のフォロー、主担当機関及び関係機関の確認及び援助方針の見直し
等に関すること。
(2) 定例的な情報交換や個別ケース検討会議で課題となった点の更なる検討に関すること。
2 区進行管理会議の事務局を各区保健子ども課に置き、この会議に係る事務については、各区保健子ども課が
処理するものとする。
(個別ケース検討会議)
第10条 個別ケース検討会議は、個別の要保護児童等について、その児童に直接関わりを有している担当者及
び今後関わりを有する可能性がある関係機関等の担当者により構成し、当該児童に対する具体的な支援の内容
等を検討するため、次の各号に掲げる事項について協議する。
(1) 関係機関が現に対応している虐待事例についての危険度や緊急度の判断に関すること。
(2) 要保護児童等の状況の把握や問題点の確認に関すること。
(3) 支援の経過報告及びその評価、新たな情報の共有に関すること。
(4) 援助方針の確立と役割分担の決定及びその認識の共有に関すること。
(5) 個別の要保護児童等ケースの主担当機関とキーパーソン(主たる援助者)の決定に関すること。
(6) 実際の援助、支援方法及び支援スケジュール(支援計画)の検討に関すること。
(7) 次回会議(評価及び検討)の確認に関すること。
2 個別ケース検討会議は、必要に応じて開催し、主担当機関がケース検討に必要な諸関係機関を招集する。
3 個別ケース検討会議に、議長を置く。
4 議長は、主担当機関の長が指名する者をもって充てる。
(専門部会)
第11条 専門部会は、個別の事項について専門的に審議するために設置する。
7
2 専門部会の構成員は、個別の事項を審議するための高い専門性を有する者とし、市長が委嘱する。
3 専門部会の構成員の任期は、3年以内とする。ただし、市長が特に必要であると認めるときは、再任を妨げ
ない。
4 専門部会は、会長が必要に応じて招集する。
5 専門部会に、部会長及び部会長代理を置く。
6 部会長及び部会長代理は、会長が指名する。
7 部会長は、部会を代表し、会の議長を務める。
8 部会長代理は、部会長に事故のあるとき又は部会長が欠けたときは、部会長の職務を代理する。
(要保護児童対策調整機関の指定)
第12条 市長は、法第25条の2第4項の規定により、健康福祉子ども局子ども支援課を要保護児童対策調整
機関として指定する。
(要保護児童対策調整機関及び事務局の業務)
第13条 法第25条の2第5項に規定する要保護児童対策調整機関の業務は、おおむね次に掲げるとおりとす
る。
(1) 協議会に関する事務の総括
(2) 要保護児童等に対する支援の実施状況の把握及び関係機関等との連絡調整
2 前項各号に掲げる業務のうち区児童虐待防止連絡会議(実務者会議)
、区進行管理会議及び個別ケース検討会
議にかかる調整機関としての業務については、各区保健子ども課が子ども支援課の委任を受けて実施するもの
とする。
(関係機関等への協力要請)
第14条 協議会が協議会の構成員以外の者に対して法第25条の3に規定する協力要請を行う場合にあっては、
協議会は、要保護児童等の個人情報の保護に配慮しなければならない。
(その他)
第15条 この要綱に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、会長が代表者会議に諮っ
て別に定める。
附 則
1 この要綱は、平成18年6月22日から施行する。
2 熊本市児童虐待防止ネットワーク連絡会設置要綱(平成12年10月制定)及び熊本市児童虐待防止ネット
ワーク連絡会実務者会議運営要領(平成12年12月制定)は、廃止する。
附 則
この要綱は、平成19年5月17日から施行する。
附 則
この要綱は、平成19年8月15日から施行する。
附 則
この要綱は、平成20年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成21年5月25日から施行する。
附 則
この要綱は、平成22年5月25日から施行する。
附 則
この要綱は、平成24年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成24年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成25年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成25年9月1日から施行する。
附 則
8
この要綱は、平成26年4月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成26年10月1日から施行する。
附 則
この要綱は、平成27年4月1日から施行する。
別表第1(第3条関係)
国又は地方公共団体の機関(児童福祉法第25条の5第1号)
・ 熊本地方法務局
・ 熊本北警察署
・ 熊本南警察署
・ 熊本東警察署
・ 山鹿警察署
・ 宇城警察署
・ 健康福祉子ども局健康福祉政策課
・ 健康福祉子ども局保護管理援護課
・ 健康福祉子ども局障がい保健福祉課
・ 健康福祉子ども局子ども発達支援センター
・ 健康福祉子ども局障がい者福祉相談所
・ 健康福祉子ども局こころの健康センター
・ 健康福祉子ども局青少年育成課
・ 健康福祉子ども局児童相談所
・ 健康福祉子ども局保育幼稚園課
・ 中央区
・ 東区
・ 西区
・ 南区
・ 北区
・ 教育委員会事務局学務課
・ 教育委員会事務局総合支援課
・ 教育委員会事務局指導課
・ 教育委員会事務局健康教育課
・ 教育委員会事務局人権教育指導室
・ 市消防局
・ 健康福祉子ども局子ども支援課(調整機関)
9
別表第2(第3条関係)
法 人(児童福祉法第25条の5第2号)
・ 国立大学法人熊本大学大学院生命科学研究部
・ 熊本県弁護士会
・ 公益社団法人熊本県精神科協会
・ 一般社団法人熊本市医師会
・ 一般社団法人熊本市歯科医師会
・ 一般社団法人熊本市保育園連盟
・ 特定非営利活動(NPO)法人くまもと子どもの人権テーブル
別表第3(第3条関係)
児童の福祉に関連する職務に従事する者その他の関係者(児童福祉法第25条の5第3号)
・ 熊本人権擁護委員協議会会長及びその他の役職員
・ 熊本県臨床心理士会会長及びその他の役職員
・ 熊本県養護協議会会長及びその他の役職員
・ 熊本県里親協議会会長及びその他の役職員
・ 熊本県母子生活支援施設協議会会長及びその他の役職員
・ 熊本市民生委員児童委員協議会会長及びその他の役職員
・ 熊本市小学校生徒指導協議会会長及びその他の役職員
・ 熊本市中学校生徒指導委員会会長及びその他の役職員
・ 熊本市高等学校生活指導連盟代表及びその他の役職員
・ 熊本市私立幼稚園協会会長及びその他の役職員
・ 子どもの虐待防止コンサルテーションチーム・くまもと代表者及びその他の役職員
・ ほっぷ・すてっぷ・CAPくまもと代表者及びその他の役職員
・ その他市長が指定する者
10
オレンジリボンを知っていますか?
オレンジリボンは、児童虐待防止のシンボルマークです。
オレンジ色は、里親家庭で育った子どもたちが、「子どもたちの
明るい未来を示す色」として選んだといわれています。オレンジリ
ボンには、子どもの虐待の現状を広く知らせ、子どもの虐待を防止
し、全ての子どもたちが幸福になれるようにという気持ちが込めら
れています。
子どもたちの笑顔を守るため、私たちに何ができるか、考えてみ
ませんか。
◆熊本市では、11 月の児童虐待防止推進月間を中心にオレンジリボンキャン
ペーンを展開しております。皆様もご協力をお願いいたします。
熊本市児童虐待防止ハンドブック
平成27年
3月
熊本市健康福祉子ども局
子ども支援課
熊本市中央区手取本町1番1号
TEL:096-328-2158
FAX:096-351-2183
《相談・通告機関の所在地・連絡先》
相談・通告窓口
管轄地区(小学校区)
中央区保健子ども課
壺川・碩台・白川・城東・慶徳・一
中央区手取本町1-1
新・五福・向山・黒髪・大江・本荘・
(熊本市役所本庁舎3階)
春竹・出水・砂取・託麻原・帯山・
電話番号
328-2421
白山・帯山西・出水南
東
区保健子ども課
画図・健軍・秋津・泉ヶ丘・若葉・ 367-9130
東区東本町16-30
尾ノ上・西原・託麻東・託麻西・託
(東区役所3階)
麻北・桜木・東町・月出・健軍東・
託麻南・山ノ内・長嶺・桜木東
西
区保健子ども課
古町・春日・城西・花園・池田・白
西区小島2-7-1
坪・高橋・池上・城山・松尾東・松
(西区役所3階)
尾西・松尾北・小島・中島・芳野・
329-6838
河内
南
区保健子ども課
田迎・田迎西・田迎南・日吉・日吉
南区富合町清藤405-3
東・御幸・川尻・城南・力合・力合
(南区役所3階)
西・飽田東・飽田南・飽田西・中緑・
357-4135
銭塘・奥古閑・川口・富合・杉上・
隈庄・豊田
北
区保健子ども課
清水・龍田・城北・高平台・楠・麻
北区植木町岩野238-1
生田・武蔵・弓削・楡木・川上・西
(北区役所1階)
里・北部東・植木・山本・田原・菱
272-1104
形・桜井・山東・吉松・田底
熊本市児童相談所
366-8181
中央区大江5-1-50
(あいぱるくまもと3階)
◆業務時間/平日:午前8時 30 分~午後5時15分
 緊急・夜間・休日の通告は「児童相談所」へ
 昼夜を問わず、子どもの生命に危険が生じる状況が予想される場合には、
まず警察(110 番)に連絡し、子どもの安全を確保してください。
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