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JP 2012-511329 A 2012.5.24 (57)【要約】

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JP 2012-511329 A 2012.5.24 (57)【要約】
JP 2012-511329 A 2012.5.24
(57)【要約】
本願は、抗PD−L1抗体、同をコードする核酸、その
治療的組成物、およびT細胞機能を増強し、細胞媒介性
免疫応答をアップレギュレーションするためおよびT細
胞機能障害性障害(感染(例、急性および慢性)および
腫瘍免疫を含む)の処置のためのその使用に関する。
(2)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HVR−H1、HVR−H2、およびHVR−H3配列を含む単離された重鎖可変領域
ポリペプチドであって、それにおいて:
(a)HVR−H1配列がGFTFSX1SWIH(配列番号1)であり;
(b)HVR−H2配列がAWIX2PYGGSX3YYADSVKG(配列番号2)で
あり;
(c)HVR−H3配列がRHWPGGFDY(配列番号3)であり;
さらにそれにおいて:X1がDまたはGであり;X2がSまたはLであり;X3がTまた
はSである、重鎖可変領域ポリペプチド。
10
【請求項2】
X1がDであり;X2がSであり、X3がTである、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
式:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(
HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)の、HVRの間に並置された重鎖
可変領域フレームワーク配列をさらに含む、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項4】
フレームワーク配列が、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する、請求項3記
載のポリペプチド。
【請求項5】
20
フレームワーク配列が、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークである、
請求項4記載のポリペプチド。
【請求項6】
フレームワーク配列の1つまたは複数が、以下:
HC−FR1がEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号4)で
あり;
HC−FR2がWVRQAPGKGLEWV(配列番号5)であり;
HC−FR3がRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(
配列番号6)であり;
HC−FR4がWGQGTLVTVSA(配列番号7)である
30
である、請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
HVR−L1、HVR−L2、およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域と組み合わせた
請求項1記載の単離された重鎖ポリペプチドであって、ここで
(a)HVR−L1配列がRASQX4X5X6TX7X8A(配列番号8)であり;
(b)HVR−L2配列がSASX9LX10S(配列番号9)であり;
(c)HVR−L3配列がQQX11X12X13X14PX15T(配列番号10)で
あり;さらに、それにおいて:X4がDまたはVであり;X5がVまたはIであり;X6
がSまたはNであり;X7がAまたはFであり;X8がVまたはLであり;X9がFまた
はTであり;X10がYまたはAであり;X11がY、G、F、またはSであり;X12
40
がL、Y、FまたはWであり;X13がY、N、A、T、G、FまたはIであり;X14
がH、V、P、TまたはIであり;X15がA、W、R、PまたはTである、重鎖ポリペ
プチド。
【請求項8】
X4がDであり;X5がVであり;X6がSであり;X7がAであり;X8がVであり
;X9がFであり;X10がYであり;X11がYであり;X12がLであり;X13が
Yであり;X14がHであり;X15がAである、請求項7記載のポリペプチド。
【請求項9】
さらに、以下の式:(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HV
R−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)の、HVRの間に
50
(3)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
並置された軽鎖可変領域フレームワーク配列を含む、請求項7記載のポリペプチド。
【請求項10】
フレームワーク配列が、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する、請求項9記
載のポリペプチド。
【請求項11】
フレームワーク配列が、VLカッパIコンセンサスフレームワークである、請求項10
記載のポリペプチド。
【請求項12】
フレームワーク配列の1つまたは複数が、以下:
LC−FR1がDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11)であ
10
り;
LC−FR2がWYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)であり;
LC−FR3がGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(
配列番号13)であり;
LC−FR4がFGQGTKVEIKR(配列番号14)である
である、請求項11記載のポリペプチド。
【請求項13】
重鎖および軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD−L1抗体または抗原結合性フラ
グメントであって、それにおいて:
(a)重鎖がHVR−H1、HVR−H2、およびHVR−H3を含み、それにおいて、
20
さらに:
(i)HVR−H1配列がGFTFSX1SWIH(配列番号1)であり;
(ii)HVR−H2配列がAWIX2PYGGSX3YYADSVKG(配列番号2)
であり;
(iii)HVR−H3配列がRHWPGGFDY(配列番号3)であり;そして
(b)軽鎖がHVR−L1、HVR−L2、およびHVR−L3を含み、それにおいて、
さらに:
(iv)HVR−L1配列がRASQX4X5X6TX7X8A(配列番号8)であり;
(v)HVR−L2配列がSASX9LX10S(配列番号9)であり;および
(vi)HVR−L3配列がQQX11X12X13X14PX15T(配列番号10)
30
であり、
それにおいて:X1がDまたはGであり;X2がSまたはLであり;X3がTまたはSで
あり;X4がDまたはVであってもよく;X5がVまたはIであってもよく;X6がSま
たはNであってもよく;X7がAまたはFであってもよく;X8がVまたはLであっても
よく;X9がFまたはTであってもよく;X10がYまたはAであってもよく;X11が
Y、G、F、またはSであってもよく;X12がL、Y、FまたはWであってもよく;X
13がY、N、A、T、G、FまたはIであってもよく;X14がH、V、P、Tまたは
Iであってもよく;X15がA、W、R、PまたはTであってもよい
である、抗PD−L1抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項14】
40
X1がDであり;X2がSであり、X3がTである、請求項13記載の抗体または抗体
フラグメント。
【請求項15】
X4=D、X5=V、X6=S、X7=AおよびX8=V、X9=F、およびX10=
Y、X11=Y、X12=L、X13=Y、X14=HおよびX15=Aである、請求項
13記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項16】
X1=D、X2=SおよびX3=T、X4=D、X5=V、X6=S、X7=Aおよび
X8=V、X9=F、およびX10=Y、X11=Y、X12=L、X13=Y、X14
=HおよびX15=Aである、請求項13記載の抗体または抗体フラグメント。
50
(4)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
【請求項17】
(a)式:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2
)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)の、HVRの間に並置され
た重鎖可変領域フレームワーク配列、および
(b)式:(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)
−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のHVRの間に並置された軽
鎖可変領域フレームワーク配列
をさらに含む、請求項13∼16いずれか1項記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項18】
フレームワーク配列が、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する、請求項17
10
記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項19】
重鎖可変領域フレームワーク配列が、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワ
ークである、請求項18記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項20】
フレームワーク配列の1つまたは複数が、以下:
HC−FR1がEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号4)で
あり;
HC−FR2がWVRQAPGKGLEWV(配列番号5)であり;
HC−FR3がRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(
20
配列番号6)であり;
HC−FR4がWGQGTLVTVSA(配列番号7)である
である、請求項19記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項21】
軽鎖可変領域フレームワーク配列が、VLカッパIコンセンサスフレームワークである
、請求項18記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項22】
フレームワーク配列の1つまたは複数が、以下:
LC−FR1がDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11)であ
り;
30
LC−FR2がWYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)であり;
LC−FR3がGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(
配列番号13)であり;そして
LC−FR4がFGQGTKVEIKR(配列番号14)である
である、請求項21記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項23】
(a)可変重鎖フレームワーク配列が以下:
(i)HC−FR1がEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号
4)であり;
(ii)HC−FR2がWVRQAPGKGLEWV(配列番号5)であり;
40
(iii)HC−FR3がRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVY
YCAR(配列番号6)であり;
(iv)HC−FR4がWGQGTLVTVSA(配列番号7)であり;そして
(b)可変軽鎖フレームワーク配列が以下:
(i)LC−FR1がDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11
)であり;
(ii)LC−FR2がWYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)であり;
(iii)LC−FR3がGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFA
TYYC(配列番号13)であり;
(iv)LC−FR4がFGQGTKVEIKR(配列番号14)である
50
(5)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
である、請求項18記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項24】
ヒト定常領域をさらに含む、請求項23記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項25】
定常領域が、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4からなる群より選択され
る、請求項24記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項26】
定常領域が、IgG1である、請求項25記載の抗体フラグメントの抗体。
【請求項27】
マウス定常領域をさらに含む、請求項23記載の抗体または抗体フラグメント。
10
【請求項28】
定常領域が、IgG1、IgG2A、IgG2B、およびIgG3からなる群より選択
される、請求項27記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項29】
定常領域が、IgG2Aである、請求項28記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項30】
低下したまたは最小のエフェクター機能を有する、請求項25または28記載の抗体ま
たは抗体フラグメント。
【請求項31】
最小のエフェクター機能が、エフェクターなしFc突然変異に起因する、請求項30記
20
載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項32】
エフェクターなしFc突然変異が、N297Aである、請求項31記載の抗体または抗
体フラグメント。
【請求項33】
エフェクターなしFc突然変異が、D265A/N297Aである、請求項31記載の
抗体または抗体フラグメント。
【請求項34】
最小のエフェクター機能が、非糖鎖化に起因する、請求項30記載の抗体または抗体フ
ラグメント。
30
【請求項35】
重鎖および軽鎖可変領域配列を含む抗体または抗原結合性フラグメントであって、それ
において:
(a)重鎖が、GFTFSDSWIH(配列番号15)、AWISPYGGSTYYAD
SVKG(配列番号16)、およびRHWPGGFDY(配列番号3)と少なくとも85
%の全配列同一性をそれぞれ有するHVR−H1、HVR−H2、およびHVR−H3配
列を含み、そして
(b)軽鎖が、RASQDVSTAVA(配列番号17)、SASFLYS(配列番号1
8)、およびQQYLYHPAT(配列番号19)と少なくとも85%の全配列同一性を
それぞれ有するHVR−L1、HVR−L2、およびHVR−L3配列を含む
40
抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項36】
配列同一性が少なくとも90%である、請求項35記載の抗体または抗体フラグメント
。
【請求項37】
(a)式:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2
)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)のHVRの間に並置された
重鎖可変領域(VH)フレームワーク配列、および
(b)式:(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)
−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のHVRの間に並置された軽
50
(6)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
鎖可変領域(VL)フレームワーク配列
をさらに含む、請求項36記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項38】
ヒトコンセンサス配列に由来するVHおよびVLフレームワーク領域をさらに含む、請
求項37記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項39】
VHフレームワーク配列が、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由
来する、請求項38記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項40】
VHフレームワーク配列が、KabatサブグループIIIコンセンサスフレームワー
10
ク配列である、請求項39記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項41】
VHフレームワーク配列が、以下:
HC−FR1がEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号4)で
あり;
HC−FR2がWVRQAPGKGLEWV(配列番号5)であり;
HC−FR3がRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(
配列番号6)であり;
HC−FR4がWGQGTLVTVSA(配列番号7)である
である、請求項40記載の抗体または抗体フラグメント。
20
【請求項42】
VLフレームワーク配列が、KabatカッパI、II、III、またはIVサブグル
ープ配列に由来する、請求項38記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項43】
VLフレームワーク配列が、KabatカッパIコンセンサスフレームワーク配列であ
る、請求項42記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項44】
VLフレームワーク配列が以下:
LC−FR1がDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11)であ
り;
30
LC−FR2がWYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)であり;
LC−FR3がGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(
配列番号13)であり;
LC−FR4がFGQGTKVEIKR(配列番号14)である
である、請求項43記載の抗体または抗体フラグメント。
【請求項45】
重鎖および軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD−L1抗体または抗原結合性フラ
グメントであって、それにおいて:
(a)重鎖が、以下:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQA
40
PGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAY
LQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSA(配
列番号20)の重鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有し、そして
(b)軽鎖が、以下:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKP
GKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQP
EDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号21)の軽鎖配
列と少なくとも85%の配列同一性を有する
抗PD−L1抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項46】
50
(7)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
配列同一性が少なくとも90%である、請求項45記載の抗体または抗原結合性フラグ
メント。
【請求項47】
重鎖および軽鎖可変領域配列を含む単離された抗PD−L1抗体または抗原結合性フラ
グメントであって、それにおいて:
(a)重鎖が以下:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQA
PGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAY
LQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSA(配
列番号20)の配列を含み、そして
10
(b)軽鎖が以下:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKP
GKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQP
EDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号21)の配列を
含む
抗PD−L1抗体または抗原結合性フラグメント。
【請求項48】
請求項13∼47のいずれか1項記載の抗PD−L1抗体または抗原結合性フラグメン
トおよび少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を含む組成物。
【請求項49】
20
請求項1∼11のいずれか一項記載のポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項50】
抗PD−L1抗体または抗原結合性フラグメントの軽鎖または重鎖可変配列をコードす
る単離された核酸であって、それにおいて:
(a)重鎖が、さらに、GFTFSDSWIH(配列番号15)、AWISPYGGST
YYADSVKG(配列番号16)、およびRHWPGGFDY(配列番号3)と少なく
とも85%の配列同一性をそれぞれ有するHVR−H1、HVR−H2、およびHVR−
H3配列を含み、または
(b)軽鎖が、さらに、RASQDVSTAVA(配列番号17)、SASFLYS(配
列番号18)、およびQQYLYHPAT(配列番号19)と少なくとも85%の配列同
30
一性をそれぞれ有するHVR−L1、HVR−L2、およびHVR−L3配列を含む、単
離された核酸。
【請求項51】
配列同一性が90%である、請求項50記載の核酸。
【請求項52】
抗PD−L1抗体が、さらに、ヒトコンセンサス配列に由来するVLおよびVHフレー
ムワーク領域を含む、請求項50記載の核酸。
【請求項53】
VH配列が、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来する、請求項
52記載の核酸。
40
【請求項54】
VL配列が、KabatカッパI、II、III、またはIVサブグループ配列に由来
する、請求項52記載の核酸。
【請求項55】
抗PD−L1抗体が、マウス抗体に由来する定常領域を含む、請求項50記載の核酸。
【請求項56】
抗PD−L1抗体がヒト抗体に由来する定常領域を含む、請求項50記載の核酸。
【請求項57】
定常領域が、IgG1である、請求項56記載の核酸。
【請求項58】
50
(8)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
低下したまたは最小のエフェクター機能を有する、請求項57記載の核酸。
【請求項59】
最小のエフェクター機能が、エフェクターなしFc突然変異に起因する、請求項58記
載の核酸。
【請求項60】
エフェクターなしFc突然変異が、N297Aである、請求項59記載の核酸。
【請求項61】
請求項49∼60のいずれか1項記載の核酸を含むベクター。
【請求項62】
請求項61記載のベクターを含む宿主細胞。
10
【請求項63】
真核生物である請求項62記載の宿主細胞。
【請求項64】
哺乳動物である請求項63記載の宿主細胞。
【請求項65】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である請求項64記載の宿主細胞。
【請求項66】
原核生物である請求項62記載の宿主細胞。
【請求項67】
E.coliである請求項66記載の宿主細胞。
20
【請求項68】
請求項62∼67のいずれか1項記載の宿主細胞を、抗PD−L1抗体または抗原結合
性フラグメントをコードするベクターの発現のために適した条件下で培養すること、およ
びその抗体またはフラグメントを回収することを含む、抗PD−L1抗体を作製するため
のプロセス。
【請求項69】
請求項48記載の組成物および少なくとも1つのBNCA分子を含む、製造品。
【請求項70】
請求項48記載の組成物および少なくとも1つの化学療法剤を含む、製造品。
【請求項71】
30
化学療法剤が、ゲムシタビンである、請求項70記載の製造品。
【請求項72】
請求項48記載の組成物およびポジティブな同時刺激分子に対する少なくとも1つのア
ゴニストを含む、製造品。
【請求項73】
BNCAアンタゴニストをさらに含む、請求項72記載の製造品。
【請求項74】
請求項48記載の組成物および少なくとも1つの抗生物質を含む、製造品。
【請求項75】
抗生物質が、抗ウイルス薬剤である、請求項74記載の製造品。
40
【請求項76】
抗ウイルス薬剤が、逆転写酵素阻害剤である、請求項75記載の製造品。
【請求項77】
逆転写酵素阻害剤が、ポリメラーゼ阻害剤である、請求項76記載の製造品。
【請求項78】
抗ウイルス薬剤が、プロテアーゼ阻害剤である、請求項75記載の製造品。
【請求項79】
請求項48記載の組成物および少なくとも1つのワクチンを含む、製造品。
【請求項80】
機能障害性T細胞に対する有効量の請求項48記載の組成物の投与を含む、T細胞機能
50
(9)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
を増強する方法。
【請求項81】
T細胞機能障害性障害に苦しむ患者に対して治療的有効量の請求項48記載の組成物を
投与することを含む、T細胞機能障害性障害を処置する方法。
【請求項82】
T細胞機能障害性障害が、感染である、請求項81記載の方法。
【請求項83】
感染が、慢性的である、請求項82記載の方法。
【請求項84】
T細胞機能障害性障害が、腫瘍免疫である、請求項81記載の方法。
10
【請求項85】
慢性感染が、持続的である、請求項83記載の方法。
【請求項86】
慢性感染が、潜在的である、請求項83記載の方法。
【請求項87】
慢性感染が、緩徐である、請求項83記載の方法。
【請求項88】
感染が、細菌、ウイルス、真菌、および原虫からなる群より選択される病原体に起因す
る、請求項82記載の方法。
【請求項89】
20
病原体が、細菌であり、方法が、さらに抗菌薬剤の投与を含む、請求項88記載の方法
。
【請求項90】
病原体が、ウイルスであり、方法が、さらに抗ウイルス薬剤の投与を含む、請求項88
記載の方法。
【請求項91】
病原体が、真菌であり、方法が、さらに抗真菌薬剤の投与を含む、請求項88記載の方
法。
【請求項92】
病原体が、原虫であり、方法が、さらに抗原虫薬剤の投与を含む、請求項88記載の方
30
法。
【請求項93】
ワクチンの投与をさらに含む、請求項88記載の方法。
【請求項94】
方法が、放射線治療、化学療法、標的治療、免疫療法、ホルモン治療、血管新生阻害、
および緩和ケアからなる群より選択される処置計画の適用をさらに含む、請求項84記載
の方法。
【請求項95】
腫瘍免疫が、乳房、肺、結腸、卵巣、メラノーマ、膀胱、腎臓、肝臓、唾液、胃、神経膠
腫、甲状腺、胸腺、上皮、頭頚部の癌、胃癌、および膵臓癌からなる群より選択される癌
40
に起因する、請求項84記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年12月9日に出願された米国仮出願第61/121092号の35
USC 119(e)の下で優先権の利益を主張し、その開示が参照によりその全体が
本明細書に組み入れられる。
【0002】
発明の属する技術分野
50
(10)
JP 2012-511329 A 2012.5.24
本発明は、一般的に、免疫機能およびT細胞機能を増強すること(細胞媒介性免疫応答
のアップレギュレーションを含む)およびT細胞機能障害性障害の処置に関する。
【0003】
発明の背景
T細胞に対する同時刺激または2つの別々のシグナルの提供は、抗原提示細胞(APC
)による休止Tリンパ球のリンパ球活性化の広く受け入れられたモデルである。Lafferty
et al., Aust. J. Exp. Biol. Med. Sci. 53: 27-42 (1975)。このモデルは、さらに、
非自己から自己の識別および免疫寛容を提供する。Bretscher et al., Science 169: 104
2-1049 (1970); Bretscher, P. A., P. N. A. S. USA 96: 185-190 (1999); Jenkins et
al., J. Exp. Med. 165: 302-319 (1987)。一次シグナル、または抗原特異的シグナルが
10
、主要組織適合複合体(MHC)に関連して提示される外来抗原ペプチドの認識に続いて
T細胞受容体(TCR)を通じて伝達される。二次または同時刺激シグナルが、抗原提示
細胞(APC)上で発現される同時刺激分子によりT細胞に送達され、T細胞のクローン
増殖、サイトカイン分泌物、およびエフェクター機能の促進を誘導する。Lenschow et al
., Ann. Rev. Immunol. 14: 233 (1996)。同時刺激の非存在において、T細胞は抗原刺激
に抵抗性になりうる、効果的な免疫応答を開始しない、さらに外来抗原に対する消耗また
は寛容を招きうる。
【0004】
簡単な2シグナルモデルは過度の単純化でありうる。なぜなら、TCRシグナルの強度
は、実際に、T細胞の活性化および分化に対して量的な影響を与えるからである。Viola
20
et al., Science 273: 104-106 (1996); Sloan-Lancaster, Nature 363: 156-159 (1993)
。さらに、T細胞活性化が、TCRシグナル強度が高い場合、同時刺激シグナルの非存在
においてでさえ生じうる。より重要なことには、T細胞が、ポジティブおよびネガティブ
の両方の二次同時刺激シグナルを受ける。そのようなポジティブおよびネガティブのシグ
ナルの調節は、免疫寛容を保持し、自己免疫を予防しながら、宿主の保護免疫応答を最大
限にするために決定的である。
ネガティブの二次シグナルがT細胞寛容の誘導のために必要と思われ、一方ではポジテ
ィブのシグナルがT細胞活性化を促進する。簡単な2シグナルモデルが依然としてナイー
ブリンパ球についての妥当な説明を提供する一方で、宿主の免疫応答は動的なプロセスで
あり、同時刺激シグナルは抗原に暴露されたT細胞に対しても提供されうる。
30
【0005】
同時刺激の機構は、治療上の興味である。なぜなら、同時刺激シグナルの操作が、細胞
ベースの免疫応答を増強または終結させるための手段を提供することが示されているから
である。最近、T細胞機能障害またはアネルギーが、阻害的受容体、プログラム死1ポリ
ペプチド(PD−1)の発現誘導および持続と同時に生じることが発見されている。結果
として、PD−1およびPD−1との相互作用を通じてシグナル伝達する他の分子、例え
ばプログラム死リガンド1(PD−L1)およびプログラム死リガンド2(PD−L2)
などを治療的に標的化することが、強い興味の分野である。PD−L1シグナル伝達の阻
害は、癌(例、腫瘍免疫)および感染(急性および慢性(例、持続的)感染を含む)の処
置のためにT細胞免疫を増強するための手段として提案されている。しかし、この経路に
40
おける標的に対する最適な治療法が、まだ商業化されていないため、有意なまだ対処され
ていない医療ニーズが、存在する。
【0006】
発明の概要
本発明は、抗PD−L1抗体(そのような抗体をコードする核酸およびそのような抗体
を含む組成物を含む)、および細胞媒介性免疫応答をアップレギュレーションするために
T細胞機能を増強させるためのそれらの使用およびT細胞機能障害性障害(感染(例、急
性および慢性)および腫瘍免疫を含む)の処置を提供する。
【0007】
一実施態様において、本発明は、HVR−H1、HVR−H2、およびHVR−H3配
50
(11)
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列を含む単離された重鎖可変領域ポリペプチドを提供し、それにおいて:
(a)HVR−H1配列がGFTFSX1SWIH(配列番号1)であり;
(b)HVR−H2配列がAWIX2PYGGSX3YYADSVKG(配列番号2)で
あり;
(c)HVR−H3配列がRHWPGGFDY(配列番号3)であり;
さらに、それにおいて:X1がDまたはGであり;X2がSまたはLであり;X3がTま
たはSである。1つの特定の局面において、X1がDであり;X2がSであり、およびX
3がTである。別の局面において、ポリペプチドは、さらに、以下の式のHVRの間に並
置された重鎖可変領域フレームワーク配列:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(H
C−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR
10
4)を含む。さらに別の局面において、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレー
ムワーク配列に由来する。さらなる局面において、フレームワーク配列は、VHサブグル
ープIIIコンセンサスフレームワークである。さらなる局面において、フレームワーク
配列の少なくとも1つは以下:
HC−FR1はEVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号4)で
あり;
HC−FR2はWVRQAPGKGLEWV(配列番号5)であり;
HC−FR3はRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(
配列番号6)であり;
HC−FR4はWGQGTLVTVSA(配列番号7)
20
である。
さらなる局面において、重鎖ポリペプチドは、さらに、HVR−L1、HVR−L2、
およびHVR−L3を含む軽鎖可変領域と組み合わされ、それにおいて:
(a)HVR−L1配列はRASQX4X5X6TX7X8A(配列番号8)であり;
(b)HVR−L2配列はSASX9LX10S(配列番号9)であり;
(c)HVR−L3配列はQQX11X12X13X14PX15T(配列番号10)で
あり;
さらに、それにおいて:X4はDまたはVであり;X5はVまたはIであり;X6はSま
たはNであり;X7はAまたはFであり;X8はVまたはLであり;X9はFまたはTで
あり;X10はYまたはAであり;X11はY、G、F,またはSであり;X12はL、
30
Y、FまたはWであり;X13はY、N、A、T、G、FまたはIであり;X14はH、
V、P、TまたはIであり;X15はA、W、R、PまたはTである。
さらなる局面において、X4はDであり;X5はVであり;X6はSであり;X7はA
であり;X8はVであり;X9はFであり;X10はYであり;X11はYであり;X1
2はLであり;X13はYであり;X14はHであり;X15はAである。さらなる局面
において、軽鎖は、さらに、以下の式のHVRの間に並置された軽鎖可変領域フレームワ
ーク配列:(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)
−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)を含む。さらなる局面におい
て、フレームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる
局面において、フレームワーク配列は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである
40
。さらなる局面において、フレームワーク配列の少なくとも1つは以下:
LC−FR1はDIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11)であ
り;
LC−FR2はWYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)であり;
LC−FR3はGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(
配列番号13)であり;
LC−FR4はFGQGTKVEIKR(配列番号14)
である。
【0008】
別の実施態様において、本発明は、重鎖および軽鎖可変領域配列を含む単離された抗P
50
(12)
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D−L1抗体または抗原結合性フラグメントを提供し、それにおいて:
(a)重鎖は、HVR−H1、HVR−H2、およびHVR−H3を含み、それにおいて
、さらに:
(i)HVR−H1配列はGFTFSX1SWIH(配列番号1)であり;
(ii)HVR−H2配列はAWIX2PYGGSX3YYADSVKG(配列番号2)
であり;
(iii)HVR−H3配列はRHWPGGFDY(配列番号3)であり;そして
(b)軽鎖はHVR−L1、HVR−L2、およびHVR−L3を含み、それにおいて、
さらに:
(i)HVR−L1配列はRASQX4X5X6TX7X8A(配列番号8)であり;
10
(ii)HVR−L2配列はSASX9LX10S(配列番号9)であり;および
(iii)HVR−L3配列はQQX11X12X13X14PX15T(配列番号10
)である。
【0009】
さらに、それにおいて:X1はDまたはGであり;X2はSまたはLであり;X3はT
またはSであり;X4はDまたはVであり;X5はVまたはIであり;X6はSまたはN
であり;X7はAまたはFであり;X8はVまたはLであり;X9はFまたはTであり;
X10はYまたはAであり;X11はY、G、F,またはSであり;X12はL、Y、F
またはWであり;X13はY、N、A、T、G、FまたはIであり;X14はH、V、P
、TまたはIであり;X15はA、W、R、PまたはTである。特定の局面において、X
20
1はDであり;X2はSであり;およびX3はTである。別の局面において、X4はDで
あり;X5はVであり;X6はSであり;X7はAであり;X8はVであり;X9はFで
あり;X10はYであり;X11はYであり;X12はLであり;X13はYであり;X
14はHであり;X15はAである。さらに別の局面において、X1はDであり;X2は
Sであり;およびX3はTであり;X4はDであり;X5はVであり;X6はSであり;
X7はAであり;X8はVであり;X9はFであり;X10はYであり;X11はYであ
り;X12はLであり;X13はYであり;X14はHであり;およびX15はAである
。
【0010】
さらなる局面において、重鎖可変領域は、以下のHVRの間に並置された1つまたは複
30
数のフレームワーク配列:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(
HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)を含み、そし
て軽鎖可変領域は、以下のHVRの間に並置された1つまたは複数のフレームワーク配列
:(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC
−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)を含む。さらなる局面において、フレ
ームワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる局面にお
いて、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由
来する。さらなる局面において、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコ
ンセンサスフレームワークである。さらなる局面において、重鎖フレームワーク配列の1
つまたは複数は以下:
40
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(
配列番号6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSA(配列番号7)
である。
【0011】
さらなる局面において、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II、ま
たはIVサブグループ配列に由来する。さらなる局面において、軽鎖フレームワーク配列
は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらなる局面において、軽鎖フレ
50
(13)
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ームワーク配列の1つまたは複数は、以下:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(
配列番号13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号14)
である。
【0012】
さらなる特定の局面において、抗体はさらに、ヒトまたはマウス定常領域を含む。さら
なる局面において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG
10
4からなる群より選択される。さらなる特定の局面において、ヒト定常領域は、IgG1
である。さらなる局面において、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B
、IgG3からなる群より選択される。さらなる局面において、マウス定常領域は、Ig
G2Aである。さらなる特定の局面において、抗体は、低下したまたは最小のエフェクタ
ー機能を有する。さらなる特定の局面において、最小のエフェクター機能は、「エフェク
ターなし(effector-less)Fc突然変異」または非糖鎖化(aglycosylation)に起因す
る。さらなる実施態様において、エフェクターなしFc突然変異は、定常領域中のN29
7AまたはD265A/N297A置換である。
【0013】
さらに別の実施態様において、本発明は、重鎖および軽鎖可変領域配列を含む抗PD−
20
L1抗体を提供し、それにおいて:
(a)重鎖は、さらに、GFTFSDSWIH(配列番号15)、AWISPYGGST
YYADSVKG(配列番号16)、およびRHWPGGFDY(配列番号3)と少なく
とも85%の配列同一性をそれぞれ有するHVR−H1、HVR−H2、およびHVR−
H3配列を含み、または
(b)軽鎖は、さらに、RASQDVSTAVA(配列番号17)、SASFLYS(配
列番号18)、およびQQYLYHPAT(配列番号19)と少なくとも85%の配列同
一性をそれぞれ有するHVR−L1、HVR−L2、およびHVR−L3配列を含む。
【0014】
特定の局面において、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、9
30
2%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。別の
局面において、重鎖可変領域は、以下のHVRの間に並置された1つまたは複数のフレー
ムワーク配列:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H
2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)を含み、そして軽鎖可変
領域は、以下のHVRの間に並置された1つまたは複数のフレームワーク配列:(LC−
FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)
−(HVR−L3)−(LC−FR4)を含む。さらに別の局面において、フレームワー
ク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる局面において、重
鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来する。
さらなる局面において、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサ
40
スフレームワークである。さらなる局面において、重鎖フレームワーク配列の1つまたは
複数は、以下:
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(
配列番号6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSA(配列番号7)
である。
【0015】
さらなる局面において、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II、ま
50
(14)
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たはIVサブグループ配列に由来する。さらなる局面において、軽鎖フレームワーク配列
は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらなる局面において、軽鎖フレ
ームワーク配列の1つまたは複数は、以下:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(
配列番号13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号14)
である。
【0016】
10
さらなる特定の局面において、抗体はさらに、ヒトまたはマウス定常領域を含む。さら
なる局面において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG
4からなる群より選択される。さらなる特定の局面において、ヒト定常領域は、IgG1
である。さらなる局面において、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B
、IgG3からなる群より選択される。さらなる局面において、マウス定常領域は、Ig
G2Aである。さらなる特定の局面において、抗体は、低下したまたは最小のエフェクタ
ー機能を有する。さらなる特定の局面において、最小のエフェクター機能は「エフェクタ
ーなしFc突然変異」または非糖鎖化に起因する。さらなる実施態様において、エフェク
ターなしFc突然変異は、定常領域中のN297AまたはD265A/N297A置換で
ある。
20
【0017】
さらなる実施態様において、本発明は、重鎖および軽鎖可変領域配列を含む単離された
抗PD−L1抗体を提供し、それにおいて:
(a)重鎖は、以下:
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQA
PGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAY
LQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSA(配
列番号20)の重鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有し、または
(b)軽鎖は、以下:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKP
30
GKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQP
EDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号21)
の軽鎖配列と少なくとも85%の配列同一性を有する。
【0018】
特定の局面において、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、9
2%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。別の
局面において、重鎖可変領域は、、以下のHVRの間に並置された1つまたは複数のフレ
ームワーク配列:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−
H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)を含み、そして軽鎖可
変領域は、、以下のHVRの間に並置された1つまたは複数のフレームワーク配列:(L
40
C−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR
3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)を含む。さらに別の局面において、フレーム
ワーク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる局面において
、重鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来す
る。さらなる局面において、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセ
ンサスフレームワークである。さらなる局面において、重鎖フレームワーク配列の1つま
たは複数は以下:
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(
50
(15)
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配列番号6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSA(配列番号7)
である。
【0019】
さらなる局面において、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II、ま
たはIVサブグループ配列に由来する。さらなる局面において、軽鎖フレームワーク配列
は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらなる局面において、軽鎖フレ
ームワーク配列の1つまたは複数は、以下:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)
10
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(
配列番号13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号14)
である。
【0020】
さらなる特定の局面において、抗体はさらに、ヒトまたはマウス定常領域を含む。さら
なる局面において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG
4からなる群より選択される。さらなる特定の局面において、ヒト定常領域は、IgG1
である。さらなる局面において、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B
、IgG3からなる群より選択される。さらなる局面において、マウス定常領域は、Ig
20
G2Aである。さらなる特定の局面において、抗体は、低下したまたは最小のエフェクタ
ー機能を有する。さらなる特定の局面において、最小のエフェクター機能は、原核細胞に
おける産生に起因する。さらなる特定の局面において、最小のエフェクター機能は、「エ
フェクターなしFc突然変異」または非糖鎖化に起因する。さらなる実施態様において、
エフェクターなしFc突然変異は定常領域中のN297AまたはD265A/N297A
置換である。
【0021】
さらなる実施態様において、本発明は、少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体との
組み合わせで上に記載する抗PD−L1抗体のいずれかを含む組成物を提供する。
【0022】
30
さらなる実施態様において、本発明は、抗PD−L1抗体の軽鎖または重鎖可変領域配
列をコードする単離核酸を提供し、それにおいて:
(a)重鎖は、さらに、GFTFSDSWIH(配列番号15)、AWISPYGGST
YYADSVKG(配列番号16)、およびRHWPGGFDY(配列番号3)と少なく
とも85%の配列同一性をそれぞれ有するHVR−H1、HVR−H2、およびHVR−
H3配列を含み、そして
(b)軽鎖は、さらに、RASQDVSTAVA(配列番号17)、SASFLYS(配
列番号18)、およびQQYLYHPAT(配列番号19)と少なくとも85%の配列同
一性をそれぞれ有するHVR−L1、HVR−L2、およびHVR−L3配列を含む。
【0023】
40
特定の局面において、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、9
2%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%である。局面
において、重鎖可変領域は、、以下のHVRの間に並置された1つまたは複数のフレーム
ワーク配列:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2
)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)を含み、そして軽鎖可変領
域は、、以下のHVRの間に並置された1つまたは複数のフレームワーク配列:(LC−
FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)
−(HVR−L3)−(LC−FR4)を含む。さらに別の局面において、フレームワー
ク配列は、ヒトコンセンサスフレームワーク配列に由来する。さらなる局面において、重
鎖フレームワーク配列は、KabatサブグループI、II、またはIII配列に由来する。
50
(16)
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さらなる局面において、重鎖フレームワーク配列は、VHサブグループIIIコンセンサ
スフレームワークである。さらなる局面において、重鎖フレームワーク配列の1つまたは
複数は、以下:
HC−FR1 EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(配列番号4)
HC−FR2 WVRQAPGKGLEWV(配列番号5)
HC−FR3 RFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(
配列番号6)
HC−FR4 WGQGTLVTVSA(配列番号7)
である。
【0024】
10
さらなる局面において、軽鎖フレームワーク配列は、KabatカッパI、II、II、ま
たはIVサブグループ配列に由来する。さらなる局面において、軽鎖フレームワーク配列
は、VLカッパIコンセンサスフレームワークである。さらなる局面において、軽鎖フレ
ームワーク配列の1つまたは複数は以下:
LC−FR1 DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号11)
LC−FR2 WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号12)
LC−FR3 GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(
配列番号13)
LC−FR4 FGQGTKVEIKR(配列番号14)
である。
20
【0025】
さらなる特定の局面において、抗体はさらに、ヒトまたはマウス定常領域を含む。さら
なる局面において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG
4からなる群より選択される。さらなる特定の局面において、ヒト定常領域は、IgG1
である。さらなる局面において、マウス定常領域は、IgG1、IgG2A、IgG2B
、IgG3からなる群より選択される。さらなる局面において、マウス定常領域は、Ig
G2Aである。さらなる特定の局面において、抗体は、低下したまたは最小のエフェクタ
ー機能を有する。さらなる特定の局面において、最小のエフェクター機能は、原核細胞に
おける産生に起因する。さらなる特定の局面において、最小のエフェクター機能は、「エ
フェクターなしFc突然変異」または非糖鎖化に起因する。さらなる局面において、エフ
30
ェクターなしFc突然変異は定常領域中のN297AまたはD265A/N297A置換
である。
【0026】
さらなる局面において、核酸は、さらに、以前に記載した抗PD−L1抗体のいずれか
をコードする核酸の発現のために適したベクターを含む。さらなる特定の局面において、
ベクターは、さらに、核酸の発現のために適した宿主細胞を含む。さらなる特定の局面に
おいて、宿主細胞は、真核細胞または原核細胞である。さらなる特定の局面において、真
核細胞は、哺乳動物細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)などである。
【0027】
さらなる実施態様において、本発明は、抗PD−L1抗体またはその抗原結合性フラグ
40
メントを作製するプロセスを提供し、以前に記載した抗PD−L1抗体のいずれかまたは
抗原結合性フラグメントをコードする核酸を発現のために適した形態で含む宿主細胞を、
そのような抗体またはフラグメントを産生するために適した条件下で培養すること、およ
び抗体またはフラグメントを回収することを含む。
【0028】
さらなる実施態様において、本発明は、本明細書で提供する抗PD−L1抗体またはそ
の抗原結合性フラグメントおよび少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を含む組成物
を提供する。
【0029】
さらなる実施態様において、本発明は、本明細書で開示する治療的有効量の組成物を同
50
(17)
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封した容器およびT細胞機能障害性障害の処置のための使用を示す添付文書を含む、製造
品を提供する。
【0030】
さらなる実施態様において、本発明は、少なくとも1つのBNCA分子との組み合わせ
で上に記載する抗PD−L1組成物のいずれかを含む、製造品を提供する。一局面におい
て、BNCA分子は、抗体、抗原結合抗体フラグメント、BNCAオリゴペプチド、BN
CA RNAi、またはBNCA小分子である。別の局面において、B7ネガティブ同時
刺激分子を、CTLA−4、PD−1、PD−L1、PD−L2、B7.1、B7−H3
、およびB7−H4からなる群より選択する。
【0031】
10
さらなる実施態様において、製造品は、化学療法剤との組み合わせで上に記載する抗P
D−L1組成物のいずれかを含む。一局面において、化学療法剤は、ゲムシタビンである
。
【0032】
さらなる実施態様において、本発明は、ポジティブ同時刺激分子の1つまたは複数のア
ゴニストとの組み合わせで上に記載する抗PD−L1抗体のいずれかを含む、製造品を提
供する。一局面において、ポジティブ同時刺激分子は、B7ファミリー同時刺激分子であ
る。別の局面において、ポジティブ同時刺激分子は、CD28、CD80、CD86、I
COS/ICOSLからなる群より選択される。さらに別の局面において、ポジティブ同
時刺激分子は、TNFRファミリー同時刺激分子である。さらなる局面において、TNF
20
R同時刺激分子は、OX40/OX40L、4−1BB/4−1BBL、CD27/CD
27L、CD30/CD30L、およびHVEM/LIGHT、ならびにその可溶性フラ
グメント、構築物、およびアゴニスト抗体からなる群より選択される。
【0033】
さらなる実施態様において、本発明は、1つまたは複数の抗生物質との組み合わせで上
に記載する抗PD−L1抗体のいずれかを含む、製造品を提供する。一局面において、抗
生物質は、抗ウイルス薬剤、抗菌薬剤、抗真菌薬剤、抗原虫薬剤からなる群より選択され
る。
【0034】
別の局面において、抗ウイルス薬剤は、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、イン
30
テグラーゼ阻害剤、侵入または融合阻害剤、成熟阻害剤、ウイルス放出阻害剤、免疫応答
エンハンサー、抗ウイルス相乗エンハンサー、ワクチン、肝臓アゴニスト、および生薬か
らなる群より選択される。さらに別の局面において、組み合わせは、抗ウイルス薬剤の1
つまたは複数のカテゴリーを含む。
【0035】
さらなる実施態様において、本発明は、1つまたは複数のワクチンとの組み合わせで上
に記載する抗PD−L1抗体のいずれかを含む、製造品を提供する。
【0036】
さらなる実施態様において、本発明は、上に記載する抗PD−L1抗体または組成物の
いずれかの有効量を投与することを含む、T細胞機能を増強する方法を提供する。一局面
40
において、抗PD−L1抗体または組成物は、機能障害性T細胞を非機能障害性にする。
【0037】
さらなる実施態様において、本発明は、上に記載する抗PD−L1抗体または組成物の
いずれかの治療的有効量を投与することを含む、T細胞機能障害性障害を処置する方法を
提供する。1つの特定の局面において、T細胞機能障害性障害は、感染または腫瘍免疫で
ある。別の局面において、感染は急性または慢性である。別の局面において、慢性感染は
、持続的、潜在的、または緩徐である。さらに別の局面において、慢性感染は、細菌、ウ
イルス、真菌、および原虫からなる群より選択される病原体に起因する。さらなる局面に
おいて、宿主における病原体レベルは、低下される。さらなる局面において、方法はさら
に、ワクチンを用いた処置を含む。さらなる局面において、方法はさらに、抗生物質を用
50
(18)
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いた処置を含む。さらなる局面において、病原体は、細菌であり、方法はさらに、抗菌薬
剤の投与を含む。さらなる局面において、細菌は、マイコバクテリウム属、サルモネラ属
、リステリア属、ストレプトコッカス属、ヘモフィルス属、ナイセリア属、クレブシエラ
属、ボレリア属、バクテロイデスフラジリス(Bacterioides fragillis)、トレポネーマ
属、およびヘリコバクターピロリ(Helicobacer pylori)からなる群より選択される。さ
らなる局面において、病原体は、ウイルスであり、方法はさらに、抗ウイルス薬剤の投与
を含む。さらなる局面において、ウイルスは、B型、C型肝炎、単純ヘルペスウイルスI
、II、ヒト免疫不全症ウイルスI、II、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バー
ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルスI、II、水痘帯状疱疹か
らなる群より選択される。さらなる局面において、病原体は、真菌であり、方法はさらに
10
、抗真菌薬剤の投与を含む。さらなる局面において、障害は、アスペルギルス症、ブラス
トミセス症、カンジダ・アルビカンス、コクシジオイデス症、ヒストプラスマ症、パラコ
クシジオイデス症、微胞子虫症からなる群より選択される。さらなる局面において、病原
体は、原虫であり、方法はさらに、抗原虫薬剤の投与を含む。さらなる局面において、障
害は、リーシュマニア症、プラスモディウム症(即ち、マラリア)、クリプトスポリジウ
ム症、トキソプラズマ症、トリパノゾーマ症、および蠕虫感染(吸虫(例、住血吸虫症)
、条虫(例、エキノコックス症)、および線虫(例、旋毛虫症、回虫症、フィラリア症、
および糞線虫症)に起因するものを含む)からなる群より選択される。
【0038】
さらなる局面において、T細胞機能障害性障害は、腫瘍免疫である。さらなる局面にお
20
いて、PD−L1抗体または組成物を、放射線治療、化学療法、標的治療、免疫療法、ホ
ルモン治療、血管新生阻害、および緩和ケアからなる群より選択される従来の治療をさら
に含む処置計画と組み合わせる。さらなる特定の局面において、化学療法の処置は、ゲム
シタビン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセル、シスプラチンからな
る群より選択される。さらなる特定の局面において、腫瘍免疫は、乳房、肺、結腸、卵巣
、メラノーマ、膀胱、腎臓、肝臓、唾液、胃、神経膠腫、甲状腺、胸腺、上皮、頭頚部の
癌、胃癌、および膵臓癌からなる群より選択される癌に起因する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、細胞表面分子のB7ファミリーによるT細胞の同時刺激を描く図示的な
30
例示である。
【図2】図2は、PMEL/B16 T細胞刺激アッセイの実験デザインを示す概略図で
ある。
【図3】図3は、メラニン細胞ペプチドgp100に応答したPMEL CD8+T細胞
における増強したIFN−γ産生を通じた抗原特異的T細胞機能に対する抗PD−L1 Abの効果を示す棒グラフである。IFN−γ産生CD8+T細胞のパーセンテージおよ
びIFN−γ産生のそれらのレベルの両方が、抗PD−L1抗体の存在における刺激の間
に増加された。
【図4】図4は、OvaパルスA20 B細胞/mPD−L1 APCを用いた二次刺激
における抗PD−L1 Ab YW243.55.S1によるOva特異的CD4+T細
40
胞の増殖における増強を通じた抗原特異的T細胞機能に対する抗PD−L1 Abの効果
を示す棒グラフである。
【図5】図5は、混合リンパ球反応における抗PD−L1抗体YW243.55S1によ
るヒトCD8T細胞の増殖における増強を示す一連のFACSプロットである。CFSE
の強度において希釈により測定された増殖性細胞のパーセントも報告されている。
【図6】図6は、抗PD−L1 Ab YW243.55S70のキメラ形態を用いた慢
性LCMVの処置の実験デザインの概略図である。矢印は、2×106pfuクローン13
LCMVを用いた感染後14日目に開始された6用量の抗PD−L1のタイミングを示す
。
【図7】図7Aおよび7Bは、抗PD−L1 Ab、YW243.55.S70による慢
50
(19)
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性LCMV感染のin vivoでの処置に続くex vivoでの細胞における増強さ
れたCD8エフェクター機能を示すグラフである。YW243.55.S70によるPD
−L1の遮断が、CD8+T細胞の脱果粒を増加させ(表面CD107Aの増加により測
定される)(図7A)、LCMVペプチドgp33に応答して%IFN−ガンマ産生細胞
を増加させた(図7B)。gp33特異的細胞の頻度を、H2−Db gp33ペンタマ
ーを用いた染色により明らかにした。
【図8】図8Aおよび8Bは、抗PD−L1抗体を用いたin vivoでの処置に続く
慢性LCMV感染における血液および組織LCMV力価における低下を示す。図8Aにお
いて、種々の示された組織からのウイルス力価を、それぞれAb処置後の21日目および
28日目、1週間目および2週間目に分析した。図8Bにおいて、血清ウイルス力価を0
10
、7、14、21、および28日目に分析し、LCMV接種が0日目に生じて、処置が1
4日目に始まる。
【図9】図9Aは、樹立された腫瘍の治療的処置(腫瘍が250mm3である14日目に開
始された処置)に続く抗PD−L1抗体の適用の結果として、MC38.Ova結腸癌腫
瘍増殖における有意な低下を示す。図9Bは、フローサイトメトリーにより測定された組
織培養におけるMC38.Ova細胞に対するPD−L1発現の表面レベルを示すヒスト
グラムである。PD−L2は、MC38.Ova細胞により発現されない。
【図10】図10は、C57BL/6マウスにおけるMC38.Ova腫瘍の増殖に対す
るPD−L1遮断処置単独および抗VEGFまたはゲムシタビンとの組み合わせの効果を
示すグラフである。
20
【図11A】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD−L
1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を伴う
CDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11B】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD−L
1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を伴う
CDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【0040】
好ましい実施態様の詳細な説明
本明細書で言及した全ての参考文献が、参照により具体的に組み入れられる。
【0041】
30
一般的な技術
本発明の実行は、特記なき場合、当技術分野の技能の範囲内にある分子生物学(組換え
技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技術を用いる。そ
のような技術は文献において十分に説明される。例えば、Molecular Cloning: A Laborat
ory Manual, second edition (Sambrook et al., 1989); Oligonucleotide Synthesis (M
.J. Gait, ed., 1984); Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed., 1987); Methods in
Enzymology (Academic Press, Inc.); Current Protocols in Molecular Biology (F.M.
Ausubel et al., eds 1987, and periodic updates); PCR: The Polymerase Chain Reac
tion, (Mullis et al., ed., 1994); A Practical Guide to Molecular Cloning (Perbal
Bernard V., 1988); Phage Display: A Laboratory Manual (Barbas et al., 2001)。
40
【0042】
I.宿主免疫
A.リンパ球の発生および活性化
ヒトにおける2つの主な型のリンパ球はT(胸腺由来)およびB(骨髄由来)である。
これらの細胞は、リンパ系発生経路にコミットした骨髄および胎児肝臓中の造血幹細胞に
由来する。これらの幹細胞の子孫は、BまたはTリンパ球中に成熟する多岐にわたる経路
に従う。ヒトBリンパ球の発生は、完全に骨髄内で起こる。T細胞は、他方で、骨髄を離
れ、血流を通じて胸腺まで移動する未成熟な前駆体から発生し、そこで、それらは、増殖
し、成熟Tリンパ球に分化する。
【0043】
50
(20)
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胸腺または骨髄から出現する成熟リンパ球は静止、または「休止」状態にあり、即ち、
それらは有糸分裂的に不活性である。血流中に分散した場合、これらの「ナイーブ」また
は「処女」リンパ球は、種々の二次または末梢のリンパ系器官(例えば脾臓、リンパ節、
または扁桃腺など)中に移動する。大半の処女リンパ球が固有の短い寿命を有し、骨髄ま
たは胸腺を離れた後、数日以内に死ぬ。しかし、そのような細胞が抗原の存在を示すシグ
ナルを受ける場合、それらは活性化し、連続ラウンドの細胞分裂を起こす。結果として得
られる子孫細胞の一部が、次に、休止状態に戻り、刺激アレルゲンとの次の遭遇のために
本質的に初回刺激された記憶リンパ球 − BおよびT細胞になる。活性化された処女リ
ンパ球の他の子孫は、エフェクター細胞であり、数日間だけ生き残るが、しかし、特定の
防御活性を行う。
10
【0044】
リンパ球の活性化は、休止リンパ球が刺激されて、分裂し、子孫(その一部がエフェク
ター細胞になる)を産生する際に通過する順序付けられた連続事象を指す。完全応答は、
細胞増殖の誘発(有糸分裂誘発)および免疫学的機能の発現の両方を含む。リンパ球は、
特定のリガンドがそれらの表面上の受容体に結合する際に活性化される。リガンドは、T
細胞およびB細胞について異なるが、しかし、結果として得られる細胞内生理学的機構は
類似している。
【0045】
一部の外来抗原自体がリンパ球の活性化、特に、B細胞上の表面免疫グロブリンを架橋
する大きなポリマー抗原、またはT細胞上の他の糖タンパク質を誘導することができる。
20
しかし、大半の抗原は、ポリマーでなく、大多数のB細胞への直接的な結合でさえ、活性
化をもたらさない。これらのより共通の抗原は、それらが近くの活性化ヘルパーTリンパ
球と共に同時刺激された際にB細胞を活性化する。そのような刺激は、T細胞により分泌
されるリンホカインから生じうるが、しかし、B細胞と、特定のB細胞表面受容体と相互
作用し、二次シグナルを生成するT細胞表面タンパク質との直接的な接触により最も効率
的に伝達される。
【0046】
B.T細胞
Tリンパ球は免疫グロブリンを発現せず、しかし、代わりに、T細胞受容体(TCR)
と呼ばれる表面タンパク質により外来物質の存在を検出する。これらの受容体は、直接的
30
な接触によりまたは他の免疫細胞の活性に影響を与えることを通じて抗原を認識する。マ
クロファージと一緒に、T細胞は細胞媒介性免疫に関与する一次細胞型である。
【0047】
B細胞とは異なり、T細胞は、特定の状況においてだけ外来物質を検出することができ
る。特に、Tリンパ球は、外来タンパク質を、それが最初に小さなペプチドに切断された
場合にだけ認識し、それらは次に抗原提示細胞(APC)と呼ばれる二次宿主細胞の表面
上に提示される。多くの型の宿主細胞が一部の条件下で抗原を提示することができるが、
しかし、特定の型は、この目的のために、より特異的に適応され、T細胞活性(マクロフ
ァージおよび他のB細胞を含む)を制御する際に特に重要である。抗原提示は、提示細胞
の表面上での、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質と呼ばれる特定のタンパク質に
40
部分的に依存する。このように、細胞媒介性免疫を刺激するために、外来ペプチドがMH
Cペプチドとの組み合わせでT細胞に提示されなくてはならず、この組み合わせがT細胞
受容体により認識されなくてはならない。
【0048】
2つの有意なT細胞サブセットがある:細胞傷害性Tリンパ球(Tc細胞またはCTL
)およびヘルパーT細胞(TH)細胞、それらはマーカーCD8およびCD4の細胞表面
発現に基づき大まかに同定されうる。Tc細胞はウイルス防御において重要であり、特定
の細胞表面発現ウィルスペプチドを認識することにより直接的にウイルスを殺すことがで
きる。TH細胞は、他の細胞型の増殖、成熟、および免疫学的機能(例、B細胞、マクロ
ファージ、および細胞傷害性T細胞の活性を制御するためのリンホカイン分泌)を促進す
50
(21)
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る。処女Tリンパ球および記憶Tリンパ球の両方が、通常は静止状態のままであり、この
状態において、それらは有意なヘルパー活性または細胞傷害活性を示さない。活性化され
た場合、これらの細胞は数ラウンドの有糸分裂を起こし、娘細胞を産生する。これらの娘
細胞の一部が記憶細胞として静止状態に戻るが、しかし、他はヘルパー活性または細胞傷
害活性を活発に発現するエフェクター細胞になる。これらの娘細胞はそれらの親に似てい
る:CD4+細胞はCD4+子孫だけを産生することができ、CD8+細胞はCD8+子
孫だけを産出する。エフェクターT細胞は、休止T細胞上では発現されない細胞表面マー
カー(例えばCD25、CD28、CD29、CD40L、トランスフェリン受容体、お
よびクラスII MHCタンパク質など)を発現する。活性化刺激が取り除かれた場合、
細胞傷害活性またはヘルパー活性は、エフェクター細胞が死ぬかまたは静止状態に戻るに
10
つれて、数日間の期間にわたり徐々に鎮静する。
【0049】
B細胞活性化に類似し、大半の抗原に対するTリンパ球応答も2つの型の同時刺激を必
要とする。最初は抗原であり、それは、抗原提供細胞上のMHCタンパク質により適切に
提示された場合、T細胞受容体により認識および結合されることができる。この抗原−M
HC複合体は細胞内部にシグナルを送り、それは、通常、T細胞活性化をもたらすために
は不十分である。完全活性化(例えばヘルパーT細胞を用いて生じる)は、抗原提示細胞
の表面上に発現される同時刺激因子と呼ばれる他の特定のリガンドを用いた同時刺激を必
要とする。細胞傷害性T細胞の活性化は、他方で、一般的に、IL−2(活性化ヘルパー
T細胞により分泌されるサイトカイン)を必要とする。
20
【0050】
C.免疫応答
他の身体の防御から区別される哺乳動物の免疫系の3つの一次機能特性は、以下:(1
)特異性 − 大多数の標的分子の間で個別に認識するおよび応答するまたは応答しない
能力、(2)識別 − 非自己から自己を決定するための能力(全ての無数のタンパク質
および他の有機物質と穏やかに共存し、依然として身体に導入される外来物質に対してウ
イルス学的に応答するようにする)、および(3)記憶 − 経験により形成される能力
(特定の外来病原体との後の遭遇が、最初の遭遇で生じたよりも迅速で活発な応答を惹起
する)を含む。これらの機能の1つまたは複数が失敗している場合、病理学的状態がもた
らされる。
30
【0051】
処女リンパ球が一次リンパ系器官から末梢中へ持続的に放出され、各々が抗原結合を可
能にする表面受容体を運ぶ。B細胞における抗原結合が表面結合免疫グロブリンを通じて
媒介されるのに対し、T細胞において、それはT細胞受容体により媒介される。処女リン
パ球が活性化される場合、それらは増殖し、活性化および増殖のさらなるサイクルを次に
起こしうる娘細胞を産出する。所与の抗原に対する応答のスピードおよび強度は、大部分
がクローン選択により決定される:特定の抗原に特異的な娘細胞またはクローンの集団が
大きいほど、免疫応答を認識し、それに関与することができる細胞の数はより大きい。す
べての免疫応答が、複雑で入り組んで調節される一連の事象であり、いくつかの細胞型を
含む。それは、免疫原が身体に入り、抗原提示細胞(APC)と呼ばれる特殊化クラスの
40
細胞に遭遇した際に誘発される。これらのAPCは微量の免疫原を捕捉し、抗原特異的ヘ
ルパーTリンパ球が認識することができる形態でそれを提示する。ヘルパーT細胞が次に
活性化され、その次に、他のクラスのリンパ球(例えばB細胞または細胞傷害性T細胞な
ど)の活性化を促進する。活性化リンパ球は次に増殖し、それらの特定のエフェクター機
能を行う。このプロセスの各段階で、リンパ球およびAPCが、直接的な接触を通じてま
たは調節性サイトカインを分泌することにより互いに連絡を取る。
【0052】
APCにより捕捉される外因性抗原は、抗原プロセシングと呼ばれる一連の変化を受け
る。特にタンパク質性免疫原のそのようなプロセシングは、変性および部分的なタンパク
質分解消化を含み、免疫原は短いペプチドに切断される。結果として得られるペプチドの
50
(22)
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限られた数が、次に、クラスII MHCタンパク質と非共有結合的に会合し、APC表
面に輸送される(抗原提示として公知のプロセス)。APCと直接接触するCD4+ヘル
パーTリンパ球が活性化されうるが、しかし、それは、APCにより提示される特定のペ
プチド−MHC複合体を認識し、結合することができるT細胞受容体タンパク質を発現し
た場合にだけ活性化される。
【0053】
ヘルパーT(TH)細胞は免疫応答の主要なオーケストレイターである。なぜなら、そ
れらは、2つの他のリンパ系エフェクター細胞:細胞傷害性T(Tc)細胞および抗体分
泌形質細胞の活性化のために必要とされるからである。TH活性化が免疫応答において早
期に生じ、少なくとも2つのシグナルを必要とする。1つのシグナルが、APC表面上で
10
の抗原性ペプチド−MHC複合体へのT細胞抗原受容体の結合により提供され、CD3タ
ンパク質複合体を通じて伝達され、その一方で第2の、APCを通じた同時刺激シグナル
が、T細胞表面上の別々のシグナル伝達タンパク質の、APC上の特定のリガンドとの結
合に起因すると考えられる。1つの公知のそのような相互作用は、T細胞タンパク質CD
28およびB7として公知のAPC表面タンパク質のファミリーである。他の表面タンパ
ク質のペアも同時刺激を媒介しうる。同時刺激のプロセスを続いてより詳細に記載する。
本発明の抗PD−L1抗体は、PD−L1を通じたシグナル伝達により提供されるネガテ
ィブな同時刺激シグナルの拮抗作用を通じて同時刺激を増強すると考えられる。
【0054】
一緒に、2つのシグナルはヘルパーT細胞を誘導し、サイトカインインターロイキン2
20
(IL−2)の分泌を開始させ、また、その表面上で特異的で高い親和性のIL−2受容
体の発現を開始させる。IL−2は、Tリンパ球のための高度に強力な分裂促進因子であ
り、活性化T細胞の増殖性応答に必須である。それが分泌される細胞に対するIL−2の
効果 − オートクライン効果として公知の現象。T細胞が両方のシグナルを受けている
場合でさえ、それは、それ自体の表面IL−2受容体が遮断されている場合には増殖しな
いであろうことがさらに示されている。IL−2は周辺の細胞に作用することもできる(
いわゆるパラクリン効果)。この効果は、Tc細胞を活性化するために特に重要であり、
それらは、一般的に、それら自体の増殖を刺激するために十分なIL−2を産生しない。
IL−2に加えて、活性化TH細胞は他のサイトカインを分泌し、B細胞、マクロファー
ジ、および他の細胞型の増殖、分化、および機能を促進する。
30
【0055】
APCと抗原特異的TH細胞の間での接触は、APCに対する効果も有する − その
最も重要なものの1つはIL−1の放出である。このサイトカインはオートクライン様式
で作用し、クラスII MHCタンパク質および種々の接着分子の表面発現を増加させ、
それによりTH細胞の結合が強化され、抗原提示が増強されると考えられる。同時に、I
L−1がTH細胞に対してパラクリン様式に機能し、IL−2分泌およびIL−2受容体
発現を促進する。
【0056】
以前に記載された様式でのTH細胞の活性化の間に、一部のB細胞が、それらが後に分
泌するであろう膜結合形態の抗体である、それらの抗原受容体を通じて免疫原を会合した
40
可能性もある。T細胞とは異なり、B細胞は、遊離の非プロセシング形態の免疫原を認識
する。特異的抗原結合は、B細胞活性化に導くことができるシグナルの1つの型を提供す
る。第2の型が、活性化TH細胞により提供され、それらは、その表面上で非免疫グロブ
リン受容体に結合することによりB細胞を活性化するのを助けるタンパク質を発現する。
これらのTH由来シグナルは、その抗原特異性にかかわらず任意のB細胞に作用し、ヘル
パー因子として公知である。これらのヘルパー因子はIL−2、IL−4、およびIL−
6を含む。しかし、助けは細胞−細胞接触を通じてより効率的に達成され、それによって
T細胞表面上のタンパク質がB細胞上のタンパク質と直接的に接触することが可能になる
。接触媒介性の助けの最も効果的な形態は、CD40リガンド(CD40L)と呼ばれる
タンパク質(それらが活性化された後にだけTH細胞上で発現される)がB細胞上のCD
50
(23)
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40と呼ばれるタンパク質に結合する際に生じる。バイスタンダー活性化として公知のプ
ロセスにおいて、活性化B細胞との接触は、その表面免疫グロブリンが抗原において会合
していなくても、休止B細胞を活性化するのに十分でありうる。
【0057】
Tcリンパ球が機能して、それらの表面上で外来抗原を発現する細胞(例えば、ウイル
ス感染宿主細胞など)を絶滅させる。大半のTc細胞がCD4よりむしろCD8を発現し
、故にクラスII MHCタンパク質よりむしろクラスIに関連する抗原を認識する。体
細胞がウイルスにより感染される場合、一部の免疫原性ウイルスタンパク質が細胞内でプ
ロセシングを受けうるが、結果として得られるペプチドは次にクラスI MHC分子との
表面複合体として現れうる。これらのペプチド−MHC複合体は次に抗原特異的クローン
10
のT細胞受容体により認識され、Tc細胞活性化のために必要な2つのシグナルの1つを
提供しうる。この第1のシグナルは単独で、Tc細胞上に高親和性IL−2受容体を誘導
する。第2のシグナルは、近くの活性化THリンパ球から分泌されたIL−2により供給
される。両方のシグナルを受けると、活性化Tc細胞は細胞傷害活性を得て、それが、そ
れが結合した細胞、ならびに同じペプチド−MHCクラスI複合体を持つ任意の他の細胞
を殺すことが可能になる。一部の場合において、死滅が生じる。なぜなら、Tcが標的細
胞に特定の毒素を放出するためであり;他において、Tcは標的細胞にアポトーシスによ
る自殺を誘導する。活性化Tc細胞も増殖し、同じ抗原特異性を伴う追加のTc細胞を与
える。
【0058】
20
D.免疫グロブリンスーパーファミリーによる同時刺激:
1.B7.1/B7.2 − CD28/CTLA−4
恐らく、最も良く特徴付けられているT細胞同時刺激経路は、B7.1(CD80)/
B7.2(CD86) − CD28/CTLA−4(CD152)を通じてシグナル伝
達する経路である。このシグナル伝達経路はT細胞の活性化および寛容に決定的である。
Karandikar et al., J. Neuroimmunol. 89: 10-18 (1998); Oosterwegal et al., Curr.
Opin. Immunol. 11: 294-300 (1999); Salomon et al., Annu. Rev. Immunol. 19: 225-2
52 (2001); Sansom, D. M., Immunol. 101: 169-177 (2000); Chambers et al., Annu. R
ev. Immunol. 19: 565-592 (2001)。
【0059】
30
B7.1[Freeman et al., J. Exp. Med. 174: 625-631 (1991); Freedman et al., J
. Immunol. 137: 3260-3267 (1987); Yokochi et al., J. Immunol. 128: 823-827 (1982
)]およびB7.2[Freeman et al., Science 262: 909-911 (1993); Freeman et al., J. Exp
. Med. 178: 2185-2192 (1993); Azuma et al., Nature 366: 76-79 (1993)]は、2つの
刺激受容体CD−28およびCTLA−4について二重特異性を有する。Aruffo et al.,
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 8573-8577 (1987); Gross et al., J. Immunol. 144:
3201-3210 (1990).CD28がT細胞の表面上で恒常的に発現され[Gross et al., J. I
mmunol. 149: 380-388 (1992)]、一方でCTLA−4(より高い親和性の受容体)は、
T細胞活性化に続き迅速にアップレギュレーションされる発現を有する。Peach et al.,
J. Exp. Med. 180: 2049-2058 (1994); Linsley et al., J. Exp. Med. 176: 1595-1604
40
(1992); Kinsley et al., Immunity 1: 793-801 (1994); Linsley et al., Immunity 4:
535-543 (1996)。大半のAPC集団がB7.2を恒常的に低レベルで発現し、それは迅速
にアップレギュレーションされ、B7.1は、活性化後、後に誘導的に発現される。Free
man et al., Science 262: 909-911 (1993); Hathcock et al., J. Exp. Med. 180: 631640 (1994)。B7.2の先行する発現およびマウスノックアウトデータは、B7.2が免
疫応答を開始するためのより重要な同時刺激分子であることを示唆するが、しかし、他の
点では2つの分子は大部分でオーバーラップする機能を有する。McAdam et al., Immuno.
Rev. 165: 631-640 (1994)。
【0060】
CD28がB7.1およびB7.2と相互作用し、TCRシグナルと共同するシグナル
50
(24)
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を伝達し、T細胞活性化を促進する。Lenschow et al., Annu. Rev. Immunol. 165: 233258 (1996); Lanzavecchia et al., Cell 96: 1-4 (1999)。TCRシグナルの非存在にお
いて、CD28シグナル伝達は生理学的な有意性を有さない。CD28シグナル伝達はT
細胞活性化についての閾値を調節し、T細胞活性化のために必要とされるTCR会合の数
を有意に減少させる。Viola et al., Science 273: 104-106 (1996)。CD28活性化は
T細胞生存を促進することによりT細胞応答を持続し、それによりサイトカインがT細胞
クローン増殖および分化を開始することが可能になる。Thompson et al., Proc. Natl. A
cad. Sci. USA 86: 1333-1337 (1989); Lucas et al., J. Immunol. 154: 5757-5768 (19
95); Shahinian et al., Science 261: 609-612 (1993); Sperling et al., J. Immunol.
157: 3909-3917 (1996); Boise et al., Immunity 3: 87-98 (1995)。CD28は、また
10
、以前に活性化されたT細胞の応答を最適化し、インターロイキン2(IL−2)産生お
よびT細胞生存を促進する。一部の応答はCD28非依存的であるが、これが強い抗原刺
激に起因する同時刺激の非依存性であるのか、または、他の、未知の同時刺激経路への依
存性の結果であるのかははまだ明らかではない。
【0061】
CTLA−4活性化はネガティブシグナルを起こし、それはTCRおよびCD−28媒
介性のシグナル伝達を阻害する。CTLA−4会合は、IL−2合成および細胞周期を通
じた進行の阻害ならびにT細胞応答の終結をもたらす。Walunas et al., Immunity 1: 40
5-413 (1994); Walunas et al., J. Exp. Med. 183: 2541-2550 (1996); Krummel et al.
, J. Exp. Med. 182: 459-466 (1995); Brunner et al., J. Immunol. 162: 5813-5820 (
20
1999); Greenwald et al., Immunity 14: 145-155 (2001)。CTLA−4は、T細胞応答
(末梢T細胞寛容を含む)を調節する際に重要な役割を果たす。シグナル伝達がCTLA
−4およびCD28を通じてどのように協調されるかは明らかではないが、一部の可能性
は、免疫抑制サイトカインの誘導、CD28シグナル伝達および/またはTCR媒介性シ
グナル伝達の直接的な拮抗作用により、B7への結合についてCD28に勝ることを含む
。
【0062】
結果として、CTLA−4(例、アンタゴニスト抗CTLA抗体)の拮抗作用およびま
たはB7.1/B7.2/CD28に拮抗することが、感染(例、急性および慢性)およ
び腫瘍免疫の処置において免疫応答を増強するために有用でありうる。
30
【0063】
2.ICOS/ICOSLシグナル伝達:
APCとT細胞の間での相互作用の別の経路は、ICOS(CD278)およびICO
SL(B7−H2、CD275)を通じて生じる。ICOS/ICOSLシグナル伝達は
、Tヘルパー細胞分化およびエフェクター機能を促進し、特にインターロイキン10(I
L−10)産生のために重要であるが、しかし、T細胞増殖およびIL−2産生(調節性
T細胞を含む)、T細胞寛容、および自己免疫を調節する際により適度な役割を果たす。
【0064】
CD28とは対照的に、ICOSは、ナイーブT細胞上で恒常的に発現されず、しかし
、T細胞上でTCR会合後に迅速に誘導される。Hutloff et al., Nature 397: 263-266
40
(1999); Yoshinaga et al., Nature 402: 827-832 (1999); Beier et al., Eur. J. Immu
nol. 30: 3707-3717 (2000); Coyle et al., Immunity 13: 95-105 (2000); Mages et al
., Eur. J. Immunol. 30: 1040-1047 (2000); McAdam et al., J. Immunol. 165: 5035-5
040 (2000)。これは、ICOSが活性化T細胞に同時刺激シグナルを提供することを示唆
する。CD28による同時刺激がICOS発現を増強し、ICOS発現はB7.1および
B7.2の非存在において低下され、ICOSはCD28シグナルに完全には依存的では
ない。McAdam et al., J. Immunol. 165: 5035-5040 (2000); Aicher et al., J. Immuno
l. 164: 4689-4696 (2000); Kopf et al., J. Exp. Med. 192: 53-61 (2000)。ICOS
が、Tヘルパー1および2型(TH1およびTH2)細胞の両方で、分化の初期段階の間
にアップレギュレーションされるが、しかし、レベルはTH2細胞で高いままであり、T
50
(25)
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H1細胞では減少する。胚中心におけるT細胞でのICOSの発現パターンBeier
et al.
, Eur. J. Immunol. 30: 3707-3717 (2000); Mages et al., Eur. J. Immunol. 30: 1040
-1047 (2000)は、B細胞のためのT細胞ヘルプにおけるICOSについての役割を示す。
機能試験によってこれが確認されており、ICOSの発現さえもラットB細胞で確認され
ているが、他の種では確認されていない。Tezuka et al., Biochem. Biophys. Res. Comm
un. 276: 335-345 (2000: McAdam et al., Nature 409: 102-105 (2001); Dong et al.,
Nature 409: 97-101 (2001); Dong et al., J. Immunol. 166: 3659-3662 (2001); Tafur
i et al., Nature 409: 105-109 (2001)。
【0065】
ICOS/ICOSLシグナル伝達についての1つの役割は、活性化されたばかりのT
10
細胞ならびにエフェクターT細胞によるサイトカイン産生(例、IL−4、IL−13)
を調節するためであると思われる。Hutloff et al., Nature 397: 263-266 (1999); Coyl
e et al., Immunity 13: 95-105 (2000); Dong et al., Nature 409: 97-101 (2001)。ア
レルギー性気道疾患の試験において、TH2エフェクター機能(TH2分化ではない)が
ICOS遮断により提供されている。Tesciuba et al., J. Immunol. 167: 1996-2003 (2
001)。ICOSはTH1エフェクター機能も調節することができることが示されているた
め、TH1およびTH2サイトカインの両方の産生を、in vitroでの再活性化時
にICOS−Ig融合タンパク質により抑制することができる。Kopf et al., J. Exp. M
ed. 192: 53-61 (2000)。
【0066】
20
ICOSについての別の潜在的な役割は、TH1応答を持続することに関する。多発性
硬化症についての自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の実験モデルにおいて、ミエリン特異的
CD4+T細胞により媒介されるTH1疾患で、ICOS遮断の転帰が、同時刺激がT細
胞初回刺激の間に、次にEAEのエフェクター段階の間に遮断される場合に別々でありう
ることが示されている。Dong et al., Nature 409: 97-101 (2001); Rottman et al., Na
ture Immunol. 2: 605-611 (2001); Sporici et al., Clin. Immunol. 100: 277-288 (20
01)。ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)により誘導されるEAEが
、ICOS−/−ノックアウトマウスにおいて大幅に悪化され、IFN−γの産生が野生
型と比較して増加する。同様に、EAE誘導の間でのICOS遮断が疾患を悪化させ、ま
た、増加したIFN−γ産生をもたらした。従って、初回刺激の間でのICOS遮断は、
30
応答のTH1極性化に導く。興味深いことに、ICOS−Igの存在におけるin vi
troでのミエリン特異的TCRトランスジェニックT細胞の初回刺激が、EAEを誘導
するためのそれらの能力を阻害した。in vivoで観察されたICOS−Ig遮断で
の結果と著しく対照的である。Sporici et al., supra。in vitroおよびin vivoでの対立する転帰についての差はまだ明らかではないが、しかし、IL−10産
生調節性T細胞、ならびにエフェクターT細胞に対するin vivoでのICOS遮断
の間でのICOSについての役割を反映しうる。IL−10を通じた同時刺激はIL−1
0産生の増強で非常に効果的であり、CD28を通じた同時刺激よりも効果的である。Hu
tloff et al., supra.IL−10、IL−12調節ループがEAEを調節する際に決定的
である。なぜなら、IL−10 −/−マウス(しかし、IL4 −/−マウスではない
40
)が悪化したEAEを発生するからである。Segal et al., J. Exp. Med. 187: 537-546
(1998)。
【0067】
ICOSについてのさらに別の潜在的な役割が、T細胞依存的なB細胞液性応答の増強
にある。ICOS−/−およびICOSL−/−マウスで、ICOSがT細胞依存的なB
細胞応答のために必要とされることが示されている。Hutloff et al., Nature 397: 26366 (1999); Chapoval et al., Nat. Immunol. 2: 269-74 (2001); Coyle et al., Immuni
ty 13: 95-105 (2000); McAdam et al., Nature 409: 102-5 (2001); Tafuri et al., Na
ture 409: 105-9 (2001); Suh et al., Nat. Immunol. 4: 899-906 (2003)。ICOS−
/−
マウスは、また、一次免疫化に応答した低下した胚中心、二次攻撃に応答した胚中心
50
(26)
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形成における深刻な欠損、およびIgGクラススイッチにおける欠損を示す。T:B細胞
相互作用におけるICOSの役割が、さらに、成人発症の共通する可変性の免疫不全症を
伴う患者におけるT細胞中でのICOSのホモ接合性喪失の同定により検証された。Grim
bacher et al., Nat. Immunol. 4: 261-68 (2003)。
【0068】
結果として、ICOS/ICOSL(例、アゴニスト抗ICOS抗体、可溶性ICOS
/ICOSLリガンド)のアゴニズムは、感染(例、急性および慢性)および/または腫
瘍免疫の処置における免疫応答を増強するために有用でありうる。
【0069】
3.PD−1経路:
10
T細胞活性化を調節する重要なネガティブ同時刺激シグナルが、プログラム死1受容体
(PD−1)(CD279)、ならびにそのリガンド結合パートナーPD−L1(B7−
H1、CD274)およびPD−L2(B7−DC、CD273)により提供さる。PD
−1のネガティブな調節的役割が、PD−1ノックアウト(Pdcd1−/−)により明
らかにされ、それは自己免疫の傾向がある。Nishimura et al., Immunity 11: 141-51 (1
999); Nishimura et al., Science 291: 319-22 (2001)。PD−1はCD28およびCT
LA−4に関連するが、しかし、ホモ二量体化を可能にする膜近位システインを欠く。P
D−1の細胞質ドメインは、免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM、V/
IxYxxL/V)を含む。PD−1はPD−L1およびPD−L2だけに結合する。Fr
eeman et al., J. Exp. Med. 192: 1-9 (2000); Dong et al., Nature Med. 5: 1365-136
20
9 (1999); Latchman et al., Nature Immunol. 2: 261-268 (2001); Tseng et al., J. E
xp. Med. 193: 839-846 (2001)。
【0070】
PD−1は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラーT細胞、活性化単球、および樹状細胞
(DC)で発現されうる。PD−1は、活性化された(しかし、未刺激ではない)ヒトC
D4+およびCD8+T細胞、B細胞、および骨髄細胞により発現される。これは、CD
28およびCTLA−4のより限定された発現と対照的である。Nishimura et al., Int.
Immunol. 8: 773-80 (1996); Boettler et al., J. Virol. 80: 3532-40 (2006)。活性
化ヒトT細胞からクローン化されたPD−1の少なくとも4つのバリアントがある:(i
)エクソン2、(ii)エクソン3、(iii)エクソン2および3または(iv)エク
30
ソン2∼4を欠く転写物を含む。Nielsen et al., Cell. Immunol. 235: 109-16 (2005)
。PD−1Δex3を例外として、全てのバリアントが、全長PD−1と同様のレベルで
休止中の末梢血単核球細胞(PBMC)において発現される。全てのバリアントの発現が
、抗CD3および抗CD28を用いたヒトT細胞の活性化時に有意に誘導される。PD−
1Δex3バリアントは膜貫通ドメインを欠き、可溶性CTLA−4に似ており、自己免
疫において重要な役割を果たす。Ueda et al., Nature 423: 506-11 (2003)。このバリア
ントは、関節リウマチを伴う患者の滑液および血清中に濃縮される。Wan et al., J. Imm
unol. 177: 8844-50 (2006)。
【0071】
2つのPD−1リガンドは、それらの発現パターンにおいて異なる。PD−L1は、マ
40
ウスTおよびB細胞、CD、マクロファージ、間葉系幹細胞、および骨髄由来肥満細胞で
恒常的に発現される。Yamazaki et al., J. Immunol. 169: 5538-45 (2002)。PD−L1
が広い範囲の非造血系細胞(例、角膜、肺、脈管上皮、肝臓非実質細胞、間葉系幹細胞、
膵島、胎盤合胞体栄養細胞、ケラチノサイトなど)で発現され[Keir et al., Annu. Rev
. Immunol. 26: 677-704 (2008)]、活性化後に多くの細胞型でアップレギュレーション
される。I型およびII型の両方のインターフェロンIFNがPD−L1をアップレギュ
レーションする。Eppihimer et al., Microcirculation 9: 133-45 (2002); Schreiner e
t al., J. Neuroimmunol. 155: 172-82 (2004)。細胞株におけるPD−L1発現は、My
D88、TRAF6、およびMEKが阻害される場合に減少する。Liu et al., Blood 11
0: 296-304 (2007)。JAK2もPD−L1誘導に結び付けられてきた。Lee et al., FEB
50
(27)
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S Lett. 580: 755-62 (2006); Liu et al., Blood 110: 296-304 (2007)。ホスファター
ゼおよびテンシンホモログ(PTEN)(ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(P
I3K)およびAktシグナル伝達を修飾した細胞ホスファターゼ)の喪失または阻害が
、癌において転写後のPD−L1発現を増加させた。Parsa et al., Nat. Med. 13: 84-8
8 (2007)。
【0072】
PD−L2発現はPD−L1よりも限定されている。PD−L2は、DC、マクロファ
ージ、および骨髄由来肥満細胞で誘導的に発現される。PD−L2は、また、休止中の腹
膜B1細胞(しかし、従来のB2 B細胞ではない)の約半分から3分の2で発現される
。Zhong et al., Eur. J. Immunol. 37: 2405-10 (2007)。PD−L2+ B1細胞はホ
10
スファチジルコリンに結合し、細菌性抗原に対する先天性免疫応答のために重要でありう
る。IFN−γによるPD−L2の誘導は、NF−κBに部分的に依存している。Liang
et al., Eur. J. Immunol. 33: 2706-16 (2003)。PD−L2は、また、GM−CF、I
L−4、およびIFN−γにより単球およびマクロファージで誘導することができる。Ya
mazaki et al., J. Immunol. 169: 5538-45 (2002); Loke et al., PNAS 100: 5336-41 (
2003)。
【0073】
PD−1シグナル伝達は、典型的に、細胞増殖に対するよりもサイトカイン産生に対し
てより大きな効果を有し、IFN−γ、TNF−α、およびIL−2産生に対する有意な
効果を伴う。PD−1媒介性阻害シグナル伝達は、また、TCRシグナル伝達の強度に依
20
存し、低レベルのTCR刺激でより大きな阻害を送達する。この低下は、CD28を通じ
た同時刺激により[Freeman et al., J. Exp. Med. 192: 1027-34 (2000)]またはIL−
2の存在により[Carter et al., Eur. J. Immunol. 32: 634-43 (2002)]克服すること
ができる。
【0074】
PD−L1およびPD−L2を通じたシグナル伝達が、双方向性でありうるという証拠
が増えている。すなわち、TCRまたはBCRシグナル伝達を修飾することに加えて、シ
グナル伝達は、また、PD−L1およびPD−L2を発現する細胞に戻って送達されうる
。ワルデンストレームマクログロブリン血症を伴う患者から単離された天然ヒト抗PD−
L2抗体を用いた樹状細胞の処理が、MHC IIまたはB7同時刺激分子をアップレギ
30
ュレーションすることは見出されず、そのような細胞が、より多量の炎症性サイトカイン
(特にTNF−αおよびIL−6)を産生し、T細胞増殖を刺激した。Nguyen et al., J
. Exp. Med. 196: 1393-98 (2002).この抗体を用いたマウスの処置が、また、(1)移植
されたb16メラノーマに対する耐性を増強し、腫瘍特異的CTLを迅速に誘導した。Ra
dhakrishnan et al., J. Immunol. 170: 1830-38 (2003); Radhakrishnan et al., Cance
r Res. 64: 4965-72 (2004); Heckman et al., Eur. J. Immunol. 37: 1827-35 (2007);
(2)アレルギー喘息のマウスモデルにおいて気道炎症疾患の発生を遮断した。Radhakri
shnan et al., J. Immunol. 173: 1360-65 (2004); Radhakrishnan et al., J. Allergy
Clin. Immunol. 116: 668-74 (2005)。
【0075】
40
樹状細胞(「DC」)中への逆シグナル伝達のさらなる証拠が、可溶性PD−1(Ig
定常領域に融合されたPD−1 ECドメイン − 「s−PD−1」)を用いて培養さ
れた骨髄由来DCの試験に起因する。Kuipers et al., Eur. J. Immunol. 36: 2472-82 (
2006)。このsPD−1は、抗PD−1の投与を通じて可逆的な様式で、DC活性化を阻
害し、IL−10産生を増加させた。
【0076】
加えて、いくつかの試験が、PD−1に非依存的であるPD−L1またはPD−L2に
ついての受容体を示す。B7.1は、既に、PD−L1についての結合パートナーとして
同定されている。Butte et al., Immunity 27: 111-22 (2007)。化学架橋試験は、PD−
L1およびB7.1がそれらのIgV様ドメインを通じて相互作用することができること
50
(28)
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を示唆する。B7.1:PD−L1相互作用は、T細胞中への阻害シグナルを誘導するこ
とができる。CD4+T細胞上でのB7.1によるPD−L1の連結またはCD4+T細
胞上でのPD−L1によるB7.1の連結が、阻害シグナルを送達する。CD28および
CTLA−4を欠くT細胞は、抗CD3プラスB7.1コートビーズにより刺激された場
合に、減少した増殖およびサイトカイン産生を示す。B7.1についての全ての受容体(
即ち、CD28、CTLA−4、およびPD−L1)を欠くT細胞において、T細胞増殖
およびサイトカイン産生は、抗CD3プラスB7.1コートビーズによりもはや阻害され
なかった。これは、B7.1がCD28およびCTLA−4の非存在においてPD−L1
を通じてT細胞で特異的に作用することを示す。同様に、PD−1を欠くT細胞は、抗C
D3プラスPD−L1コートビーズの存在において刺激された場合に減少した増殖および
10
サイトカイン産生を示し、T細胞に対するB7.1上でのPD−L1連結の阻害効果が実
証された。T細胞がPD−L1についての全ての公知の受容体を欠く場合(即ち、PD−
1およびB7.1なし)、T細胞増殖は抗CD3プラスPD−L1コートビーズによりも
はや損なわれなかった。このように、PD−L1が、B7.1またはPD−1のいずれか
を通じてT細胞に対して阻害効果を発揮することができる。
【0077】
B7.1とPD−L1の間での直接的な相互作用は、同時刺激の現在の理解が不完全で
あることを示唆し、T細胞上でのこれらの分子の発現に対する有意性を強調する。PD−
L1−/−T細胞の試験は、T細胞上のPD−L1がT細胞サイトカイン産生をダウンレ
ギュレーションすることができることを示す。Latchman et al., Proc. Natl. Acad. Sci
20
. USA 101: 10691-96 (2004)。PD−L1およびB7.1の両方がT細胞、B細胞、DC
、およびマクロファージ上で発現されるため、これらの細胞型上でのB7.1とPD−L
1の間に方向性の相互作用についての可能性がある。加えて、非造血系細胞上のPD−L
1が、T細胞上のB7.1ならびにPD−1と相互作用しうるが、PD−L1がそれらの
調節に関与しているか否かの問題を提起する。B7.1:PD−L1相互作用の阻害効果
についての1つの可能な説明は、T細胞PD−L1がCD28との相互作用からAPC B7.1を捕捉しうるまたはそれから分離しうることである。
【0078】
結果として、PD−L1を通じたシグナル伝達の拮抗作用(PD−1、B7.1のいず
れか、または両方との相互作用からPD−L1を遮断することと、それによりPD−L1
30
がT細胞および他の抗原提示細胞に対してネガティブな同時刺激シグナルを送ることを予
防することとを含む)は、感染(例、急性または慢性)および腫瘍免疫に応答した免疫を
増強する可能性が高い。また、本発明の抗PD−L1抗体は、PD−1:PD−L1シグ
ナル伝達の他の成分のアンタゴニスト、例えば、アンタゴニスト抗PD−1および抗PD
−L2抗体と組み合わせてもよい。
【0079】
4.B7−H3
同時刺激シグナルは、また、B7−H3(B7RP−2、CD276、PRO352)
を通じて提供され、それは広くリンパ系および非リンパ系組織において発現される。Chap
oval et al., Nat. Immunol. 2: 269-74 (2001)。ヒトにおいて、B7−H3は4Igお
40
よび2Igバリアントの両方を有し、4Ig形態が優勢であり、2Igバリアントがマウ
スにおいて優勢である。Sun et al., J. Immunol. 168: 6294-97 (2002); Steinberger e
t al., J. Immunol. 172: 2352-59 (2004); Ling et al., Genomics 82: 365-77 (2003)
。
【0080】
最近の試験では、B7−H3がT細胞応答の刺激剤および阻害剤の両方であることが示
されている。刺激的活性化の証拠が以下により提供される:(1)抗CD3との組み合わ
せで、B7−H3/Ig融合物がCD4+およびCD8+T細胞増殖を同時刺激し、IF
N−γおよびCD8溶解活性を刺激した。Chapoval et al., Nat. Immunol. 2: 269-74 (
2001);および(2)EL−4リンパ腫モデルの腫瘍中へのB7−H3発現プラスミドの
50
(29)
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注射は、腫瘍の50%の完全退縮をもたらし、それはCD8+T細胞およびNK細胞に依
存的であった。しかし、いくつかの最近の試験では、この分子についての阻害的な役割が
示されている。B7−H3−/−APCノックアウトが、MLR応答におけるアロ反応性
T細胞増殖における2倍の増加を示す。抗CD3および抗CD28によるCD4 T細胞
の活性化は、いずれかの形態のB7−H3を用いてトランスフェクションされたHLA−
DR2において阻害された。Ling et al., Genomics 82: 365-77 (2003)。結果は、低下
した増殖およびIFN−γ、TNF−α、IL−10、およびGM−CSFの産生であっ
た。これらの試験の和解は、対立する機能を伴うB7−H3についての2つの受容体の存
在にありうる(CD28およびCTLA−4がB7.1およびB7.2を介してどのよう
にシグナル伝達を調節するかに類似する)。
10
【0081】
結果として、B7−H3シグナル伝達の遮断は、本発明の抗PD−L1抗体と組み合わ
せた場合に、感染および腫瘍免疫に対する免疫応答の増強に寄与しうる。
【0082】
5.B7−H4
B7ファミリーへの最も最近の追加はB7−H4(B7x、B7−S1、B7−H.5
、VTCN1、PRO1291)であり、それはT細胞応答のネガティブレギュレーター
である。Zang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100 (18), 10388-10392 (2003);
Watanabe et al., Nat. Immunol. 4 (7), 670-679 (2003); Prasad, et al., Immunity
18(6), 863-873 (2003); Sica et al., Immunity 18 (6), 849-861 (2003)。ヒトおよび
20
マウスの両方のB7−H4が、リンパ系器官(脾臓および胸腺)および非リンパ系器官(
肺、肝臓、精巣、卵巣、胎盤、骨格筋、膵臓、および小腸を含む)において広く発現され
る。B7−H4は、正常ヒト組織において、IHCまたはB7−H4の翻訳レベルでの調
節により検出されない。IHCでは、B7−H4が肺および卵巣の腫瘍において高度に発
現されることが示され、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)分析では、マウス
B7−H4が前立腺、肺、および結腸の癌細胞株においても高度に発現されることが示さ
れる。B7−H4は、活性化T細胞(しかし、ナイーブT細胞ではない)上の未知の受容
体に結合し、それはCTLA−4、ICOS、PD−1、およびB7−H3についての受
容体とは別々である。BTLAがB7−H4についてのリガンドであると最初に報告され
たが、野生型細胞(しかし、BTLA−/−細胞ではない)へのB7−H4/Ig融合物
30
の報告された結合によって、HVEM(BTLAではない)がB7−H4についての固有
のリガンドであるという結論に説得力がある。Sedy et al., Nat. Immunol. 6: 90-98 (2
004)。
【0083】
B7−H4トランスフェクタントおよび固定化されたB7−H4/Ig融合物を用いた
試験では、B7−H4がTCR媒介性のCD4+およびCD8+T細胞増殖、G0/G1
期における細胞周期進行、およびIL−2産生を阻害するシグナルを送達することが実証
される。Sica et al., Immunity 18: 849-61 (2003); Zang et al., PNAS 100: 10388-92
(2003); Prasad et al., Immunity 18: 863-73 (2003)。B7.1同時刺激は、B7−H
4/Ig誘導性阻害を克服することができない。抗B7−H4抗体を遮断することによっ
40
て、in vitroでT細胞増殖およびIL−2産生が増加した。完全フロイントアジ
ュバント(CFA)中でのキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)の投与に相応す
る抗B7−H4抗体のin vivoでの投与が、KLHを用いたin vitroでの
再刺激時に抗KLH抗体IgM産生における適度な増加ならびにT細胞増殖およびIL−
2産生における2∼3倍の増加に導き、抗B7−H4の存在におけるin vivoでの
より大きなT細胞初回刺激を示唆する。抗B7−H4遮断抗体は、EAEの発症および重
症度を顕著に加速させ、抗B7−H4処置された自己免疫マウスモデルの脳においてCD
4+およびCD8+T細胞ならびにCD11b+マクロファージを増加させた。B7−H
4に関して利用可能な組み合わせ実験データは、それが末梢組織における免疫応答をダウ
ンレギュレーションし、T細胞寛容の調節において役割を果たしうることを示唆する。B
50
(30)
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7−H4の発現は、また、腫瘍免疫における宿主免疫応答の回避において役割を果たしう
る。Choi et al., J. Immunol. 171: 4650-54 (2003)。結果として、B7−H4の拮抗作
用は、本発明の抗PD−L1抗体と組み合わせた場合、感染および腫瘍免疫に対する免疫
応答を増強するために有用でありうる。
【0084】
6.BTLA:
B7ファミリーメンバーBTLA(CD272、BTLA−1)は、PD−1およびC
TLAと機能的に類似している。Th1細胞用の選択マーカーとして最初に同定され、B
TLAはリンパ球だけで発現される。CTLA−4、ICOS、およびPD−1と同様に
、BTLAは活性化の間にT細胞上で誘導される。しかし、ICOS(Th2細胞では上
10
昇したままであるが、しかし、Th1細胞ではダウンレギュレーションされる)とは対照
的に、BTLAはTh1細胞(しかし、Th2細胞ではない)では発現されたままである
。PD−1と同様に、BTLAは、B細胞上でも発現される。Gavrieli et al., Biochem
. Biophys. Res. Commun. 312: 1236-43 (2003)。しかし、BTLAは休止中のB細胞お
よび活性化B細胞の両方で発現されるのに対し、PD−1は活性化B細胞でアップレギュ
レーションされる。BTLAは2つのITIMモチーフを有する。
【0085】
BTLAは、BおよびTリンパ球の両方に対して阻害効果を発揮する。Watanabe et al
., Nat. Immunol. 4: 670-79 (2003)。BLTA−/−B細胞は、抗IgMに対する適度
な応答(しかし、in vitroでの抗CD3に対する増加した応答)を示す。極性化
20
−/−
BTLA
Th1細胞は、in vitroで、抗原暴露に応答して増殖における2
倍の増加を示す。in vivoで、BTLA−/−マウスは、ハプテン特異的抗体応答
における3倍の増加およびEAE対する増強された感受性を示す。BTLA−/−マウス
の表現型は、PD−1−/−マウスの表現型に似ており、自己免疫に対する増加した感受
性、しかし、CTLA−4−/−マウスよりも軽微な表現型を示す。しかし、ネガティブ
レギュレーターとしてのその役割を考えると、BTLAの遮断は、本発明の抗PD−L1
抗体と組み合わせた場合、感染および抗腫瘍免疫において免疫応答を増強するために有用
であることが判明しうる。
【0086】
興味深いことに、IgスーパーファミリーメンバーBTLAは、また、TNFRファミ
30
リーメンバーHVEMと相互作用することが最近示されている。Sedy et al., Nat. Immu
nol. 6: 90-98 (2005); Gonzalez et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102: 1116-1121
(2005)。HVEMは、TNFRファミリー同時刺激因子の下で、下に概説される。
【0087】
E.TNFRファミリー同時刺激因子
1.OX40/OX40L(CD134)
OX40(CD134、TXPG1L、TNFRSF4)およびOX40L(CD13
4L、CD252、GP34、TNFSF4、TXGP1)欠損マウスは、ウイルス抗原
および一般的なタンパク質抗原の両方に対しておよび接触過敏反応において低下した一次
CD4+T細胞応答を有する。Chen et al., Immunity 11: 689-698 (1999); Kopf et al
40
., Immunity 11: 699-708 (1999); Murata et al., J. Exp. Med. 191: 365-374 (2000);
Gramaglia et al., J. Immunol. 165: 3043-3050 (2000)。より低い頻度の抗原特異的エ
フェクターT細胞が、一次応答における後期に生成され、より少ない記憶T細胞が発生す
る。Gramaglia et al., supra。CD27を欠損したT細胞とは対照的に、初期増殖は、
OX40を欠損したナイーブCD4+T細胞集団において損なわれていない。しかし、低
下した増殖および顕著なアポトーシス細胞死が活性化後4−5日目に生じ、結果としてわ
ずかなT細胞しか長期間生存しない。Rogers et al., Immunity 15: 445-455 (2001)。O
X40欠損CD8+T細胞を用いて、最初の細胞分裂は影響されず、しかし、一次エフェ
クター細胞の蓄積が抗原との遭遇後3−6日目に顕著に低下する。Croft et al., Nat. I
mmunol. 3: 609-620 (2003)。
50
(31)
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【0088】
樹状細胞またはT細胞によるOX40Lのトランスジェニック発現が、抗原応答性CD
4+T細胞の数を増加させ、異常なT細胞活性化に関連する自己免疫様症状を産生する。
Brocker et al., Eur. J. Immunol. 29: 1610-1616 (1999); Murata et al., J. Immunol
. 169: 4628-4636 (2002)。免疫化後、アゴニスト抗OX40抗体の注射が、一次応答の
ピーク時に、大多数の抗原反応性CD4+T細胞の蓄積、および生成される記憶T細胞の
数における同時増強をもたらす。Gramaglia et al., supra., Bansai-Pakala et al., Na
ture Med. 7: 907-912 (2001), Maxwell et al., J. Immunol. 164: 107-112 (2000); We
atherill et al., Cell. Immunol. 209: 63-75 (2001)。一次エフェクターCTLの増強
された蓄積が、抗原で初回刺激されたマウスがOX40に特異的なアゴニスト抗体を用い
10
て処置される場合に生じる。De Smedt et al., J. Immunol. 168: 661-670 (2002)。
【0089】
OX40は、一次免疫応答のピークで、新たに生成されたエフェクター細胞の生存を可
能にする後期作用シグナルを提供すると考えられる。OX40がCD28から下流で機能
するという良い証拠もある − CD28シグナルにより媒介されるOX40の増加発現
に加えて、CD28欠損対OX40欠損の機能分析によって、早期の一次T細胞応答がC
D28シグナルの非存在において顕著に損なわれるが、しかし、後期応答だけがOX40
シグナルの非存在において損なわれることが示されている。Rogers et al., Immunity 15
: 445-455 (2001); Bertram et al., J. Immunol. 168: 3777-3785 (2002)。
【0090】
20
結果として、OX40/OX40Lの活性化(例えばアゴニスト抗体の適用を通じて)
が、T細胞機能障害性障害を処置するために本発明の抗PD−L1抗体と組み合わせた場
合に有用でありうる可能性が高い。
【0091】
2.4−1BB (CD137)/4−1BBL、
OX40/OX40Lと同様に、4−1BB(CD137、TNFRSF9)および4
−1BBL(TNFSF9)を欠くT細胞では、より少ない抗原反応性CD8+T細胞が
、4−1BBLが存在しない場合に一次応答において蓄積し、より少ない記憶T細胞が発
生することが示される。DeBenedette et al., J. Immunol. 163: 4833-4841 (1999); Tan
et al., J. Immunol. 163: 4859-4868 (1999); Tan et al., J. Immunol. 164: 2320-23
30
25 (2000)。また、4−1BBLを遮断することによって、CD8+T細胞の最初の増殖
性応答は変化しないが、しかし、数回に分割された細胞のアポトーシスのため、3−6日
後の一次応答のピークでエフェクターCTLの蓄積が抑制される。Cooper et al., Eur.
J. Immunol. 32: 521-529 (2002)。アゴニスト抗4−1BB抗体および抗4−1BBL−
トランスフェクトAPCも同様の結果を産生している:CTLおよびCD4+T細胞応答
がin vivoで顕著に増加される。Melero et al., Nature Med. 3: 682-685 (1997)
; Melero et al., Eur. J. Immunol. 28: 1116-1121 (1998); Takahashi et al., J. Imm
unol. 162: 5037-5040 (1999); Guinn et al., J. Immunol. 162: 5003-5010 (1999); Ha
lstead et al., Nature Immunol. 3: 536-541 (2002); Takahashi et al., Immunol. Let
t. 76: 183-191 (2001); Bansal-Pakala et al., J. Immunol. 169: 5005-5009 (2002)。
40
4−1BB−特異的抗体は最初の増殖性応答を変化させず、4−1BBL遮断実験からの
結論を支持し、細胞−生存シグナルを供給する際での4−1BBの後期活性を指し示す。
【0092】
OX40と同様に、4−1BBは、一次免疫応答のピークで、新たに生成されたエフェ
クター細胞の生存を可能にする後期作用シグナルを提供すると考えられる。4−1BBが
CD28より後期に機能するという良い証拠もある − CD28シグナルにより媒介さ
れるOX40および4−1BBの増加発現に加えて、CD28欠損対4−1BB欠損の機
能分析によって、早期の一次T細胞応答がCD28シグナルの非存在において顕著に損な
われるが、しかし、後期応答だけがOX40シグナルの非存在において損なわれることが
示されている。Rogers et al., Immunity 15: 445-455 (2001); Bertram et al., J. Imm
50
(32)
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unol.168: 3777-3785 (2002)。
【0093】
アゴニスト抗CD137抗体が、CD8+CTLが中心的な役割を果たす癌において腫
瘍退縮を誘導することができる。Melero et al., Nat. Med. 3: 682-5 (1997); Hirano e
t al., Cancer Res. 65(3): 1089-96 (2005)。PD−L1の恒常的な誘導性発現は、その
ような腫瘍において耐性を与え、それはPD−L1の遮断時に可逆的である。Hirano et
al。
【0094】
結果として、4−1BB/4−BBLの活性化(例えばアゴニスト抗体の適用を通じて
)が、特にPD−L1アンタゴニスト(例、抗PD−L1抗体)との組み合わせで、T細
10
胞機能障害性障害を処置するために有用でありうる可能性が高い。
【0095】
3.CD27/CD27L(CD70)
T細胞応答の最初の段階におけるCD27(TNFRSF7、S152)およびCD2
7L(CD70、TNFSF7)シグナル伝達の重要性がin vitroでの遮断試験
において実証されており、それにおいてCD27/CD70相互作用が破壊された。Oshi
ma et al., Int. Immunol. 10: 517-526 (1998); Agematsu et al., J. Immunol. 153: 1
421-1429 (1994); Hintzen et al., J. Immunol. 154: 2612-2623 (1995)。CD27を欠
くT細胞は最初は正常に分裂するが、しかし、次に、活性化後3日目またはそれ以降に不
良に増殖する。Hendriks et al., Nature Immunol. 1: 433-440 (2000)。これは、CD2
20
7が、T細胞死の早期抑制によりまたは細胞周期に作用することにより、ナイーブT細胞
集団の最初の増殖の促進に関与し、活性化後2∼3日間持続的な分裂を可能にすることを
示す。これはCD27欠損マウスでのin vivo試験により裏付けられ、それにおい
て、より低い数の抗原特異的応答(4∼8日目)およびより少ない記憶T細胞が3週間ま
たはそれ以上にわたり発生する。Hendriks et al., supra。CD27の発現は、T細胞活
性化後、早期にアップレギュレーションされ、それが、エフェクター応答のピーク前に、
早期増殖を保持するシグナルを主に送達することを示唆する。
【0096】
結果として、CD27/CD27Lの活性化(アゴニスト抗体の適用を通じることを含
む)が、特に本明細書に記載する抗PD−L1抗体との組み合わせで、T細胞機能障害性
30
障害を処置するために有用でありうる可能性が高い。
【0097】
4.CD30/CD30L(CD153)
CD30(TNFRSF8、Ki−1)およびCD30L(CD153、TNFSF8
)シグナル伝達は、in vitroでのいくつかのT細胞機能について同時刺激的であ
る。Del Prete et al., J. Exp. Med. 182: 1655-1661 (1995), Bowen et al., J. Immun
ol. 156: 442-449 (1995)。CD30Lに対する遮断試薬は、Th2細胞の発生を抑制し
、in vitroでTh1細胞の発生を増強した。この活性は、CD30がTh2細胞
および2型細胞傷害性Tc2細胞により優先的に発現されることを示すデータと一致する
。Del Prete et al., supra, Nakamura et al., J. Immunol. 158: 2090-2098 (1996)。
40
CD30は、非極性化された一次応答においてナイーブT細胞の活性化後3∼4日目に発
現される。Nakamura et al., supra(その役割が2型サイトカイン支配的応答に制限され
ないことを示す)。
【0098】
CD30/CD30Lシグナル伝達の正確な機構は不明であるが、それがOX40およ
び4−1BBに類似しうることが示唆されている。養子性に転移された抗原特異的CD8
+T細胞が、CD30L欠損マウス中に転移される場合、それらは一次応答のピーク時に
多数蓄積せず、より少ない記憶T細胞が発生する。結果として、CD30が、また、増殖
および/または生存シグナルを提供し、一次応答のピーク時に多数の抗原特異的T細胞の
生成を可能にする。
50
(33)
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【0099】
結果として、CD27/CD27Lの活性化(アゴニスト抗体の適用を通じることを含
む)が、特に本明細書に記載する抗PD−L1抗体との組み合わせで、T細胞機能障害性
障害を処置するために有用でありうる可能性が高い。
【0100】
5.HVEM/LIGHT
T細胞同時刺激に対するHVEM(HVEA、ATAR、LIGHTR、TNFRSF
14、PRO509)およびLIGHT(CD258、HVEML、TR2、TNFSF
14、PRO726)の効果は、1)LIGHTがリンホトキシンβ受容体(LTβR)
にも結合する能力および2)HVEMが可溶性LTα3に結合する能力により複雑化され
10
る。このように、HVEM/LIGHTの効果の任意の試験では、また、このシグナル伝
達系についての他の結合パートナーの効果を考慮に入れるべきである。LIGHTの遮断
によって、同種混合リンパ球反応(MLR)において早期T細胞増殖およびサイトカイン
分泌を阻害することができる。Tamada et al., J. Immunol. 164: 4105-4110 (2000), Kw
on et al., J. Biol. Chem. 272: 14272-14276 (1997); Harrop et al., J. Immunol. 16
1: 1786-1794 (1998); Tamada et al., Nature Med. 6: 283-289 (2000)。炎症性サイト
カインの産生は、LIGHTがMHC不適合心臓同種移植片において遮断される場合に抑
制される。Ye et al., J. Exp. Med. 195: 795-800 (2002)。さらに、同種皮膚移植片が
、LIGHTおよびCD28の両方を欠損するレシピエントにおいて遅延した動態で拒絶
される。Scheu et al., J. Exp. Med. 195: 1613-1624 (2002)。遅延された移植片拒絶が
20
T細胞クローン増殖またはサイトカイン産生の早期抑制を示しうるとの示唆。この結論は
、(i)同種抗原に応答するLIGHT欠損脾細胞が、TH1およびTH2の両方のサイ
トカインの低下した産生ならびに細胞傷害性Tリンパ球活性(CTL)活性の弱い生成を
有することを示すin vitro試験[Sheu et al., supra.]ならびに(ii)LI
GHTの遮断がアロ反応性CTLの生成を低下させることを示すin vivo試験によ
り裏付けられる。Tamada et al., Nature Med. 6: 283-289 (2000)。
【0101】
結果として、HVEM/LIGHT(例えばアゴニスト抗体の適用を通じて)が、特に
本明細書に記載する抗PD−L1抗体との組み合わせで、T細胞機能障害性障害を処置す
るために有用でありうる可能性が高い。
30
【0102】
II.定義
「アレルゲン」または「免疫原」は、免疫応答を誘発することができる任意の分子であ
る。本明細書で使用する通り、この用語は、抗原分子自体、またはその供給源(例えば花
粉粒、動物のフケ、昆虫毒、または食物産物など)のいずれかを対象とする。これは抗原
という、免疫グロブリンまたはT細胞受容体により特異的に認識されることができる分子
を指す用語と対比される。免疫応答を誘導することが可能である任意の外来物質が、潜在
的なアレルゲンである。天然および合成由来の多くの異なる化学物質が、アレルゲン性で
あることが公知である。複雑な天然有機化学物質、特にタンパク質が、抗体媒介性アレル
ギーを起こす可能性が高いのに対し、単純な有機化合物、無機化学物質、および金属はT
40
細胞媒介性アレルギーをより優先的に起こす。一部の場合において、同じアレルゲンは1
を上回る型のアレルギーに関与しうる。アレルゲンへの暴露は、吸入、注射、注射、また
は皮膚接触を通じうる。
【0103】
免疫機能障害に関連する「機能障害」は、抗原刺激に対する免疫の低下した応答性の状
態を指す。この用語は消耗および/またはアネルギーの両方の共通エレメントを含み、そ
れにおいて抗原認識が生じうるが、しかし、後に続く免疫応答は感染または腫瘍増殖を制
御するのには無効である。
【0104】
「寛容」または「免疫学的寛容」は、免疫系が特定の抗原に対して防御的な免疫応答を
50
(34)
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増さないことである。寛容は天然または自己でありうるが、それにおいて身体はそれ自体
のタンパク質および抗原を攻撃せず、またはそれが免疫系の操作に起因して誘導されうる
。中枢性寛容がリンパ球発生の間に生じ、胸腺および骨髄において作動する。このプロセ
スの間に、自己抗原を認識するTおよびBリンパ球が、それらが完全な免疫担当細胞に発
生する前に除去される。このプロセスは胎児発生の間に最も活性であるが、しかし、未成
熟リンパ球が生成されるため生涯を通じて持続する。末梢T細胞寛容は、末梢組織に存在
する自己抗原に対する機能的な無応答性を指し、TおよびB細胞が成熟し、末梢に入った
後に生じる。これらのプロセスは、「調節性」T細胞による自己反応性細胞の抑制および
炎症に伴う同時刺激シグナルの非存在において抗原に遭遇するリンパ球における低応答性
(アネルギー)の生成を含む。「獲得」または「誘導寛容」は外部抗原に対する免疫系の
10
適応を指し、他の状況において細胞媒介性または体液性免疫を誘導する可能性が高いであ
ろう所与の抗原に対するリンパ系組織の特定の非反応性により特徴付けられる。成人にお
いて、寛容は、非常に大用量の抗原、または免疫応答の刺激のために要求される閾値を下
回る小用量の反復投与(例えば可溶性抗原の静脈内または舌下投与を介してなど)により
臨床的に誘導されうる。免疫抑制は、また、寛容の誘導を促進する。自己寛容の破綻は自
己免疫を導きうる。
【0105】
「T細胞機能を増強する」は、T細胞が持続するまたは増幅された生物学的機能を有す
るように、または消耗したもしくは不活性なT細胞を再生もしくは再活性化するように誘
導する、起こす、または刺激することを意味する。T細胞機能を増強する例は以下:CD
20
8+T細胞からのγ−インターフェロンの増加した分泌、増加した増殖、増加した抗原応
答性(例、ウイルスまたは病原体クリアランス)(介入前でのそのようなレベルと比較し
て)を含む。一実施態様において、増強のレベルは、少なくとも50%、あるいは60%、
70%、80%、90%、100%、120%、150%、200%である。この増強を測定す
る様式は、当業者に公知である。
【0106】
「T細胞機能障害性障害」は、抗原刺激に対する減少した応答性により特徴付けられる
T細胞の障害または状態である。特定の実施態様において、T細胞機能障害性障害は、P
D−1を通じた不適当な増加したシグナル伝達に特異的に関連する障害である。別の実施
態様において、T細胞機能障害性障害は、アネルギー性である、またはサイトカインを分
30
泌する、増殖する、もしくは細胞溶解活性を実行する減少した活性を有するものである。
特定の局面において、減少した応答性は、免疫原を発現する病原体または腫瘍の無効な制
御をもたらす。T細胞機能障害により特徴付けられるT細胞機能障害性障害の例は、未消
散の急性感染、慢性感染、および腫瘍免疫を含む。
【0107】
「慢性感染」は、感染性物質(例、病原体、例えばウイルス、細菌、原虫寄生虫、真菌
など)が、感染宿主において免疫応答を誘導しているが、しかし、急性感染の間にその宿
主から一掃または除去されていない感染を指す。慢性感染は、持続的、潜在的、または緩
徐でありうる。急性感染は、典型的には、数日間または数週間以内に免疫系により消散さ
れ(例、インフルエンザ)、持続感染は比較的低いレベルで数ヶ月、数年、数十年、また
40
は生涯にわたり持続しうる(例、B型肝炎)。対照的に、潜伏感染は、迅速に増加する高
悪性度の感染および上昇した病原体レベル(例、単純ヘルペス)の期間により中断された
長期間の無症状の活性により特徴付けられる。最後に、遅発性感染症は、疾患症状におけ
る緩やかで持続的な増加(例えば長期間の潜伏、それに続く臨床症状の発症後に開始する
長引く進行性の臨床経過など)により特徴付けられるものである。潜在的で持続的な感染
とは異なり、遅発性感染症は、急性期のウイルス増殖を伴って開始しないことがある(例
えば、ピコルナウイルス感染、ビスナウイルス(visnavirus)、スクレイピー、クロイツ
フェルト・ヤコブ疾患)。慢性感染を誘導することが可能である例示的な感染性物質は、
ウイルス(例、サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス、B型肝炎ウイルス
、C型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス、I型およびII型ヒト免疫不全ウイルス、
50
(35)
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1型および2型ヒトパピローマウイルス、ヒトTリンパ球向性ウイルス、1型および2型
、水痘帯状疱疹ウイルスなど)、細菌(例、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(My
cobacterium tuberculosis)、リステリア属(Listeria spp.)、クレブシエラ・ニュー
モニエ(Klebsiella pneumoniae)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus
pneumoniae)、スタヒロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ボレリア(
Borrelia)属、ヘリコバクターピロリなど)、原虫寄生虫(例、リーシュマニア(Leishm
ania)属、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、シストソーマ
(Schistosoma)属、トキソプラズマ(Toxoplasma)属、トリパノソーマ(Trypanosoma)
属、テニア・クラシセプス(Taenia carssiceps)など)、および真菌(例、アスペルギ
ルス(Aspergillus)属、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、コクシジオイ
10
デス・イミチス(Coccidioides immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histopla
sma capsulatum)、ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)など)を含む。
追加の感染性物質は、脳または神経の構造に、これらの組織においてタンパク質ミスフォ
ールディングをさらに伝播し、細胞死、組織損傷、および最終的な死を起こすアミロイド
プラークの形成を招くことにより影響を与えるプリオンまたはミスフォールドされたタン
パク質を含む。プリオン感染に起因する疾患の例は以下:クロイツフェルト・ヤコブ疾患
およびその変種、ゲルストマン−シュトロイスラー−シャインカー症候群(GSS)、致
死性家族性不眠症(sFI)、クールー、スクレイピー、牛における牛海綿状脳症(BS
E)(別名「狂牛」疾患)、種々の他の動物形態の脳症[例、伝播性ミンク脳症(TME
)、慢性消耗病(CWD)(オジロジカ、ヘラ鹿、およびミュールジカ)、ネコ海綿状脳
20
症、外来性有蹄類脳症(EUE)(ニアラ、オリックス、およびより大きなクーズー)、
ダチョウの海綿状脳症]を含む。
【0108】
「腫瘍免疫」は、腫瘍が免疫認識およびクリアランスを回避するプロセスを指す。この
ように、治療の概念として、腫瘍免疫は、そのような回避が減弱され、腫瘍が免疫系によ
り認識され、攻撃される場合、「処置」される。腫瘍認識の例は、腫瘍結合、腫瘍縮小、
および腫瘍クリアランスを含む。
【0109】
「B7ネガティブ同時刺激アンタゴニスト」(「BNCA」)は、B7ファミリーのメ
ンバーにより媒介されるTリンパ球上で発現された細胞表面タンパク質により媒介される
30
またはそれを通じたネガティブ同時刺激シグナルを減少、遮断、阻害、抑止し、それに干
渉する薬剤である。一局面において、BNCAは単独で、または本発明の抗PD−1抗体
との組み合わせで、機能障害性T細胞を非機能障害性にしうる。別の局面において、BN
CAは、B7ネガティブ同時刺激分子の核酸もしくはタンパク質の合成、発現、シグナル
伝達、および/または発現後プロセシングを阻害する薬剤でありうる。さらに別の局面に
おいて、BNCAは、B7ネガティブ同時刺激分子によるシグナル伝達を減少、遮断、阻
害、抑止し、またはそれに干渉する抗体、抗原結合抗体フラグメント、BNCAオリゴペ
プチド、BNCA RNAi、またはBNCA小分子である。例示的なB7ネガティブ同
時刺激分子は以下:CTLA−4、PD−L1、PD−1、B7.1(T細胞上で発現)
、PD−L2、B7−H3、およびB7−H4を含む。
40
【0110】
ポジティブ同時刺激アゴニストは、Tリンパ球上で発現された細胞表面タンパク質によ
り媒介されるまたはそれを通じた同時刺激シグナルを増加、増強、増大、または促進させ
る分子である。一局面において、ポジティブ同時刺激分子は、ポジティブ同時刺激経路を
活性化する細胞外ドメイン、可溶性構築物、またはアゴニスト抗体でありうる。例示的な
ポジティブ同時刺激分子は、B7スーパーファミリー分子(例、B7.1、B7.2、C
D28、およびICOS/ICOSL)を含む。追加の例は、TNFRファミリー同時刺
激分子(例、OX40/OX40L、41−BB/41−BBL、CD27/CD27L
、CD30/CD30L、およびHVEM/LIGHT)を含む。
【0111】
50
(36)
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「小分子」または「小有機分子」は、約500ダルトン未満の分子量を有するものであ
る。
【0112】
「干渉RNA」「RNAi」は、標的遺伝子の発現を低下させる10∼50ヌクレオチ
ド長のRNAであり、それにおいて鎖の部分は十分に相補的である(例、標的遺伝子と少
なくとも80%の同一性を有する)。RNA干渉の方法は、転写後レベル(例、翻訳)で
生じる遺伝子発現の標的特異的抑制(即ち、「遺伝子サイレンシング」)を指し、遺伝子
発現のRNA媒介性阻害の全ての転写後機構および転写機構、例えばP. D. Zamore, Scie
nce 296: 1265 (2002)およびHannan and Rossi, Nature 431: 371-378 (2004)に記載され
るものなどを含む。本明細書で使用する通り、RNAiは低分子干渉RNA(siRNA
10
)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、および/またはマイクロRNA(miRNA
)の形態でありうる。そのようなRNAi分子は、しばしば、別々の相補的なまたは部分
的に相補的なRNA鎖の形態で発現されうる二本鎖RNA複合体である。二本鎖RNA複
合体を設計するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、適したshRN
AおよびsiRNAの設計および合成は、Sandy et al., BioTechniques 39: 215-224 (2
005)において見出されうる。
【0113】
「低分子干渉RNA」または「siRNA」は、標的遺伝子の発現を低下させる10∼
50ヌクレオチド長の二本鎖RNA(dsRNA)二本鎖であり、それにおいて第1鎖の
部分は十分に相補的である(例、標的遺伝子と少なくとも80%の同一性を有する)。
20
siRNAは、上昇したインターフェロン合成、非特異的タンパク質合成阻害、および
RNA分解(哺乳動物細胞においてRNAiの使用に関連する細胞の自殺または死をしば
しばもたらす)により特徴付けられる抗ウイルス応答を特異的に回避するよう設計される
。Paddison et al., Proc Natl Acad Sci USA 99(3):1443-8.(2002)。
【0114】
「ヘアピン」という用語は、7∼20ヌクレオチドのループRNA構造を指す。「ショ
ートヘアピンRNA」または「shRNA」は、標的遺伝子の発現を低下させるヘアピン
ターンにより特徴付けられる一本鎖RNA(10∼50ヌクレオチド長)であり、それに
おいてRNA鎖の部分は十分に相補的である(例、標的遺伝子と少なくとも80%の同一
性を有する)。「ステム−ループ」という用語は、短い不対ループ(ロリポップ形状構造
30
を与える)で終わる二重らせんを形成する同じ分子塩基対の2つの領域間での対合を指す
。
【0115】
「マイクロRNA」または「miRNA」(以前にstRNAとして公知)は、「ステ
ム−ループ」構造により特徴付けられるプレmiRNAとして最初に転写される約10∼
70ヌクレオチド長の一本鎖RNAであり、それは、続いて成熟miRNAにプロセシン
グされ、その後RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)を通じたさらなるプロセ
シングを受け、る。
【0116】
「BNCA干渉RNA」または「BNCA RNAi」は、好ましくは特異的に、BN
40
CA核酸に結合し、その発現を低下させる。これは、B7ネガティブ同時刺激分子の発現
が、存在するBNCA RNAiを用いて、BNCA RNAiが存在しないコントロー
ルにおけるB7ネガティブ同時刺激分子の発現と比較し、より低いことを意味する。BN
CA RNAiは、公知の方法を使用して同定および合成してもよい(Shi Y., Trends i
n Genetics 19(1): 9-12 (2003), WO2003056012, WO2003064621, WO2001/075164, WO200
2/044321)。
【0117】
「BNCAオリゴペプチド」は、好ましくは特異的に、本明細書で記載するB7ネガテ
ィブ同時刺激ポリペプチド(受容体、リガンド、またはシグナル伝達成分を含む)にそれ
ぞれ結合するオリゴペプチドである。そのようなオリゴペプチドは、公知のオリゴペプチ
50
(37)
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ド合成方法論を使用して化学的に合成してもよく、または組換え技術を使用して調製およ
び精製してもよい。そのようなオリゴペプチドは、通常、少なくとも約5アミノ酸長、あ
るいは、少なくとも約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、1
7、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30
、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、
44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、5
7、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70
、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、
84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、9
7、98、99、または100アミノ酸長またはそれ以上である。そのようなオリゴペプ
10
チドは、過度の実験なく、周知の技術を使用して同定されうる。これに関して、ポリペプ
チド標的に特異的に結合することが可能であるオリゴペプチドについてオリゴペプチドラ
イブラリーをスクリーニングするための技術が、当技術分野において周知であることに注
目される(例、米国特許第5,556,762号、第5,750,373号、第4,70
8,871号、第4,833,092号、第5,223,409号、第5,403,48
4号、第5,571,689号、第5,663,143号;PCT公報WO84/035
06およびWO84/03564; Geysen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81
: 3998 4002 (1984); Geysen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82: 178 182 (1
985); Geysen et al., in Synthetic Peptides as Antigens, 130-149 (1986); Geysen e
t al., J. Immunol. MeTH102: 259 274 (1987); Schoofs et al., J. Immunol., 140: 61
20
1 616 (1988), Cwirla, S. E. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378 (1990); L
owman, H. B. et al. Biochemistry, 30: 10832 (1991); Clackson, T. et al. Nature,
352: 624 (1991); Marks, J. D. et al., J. Mol. Biol., 222: 581 (1991); Kang, A. S
. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 8363 (1991)、およびSmith, G. P., Curren
t Opin. Biotechnol., 2: 668 (1991)を参照のこと)。
【0118】
「BNCA小分子アンタゴニスト」または「BNCA小分子」は、好ましくは特異的に
、B7ネガティブ同時刺激ポリペプチドを阻害する、本明細書で定義するオリゴペプチド
または抗体以外の有機分子である。そのようなB7ネガティブ同時刺激シグナル伝達阻害
は、好ましくは、抗原刺激に応答性の機能障害T細胞を与える。例示的なBNCA小分子
30
は、公知の方法論を使用して、同定および化学的に合成してもよい(例、PCT公報WO
2000/00823およびWO2000/39585を参照のこと)。そのようなBN
CA小分子は、通常、約2000ダルトン未満のサイズ、あるいは、約1500、750
、500、250、または200ダルトン未満のサイズであり、好ましくは特異的に、本
明細書に記載するB7ネガティブ刺激性ポリペプチドに結合することが可能であり、過度
の実験なく周知の技術を使用して同定されうる。これ関して、ポリペプチド標的に結合す
ることが可能である分子について有機分子ライブラリーをスクリーニングするための技術
が、当技術分野において周知であることが注目される(例、PCT公報WO00/008
23およびWO00/39585を参照のこと)。
【0119】
40
「抗生物質」という用語は、微生物(例えばウイルス、細菌、真菌、または原虫など)
の増殖を特異的に阻害または無効にするが、しかし、投与される濃度および投与間隔で宿
主に対して非致死的である任意の分子を含む。本明細書で使用する通り、抗生物質という
用語は、抗菌薬剤、抗ウイルス薬剤、抗真菌薬剤、および抗原虫薬剤を含む。特定の局面
において、抗生物質は、投与濃度および投与間隔で宿主に対して非毒性である。抗菌性の
抗生物質または抗菌剤は、殺菌性(即ち、直接的に殺す)または静菌性(即ち、分裂を予
防する)として広く分類することができる。抗殺菌性の抗生物質は、狭スペクトル(即ち
、細菌(例えばグラム陰性など)の小クラスのサブセットにだけ影響を与える)または広
域スペクトル(即ち、広いクラスに影響を与える)としてさらに亜分類することができる
。抗生物質の例は以下:(i)アミノグリコシド、例、アミカシン、ゲンタマイシン、カ
50
(38)
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ナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、パ
ロマイシン、(ii)アンサマイシン、例、ゲルダナマイシン、ハービマイシン、(ii
i)カルバセフェム、例、ロラカルベフ、(iv)、カルバペネム、例、エルタペネム、
ドリペネム、イミペネム/シラスタチン、メロペネム、(v)セファロスポリン(cephao
lsporins)(第一世代)、例、セファドロキシル、セファゾリン、セファロチン、セファ
レキシン、(vi)セファロスポリン(第二世代)、例、セファクロル(ceflaclor)、
セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、(vi)セファロス
ポリン(第三世代)、例、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、
セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフ
トリアキソン、(vii)セファロスポリン(第四世代)、例、セフェピム、(viii
10
)、セファロスポリン(第五世代)、例、セフトビプロール、(ix)グリコペプチド、
例、テイコプラニン、バンコマイシン、(x)マクロライド、例、アジスロマイシン、ク
ラリスロマイシン、ジリトロマイシン(dirithromycine)、エリスロマイシン、ロキシス
ロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシン、スペクチノマイシン、(xi)
モノバクタム、例、アズトレオナム(axtreonam)、(xii)ペニシリン(penicilins
)、例、アモキシシリン、アンピシリン、axlocillin、カルベニシリン、クロキサシリン
、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、メチシリン(meticillin)、
ナフシリン、オキサシリン、ペニシリン、ピペラシリン(peperacillin)、チカルシリン
、(xiii)抗生物質ポリペプチド、例、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB
、(xiv)キノロン、例、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レ
20
ボフロキサシン、レメフロキサシン(lemefloxacin)、モキシフロキサシン、ノルフロキ
サシン、オフロキサシン(orfloxacin)、トロバフロキサシン、(xv)スルホンアミド
、例、マフェナイド、プロントジル、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファ
ニルアミド、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、トリメトプリム、トリメトプリ
ム−スルファメトキサゾール(TMP−SMX)、(xvi)テトラサイクリン、例、デ
メクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、テト
ラサイクリンおよび(xvii)その他、例えばarspenamine、クロラムフェニコール、
クリンダマイシン、リンコマイシン、エタンブトール、ホスホマイシン、フシジン酸、フ
ラゾリドン、イソニアジド、リネゾリド、メトロニダゾール、ムピロシン、ニトロフラン
トイン、プラテシマイシン、ピラジナミド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン、リファ
30
ンピン/リファンピシン、またはチニダゾールなどを含む。
【0120】
「抗ウイルス薬剤」という用語は、ウイルスの増殖、罹患、および/または生存を阻害
または無効にする任意の分子を含む。これは抗ウイルス薬物、例えば、(1)逆転写酵素
阻害剤、例えば:(a)ヌクレオシドアナログ逆転写酵素阻害剤(NRTI)(例、アシ
クロビル/アシクロビル(ZOVIRAX(登録商標)、ZOVIR(登録商標))、シドフォビル、
アジドチミジン/ジドブジン(AZT、RETROVIR(登録商標))、ジダノシン(ddI、
VIDEX(登録商標);ザルシタビン(ddC、HIVID(登録商標));スタブジン(d4T
、ZERIT(登録商標);ラミブジン(3TC、EPIVIR(登録商標));アバカビル(ZIAGE
N(登録商標));エムトリシタビン(EMTRIVA(登録商標));ブリブジン(HELPIN(登
40
録商標));エンテカビル(BARACLUDE(登録商標));イドクスウリジン;ビラミジン
(viramidine)(Valeant Pharmacueticalsによるタリバビリン(taribavirin))、シチ
ジンヌクレオシドアナログポリメラーゼ阻害剤PCI−6130、およびPharmasset/Roc
heによりプロドラッグバリアント(例、R7128);Merck/Isis Pharmaceuticalsによ
るヌクレオシドアナログ阻害剤−MK−0608、(b)ヌクレオチドアナログ逆転写酵
素阻害剤(NtRTIs)(例、テノホビル(VIREAD(登録商標));アデフォビル(PR
EVEON(登録商標)、HEPSERA(登録商標));ホミビルセン(VITRAVENE(登録商標))
;(c)非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、(NNRTIs)、エファビレンツ(SUSTIV
A(登録商標)、STOCRIN(登録商標));ネビラピン(VIRAMUNE(登録商標))、デラビ
ルジン(RESCRIPTOR(登録商標))、エトラビリン(INTELENCE(登録商標))、ロビリ
50
(39)
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ド;ViroChem PharmaによるHCV RNA依存的RNA合成酵素の非ヌクレオシド阻害
剤−VCH−759、PfizerによるHCVポリメラーゼ阻害剤の非ヌクレオシド阻害剤−
PF−868554;ならびに(d)ポリメラーゼ阻害剤、Boehringer Ingelheimによる
C型肝炎ウイルスのRNAポリメラーゼ−BILB−1941、RocheによるRNAポリ
メラーゼ阻害剤−R1626;ACH−0137171レプリカーゼ阻害剤(Achillion
Pharmaceuticals)、R7128(Roche/Pharmassetによるポリメラーゼ阻害剤)、AB
T−333およびABT−072(Abbottによるポリメラーゼ阻害剤)、BI 2071
27(Boehringer Ingelheimによるポリメラーゼ阻害剤)、PSI−7851(Pharmass
etによるポリメラーゼ阻害剤)、ANA598(Anadys Pharmaceuticalsによるポリメラ
ーゼ阻害剤)、MK−3281(Merckによるポリメラーゼ阻害剤)、IDX184(Ide
10
nixによるポリメラーゼ阻害剤)、GSK 625433(Glaxo Smith Klineによるポリ
メラーゼ阻害剤)、INX−189(Inhibitexによるポリメラーゼ阻害剤)、NM28
3(Idenixによるポリメラーゼ阻害剤)、HCV796(Wyethによりポリメラーゼ阻害
剤)、GL60667およびGS9190(Gileadによるポリメラーゼ阻害剤)、Pfizer
によるPF−00868554 0ポリメラーゼ阻害剤、VCH759、VCH916、
VX222、およびVX759(Virochemによるポリメラーゼ阻害剤)、IDX184お
よびIDX375(Idenixによるポリメラーゼ阻害剤)、BMS650032(Bristol
Myers Squibbによるポリメラーゼ阻害剤);(2)プロテアーゼ阻害剤、例えば、サキナ
ビル(FOROVASE(登録商標)/INVIRASE(登録商標))、リトナビル(NORVIR(登録商標
))、インジナビル(CRIXIVAN(登録商標))、ネルフィナビル(VIRACEPT(登録商標)
20
)、アンプレナビル(AGENERASE(登録商標))、ロピナビル(KALETRA(登録商標))、
アタザナビル(REYATAZ(登録商標))、ホスアンプレナビル(LEXIVA(登録商標))、
チプラナビル(APTIVUS(登録商標))、ダルナビル(PREZISTA(登録商標))、telapra
vir(VX−950);Vertex Pharmaceuticalsによる第二世代HCVプロテアーゼ阻害
剤、VX−500およびVX−813;Intermune/RocheによるNS3/4Aプロテアー
ゼ阻害剤、ITMN−191/R−7227、ボセプレビル、Schering-Ploughによるプ
ロテアーゼ阻害剤、SCH 503034、Medivir/TibotecによるHCV NS3/4
Aプロテアーゼ阻害剤、TMC435/TMC435350、Achillion Pharmaceutical
sによるACH−1625プロテアーゼ阻害剤、ACH−806、Achillion/Gileadによ
るプロテアーゼ阻害剤、BI201335およびBILN 2061、Boehringer Ingel
30
heimによるプロテアーゼ阻害剤、SCH 900518/SP900518(narla
previr)、Schering-Ploughによるプロテアーゼ阻害剤、MK−7009、Merckに
よるプロテアーゼ阻害剤、BMS−650032、BMS−790052、およびBMS
−791325、Bristol Myeres Squibbによるプロテアーゼ阻害剤、R7227、Roche
によるプロテアーゼ阻害剤、PHX1766、Phenomixによるプロテアーゼ阻害剤、AV
L−181、Avila Therapeuticsによるプロテアーゼ阻害剤、ビリベルジン、CTS−1
027、Roche Biosciencesによるプロテアーゼ阻害剤、VX985、Vertexによるプロ
テアーゼ阻害剤、VCH−759およびVCH−917、Virochem/Vertexによるプロテ
アーゼ阻害剤、IDX−136および316、Idenixによるプロテアーゼ阻害剤、ABT
−450、Abbottによるプロテアーゼ阻害剤、VBY 376、Virobayによるプロテア
40
ーゼ阻害剤;(3)インテグラーゼ阻害剤、例えば、ラルテグラビル(ISENTRESS(登録
商標))、エルビテグラビル;(4)ヌクレオシドアナログ/ヌクレオチドアナログ阻害
剤の組み合わせ治療、アトリプラ(テノホビル+エンブリシタビン(embricitabine)+
エファビレンツ)、コンビビル(ラミブジン(lamivudein)+ジドブジン)、(5)侵入
または融合阻害剤、例えば、マラビロク、エンフビルチド、ドコサノール、抗CD4抗体
、抗gp120抗体、抗CCR5抗体、HCV NS5aアンタゴニスト:(a)Arrow
TherapeuticsによるA−831、A−689、およびAZD2836、(b)Bristol My
ers SquibbによるBMS−790052およびBMS−824393、(c)Glaxo Smit
h KlineによるGSK−625433、(d)NS4aアンタゴニストACH−1095
;(5)成熟阻害剤、例えば:ベビリマットおよびバイブコン;(6)ウイルス放出阻害
50
(40)
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剤、例えば、ザナミビル(RELENZA(登録商標))、オセルタミビル(TAMIFLU(登録商標
))、アルビドール;(7)免疫応答エンハンサー、例えば以下:インターフェロン−α
(例、Biolex TherapeuticsによるBLX−883およびBLX 883 CR、Nautilu
s Biotechによるベレロフォン(belerofon)、LG Life Sciencesによる長時間作用型IF
N−α、IFN−α SR、Flamel Technologiesによる長時間作用型IFN−α2b CRおよびIFN−α2b XL、ペグ化IFN−α(例、PEG−IFN−α−2a,
PEGASYS(登録商標);PEG−IFN−α−2b,PEGINTRON(登録商標)))
、IFN−a2b−ヒト血清アルブミン融合タンパク質(ALBUFERON(登録商標));イ
ンターフェロン−β、IFN−β−1b(BETASERON(登録商標))、インターフェロン
−γ、インターフェロン−γ、ペグ化インターフェロン−γ(例、ZymoGenetics/Novo No
10
rdiskによるPEG−rIL−29)、インターフェロン−ω/白血球IIインターフェ
ロン(例、Intarcia Therapeutics)、Toll様受容体7アゴニスト、イミキモッド、
イサトリビン、およびAnadys Pharmaceuticalsによるそのプロドラッグバリアント(例、
ANA−975およびANA−971)を含む、オグルファニド(oglufanide)(IM8
62、L−Glu−L−Trp−OH)およびImplicit Bioscienceによるその脂質また
はグリコシル抱合型バリアント、NOV−205(例、Molixan(登録商標) − Novel
os Therapeutics, Inc.によるペプチド抗ウイルス剤)、Enzo Biochemによる抗ウイルス
剤EHC18、ガンマ−D−グルタミル−L−トリプトファン(例、SCV−07、SciC
lone Pharmaceuticals/Verta)、aloferon(例、aloferon−1−HGV
SGHGQHGVHG、aloferon−2−GVSGHGQHGVHG)、CPG 20
10101、Coley Pharmaceuticals/ActilonによるTLR−9アゴニスト;(8)抗ウ
イルスの相乗的エンハンサー(即ち、単独ではほとんど抗ウイルス特性がないが、しかし
、他の抗ウイルス剤の効果を増強する) − 例えば、クロロキン(choroquine)、グレ
ープフルーツジュース、ヒドロキシ尿素、レフルノミド、ミコフェノール酸、レスベラト
ロル、リトナビル(ritonavi);ならびに他の抗ウイルス薬物、例えばアマンタ
ジン、エドクスジン、ファムシクロビル(FAMVIR(登録商標))、ペンシクロビル、ホス
カルネット(fascarnet)、ホスホネット、ガンシクロビル(CYTOVENE(登録商
標)、CYMEVENE(登録商標)、VITRASERT(登録商標))、ガーダシル、イバシタビン、
イムノビル(imunovir)、モロキシジン、nexavir、ペラミビル、プレコ
ナリル、ポドフィロトキシン、リバビリン、リマンタジン、トリフルリジン、トリジビル
30
、トロマンタジン、ツルバダ、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、およ
びインターフェロンエンハンサー、例えばTransition TherapeuticsによるEMZ702
、ヒスタミン二塩酸(例、Ceplene(登録商標)+IFN−α);ならびに(9)雑多な
または未分類の抗ウイルス剤、例えば:Kemin PharmaceuticalsによりKPE−0200
3002(Artenimol)、ミトキノン、Antipodean Pharmaceuticalsによる補酵素Q10
抗酸化剤アゴニスト、アルファ−グルコシダーゼI阻害剤(例、Mx−3253、Migeni
x Pharmaceuticalsによるセルゴシビル(celgosivir)、カスタノスペルミン
、グルココルチコイドアンタゴニスト(例、HCV IRES阻害剤、ミフェプリストー
ン、VGX PharmaceuticalsによるVGX−410C)、肝臓アゴニスト(例、Phynova Pha
rmaceuticalsによるPYN17)、従来の薬草治療に由来する抗ウイルス薬剤、例、Phyn
40
ova PharmaceuticalsによるPYN18、カスパーゼ阻害剤(例、LB−84451、LG
Life Sciencesによる、emricasan、PfizerによるPF−03491390/IDN−65
56)、サイクロフィリンAへの結合を予防することによりウイルス複製を阻害するシク
ロスポリンアナログ(例、NovartisによるSDZ NIM 911、DebiopharmによるD
ebio−025)を含む。
【0121】
「抗真菌薬剤」という用語は、真菌の増殖、罹患、および/または生存を阻害または無
効にする任意の分子を含む。これは例えば以下:(1)ポリエン抗真菌剤、例えばナタマ
イシン(natamyin)、リモシジン、フィリピン、ナイスタチン、アンホテリシンB、カン
ジシンなど;(2)イミダゾール、例えばミコナゾール、ケトコナゾール(LOTRIMIN(登
50
(41)
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録商標))、エコナゾール、ビフォナゾール、ブトコナゾール、フェンチコナゾール、イ
ソコナゾール、オキシコナゾール、セルタコナゾール(ERTACZO(登録商標))、スルコ
ナゾール、チオコナゾールなど、(3)トリアゾール、例えばフルコナゾール、イトラコ
ナゾール、イサブコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾール、ボリコナゾール、テル
コナゾールなど;(4)アリルアミン、例えばテルビナフィン(LAMISIL(登録商標))
、アモロルフィン、ナフチフィン(Naftin(登録商標))、ブテナフィン(LOTRIMIN ULT
RA(登録商標))など;(5)エキノキャンディン、例えばアニデュラフンジン、カスポ
ファンギン、ミカファンギンなど、および抗真菌特性を伴う他の物質、例えば安息香酸、
cicclopix、フルシトシン、グリセオフルビン、ゲンチアナバイオレット、ハロ
プロジン、トルナフテート(TINACTIN(登録商標)、DESENEX(登録商標)、AFTATE(登
10
録商標))、ウンデシレン酸、ティーツリー油 − ISO 4730(メラレウカの油
、テルピネン− 4−オール型)シトロネラ油、レモングラス、オレンジ油、パルマロー
ザ油、パチョリ、レモンマートル、ニーム種子油、ヤシ油を含む。
【0122】
「抗原虫薬剤(anti-protozoan agent)」または「抗原虫薬剤(anti-protozoal agent
)」という用語は、原虫生物の増殖、罹患、および/生存を阻害または無効にする任意の
分子を含む。例示的な抗原虫薬剤は以下:(1)抗マラリア薬剤、例えば、キニン、キニ
マックス、キニジン、キニマックス、クロロキン(ARALEN(登録商標))、ヒドロキシク
ロロキン(Hydroxycloroquine)(PLAQUENIL(登録商標))、アモジアキン、ピリメタミ
ン(DARAPRIM(登録商標))、スルファドキシン、プログアニル、メフロキン(LARIAM(
20
登録商標))、ハロファントリン、プリマキン、アルテミシニンおよびその誘導体(例、
アルテメテル、アーテスネート(artensunate)、ジハイドロアルテミシニン、アルテテ
ル)、クリンダマイシン、ならびにその組み合わせ;(2)プロテアーゼ阻害剤、および
薬物、benznidaole、ブパルバクオン、カルバルソン、クリオキノール、ジスルフィラム
、エフロルニチン、エメチン、フラゾリドン、アンチモン酸メグルミン、メラルソプロー
ル、メトロニダゾール(FLAGYL(登録商標))、ミルテホシン、ニフルチモクス、ニタゾ
キサニド、オルニダゾール、硫酸パロモマイシン、ペンタミジン、ピリメタミン(DARAPR
IM(登録商標))、セクニダゾール、チニダゾールを含む。
【0123】
「ワクチン」という用語は、本明細書で使用する通り、宿主中に接種された場合、特定
30
の病原体に対して防御免疫を誘導する任意の非病原性免疫原を含む。ワクチンは多くの形
態を取ることができる。ワクチンは病原体と重要な抗原を共有するが、しかし、それ自体
は病原性がない全生物でありうる(例、牛痘)。ワクチンは、また、死滅(例、ソークポ
リオワクチン)または減弱(疾患を産生する能力を失っている、例、セービンポリオワク
チン)から調製することができる。ワクチンは、また、病原生物から単離された精製高分
子から調製することができる。例えば、不活性形態の可溶性細菌毒素を含むトキソイドワ
クチン(例、破傷風およびジフテリア)で、抗毒素抗体の産生をもたらすが、しかし、イ
ンタクトな細菌に対する免疫をもたらさない。サブユニットワクチン(例、B型肝炎)は
、目的の病原体から単離された単一の免疫原性タンパク質だけを含む。ハプテンコンジュ
ゲートワクチンは、特定の炭水化物または目的の病原体から単離されたポリペプチドエピ
40
トープを免疫原性担体(例えば破傷風トキソイドなど)に付着させる。これらの戦略では
、本質的に、エピトープをハプテンとして使用して抗体産生を誘導し、それは次に天然病
原体中の同じエピトープを認識する。しかし、最大限に効果的であるために、そのような
ワクチンはBおよびT細胞の両方の細胞エピトープを取り込まなくてはならず、T細胞エ
ピトープは、それらが宿主個人の免疫系により認識、提示、および応答されることができ
ることを確実にするように選ばなくてはならない。
【0124】
DNAワクチンは、筋肉内に注射された病原性タンパク質をコードするDNAを取り込
み、発現する宿主細胞の能力を利用する。
【0125】
50
(42)
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本明細書に記載する方法のために抗PD−L1抗体との組み合わせで使用することがで
きる抗ウイルスワクチンの例は、以下:Pevion BiotechによるHCVワクチン(vira
some)、TG4040(NS3、NS4、およびNS5Bに対する細胞(細胞傷害性
Tリンパ球CD4+およびCD8+)免疫応答を増強するように設計されたバイロンであ
るTransgeneによるMVA−HCV、CHRONVAC(登録商標)、Inovio Biomedicalによるコ
ドン最適化NS3/4a DNAワクチン、NovartisによるHCV/CpGワクチン、G
I−5005−GlobeimmuneによるHCVワクチン、IC41、Intercellによるポリ−L
−アルギニンとの組み合わせでHCV CD4およびCD8 Tエピトープを有する合成
ペプチドの混合物を含む。
【0126】
10
免疫原に対する宿主応答は、アジュバントとの混合物として投与された場合に増強する
ことができる。免疫アジュバントは、以下:(1)免疫原の保持を延長すること、(2)
免疫原の効果的サイズを増加すること(故に、食作用およびマクロファージへの提示を促
進すること)、(3)注射部位へのマクロファージまたは他の免疫細胞の流入を刺激する
こと、または(4)局所的なサイトカイン産生および他の免疫学的活性を促進することを
含む。例示的なアジュバントは以下:完全フロイントアジュバント(CFA)、アルミニ
ウム塩、およびムラミルジまたはトリペプチドといったマイコバクテリア由来タンパク質
を含む。
【0127】
「抗体」という用語は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する全長抗
20
体を含む)、ポリエピトープ特異性を伴う抗体組成物、多特異性抗体(例、二重特異性抗
体、ダイアボディ、および一本鎖分子、ならびに抗体フラグメント(例、Fab、F(a
b’)2、およびFv))。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書におい
て「抗体」と互換的に使用される。
【0128】
基本的な4鎖抗体単位は、2つの同一の軽(L)鎖および2つの同一の重(H)鎖で構
成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、J鎖と呼ばれる追加のポリペ
プチドと共に、5つの基本的なヘテロ四量体単位からなり、10の抗原結合部位を含み、
IgA抗体は、重合化し、J鎖との組み合わせで多価集合体を形成することができる2∼
5の基本的な4鎖単位からなる。IgGの場合において、4鎖単位は一般的に約150,
30
000ダルトンである。各L鎖が1つの共有結合的ジスルフィド結合によりH鎖に連結さ
れ、2つのH鎖が、H鎖アイソタイプに依存して、1つまたは複数のジスルフィド結合に
より互いに連結される。各々のHおよびL鎖が、また、規則的に間隔が空いた鎖内ジスル
フィド架橋を有する。各H鎖がN末端に可変ドメイン(VH)を有し、αとγ鎖の各々に
ついての3つの定常ドメイン(CH)ならびにμおよびεアイソタイプについての4つの
CHドメインが続く。各L鎖がN末端に可変ドメイン(VL)を有し、その他端に定常ド
メインが続く。VLがVHと整列され、CLが重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)と整
列される。特定のアミノ酸残基が、軽鎖と重鎖可変ドメインの間に界面を形成すると考え
られる。VHおよびVLの対合は、一緒に、単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラ
スの抗体の構造および特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology, 8th E
40
dition, Daniel P. Sties, Abba I. Terr and Tristram G. Parsolw (eds), Appleton &
Lange, Norwalk, CT, 1994,71頁および第6章を参照のこと。任意の脊椎動物種からの
L鎖を、2つの明らかに別々の型(それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づきカッパ
およびラムダと呼ばれる)の1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメイ
ン(CH)のアミノ酸配列に依存し、免疫グロブリンを異なるクラスまたはアイソタイプ
に割り当てることができる。5つのクラスの免疫グロブリン:IgA、IgD、IgE、
IgG、およびIgM(α、δ、ε、γ、およびμと命名される重鎖をそれぞれ有する)
がある。γおよびαクラスは、CH配列および機能における比較的小さな差に基づきサブ
クラスにさらに分けられる。例えば、ヒトは以下のサブクラス:IgG1、IgG2A、
IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2を発現する。
50
(43)
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【0129】
「単離」抗体は、その産生環境の成分(例、天然または組換え)から同定、分離、およ
び/または回収されていたものである。好ましくは、単離ポリペプチドは、その産生環境
からの全ての他の成分との会合がない。その産生環境の混入成分(例えば組換えトランス
フェクションされた細胞に起因するものなど)は、抗体についての研究、診断、または治
療的使用に典型的に干渉するであろう物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク
質性または非タンパク質性溶質を含みうる。好ましい実施態様において、ポリペプチドを
:(1)例えばローリー方法により決定される95重量%超の抗体まで、一部の実施態様
において、99重量%超まで;(1)スピニングカップシークエネーターの使用によるN
末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るために十分な程度まで、または
10
(3)クーマシーブルーもしくは、好ましくは銀染色を使用した非還元もしくは還元条件
下でのSDS−PAGEにより均一まで精製する。単離抗体は、in situの組換え
細胞内の抗体を含む。なぜなら、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないで
あろうからである。通常、しかし、単離ポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精
製工程により調製されるであろう。
【0130】
抗体の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ド
メインを指す。重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ「VH」および「VL」と言
ってもよい。これらのドメインは、一般的に、(同じクラスの他の抗体と比べ)抗体の最
も可変的な部分であり、抗原結合部位を含む。
20
【0131】
「可変」という用語は、可変ドメインの特定のセグメントが抗体の間で広範囲に配列に
おいて異なるという事実を指す。Vドメインは抗原結合を媒介し、その特定の抗原につい
ての特定の抗体の特異性を定義する。しかし、可変性は、可変ドメインの全長にわたり均
等に分布しない。代わりに、それは、軽鎖および重鎖の両方の可変ドメイン中の超可変領
域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントにおいて集中する。可変ドメインのより高度に
保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可
変ドメインは4つのFT領域を各々が含み、大部分がベータ・シート配置を採用しており
、3つのHVRにより連結され、それらはベータ・シート構造を連結する、および一部の
場合においてその部分を形成するループを形成する。各鎖中のHVRは一緒に近接してF
30
R領域により、および他の鎖からのHVRとまとめられ、抗体の抗原結合部位の形成に寄
与する(Kabat et al., Sequences of Immunological Interest, Fifth Edition, Nation
al Institute of Health, Bethesda, MD (1991)を参照のこと)。定常ドメインは、抗原
への抗体の結合に直接的に関与しないが、しかし、種々のエフェクター機能(例えば抗体
依存性の細胞毒性における抗体の関与など)を示す。
【0132】
「モノクローナル抗体」という用語は、本明細書で使用する通り、実質的に均質な抗体
の集団から得られる抗体を指し、即ち、この集団を含む個々の抗体は、少量で存在しうる
起こりうる天然の突然変異および/または翻訳後修飾(例、異性化、アミド化)を除き同
一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して向けられ
40
る。異なる決定基(エピトープ)に向けられた異なる抗体を典型的に含むポリクローナル
抗体調製物と対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に向けられる。そ
れらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の免疫グロブリンにより混入
されていないハイブリドーマ培養により合成されるという点で有利である。「モノクロー
ナル」という修飾語は、抗体の実質的に均質な集団から入手されるとして抗体の特徴を示
し、任意の特定の方法による抗体の産生を要求していると解釈されないはずである。例え
ば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、種々の技術により作製してもよく
、例えば以下:ハイブリドーマ方法(例、Kohler and Milstein., Nature, 256: 495-97
(1975); Hongo et al., Hybridoma, 14 (3): 253-260 (1995), Harlow et al., Antibodi
es: A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2nd ed.1988); Ham
50
(44)
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merling et al., in: Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681 (Elsevie
r, N.Y., 1981))、組換えDNA方法(例、米国特許第4,816,567号を参照のこ
と)、ファージ・技術(例、Clackson et al., Nature, 352: 624-628 (1991); Marks et
al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1992); Sidhu et al., J. Mol. Biol. 338(2): 299
-310 (2004); Lee et al., J. Mol. Biol. 340(5): 1073-1093 (2004); Fellouse, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 101(34): 12467-12472 (2004);およびLee et al., J. Immunol.
Methods 284(1-2): 119-132 (2004))、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座またはヒト免
疫グロブリン配列をコードする遺伝子の部分または全部を有する動物におけるヒトまたは
ヒト様抗体を産生するための技術(例、WO1998/24893;WO1996/34
096;WO1996/33735;WO1991/10741;Jakobovits et al., P
10
roc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 2551 (1993); Jakobovits et al., Nature 362: 255-25
8 (1993); Bruggemann et al., Year in Immunol. 7:33 (1993);米国特許第5,545
,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126
号;第5,633,425号;および第5,661,016号;Marks et al., Bio/Tech
nology 10: 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature 368: 856-859 (1994); Morrison,
Nature 368: 812-813 (1994); Fishwild et al., Nature Biotechnol. 14: 845-851 (19
96); Neuberger, Nature Biotechnol. 14: 826 (1996);およびLonberg and Huszar, Int
ern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)を参照のこと)を含む。
【0133】
「ネイキッド抗体」という用語は、細胞傷害成分または放射標識に抱合されていない抗
20
体を指す。
【0134】
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、または「抗体全体」という用語を互換的に使用
し、抗体フラグメントとは対照的に、その実質的にインタクトな形態の抗体を指す。具体
的には、抗体全体はFc領域を含む重鎖および軽鎖を伴うものを含む。定常ドメインは、
ネイティブ配列の定常ドメイン(例、ヒトネイティブ配列の定常ドメイン)またはそのア
ミノ酸配列バリアントでありうる。一部の場合において、インタクトな抗体は1つまたは
複数のエフェクター機能を有しうる。
【0135】
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の部分、好ましくはインタクトな抗体の抗
30
原結合および/または可変領域を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F
(ab’)2、およびFvフラグメント;ダイアボディ;直鎖状抗体(米国特許第5,6
41,870号、実施例2;Zapata et al., Protein Eng. 8(10): 1057-1062 [1995]を
参照のこと);一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を
含む。抗体のパパイン消化は、2つの同一の抗原結合性フラグメント(「Fab」フラグ
メントと呼ぶ)、および残存「Fc」フラグメント(容易に結晶化する能力を反映する命
名)を産生した。Fabフラグメントは、H鎖の可変領域ドメイン(VH)、および1つ
の重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)と共にL鎖の全体からなる。各Fabフラグメン
トは抗原結合に関して一価であり、即ち、それは単一の抗原結合部位を有する。抗体のペ
プシン処理によって、異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド連結Fabフラグ
40
メントに大まかに対応し、抗原を架橋することが依然として可能である単一の大きなF(
ab’)2フラグメントが産出される。Fab’フラグメントは、抗体ヒンジ領域からの
1つまたは複数のシステインを含むCH1ドメインのカルボキシ末端で少数の追加残基を
有することによりFabフラグメントとは異なる。Fab’−SHはFab’についての
本明細書の命名であり、それにおいて定常ドメインのシステイン残基は遊離チオール基を
持つ。F(ab’)2抗体フラグメントは、本来は、その間にヒンジシステインを有する
Fab’フラグメントの対として産生された。抗体フラグメントの他の化学共役も公知で
ある。
【0136】
Fcフラグメントは、ジスルフィドにより一緒にまとめられた両方のH鎖のカルボキシ
50
(45)
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末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域(特定の細胞型で見い出されるF
c受容体(FcR)によっても認識される領域)中の配列により決定される。
【0137】
「Fv」は、完全な抗原の認識部位および結合部位を含む最小限の抗体フラグメントで
ある。このフラグメントは、堅固な非共有結合的会合における1つの重鎖および1つの軽
鎖の可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインのフォールディングか
ら、抗原結合のためのアミノ酸残基を与え、抗体に抗原結合特異性を付与する6つの超可
変ループ(各々、H鎖およびL鎖からの3つのループ)が放射する。しかし、単一の可変
ドメイン(または抗原について特異的なわずか3つのHVRを含むFvの半分)でさえ抗
原を認識し、結合する能力を有する(結合部位の全体より低い親和性であるが)。
10
【0138】
「一本鎖Fv」(「sFv」または「scFv」とも略される)は、単一ポリペプチド
鎖中に連結されたVHおよびVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましく
は、sFvポリペプチドはVHドメインとVLドメインの間にポリペプチドリンカーをさ
らに含み、それはsFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする。s
Fvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vo
l. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp.269-315 (1994)を
参照のこと。
【0139】
本発明の抗体の「機能的フラグメント」はインタクトな抗体の部分を含み、一般的に、
20
インタクトな抗体の抗原結合領域もしくは可変領域または修飾されたFcR結合能を保持
するまたは有する抗体のFc領域を含む。抗体フラグメントの例は、直鎖抗体、一本鎖抗
体分子、および抗体フラグメントから形成される多特異性抗体を含む。
【0140】
「ダイアボディ」という用語は、VHドメインとVLドメインの間に短いリンカー(約
5∼10残基)を伴うsFvフラグメント(前のパラグラフを参照のこと)を構築するこ
とにより調製される小さな抗体フラグメントを指し、Vドメインの分子間鎖(しかし、鎖
内対合ではない)が達成され、それにより二価フラグメント(即ち、2つの抗原結合部位
を有するフラグメント)をもたらす。二特異性ダイアボディは2つの「クロスオーバー」
sFvフラグメントのヘテロ二量体であり、それにおいて2つの抗体のVHおよびVLド
30
メインが異なるポリペプチド鎖上に存在する。ダイアボディは、例えば、EP 404,097;WO
93/11161;Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448 (1993)にお
いてより詳細に記載される。
【0141】
本明細書におけるモノクローナル抗体は、具体的には、「キメラ」抗体(免疫グロブリ
ン)を含み、それにおいて重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の種に由来するまたは
特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一であるま
たは相同であり、鎖の残りは、それらが所望の生物学的活性を示す限り、別の種に由来す
るまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびにそのような抗体のフ
ラグメントにおける対応する配列と同一であるまたは相同である(米国特許第4,816
40
,567号; Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851-6855 (1984)
)。本明細書における目的のキメラ抗体はPRIMATIZED(登録商標)抗体を含み
、それにおいて抗体の抗原結合領域は、、例えば、マカクザルを目的の抗原を用いて免疫
化することにより産生される抗体に由来する。本明細書で使用する通り、「ヒト化抗体」
は「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0142】
非ヒト(例、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小
配列を含むキメラ抗体である。一実施態様において、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(
レシピエント抗体)であり、それにおいてレシピエントのHVR(以下に定義する)から
の残基が、非ヒト種、例えば所望の特異性、親和性、および/または能力を有するマウス
50
(46)
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、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類など(ドナー抗体)のHVRからの残基により置
換される。一部の例において、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基は
、対応する非ヒト残基により置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にお
いてまたはドナー抗体において見い出されない残基を含みうる。これらの改変を、抗体性
能(例えば結合親和性など)をさらに洗練させるために作製してもよい。一般的に、ヒト
化抗体は、実質的に全てまたは少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインを
含み、それにおいて超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンのそ
れに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンのそれであるが、
FR領域は、、抗体性能(例えば結合親和性、異性化、免疫原性など)を改善する1つま
たは複数の個々のFR残基の置換を含みうる。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は
10
、典型的には、H鎖におけるわずか6つ、およびL鎖におけるわずか3つである。ヒト化
抗体は、場合により、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも部分、典型的にはヒ
ト免疫グロブリンのそれも含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al., Natu
re 321: 522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332: 323-329 (1988);およびPrest
a, Curr. Op. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992)を参照のこと。また、例えば、Vaswani
and Hamilton, Ann. Allergy, Asthma & Immunol. 1: 105-115 (1998); Harris, Biochem
. Soc. Transactions 23: 1035-1038 (1995); Hurle and Gross, Curr. Op. Biotech. 5:
428-433 (1994);ならびに米国特許第6,982,321号および第7,087,40
9号を参照のこと。
【0143】
20
「ヒト抗体」は、ヒトにより産生された抗体のアミノ酸性配列に対応するアミノ酸性配
列を保有し、および/または、本明細書で開示するヒト抗体を作製するための技術のいず
れかを使用して作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義では、具体的には、非ヒト抗
原結合残基を含むヒト化抗体が除外される。ヒト抗体を、当技術分野において公知の種々
の技術(ファージディスプレイライブラリーを含む)を使用して産生することができる。
Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol., 227: 381 (1991); Marks et al., J. Mol. Bio
l., 222: 581 (1991).また、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能な方法が、
Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985
); Boerner et al., J. Immunol., 147(1): 86-95 (1991)に記載される。また、van Dijk
and van de Winkel, Curr. Opin. Pharmacol., 5: 368-74 (2001)を参照のこと。ヒト抗
30
体は、抗原攻撃に応答してそのような抗体を産生するように改変されているが、しかし、
その内因性遺伝子座が無能になっているトランスジェニック動物(例、免疫化ゼノマウス
)に対して抗原を投与することにより調製することができる(例えば、XENOMOUSE(商標
)技術に関する米国特許第6,075,181号および第6,150,584号を参照の
こと)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体に関しては、
例えば、Li et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103: 3557-3562 (2006)を参照のこと
。
【0144】
「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、本明細書で使用される場
合、配列において超可変であり、および/または、構造的に定義されたループを形成する
40
抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は6つのHVRを含む;VH中の3つ(
H1、H2、H3)およびVL中の3つ(L1、L2、L3)。天然抗体において、H3
およびL3は6つのHVRの最も大きい多様性を提示し、特にH3は、抗体に微細な特異
性を付与する際に固有の役割を果たすと考えられる。例えば、Xu et al., Immunity 13:
37-45 (2000); Johnson and Wu, in Methods in Molecular Biology 248: 1-25(Lo, ed.,
Human Press, Totowa, NJ, 2003)を参照のこと。実際に、重鎖だけからなる天然ラクダ
抗体は、軽鎖の非存在において機能的かつ安定的である。例えば、Hamers-Casterman et
al., Nature 363: 446-448 (1993); Sheriff et al., Nature Struct. Biol. 3: 733-736
(1996)を参照のこと。
【0145】
50
(47)
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多くのHVR描写が本明細書において使用され、包含される。Kabatの相補性決定領域
(CDR)は配列可変性に基づき、最も共通して使用される(Kabat et al., Sequences
of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National I
nstitutes of Health, Bethesda, MD.(1991))。Chothiaは、代わりに、構造的ループの
位置を指す(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196: 901-917 (1987))。AbM HV
Rは、KabatのHVRとChothiaの構造的ループの間での妥協を表わし、Oxford Molecular
's AbM抗体モデリングソフトウェアにより使用される。「接触」HVRは、利用可能な複
雑な結晶構造の分析に基づく。これらのHVRの各々からの残基を以下に指摘する。
ループ Kabat AbM Chothia 接触
---- ----- --- ------- -------
10
L1 L24-L34 L24-L34 L26-L32 L30-L36
L2 L50-L56 L50-L56 L50-L52 L46-L55
L3 L89-L97 L89-L97 L91-L96 L89-L96
H1 H31-H35B H26-H35B H26-H32 H30-H35B
(Kabatナンバリング)
H1 H31-H35 H26-H35 H26-H32 H30-H35
(Chothiaナンバリング)
H2 H50-H65 H50-H58 H53-H55 H47-H58
H3 H95-H102 H95-H102 H96-H101 H93-H101
【0146】
20
HVRは以下の通りの「伸長HVR」:VL中24−36または24−34(L1)、
46−56または50−56(L2)および89−97または89−96(L3)ならび
にVH中26−35(H1)、50−65または49−65(H2)および93−102
、94−102、または95−102(H3)を含みうる。可変ドメイン残基を、Kabat
et al., supraに従って、これらの定義の各々について番号付けする。
【0147】
「Kabatにおける可変ドメイン残基ナンバリング」または「Kabatにおけるアミノ酸位置
ナンバリング」という表現、ならびにそのバリエーションは、Kabat et al., supraにお
いて抗体の編集での重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインについて使用されるナンバ
リングシステムを指す。このナンバリングシステムを使用し、実際の直鎖アミノ酸配列は
30
、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮、またはその中への挿入に対応するより少ない
または追加のアミノ酸を含みうる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後の
単一アミノ酸インサート(Kabatに従った残基52a)および重鎖FR残基82の後の挿
入残基(例、Kabatに従った残基82a、82b、および82cなど)を含みうる。残基
のKabatナンバリングは、「標準的な」Kabatナンバリング配列を伴う抗体の配列の相同性
の領域でのアラインメントにより所与の抗体について決定することができる。
【0148】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書で定義するHVR残基以外のそれ
らの可変ドメイン残基である。
【0149】
40
「ヒトコンセンサスフレームワーク」または「アクセプターヒトフレームワーク」は、
ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も共通して生じ
るアミノ酸残基を表わすフレームワークである。一般的に、ヒト免疫グロブリンVLまた
はVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループからである。一般的に、配列のサ
ブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th
Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)に
おけるサブグループである。例は、VLについて、サブグループは、Kabat et al., supr
aにおけるサブグループカッパI、カッパII、カッパIII、またはカッパIVであり
うる。加えて、VHについて、サブグループは、Kabat et al., supraにおけるサブグル
ープI、サブグループII、サブグループIIIでありうる。あるいは、ヒトコンセンサ
50
(48)
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スフレームワークは上に由来しうるが、それにおいて特定の残基、例えば、ヒトフレーム
ワーク残基が、ドナーフレームワーク配列を種々のヒトフレームワーク配列のコレクショ
ンと整列化することにより、ドナーフレームワークとのその相同性に基づいて選択される
場合などである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワ
ークに「由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含みう
る、またはそれは既存のアミノ酸配列変化を含みうる。一部の実施態様において、既存の
アミノ酸変化の数は、10またはそれ以下、9またはそれ以下、8またはそれ以下、7ま
たはそれ以下、6またはそれ以下、5またはそれ以下、4またはそれ以下、3またはそれ
以下、あるいは2またはそれ以下である。
【0150】
10
「VHサブグループIIIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat et al., supraの
可変重鎖サブグループIII中のアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含む。一
実施態様において、VHサブグループIIIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は
、以下の配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAAS(HC−FR1)
(配列番号4)、WVRQAPGKGLEWV(HC−FR2)、(配列番号5)、RF
TISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCAR(HC−FR3、配列
番号6)、WGQGTLVTVSA(HC−FR4)、(配列番号7)の各々の少なくと
も部分または全てを含む。
【0151】
「VLカッパIコンセンサスフレームワーク」は、Kabat et al., supraの可変軽鎖カ
20
ッパサブグループI中のアミノ酸配列から得られるコンセンサス配列を含む。一実施態様
において、VHサブグループIコンセンサスフレームワークアミノ酸配列は、以下の配列
:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(LC−FR1)(配列番号11)
、WYQQKPGKAPKLLIY(LC−FR2)(配列番号12)、GVPSRFS
GSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(LC−FR3)(配列番号13
)、FGQGTKVEIKR(LC−FR4)(配列番号14)の各々の少なくとも部分
または全てを含む。
【0152】
特定の位置での(例、Fc領域の)「アミノ酸改変」は、特定の残基の置換または欠失
、あるいは特定の残基に隣接する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を指す。特定の残
30
基に「隣接する」挿入は、その1から2つの残基内の挿入を意味する。挿入は、特定の残
基に対するN末端またはC末端でありうる。本明細書における好ましいアミノ酸改変は置
換である。
【0153】
「親和性成熟」抗体は、それらの変化を保有しない親抗体と比較し、抗原についての抗
体の親和性において改善をもたらすその1つまたは複数のHVRにおける1つまたは複数
の変化である。一実施態様において、親和性成熟抗体は、標的抗原についてナノモル濃度
またはさらにピコモル濃度の親和性を有する。親和性成熟抗体は当技術分野において公知
の手順により産生される。例えば、Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992)に
は、VHおよびVLドメインシャッフリングによる親和性成熟が記載される。HVRおよ
40
び/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、例えば、以下により記載され
る:Barbas et al. Proc Nat. Acad. Sci. USA 91: 3809-3813 (1994); Schier et al. G
ene 169: 147-155 (1995); Yelton et al. J. Immunol. 155: 1994-2004 (1995); Jackso
n et al., J. Immunol. 154(7): 3310-9 (1995);およびHawkins et al, J. Mol. Biol.
226: 889-896 (1992)。
【0154】
本明細書で使用する通り、「特異的に結合する」または「特異的である」という用語は
、測定可能で再現性のある相互作用(例えば標的と抗体の間での結合など)を指し、それ
は生物学的分子を含む分子の異種集団の存在において標的の存在を決定可能である。例え
ば、標的(エピトープでありうる)に特異的に結合する抗体は、より大きな親和性、結合
50
(49)
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力を伴い、より容易に、および/またはそれが他の標的に結合するよりも大きな持続時間
を伴いこの標的に結合する抗体である。一実施態様において、無関係な標的への抗体の結
合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)により測定される通り、標的への
抗体の結合の約10%未満である。特定の実施態様において、標的に特異的に結合する抗
体は、解離定数(Kd)≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、または≦0.1nMを
有する。特定の実施態様において、抗体は、異なる種からのタンパク質間で保存されてい
るタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施態様において、特異的結合は
、排他的な結合を含みうるが、しかし、それを要求しない。
【0155】
「遮断」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物学的活性を
10
阻害または低下させるものである。一部の実施態様において、遮断抗体またはアンタゴニ
スト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的にまたは完全に阻害する。本発明の抗PD−L
1抗体はPD−1を通じてシグナル伝達を遮断し、抗原刺激に対する機能障害状態からT
細胞による機能的応答を回復させる。
【0156】
「アゴニスト」または活性化抗体は、それが結合する抗原によるシグナル伝達を増強ま
たは開始するものである。一部の実施態様において、アゴニスト抗体は、天然リガンドの
存在なしにシグナル伝達を起こすまたは活性化する。
【0157】
「固相」という用語は、本発明の抗体が付着することができる非水性マトリクスを記載
20
する。本明細書に包含される固相の例は、ガラス(例、制御された細孔ガラス)、ポリサ
ッカリド(例、アガロース)、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルアルコー
ル、およびシリコーンから部分的にまたは完全に形成されるものを含む。特定の実施態様
において、状況に依存して、固相はアッセイプレートのウェルを含みうる;他において、
それは精製カラム(例、親和性クロマトグラフィーカラム)である。この用語は、また、
別々の粒子の非連続的固相(例えば米国特許第4,275,149号に記載されるものな
ど)を含む。
【0158】
「抗体エフェクター機能」は、抗体のFc領域(ネイティブ配列Fc領域またはアミノ
酸配列バリアントFc領域)に起因するそれらの生物学的活性を指し、抗体アイソタイプ
30
に伴い変動する。抗体エフェクター機能の例は以下:C1q結合および補体依存的細胞傷
害;Fc受容体結合;抗体依存的細胞媒介性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受
容体(例、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;およびB細胞活性化を含む。「低
下または最小化」抗体エフェクター機能は、野生型または非改変抗体から少なくとも50
%(あるいは60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%
、98%、99%)だけ低下されるものを意味する。抗体エフェクターエフェクター機能の
決定は、当業者により容易に決定可能かつ測定可能である。好ましい実施態様において、
補体結合の抗体エフェクター機能、補体依存的細胞傷害、および抗体依存的細胞傷害が影
響を受ける。本発明の一部の実施態様において、エフェクター機能は、グルコシル化を除
去する定常領域中の突然変異(例、「エフェクターなし突然変異」)を通じて除去される
40
。一局面において、エフェクターなし突然変異は、CH2領域中のN297AまたはDA
NA突然変異(D265A + N297A)である。Shields et al., J. Biol. Chem.
276 (9): 6591-6604 (2001).あるいは、低下または除去されたエフェクター機能をもた
らす追加の突然変異はK322AおよびL234A/L235A(LALA)を含む。あ
るいは、エフェクター機能は、産生技術、例えば、グリコシル化しない宿主細胞(例、E
.coli)またはそれにおいてエフェクター機能を促進する際に無効または効果が低い
変化したグリコシル化パターンをもたらす宿主細胞における発現などを通じて低下または
除去することができる(例、Shinkawa et al., J. Biol. Chem. 278(5): 3466-3473 (200
3))。
【0159】
50
(50)
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「抗体依存的細胞媒介性細胞傷害」またはADCCは、細胞傷害の形態を指し、それに
おいて特定の細胞傷害性細胞(例、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマク
ロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)上に結合した分泌Igによって、これら
の細胞傷害性エフェクター細胞が抗原を持つ標的に特異的に結合し、続いて細胞毒素を用
いて標的細胞を殺すことが可能になる。抗体は細胞傷害性細胞を「武装」し、この機構に
よる標的細胞の死滅のために必要とされる。ADCC、NK細胞を媒介するための一次細
胞は、FcγRIIIだけを発現するのに対し、単球はFcγRI、FcγRII、およ
びFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFc発現が、Ravetch and Kinet, Annu. R
ev. Immunol. 9: 457-92 (1991)の464頁の表3にまとめられている。目的の分子のA
DCC活性を評価するために、in vitroADCCアッセイ(例えば米国特許第5
10
,500,362号または第5,821,337号に記載されるものなど)を実施しても
よい。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血単核球細胞(PB
MC)およびナチュラルキラー(NK)細胞を含む。あるいは、または加えて、目的の分
子のADCC活性を、in vivoで(例、動物モデル、例えばClynes et al., PNAS
USA 95: 652-656 (1998)に開示されるものなど)評価してもよい。
【0160】
本明細書において別記なき場合、免疫グロブリン重鎖中の残基のナンバリングは、Kaba
t et al., supraにおけるEUインデックスのものである。「KabatにおけるEUインデッ
クス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。
【0161】
20
本明細書において「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域(ネイ
ティブ配列Fc領域およびバリアントFc領域を含む)を定義するために使用される。免
疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変動しうるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、、通常
、位置Cys226のアミノ酸残基から、またはPro230から、そのカルボキシ末端
まで伸展すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによる
残基447)を、抗体の産生もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸の
組換え操作により除去してもよい。したがって、インタクト抗体の組成物は、全てのK4
47残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、およびK4
47残基を伴うおよび伴わない抗体の混合物を有する抗体集団を含みうる。本発明の抗体
における使用のための適したネイティブ配列Fc領域は、、ヒトIgG1、IgG2(I
30
gG2A、IgG2B)、IgG3、およびIgG4を含む。
【0162】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載する。好
ましいFcRはネイティブ配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗
体(ガンマ受容体)に結合し、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブク
ラス(これらの受容体の対立遺伝子バリアントおよび選択的スプライシング形態を含む)
を含み、FcγRII受容体はFcγRIIA(「活性化受容体」)およびFcγRII
B(「阻害受容体」)を含み、それらは、主に細胞質ドメインにおいて異なる、類似のア
ミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインにおいて免疫
受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIB
40
は、その細胞質ドメインにおいて免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフを含む(M. D
aeron, Annu. Rev. Immunol. 15: 203-234 (1997)を参照のこと)。FcRsは以下にお
いて概説される:Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol. 9: 457-92 (1991); Capel e
t al., Immunomethods 4: 25-34 (1994);およびde Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 1
26: 330-41 (1995)。他のFcR(今後、同定されるであろうものを含む)が、本明細書
における「FcR」という用語により包含される。
【0163】
「Fc受容体」または「FcR」は、また、新生児受容体FcRnを含み、それは胎児
への母親のIgGの転移に関与する。Guyer et al., J. Immunol.117: 587 (1976) and K
im et al., J. Immunol.24: 249 (1994).FcRnへの結合を測定する方法が公知である
50
(51)
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(例、Ghetie and Ward, Immunol. Today 18: (12): 592-8 (1997); Ghetie et al., Nat
ure Biotechnology 15 (7): 637-40 (1997); Hinton et al., J. Biol. Chem. 279 (8):
6213-6 (2004); WO 2004/92219(Hinton et al.)を参照のこと)。in vivoでの
FcRnへの結合およびヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清中半減期を、例え
ば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスまたはトランスフェクションされ
たヒト細胞株において、またはバリアントFc領域を有するポリペプチドを投与された霊
長類においてアッセイすることができる。WO 2004/42072(Presta)には、FcRへの結
合を改善または減弱させた抗体バリアントが記載される。また、Shields et al., J. Bio
l. Chem. 9(2): 6591-6604 (2001)を参照のこと。
【0164】
10
「エフェクター細胞」は、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を実施
する白血球である。一局面において、エフェクター細胞は少なくともFcγRIIIを発
現し、ADCCエフェクター機能を実施する。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、末
梢血単核球細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞
、および好中球を含む。エフェクター細胞は、天然の供給源(例、血液)から単離しても
よい。エフェクター細胞は、一般的に、エフェクター段階と関連するリンパ球であり、サ
イトカインを産生するために機能し(ヘルパーT細胞)、病原体と感染した細胞を殺し(
細胞傷害性T細胞)、または抗体を分泌する(分化B細胞)。
【0165】
「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、補体の存在における標的細胞の溶解を指
20
す。古典的補体経路の活性化は、その同種抗原に結合した(適切なサブクラスの)抗体へ
の補体系(C1q)の第1成分の結合により開始される。補体活性化を評価するために、
CDCアッセイ(例、Gazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods 202: 163 (1996)
に記載される)を実施してもよい。変化したFc領域アミノ酸配列および増加または減少
したC1q結合能を伴う抗体バリアントが、米国特許第6,194,551B1号および
WO99/51642に記載されている。それらの特許公報の内容は、具体的に、参照に
より本明細書に組み入れられる。また、Idusogie et al. J. Immunol. 164: 4178-4184 (
2000)を参照のこと。
【0166】
IgG中のNグリコシル化部位は、CH2ドメイン中のAsn297である。本発明は
30
、また、エフェクター機能が低下したまたは無いFc領域を有する抗原結合ヒト化抗体の
組成物を提供する。これを達成することができる1つの様式はA297N置換であり、そ
れは抗CD20抗体において補体結合およびエフェクター機能(「エフェクターなしFc
突然変異体」)を無効にすることが以前に示されている。Idusgie et al., supra.この突
然変異の結果として、哺乳動物細胞(例えばCHOなど)におけるこのFc突然変異を含
む本発明の抗PD−L1抗体の産生は、任意のグリコシル化を有さず、それは、その次に
、低下したまたは最小限のエフェクター機能をもたらす。あるいは、抗体エフェクター機
能は、非哺乳動物細胞(例えばE.coliなど)における発現により、CH2置換なし
に除去されうる。
【0167】
40
「結合親和性」は、一般的に、分子(例、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー
(例、抗原)の間での非共有結合的な相互作用の合計の強度を指す。別記なき場合、本明
細書で使用される通り、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例、抗体および抗原)の
間での1:1の相互作用を反映する内因性の結合親和性を指す。分子Xのそのパートナー
Yについての親和性は、一般的に、解離定数(Kd)により表わすことができる。親和性
は、当技術分野において公知の一般的な方法(本明細書に記載するものを含む)により測
定することができる。低親和性抗体は、一般的に、緩徐に抗原に結合し、容易に解離する
傾向があるのに対し、高親和性抗体は、一般的に、迅速に抗原に結合し、より長く結合し
たままになる傾向がある。結合親和性を測定する種々の方法が、当技術分野において公知
であり、そのいずれかを本発明の目的のために使用することができる。結合親和性を測定
50
(52)
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するための特定の説明的および例示的な実施態様が、以下に記載される。
【0168】
本発明の「Kd」または「Kd値」は、一実施態様において、Fabを最小濃度の(1
25
I)標識抗原と滴定系列の非標識抗原の存在において平衡化し、次に結合抗原を抗F
ab抗体コートプレートを用いて捕捉することにより、抗原についてのFabの溶液結合
親和性を測定する以下のアッセイにより、記載される通りに、Fabバージョンの抗体と
抗原分子を用いて実施される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)により測定する(Chen
, et al., (1999) J. Mol Biol 293: 865-881)。アッセイのための条件を確立するため
に、マイクロタイタ―プレート(Dynex)を一晩50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)
中の5ug/mlの捕捉抗Fab抗体(Cappel Labs)を用いてコートし、続いて、PBS中
10
の2%(w/v)ウシ血清アルブミンを用いて2∼5時間にわたり室温(約23℃)でブロッ
クする。非吸着プレート(Nunc #269620)において、100pMまたは26pM[1
25I]抗原を、目的のFabの連続希釈物と混合する(抗VEGF抗体Fab−12の
評価と一致する。Presta et al., (1997) Cancer Res. 57: 4593-4599)。目的のFab
を次に一晩インキュベートする;しかし、インキュベーションをより長期間(例、65時
間)にわたり持続し、平衡に達することを確実にしてもよい。その後、混合物を、室温で
の1時間にわたるインキュベーションのために捕捉プレートに移す。溶液を次に除去し、
プレートをPBS中の0.1% Tween−20を用いて8回洗浄する。プレートを乾
燥させた場合、150ul/ウェルのシンチラント(MicroScint-20; Packard)を加え、プ
レートをTopcountガンマカウンター(Packard)で10分間にわたりカウントする。20%
20
未満またはそれに等しい最高結合を与える各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける
使用のために選ぶ。
【0169】
別の実施態様において、Kdを、BIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)
3000機器(BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を使用した表面プラズモン共鳴アッセイを
使用することにより、25℃で固定化抗原CM5チップを用いて∼10応答単位(RU)
で測定する。簡単に説明すると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ
(CM5,BIAcore Inc.)を、供給業者の指示に従い、N−エチル−n’−(3−ジメチ
ルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイ
ミド(NHS)を用いて活性化する。抗原を、流速5μL/分での注射前に10mM酢酸ナト
30
リウム(pH4.8)を用いて5μg/ml(∼0.2μM)まで希釈し、約10応答単位(
RU)の共役タンパク質を達成する。抗原の注射に続き、1Mエタノールアミンを注射し
、未反応基を遮断する。動態測定のために、Fabの2倍連続希釈物(0.78nM∼50
0nM)を、PBS中で、0.05% TWEEN 20(商標)界面活性剤(PBST)
を用いて、25℃で、流速約25μL/分で注射する。会合速度(kon)および解離速度
(koff)を、簡単な1対1のLangmuir結合モデル(BIAcore(登録商標)Eva
luation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合および解離センサーグラムを同時に
適合させることにより算出する。平衡解離定数(Kd)を比率koff/konとして算
出する。例えば、Chen et al., J. Mol. Biol. 293: 865-881 (1999)を参照のこと。オン
速度が上の表面プラズモン共鳴アッセイにより106M-1S-1を超える場合、次に、オン速
40
度を、25℃でPBS(pH7.2)中の20nMの抗抗原抗体(Fab形態)の蛍光発光
強度(励起=295nm;発光=340nm、16nmバンドパス)における増加または減少を
測定する蛍光クエンチング技術を、分光計(例えばストップフロー装備分光光度計(Aviv
Instruments)または8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)
など)において、撹拌キュベットを用いて測定される増加濃度の抗原の存在において、使
用することにより決定することができる。
【0170】
本発明の「オン速度」、「会合の速度」、「会合速度」、または「kon」は、また、
上に記載の通りに、BIACORE(登録商標)2000またはBIACORE(登録商標)3000システム(
BIAcore, Inc., Piscataway, NJ)を使用して、25℃で、固定化抗原CM5チップを用
50
(53)
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いて約10応答単位(RU)で決定することができる。簡単に説明すると、カルボキシメチ
ル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5,BIAcore Inc.)を、供給業者の指示に
従い、N−エチル−n’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(E
DC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化する。抗原を、流
速5mL/分での注射前に10mM酢酸ナトリウム(ph4.8)を用いて5mg/ml(≒0.
2mM)まで希釈し、約10応答単位(RU)の共役タンパク質を達成する。抗原の注射に続
き、1Mエタノールアミンを加えて、未反応基を遮断する。動態測定のために、Fabの
2倍連続希釈物(0.78nM∼500nM)を、PBS中で、0.05% TWEEN 2
0(PBST)を用いて、25℃で、流速約25μL/分で注射する。会合速度(kon)
および解離速度(koff)を、簡単な1対1のLangmuir結合モデル(BIAcore
10
Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して、会合および解離センサーグラムを同時
に適合させることにより算出する。平衡解離定数(Kd)を比率koff/konとして
算出する。例えば、Chen, Y., et al., (1999) J. Mol Biol 293: 865-881を参照のこと
。しかし、オン速度が上の表面プラズモン共鳴アッセイにより106M-1S-1を超える場合
、次に、オン速度を、25℃でPBS(pH7.2)中の20nMの抗抗原抗体(Fab形
態)の蛍光発光強度(励起=295nm;発光=340nm、16nmバンドパス)における
増加または減少を測定する蛍光クエンチング技術を、分光計(例えばストップフロー装備
分光光度計(Aviv Instruments)または8000シリーズSLM-AMINCO分光光度計(ThermoSpec
tronic)など)において、撹拌キュベットを用いて測定される増加濃度の抗原の存在にお
いて、使用することにより決定することができる。
20
【0171】
「実質的に低下した」または「実質的に異なる」という表現は、本明細書で使用する通
り、2つの数値(一般的に、1つは分子に関連し、他は参照/比較分子に関連する)の間
での十分に高い程度の差を示し、当業者が、2つの値の間での差が、前記値(例、Kd値
)により測定される生物学的特徴の関連内で統計的な有意性であると考えうる。前記の2
つの値の間での差は、参照/比較分子についての値の機能として、例えば、約10%超、
約20%超、約30%超、約40%超、および/または約50%超である。
【0172】
「実質的に類似の」または「実質的に同じ」という用語は、本明細書で使用する通り、
2つの数値(例えば、1つは本発明の抗体に関連し、他は参照/比較抗体に関連する)の
30
間の十分に高い程度の類似性を示し、当業者が、2つの値の間での差が、前記値(例、K
d値)により測定される生物学的特徴の関連内で生物学的および/または統計的な有意性
がほとんどないと考えうる。前記の2つの値の間での差は、参照/比較値の機能として、
例えば、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、および/または約10
%未満である。
【0173】
ペプチド、ポリペプチド、または抗体配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同
一性」および「相同性」は、配列を整列させ、ギャップを導入し(必要な場合)、最高パ
ーセント配列同一性を達成した後(任意の保存的置換を配列同一性の部分として考えず)
、特定のペプチドまたはポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列中
40
のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決
定する目的のためのアラインメントは、当技術分野内にある種々の方法で、例えば、公的
に利用可能なコンピューターソフトウェア、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMEGAL
IGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどを使用して達成することができる。当業者は、
アラインメントを測定するための適切なパラメーター(比較されている配列の全長にわた
る最高アラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む)を決定
することができる。本明細書における目的のために、%アミノ酸配列同一性の値を、配列
比較コンピュータープログラムALIGN-2(作成者Genentech, Inc.)を使用して生成する。
ALIGN-2のソースコードが、U.S. Copyright Office, Washington D.C., 20559においてユ
ーザー文書と共にファイルされており、そこでは、それはU.S. Copyright Registration
50
(54)
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No.TXU510087下で登録される。ALIGN-2プログラムが、Genentech, Inc., South San Fran
cisco, Californiaを通じて公的に利用可能である。ALIGN-2プログラムを、UNIX操作シス
テム、好ましくはデジタルUNIX V4.0D上での使用のために編集すべきである。全ての配列
比較パラメーターがALIGN-2プログラムにより設定され、変動しない。
【0174】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較のために用いられる状況において、所与のアミノ酸配列A
の所与のアミノ酸配列Bに、それと、またはそれに対する%アミノ酸配列同一性(あるい
は、所与のアミノ酸配列Bに、それと、またはそれに対する特定の%アミノ酸配列同一性
を有するまたは含む所与のアミノ酸配列Aとして表現することができる)を以下:
100×分数X/Y
10
(式中、Xは、AおよびBのそのプログラムのアラインメントにおける配列アラインメン
トプログラムALIGN−2による同一のマッチとしてスコア化されるアミノ酸残基の数
であり、式中、YはBにおけるアミノ酸残基の総数である)の通りに算出する。アミノ酸
配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さとは等しくない場合、AのBに対する%アミノ酸配
列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは等しくないと理解されるであろう
。
【0175】
別に特記なき場合、本明細書で使用する全ての%アミノ酸配列同一性の値は、直前のパ
ラグラフにおいて記載される通りに、ALIGN-2コンピュータープログラムを使用して得ら
れる。
20
【0176】
本明細書における抗体をコードする「単離」核酸分子は、それが産生された環境におい
て通常会合している少なくとも1つの混入核酸分子から同定および分離される核酸分子で
ある。好ましくは、単離核酸は、産生環境に関連する全ての成分との会合がない。本明細
書におけるポリペプチドおよび抗体をコードする単離核酸分子は、それが天然で見出され
る形態または設定以外の形態である。単離核酸分子は、従って、細胞中に天然に存在する
本明細書におけるポリペプチドおよび抗体をコードする核酸から区別される。
【0177】
「コントロール配列」という用語は、特定の宿主生物において機能的に連結されたコー
ド配列の発現のために必要なDNA配列を指す。原核生物のために適したコントロール配
30
列は、例えば、プロモーター、場合により、オペレーター配列、およびリボソーム結合部
位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを
利用することが公知である。
【0178】
核酸は、それが、別の核酸配列と機能的な関係におかれた場合に「機能的に連結されて
いる」。例えば、プレ配列または分泌リーダー用のDNAを、それが、ポリペプチドの分
泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチド用のDNAに機能的に
連結し;プロモーターまたはエンハンサーを、それが配列の転写に影響を与える場合、コ
ード配列に機能的に連結し;または、リボソーム結合部位を、それが翻訳を促進するよう
に位置付けられる場合、コード配列に機能的に連結する。一般的に、「機能的に連結され
40
た」は、連結されたDNA配列が近接しており、および、分泌リーダーの場合では、近接
し、リーディング段階にあることを意味する。しかし、エンハンサーは近接する必要はな
い。連結は、便利な制限部位での連結により達成される。そのような部位が存在しない場
合、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを従来の実行に従って使用する。
【0179】
「エピトープタグ付き」という用語は、本明細書で使用する場合、「タグポリペプチド
」に融合された本明細書に記載されるポリペプチドまたは抗体を含むキメラポリペプチド
を指す。タグポリペプチドは、抗体を作製することができるエピトープを提供するための
十分な残基を有し、しかし、それは、それが融合されるポリペプチドの活性に干渉しない
ように十分に短い。タグポリペプチドは、好ましくは、また、抗体が他のエピトープと実
50
(55)
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質的に交差反応しないようにかなり固有である。適したタグポリペプチドは、一般的に、
少なくとも6つのアミノ酸残基および通常は約8∼50のアミノ酸残基(好ましくは、約
10∼20アミノ酸残基)を有する。
【0180】
本明細書で使用する通り、「イムノアドヘシン」という用語は、異種タンパク質の結合
特異性(「付着性」)を免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と組み合わせる
抗体様分子を命名する。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識および結合部
位以外の(即ち、「異種」である)所望の結合特異性を伴うアミノ酸配列と、免疫グロブ
リン定常ドメイン配列の融合体を含む。イムノアドヘシン分子のアドヘシン部分は、典型
的に、受容体またはリガンドの少なくとも結合部位を含む近接アミノ酸配列である。イム
10
ノアドヘシン中の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、任意の免疫グロブリン、例えばI
gG−1、IgG−2(IgG2AおよびIgG2Bを含む)、IgG−3、またはIg
G−4サブタイプ、IgA(IgA−1およびIgA−2を含む)、IgE、IgD、ま
たはIgMなどから得てもよい。Ig融合体は、好ましくは、Ig分子内の少なくとも1
つの可変領域の場所に、本明細書に記載するポリペプチドまたは抗体のドメインの置換を
含む。特定の好ましい実施態様において、免疫グロブリン融合体は、IgG1分子のヒン
ジ、CH2およびCH3、またはヒンジ、CH1、CH2、およびCH3領域を含む。免
疫グロブリン融合体の産生については、米国特許第5,428,130号(1995年6
月27日公開)も参照のこと。例えば、本明細書における組み合わせ治療のために有用で
ある第2の医薬として有用なイムノアドヘシンは、免疫グロブリン配列の定常ドメインに
20
融合された、PD−L1もしくはPD−L2の細胞外もしくはPD−1結合部分(あるい
はその逆)を含むポリペプチドを含む。
【0181】
「融合タンパク質」および「融合ポリペプチド」は、共有結合的に一緒に連結された2
つの部分を有するポリペプチドを指し、部分の各々は異なる特性を有するポリペプチドで
ある。特性は生物学的特性、例えばin vitroまたはin vivoでの活性など
でありうる。特性は、また、簡単な化学的または物理的特性、例えば標的分子に対する結
合、反応の触媒などでありうる。2つの部分を、単一ペプチド結合によりまたはペプチド
リンカーを通じて、互いにリーディングフレームで直接的に連結してもよい。
【0182】
30
「安定的な」製剤は、その中のタンパク質が保存時にその物理的および化学的な安定性
ならびに完全性を本質的に保持するものである。タンパク質の安定性を測定するための種
々の分析技術が、当技術分野において利用可能であり、Peptide and Protein Drug Deliv
ery, 247-301, Vincent Lee Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, New York, Pubs.(19
91)およびJones, A. Adv. Drug Delivery Rev. 10: 29-90 (1993)において概説される。
安定性は、選択された温度で、選択された時間にわたり測定することができる。迅速スク
リーニングのために、製剤を40℃で2週間から1ヶ月間にわたり保つことができ、その
時間で安定性を測定する。製剤を2∼8℃で保存する場合、一般的に、製剤は30℃また
は40℃で少なくとも1ヶ月にわたり安定であるおよび/または2∼8℃で少なくとも2
年間にわたり安定であるべきである。製剤を30℃で保存する場合、一般的に、製剤は少
40
なくとも2年間にわたり30℃で安定であるおよび/または40℃で少なくとも6ヶ月に
わたり安定であるべきである。例えば、保存の間での凝集の程度を、タンパク質安定性の
指標として使用することができる。このように、「安定な」製剤は、タンパク質の約10
%未満および好ましくは約5%未満が製剤中の凝集体として存在するものでありうる。他の
実施態様において、製剤の保存の間での凝集体形成における任意の増加を決定することが
できる。
【0183】
「再構成」製剤は、凍結乾燥タンパク質または抗体製剤を希釈剤中に、タンパク質が全
体に分散するように溶解することにより調製されたものである。再構成製剤は、目的のタ
ンパク質を用いて処置される患者に対する投与(例、皮下投与)のために適しており、本
50
(56)
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発明の特定の実施態様において、非経口または静脈内投与のために適したものでありうる
。
【0184】
「等張」製剤は、ヒト血液と本質的に同じ浸透圧を有するものである。等張製剤は、一
般的に、約250∼350mOsmの浸透圧を有する。「低張」という用語は、ヒト血液のも
のを下回る浸透圧を伴う製剤を記載する。対応して、「高張」という用語を使用して、ヒ
ト血液のものを上回る浸透圧を伴う製剤を記載する。等張性を、例えば、蒸気圧または製
氷型浸透圧計を使用して測定することができる。本発明の製剤は、塩および/または緩衝
剤の添加の結果として高張である。
【0185】
10
「担体」は、本明細書で使用する通り、用いた投与量および濃度でそれに暴露された細
胞または哺乳動物に対して非毒性である医薬的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤
を含む。しばしば、生理学的に許容可能な担体は、水性pH緩衝溶液である。生理学的に
許容可能な担体の例は、緩衝剤、例えばリン酸、クエン酸、および他の有機酸など;抗酸
化剤(アスコルビン酸を含む);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質
、例えば血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポ
リビニルピロリドンなど;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アル
ギニン、またはリジン;単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノース
、またはデキストリンを含む);キレート剤、例えばEDTAなど;糖アルコール、例え
ばマンニトールまたはソルビトールなど;塩形成対イオン、例えばナトリウムなど;およ
20
び/または非イオン界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PE
G)、およびPLURONICS(商標)である。
【0186】
「添付文書」は、適応、使用法、投与量、投与法、禁忌、パッケージされた産物と組み
合わせる他の医薬、および/またはそのような医薬の使用に関する警告などに関する情報
を含む、医薬の市販パッケージに通例含まれる適応に関する情報を含む、医薬の市販パッ
ケージに通例含まれる使用説明書を指す。
【0187】
「医薬的に許容可能な酸」は、それらが製剤化される濃度および様式で非毒性である無
機酸および有機酸を含む。例えば、適した無機酸は、塩酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ
30
化水素酸、硝酸、硫酸、スルホン酸、スルフィン酸、スルファニル酸、リン酸、炭酸など
を含む。適した有機酸は、適した有機酸は、直鎖および分枝鎖アルキル、芳香族酸、環状
酸、脂環式酸、アリール脂肪酸、複素環式酸、飽和、不飽和、モノ、ジ、およびトリカル
ボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、2−ヒドロキシ酢酸、トリフルオロ酢酸、フェニル酢酸、
トリメチル酢、tブチル酢酸、アントラニル酸、プロパン酸、2−ヒドロキシプロピオン
酸、2−オキソプロパン酸、プロパン酸、シクロペンタンプロピオン酸、シクロペンタン
プロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、ブタン酸、ブタンジオイン酸(butandioic)
、安息香酸、3−(4ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、2−アセトキシ−安息香酸、ア
スコルビン酸、肉桂酸、ラウリル硫酸、ステアリン酸、ムコン酸、マンデル酸、コハク酸
、エンボン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、マロン酸、乳
40
酸、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、グリコン酸、グルコン酸、ピルビン酸、グリオキ
サル酸、シュウ酸、メシル酸、コハク酸、サリチル酸、フタル酸、パルモ酸(palmoic)
、パルメイン酸(palmeic)、チオシアン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1
,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルフホン酸、ベンゼンスルホン酸、
4−コロベンゼンスルホン酸(chorobenzenesulfonic)、ナフタレン−2−スルホン酸、
p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルバイシクロ[2.2.2]
−オクト−2−エン−1−カルボキシル酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス
−3−(ヒドロキシ−2−エン−1−カルボキシル酸)、ヒドロキシナフトイン酸(hydr
oxynapthoic)を含む。
【0188】
50
(57)
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「医薬的に許容可能な塩基」は、それらが製剤化される濃度および様式で非毒性である
無機および有機塩基を含む。例えば、適した塩基は、金属を形成する無機塩基から形成さ
れるもの、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモ
ニウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム、N−メチルグルカミン、モルフォリン
、ピペリジンなどおよび有機非毒性塩基、1級、2級、および3級アミン、置換アミン、
環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、[例、N(R’)4+(式中、R’は非依存的
にHまたはC1−4アルキルである。例、アンモニウム、Tris)]、例えば、イソプ
ロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルア
ミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン(trimethamine
)、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイ
10
ン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカ
ミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリア
ミン樹脂などを含む。特に好ましい有機非毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルア
ミン、エタノールアミン、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、およびカフ
ェインである。本発明と共に使用可能な追加の医薬的に許容可能な酸および塩基は、アミ
ノ酸に由来するもの、例えば、ヒスチジン、グリシン、フェニルアラニン、アスパラギン
酸、グルタミン酸、リジン、およびアスパラギンを含む。
【0189】
「医薬的に許容可能な」緩衝剤および塩は、上に示された酸および塩基の酸性および塩
基性の両方の添加塩に由来するものを含む。特定の緩衝剤および/または塩は、ヒスチジ
20
ン、コハク酸、および酢酸を含む。
【0190】
「医薬的に許容可能な糖」は、目的のタンパク質と組み合わせた場合、保存時にタンパ
ク質の化学的および/または物理的な不安定性を有意に予防または低下する分子である。
製剤を凍結乾燥し、次に再構成することを意図する場合、「医薬的に許容可能な糖」は「
リオプロテクタント(lyoprotectant)」としても公知でありうる。例示的な糖およびそ
れらの対応する糖アルコールは以下:アミノ酸、例えばグルタミン酸一ナトリウムまたは
ヒスチジンなど;メチルアミン、例えばベタインなど;離液系列塩、例えば硫酸マグネシ
ウムなど;ポリオール、例えば三価アルコールまたはより高分子量の糖アルコール、例、
グリセリン、デキストラン、エリトリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトー
30
ル、ソルビトール、およびマンニトールなど;プロピレングリコール;ポリエチレングリ
コール;PLURONICS(登録商標);およびそれらの組み合わせ。追加の例示的なリオプロ
テクタントは、グリセリンおよびゼラチン、ならびに糖、メリビオース(mellibiose)、
メレジトース、ラフィノース、マンノトリオース、およびスタキオースを含む。還元糖の
例は、グルコース、マルトース、ラクトース、マルツロース、イソ−マルツロース、およ
びラクツロースを含む。非還元糖の例は、糖アルコールおよび他の直鎖多価アルコールか
ら選択されるポリヒドロキシ化合物の非還元グリコシドを含む。好ましい糖アルコールは
、モノグリコシド、特に二糖類、例えばラクトース、マルトース、ラクツロース、および
マルツロースなどの還元により得られる化合物である。グリコシド側基はグルコシドまた
はガラクトシドのいずれかでありうる。糖アルコールの追加の例は、グルシトール、マル
40
チトール、ラクチトール、およびイソ−マルツロースである。好ましい医薬的に許容可能
な糖は、非還元糖、トレハロースまたはスクロースである。医薬的に許容可能な糖を「保
護量」で製剤に加え(例、凍結乾燥前)、それは、タンパク質が保存の間(例、再構成お
よび保存後)にその物理的および化学的な安定性および完全性を本質的に保持することを
意味する。
【0191】
本明細書における目的の「希釈剤」は、医薬的に許容可能であり(ヒトへの投与につい
て安全で非毒性であり)、液体製剤(例えば凍結乾燥後に再構成される製剤など)の調製
のために有用であるものである。例示的な希釈剤は、滅菌水、静菌性注射用水(BWFI
)、pH緩衝溶液(例、リン酸緩衝食塩水)、無菌生理食塩液、リンゲル液、またはデキ
50
(58)
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ストロース溶液を含む。代わりの実施態様において、希釈剤は塩および/または緩衝剤の
水溶液を含むことができる。
【0192】
「保存剤」は、細菌の活性を低下するために本明細書の製剤に加えられることができる
化合物である。保存剤の添加は、例えば、複数回使用(複数用量)製剤の産生を容易にし
うる。潜在的な保存剤の例は、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、
ヘキサメトニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド(アルキル基が長鎖化合物で
あるアルキルベンジルメチルアンモニウムクロライドの混合物)、およびベンゼトニウム
クロライドを含む。保存剤の他の型は、芳香族アルコール、例えばフェノール、ブチル、
およびベンジルアルコールなど、アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベ
10
ン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−
クレゾールを含む。本明細書における最も好ましい保存剤は、ベンジルアルコールである
。
【0193】
「処置」は、処置されている個人または細胞の自然経過を変化させるように設計された
臨床介入であり、予防のためまたは臨床病理の経過の間に実施することができる。処置の
所望の効果は、疾患の発生または再発を予防すること、転移を予防すること、疾患進行の
速度を減少させること、疾患状態を寛解または緩和させること、および寛解または改善さ
れた予後を含む。一部の実施態様において、本発明の抗体を使用し、疾患または障害の発
生を遅延させる。被験者は、例えば、本発明のアポトーシス抗PD−L1抗体を使用して
20
T細胞機能障害性障害に関連する1つまたは複数の症状が軽減される場合、成功裏に「処
置される」。
【0194】
「有効量」は、少なくとも、所望のまたは示された効果(治療的または予防的な結果を
含む)を達成するために必要な投与量でおよび期間にわたり効果的な量を指す。例えば、
本発明の抗PD−L1抗体の有効量は、少なくとも、T細胞上のPD−1または他のAP
Cもしくは両方の上のB7.1を通じたPD−L1からのシグナル伝達の阻害をもたらす
最小濃度である。
【0195】
「治療的有効量」は、少なくとも、特定の障害の測定可能な改善または予防に効果を及
30
ぼすために要求される最小濃度である。本明細書における治療的有効量は、因子、例えば
患者の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに抗体が個人において所望の応答を誘
発する能力などに従って変動しうる。治療的有効量は、また、抗体の任意の毒性または有
害効果よりも治療的に有益な効果が勝るものである。例えば、本発明の抗PD−L1抗体
の治療的有効量は、少なくとも、T細胞機能障害性障害の少なくとも1つの症状の阻害を
もたらす最小濃度である。
【0196】
「予防的有効量」は、所望の予防的な結果を達成するために必要な投与量でおよび期間
にわたり効果的な量を指す。例えば、本発明の抗PD−L1抗体の予防的有効量は、少な
くとも、T細胞機能障害性障害の少なくとも1つの症状の発生を予防または減弱させる最
40
小濃度である。
【0197】
「慢性」投与は、延長した期間にわたり最初の治療効果(活性)を維持するような、急
性とは反対の持続的な様式での医薬の投与を指す。「間欠」投与は、中断なしに連続的に
行われないが、しかし、むしろ本来は周期的である処置である。
【0198】
処置の目的のための「哺乳動物」は、哺乳動物(ヒト、家庭動物および農場動物、なら
びに動物園動物、スポーツ動物、またはペット動物(例えばイヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、
ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなど)を含む)と
して分類される任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
50
(59)
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【0199】
「医薬的製剤」という用語は、活性成分の生物学的活性が効果的になることを許すよう
な形態であり、および製剤が投与されうる被験者に対して非許容可能に有毒である追加成
分を含まない調製物を指す。そのような製剤は無菌である。
【0200】
「無菌」製剤は無菌であり、全ての生きた微生物およびそれらの胞子を含まない。
【0201】
「約」という用語は、本明細書で使用する通り、当業者に周知であるそれぞれの値につ
いての通常の誤差範囲を指す。
10
【0202】
「自己免疫障害」は、個人自身の組織または臓器から生じるおよびそれに対する疾患ま
たは障害あるいはその同時分離または発現あるいはそれに起因する状態である。自己免疫
疾患は、臓器特異的疾患(即ち、免疫応答は、具体的には、臓器系、例えば内分泌系、造
血系、皮膚、心肺系、胃腸および肝臓系、腎臓系、甲状腺、耳、筋神経系、中枢神経系な
どに向けられる)または複数の臓器系に影響を及ぼしうる全身疾患(例えば、全身性エリ
テマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、多発性筋炎など)でありうる。好まし
いそのような疾患は、自己免疫性リウマチ学的障害(例えば、RA、シェーグレン症候群
、強皮症、ループス、例えばSLEおよびループス腎炎など、多発性筋炎−皮膚筋炎、ク
リオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、および乾癬性関節炎など)、自己免疫性胃
腸および肝臓障害(例えば、炎症性腸疾患(例、潰瘍性結腸炎およびクローン病)、自己
20
免疫性胃炎および悪性貧血、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変症、原発性硬化性胆管
炎、およびセリアック病など)、血管炎(例えば、ANCAネガティブ血管炎およびAN
CA関連血管炎、チャーグ・ストラウス血管炎、ヴェゲナー肉芽腫症、および顕微鏡的多
発血管炎などを含む)、自己免疫性神経性障害(例えば、多発性硬化症、眼球クローヌス
筋クローヌス症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎、パーキンソン病、アルツハイマー疾
患、および自己免疫性多発ニューロパシーなど)、腎臓障害(例えば、糸球体腎炎、グッ
ドパスチャー症候群、およびベルジェ病など)、自己免疫性皮膚科学的障害(例えば、乾
癬、蕁麻疹、発疹、尋常天疱瘡、水疱性類天疱瘡、および皮膚エリテマトーデスなど)、
血液学的障害(例えば、血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病、輸血後紫斑、
および自己免疫性溶血性貧血など)、アテローム性動脈硬化症、ブドウ膜炎、自己免疫性
30
聴覚疾患(例えば、内耳疾患および聴力喪失など)、ベーチェット病、レイノー症候群、
臓器移植、および自己免疫性内分泌障害(例えば、糖尿病関連の自己免疫疾患、例えばイ
ンスリン依存性糖尿病(IDDM)、アジソン病、および自己免疫性甲状腺疾患(例、グ
レーブス疾患および甲状腺炎)など)を含む。より好ましいそのような疾患は、例えば、
RA、潰瘍性結腸炎、ANCA関連血管炎、ループス、多発性硬化症、シェーグレン症候
群、グレーブス病、IDDM、悪性貧血、甲状腺炎、および糸球体腎炎を含む。
【0203】
「細胞傷害性薬剤」という用語は、本明細書で使用する通り、細胞の機能を阻害もしく
は予防するおよび/または細胞の破壊を起こす物質を指す。この用語は放射性同位元素(
例、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、
212
Bi
40
32
、P
およびLuの放射性同位元素)、および毒素(例えば細菌、真菌、植
物、または動物由来の小分子毒素または酵素的に活性な毒素、あるいはそのフラグメント
など)を含む。
【0204】
「化学療法剤」は、癌の処置において有用な化学的化合物である。化学療法剤の例は、
アルキル化剤、例えばチオテパおよびシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))など
;アルキルスルホン酸、例えばブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファ
ンなど;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、およびウレドー
パなど;エチレンイミンおよびメチルメラミン、アルトレタミン、トリエチレンメラミン
、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびトリメチロー
50
(60)
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ロメラミンを含む;アセトゲニン(特にブラタシンおよびブラタシノン);デルタ−9−
テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ−ラパ
コン;ラパコール;コルヒチン;ベツリン酸;カンプトテシン(合成アナログトポテカン
(HYCAMTIN(登録商標))、CPT−11(イリノテカン、CAMPTOSAR(登録商標))、
アセチルカンプトテシン、スコポレチン、および9−アミノカンプトテシンを含む);ブ
リオスタチン;ペメトレキセド;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カ
ルゼルシン、およびビセレシン合成的類似物を含めて);ポドフィロトキシン;ポドフィ
リン酸;テニポシド;クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシ
ン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189およびCB
1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;TLK−286;CDP3
10
23、経口アルファ4インテグリン阻害剤;サルコジクチン;スポンジスタチン;ナイト
ロジェンマスタード、例えばクロランブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(Ch
olophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミ
ンオキシド塩酸、メルファラン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニマスチン、
トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソウレア(nitrosureas)、例えばカル
ムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチ
ン(ranimnustine)など;抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例、カリケアマイシン
、特にカリケアマイシンガンマ1IおよびカリケアマイシンオメガI1(例、Nicolaou e
t al., Angew. Chem Intl. Ed. Engl., 33: 183-186 (1994)を参照のこと);ダイネミシ
ン、ダイネミシンAを含む;エスペラミシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団およ
20
び関連する色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノ
マイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビ
シン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウ
ノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン
(ADRIAMYCIN(登録商標)、モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソ
ルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、ドキソルビシンHClリポソーム注射(DOXI
L(登録商標))およびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン
、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、例えばマイトマイシンCなど、ミ
コフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシ
ン、プロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾ
30
シン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えばメ
トトレキサート、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標))、テガフール(UFTORAL(登録商
標))、カペシタビン(XELODA(登録商標))、エポチロン、および5−フルオロウラシ
ル(5−FU)など;葉酸アナログ、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプ
テリン、トリメトレキセートなど;プリンアナログ、例えばフルダラビン、6−メルカプ
トプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン
、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、
ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、およびイマチニブ(2−フェニル
アミノピリミジン誘導体)、ならびに他のc−Kit阻害剤など;抗副腎剤、例えばアミ
ノグルテチミド、マイトテイン、トリロスタンなど;葉酸補液、例えばフロリン酸など;
40
アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;ア
ムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デフォファミン;デメ
コルチン;ジアジコン;エルフォルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガ
リウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;マイタンシノイド、例えばメイタン
シンおよびアンサマイトシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニト
ラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;2−エチ
ルヒドラジド(ethylhydrazide);プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖体複合体(JHS
Natural Products, Eugene, OR);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲ
ルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2”−トリクロロトリエチルア
ミン;トリコテセン(特に、T−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA、およびアングイジ
50
(61)
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ン);ウレタン;ビンデシン(ELDISINE(登録商標)、FILDESIN(登録商標));ダカル
バジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシ
ン;アラビノシド(「Ara−C」);チオテパ;タキソイド、例、パクリタキセル(TA
XOL(登録商標))、パクリタキセルのアルブミン操作ナノ粒子製剤(ABRAXANE(商標)
)、およびドセタキセル(TAXOTERE(登録商標));クロラムブシル;6−チオグアニン
;メルカプトプリン;メトトレキサート;プラチナアナログ、例えばシスプラチンおよび
カルボプラチンなど;ビンブラスチン(VELBAN(登録商標));プラチナ;エトポシド(
VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン(ONCOVIN(登録商
標));オキサリプラチン;ロイコボリン;ビノレルビン(NAVELBINE(登録商標));
ノバントロン;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;イバンドロネート
10
;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);
レチノイド、例えばレチノイン酸など;上のいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸、また
は誘導体;ならびに上の2つまたはそれ以上の組み合わせ、例えばCHOP(シクロホス
ファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンの組み合わせ治療の
略語)、およびFOLFOX(5−FUおよびロイコボリンと組み合わせたオキサリプラ
チン(ELOXATIN(商標))を用いた処置計画の略語)である。
特に腫瘍免疫の処置において、本発明の抗PD−L1抗体との組み合わせで有用な特に
好ましい化学療法剤は、ゲムシタビンである。
【0205】
また、この定義には、癌の増殖を促進することができるホルモンの効果を調節、低下、
20
遮断、または阻害するように作用する抗ホルモン薬剤が含まれ、しばしば、全身または体
全体の処置の形態である。それらはホルモン自体でありうる。例は、抗エストロゲンおよ
び選択的エストロジェン受容体モデュレーター(SERM)、例えば、タモキシフェン(
NOLVADEX(登録商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))
、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェ
ン、LY117018、オナプリストン、およびトレミフェン(FARESTON(登録商標))
を含む;抗プロゲステロン;エストロジェン受容体ダウンレギュレーター(ERD);エ
ストロジェン受容体アンタゴニスト、例えばフルベストラント(FASLODEX(登録商標))
など;卵巣を抑制またはシャットダウンするよう機能する薬剤、例えば、黄体形成ホルモ
ン放出ホルモン(LHRH)アゴニスト、例えば酢酸ロイプロリド(LUPRON(登録商標)
30
およびELIGARD(登録商標))、酢酸ゴセレリン、酢酸ブセレリン、およびトリプテレリ
ンなど;抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、およびビカルタミドなど;お
よび酵素アロマターゼ(副腎においてエストロゲン産生を調節する)を阻害するアロマタ
ーゼ阻害剤、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロー
ル(MEGASE(登録商標))、エキセメスタン(AROMASIN(登録商標))、フォルメ
スタニー、ファドロゾール、ボロゾール(RIVISOR(登録商標))、レトロゾール(FEMAR
A(登録商標))、およびアナストロゾール(ARIMIDEX(登録商標))を含む。また、化
学療法剤のそのような定義は、ビスホスホネート、例えばクロドロネート(例えば、BONE
FOS(登録商標)またはOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商
標))、NE−58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、ア
40
レンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チ
ルドロネート(SKELID(登録商標))、またはリセドロネート(ACTONEL(登録商標))
;ならびにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシンアナログ);
アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に異常細胞増殖に関与するシグナル伝達経路におけ
る遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC−アルファ、Raf、H−Ras、およ
び上皮増殖因子受容体(EGF−R);ワクチン、例えばTHERATOPE(登録商標)ワクチ
ンおよび遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(
登録商標)ワクチン、およびVAXID(登録商標)ワクチン;トポイソメラーゼ1阻害剤(
例、LURTOTECAN(登録商標));抗エストロゲン剤、例えばフルベストラントなど;Ki
t阻害剤、例えばイマチニブまたはEXEL−0862など(チロシンキナーゼ阻害剤)
50
(62)
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;EGFR阻害剤、例えばエルロチニブまたはセツキシマブなど;抗VEGF阻害剤、例
えばベバシズマブなど;アリノテカン(arinotecan);rmRH(例、ABARELIX(登録商
標));ラパチニブおよびラパチニブトシル酸(GW572016としても公知のErb
B−2およびEGFRの二重チロシンキナーゼ小分子阻害剤);17AAG(熱ショック
タンパク質(Hsp)90毒物であるゲルダナマイシン誘導体)、および上のいずれかの
医薬的に許容可能な塩、酸、または誘導体を含む。
【0206】
「増殖阻害剤」は、細胞の増殖を阻害する化合物または組成物を指し、その増殖はin
vitroまたはin vivoのいずれかの受容体活性化に依存する。このように、
増殖阻害剤は、S期中の受容体依存性細胞のパーセンテージを有意に低下するものを含む
10
。増殖阻害剤の例は、(S期以外の場所において)細胞周期進行を遮断する薬剤、例えば
G1期停止およびM期停止を誘導する薬剤などを含む。古典的なM期遮断剤は、ビンカお
よびビンカアルカロイド(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、タキサン、およびト
ポイソメラーゼII阻害剤、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エ
トポシド、およびブレオマイシンなどを含む。G1停止させるそれらの薬剤は、S期停止
中にも及ぶ(例えば、DNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニゾン、ダカ
ルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、
およびaraCなど)。さらなる情報が、The Molecular Basis of Cancer, Mendelsohn
and Israel, eds., Chapter 1、表題"Cell cycle regulation, oncogenes, and antineop
lastic drugs" by Murakami et al. (WB Saunders: Philadelphia, 1995)(特にp. 13)に
20
おいて見出すことができる。タキサン(パクリタキセルおよびドセタキセル)は、両方と
もがイチイ木に由来する抗癌薬物である。ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、RhonePoulenc Rorer)は、ヨーロッパイチイに由来し、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、
Bristol-Myers Squibb)の半合成アナログである。
【0207】
「サイトカイン」という用語は、細胞間メディエーターとして別の細胞に対して作用す
る1つの細胞集団により放出されるタンパク質についての属名である。そのようなサイト
カインの例は、リンホカイン、モノカイン;インターロイキン(IL)、例えばIL−1
、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−
8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15...IL−35、PR
30
OLEUKIN(登録商標)rIL−2を含む;腫瘍壊死因子、例えばTNF−αまたはTNF
−βなど;および他のポリペプチド因子、LIFおよびkitリガンド(KL)を含む。
「インターロイキン」という用語は、現在、本質的にサイトカインの同義語になっている
。本明細書で使用する通り、サイトカインという用語は、天然供給源からまたは組換え細
胞培養およびネイティブ配列サイトカインの生物学的に活性な等価物(合成的に産生され
た小分子実体ならびに医薬的に許容可能なその誘導体および塩を含む)からのタンパク質
を含む。サイトカインは意図される標的の近位部位に分類することができ、それにおいて
オートクラインは、それが分泌される同じ細胞上での作用を指し、パラクラインは、サイ
トカインが分泌される直ぐ近傍に限定される作用を指し、エンドクラインは、身体の遠い
領域での作用を指す。免疫サイトカインは、それらが細胞免疫を支持するI型応答(例、
40
IFN−γ、TGF−βなど)または抗体もしくは液性免疫を支持するII型応答(IL
−4、IL−10、IL−13など)のどちらを増強するかにより分類することもできる
。免疫サイトカインは、種々の免疫細胞の同時刺激、成熟、増殖、活性化、炎症、増殖、
分化、サイトカイン産生および分泌、生存において役割を果たす。
【0208】
「ホルモン」という用語はポリペプチドホルモンを指し、それは一般的に導管を伴う腺
器官により分泌される。ホルモンには、例えば、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン
、N−メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロ
キシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;エストラジオール;ホルモン置換療
法;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタ
50
(63)
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ノール、メピチオスタン、またはテストラクトンなど;プロレラキシン;糖タンパク質ホ
ルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)および黄体
ホルモン(LH)など;プロラクチン、胎盤ラクトゲン、マウスゴナドトロピン関連ペプ
チド、ゴナドトロピン放出ホルモン;インヒビン;アクチビン;ミュラー阻害物質;およ
びトロンボポエチンが含まれる。本明細書で使用する通り、ホルモンという用語は、天然
供給源からまたは組換え細胞培養およびネイティブ配列ホルモンの生物学的に活性な等価
物(合成的に産生された小分子実体ならびに医薬的に許容可能なその誘導体および塩を含
む)からのタンパク質を含む。
【0209】
III.本発明を行うための様式
10
A.ファージディスプレイを使用したヒト化
本明細書に記載する超可変領域を移植したバリアントは、各超可変領域について別々の
オリゴヌクレオチドを使用して、ヒト受容体配列をコードする核酸のKunkel突然変異誘発
により生成した。Kunkel et al., Methods Enzymol. 154: 367-382 (1987).適切な変化を
、通常の技術を使用してフレームワークおよび/または超可変領域中に導入し、適した超
可変領域−抗原相互作用を補正および再確立することができる。
【0210】
ファージ(ミド)ディスプレイ(本明細書でファージディスプレイともいう)を、配列
ランダム化により生成されたライブラリーにおいて多くの異なる潜在的なバリアント抗体
を生成およびスクリーニングするための便利で速い方法として使用することができる。し
20
かし、変化した抗体を作製およびスクリーニングするための他の方法が、当業者には利用
可能である。
【0211】
ファージ(ミド)ディスプレイ(一部の状況においてファージディスプレイともいう)
を、配列ランダム化により生成されたライブラリーにおいて多くの異なる潜在的なバリア
ント抗体を生成およびスクリーニングするための便利で速い方法として使用することがで
きる。しかし、変化した抗体を作製およびスクリーニングするための他の方法が、当業者
には利用可能である。
【0212】
ファージ(ミド)ディスプレイ技術は、リガンド(例えば抗原など)に結合する新規タ
30
ンパク質を生成および選択するための強力なツールを提供してきた。ファージ(ミド)デ
ィスプレイの技術を使用することによって、タンパク質バリアントの大ライブラリーの生
成が可能になり、それは高親和性を伴う標的分子に結合するそれらの配列について迅速に
選別することができる。バリアントポリペプチドをコードする核酸は、一般的に、ウイル
スコートタンパク質(例えば遺伝子IIIタンパク質または遺伝子VIIIタンパク質な
ど)をコードする核酸配列に融合される。タンパク質またはポリペプチドをコードする核
酸配列が遺伝子IIIタンパク質の部分をコードする核酸配列に融合された一価ファージ
ミドディスプレイシステムが開発されている(Bass, S., Proteins, 8: 309 (1990); Low
man and Wells, Methods: A Companion to Methods in Enzymology, 3: 205 (1991))。
一価ファージミドディスプレイシステムにおいて、遺伝子融合体が低レベルで発現され、
40
野生型遺伝子IIIタンパク質も発現され、粒子の感染性が保持される。ペプチドライブ
ラリーを生成し、それらのライブラリーをスクリーニングするための方法が、多くの特許
において開示されている(例、米国特許第5,723,286号、米国特許第5,432
,018号、米国特許第5,580,717号、米国特許第5,427,908号、およ
び米国特許第5,498,530号)。
【0213】
抗体または抗原結合ポリペプチドのライブラリーが、多くの方法(ランダムDNA配列
を挿入することにより単一遺伝子を変化させることによるまたは関連遺伝子のファミリー
をクローニングすることによる、を含む)で調製されている。ファージ(ミド)ディスプ
レイを使用して抗体または抗原結合性フラグメントを提示するための方法が、米国特許第
50
(64)
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5,750,373号、第5,733,743号、第5,837,242号、第5,96
9,108号、第6,172,197号、第5,580,717号、および第5,658
,727号に記載されている。ライブラリーを、次に、所望の特徴を伴う抗体または抗原
結合タンパク質の発現についてスクリーニングする。
【0214】
鋳型核酸中に選択したアミノ酸を置換する方法が、当技術分野において十分に確立され
ており、その一部が本明細書に記載される。例えば、超可変領域残基を、Kunkel方法を使
用して置換することができる。例えば、Kunkel et al., Methods Enzymol. 154: 367-382
(1987)を参照のこと。
【0215】
10
オリゴヌクレオチドの配列は、変化させる超可変領域残基についての設計コドン組の1
つまたは複数を含む。コドン組は、所望のバリアントアミノ酸をコードするために使用さ
れる異なるヌクレオチドトリプレット配列の組ある。コドン組を、特定のヌクレオチドま
たはヌクレオチドの等モル混合物を命名するための記号を使用して、以下に示す通りに、
IUBコードに従って表わすことができる。
【0216】
【表1】
20
30
【0217】
オリゴヌクレオチドまたはプライマー組を標準的な方法を使用して合成することができ
る。オリゴヌクレオチドの組を、例えば、固相合成により合成することができ、コドン組
により提供されるヌクレオチドトリプレットの全ての可能な組み合わせを表し、アミノ酸
40
の所望の群をコードする配列を含む。特定の位置での選択されたヌクレオチド「縮重」を
伴うオリゴヌクレオチドの合成は、当技術分野において周知である。特定のコドン組を有
するヌクレオチドのそのような組を、市販の核酸シンセサイザー(例えば、Applied Bios
ystems, Foster City, CAから利用可能)を使用して合成することができる、または商業
的に得ることができる(例えば、Life Technologies, Rockville, MDから)。従って、特
定のコドン組を有する合成されたオリゴヌクレオチドの組は、典型的には、異なる配列を
伴う複数のオリゴヌクレオチドを含み、差は全体的な配列内のコドン組により確立される
。オリゴヌクレオチドは、本発明に従って使用される通り、可変ドメイン核酸鋳型へのハ
イブリダイゼーションを可能にし、また、クローニング目的のための制限酵素部位を含む
ことができる。
50
(65)
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【0218】
1つの方法において、バリアントアミノ酸をコードする核酸配列は、オリゴヌクレオチ
ド媒介性の突然変異誘発により作製することができる。この技術は、当技術分野において
周知であり、Zoller et al. Nucleic Acids Res. 10: 6487-6504 (1987)により記載され
る。簡単に説明すると、バリアントアミノ酸をコードする核酸配列は、所望のコドン組を
コードするオリゴヌクレオチド組をDNA鋳型にハイブリダイズさせることにより作製さ
れ、そこで鋳型は可変領域核酸鋳型配列を含むプラスミドの一本鎖形態である。ハイブリ
ダイゼーション後、DNAポリメラーゼを使用して、このようにオリゴヌクレオチドプラ
イマーを取り込むであろう、およびオリゴヌクレオチド組により提供されるコドン組を含
むであろう鋳型の第2相補鎖全体を合成する。
10
【0219】
一般的に、少なくとも25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドを使用する。最適なオ
リゴヌクレオチドは、突然変異をコードするヌクレオチドのいずれかの側で鋳型に完全に
相補的である12∼15ヌクレオチドを有するであろう。これによって、オリゴヌクレオ
チドが一本鎖DNA鋳型分子に適切にハイブリダイズすることが確実となる。オリゴヌク
レオチドは、当技術分野において公知の技術、例えばCrea et al., Proc. Nat'l. Acad.
Sci. USA, 75: 5765 (1978)により記載されるものなどを使用して容易に合成される。
【0220】
DNA鋳型は、バクテリオファージM13ベクター(商業的に利用可能なM13mp1
8およびM13mp19ベクターが適する)に由来するベクター、または、Viera et al.
20
, Meth. Enzymol., 153: 3 (1987)により記載される一本鎖ファージ複製起点を含むベク
ターにより生成される。このように、突然変異されるDNAは、一本鎖鋳型を生成するた
めに、これらのベクターの1つに挿入することができる。一本鎖鋳型の産生は、Sambrook
et al.(上記)のセクション4.21−4.41に記載される。
【0221】
ネイティブなDNA配列を変化させるために、オリゴヌクレオチドを、適したハイブリ
ダイゼーション条件下で一本鎖鋳型にハイブリダイズさせる。DNA重合酵素、通常T7
DNAポリメラーゼまたはDNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントを次に加え
、合成用のプライマーとしてオリゴヌクレオチドを使用して鋳型の相補鎖を合成する。ヘ
テロ二本鎖分子をこのように形成させ、DNAの1つの鎖が遺伝子1の突然変異形態をコ
30
ードし、他の鎖(本来の鋳型)が遺伝子1の天然の不変配列をコードする。このヘテロ二
本鎖分子を、次に、適した宿主細胞、通常原核生物(例えばE.coli JM101な
ど)中に形質転換する。細胞を増殖後、それらをアガロースプレート上にプレーティング
し、32リン酸を用いて放射標識されたオリゴヌクレオチドプライマーを使用してスクリ
ーニングし、突然変異DNAを含む細菌コロニーを同定する。
【0222】
直ぐ上に記載する方法を改変してもよく、ホモ二本鎖分子が作製され、それにおいてプ
ラスミドの両鎖が突然変異を含む。改変は以下の通りである:一本鎖オリゴヌクレオチド
を、上に記載する通りに、一本鎖鋳型にアニーリングする。3つのデオキシリボヌクレオ
チド、デオキシリボアデノシン(dATP)、デオキシリボグアノシン(dGTP)、お
40
よびデオキシリボチミン(dTT)の混合物を、dCTP−(aS)と呼ばれる修飾チオ
デオキシリボシトシン(Amershamから入手することができる)と組み合わせる。この混合
物を鋳型−オリゴヌクレオチド複合体に加える。この混合物へのDNAポリメラーゼの添
加時、突然変異塩基を除いて鋳型と同一であるDNAの鎖が生成される。また、DNAの
この新たな鎖は、dCTPの代わりにdCTP−(aS)を含み、それを制限エンドヌク
レアーゼ消化から保護するのに役立つ。二本鎖のヘテロ二本鎖の鋳型鎖に適切な制限酵素
を用いてニックを入れた後、鋳型鎖をExoIIIヌクレアーゼまたは別の適切なヌクレ
アーゼを用いて消化し、突然変異させる部位を含む領域以外で切断することができる。反
応を次に停止させ、部分的にだけ一本鎖である分子を残す。完全な二本鎖DNAホモ二本
鎖を、次に、DNAポリメラーゼを使用して、全ての4つのデオキシリボヌクレオチド三
50
(66)
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リン酸、ATP、およびDNAリガーゼの存在において形成する。このホモ二本鎖分子を
次に適した宿主細胞中に形質転換することができる。
【0223】
以前に示した通り、オリゴヌクレオチド組の配列は、鋳型核酸にハイブリダイズするた
めに十分な長さがあり、また、制限部位を含みうるが、しかし、必ずしも含まない。DN
A鋳型は、バクテリオファージM13ベクターに由来するベクター、または、Viera et a
l., Meth. Enzymol., 153: 3 (1987)により記載される一本鎖ファージ複製起点を含むベ
クターにより生成することができる。このように、突然変異されるDNAは、一本鎖鋳型
を生成するために、これらのベクターの1つに挿入しなければならない。一本鎖鋳型の産
生は、Sambrook et al., supraのセクション4.21−4.41に記載される。
10
【0224】
別の方法に従い、ライブラリーを、上流および下流のオリゴヌクレオチド組を提供する
ことにより生成することができ、各組が異なる配列を伴う複数のオリゴヌクレオチドを有
し、異なる配列がオリゴヌクレオチドの配列内に提供されるコドン組により確立される。
上流および下流のオリゴヌクレオチド組は、可変ドメイン鋳型核酸配列と共に、ポリメラ
ーゼ連鎖反応において使用され、PCR産物の「ライブラリー」を生成することができる
。PCR産物を「核酸カセット」ということができる。なぜなら、それらは、他の関連す
るまたは関連しない核酸配列、例えば、ウイルスコートタンパク質および二量体化ドメイ
ンと、確立された分子生物学的技術を使用して融合することができる。
【0225】
20
PCRプライマーの配列は、超可変領域中の溶媒が接近可能で高度に多様な位置につい
ての1つまたは複数の設計されたコドン組を含む。上に記載する通り、コドン組は、所望
のバリアントアミノ酸をコードするために使用される異なるヌクレオチドトリプレット配
列の組である。所望の基準を満たす抗体選択剤は、適切なスクリーニング/選択工程を通
じて選択される通り、標準的な組換え技術を使用して単離およびクローン化することがで
きる。
【0226】
B.組換え調製物
本発明は、また、抗PD−L1抗体をコードする単離核酸、そのような核酸を含むベク
ターおよび宿主細胞、ならびに抗体の産生のための組換え技術を提供する。
30
【0227】
抗体の組換え産生のために、それをコードする核酸を単離し、さらなるクローニング(
DNAの増幅)用または発現用の複製可能なベクター中に挿入する。モノクローナル抗体
をコードするDNAは、従来の手順を使用して容易に単離および配列決定される(例、抗
体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能であるオリゴヌク
レオチドプローブを使用することによる)。多くのベクターを利用可能である。ベクター
の選択は、部分的に、使用される宿主細胞に依存する。一般的に、好ましい宿主細胞は、
原核生物または真核生物(一般的に哺乳動物)のいずれか由来である。
【0228】
1.原核細胞における抗体産生
40
a)ベクター構築
本発明の抗体のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列を、標準的な組換
え技術を使用して得ることができる。所望のポリヌクレオチド配列を、抗体産生細胞(例
えばハイブリドーマ細胞など)から単離し、配列決定してもよい。あるいは、ポリヌクレ
オチドをヌクレオチドシンセサイザーまたはPCR技術を使用して合成することができる
。一旦得られると、ポリペプチドをコードする配列を、原核生物宿主において異種ポリヌ
クレオチドを複製および発現することが可能な組換えベクター中に挿入する。当技術分野
において利用可能で公知の多くのベクターを、本発明の目的のために使用することができ
る。適切なベクターの選択は、ベクター中に挿入される核酸のサイズおよびそのベクター
を用いて形質転換される特定の宿主細胞に主に依存するであろう。各ベクターは、その機
50
(67)
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能(異種ポリヌクレオチドの増幅または発現、あるいは両方)およびそれが存在する特定
の宿主細胞とのその適合性に依存して、種々の成分を含む。ベクター成分は、一般的に、
限定はされないが、以下:複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボゾーム結
合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸インサート、および転写終結配列を含む。
【0229】
一般的に、宿主細胞と適合する種に由来するレプリコン配列および制御配列を含むプラ
スミドベクターを、これらの宿主に関連して使用する。ベクターは、通常、複製部位、な
らびに形質転換細胞において表現型選択を提供することが可能である標識配列を持つ。例
えば、E.coliは、典型的に、pBR322(E.coli種に由来するプラスミド
)を使用して形質転換する。pBR322は、アンピシリン(Amp)およびテトラサイ
10
クリン(Tet)耐性をコードする遺伝子を含み、このように形質転換細胞を同定するた
めの簡単な手段を提供する。pBR322、その派生物、または他の微生物プラスミドも
しくはバクテリオファージは、また、内因性タンパク質の発現のために微生物により使用
されることができるプロモーターを含んでもよい、または含むように改変してもよい。特
定の抗体の発現のために使用されるpBR322派生物の例が、Carter et al.、米国特
許第5,648,237号に詳細に記載されている。
【0230】
また、宿主微生物と適合するレプリコン配列および制御配列を含むファージベクターを
、これらの宿主に関連して形質転換ベクターとして使用することができる。例えば、バク
テリオファージ(例えばGEM.TM.−11など)を、感受性宿主細胞(例えばE.c
20
oli LE392など)を形質転換するために使用することができる組換えベクターを
作製する際に利用してもよい。
【0231】
本発明の発現ベクターは、ポリペプチド成分の各々をコードする2つまたはそれ以上の
プロモーター−シストロン対を含みうる。プロモーターは、その発現を調節するシストロ
ンの上流(5’)に位置付けられる非翻訳調節配列である。原核生物プロモーターは、典
型的に、2つのクラス(誘導的およびと恒常的)に分類される。誘導的プロモーターは、
培養条件における変化(例、栄養分の存在もしくは非存在または温度における変化)に応
答したその制御下での増加レベルのシストロンの転写を開始するプロモーターである。
【0232】
30
種々の潜在的な宿主細胞により認識される多数のプロモーターが、周知である。選択さ
れたプロモーターを、制限酵素消化を介した供給源DNAからプロモーターを除去し、単
離したプロモーター配列を本発明のベクター中に挿入することにより、軽鎖または重鎖を
コードするシストロンDNAに機能的に連結することができる。天然プロモーター配列お
よび多くの異種プロモーターの両方を使用し、標的遺伝子の増幅および/または発現に向
けてもよい。一部の実施態様において、異種プロモーターを利用する。なぜなら、それら
は、一般的に、天然標的ポリペプチドプロモーターと比較し、発現された標的遺伝子のよ
り大きな転写およびより高い産出を許すからである。
【0233】
原核生物宿主との使用のために適したプロモーターは、PhoAプロモーター、ガラク
40
タマーゼおよびラクトースプロモーターシステム、トリプトファン(trp)プロモータ
ーシステムおよびハイブリッドプロモーター(例えばtacまたはtrcプロモーターな
ど)を含む。しかし、細菌において機能的である他のプロモーター(例えば他の公知の細
菌またはファージのプロモーターなど)も適している。それらのヌクレオチド配列が発表
されており、それにより当業者が、それらを、標的軽鎖および重鎖をコードするシストロ
ン(Siebenlist et al. (1980) Cell 20: 269)に、任意の要求される制限部位を供給す
るためのリンカーまたはアダプターを使用して機能的に連結することが可能になる。
【0234】
一局面において、組換えベクター内の各シストロンは、発現されたポリペプチドの膜を
横断する直接的な転位に向ける分泌シグナル配列成分を含む。一般的に、シグナル配列は
50
(68)
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ベクターの成分でありうる、または、それは、ベクター中に挿入される標的ポリペプチド
DNAの一部でありうる。本発明の目的のために選択されるシグナル配列は、宿主細胞に
より認識され、プロセシングされる(即ち、シグナルペプチダーゼにより切断される)も
のでなければならない。異種ポリペプチドに対して天然であるシグナル配列を認識し、プ
ロセシングしない原核生物宿主細胞について、シグナル配列が、例えば、アルカリホスフ
ァターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または熱安定エンテロトキシンII(STII)リ
ーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA、およびMBPからなる群より選択さ
れる原核生物シグナル配列により置換される。本発明の一実施態様において、発現システ
ムの両シストロンにおいて使用されるシグナル配列は、STIIシグナル配列またはその
バリアントである。
10
【0235】
別の局面において、本発明の免疫グロブリンの産生は宿主細胞の細胞質中で起こりうる
が、従って、各シストロン内に分泌シグナル配列の存在は要求されない。この点において
、免疫グロブリンの軽鎖および重鎖が発現され、折り畳まれ、組み立てられて、細胞質内
に機能的な免疫グロブリンが形成される。特定の宿主株(例、E.coli trxB−
株)は、ジスルフィド結合形成に好ましい細胞質状態を提供し、それにより発現されたタ
ンパク質サブユニットの適切な折り畳みおよび組み立てを許す。Proba and Pluckthun Ge
ne, 159: 203 (1995)。
【0236】
本発明は、発現されるポリペプチド成分の定量的比率を、分泌されて適切に組み立てら
20
れる本発明の抗体の産出を最大限にするために調節することができる発現システムを提供
する。そのような調節は、少なくとも部分的に、ポリペプチド成分についての翻訳強度を
同時に調節することにより達成される。翻訳強度を調節するための1つの技術が、Simmon
s et al.、米国特許第5,840,523号に開示される。それはシストロン内の翻訳開
始領域(TIR)のバリアントを利用する。所与のTIRについて、一連のアミノ酸また
は核酸配列バリアントを、翻訳強度の範囲を用いて作製することができ、それにより特定
の鎖の所望の発現レベルについてこの因子を調整するための便利な手段を提供する。TI
Rバリアントを、アミノ酸配列を変化させることができるコドン変化をもたらす従来の突
然変異誘発技術により生成することができるが、ヌクレオチド配列におけるサイレントな
変化が好ましい。TIRにおける変化は、例えば、Shine−Dalgarno配列の
30
数または間隔における変化を、シグナル配列における変化と共に含むことができる。突然
変異シグナル配列を生成するための1つの方法は、シグナル配列のアミノ酸配列を変化さ
せない(即ち、変化がサイレントである)コード配列の開始での「コドンバンク」の生成
である。これは、各コドンの3番目のヌクレオチド位置を変化させることにより達成する
ことができる;加えて、一部のアミノ酸、例えばロイシン、セリン、およびアルギニンな
どは、バンクを作製する際に複雑度を加えることができる複数の1番目および2番目の位
置を有する。突然変異誘発のこの方法は、Yansura et al. (1992) METHODS: A Companion
to Methods in Enzymol. 4: 151-158に詳細に記載される。
【0237】
好ましくは、ベクターの組は、その中の各シストロンについてのTIR強度の範囲を用
40
いて生成する。この限定された組は、各鎖の発現レベルの比較ならびに種々のTIR強度
の組み合わせ下の所望の抗体産物の産出を提供する。TIR強度を、Simmons et al.、米
国特許第5,840,523号に詳細に記載されるレポーター遺伝子の発現レベルを定量
化することにより決定することができる。翻訳強度比較に基づき、所望の個々のTIRを
選択し、本発明の発現ベクターコンストラクトにおいて組み合わせる。
【0238】
b)原核生物宿主細胞
本発明の抗体を発現させるために適した原核生物宿主細胞は、古細菌と真正細菌、例え
ばグラム陰性またはグラム陽性生物などを含む。有用な細菌の例は、エシェリキア属(例
、E.coli)、バシラス属(例、B. subtilis)、腸内細菌、シュードモナス属(例
50
(69)
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、P. aeruginosa)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア
・マルセッセンス(Serratia marcescans)、クレブシエラ属、プロテウス属、シゲラ属
、根粒菌、ビトレオシラ属、またはパラコッカス属を含む。一実施態様において、グラム
陰性細胞を使用する。一実施態様において、E.coli細胞を本発明のための宿主とし
て使用する。E.coli株の例は、W3110株(Bachmann, Cellular and Molecular
Biology, vol. 2 (Washington, D.C.: American Society for Microbiology, 1987), pp
.1190-1219; ATCC Deposit No. 27,325)およびその派生体を含み、遺伝子型W3110 yfhuA (ytonA) ptr3 lac Iq lacL8 yompTy(n
mpc−fepE) degP41 kanR(米国特許第5,639,635号)を有
する33D3株を含む。他の株およびその派生体、例えばE.coli 294(ATC
10
C 31,446)、E.coli B、E.coli 1776(ATCC 31,5
37)およびE.coli RV308(ATCC 31,608)なども適する。これ
らの例は、限定的よりも、むしろ説明的である。定義された遺伝子型を有する上記の最近
のいずれかの派生体を構築するための方法が、当技術分野において公知であり、例えば、
Bass et al., Proteins, 8:309-314 (1990)に記載される。一般的に、細菌の細胞におけ
るレプリコンの複製能を考慮に入れて適切な細菌を選択することが必要である。例えば、
E.coli、セラチア属、またはサルモネラ属が、周知のプラスミド(例えばpBR3
22、pBR325、pACYC177、またはpKN410など)を、レプリコンを供
給するために使用する場合、宿主として使用するのに適しうる。
【0239】
20
典型的には、宿主細胞は、最小量のタンパク質分解酵素を分泌すべきであり、追加のプ
ロテアーゼ阻害剤が望ましくは細胞培養に取り込まれうる。
【0240】
c)抗体産生
宿主細胞を上記の発現ベクターを用いて形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換
体を選択し、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適宜改変された従来
の栄養培地中で培養する。形質転換はDNAを原核生物宿主中に導入し、DNAが、染色
体外エレメントとしてまたは染色体組み込み体のいずれかとして複製可能であることを意
味する。使用する宿主細胞に依存して、形質転換は、そのような細胞に適切である標準的
な技術を使用して行う。塩化カルシウムを用いたカルシウム処理は、実質的な細胞壁バリ
30
アを含む細菌細胞のために一般的に使用される。形質転換のための別の方法ではポリエチ
レングリコール/DMSOを用いる。使用されるさらに別の技術は、エレクトロポレーシ
ョンである。
【0241】
本発明の抗体を産生するために使用される原核細胞は、当技術分野において公知の、選
択された宿主細胞の培養に適した培地中で増殖される。適した培地の例はLuria培地
(LB)+必要な栄養分補給を含む。一部の実施態様において、培地は、また、発現ベク
ターの構築に基づき選択された選択剤を含み、発現ベクターを含む原核細胞の増殖を選択
的に許す。例えば、アンピシリンを、アンピシリン耐性遺伝子を発現する細胞の増殖用の
培地に加える。
40
【0242】
任意の必要な補給剤(炭素、窒素、および無機リン酸供給源の他)も、単独でまたは別
の補給剤を伴う混合物もしくは培地(例えば複雑な窒素供給源など)として導入された適
切な濃度で含んでもよい。場合により、培養液は、グルタチオン、システイン、シスタミ
ン、チオグリコレート、ジチオエリスリトール、およびジチオスレイトールからなる群よ
り選択される1つまたは複数の還元剤を含んでもよい。
【0243】
原核生物宿主細胞を適した温度で培養する。E.coli増殖について、例えば、好ま
しい温度は、約20℃∼約39℃、より好ましくは25℃∼約37℃の範囲、さらにより
好ましくは30℃である。培地のpHは、主に宿主生物に依存して、約5∼約9の範囲の
50
(70)
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任意のpHでありうる。E.coliについて、pHは、好ましくは約6.8∼約7.4
、より好ましくは約7.0である。
【0244】
誘導性プロモーターを本発明の発現ベクター中で使用する場合、タンパク質発現を、プ
ロモーターの活性化のために適した条件下で誘導する。本発明の一局面において、Pho
Aプロモーターをポリペプチドの転写を制御するために使用する。したがって、形質転換
された宿主細胞を、誘導用のリン酸制限培地中で培養する。好ましくは、リン酸制限培地
はC.R.A.P培地である(例、Simmons et al., J. Immunol. Methods (2002), 263:
133-147を参照のこと)。種々の他の誘導因子を、用いられるベクターコンストラクトに
応じて、当技術分野において公知の通りに使用してもよい。
10
【0245】
本発明の発現された抗体タンパク質は、宿主細胞のペリプラズム中に分泌され、そこか
ら回収される。タンパク質の回収は、典型的には、微生物の破壊(一般的に、浸透圧ショ
ック、超音波処理、または溶解などの手段による)を含む。一旦、細胞が破壊されると、
細胞片または全細胞を遠心分離またはろ過により除去してもよい。タンパク質を、さらに
、例えば、親和性樹脂クロマトグラフィーにより精製してもよい。あるいは、タンパク質
を培養液中に輸送し、その中で単離することができる。細胞を培養物から除去してもよく
、培養上清を、産生されたタンパク質のさらなる精製のためにろ過および濃縮する。発現
されたポリペプチドを、さらに、一般的に公知の方法(例えばポリアクリルアミドゲル電
気泳動(PAGE)およびウエスタンブロットアッセイなど)を使用して単離および同定
20
することができる。
【0246】
あるいは、抗体産生は、発酵プロセスにより大量に行われる。種々の大規模流加発酵手
順を、組換えタンパク質の産生のために利用可能である。大規模発酵は、少なくとも10
00リットルの能力、好ましくは約1,000∼100,000リットルの能力を有する
。これらの発酵槽ではアジテーターインペラを使用し、酸素および栄養分、特にグルコー
ス(好ましい炭素/エネルギー供給源)を分布させる。小規模発酵は、一般的に、わずか
約100リットルの容積である、約1リットル∼約100リットルの範囲でありうる発酵
槽中での発酵を指す。
【0247】
30
発酵プロセスの間に、タンパク質発現の誘導は、典型的に、細胞が適した条件下で所望
の密度(OD550が約180∼220)まで増殖させた後に開始され、その段階で細胞
は初期の静止期にある。種々の誘導因子を、用いられるベクターコンストラクトに応じて
、当技術分野において公知であり、上に記載する通りに使用してもよい。細胞を、誘導前
に短い期間にわたり増殖させてもよい。細胞を、通常、約12∼50時間にわたり誘導す
るが、より長いまたはより短い誘導時間を使用してもよい。
【0248】
本発明の抗体の産出および質を改善するために、種々の発酵プロセスを改変することが
できる。例えば、分泌された抗体ポリペプチドの適切な組み立ておよび折り畳みを改善す
るために、シャペロンタンパク質、例えばDsbタンパク質(DsbA、DsbB、Ds
40
bC、DsbD、および/またはDsbG)またはFkpA(シャペロン活性を伴うペプ
チジルプロリルシス、トランスイソメラーゼ)などを過剰発現する追加のベクターを使用
して、宿主原核細胞を同時形質転換することができる。シャペロンタンパク質は、細菌宿
主細胞において産生される異種タンパク質の適切な折り畳みおよび溶解性を促進すること
が実証されている。Chen et al. (1999) J Bio Chem 274: 19601-19605; Georgiou et al
.、米国特許第6,083,715号;Georgiou et al.、米国特許第6,027,888
号;Bothmann and Pluckthun (2000) J. Biol. Chem. 275: 17100-17105; Ramm and Pluc
kthun (2000) J. Biol. Chem. 275: 17106-17113; Arie et al. (2001) Mol. Microbiol.
39: 199-210。
【0249】
50
(71)
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発現された異種タンパク質(特にタンパク分解に感受性であるもの)のタンパク質分解
を最小限にするために、タンパク質分解酵素が欠損した特定の宿主株を本発明のために使
用することができる。例えば、宿主細胞株を改変し、公知の細菌プロテアーゼ(例えばプ
ロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、
プロテアーゼV、プロテアーゼVI、およびその組み合わせなど)をコードする遺伝子に
おける遺伝的突然変異に効果を及ぼしてもよい。一部のE.coliプロテアーゼ欠損株
を利用可能であり、例えば、Joly et al. (1998), supra; Georgiou et al.、米国特許第
5,264,365号;Georgiou et al.、米国特許第5,508,192号;Hara et a
l., Microbial Drug Resistance, 2: 63-72 (1996)に記載される。
【0250】
10
タンパク質分解酵素が欠損し、1つまたは複数のシャペロンタンパク質を過剰発現する
プラスミドを用いて形質転換されたE.coli株を、本発明の抗体をコードする発現系
において宿主細胞として使用してもよい。
【0251】
d)抗体精製
本明細書において産生される抗体タンパク質をさらに精製し、さらなるアッセイおよび
使用のための実質的に均質である調製物を得る。当技術分野において公知の標準的なタン
パク質精製方法を用いることができる。以下の手順:免疫親和性カラムまたはイオン交換
カラム上での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上または陽イオン交換樹脂(
例えばDEAEなど)上でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−P
20
AGE、硫安塩析、およびゲルろ過(例えば、Sephadex G-75を使用)は、適した精製手
順の例示である。
【0252】
一局面において、固相に固定化されるプロテインAは、本発明の全長抗体産物の免疫親
和性精製のために使用される。プロテインAは黄色ブドウ球菌からの41kD細胞壁タンパ
ク質であり、高親和性を伴い抗体のFc領域に結合する。Lindmark et al (1983) J. Imm
unol. Meth. 62: 1-13。プロテインAが固定化される固相は、好ましくは、ガラスまたは
シリカ表面を含むカラム、より好ましくは制御された細孔ガラスカラムまたはケイ酸カラ
ムである。一部の適用において、カラムを、混入物の非特異的付着を予防するために、試
薬(例えばグリセロールなど)を用いてコートしている。固相を次に洗浄し、固相に非特
30
異的に結合した混入物を除去する。最後に、目的の抗体を、溶出により固相から回収する
。
【0253】
2.真核細胞における抗体産生
真核生物での発現のために、ベクター成分は、一般的に、限定はされないが、以下:シ
グナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、ならびにエンハンサーエレメ
ント、プロモーター、および転写終結配列の1つまたは複数を含む。
【0254】
a)シグナル配列成分
真核生物宿主における使用のためのベクターは、また、成熟タンパク質またはポリペプ
40
チドのN末端に特定の切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドをコードす
るインサートを含んでもよい。選択される異種シグナル配列は、宿主細胞により認識され
、プロセシングされる(即ち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。哺
乳動物細胞での発現において、哺乳動物シグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例
えば、単純ヘルペスgDシグナルを利用可能である。
【0255】
そのような前駆体領域のためのDNAを、リーディングフレーム中で、本発明の抗体を
コードするDNAに連結する。
【0256】
b)複製起点
50
(72)
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一般的に、複製起点成分は、哺乳動物発現ベクターのために必要とされない(SV40
起点を典型的に使用してもよい。なぜなら、ただ、それは初期プロモーターを含むからで
ある)。
【0257】
c)選択遺伝子成分
発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択遺伝子(選択可能マーカーとも呼ば
れる)を含んでもよい。典型的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素(アンピ
シリン、ネオマイシン、メトトレキサート、またはテトラサイクリン)に対して耐性を付
与する、(b)栄養要求性欠損を補完する、または(c)複雑な培地から利用可能ではな
い決定的な栄養分を供給するタンパク質をコードする(例、バシラス属についてのDアラ
10
ニンラセマーゼをコードする遺伝子)。
【0258】
選択計画の1例では、宿主細胞の増殖を停止させるための薬物を利用する。異種遺伝子
を用いて成功裏に形質転換されるそれらの細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を産生
し、このように選択計画中に生存する。そのような優性選択の例では、薬物(ネオマイシ
ン、ミコフェノール酸、およびハイグロマイシン)を使用する。
【0259】
哺乳動物細胞のための適した選択マーカーの別の例は、本発明の抗体をコードする核酸
を取り込む能力がある細胞の同定を可能にするものである(例えば、DHFR、チミジン
キナーゼ、メタロチオネインIおよびII、好ましくは霊長類のメタロチオネイン遺伝子
20
、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなど)。
【0260】
例えば、DHFR選択遺伝子を用いて形質転換された細胞は、最初に、メトトレキサー
ト(Mtx)(DHFRの競合的アンタゴニスト)を含む培養液中で形質転換体の全てを
培養することにより同定される。野生型DHFRを用いた場合での適切な宿主細胞は、D
HFR活性が欠損したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例、ATCC C
RL−9096)である。
【0261】
あるいは、抗体をコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、および別の選択
マーカー、例えばアミノグリコシド3’ホスホトランスフェラーゼ(APH)などを用い
30
て形質転換または同時形質転換された宿主細胞(特に、内因性DHFRを含む野生型宿主
)を、選択マーカー用の選択薬剤(例えばアミノグリコシド抗生物質、例、カナマイシン
、ネオマイシン、またはG418など)を含む培地中での細胞増殖により選択することが
できる。米国特許第4,965,199号を参照のこと。
【0262】
d)プロモーター成分
発現ベクターおよびクローニングベクターは、通常、宿主生物により認識され、所望の
抗体配列をコードする核酸に機能的に連結されたプロモーターを含む。事実上、全ての真
核生物遺伝子が、転写が開始される部位から約25∼30塩基上流に位置付けられるAT
リッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70∼80塩基上流に見出される別
40
の配列は、CNCAAT領域であり、そこでNは任意のヌクレオチドでありうる。大半の
真核生物の3’末端は、AATAAA配列であり、それはコード配列の3’末端へのポリ
Aテールの付加のためのシグナルでありうる。これらの配列の全てを、真核生物発現ベク
ター中に挿入してもよい。
【0263】
原核生物宿主との使用のために適した他のプロモーターは、phoAプロモーター、ラ
クタマーゼおよびラクトースプロモーターシステム、アルカリホスファターゼプロモータ
ー、トリプトファン(trp)プロモーターシステム、およびハイブリッドプロモーター
(例えばtacプロモーターなど)を含む。しかし、他の公知の細菌プロモーターが適す
る。細菌システムにおける使用のためのプロモーターは、また、抗体ポリペプチドをコー
50
(73)
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ドするDNAに機能的に連結されたShine−Dalgarno(S.D.)配列を含
みうる。
【0264】
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの抗体ポリペプチド転写は、例えば、以下のウ
イルスのゲノムから得られるプロモーターにより制御される:例えばポリオーマウイルス
、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2など)、ウシパピローマウイ
ルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、
および最も好ましくははサルウイルス40(SV40)、異種哺乳動物プロモーターから
、例、アクチンプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモータ
ーから(そのようなプロモーターが宿主細胞系に適合するという条件で)。
10
【0265】
SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、SV40ウイルス複製起点も含む
SV40制限フラグメントとして便利に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プ
ロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして便利に得られる。ウシパピロ
ーマウイルスをベクターとして使用して哺乳動物宿主においてDNAを発現させるための
システムが、米国特許第4,419,446号に開示されている。このシステムの改変が
、米国特許第4,601,978号に記載されている。また、マウス細胞における単純ヘ
ルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのヒトインターフェロン
cDNAの発現に関するReyes et al., Nature 297: 598-601 (1982)を参照のこと。ある
いは、ラウス肉腫ウイルス末端反復配列をプロモーターとして使用することができる。
20
【0266】
e)エンハンサーエレメント成分
より高い真核生物による本発明の抗体をコードするDNAの転写は、しばしば、ベクタ
ー中にエンハンサー配列を挿入することにより増加される。多くのエンハンサー配列が、
現在、哺乳動物遺伝子から公知である(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェ
トプロテイン、およびインスリン)。典型的に、しかし、真核細胞ウイルスからのエンハ
ンサーが使用されうる。例は、複製開始点の後期側のSV40エンハンサー(bp 10
0−270)、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期
側のポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーを含む。また、真核生
物プロモーターの活性化のための増強エレメントに関するYaniv, Nature 297: 17-18 (19
30
82)を参照のこと。エンハンサーは、抗体コード配列に対する位置5’または3’でベク
ター中にスプライシングされうるが、しかし、好ましくはプロモーターから部位5’に位
置付けられる。
【0267】
f)転写終結成分
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、または他の多細胞生物から
の有核細胞)において使用される発現ベクターは、また、転写の終結のためにおよびmR
NAを安定化させるために必要な配列を含みうる。そのような配列は、一般に、真核生物
またはウイルスのDNAまたはcDNAの5’および、時には3’の非翻訳領域から利用
可能である。これらの領域は、、抗体をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリア
40
デニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転
写終結成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。WO94/11026およ
びその中で開示される発現ベクターを参照のこと。
【0268】
g)宿主細胞の選択および形質転換
本明細書におけるベクター中でDNAをクローン化または発現するための適した宿主細
胞は、本明細書に記載するより高い真核細胞(脊椎動物宿主細胞を含む)を含む。培養(
組織培養)における脊椎動物細胞の増殖は、通常の手順になっている。有用な哺乳動物宿
主細胞株の例は、以下:SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS−7,
ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293細胞または浮遊培養中での増殖の
50
(74)
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ためにサブクローン化された293細胞、Graham et al., J. Gen Virol. 36: 59 (1977)
);仔ハムスター腎細胞(BHK, ATCC CCL 10);チャイニーズハムスタ
ー卵巣細胞/−DHFR(CHO, Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:
4216 (1980));マウスセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod. 23: 243-251 (
1980) );サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎
臓細胞(VERO−76, ATCC CRL−1587);ヒト子宮頚癌細胞(HEL
A, ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK, ATCC CCL 34)
;バッファローラット肝細胞(BRL 3A, ATCC CRL 1442);ヒト肺
細胞(W138, ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(Hep G2, HB 8
065);マウス乳癌(MMT 060562, ATCC CCL51);TRI細胞
10
(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383: 44-68 (1982));MRC5細胞;FS
4細胞;およびヒト肝細胞癌株(Hep G2)である。
【0269】
宿主細胞を、抗体産生のための上記の発現またはクローニングベクターを用いて形質転
換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、または所望の配列をコードする遺伝
子を増幅するために適宜改変された従来の栄養培地中で培養する。有用な哺乳動物宿主細
胞株の例は、
【0270】
h)宿主細胞の培養。
本発明の抗体を産生するために使用される宿主細胞を、種々の培地中で培養してもよい
20
。商業的に利用可能な培地、例えばHam’s F10(Sigma)、最小必須培地((MEM
)、(Sigma)、RPMI−1640(Sigma)、およびダルベッコ改変イーグル培地((
DMEM)、Sigma)などが、宿主細胞を培養するために適する。また、Ham et al., Met
h. Enz. 58: 44 (1979)、Barnes et al., Anal. Biochem. 102: 255 (1980)、米国特許第
4,767,704号;第4,657,866号;第4,927,762号;第4,56
0,655号;または第5,122,469号;WO90/03430;WO87/00
195;またはU.S. Patent Re.30,985に記載される培地のいずれ
かを宿主細胞用の培養液として使用してもよい。これらの培地のいずれかに、必要に応じ
て、以下を補給してもよい:ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えばインスリン、
トランスフェリン、または上皮増殖因子など)、塩(例えば塩化ナトリウム、カルシウム
30
、マグネシウム、およびリン酸など)、緩衝剤(例えばHEPESなど)、ヌクレオチド
(例えばアデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(例えばGENTAMYCIN(商標)薬物な
ど)、微量元素(通常マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物と定義される)
、およびグルコースまたは等価のエネルギー供給源。任意の他の必要な補給剤を、また、
当業者に公知でありうる適切な濃度で含めてもよい。培養条件、例えば温度、pHなどは
、発現のために選択された宿主細胞と共に以前に使用されたものであり、当業者に明らか
であろう。
【0271】
i)抗体の精製
組換え技術を使用する場合、抗体は、細胞内に、ペリプラズム間隙中に産生されうる、
40
または培地中に直接的に分泌されうる。抗体が細胞内に産生される場合、最初の工程とし
て、微粒子細片、宿主細胞または溶解フラグメントを、例えば、遠心分離または限外ろ過
により除去する。Carter et al., Bio/Technology 10: 163-167 (1992)には、E.col
iのペリプラズム間隙に分泌される単離抗体のための手順が記載される。簡単に説明する
と、細胞ペーストを、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、およびフェニルメチル
スルホニルフルオリド(PMSF)の存在において約30分にわたり溶解させる。細胞片
を遠心分離により除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、そのような発
現系からの上清を、一般的に、商業的に利用可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、
AmiconまたはMillipore Pellicon限外ろ過ユニットを使用して最初に濃縮する。プロテア
ーゼ阻害剤、例えばPMSFなどを、先の工程のいずれかに含め、タンパク質分解を阻害
50
(75)
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してもよく、抗生物質を含め、外来性混入菌の増殖を予防してもよい。
【0272】
細胞から調製された抗体組成物を、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ
ー、ゲル電気泳動、透析、および親和性クロマトグラフィーを使用して精製することがで
き、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製技術である。親和性リガンドとし
てのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種
類およびアイソタイプに依存する。プロテインAを使用し、1、2、または4の重鎖を含
むヒト免疫グロブリンに基づく抗体を精製することができる(Lindmark et al., J. Immu
nol. Meth. 62: 1-13 (1983))。プロテインGが全てのマウスアイソタイプについておよ
びヒト3について推奨される(Guss et al., EMBO J. 5: 15671575 (1986))。親和性リ
10
ガンドが付着するマトリクスは、最もしばしばアガロースであるが、しかし、他のマトリ
クスを利用可能である。機械的に安定なマトリクス、例えば制御された細孔ガラスまたは
ポリ(スチレン−ジビニル)ベンゼンによって、アガロースを用いて達成することができ
るよりも速い流速および短い処理時間が可能になる。抗体がCH3ドメインを含む場合、
Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製のために有用であ
る。タンパク質精製のための他の技術、例えばイオン交換カラム上での分画、エタノール
沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹
脂(例えばポリアスパラギン酸カラムなど)上でのヘパリンSEPHAROSE(商標)クロマト
グラフィー上でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、お
よび硫安塩析も、回収される抗体に依存して利用可能である。
20
【0273】
任意の予備精製工程に続き、目的の抗体および混入物を含む混合物を、pHが約2.5
−4.5の溶出バッファーを使用し、好ましくは低塩濃度(例、約0−0.25M塩)で
実施される、低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供してもよい。
【0274】
C.抗体調製
1)ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、一般的に、関連抗原およびアジュバントの複数回の皮下(sc
)または腹腔内(ip)注射により動物において産生される。関連抗原を、免疫化される
種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(K
30
LH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、または大豆トリプシン阻害剤に、二官
能性薬剤または誘導体化薬剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエス
テル(システイン残基を通じた抱合)、Nヒドロキシスクシンイミド(リジン(lysi
en)残基を通じて)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2、またはR1N
=C=NR(式中、RおよびR1は非依存的により低いアルキル基である)を使用して抱
合することが有用でありうる。用いてもよいアジュバントの例は、フロイント完全アジュ
バントおよびMPL−TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジ
コリノミコラート)を含む。免疫化プロトコールは、過度の実験なしに当業者により選択
されうる。
【0275】
40
動物を、抗原、免疫原性コンジュゲート、または誘導体に対して、例えば100μgま
たは5μgのタンパク質またはコンジュゲート(それぞれウサギまたはマウス用)を3容
積のフロイント完全アジュバントと組み合わせることにより、および、溶液を複数部位に
皮内注射することにより免疫化する。1ヶ月後、動物に、フロイント完全アジュバント中
のペプチドまたはコンジュゲートの最初の量の1/5∼1/10を用いて、複数部位での
皮下注射により追加免役する。7∼14日後、動物を出血させ、血清を抗体価についてア
ッセイする。動物に、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。コンジュゲートも、タ
ンパク質融合体として組換え細胞培養において作製することができる。また、凝集剤(例
えばミョウバンなど)が免疫応答を増強するために適する。
【0276】
50
(76)
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2)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体を実質的に均質な抗体の集団から得る。即ち、その集団を含む個々
の抗体は、少量で存在しうる、起こりうる天然突然変異および/または翻訳後修飾(例、
異性化、アミド化)を除いて同一である。このように、修飾語「モノクローナル」は、別
々の抗体の混合物ではないとして抗体の特徴を示す。
【0277】
例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256: 495 (1975)により最初
に記載されたハイブリドーマ方法を使用して作製してもよく、または組換えDNA方法に
より作製してもよい(米国特許第4,816,567号)。
【0278】
10
ハイブリドーマ方法において、マウスまたは他の適切な宿主動物(例えばハムスターな
ど)を本明細書で上に記載する通りに免疫化し、免疫化のために使用されるタンパク質に
特異的に結合するであろう抗体を産生するまたは産生することが可能であるリンパ球を誘
発する。あるいは、リンパ球をin vitroで免疫化してもよい。リンパ球を、次に
、ミエローマ細胞と、適した融合剤(例えばポリエチレングリコールなど)を使用して融
合し、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles an
d Practice, pp.59-103 (Academic Press, 1986))。
【0279】
免疫化薬剤は、典型的に、抗原性タンパク質またはその融合バリアントを含みうる。一
般的に、末梢血リンパ球(「PBL」)が、ヒト由来細胞が所望である場合に使用され、
20
または、脾細胞またはリンパ節細胞が、非ヒト哺乳動物の供給源が所望である場合に使用
される。リンパ球を、次に、不死化細胞株と、適した融合剤(例えばポリエチレングリコ
ールなど)を使用して融合し、ハイブリドーマ細胞を形成するGoding, Monoclonal Antib
odies: Principles and Practice, Academic Press (1986), pp.59-103。
【0280】
不死化細胞株は、通常、形質転換された哺乳動物細胞、特に齧歯類、ウシ、およびヒト
由来のミエローマ細胞である。通常、ラットまたはマウスミエローマ細胞株を用いる。こ
のように調製されたハイブリドーマ細胞を、好ましくは非融合親ミエローマ細胞の増殖ま
たは生存を阻害する1つまたは複数の物質を含む適した培養液中に播種し、増殖させた。
例えば、親ミエローマ細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラ
30
ーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培養液は、典型的に
、ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)(HGPRT欠損細
胞の増殖を予防する物質である)を含みうる。
【0281】
好ましい不死化ミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗
体の安定した高レベル産生を支持し、培地(例えばHAT培地など)に感受性であるもの
である。これらの内、マウスミエローマ株、例えばSalk Institute Cell Distribution C
enter, San Diego, California USAから利用可能なMOPC−21およびMPC−11マ
ウス腫瘍に由来するもの、およびAmerican Type Culture Collection, Manassas, Virgin
ia USAから利用可能なSP−2細胞(およびその派生体、例、X63−Ag8−653)
40
などが好ましい。ヒトミエローマおよびマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞株もヒトモノ
クローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133: 3001 (1984
); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, p
p.51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
【0282】
ハイブリドーマ細胞が増殖している培養液を、抗原に対して向けられたモノクローナル
抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモ
ノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降によりまたはin vitro結合アッセイ
(例えばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA
)など)により決定する。
50
(77)
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【0283】
ハイブリドーマ細胞が培養される培養液を、所望の抗原に対して向けられたモノクロー
ナル抗体の存在についてアッセイすることができる。好ましくは、モノクローナル抗体の
結合親和性および特異性を、免疫沈降によりまたはin vitro結合アッセイ(例え
ばラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)など
)により決定することができる。そのような技術およびアッセイは、当技術分野において
公知である。例えば、結合親和性を、Munson et al., Anal. Biochem., 107: 220 (1980)
のスキャチャード解析により決定してもよい。
【0284】
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同
10
定された後、クローンを限界希釈手順によりサブクローン化し、標準的な方法(Goding,
supra)により増殖してもよい。この目的のための適した培養液は、例えば、D−MEM
またはRPMI−1640培地を含む。また、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物において
腫瘍としてin vivoで増殖しうる。
【0285】
サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体は、培養液、腹水、または血清から
、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、プロテインA-Sepharose、ヒドロキシルアパ
タイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、または親和性クロマトグラフィーなど
により適切に分離される。
【0286】
20
モノクローナル抗体は、また、組換えDNA方法(例えば米国特許第4,816,56
7号に記載されるものなど)により、および上に記載する通りに作製してもよい。モノク
ローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して容易に単離および配列決定さ
れる(例、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可
能であるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによる)。ハイブリドーマ細胞は、
そのようなDNAの好ましい供給源としての役割を果たす。一旦、単離されると、DNA
を発現ベクター中に置いてもよく、それを次に、本来なら免疫グロブリンタンパク質を産
生しない宿主細胞、例えばE.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター
卵巣(CHO)細胞、またはミエローマ細胞などにトランスフェクションする(そのよう
な組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体を合成するために)。抗体をコードするD
30
NAの細菌における組換え発現に関する概説文献は、Skerra et al., Curr. Opinion in
Immunol., 5: 256-262 (1993)およびPluckthun, Immunol. Revs. 130: 151-188 (1992)を
含む。
【0287】
さらなる実施態様において、抗体を、McCafferty et al., Nature, 348: 552-554 (199
0)に記載される技術を使用して生成された抗体ファージライブラリーから単離することが
できる。Clackson et al., Nature, 352: 624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol.
Biol., 222: 581-597 (1991)には、ファージライブラリーを使用した、それぞれマウスお
よびヒトの抗体の単離が記載されている。続く刊行物には、鎖シャッフリングによる高親
和性(nM幅)ヒト抗体の産生(Marks et al., Bio/Technology, 10: 779-783 (1992))、
40
ならびに組み合わせ感染および非常に大きなファージライブラリーを構築するための戦略
としてのin vivo組換え(Waterhouse et al., Nucl. Acids Res., 21: 2265-2266
(1993))が記載されている。このように、これらの技術は、モノクローナル抗体の単離
のための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対する実行可能な代替物である
。
【0288】
DNAを、また、例えば、相同マウス配列の場所でヒト重鎖および軽鎖定常ドメインに
ついてのコード配列を置換することにより(米国特許第4,816,567号;Morrison
, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA, 81: 6851 (1984))、または免疫グロブリンコー
ド配列に、非免疫グロブリンポリペプチドについてのコード配列の全部または一部を共有
50
(78)
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結合的に連結させることにより改変してもよい。典型的に、そのような非免疫グロブリン
ポリペプチドを、抗体の定常ドメインについて置換し、または、それらを、抗体の抗原組
み合わせ部位の可変ドメインについて置換し、抗原についての特異性を有する1つの抗原
組み合わせ部位および異なる抗原についての特異性を有する別の抗原組み合わせ部位を含
むキメラ二価抗体を作製する。
【0289】
本明細書に記載するモノクローナル抗体は一価でありうるが、その調製は当技術分野に
おいて周知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖および改変重鎖の組換え
発現を含む。重鎖は、重鎖の架橋を予防するように、Fc領域中の任意の点で一般的に切
断される。あるいは、関連するシステイン残基を、架橋を予防するために、別のアミノ酸
10
残基と置換してもよく、または欠失させる。in vitroでの方法が、また、一価抗
体を調製するために適している。そのフラグメント、特にFabフラグメントを産生する
ための抗体の消化を、当技術分野において公知の通常の技術を使用して達成することがで
きる。
【0290】
キメラ抗体またはハイブリッド抗体を、また、合成タンパク質化学において公知の方法
(架橋剤を含むものを含む)を使用してin vitroで調製してもよい。例えば、免
疫毒素を、ジスルフィド交換反応を使用してまたはチオエーテル結合を形成することによ
り構築してもよい。この目的のための適した試薬の例は、イミノチオラート(iminothiol
ate)およびメチル−4−メルカプトブチルイミデートを含む。
20
【0291】
3)ヒト化抗体
本発明の抗体は、さらに、ヒト化抗体またはヒト抗体を含みうる。非ヒト(例、マウス
)抗体のヒト化形態は、非ヒト免疫グロブリンに由来する配列を最小に含む、キメラ免疫
グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはそのフラグメント(例えばFv、Fab、Fab
’、F(ab’)2、または抗体の他の抗原結合サブ配列など)である。ヒト化抗体はヒ
ト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含み、それにおいてレシピエントの相補性決定
領域(CDR)(本明細書で使用されるHVR)からの残基が、非ヒト種(例えば所望の
特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、またはウサギなど)(ドナー抗体
)のCDRからの残基により置換される。一部の例において、ヒト免疫グロブリンのFv
30
フレームワーク残基は、対応する非ヒト残基により置換される。ヒト化抗体は、また、レ
シピエント抗体においてまたは移入されたCDRまたはフレームワーク配列において見出
されない残基を含みうる。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの
可変ドメインの実質的に全てを含みうるが、それにおいてCDR領域の全てまたは実質的
に全てが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てがヒ
ト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、最適にはまた、免疫グ
ロブリン定常領域(Fc)の少なくとも部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含
む。Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332: 323329 (1988)およびPresta, Curr. Opin. Struct. Biol. 2: 593-596 (1992)。
【0292】
40
非ヒト抗体をヒト化するための方法が、当技術分野において周知である。一般的に、ヒ
ト化抗体は、非ヒトである供給源からその中に導入された1つまたは複数のアミノ酸残基
を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「移入」残基と呼ばれ、それは典
型的に「移入」可変ドメインから取られる。ヒト化を、本質的に、Winterおよび共同研究
者、Jones et al., Nature 321: 522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332: 323327 (1988); Verhoeyen et al., Science 239: 1534-1536 (1988)の方法に従い、または
ヒト抗体の対応する配列についての齧歯類CDRまたはCDR配列の置換を通じて実施す
ることができる。したがって、そのような「ヒト化」抗体はキメラ抗体(米国特許第4,
816,567号)であり、それにおいて実質的にインタクトに満たないヒト可変ドメイ
ンが、非ヒト種からの対応する配列により置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典
50
(79)
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型的には、一部のCDR残基および恐らくは一部のFR残基が齧歯類抗体中の類似部位か
らの残基により置換されるヒト抗体である。
【0293】
ヒト化抗体を作製する際に使用されるヒト可変ドメイン(軽鎖および重鎖の両方)の選
択が、抗原性を低下させるために非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」方法に
従い、齧歯類抗体の可変ドメインの配列が、公知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー
全体に対してスクリーニングされる。齧歯類のそれに最も近いヒト配列が、次に、ヒト化
抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受け入れられる。Sims et al., J. Immu
nol., 151: 2296 (1993); Chothia et al., J. Mol. Biol., 196: 901 (1987).別の方法
では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来
10
する特定のフレームワークが使用される。同じフレームワークを、いくつかの異なるヒト
化抗体のために使用してもよい。Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 428
5 (1992); Presta et al., J. Immunol., 151: 2623 (1993)。
【0294】
抗体を、その抗原についての高い親和性および他の好ましい生物学的特性の保持を伴い
ヒト化することがさらに重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従い、
ヒト化抗体を、親のヒト化配列の三次元モデルを使用した親配列および種々の概念的なヒ
ト化産物の分析のプロセスにより調製する。三次元免疫グロブリンモデルが一般的に利用
可能であり、当業者によく知られている。コンピュータープログラムを利用可能であり、
それは選択された候補免疫グロブリン配列の可能性のある三次元立体構造を例示し、提示
20
する。これらのディスプレイの検証は、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可
能性の高い役割の分析、即ち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を与
える残基の分析を許す。この方法において、FR残基がレシピエントから選択され、組み
合わせることができ、所望の抗体特徴(例えば標的抗原についての増加した親和性など)
が達成される。一般的に、CDR残基は、抗原結合に影響を与える際に、直接的におよび
最も実質的に関与する。
【0295】
ヒト化抗体の種々の形態が検討される。例えば、ヒト化抗体は、抗体フラグメント(例
えばFabなど)でありうるが、それは、場合により、イムノコンジュゲートを生成する
ために、1つまたは複数の細胞傷害性薬剤に抱合される。あるいは、ヒト化抗体は、イン
30
タクトな抗体(例えばインタクトなIgG1抗体など)でありうる。
【0296】
4)ヒト抗体
ヒト化に対する代替物として、ヒト抗体を生成することができる。例えば、免疫化時に
、内因性の免疫グロブリン産生の非存在においてヒト抗体の完全レパートリーを産生する
ことが可能であるトランスジェニック動物(例、マウス)を産生することが現在可能であ
る。例えば、キメラマウスおよび生殖系列突然変異マウスにおける抗体重鎖連結領域(J
H)遺伝子のホモ接合性欠失が、内因性の抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載さ
れている。そのような生殖系列突然変異マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝
子アレイの移入は、抗原攻撃時でのヒト抗体の産生をもたらす。例えば、Jakobovits et
40
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362
: 255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immuno., 7: 33 (1993);米国特許第
5,591,669号およびWO97/17852を参照のこと。
【0297】
あるいは、ファージディスプレイ技術を使用し、ヒト抗体および抗体フラグメントをi
n vitroで、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパ
ートリーから産生することができる。McCafferty et al., Nature 348: 552-553 (1990);
Hoogenboom and Winter, J. Mol. Biol. 227: 381 (1991)。この技術に従い、抗体Vド
メイン遺伝子を、糸状バクテリオファージの大または小コートタンパク質遺伝子(例えば
M13またはfdなど)中にインフレームでクローン化し、ファージ粒子の表面上で機能
50
(80)
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的な抗体フラグメントとして提示する。糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピー
を含むため、抗体の機能特性に基づく選択は、また、それらの特性を示す抗体をコードす
る遺伝子の選択をもたらす。このように、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。
ファージディスプレイは種々のフォーマットで実施することができ、例えば、Johnson, K
evin S. and Chiswell, David J., Curr. Opin Struct. Biol. 3: 564-571 (1993)に概説
される。V遺伝子セグメントのいくつかの供給源をファージディスプレイのために使用す
ることができる。Clackson et al., Nature 352: 624-628 (1991)では、免疫化マウスの
脾臓に由来するV遺伝子の小さなランダムコンビナトリアルライブラリーから抗オキサゾ
ロン抗体の多様なアレイが単離された。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝子のレパートリ
ーを構築することができ、抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイに対する抗体を、Mark
10
s et al., J. Mol. Biol. 222: 581-597 (1991)またはGriffith et al., EMBO J. 12: 72
5-734 (1993)により記載される技術に本質的に従って単離することができる。また、米国
特許第5,565,332号および第5,573,905号を参照のこと。
【0298】
Cole et al.およびBoerner et al.の技術は、また、ヒトモノクローナル抗体の調製の
ために利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Ala
n R. Liss, p. 77 (1985)およびBoerner et al., J. Immunol. 147(1): 86-95 (1991))
。同様に、ヒト抗体を、トランスジェニック動物(例、内因性免疫グロブリン遺伝子が部
分的または完全に不活化されたマウス)中へヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入すること
により作製することができる。攻撃時、ヒト抗体産生が観察され、それは全ての点(遺伝
20
子再配列、組み立て、および抗体レパートリーを含む)でヒトにおいて見られるものと酷
似している。このアプローチは、例えば、以下に記載されている:米国特許第5,545
,807号;第5,545,806号、第5,569,825号、第5,625,126
号、第5,633,425号、第5,661,016号および以下の科学的な刊行物:Ma
rks et al., Bio/Technology 10: 779-783 (1992); Lonberg et al., Nature 368: 856-8
59 (1994); Morrison, Nature 368: 812-13 (1994), Fishwild et al., Nature Biotechn
ology 14: 845-51 (1996), Neuberger, Nature Biotechnology 14: 826 (1996)およびLon
berg and Huszar, Intern. Rev. Immunol. 13: 65-93 (1995)。
【0299】
最後に、ヒト抗体が、また、活性化B細胞によりin vitroで生成されうる(米
30
国特許第5,567,610号および第5,229,275号を参照のこと)。
【0300】
5)抗体フラグメント
特定の状況において、抗体全体よりむしろ抗体フラグメントを使用することに利点があ
る。より小さなフラグメントサイズは迅速なクリアランスを可能にし、固形腫瘍に対する
改善されたアクセスに導きうる。
【0301】
種々の技術が、抗体フラグメントの産生のために開発されている。従来、これらのフラ
グメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して得られた(例、Morimoto e
t al., J Biochem Biophys. Method. 24: 107-117 (1992);およびBrennan et al., Scien
40
ce 229: 81 (1985)を参照のこと)。しかし、これらのフラグメントは、現在、組換え宿
主細胞により直接的に産生することができる。Fab、Fv、scFv抗体フラグメント
は全てE.coliにおいて発現され、E.coliから分泌されることができ、このよ
うに、多量のこれらのフラグメントの簡易産生が可能になる。抗体フラグメントは、上で
考察する抗体ファージライブラリーから単離することができる。あるいは、Fab’−S
HフラグメントをE.coliから直接的に回収し、化学的に共役し、F(ab’)2フ
ラグメントを形成することができる(Carter et al., Bio/Technology 10: 163-167 (199
2))。別のアプローチに従い、F(ab’)2フラグメントを組換え宿主細胞培養から直
接的に単離することができる。増加したin vivoでの半減期を伴うFabおよびF
(ab’)2が米国特許第5,869,046号に記載されている。他の実施態様におい
50
(81)
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て、選択される抗体は一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。WO93/1618
5;米国特許第5,571,894号および米国特許第5,587,458号を参照のこ
と。抗体フラグメントは、また、「線形抗体」でありうる(例、米国特許第5,641,
870号に記載される)。そのような線形抗体フラグメントは、一特異性または二特異性
でありうる。
【0302】
6)抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ治療(ADEPT)
本発明の抗体を、また、ADEPTにおいて、プロドラッグ(例、ペプチジル化学療法
剤、WO81/01145を参照のこと)を活性な抗癌薬物に変換するプロドラッグ活性
化酵素に抗体を抱合させることにより使用してもよい。例えば、WO88/07378お
10
よび米国特許第4,975,278号を参照のこと。
【0303】
ADEPTのために有用であるイムノコンジュゲートの酵素成分は、それをそのより活
性な細胞傷害形態に変換するような方法で、プロドラッグに作用することが可能な任意の
酵素を含む。
【0304】
本発明の方法において有用である酵素は、限定はされないが、以下の含む:グリコシダ
ーゼ、グルコースオキシダーゼ、ヒトリゾチーム、ヒトグルクロニダーゼ、アルカリホス
ファターゼ(リン酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用);アリルスルフ
ァターゼ(硫酸含有プロドラッグを遊離薬物に変換するために有用);シトシンデアミナ
20
ーゼ(非毒性5−フルオロシトシンを抗癌薬物5−フルオロウラシルに変換するために有
用);プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、ズブチリシン、カル
ボキシペプチダーゼ(例、カルボキシペプチダーゼG2およびカルボキシペプチダーゼA
)、カテプシン(例えばカテプシンBおよびLなど)(ペプチド含有プロドラッグを遊離
薬物に変換するために有用);D−アラニルカルボキシペプチダーゼ(Dアミノ酸置換基
含有プロドラッグに変換するために有用);炭水化物切断酵素、例えばβ−ガラクトシダ
ーゼおよびノイラミニダーゼ(グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するために有
用)など;βラクタマーゼ(βラクタムを用いて誘導体化された薬物を遊離薬物に変換す
るために有用);ならびにペニシリンアミダーゼ、例えばペニシリンVamidaseまたはペニ
シリンGアミダーゼなど(それぞれフェノキシアセチルまたはフェニルアセチル基を用い
30
てそれらのアミン窒素で誘導体化された薬物を遊離薬物に変換するために有用)。あるい
は、酵素活性を伴う抗体(当技術分野において「アブザイム」としても公知)を使用して
、本発明のプロドラッグを遊離活性薬物に変換することができる(例、Massey, Nature 3
28: 457-458 (1987)を参照のこと)。抗体−アブザイムコンジュゲートを、腫瘍細胞集団
へのアブザイムの送達のために、本明細書に記載する通りに調製することができる。
【0305】
上の酵素を、当技術分野において周知の技術、例えば上で考察するヘテロ二官能性架橋
薬剤の使用などにより、本明細書に記載するポリペプチドまたは抗体に共有結合的に結合
させることができる。あるいは、本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部分に連結さ
れた本発明の抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質を、当技術分野におい
40
て周知の組換えDNA技術を使用して構築することができる(例、Neuberger et al., Na
ture 312: 604-608 (1984)を参照のこと)。
【0306】
7)二特異性および多特異性抗体
二特異性抗体(BsAb)は、少なくとも2つの異なるエピトープ(同じまたは別のタ
ンパク質上のものを含む)について結合特異性を有する抗体である。あるいは、1つのア
ームは標的抗原に結合することができ、別のアームは、白血球上の誘発分子、例えばT細
胞受容体分子(例、CD3)、またはIgGについてのFc受容体(FcγR)、例えば
FcγR1(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(CD16
)などに結合するアームと組み合わせることができ、細胞防御機構を標的の抗原発現細胞
50
(82)
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に集中させ、局在化する。そのような抗体は、全長抗体または抗体フラグメント(例、F
(ab’)2二特異性抗体)に由来しうる。
【0307】
二特異性抗体は、また、標的抗原を発現する細胞に細胞傷害性薬剤を局在化するために
使用してもよい。そのような抗体は、所望の抗原に結合する1つのアームおよび細胞毒傷
害性薬剤(例、サポリン、抗インターフェロン−α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、
メトトレキセート、またはラジオアイソトープハプテン)に結合する別のアームを保有す
る。公知の二特異性抗体の例は、抗ErbB2/抗体FcgRIII(WO96/166
73)、抗ErbB2/抗FcgRI(U.S.P.5,837,234)、抗ErbB
2/抗CD3(U.S.P.5,821,337)を含む。
10
【0308】
二特異性抗体を作製するための方法が、当技術分野において公知である。全長の二特異
性抗体の従来の産生は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づき、そこで
は2つの鎖が異なる特異性を有する。Millstein et al., Nature, 305: 537-539 (1983)
。免疫グロブリン重鎖および軽鎖のランダムな組合せのために、これらのハイブリドーマ
(クアドローマ)は10の異なる抗体分子の潜在的な混合物を産生し、その内のわずか1
つが正しい二特異性構造を有する。正しい分子の精製は、通常、親和性クロマトグラフィ
ー工程により行われ、かなり扱いにくく、産物収量は低い。類似の手順が、WO93/0
8829においておよびTraunecker et al., EMBO J., 10: 3655-3659 (1991)に開示され
ている。
20
【0309】
異なるアプローチに従い、所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を伴う抗体可変ド
メインを、免疫グロブリン定常ドメインの配列に融合させる。融合体は、好ましくは、免
疫グロブリン重鎖定常ドメインを伴い、ヒンジ、CH2、およびCH3領域の少なくとも
部分を含む。融合体の少なくとも1つに存在する、軽鎖結合のために必要な部位を含む第
1の重鎖定常領域(CH1)を有することが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体および
、所望の場合、免疫グロブリン軽鎖をコードするDNAを別々の発現ベクター中に挿入し
、適した宿主生物中に同時トランスフェクションする。これは、構築において使用される
3つのポリペプチド鎖の不等率が最適な収量を提供する場合の実施態様において3つのポ
リペプチドフラグメントの相互割合を調節する際に大きな柔軟性を提供する。しかし、等
30
率の少なくとも2のポリペプチドの発現が高収量をもたらす場合または比率が特に有意で
はない場合、2つまたは全て3つのポリペプチド鎖についてのコード配列を1つの発現ベ
クター中に挿入することが可能である。
【0310】
このアプローチの好ましい実施態様において、二特異性抗体は、1つのアームにおける
第1の結合特異性を伴うハイブリッド免疫グロブリン重鎖および他のアームにおけるハイ
ブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)で構成される。こ
の非対称構造は、不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二特異性化合物の分
離を促進することが見出された。なぜなら、二特異性分子の半分だけにおける免疫グロブ
リン軽鎖の存在が分離の簡単な方法を提供するからである。このアプローチはWO94/
40
04690に開示されている。二特異性抗体の生成のさらなる詳細については、例えば、
Suresh et al., Methods in Enzymology 121: 210 (1986)を参照のこと。
【0311】
WO96/27011またはU.S.P.5,731,168に記載される別のアプロ
ーチに従い、抗体分子の対の間の界面を操作し、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二
量体のパーセンテージを最大限にすることができる。好ましい界面は、抗体定常ドメイン
のCH3領域の少なくとも部分を含む。この方法において、第1の抗体分子の界面からの
1つまたは複数の小さなアミノ酸側鎖を、より大きな側鎖(例、チロシンまたはトリプト
ファン)を用いて置換する。大きな側鎖と同一または類似のサイズの代償的な「空洞」を
、大きなアミノ酸側鎖をより小さなもの(例、アラニンまたはスレオニン)を用いて置換
50
(83)
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することにより第2の抗体分子の界面上に作製する。これは、他の不要な最終産物(例え
ばホモ二量体など)を上回りヘテロ二量体の収量を増加させるための機構を提供する。
【0312】
抗体フラグメントから二特異性抗体を生成するための技術が、文献に記載されている。
例えば、二特異性抗体を、化学結合を使用して調製することができる。Brennan et al.,
Science 229: 81 (1985)には、インタクトな抗体がタンパク質分解的に切断され、F(a
b’)2フラグメントを生成する手順が記載されている。これらのフラグメントは、ジチ
オール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在において還元され、隣接ジオールを安定化し
、分子間ジスルフィド形成を予防する。生成されたFab’フラグメントは次にチオニト
ロ安息香酸(TNB)誘導体に変換される。Fab’−TNB誘導体の1つが次にFab
10
’−TNB誘導体に再変換され、二特異性抗体を形成する。産生された二特異性抗体を、
酵素の選択的な固定化のための薬剤として使用することができる。
【0313】
Fab’フラグメントをE.coliから直接的に回収し、化学的に共役し、二特異性
抗体を形成してもよい。Shalaby et al., J. Exp. Med. 175: 217-225 (1992)には、完全
ヒト化二特異性抗体F(ab’)2分子の産生が記載されている。各Fab’フラグメン
トがE.coliから別々に分泌され、in vitroでの方向性の化学的共役に供さ
れ、二特異性抗体を形成した。このようにして形成された二特異性抗体は、ErbB2受
容体を過剰発現する細胞および正常ヒトT細胞に結合し、ならびにヒト乳房腫瘍標的に対
してヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を誘発することができた。
20
【0314】
組換え細胞培養から直接的に二価抗体フラグメントを作製し、単離するための種々の技
術も記載されている。例えば、二価ヘテロ二量体が、ロイシンジッパーを使用して産生さ
れている。Kostelny et al., J. Immunol., 148(5): 1547-1553 (1992)。FosおよびJ
unタンパク質からのロイシンジッパーペプチドを、遺伝子融合により2つの異なる抗体
のFab’に連結させた。抗体ホモ二量体はヒンジ領域で還元され、単量体を形成し、次
に再酸化され、抗体ヘテロ二量体を形成した。Hollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 90: 6444-6448 (1993)により記載される「ダイアボディ」技術は、二特異性/二
価抗体フラグメントを作製するための代替機構を提供している。フラグメントは、同じ鎖
上で2つのドメインの間での対合を可能にするには短すぎるリンカーにより軽鎖可変ドメ
30
イン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つのフラグ
メントのVHおよびVLドメインが、別のフラグメントの相補的なVLおよびVHドメイ
ンと追号することを強いられ、それにより2つの抗原結合部位を形成する。一本鎖Fv(
sFv)二量体の使用により二特異性/二価抗体フラグメントを作製するための別の戦略
も報告されている。Gruber et al., J. Immunol., 152: 5368 (1994)を参照のこと。
【0315】
2を上回る価数を伴う抗体が検討される。例えば、三特異性抗体を調製することができ
る。Tutt et al., J. Immunol. 147: 60 (1991)。
【0316】
例示的な二特異性抗体は、所与の分子上の2つの異なるエピトープに結合しうる。ある
40
いは、抗タンパク質アームを、白血球上で誘発因子、例えばT細胞受容体分子(例、CD
2、CD3、CD28、またはB7)、またはIgGについてのFc受容体(FcγR)
、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、およびFcγRIII(
CD16)などに結合するアームと組み合わせてもよく、細胞防御機構を特定のタンパク
質を発現する細胞に集中させる。二特異性抗体を使用して、特定のタンパク質を発現する
細胞に細胞傷害性薬剤を局在化させてもよい。そのような抗体は、タンパク質結合アーム
および細胞傷害性薬剤または放射性核種キレーター、例えばEOTUBE、DPTA、D
OTA、またはTETAなどに結合するアームを保有する。目的の別の二特異性抗体が目
的のタンパク質に結合し、組織因子(TF)にさらに結合する。
【0317】
50
(84)
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8)多価抗体
多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現する細胞により、二価抗体よりも速くインター
ナリゼーションされうる(および/または異化されうる)。本発明の抗体は、3つまたは
それ以上の抗原結合部位(例、四価抗体)を伴う多価抗体(それはIgMクラス以外のも
のである)でありうるが、それは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現
により容易に産生することができる。多価抗体は、二量体化ドメインおよび3つまたはそ
れ以上の抗原結合部位を含むことができる。好ましい二量体化ドメインは、Fc領域また
はヒンジ領域を含む(またはそれからなる)。このシナリオにおいて、抗体は、Fc領域
およびFc領域のアミノ末端に3つまたはそれ以上の抗原結合部位を含みうる。本明細書
における好ましい多価抗体は、3∼約8、しかし好ましくは4つの抗原結合部位を含む(
10
またはそれからなる)。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(および好ましく
は2つのポリペプチド鎖)を含み、それにおいてポリペプチド鎖は2つまたはそれ以上の
可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖はVD1−(X1)n−VD2−(X2)
n−Fcを含みうるが、それにおいてVD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2
の可変ドメインであり、FcはFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2
はアミノ酸またはポリペプチドを表し、nは0または1である。例えば、ポリペプチド鎖
は以下を含みうる:VH−CH1フレキシブルリンカーVH−CH1−Fc領域鎖;また
はVH−CH1−VH−CH1−Fc領域鎖。本明細書における多価抗体は、好ましくは
、少なくとも2つの(好ましくは4つの)軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。
本明細書における多価抗体は、例えば、約2∼約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを
20
含みうる。本明細書で検討する軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含
み、場合により、CLドメインをさらに含む。
【0318】
9)ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲内にある。ヘテロコンジュゲート抗体は、2
つの共有結合的に連結された抗体で構成される。例えば、ヘテロコンジュゲート中の抗体
の1つをアビジンに、他をビオチンに共役することができる。そのような抗体は、例えば
、免疫系細胞を不要な細胞に対して標的化すること(U.S.P.4,676,980)
およびHIV感染の処置のために提案されている。WO91/00360、WO92/2
00373、およびEP0308936.抗体を、合成タンパク質化学において公知の方
30
法(架橋薬剤を含むものを含む)を使用してin vitroで調製されうることが検討
される。例えば、免疫毒素を、ジスルフィド交換反応を使用してまたはチオエーテル結合
を形成することにより構築してもよい。この目的のための適した試薬の例は、イミノチオ
ラート(iminothiolate)およびメチル−4−メルカプトブチルイミデートならびに、例
えば、米国特許第4,676,980号に開示されるものを含む。ヘテロコンジュゲート
抗体は、任意の便利な架橋方法を使用して作製してもよい。適した架橋薬剤は当技術分野
において周知であり、米国特許第4,676,980号において、多くの架橋技術と共に
開示される。
【0319】
10)エフェクター機能操作
40
本発明の抗体を、Fcエフェクター機能に関して改変し、例えば、抗体の抗原依存性細
胞媒介性細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)を改変する
(例、増強または除去する)ことが望まれうる。好ましい実施態様において、抗PD−L
1抗体のFcエフェクター機能を低下または除去する。これは、抗体のFc領域において
1つまたは複数のアミノ酸置換を導入することにより達成されうる。あるいはまたは加え
て、システイン残基をFc領域中に導入してもよく、それによりこの領域における鎖間ジ
スルフィド結合形成を可能にする。このようにして生成されたホモ二量体抗体は、改善さ
れたインターナリゼーション能力および/または増加した補体媒介性細胞殺傷および抗体
依存性細胞傷害(ADCC)を有しうる。Caron et al., J. Exp Med. 176: 1191-1195 (
1992)およびShopes, B. J. Immunol. 148: 2918-2922 (1992)を参照のこと。増強した抗
50
(85)
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腫瘍活性を伴うホモ二量体抗体は、また、Wolff et al., Cancer Research 53: 2560-256
5 (1993)に記載されるヘテロ二官能性架橋剤を使用して調製されうる。あるいは、二重F
c領域を有し、それにより増強した補体溶解およびADCC能力を有しうる抗体を操作す
ることができる。Stevenson et al., Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230 (1989)を参
照のこと。
【0320】
抗体の血清中半減期を増加させるために、例えば、米国特許第5,739,277号に
記載する通りに、サルベージ受容体結合エピトープを抗体(特に抗体フラグメント)中に
取り込んでもよい。本明細書で使用する通り、「サルベージ受容体結合エピトープ」とい
う用語は、IgG分子のin vivoでの血清中半減期の増加に関与するIgG分子(
10
例、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
【0321】
11)他のアミノ酸配列の改変
本明細書に記載する抗体のアミノ酸配列の改変を検討する。例えば、抗体の結合親和性
および/または他の生物学的特性を改善することが望まれうる。抗体のアミノ酸配列バリ
アントを、抗体核酸中へ適切なヌクレオチド変化を導入することによりまたはペプチド合
成により調製する。そのような改変は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失
、および/またはその中への挿入、および/またはその置換を含む。欠失、挿入、および
置換の任意の組み合わせを作製し、最終産物に達する(最終的な構築物が所望の特徴を保
有するという条件で)。アミノ酸変化は、また、抗体の翻訳後プロセスを変化させうる(
20
例えばグリコシル化部位の数または位置を変化させるなど)。
【0322】
突然変異誘発のための好ましい位置である抗体の特定の残基または領域の同定のための
有用な方法は「アラニンスキャニング突然変異誘発」と呼ばれ、CunninghamおよびWells
によりScience, 244: 1081-1085 (1989)に記載される。本明細書では、残基または標的残
基の群を同定し(例、荷電残基、例えばarg、asp、his、lys、およびglu
など)、中性または負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)によ
り置換し、アミノ酸抗原の相互作用に影響を与える。置換に対する機能的な感受性を示す
それらのアミノ酸位置を、次に、置換の部位でまたはそれについて、さらなるまたは他の
バリアントを導入することにより洗練する。このように、アミノ酸配列変異を導入するた
30
めの部位が事前に決定されており、突然変異それ自体の性質を事前に決定する必要はない
。例えば、所与の部位での突然変異の性能を分析するために、alaスキャニングまたは
ランダム突然変異誘発を標的コドンまたは領域で行ない、発現された抗体バリアントを所
望の活性についてスクリーニングする。
【0323】
アミノ酸配列の挿入は、1つの残基から100またはそれ以上の残基を含むポリペプチ
ドまでの長さの範囲のアミノおよび/またはカルボキシ末端融合体、ならびに単一または
複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、N末端メチオニル残基を伴う
抗体または細胞傷害性ポリペプチドに融合した抗体を含む。抗体分子の他の挿入バリアン
トは、酵素(例、ADEPT用)または抗体の血清中半減期を増加させるポリペプチドへ
40
の抗体のNまたはC末端への融合体を含む。
【0324】
別の型のバリアントは、アミノ酸置換バリアントである。これらのバリアントは、異な
る残基により置換された、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換的
な突然変異誘発についての最も大きな目的の部位は、超可変領域を含むが、しかし、FR
変化も検討される。保存的置換を、「好ましい置換」の見出しの下に以下の表Aに示す。
そのような置換が生物学的活性において変化をもたらす場合、より実質的な変化(表Aに
おいて「例示的な置換」と命名され、またはアミノ酸クラスを参照して以下にさらに記載
される)を導入してもよく、そして産物をスクリーニングする。
【0325】
50
(86)
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【表2】
10
20
30
【0326】
抗体の生物学的特性における実質的な改変は、(a)置換の領域におけるポリペプチド
骨格の構造(例えば、シートまたはヘリカル立体構造として)、(b)標的部位での分子
の荷電または疎水性、あるいは(c)側鎖の容積を保持することに対するそれらの効果に
おいて有意に異なる置換を選択することにより達成される。天然残基を、共通の側鎖特性
40
に基づいて以下の群に分ける:
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;
(2)中性疎水性:cys、ser、thr;
(3)酸性:asp、glu;
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg;
(5)鎖の方向に影響を与える残基:gly、pro;および
(6)芳香族:trp、tyr、phe
【0327】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴い
うる。
50
(87)
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【0328】
抗体の適切な立体構造の保持に関与しない任意のシステイン残基も、一般的にセリンを
用いて置換し、分子の酸化的安定性を改善し、異常架橋を予防してもよい。逆に、システ
イン結合を抗体に加え、その安定性を改善してもよい(特に抗体が抗体フラグメント、例
えばFvフラグメントなどである場合)。
【0329】
置換バリアントの特に好ましい型は、親抗体(例、ヒト化またはヒト抗体)の1つまた
は複数の超可変領域の残基を置換することを含む。一般的に、結果として得られる、さら
なる開発のためのバリアントは、それらが生成される親抗体と比べて、改善された生物学
的特性を有しうる。そのような置換バリアントを生成するための便利な方法は、ファージ
10
ディスプレイを使用した親和性成熟を含む。簡単に説明すると、いくつかの超可変領域部
位(例、6∼7の部位)を突然変異させ、各部位で全ての可能なアミノ置換を生成する。
このようにして生成された抗体バリアントを、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝
子III産物への融合体として、糸状ファージ粒子から単価様式で提示する。ファージデ
ィスプレイバリアントを、次に、本明細書に開示する通り、それらの生物学的活性(例、
結合親和性)についてスクリーニングする。改変のために候補超可変領域部位を同定する
ために、アラニンスキャニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する超可変
領域残基を同定することができる。あるいはまたは加えて、抗原−抗体複合体の結晶構造
を分析し、抗体とその標的の間での接触点を同定することが有益でありうる(例、PD−
L1, B7.1)。そのような接触残基および隣接残基は、本明細書で詳述する技術に
20
従った置換のための候補である。一旦、そのようなバリアントが生成されると、バリアン
トのパネルを本明細書に記載する通りにスクリーニングに供し、1つまたは複数の関連ア
ッセイにおける優れた特性を伴う抗体をさらなる開発のために選択してもよい。
【0330】
抗体のアミノ酸バリアントの別の型は、抗体の本来のグリコシル化パターンを変化させ
る。変化により、抗体中で見出される1つまたは複数の炭水化物成分を欠失させること、
および/または抗体中に存在しない1つまたは複数のグリコシル化部位を加えることを意
味する。
【0331】
抗体のグリコシル化は、典型的に、N連結またはO連結のいずれかである。N連結は、
30
アスパラギン残基の側鎖に対する炭水化物成分の付着を指す。トリペプチド配列、アスパ
ラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(ここでXはプロリン以外の任
意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖に対する炭水化物成分の酵素的付着のための
認識配列である。このように、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの
存在は、潜在的なグリコシル化部位を生成する。O連結グリコシル化は、糖N−アセチル
ガラクトサミン(aceylgalactosamine)、ガラクトース、またはキシロースの1つの、ヒ
ドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンへの付着を指すが、5−ヒド
ロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリシンも使用してもよい。
【0332】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を変化させることにより便利に達成
40
され、それは、上に記載するトリペプチド配列の1つまたは複数を含むようにする(N連
結グリコシル化部位のため)。変化は、また、本来の抗体の配列への1つまたは複数のセ
リンまたはスレオニン残基の付加、またはそれによる置換により作製してもよい(O連結
グリコシル化部位のため)。
【0333】
本発明の抗体に対するアミノ酸配列バリアントをコードする核酸分子が、当技術分野に
おいて公知の種々の方法により調製される。これらの方法は、限定はされないが、天然供
給源(天然アミノ酸配列バリアントの場合において)からの単離またはオリゴヌクレオチ
ド媒介性(または部位特異的)突然変異誘発、PCR突然変異誘発、および先に調製され
たバリアントまたは非バリアントバージョンのカセット突然変異誘発による調製を含む。
50
(88)
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【0334】
12)他の抗体改変
本発明の抗体をさらに改変し、当技術分野において公知であり、容易に利用可能な追加
の非タンパク質成分を含むことができる。好ましくは、抗体の誘導体化のために適した成
分は、水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例は、限定はされないが、以
下を含む:ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコ
ールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール
、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサ
ン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダム
コポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリ
10
エチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド
/酸化エチレンコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例、グリセロール)、ポリ
ビニルアルコール、およびその混合物。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは
、水中でのその安定性のため、製造において利点を有しうる。ポリマーは、任意の分子量
でありうる、分岐または非分岐でありうる。抗体に付着するポリマーの数は変動しうるが
、1つを上回るポリマーが付着する場合、それらは同じまたは異なる分子でありうる。一
般的に、誘導体化のために使用されるポリマーの数および/または型は、抗体誘導体が限
定条件下での治療において使用されるか否かなどにかかわらず、考察(限定はされないが
、改善される抗体の特定の特性または機能を含む)に基づいて決定することができる。そ
のような技術および他の適した製剤が、Remington: The Science and Practice of Pharm
20
acy, 20th Ed., Alfonso Gennaro, Ed., Philadelphia College of Pharmacy and Scienc
e (2000)に開示される。
【0335】
D.医薬的製剤
治療用製剤は、保存のために、所望の程度の純度を有する活性成分を、任意の医薬的に
許容可能な担体、賦形剤、または安定剤と混合することにより調製する(Remington: The
Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., Lippincott Williams & Wiklins, Pub.
, Gennaro Ed., Philadelphia, PA
2000)。許容可能な担体、賦形剤、または安定剤は
、用いられる投与量および濃度でレシピエントに対して無毒性であり、バッファー、抗酸
化剤(アスコルビン酸を含む)、メチオニン、ビタミンE、メタ重亜硫酸ナトリウム;保
30
存剤、等張剤、安定剤、金属複合体(例、Zn−タンパク質複合体);キレート剤(例え
ばEDTAおよび/または非イオン界面活性剤など)を含む。
【0336】
治療用薬剤が抗体フラグメントである場合、標的タンパク質の結合ドメインに特異的に
結合する最も小さな阻害フラグメントが好ましい。例えば、抗体の可変領域配列に基づき
、標的タンパク質配列に結合する能力を保持する抗体フラグメントまたはペプチド分子さ
え設計することができる。そのようなペプチドは、組換えDNA技術により化学的に合成
および/または産生することができる(例、Marasco et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U
SA 90: 7889-7893 [1993]を参照のこと)。
【0337】
40
緩衝剤を使用し、治療の有効性を最適化する範囲にpHを制御する(特に安定性がpH
に依存的である場合)。緩衝剤は、好ましくは、約50mM∼約250mMの範囲の濃度で存
在する。本発明を用いた使用のための適した緩衝剤は、有機酸および無機酸の両方ならび
にその塩を含む。例えば、クエン酸、リン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、グルコン酸
、シュウ酸、乳酸、酢酸。加えて、緩衝剤は、ヒスチジンおよびトリメチルアミン塩(例
えばTrisなど)で構成されうる。
【0338】
保存剤を加えて、微生物の増殖を遅らせ、典型的には0.2%∼1.0%(w/v)の範囲
で存在する。本発明を用いた使用のための適した保存剤は、以下を含む:オクタデシルジ
メチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキソメソニウム;ベンザルコニウムハライド(
50
(89)
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例、クロライド、ブロミド、ヨウ素)、塩化ベンゼトニウム;チメロサール、フェノール
、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラペン(例えばメチルまたはプロピルパ
ラベンなど);カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール、3−ペンタノール、
およびm−クレゾール。
【0339】
等張化剤(時折「安定剤」として公知である)が存在し、組成物中の液体の張度を調整
または保持する。大きな荷電生体分子(例えばタンパク質および抗体など)と使用される
場合、それらはしばしば「安定剤」と呼ばれる。なぜなら、それらは、アミノ酸側鎖の荷
電基と相互作用することができ、それにより分子間および分子内の相互作用についてのポ
テンシャルを減らす。等張化剤は、任意の量、0.1重量%∼25重量%、好ましくは1∼
10
5%(他の成分の相対量を考慮に入れる)で存在することができる。好ましい等張化剤は
、多価糖アルコール、好ましくは三価またはそれより高い糖アルコール(例えばグリセリ
ン、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール
など)を含む。
【0340】
追加の賦形剤は、以下の1つまたは複数としての役割を果たしうる薬剤を含む:(1)
膨張性薬剤、(2)溶解エンハンサー、(3)安定剤、および(4)変性または容器壁へ
の付着を予防する薬剤。そのような賦形剤は以下を含む:多価糖アルコール(上に列挙)
;アミノ酸(例えばアラニン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アル
ギニン、リジン、オルニチン、ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオ
20
ニンなど);有機糖または糖アルコール(例えばスクロース、ラクトース、ラクチトール
、トレハロース、スタキオース、マンノース、ソルボース、キシロース、リボース、リビ
トール、ミオイニシトース、ミオイノシトール、ガラクトース、ガラクティトール、グリ
セロール、シクリトール(例、イノシトール)、ポリエチレングリコール;硫黄含有還元
剤(例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセ
ロール、α−モノチオグリセロールおよびチオ硫酸ナトリウムなど);低分子量タンパク
質(例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、または他の免疫グロブ
リンなど);親水性ポリマー(例えばポリビニルピロリドンなど);単糖類(例、キシロ
ース、マンノース、フルクトース、グルコース);二糖類(例、ラクトース、マルトース
、スクロース);三糖類(例えばラフィノースなど);および多糖類(例えばデキストリ
30
ンまたはデキストランなど)。
【0341】
非イオン性サーファクタントまたは界面活性剤(「湿潤剤」としても公知)が存在し、
治療用薬剤を安定化させ、ならびに、撹拌誘導性の凝集に対して治療用タンパク質を保護
することを助け、それは、また、活性な治療用タンパク質または抗体の変性を起こすこと
なく、製剤が剪断表面ストレスに対して暴露されることを許す。非イオン性サーファクタ
ントは、約0.05mg/ml∼約1.0mg/ml、好ましくは約0.07mg/ml∼約0.2mg/ml
の範囲で存在する。
【0342】
適した非イオン性サーファクタントは以下を含む:ポリソルベート(20、40、60
40
、65、80など)、ポロキサマ(184、188など)、PLURONIC(登録商標)ポリオ
ール、TRITON(登録商標)、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録
商標)−20、TWEEN(登録商標)−80など)、ラウロマクロゴール400、ステアリ
ン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン水素化カスター油10、50、および60、
グリセロールモノステアレート、スクロース脂肪性酸エステル、メチルセルロース、およ
びカルボキシメチルセルロース。使用することができる陰イオン性界面活性剤は、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、およびジオクチルソジウム
スルホネートを含む。陽イオン性界面活性剤はベンザルコニウムクロリドまたはベンゼト
ニウムクロリドを含む。
【0343】
50
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製剤をin vivoでの投与のために使用するために、それらは無菌的でなければな
らない。製剤を、無菌ろ過膜を通じたろ過により無菌にしてもよい。本明細書における治
療用組成物は、一般的に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針により
穴を開けることができるストッパーを有する静脈用溶液のバッグまたはバイアル中に置く
。
【0344】
投与経路は、公知の受け入れられた方法に従い、例えば適した様式での長期間にわたる
単回または複数回のボーラスまたは注入、例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈
内、病巣内、または関節内経路による注射または注入、局所投与、吸入あるいは持続放出
または延長放出の手段による。
10
【0345】
本明細書における製剤は、また、処置される特定の適応症について必要な1を上回る活
性化合物、好ましくは互いに悪影響を与えない相補的な活性を伴うものを含みうる。ある
いはまたは加えて、組成物は、細胞傷害性薬剤、サイトカイン、または増殖阻害薬剤を含
みうる。そのような分子は、意図される目的のために効果的である量で、組み合わせで適
切に存在する。
【0346】
活性成分は、また、例えば、コアセルベーション技術により、または、界面重合により
調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラ
チン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート(methylmethacylate))
20
マイクロカプセル中、コロイド薬物送達系(例、リポソーム、アルブミンマイクロスフェ
ア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル)またはマクロエマルジョン
中に封入してもよい。そのような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences 18th e
dition, supraに開示されている。
【0347】
本明細書に記載するタンパク質および抗体の安定性は、非毒性「水溶性多価金属塩」の
使用を通じて増強されうる。例は、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Fe2+、Fe3+
、Cu2+、Sn2+、Sn4+、Al2+、およびAl3+を含む。上の多価金属陽イ
オンと共に水溶性塩を形成することができる例示的な陰イオンは、無機酸および/または
有機酸から形成されるものを含む。そのような水溶性塩は、少なくとも約20mg/ml、あ
30
るいは少なくとも約100mg/ml、あるいは少なくとも約200mg/mlの水中(20℃で)
での溶解度を有する。
【0348】
「水溶性多価金属塩」を形成するために使用することができる適した無機酸は、塩酸、
酢酸、硫酸、硝酸、チオシアン酸、およびリン酸を含む。使用することができる適した有
機酸は、脂肪族カルボン酸および芳香族酸を含む。この定義内の脂肪酸は、飽和または不
飽和C2−9カルボン酸(例、脂肪族モノ、ジ、およびトリカルボン酸)と定義してもよ
い。例えば、この定義内の例示的なモノカルボン酸は、以下を含む:飽和C2−9モノカ
ルボン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、
ペラルゴン酸、およびカプリオン酸(capryonic)、ならびに不飽和C2−9モノカルボ
40
ン酸、アクリル酸、プロピオン酸、メタクリル酸、クロトン酸、およびイソクロトン酸。
例示的なジカルボン酸は、飽和C2−9ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸
、アジピン酸、およびピメリン酸を含み、不飽和C2−9ジカルボン酸はマレイン酸、フ
マル酸、シトラコン酸、およびメサコン酸を含む。例示的なトリカルボン酸は、飽和C2
−9トリカルボン酸、トリカルバリル酸、および1,2,3ブタントリカルボン酸を含む
。加えて、この定義のカルボン酸は、ヒドロキシカルボン酸を形成するための1つまたは
2つの水酸基を含みうる。例示的なヒドロキシカルボン酸は、グリコール酸、乳酸、グリ
セリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、およびクエン酸を含む。この定義内の芳香
族酸は、安息香酸およびサリチル酸を含む。
【0349】
50
(91)
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本発明のカプセル化ポリペプチドを安定化することを助けるために使用することができ
る一般的に用いられる水溶性多価金属塩は、例えば、以下を含む:(1)ハライド(例、
塩化亜鉛、塩化カルシウム)、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、およびチオシアネートの無機
酸金属塩;(2)脂肪族カルボン酸金属塩(例、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、プロピオン
酸カルシウム、グリコール酸亜鉛、乳酸カルシウム、乳酸亜鉛、および酒石酸亜鉛);な
らびに(3)安息香酸塩(例えば、安息香酸亜鉛)およびサリチル酸塩の芳香族カルボン
酸金属塩。
【0350】
E.処置の方法:
疾患の予防または処置のために、活性薬剤の適切な投与量は、処置される疾患の型(上
10
で定義する)、疾患の重症度および経過(薬剤が予防的または治療的な目的のために投与
されるか否かにかかわらず)、過去の治療、患者の臨床歴および薬剤に対する応答、なら
びに主治医の判断に依存しうる。薬剤は、患者に対して、1回でまたは一連の処置にわた
り適切に投与される。
【0351】
特定の実施態様において、本発明は、PD−1を通じたシグナル伝達を減弱させること
に起因する、具体的にはPD−1および/またはB7.1への結合を予防するPD−L1
抗体の適用による同時刺激、ならびにT細胞機能障害性障害の治療的処置に関する。
【0352】
1.感染
20
PD−1およびそのリガンド(「PD−1:PD−L」)は、急性および慢性感染を起
こす病原体に対する免疫防御を調節する際に重要な役割を果たす。PD−1:PD−Lシ
グナル伝達は、効果的な抗菌免疫防御と免疫媒介性組織損傷の間でのバランスを調節する
際に重要な役割を果たす。例えば、PD−1ノックアウトマウスは、それらの野生型の対
応物よりも迅速にアデノウイルス感染を除去し、それらはより重度の肝細胞傷害を発生す
る。Iwai et al., J. Exp. Med. 198: 39-50 (2003)。ヘルペス間質性角膜炎のマウスモ
デルにおいて、抗PD−L1抗体の遮断は角膜炎を悪化させ、HSV−1特異的エフェク
ターCD4 T細胞増殖およびIFN−γ産生および生存を増加させた。Jun et al., FE
BS Lett. 579: 6259-64 (2005)。
【0353】
30
慢性感染を起こす微生物は、PD−1:PD−Lシグナル伝達経路を利用して宿主免疫
応答を回避し、慢性感染をもたらす。慢性感染を起こすウイルスは、ウイルス特異的T細
胞を非機能的にし、それにより抗ウイルスT細胞応答を鎮静させることができる。Barber
et al., Nature 439: 682-87 (2006); Wherry et al., J. Virol. 78: 5535-45 (2004)
。T細胞の消耗またはCD8+T細胞のアネルギーは、慢性感染の間での無効なウイルス
制御の重要な理由であり、マウスにおける慢性LCMV感染、ならびにヒトにおけるHI
V、HBV、HCV、およびHTLV感染、ならびに霊長類におけるSIV感染の特徴で
ある。ウイルス特異的CD8+T細胞が消耗する表現型内に階層的で、進行性の機能喪失
が現れ、細胞傷害およびIL−2産生の消失が最初に伴い、エフェクターサイトカイン産
生が続く。
40
【0354】
PD−1が活性化時にアップレギュレーションされ、発現がLCMV慢性感染を伴うマ
ウスの消耗したCD8+T細胞により高レベルで保持される。Barber et al., supra。P
D−1:PD−L1結合を遮断する抗体の投与は、増強したT細胞応答およびウイルス負
荷における実質的な低下をもたらした。無効なCD4+TH応答を伴う持続感染マウスに
おいて、PD−1:PD−L1の遮断は、機能障害状態からCD8+T細胞を回復させ、
増殖、サイトカインの分泌、感染細胞の殺傷、および減少したウイルス負荷をもたらし、
慢性ウイルス感染症の処置のための治療アプローチを強く示唆する。
【0355】
LCMVにおけるPD−1:PD−Lの役割の結果として、ヒトにおける慢性感染の処
50
(92)
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置に対してこの経路を標的化にすることにおいて強い興味が示されている。PD−1発現
はHIV特異的T細胞[Petrovas et al., J. Exp. Med. 203: 2281-92 (2006); Day et
al., Nature 443: 350-54 (2006); Traumann et al., Nat. Med. 12: 1198-202 (2006)]
、HBV特異的T細胞[Boettler et al., J. Virol. 80: 3532-40 (2006); Boni et al.
, J. Virol. 81: 4215-25 (2007)]、およびHCV特異的T細胞[Urbani et al., J. Vi
rol. 80: 11398-403 (2006)]で高い。PD−L1は、また、慢性HBV感染を伴う患者
における末梢血CD14+単球および骨髄DC[Chen et al., J. Immunol. 178: 6634-4
1 (2007); Geng et al., J. Viral Hepat. 13: 725-33 (2006)]およびHIV患者におけ
るCD14+細胞およびT細胞[Trabattoni et al., Blood 101: 2514-20 (2003)]でア
ップレギュレーションされる。in vitroでのPD−1:PD−L1相互作用の遮
10
断は、HIV特異的、HBV特異的、HCV特異的、およびSIV特異的CD8+および
CD4+T細胞の消耗を逆転させ、増殖およびサイトカイン産生を回復させる。Petrovas
et al., J. Exp. Med. 203: 2281-92 (2006); Day et al., supra; Trautmann et al.,
supra;
Boni et al., supra; Urbani et al., supra; Velu et al., J. Virol. 81: 581
9-28 (2007)。
【0356】
PD−1発現の程度は、また、T細胞消耗の程度および疾患の重症度を示すためのウイ
ルス特異的CD8+T細胞上の有用な診断マーカーでありうる。HIV特異的CD8+T
細胞でのPD−1発現のレベルは、ウイルス負荷、下落するCD4+カウント、in v
itroでのHIV抗原に応答したCD8+T細胞増殖の減少した能力と相関する。in
20
vivoでの観察に対応して、HIV特異的CD4+T細胞上でのPD−1発現とウイ
ルス負荷の間に直接的な相関がある。D’Souza et al., J. Immunol. 179: 1979-87 (200
7)。長期非進行者は、顕著により低いPD−1発現を伴う機能的なHIV特異的記憶CD
8+T細胞を有する。有意にアップレギュレーションされたPD−1(低下したCD4+
T細胞数、減少したCD4+T細胞数、減少したHIV特異的エフェクター記憶CD8+
T細胞機能、および上昇した血漿中ウイルス負荷に相関する)を発現する典型的な進行者
とは対照的である。Zhang et al., Blood 109: 4671-78 (2007)。
【0357】
PD−1:PD−L経路は、また、細菌感染の慢性化に関与している。ヘリコバクター
ピロリは、慢性胃炎および胃十二指腸潰瘍を起こし、胃癌の発生におけるリスクファクタ
30
ーである。Hピロリ感染の間に、T細胞応答は感染を除去するには不十分であり、持続性
感染に導く。in vitroまたはin vivoでのHピロリへの暴露に続き、PD
−L1が胃上皮細胞上でアップレギュレーションされる。胃上皮細胞はMHCクラスII
分子を発現し、Hピロリ感染の間に重要なAPC機能を果たすと考えられる。PD−1か
らPD−L1の相互作用を遮断する抗PD−L1抗体は、Hピロリに暴露された胃上皮細
胞およびCD4T細胞の培養においてT細胞増殖およびIL−2産生を増強する。抗体ま
たはsiRNAのいずれかを用いてPD−L1を遮断することによって調節性T細胞の生
成が予防され、PD−L1がHピロリ感染の間に調節性T細胞とエフェクターT細胞の間
での動力学を制御することによりT細胞抑制および持続感染を促進しうることを示唆する
。Beswick et al., Infect. Immun. 75: 4334-41 (2007)。
40
【0358】
寄生虫もPD−1:PD−L1経路を利用し、免疫応答を抑制するマクロファージを誘
導している。マウスにおけるテニア・クラシセプス(Taenia crassiceps)(即ち、サナ
ダムシ)感染の間に、PD−1およびPD−L2が活性化マクロファージでアップレギュ
レーションされ、CD4+T細胞がPD−1を発現する。PD−1、PD−L1、または
PD−L2の遮断は、サナダムシ感染マウスからのマクロファージによるin vitr
oでのT細胞増殖の抑制を有意に減少させた。Terrazas et al., Int. J. Parasitol. 35
: 1349-58 (2005)。マウスにおけるシストソーマ・マンソン(Shistosoma mansoni)感染
の間に、マクロファージは高レベルのPD−L1およびより適度なレベルのPD−L2を
発現する。抗PD−L1がこれらのマクロファージの能力を除去し、in vitroで
50
(93)
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のT細胞増殖を抑制したのに対し、抗PD−L2は効果を有さなかった。感染マウスから
のマクロファージでのPD−L1発現が感染の12週間後に下落し、T細胞アネルギーに
おける破綻に相関する。Smith et al., J. Immunol. 173: 1240-48 (2004)。
【0359】
2.腫瘍免疫
腫瘍免疫についての経験的な証拠は以下を含む:(i)自然寛解の観察、(ii)腫瘍
に対する検出可能であるが、しかし、無効である宿主免疫応答の存在、(iii)免疫不
全患者における原発および二次悪性腫瘍の増加した羅患率、(iv)腫瘍患者における増
加レベルの抗体およびTリンパ球の検出、ならびに(v)試験動物を種々の腫瘍型に対し
て免疫化することができるとの観察。
10
試験では、大半のヒト腫瘍が、T細胞により認識されることができ、このように免疫応
答を誘導することが潜在的に可能である腫瘍関連抗原(TAA)を発現することが示され
ている。Boon et al., Immunol. Today 16: 334-336 (1995)。初期段階の臨床試験が、T
AAまたはTAAを用いてパルスされた専門の抗原提示細胞を用いて癌患者にワクチン接
種することにより開始されている。Dudley et al., Science 298: 850-854 (2002); Gaje
wski et al., Clin. Cancer Res. 7: 895s-901s (2001); Marincola et al., Adv. Immun
ol. 74: 181-273 (2000); Peterson et al., J. Clin. Oncol. 21: 2342-2348 (2003)。
腫瘍抗原特異的CD8+T細胞の誘導が、これらの試験の多くにおいて達成されている。
Mackensen et al., Eur. Cytokine Netw 10: 329-336 (1999); Peterson et al., supra
。腫瘍抗原特異的T細胞の患者中への養子移入も追求されており、増殖した細胞傷害性T
20
細胞(CTL)の腫瘍部位への帰巣が明らかになっている。Meidenbauer et al., J. Imm
unol. 170: 2161-2169 (2003)。しかし、免疫エフェクター細胞の腫瘍浸潤にもかかわら
ず、腫瘍増殖はほとんど制御されなかった。
【0360】
腫瘍微小環境が腫瘍細胞を免疫破壊から保護することができることが十分に立証されて
いる。Ganss et al., Cancer Res. 58: 4673-4681 (1998); Singh et al., J. Exp. Med.
175: 139-146 (1992)。可溶性因子、ならびに膜結合分子(形質転換増殖因子β(TGF
−β)、インターロイキン(IL)−10、プロスタグランジンE2、FASL、CTL
A−4リガンド、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)を含む)、
およびプログラム死受容体リガンド1(PD−L1、別名B7−H1)は、腫瘍により発
30
現されることが見出されており、免疫回避を媒介すると考えられる。このように、腫瘍細
胞でのこのネガティブな免疫調節シグナルの遮断は、in vivoで腫瘍特異的CD8
+T細胞免疫を増強するための有望なアプローチである。
【0361】
多くの腫瘍でのPD−L1発現は、この抑制に対する成分であり、他の免疫抑制シグナ
ルと協調して作用しうる。PD−L1は、T細胞受容体シグナル伝達をネガティブに調節
する。PD−L1発現が、in situで、多種多様な固形腫瘍(乳癌、肺癌、結腸癌
、卵巣癌、メラノーマ、膀胱癌、肝臓癌、唾液腺癌、胃癌、神経膠腫、甲状腺癌、胸腺癌
、上皮癌、頭頚部癌を含む)で示されている。Brown et al., J. Immunol. 170: 1257-66
(2003); Dong et al., Nat. Med. 8: 793-800 (2002); Hamanishi et al., PNAS 104: 3
40
360-65 (2007); Strome et al., Cancer Res. 63: 6501-5 (2003); Inman et al., Cance
r 109: 1499-505 (2007); Konishi et al., Clin. Cancer Res. 10: 5094-100 (2004); N
akanishi et al., Cancer Immunol. Immunother. 56: 1173-82 (2007); Nomi et al., Cl
in. Cancer Res. 13: 2151-57 (2004); Thompson et al., PNAS 101: 17174-79 (2004);
Wu et al., Acta Histochem. 108: 19-24 (2006)。
【0362】
免疫学的染色も種々の癌でのPD−1:PD−L発現を明らかにする。
【0363】
興味深いことに、癌は、また、慢性炎症疾患として特徴付けられている。Coussens et
al., Nature 420: 860-867 (2002)。世界中の最高15%の癌が直接的な感染源を有するが
50
(94)
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[Kuper et al., J. Intern. Med. 248: 171-183 (2000)]、多くのヒト腫瘍は慢性過敏
および炎症に関連する。Zou et al., Ntu. Rev. Cancer 5: 263-274 (2005)。
【0364】
疾患転帰に対する腫瘍でのPD−L1発現に関連する試験では、PD−L1発現が、腎
臓癌、卵巣癌、膀胱癌、乳癌、胃癌、および膵臓癌(しかし、恐らくは小細胞肺癌ではな
い)における好ましくない予後と強く相関することが示される。Hamanishi et al., Proc
. Natl. Acad. Sci. USA 104: 3360-65 (2007), Inman et al., Cancer 109: 1499-505 (
2007), Konishi et al., Clin. Cancer Res. 10: 5094-100 (2004); Nakanishi et al.,
Cancer Immunol. Immunother. 56: 1173-82 (2007); Nomi et al., Clin. Cancer Res. 1
3: 2151-57 (2007); Thompson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101: 17174-79 (20
10
04); Wu et al., Acta Histochem. 108: 19-24 (2006)。また、これらの試験は、腫瘍で
のより高いレベルのPD−L1発現が腫瘍病期の進行およびより深い組織構造中への浸潤
を促進しうることを示唆する。
【0365】
PD−1:PD−L経路は、また、血液悪性腫瘍において役割を果たしうる。PD−1
またはPD−L1はB細胞悪性腫瘍ではほとんど発現されないが、しかし、PD−L2は
マントル細胞悪性腫瘍において過剰発現される。Brown et al., supra; Rosenwald et al
., J. Exp. Med. 198: 851-62 (2003)。PD−L1は、多発性ミエローマ細胞で発現され
るが、しかし、正常形質細胞ではされない。ミエローマ細胞に応答したT細胞増殖が、P
D−L1遮断によりin vitroで増強される。Liu et al., Blood 110: 296-304 (
20
2007)。PD−L1が一部の原発性T細胞リンパ腫、特に未分化の大細胞Tリンパ腫で発
現され、PD−L1は関連する濾胞樹状細胞ネットワークで発現される。Dorfman et al.
, Am. J. Surg. Pathol. 30: 802-10 (2006)。マイクロアレイ分析では、さらに、腫瘍関
連T細胞がホジキンリンパ腫においてin situでPD−1シグナルに応答すること
が示唆される。Chemnitz et al., Blood 110: 3226-33 (2007)。PD−1およびPD−L
1が、HTLV−1媒介性成人T細胞白血病およびリンパ腫においてCD4+T細胞で発
現される。Shimauchi et al., Int. J. Cancer 121: 2585-90 (2007)。これらの腫瘍細胞
はTCRシグナルに対して反応低下しており、PD−1遮断がTNF−α(IFN−γで
はない)のそれらでの発現を増加させた。動物モデルにおける試験では、腫瘍でのPD−
L1発現がT細胞活性化および腫瘍細胞の溶解を阻害し、一部の場合において、増加した
30
腫瘍特異的T細胞死に導くことが実証される。Dong et al., Nat. Med. 8: 793-800 (200
6); Hirano et al., Cancer Res. 65: 1089-96 (2005)。
【0366】
このように、本発明の抗PD−L1抗体を用いたPD−L1を通じたシグナル伝達の抑
制は、T細胞機能を増強するためであり、腫瘍免疫を減弱する期待を示し、結果として、
癌のための効果的な処置でありうる。
【0367】
F.組み合わせ治療
本発明の方法を、慢性感染または癌の処置の公知の方法と組み合わせることができる(
組み合わせもしくは追加の処置工程としてまたは治療用製剤の追加成分として)。
40
【0368】
1.癌:
腫瘍と戦うために宿主の免疫機能を増強することが、増加する興味の対象である。従来
の方法は以下を含む:(i)APC増強、例えば(a)外来MHC同種抗原をコードする
DNAの腫瘍中への注射、または(b)腫瘍の免疫抗原認識(例、免疫刺激性サイトカイ
ン、GM−CSF、同時刺激分子B7.1、B7.2)の確率を増加させる遺伝子を用い
た生検腫瘍細胞のトランスフェクション、(iii)活性化した腫瘍特異的T細胞を用い
た養子細胞免疫療法、または処置。養子細胞免疫療法は、腫瘍浸潤宿主Tリンパ球を単離
すること、in vitroで集団を増殖すること(例えばIL−2もしくは腫瘍または
両方による刺激を通じて)を含む。加えて、機能障害性である単離T細胞を、また、本発
50
(95)
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明の抗PD−L1抗体のin vitro適用により活性化してもよい。そのようにして
活性化されたT細胞を次に宿主に再投与してもよい。
【0369】
癌のための従来の治療は以下を含む:(i)放射線治療(例、放射線療法、X線治療、
照射)または癌細胞を殺し、腫瘍を縮小させるための電離放射線の使用。放射線治療を、
外部光線放射線療法(EBRT)を介して外部にまたは近接照射療法を介して内部に施す
ことができる;(ii)化学療法、または迅速に分裂する細胞に一般的に影響を及ぼす細
胞傷害性薬物の適用;(iii)標的治療、または癌細胞の調節解除タンパク質に特異的
に影響を与える薬剤(例、チロシンキナーゼ阻害剤、イマチニブ、ゲフィチニブ;モノク
ローナル抗体、光力学的治療);(iv)免疫療法、または宿主の免疫応答の増強(例、
10
ワクチン);(v)ホルモン治療、またはホルモンの遮断(例、腫瘍がホルモン感受性で
ある場合)、(vi)血管形成阻害剤、または血管形成および増殖の遮断、ならびに(v
ii)緩和ケア、または疼痛、嘔気、嘔吐、下痢、および出血を低下するためにケアの質
の改善に向けられた処置。鎮痛剤(例えばモルヒネおよびオキシコドンなど)、制吐剤(
例えばオンダンセトロンおよびアプレピタントなど)は、より侵襲性の処置計画を許すこ
とができる。
【0370】
癌の処置において、以前に記載した癌免疫の処置のための従来の処置のいずれかを、本
発明の抗PD−L1抗体の投与の前、それに続き、またはそれと同時に行ってもよい。加
えて、本発明の抗PD−L1抗体を、従来の癌処置、例えば腫瘍結合抗体(例、モノクロ
20
ーナル抗体、毒素抱合モノクローナル抗体)の投与および/または化学療法剤の投与など
の前、それに続き、またはそれと同時に投与してもよい。
【0371】
2.感染:
感染(例、急性および/または慢性)の処置において、本発明の抗PD−L1抗体の投
与を、感染に対する自然宿主免疫防御の刺激に加えてまたはその代わりに、従来の処置と
組み合わせることができる。感染に対する自然宿主免疫防御は、限定はされないが、炎症
、発熱、抗体媒介性宿主防御、Tリンパ球媒介性宿主防御(リンホカイン分泌および細胞
傷害性T細胞(特にウイルス感染の間)を含む)、補体媒介性溶解およびオプソニン作用
(食作用を促進)、ならびに食作用を含む。反応性機能障害性T細胞に対する本発明の抗
30
PD−L1抗体の能力が、慢性感染、特に細胞媒介性免疫が完全回復のために決定的であ
るものを処置するために有用でありうる。
【0372】
a.細菌
細菌感染に起因する感染のために、本発明の抗PD−L1抗体を、細菌感染を処置する
ための標準治療と同時の、その前の、またはそれに続く投与と組み合わせてもよい。細菌
感染が、今日、抗菌抗生物質を用いて最も一般的に処置されるが、しかし、免疫化宿主か
らの病原体特異的抗体を含む血清も効果的でありうる。
【0373】
毒素の分泌(毒素産生細菌)、不活性毒素を用いたワクチン接種および/または毒素の
40
毒性を遮断する治療用薬剤の投与の結果として病原性である細菌が、通常、効果的である
(例、ポリクローナル血清、抗体、抗生物質など)。これらの生物は、クロストリジウム
属、バシラス属、コリネバクテリウム属、ビブリオ・コレラ(Vibrio chloerae)、ボル
デテラ・パータッシス(Bordetella pertussis)、スタフィロコッカス属、ストレプトコ
ッカス属を含む。また典型的にそのような従来の治療に応答するグラム陰性菌は、腸内細
菌(例、エシェリキア、クレブシエラ、プロテウス、エルシニア、エルウィニア(Erwina
))、サルモネラ、およびシュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)を
含む。カプセル化細菌(食作用およびオプソニン作用に対して耐性であり、このように、
しばしば、免疫クリアランスに対するより有意な攻撃を予防する)は以下を含む:ストレ
プトコッカス属、ヘモフィルス属、ナイセリア属、クレブシエラ属、およびバクテロイデ
50
(96)
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ス・フラジリス(Bacterioides fragillis)。
【0374】
細菌は、細胞に侵入することにより宿主防御を回避し、特定の攻撃後に血清抗体および
補体を回避するようになる。これらの感染のクリアランスは、Tリンパ球媒介性免疫にほ
ぼ完全に依存的であり、特に慢性感染になる傾向がある。具体例は、サルモネラ(Sチフ
ス(S. typhi)、Sコレレスイス(S. choleraesuis)、Sエンテリティデス(S. enteri
tidis))、レジュネラ属、リステリア属、ブルセラ属、およびマイコバクテリウム属(
Mツベルクローシス(M. tuberculosis)、Mアビウム(M. avium)、およびMレプレ(M
. leprae)を含む)を含む。
【0375】
10
スピロヘータ(トレポネーマ属、ボレリア属、およびレプトスピラ属を含む)は持続的
で潜在的な感染を起こす細菌である。トレポネーマ・パラジウム(Treponema palladium
)は、疾患梅毒を起こす病原体であり、未処理で放置された場合、重度の病理学的結果を
有しうる性感染症である。疾患は明確な病期を通じて進行する。最初の臨床病期は、トレ
ポネーマ接種部位での潰瘍または下疳である。これに続くのは、スピロヘータ血症および
継続する微生物の転移性分布の期間であり、第2期梅毒として公知である状態における感
染および消散の反復サイクルを含む。第2期梅毒の消散に続き、疾患は無症候性の潜伏期
に入り、それは第3期梅毒(重篤でしばしば致死的な状態である)に終わりうる。第3期
梅毒は以下を発現しうる:(i)心臓、動脈瘤形成(aneurysis formuation)および二次
大動脈弁不全症を伴う大動脈炎(aortisis)として、(ii)中枢神経系(脊髄ろう、全
20
身麻痺)、(iii)眼(間質性角膜炎)、または(iv)耳(神経性難聴)。非性病性
形態は性病性形態の臨床発現に似ているが、しかし、主に直接的な接触および不良な衛生
により伝達される。それらは、イチゴ腫(Tパリズム(pallidum)亜種、ペルテニュ(pe
rtenue))、ピンタ(Tカラテウム(carateum))、およびベジェル(Tパリダム(pall
idum)亜種、エンデミクム(endemicum))を含む。
【0376】
梅毒のための処置は、ペニシリン(例、ペニシリンG)、テトラサイクリン、ドキシサ
イクリン、セフトリアキソン、およびアジスロマイシンを含む。本発明の抗PD−L1抗
体は、潜在的感染の期間を処置するために最も有利に投与されうる。
【0377】
30
ライム病は、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)により起こされ、
ダニ咬傷を通じてヒトに伝達される。疾患は最初に限局性発疹として発現し、インフルエ
ンザ様症状(倦怠感、発熱、頭痛、頚硬直、および関節痛を含む)が続く。後の発現は、
移動性および多関節の関節炎、脳神経麻痺および神経根障害を伴う神経および心臓の関与
、心筋炎、ならびに不整脈を含みうる。ライム病の一部の症例は持続的になり、第3期梅
毒に類似した不可逆的損傷をもたらす。
【0378】
ライム病のための現行の治療は、主に抗生物質の投与を含む。抗生物質耐性株は、ヒド
ロキシクロロキンまたはメトトレキセートを用いて処置してもよい。神経因性疼痛を伴う
抗生物質に抵抗性の患者を、ガバペンチンを用いて処置することができる。ミノサイクリ
40
ンは、神経学的または他の炎症性発現を伴う遅発性/慢性ライム病において有用でありう
る。抗PD−L1抗体は、潜在的感染の期間を処置するために最も有利に投与されうる。
【0379】
ボレリア症の他の形態は、例えばB. recurentis、B. hermsii、B. turicatae、B. pari
keri、B. hispanica、B. duttonii、およびB. persicaに起因するものなど、ならびにレ
プトスピラ症(例、Lインタロガンス(interrogans))は、血液力価が肝内閉塞を起こ
す濃度にまで達しない場合、典型的に自然に消散する。
【0380】
b.ウイルス
ウイルスの原因に起因する感染について、本発明の抗PD−L1抗体を、ウイルス感染
50
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を処置するための標準的な治療の適用と同時の、その前の、またはそれに続く適用と組み
合わせてもよい。そのような標準的治療は、ウイルスの型に依存して変動するが、ほぼ全
例において、ウイルスに特異的なヒト血清含有抗体(例、IgA、IgG)の投与が効果
的でありうる。
【0381】
1)インフルエンザ
インフルエンザ感染は、発熱、咳、筋肉痛、頭痛、および倦怠感をもたらし、それらは
しばしば季節的流行において生じる。インフルエンザは、また、多くの感染後障害、例え
ば脳炎、心筋心膜炎、グッドパスチャー症候群、およびライ症侯群などに関連する。イン
フルエンザ感染は、また、正常な肺の抗細菌防御(例えば患者のインフルエンザからの回
10
復など)を抑制し、細菌性肺炎が発生する増加リスクを有する。
【0382】
インフルエンザウイルス表面タンパク質は、突然変異および組換えに起因する顕著な抗
原変異を示す。このように、細胞溶解性Tリンパ球は、感染後のウイルスの除去のための
宿主の一次媒体である。インフルエンザは3つの主な型に分類される:A、B、およびC
。インフルエンザAは、それがヒトおよび多くの他の動物(例、豚、馬、鳥、およびアザ
ラシ)の両方に感染し、汎発性インフルエンザの主要な原因であるという点でユニークで
ある。また、細胞が2つの異なるインフルエンザA株により感染される場合、2つの親ウ
イルス型のセグメント化RNAゲノムが複製の間に混合し、ハイブリッドレプリカントを
作製し、新たな流行株をもたらす。インフルエンザBは動物において複製せず、このよう
20
により少ない遺伝的変異を有し、インフルエンザCがわずか1つの血清型を有する。
【0383】
大半の従来の治療は、感染に起因する症状の緩和であり、宿主の免疫応答は実際に疾患
を除去する。しかし、特定の株(例、インフルエンザA)はより重度の疾病および死を起
こすことができる。インフルエンザAは、環状アミン阻害剤アマンタジンおよびリマンタ
ジン(それらはウイルス複製を阻害する)の投与により臨床的および予防的の両方で処置
されうる。しかし、これらの薬物の臨床的有用性は、有害反応の比較的高い発生率、それ
らの狭い抗ウイルススペクトル(インフルエンザAのみ)、およびウイルスが耐性化する
傾向のために限定されている。主要なインフルエンザ表面タンパク質、赤血球凝集素、お
よびノイラミニダーゼに対する血清IgG抗体の投与が、肺感染を予防することができる
30
のに対し、粘膜IgAが上気道および気管の感染を予防するために要求される。インフル
エンザのための最も効果的な現行の処置は、ホルマリンまたはβ−プロピオラクトンを用
いて不活化されたウイルスの投与を伴うワクチン接種である。
【0384】
2)麻疹ウイルス
9∼11日間のインキュベーション後、麻疹ウイルスに感染した宿主は、発熱、咳、鼻
感冒、および結膜炎を発生する。1∼2日間以内に、紅斑性、斑点状丘疹が発生し、急速
に全身にわたり広がる。感染は、また、細胞性免疫を抑制するため、宿主には、細菌重複
感染(中耳炎、肺炎、および感染後脳脊髄炎を含む)を発生するより大きなリスクがある
。急性感染は、特に栄養不良の思春期の若者において、重大な罹患および死亡に関連する
40
。
【0385】
麻疹のための処置はプールヒトIgGの受動的投与を含み、暴露から1週間後までに与
えられたとしても、非免疫被険者において感染を予防することができる。しかし、弱毒化
生ワクチンを用いた事前の免疫化は、最も効果的な処置であり、免疫化されたものの95
%超において疾患を予防する。このウイルスの1つの血清型があるため、1回の免疫化ま
たは感染は、典型的に、続く感染からの生命のための保護をもたらす。
【0386】
より小さな割合の感染宿主において、麻疹がSSPEに発生しうるが、それは中枢神経
系の持続感染に起因する慢性の進行性神経障害である。SSPEは、ビリオンの組み立て
50
(98)
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および出芽に干渉する欠損を伴う麻疹ウイルスのクローンバリアントにより起こされる。
これらの患者について、本発明の抗PD−L1抗体を用いたT細胞の再活性化(ウイルス
クリアランスを促進するため)が望まれうる。
【0387】
3)B型肝炎ウイルス
B型肝炎ウイルス(HB−V)は、最も感染性の高い公知の血液由来病原体である。そ
れは、急性および慢性肝炎および肝臓癌、ならびに一生の慢性感染の主要な原因である。
感染に続き、ウイルスが肝細胞において複製し、また、次に表面抗原HBsAgを放出す
る。血清中の過剰レベルのHBsAgの検出は、B型肝炎感染を診断するための標準的方
法として使用される。急性感染は消散しうる、または、それは慢性の持続的感染に発生し
10
うる。
【0388】
慢性HBVのための現行の処置はα−インターフェロンを含み、それは肝細胞の表面上
でのクラスIヒト白血球抗原(HLA)の発現を増加させ、それにより細胞傷害性T細胞
によるそれらの認識を促進する。加えて、ヌクレオシドアナログであるガンシクロビル、
ファムシクロビル、およびラミブジンが、また、臨床試験においてHBV感染の処置にお
けるある程度の有効性を示している。HBVのための追加の処置は、ペグ化α−インター
フェロン、アデフォビル(adenfovir)、エンテカビル、およびテルビブジンを含む。受
動免疫が抗HBsAg血清抗体の親投与を通じて付与されうるが、不活性なまたは組換え
HBsAgを用いたワクチン接種が、また、感染に対する耐性を付与する。本発明の抗P
20
D−L1抗体は、治療的利点のためにB型肝炎感染のための従来の処置と組み合わせても
よい。
【0389】
4)C型肝炎ウイルス
C型肝炎ウイルス(HC−V)感染が、肝炎の慢性形態に導き、肝硬変(cirrosis)を
もたらしうる。症状はB型肝炎に起因する感染と類似し(HB−Vとは明確に異なる)、
感染宿主は10∼20年間にわたり無症候性でありうる。HC−V感染のための処置が、
α−インターフェロンおよびリバビリンの組み合わせの投与を含む。HC−V感染につい
ての有望な潜在的治療は、プロテアーゼ阻害剤テラプレビル(VX−960)である。追
加の処置は以下を含む:抗PD−1抗体(MDX−1106、Medarex)、バビツキシマ
30
ブ(bavituximab)(B2−糖タンパク質I依存的な様式で陰イオンリン脂質ホスファチ
ジルセリンに結合する抗体、Peregrine Pharmaceuticals)、抗HPVウイルスコートタ
ンパク質E2抗体(例、ATL 6865 − Ab68 + Ab65,XTL Pharmace
uticals)、およびCivacir(登録商標)(ポリクローナル抗HCVヒト免疫グロブリン)
。本発明の抗PD−L1抗体は、治療的利点のためにC型肝炎感染のためのこれらの処置
の1つまたは複数と組み合わせてもよい。
【0390】
プロテアーゼ、ポリメラーゼ、およびNS5A阻害剤は、C型肝炎感染を特異的に処置
するための本発明の抗PD−L1抗体との組み合わせで使用してもよく、表Bに特定され
る以下を含む。
【0391】
40
(99)
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【表3】
10
20
30
40
【0392】
5)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
HIVはCD4+細胞(Tリンパ球、単球−マクロファージ、濾胞樹状細胞、およびラ
ンゲルハンス細胞を含む)を攻撃し、CD4+ヘルパー/誘導細胞が枯渇される。結果と
して、宿主は細胞媒介性免疫における重度の欠損を獲得する。HIV感染は、個人の少な
くとも50%においてAIDSをもたらし、性的接触、感染した血液または血液産物の投
50
(100)
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与、感染した精液を用いた人工受精、血液を含む針またはシリンジへの暴露、および感染
した母親から新生児への出産の間での伝達を介して伝達される。
【0393】
HIVに感染した宿主は無症候性でありうる、または、単核球症に似た急性疾患(発熱
、頭痛、咽頭炎、倦怠感、および発疹)を発生しうる。症状は進行性の免疫機能障害に進
行する(持続的な発熱、寝汗、体重減少、原因不明の下痢、湿疹、乾癬、脂漏性皮膚炎、
帯状疱疹、口腔カンジダ、および口腔毛状白板症を含む)。多数の寄生虫による日和見感
染症は、その感染がAIDSを発生する患者において共通である。
【0394】
HIVのための処置は抗ウイルス治療を含み、以下を含む:ヌクレオシドアナログ、単
10
独またはジダノシンもしくはザルシタビンとの組み合わせでのジドブジン(AST)、ジ
デオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ラミブジン、スタブジン;逆転写阻害剤、例え
ばデラビルジン、ネビラピン、ロビリドなど、ならびにプロテイナーゼ阻害剤、例えばサ
キナビル、リトナビル、インジナビル、およびネルフィナビルなど。本発明の抗PD−L
1抗体は、治療的利点のためにHIV感染のための従来の処置と組み合わせてもよい。
【0395】
6)サイトメガロウイルス
サイトメガロウイルス(CMV)感染は、しばしば、持続的で、潜在的で、および再発
性の感染に関連する。CMVが、単球および顆粒球−単球前駆細胞において感染し、潜在
性のままである。CMVの臨床症状は、単核球症様症状(即ち、発熱、肥大した腺、倦怠
20
感)および抗生物質に対するアレルギー性皮膚発疹を発生する傾向を含む。ウイルスは直
接接触により広がる。ウイルスが、尿、唾液、精液、およびより少ない程度で他の体液に
放出される。伝達は、また、感染した母親から彼女の胎児または新生児に、輸血および臓
器移植により生じうる。CMV感染は細胞性免疫の全身損傷をもたらし、非特異的マイト
ジェンおよび特異的CMV抗原に対する損なわれた幼若化応答、細胞傷害能力の減弱、お
よびCD4+リンパ球のCD8リンパ球数の上昇により特徴付けられる。
【0396】
CMV感染の処置は、抗ウイルス剤であるガンシクロビル、フォスカーネット、および
シドフォビル(cidovir)を含むが、しかし、これらの薬物は典型的に免疫不全患者にだ
け処方される。本発明の抗PD−L1抗体は、治療的利点のためにサイトメガロウイルス
30
感染のための従来の処置と組み合わせてもよい。
【0397】
7)エプスタイン・バーウイルス
エプスタイン・バーウイルス(EBV)は、持続的で潜在的な感染を確立することがで
き、主にB細胞を攻撃する。EBV感染は、感染性単核球症の臨床状態(発熱、咽頭炎(
しばしば浸出物を伴う)、全身性リンパ節腫脹、および脾腫大を含む)をもたらす。肝炎
も存在し、それは黄疸を発生しうる。
【0398】
EBV感染のための典型的な処置は症状の緩和であり、EBVは特定の癌(例えばバー
キットリンパ腫および鼻咽頭癌など)の発生に関連する。このように、これらの合併症の
40
結果の前でのウイルス感染のクリアランスは、大きな利益でありうる。本発明の抗PD−
L1抗体は、治療的利点のためにエプスタイン・バーウイルス感染のための従来の処置と
組み合わせてもよい。
【0399】
8)ヘルペスウイルス
単純ヘルペスウイルス(HSV)は感染宿主との直接接触により伝達される。直接感染
は無症候性でありうるが、しかし、典型的に、感染粒子を含む水疱をもたらす。疾患は疾
患の活動期間のサイクルとして発現し、それにおいて病変は、ウイルスが続く大流行のた
めに神経節に潜在的に感染するにつれて出現し消滅する。病変は、顔、生殖器、眼および
/または手にありうる。一部の場合において、感染は脳炎も起こすことができる。
50
(101)
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【0400】
ヘルペス感染のための処置は、主に症候性大流行を消散することに向けられ、全身的な
抗ウイルス医薬、例えば「アシクロビル(例、Zovirax(登録商標))、バラシクロビル
、ファムシクロビル、ペンシクロビルなど、ならびに局所投薬、例えばドコサノール(Ab
reva(登録商標))、トロマンタジン、およびジラクチンなどを含む。潜在的なヘルペス
感染のクリアランスは大きな臨床上の利益でありうる。本発明の抗PD−L1抗体は、治
療的利点のためにヘルペスウイルス感染のための従来の処置と組み合わせてもよい。
【0401】
9)HTLV
ヒトTリンパ向性ウイルス(HTLV−1、HTLV−2)は性的接触、授乳、または
10
汚染血液への暴露を介して伝達される。ウイルスはTH細胞(Th1細胞と呼ばれる)の
サブセットを活性化し、それらの過剰増殖およびTh1関連サイトカイン(例、IFN−
γおよびTNF−α)の過剰産生をもたらす。これは、次に、Th2リンパ球の抑制およ
びTh2サイトカイン産生(例、IL−4、IL−5、IL−10、およびIL−13)
の低下をもたらし、クリアランスのためにTh2依存性応答を必要とする侵入生物に対す
る適切な免疫応答を高める感染宿主の能力における低下を起こす(例、寄生虫感染、粘膜
抗体および液性抗体の産生)。
【0402】
HTLV感染は日和見感染を起こし、気管支拡張症、皮膚炎、およびスタフィロコッカ
ス属およびストロンギロイデス属を伴う重複感染をもたらし、複数菌による敗血症からの
20
死亡をもたらす。HTLV感染は、また、直接的に成人T細胞白血病/リンパ腫および進
行性の脱髄性上位運動ニューロン疾患(HAM/TSPとして公知)に導くことができる
。HTLVの潜在的感染のクリアランスは大きな臨床上の利益でありうる。本発明の抗P
D−L1抗体は、治療的利点のためにHTLV感染のための従来の処置と組み合わせても
よい。
【0403】
10)HPV
ヒトパピローマウイルス(HPV)は主にケラチノサイトに影響を与え、2つの形態で
生じる:皮膚および生殖器。伝達は、直接接触および/または性的活動を通じて生じると
考えられる。皮膚および生殖器の両方のHPV感染は、疣贅および潜在的感染および時に
30
は再発性感染をもたらしうるが、それらは症状を制御し、疣贅の出現を遮断するが、しか
し、感染を他に伝達することが可能である宿主を残す宿主免疫により制御される。
【0404】
HPV感染は、また、特定の癌、例えば子宮頸癌、肛門癌、外陰癌、陰茎癌、およびと
口腔咽頭癌に導きうる。HPV感染のための公知の療法はないが、しかし、現行の処置は
イミキモッドの局所適用であり、それは免疫系を刺激し、患部を攻撃する。HPVの潜在
的感染のクリアランスは大きな臨床上の利益でありうる。本発明の抗PD−L1抗体は、
治療的利点のためにHPV感染のための従来の処置と組み合わせてもよい。
【0405】
c.真菌
40
真菌感染、または真菌症は、一次感染または内因性微生物叢による免疫系低下を伴う宿
主での日和見コロニー形成をもたらす。真菌症に対する免疫は主に細胞性であり、好中球
、マクロファージ、リンパ球、および恐らくはナチュラルキラー(NK)細胞を含む。真
菌症は、典型的に、抗体および補体による直接的な殺傷に感受性ではない。一次感染に起
因する全身の非侵襲性真菌症は、ブラストミセス症、コクシジオイデス症(coccidioiodo
mycosis)、ヒストプラスマ症、およびパラコクシジオイデス症を含む。真菌感染に起因
する慢性感染のために、本発明の抗PD−L1抗体を、これらの真菌症のための従来から
公知の処置のいずれかの前に、それと同時に、またはそれに続いて投与してもよい。
【0406】
ブラストミセス症は、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitis)に
50
(102)
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より起こされ、吸入により獲得され、一次肺感染または血行性の播腫性疾患(主に皮膚、
骨、および男性尿生殖路を含む)を産生する。一次暴露は無症候性でありうる、またはそ
れはインフルエンザ様症候群を産生しうる。この疾患は慢性の無痛形態で発現しうる。疾
患は、また、例えばAIDSを伴う患者などにおいて免疫不全に関連する。B皮膚炎のた
めの従来の治療は、イトラコナゾール、ケトコナゾール、またはアンホテリシンBの静脈
内注射を含む。
【0407】
コクシジオイデス症は、コクシジオイデス・イミチスにより起こされ、吸入により獲得
され、一次肺感染、進行性肺疾患、または血行性の播腫性疾患(主に皮膚、皮下組織、骨
、関節、および髄膜を含む)を起こしうる。一次暴露は無症候性でありうる(60%)ま
10
たはインフルエンザ様症候群に関連しうる。肺炎、胸膜炎、および肺空洞化が生じうる。
転移性発現は、皮膚病変(小節を含む)、潰瘍、より深い部位からの洞管およびいぼ状肉
芽腫、骨、関節、腱鞘、および髄膜(髄膜炎を含む)を含む。疾患は、また、例えばAI
DSを伴う患者などにおいて免疫不全に関連する。コクシジオイデス症のための処置は、
特に非髄膜疾患の長期維持療法のためのケトコナゾール、イトラコナゾール、およびフル
コナゾールを含む。髄膜形態は、通常、アンホテリシンBの髄腔内投与を用いて処置され
る。
【0408】
ヒストプラスマ症は、ヒストプラスマ・カプスラーツムにより起こされ、細網内皮系の
吸入により獲得された疾患であり、それにおいて微小な酵母がマクロファージ中に存在す
20
る。それは、一次肺感染、進行性の肺疾患または血行性の播腫性疾患(主に細網内皮系、
粘膜表面、および副腎を含む)を産生することができる。潜在的感染の再活性化は、しば
しば、免疫不全を伴う患者において、例えばAIDSを伴う患者などにおいて生じる。一
次暴露は無症候性であり、インフルエンザ様症候群(肺炎、胸膜炎、肺空洞化、および縦
隔リンパ節腫脹を含む)に関連しうる。転移部位は、細網内皮系(肝脾腫、リンパ節腫脹
、貧血、白血球減少症、および血小板減少症)、粘膜(口腔鼻咽頭潰瘍)、胃腸管(吸収
不良)、および副腎不全を含む。大半の一次感染が、例えばAIDSを伴う患者などにお
いて免疫不全に関連する場合、自然に消散し、再発は進行中であり、しばしば血行性肺炎
、ARDS、播種性血管内血液凝固(DIC)、血行性に分布する膿疱性丘疹、および髄
膜炎に関連する。ヒストプラスマ症をアンホテリシンB(特に血行性播種を伴う急性疾患
30
の免疫不全患者において)、イトラコナゾール、およびケトコナゾールを用いて処置する
。
【0409】
パラコクシジオイデス真菌症は、パラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracocc
idioides brasiliensis)により起こされ、一次肺感染または血行性の播腫性疾患(主に
皮膚、粘膜、細網内皮系、および副腎を含む)を産生することができる吸入により獲得さ
れる真菌症である。感染は、最初は無症候性であるが、しかし休止状態であり、次に復活
しうる。この感染の処置ではケトコナゾール、イトラコナゾール、およびスルホンアミド
を使用する。
【0410】
40
日和見病原体に起因する全身の侵襲性真菌症は、免疫不全宿主において生じ、カンジダ
症、クリプトコッカス症、アスペルギルス症、ムコール症、およびニューモシスティス症
を含む。欠陥がある免疫系において免疫応答を高めることにより、本発明の抗PD−L1
抗体は、また、これらの状態の処置において、特に従来の治療と組み合わせた場合、治療
的価値を有しうる。
【0411】
カンジダ症(カンジダ・アルビカンス、Cトロピカリス(tropicalis)、Cグラブラタ
(glabrata)により起こされる)、クリプトコッカス症(クリプトコックス・ネオフォル
マンス(Cryptococcus neoformans)により起こされる)、アスペルギルス症(アスペル
ギルス・フラーブス(Aspergillus flavus)、Aフミガーツス(fumigatus)、Aテレウ
50
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ス(tereus)、およびAニガー(niger)により起こされる)、およびムコール症(リゾ
プス・アリズス(Rhizopus arrhizus)、リゾムコール属、アブシディア属、クンニング
アメラ属、モルティエラ属、サクセネア属により起こされる)のための処置は、以下のイ
ミダゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、アンホテリシンB(
フルシトシンを伴うおよび伴わない)の1つまたは複数により処置してもよい。ニューモ
システィス(ニューモシスチス・カリニにより起こされる)は、最近原虫から真菌まで再
分類されており、トリメトプリム−スルファメトキサゾール(TMP−SMZ)および静
脈内ペンタミジンイセチオネート、ならびにダプソン、TMP−ダプソン、トリメトレキ
セート、クリンダマイシン−プリマキン、およびとアトバクオンを用いて処置される。
【0412】
10
微胞子虫症は、微胞子虫寄生体により起こされ、最近、原虫から真菌まで再分類された
。それらはミトコンドリアの代わりにマイトソームを有する単細胞生物である。ヒトにお
いて疾患を起こすことができる生物は以下を含む:エンテロシトゾーン・ビエヌーシ(En
terocytozoon bieneusi)、エンセファリトゾーン・ヘレム(Encephalitozoon hellem)
、エンセファリトゾーン・インテスティナリス(Encephalitozoon intestinalis)、エン
セファリトゾーン・クニクリ(Encephalitozoon cuniculi)、プレイストフォラ属(Plei
stophora spp)、トラキプレイストフォラ・ホミニス(Trachipleistophora hominis)、
トラキプレイストフォラ・アンスロポフテラ(Trachipleistophora anthropophthera)、
ノセマ・コンノリ(Nosema connori)、ノセマ・オクラルム(Nosema ocularum)、ブラ
キオラ・ベシキュラルム(Brachiola vesicularum)、ビタフォルマ・コルネアエ(Vitta
20
forma corneae)、ミクロスポリジウム・セイロネンシス(Microsporidium ceylonensis
)、ミクロスポリジウム・アフリカナム(Microsporidium africanum)、ブラキオラ・ア
ルゲラエ(Brachiola algerae)。
【0413】
感染は、動物、汚染水、または別の感染宿主との直接接触からヒトに伝達されると考え
られる。宿主細胞への感染後、胞子原形質が増殖し、分裂し、多核変形体を形成し、それ
は複雑なライフサイクル(無性生殖および有性生殖の両方を含む)を有しうる。連続生成
による自己感染および慢性の衰弱性疾患がしばしば微胞子虫感染を特徴付ける。
【0414】
疾患の臨床発現は、種および宿主の免疫状態に依存して変動し、結膜炎(例、V. corne
30
ae)、慢性下痢、吸収不良、および消耗症(例、E. bieneusi、E. intestinalis)を含み
うる。
【0415】
眼、腸の播種性小胞子菌症のための処置は、アルベンダゾールの投与を含む。フマジリ
ンの局所適用も微胞子虫角結膜炎を処置するために効果的に使用されうる。他の薬物は、
反駆虫剤(例、アルベンダゾール)、抗生物質(例、フマジリン)、免疫調節剤(例、サ
リドマイド)、抗原虫剤(例、メトロニダゾール)を含む。
【0416】
d.原虫
寄生虫障害(例えばマラリア、住血吸虫症、およびレーシュマニア症など)に起因する
40
疾患が、開発途上国において最も流行しており、重要な健康問題になっている。これらの
疾患は特定の攻撃を引き起こす。なぜなら、それらは以下を含む種々の手段を通じて宿主
免疫を回避しうるからである:1)宿主細胞内での生存(例、リーシュマニア属)、2)
迅速に変化する表面抗原(例、トリパノソーマ)、および3)宿主抗原を提示することに
よりそれら自身を宿主細胞として「偽る」(例、住血吸虫症)。癌の処置における臓器移
植と併用した免疫抑制薬物の使用、ならびにAIDの世界的な罹患率は、プラスモジウム
属、トキソプラズマ属、リーシュマニア属、クリプトスポリジウム属、トリパノソーマ属
、および蠕虫からの潜在的または無症状性感染を復活させることができる。
【0417】
原虫寄生体感染に起因する慢性感染のために、本発明の抗PD−L1抗体を、標準的な
50
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抗原虫治療との組み合わせの、その前の、またはそれに続く投与と組み合わせてもよい。
【0418】
マラリアは、プラスモジウム属(例、Pオヴァレ(P. ovale)、Pマラリアエ(P. mal
ariae)、Pファルシパルム(P. falciparum)、Pヴィヴァクス(P. vivax))の寄生体
により起こされ、雌のハマダラカ属の蚊の腸において発生するスポロゾイトとして感染サ
イクルを開始する。ヒトへの伝達時、これらのスポロゾイトは、肝細胞に侵入し、炎症反
応を誘導することなく、その中で増える。これらの生物の子孫は、メロゾイトと呼ばれ、
次に赤血球細胞を侵入し、典型的に発熱および悪寒により特徴付けられる疾患の臨床段階
を開始する。感染が風土性である世界の地域において、ほとんど全ての住民が低∼中程度
の病原性の持続的な低レベルの慢性感染を抱え、増加レベルのIgG抗体を伴い、赤血球
10
中へのメロゾイト侵入からの保護を提供している。
【0419】
臨床疾患の処置および予防の両方のための現在利用可能な抗マラリア薬物は、以下を含
む:アルテメテル−ルメファントリン(治療、例、Coartem(登録商標)およびRiamet(
登録商標))、アーテスネート−アモジアキン(治療)、アーテスネート−メフロキン(
治療)、アーテスネート−スルファドキシン/ピリメタミン(治療)、アトバクオン−プ
ログアニル、(治療および予防、例、Malarone(登録商標))、キニン(治療)、クロロ
キン(治療および予防)、Cotrifazid(治療および予防)、ドキシサイクリン(治療およ
び予防)、メフロキン、(治療および予防、例、Lariam(登録商標))、プリマキン(P.
vivaxおよびP. ovaleのみにおける治療;予防のためにではない)、プログアニル(予防
20
)、スルファドキシン−ピリメタミン(治療および予防)、ハイドロキシクロロキン(治
療および予防、例、Plaquenil(登録商標))。
【0420】
アネルギーT細胞の再活性化を通じて、本発明の抗PD−L1抗体は、マラリア寄生体
のクリアランスを助ける際に特に治療的でありうる。
【0421】
トキソプラズマ症は、トキソプラズマ属の寄生体により起こされ、しばしば無症候性で
あるが、しかし、少数が臨床疾患を発生することができ、良性のリンパ節腫脹から中枢神
経系の急性から致死的な感染にまでおよびうる。感染の供給源は、生かまたは部分的に調
理されたブタ肉または羊肉中の嚢胞および感染ネコの糞便中を通過した卵母細胞を含む。
30
感染はヒトにおいて通常胃腸管を通じて生じ、原虫は実質的に全ての身体の細胞において
(タキゾイトとして)侵入し、増殖する。これらのタキゾイトは、長期間にわたり生存可
能なままである、微小で緩徐に増殖する感染体(ブラディゾイト)で満たされた嚢胞を産
生することができ、潜在的な慢性感染をもたらす。免疫系不全を伴う宿主(例えば免疫抑
制薬物を服用中であるまたはHIVに苦しむ宿主)は、特にトキソプラズマ症に苦しむ傾
向がある。
【0422】
原発性トキソプラズマ症を処置するために使用される医薬は以下を含む:ピリメタミン
、抗生物質を伴うおよび伴わない(例、スルファジアジン、クリンダマイシン、スピラマ
イシン、およびミノサイクリン)。潜在的なトキソプラズマ症を、抗生物質アトバクオン
40
を用いて(クリンダマイシンを伴うおよび伴わず)処置してもよい。
【0423】
レーシュマニア症は、リーシュマニア属の寄生体により起こされ、皮膚および内臓のマ
クロファージに感染し、スナバエを通じてヒトに伝達される。特異的血清抗体はほとんど
ないまたはないため、活性化T細胞を通じた細胞媒介性免疫が、感染が除去される決定的
な経路であるように見える。旧世界リーシュマニア症は、熱帯潰瘍としても公知であり、
リーシュマニア属のいくつかの種により起こされる:Lトロピカ(L. tropica)、Lマジ
ョール(L. major)、およびLアエチオピカ(L. aethiopica)。新世界リーシュマニア
症は、種々の亜種により起こされる:Lメキシカーナ(L. Mexicana)およびLブラジリ
エンシス(L. braziliensis)。これらの寄生体は強い細胞媒介性免疫応答を誘導するが
50
(105)
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、しかし、臨床疾患の転帰は部分的に宿主応答に起因する。宿主が抑制されたまたは不適
当な細胞媒介性応答を高める場合、結果はびまん性の慢性皮膚リーシュマニア症であり、
自然治癒の希望はほとんどない(例、L. aethiopica、L. Mexicana)。宿主が過剰の細胞
媒介性応答を高める場合、応答はルポイドまたは再発性(recidiva)レーシュマニア症で
あり、持続的な非潰瘍性リンパ小節を伴い、一次病巣(例、L. tropica)の辺縁に現われ
る。再発性レーシュマニア症は、初期病変の1∼10年後に現われうる。2つの形態(皮
膚および内臓)の疾患が存在し、皮膚形態は皮膚病変において発現し、細胞媒介性免疫は
クリアランスに決定的である。内臓形態において、細胞媒介性免疫は不十分であるまたは
存在せず、疾患は臨床的にポリクローナルB細胞高γグロブリン血症、白血球減少症、脾
腫大、および上昇したTNF−α産生として発現する。
10
【0424】
ミルテホシン(例、Impavido(登録商標))およびパラミオシンは、皮膚および内臓の
レーシュマニア症の両方のために現在利用可能な処置である。
【0425】
クリプトスポリジア症は、クリプトスポリジア属の原虫からの感染により起こされ、感
染宿主の糞便排泄物との直接的なヒトの接触に起因する。腸粘膜組織の感染は下痢をもた
らしうる。疾患は、典型的に、急性感染として発現するが、しかし、それは特に免疫不全
の個人において慢性になりうる。処置は、典型的に、緩和的であり、特に水分補給である
が、しかし、パロモマイシン、アジスロマイシン、および血清Ig(例、Lactobin-R(登
録商標))が感染を除去する際に成功してきた。
20
【0426】
トリパノソーマ症は、寄生体トリパノソーマ(例えば、Tブルセイ(T. Brucei)、亜
種ガンビエンセ(gambiense)、ロデシエンセ(rodesiense))により起こされ、ツェツ
ェバエからの咬傷を通じてヒトおよびウシに感染する。この病原体が引き起こす攻撃は、
異なる表面抗原を提示する集団の連続生成に起因する。感染は、非特異的および非保護的
な血清免疫グロブリンの上昇レベルにより特徴付けられる。
【0427】
トリパノソーマ症のための処置は、以下の静脈内投与を含む:ペンタミジン(T.b. gam
biense用)、静脈内スラミン(T.b. rhodesiense用)、エフロルニチン、メラルソプロー
ル(ニフルチモクスを伴うおよび伴わない)。
30
【0428】
寄生虫様感染は、吸虫(例えば、シストソーマ属)、条虫、および線虫に起因し、好酸
球増加症およびレアギン抗体の共通の免疫応答(T細胞依存的である応答)を共有する。
【0429】
住血吸虫症(別名ビルハルジア)は、シストソーマ・マンソン、Sジャポニカム(S. j
aponicum)、Sハエマトビウム(S. haematobium)、およびSメコンギ(S. mekongi)に
より起こされ、水中で卵としてライフサイクルを開始し、それは次にミラシジウムに孵化
し、それはカタツムリに侵入し、複数世代のスポロシストを作製する。これらは次にシス
トソーマ属としてヒト宿主の血流に感染することができるフォークテール型セルカリアを
産生し、それは最初に肺、次に肝臓に移動する。これらの吸虫類は、最終的に、腸間膜小
40
静脈においてペアとなり、交尾し、そして卵を産む。これらの卵の多くは腸に移動し、排
泄され、一部が粘膜下組織、肝臓の門脈小静脈、および身体の他の臓器に捕捉される。捕
捉された卵に関連する肉芽腫性炎症は、慢性住血吸虫症の決定的な症状である。
【0430】
住血吸虫症のための処置は、Praziquantel(登録商標)、アンチモン、オキサムニクイ
ン(S. mansoni)、およびMirazid(登録商標)の投与を含む。
【0431】
条虫感染は2つの群に分類されうる。1つは腸に住む成体条虫、例えばジフィロボスリ
ウム・ラツム(Diphyllobothrium latum)およびタエニア・サギナタ(Taenia saginata
)などであり、限定された非液性免疫効果を有する。第2の群は、遊走性の組織被嚢幼生
50
(106)
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条虫、例えばヒメノレピス・ナナ(Hymenolepis nana)、エキノコックス・グラヌロスス
(Echinococcus granulosus)、およびタエニア・ソリウム(Taenia solium)などを記載
し、それらは強い非経口の宿主応答および防御血清抗体を誘導する。ヒトにおいて最も重
大な条虫感染はエキノコックス症であり、それは肝臓、肺、脳、腎臓、または身体の他の
部分に移植された場合、包虫嚢胞の形成をもたらすことができる。
【0432】
エキノコックス症のための処置は、メトロニダゾール、アルベンダゾールの投与、およ
び外科的介入、例えば除去、吸引、造袋術、または大網固定術などを含む。
【0433】
線虫は最も一般的に多彩で、広く分布する蠕虫であり、ヒトに感染し、障害(例えば旋
10
毛虫病、回虫症、フィラリア症、および糞線虫症など)を起こす。旋毛虫症は、トリキネ
ラ・スピラリス(Trichinella spiralis)により起こされ、生肉または部分的に調理され
た肉(例えばブタ肉など)におけるTスピラリス(T. spiralis)の幼虫の摂取に起因し
うる。ヒトにおいて、感染は、上昇したIgMを伴う強い液性応答を誘発し、IgG産生
が続き、Tリンパ球による抗体損傷された虫の迅速な排除が続く。
【0434】
腸において成虫を殺すための唯一の公知の処置は、チアベンダゾールであり、幼虫を殺
すための公知の処置はない。
【0435】
回虫属は、巨大線虫(アスカリス・ルンブリコイデス(Ascaris lumbricoides))とし
20
ても公知であり、糞便により汚染された物質の摂取に起因するヒトにおいて一般的な寄生
体である。患者が非常に長い期間にわたり無症候性のままであるが、幼虫期に身体を通じ
て移動し、それらは内臓損傷、腹膜炎および炎症、肝臓または脾臓の腫張、毒性、および
肺炎を起こしうる。
【0436】
回虫症のための処置は、メベンダゾール(例、Vermox(登録商標))、ピペラジン、ピ
ランテルパモエート(例、Antiminth(登録商標)、Pin-Rid(登録商標)、Pin-X(登録
商標))、アルベンダゾール、チアベンダゾール(ピペラジンを伴うまたは伴わない)、
ヘキシルレソルシノール、サントニン、およびアカザの油の投与を含む。本発明の抗PD
−L1抗体を、回虫症の処置のためのこれらの治療の施行と組み合わせて、その前に、ま
30
たはそれに続いて施してもよい。
【0437】
フィラリア症は、フィラリア線虫により起こされ、媒介昆虫によりヒトの中に導入され
る。オンコセルカ・ボルブルス(Onchocerca volvulus)は、オンコセルカ症または河川
盲目症を起こし、ブヨからの咬傷により伝達される。感染性幼虫自体は皮下にとどまり、
成人に発生し、線維形成性の宿主応答を誘導し、大量のミクロフィラリアを放出し、それ
は皮下におよび眼全体に分散し、さらに角膜炎または網膜炎を誘導し、それらは次に角膜
を起こし、不透明になる。リンパ性フィラリア症は、ブルギア属およびブケレリア属によ
る感染に起因する。時間とともに、リンパ組織(特に鼠径部における)の傷跡が排出を妨
げ、外観を損なう状態である象皮症をもたらしうる。
40
【0438】
フィラリア症のための一次処置は、抗生物質イベルメクチン、アルベンダゾール、およ
びクエン酸ジエチルカルバマジン(DEC、Hetrazan(登録商標))(イベルメクチンま
たはアルベンダゾールを伴うまたは伴わない)の投与である。他の処置の見通しはドキシ
サイクリンを含み、それは共生細菌(ボルバキア)を殺す。
【0439】
糞線虫症は、ストロンギロイデス属(例、Sステルコラリス(S. stercoralis)、Sフ
レボルニ(S. fulleborni))の寄生体により起こされ、糞便によって汚染された土壌を
通じてヒトに渡る疾患である。それらは、自由生活サイクル(成虫に成熟するrabditifor
m幼虫)、ならびに寄生サイクル(成虫に成熟するフィラリア型幼虫)の両方において存
50
(107)
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在しうる。それらは皮膚に侵入し、肺、次に咽頭に移動し、最終的に腸に存在する。スト
ロンギロイデス属の自己感染も生じることが公知であり、それは本質的にはフィラリア型
幼虫の連続生成による反復感染である。
【0440】
感染は無症候性でありうるが、または胃腸管における疼痛および下痢、肺におけるレフ
ラー症候群(即ち、好酸球増加症)および蕁麻疹により特徴付けることができる。血液の
好酸球増加症も存在しうる。ストロンギロイデス属の持続感染は、消化性潰瘍、胆嚢疾患
、およびクローン病によく似ているため、誤診は一般的である。それは免疫不全宿主にお
ける特定の問題である。
【0441】
10
糞線虫症のための公知の処置は、イベルメクチン、アルベンダゾール、またはチアベン
ダゾールであるが、しかし、この医薬は成虫だけを殺すため、反復投与が必要である。
【0442】
e.ワクチン接種
ワクチン接種または疾患に対して免疫を誘導するための抗原材料の投与を定期的に使用
し、病原体による感染の効果を妨げる、または改善する。宿主免疫の増強は、感染性の病
原体だけでなく、罹患した(例、癌性)宿主組織でも見出される非所望の抗原に使用する
ことができる。従来、ワクチンは、弱められたまたは死んだ病原体の全体に由来するが、
しかし、それらは、また、ヒトのクラスIまたはクラスII主要組織適合複合体(MHC
)分子により特異的に認識されるインタクトな病原体上のペプチド提示エピトープであり
20
うる。特定の目的のペプチド抗原は、T細胞により特異的に認識されるものである。
【0443】
最近、治療的ワクチン接種を消耗したCD8+T細胞でのPD−L1遮断の施行と組み
合わせることで、慢性感染マウスモデルにおいて増強された機能およびウイルス制御がも
たらされることが示されている。Ha et al., J. Exp. Med. 205(3): 543-555 (2008).結
果として、本明細書に記載する抗PD−L1抗体は、また、ウイルス、細菌、真菌、また
は原虫の浸潤に起因する感染(例、急性および慢性)ならびに腫瘍免疫を処置するための
抗原ワクチン接種(例、前、同時、または後での投与)と組み合わせてもよい。
【0444】
G.医薬的な投与量:
30
本発明の医薬的組成物の投与量および所望の濃度は、想定される特定の使用に依存して
変動しうる。適切な投与量または投与経路の決定は、当業者の能力の十分に範囲内である
。動物実験は、ヒトの治療のための有効量の決定のための信頼できるガイダンスを提供す
る。有効量の種間スケーリングは、Mordenti, J. and Chappell, W. "The Use of Inters
pecies Scaling in Toxicokinetics," In Toxicokinetics and New Drug Development, Y
acobi et al., Eds, Pergamon Press, New York 1989, pp.42-46に定められる原理に従っ
て実施することができる。
【0445】
本明細書に記載されるポリペプチドまたは抗体のin vivoでの投与を使用する場
合、通常の投与量は、投与経路に依存し、1日当たり約10ng/kg∼約100mg/kg(哺乳
40
動物の体重)またはそれ以上、好ましくは約1mg/kg/日∼10mg/kg/日まで変動しうる。
特定の投与量および送達の方法についてのガイダンスが、文献に提供されている。例えば
、米国特許第4,657,760号;第5,206,344号;または第5,225,2
12号を参照のこと。以下が本発明の範囲内である:異なる製剤が異なる処置および異な
る障害のために効果的でありうること、および、特定の器官または組織を処置することを
意図した投与が、別の器官または組織に対するそれと異なる様式での送達を必要としうる
こと。さらに、投与量を、1回または複数回の別々の投与により、または持続注入により
投与してもよい。数日間またはそれより長い反復投与のために、状態に依存し、処置を、
疾患症状の所望の抑制が生じるまで持続する。しかし、他の投与計画が有用でありうる。
この治療の進行は、従来の技術およびアッセイにより簡単にモニターされる。
50
(108)
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【0446】
H.製剤の投与
本発明の製剤は、限定はされないが、再構成された液体製剤を含み、抗PD−L1抗体
を用いた処置を必要とする哺乳動物、好ましくはヒトへ、公知の方法に従って(例えばボ
ーラスとしての静脈内投与、あるいはある期間にわたる持続的注入により、筋肉内、腹腔
内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液内、髄腔内、経口、局所、または吸入経路により)投
与される。
【0447】
好ましい実施態様において、製剤は、皮下(即ち、皮膚の下)投与により哺乳動物に投
与される。そのような目的のために、製剤を、シリンジを使用して注射してもよい。しか
10
し、製剤の投与のための他のデバイスを利用可能である。例えば注射デバイス(例、INJE
CT-EASE(商標)およびGENJECT(商標)デバイス);インジェクターペン(例えばGENPEN
(商標)など);オートインジェクターデバイス、無針デバイス(例、MEDIJECTOR(商標
)およびBIOJECTOR(商標));および皮下パッチ送達システムなど。
【0448】
特定の実施態様において、本発明は、1回用量投与ユニット用のキットに向けられる。
そのようなキットは、治療用のタンパク質または抗体の水性製剤の容器を含み、単一また
は複数チェンバーの事前に充填されたシリンジを含む。例示的な事前に充填されたシリン
ジは、Vetter GmbH, Ravensburg, Germanyから入手可能である。
【0449】
20
タンパク質の適切な投与量(「治療的有効量」)は、例えば、処置される状態、状態の
重症度および経過(タンパク質が予防的または治療的な目的のために投与されたか否かに
かかわらず)、過去の治療、患者の臨床歴および抗PD−L1抗体に対する応答、使用さ
れる製剤のフォーマット、ならびに主治医の判断に依存しうる。抗PD−L1抗体は、患
者に、1回または一連の処置にわたり適切に投与され、患者に、以後の診断から任意の回
数で投与してもよい。抗PD−L1抗体は、単独処置としてまたは問題の状態を処置する
際に有用である他の薬物または治療と併用して投与してもよい。
【0450】
抗PD−L1抗体のために、最初の候補投与量は、患者への投与のために約0.1∼2
0mg/kgの範囲でありうるが、それは1つまたは複数の別々の投与の形態を取りうる。し
30
かし、他の投与計画が有用でありうる。そのような治療の進行は、従来の技術により簡単
にモニターされる。
【0451】
I.製造品
本発明の別の実施態様において、製造品が提供され、それは製剤を含む、好ましくはそ
の使用のための説明書を提供する。製造品は容器を含む。適した容器は、例えば、ボトル
、バイアル(例、二重チェンバーバイアル)、シリンジ(例えば一重または二重チェンバ
ーシリンジなど)、および試験管を含む。容器は、種々の材料(例えばガラスまたはプラ
スチックなど)から形成されうる。容器は製剤を保持する。容器上にある、またはそれに
関連するラベルは、再構成および/または使用のための指示を示しうる。ラベルは、さら
40
に、製剤が皮下投与のために、および/またはT細胞機能障害性障害の処置のために有用
である、または意図されることを示しうる。製剤を保持する容器は、再構成製剤の反復投
与(例、2∼6回投与)を可能にする複数回使用バイアルでありうる。製造品は、さらに
、適した希釈剤(例、BWFI)を含む第2の容器を含みうる。希釈剤および凍結乾燥製
剤の混合時、再構成製剤中の最終的なタンパク質濃度は、一般的に、少なくとも50mg/m
lでありうる。製造品は、さらに、市販のユーザーの見地から望ましい他の材料を含みう
る(他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および添付文書(使用説明書を伴
う)を含む)。
【0452】
本発明は、以下の例を参照することにより、より完全に理解されるであろう。それらは
50
(109)
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、しかし、本発明の範囲を限定していると解釈すべきではない。開示を通じた全ての引用
が、本明細書により、参照により明確に組み入れられる。
【0453】
別の実施態様において、本発明は、オートインジェクターデバイス中に投与のための本
明細書に記載する製剤を含む製造品を提供する。オートインジェクターは注射デバイスと
して記載することができ、活性化時に、患者または投与者から追加の必要な行為なしにそ
の含量を送達するであろう。それらは、送達速度が一定でなければならず、送達の時間が
数秒より大きい場合、治療用製剤のセルフメディケーションのために特に適している。
【0454】
実施例1
10
ファージライブラリーにおける抗PD−L1抗体の同定
抗PD−L1抗体を同定するためのライブラリー選別およびスクリーニング
ヒト(R&D Systems,cat# 156-B7)およびマウス(R&D Systems,cat# 1019-B7)PD
−L1−Fc融合体を、代替ライブラリー選別のための抗原として使した。具体的には、
ファージライブラリーを、最初にヒト抗原、続く3ラウンドにおいてマウス、ヒト、およ
びマウス抗原に対して選別した。Nunc 96 well Maxisorp(登録商標)を標的タンパク質
(10μg/ml)と4℃で一晩コートし、室温で1時間にわたりファージブロッキングバッ
ファーPBST(リン酸緩衝食塩水(PBS)および1%(w/v)ウシ血清アルブミン(B
SA)および0.05%(v/v)tween-20)を用いてブロックした。抗体ファージライブラ
リーVH(例、Lee et al., J. Immunol. Meth. 284: 119-132, 2004を参照のこと)およ
20
びVH/VL(Liang et al., J. Mol. Biol .366: 815-829, 2007を参照のこと)を別々
に抗原プレートに加え、室温で一晩インキュベートした。次の日、抗原コートされたプレ
ートをPBT(0.05% Tween-20を伴うPBS)を用いて10回洗浄し、結合したフ
ァージを50mM HClおよび500mM NaClを用いて30分間にわたり溶出し、等
容積の1M Trisベース(pH7.5)を用いて中和した。回収したファージをE.
coli XL−1 Blue細胞において増幅させた。続く選択ラウンドの間、抗原コ
ートプレートを用いた抗体ファージのインキュベーションを2∼3時間に低下させ、プレ
ート洗浄のストリンジェンシーを徐々に増加させた。
【0455】
4ラウンドのパニング後、有意な濃縮が観察された。96クローンをVHおよびVH/
30
VLライブラリー選別から各々選び、それらがヒトおよびマウスの両方のPD−L1−F
cに特異的に結合するか否かを決定した。これらのクローンの可変領域をPCR配列決定
し、固有の配列クローンを同定した。
【0456】
目的の親クローンを、個々のクローンのVLおよびVH領域をそれぞれLPG3および
LPG4ベクター(Lee et al., supra)中にクローン化し、哺乳動物CHO細胞中で一
過性に発現させ、そしてプロテインAカラムを用いて精製することによりIgG中に再フ
ォーマットした。13のファージ抗体を、それらが293細胞において発現された可溶性
PD−1−Fc融合体とヒトまたはマウスPD−L1の間での相互作用を遮断する能力に
ついて評価した(IC50値が表1に指定される−上半分)。YW243.55は、PD
40
−1へのヒトPD−L1の結合を遮断するための最低IC50を伴う抗体であり、続く親
和性成熟について選択され、ヒトおよびマウスの両方のPD−L1についてその親和性を
改善した。(表1)霊長類およびマウス種の両方に対して同程度の交差反応性を伴う(な
らびにヒトに対する親和性を保持する)抗体は、実験モデルにおいて十分に特徴付けられ
た同じ抗体をヒトの臨床試験において使用することができる点で、増強した価値の治療を
提供しうる。これによって、モデル特異的サロゲートの使用に起因する不確実性が回避さ
れる。
【0457】
VHライブラリーに由来するクローンの親和性改善のためのコンストラクトライブラリー
ファージミドpW0703(ファージミドpV0350−2b(Lee et al., J. Mol.B
50
(110)
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iol 340: 1073-1093 (2004))に由来し、全てのCDR−L3位置に終始コドン(TAA
)を含み、M13バクテリオファージの表面上に一価Fabを提示する)は、親和性成熟
のためにVHライブラリーからの目的のクローンの重鎖可変ドメイン(VH)を移植する
ためのライブラリーテンプレートとしての役割を果たした。ハードおよびソフトの両方の
ランダム化戦略を親和性成熟のために使用した。ハードなランダム化のために、3つの軽
鎖CDRの選択された位置を伴う1つの軽鎖ライブラリーを、天然ヒト抗体を模倣するよ
うに設計されたアミノ酸を使用してランダム化し、設計されたDNA縮重はLee et al.(J
. Mol. Biol 340, 1073-1093 (2004)に記載された。ソフトなランダム化のために、CD
R−L3の位置91∼94、および96、CDR−H1の28∼31および34∼35、
CDR−H2の50、52、および53∼58、CDR−H3の95∼99および100
10
Aを標的化した;ならびに、CDRループ(L3/H1/H2およびL3/H3)の2つ
の異なる組み合わせをランダム化のために選択した。ソフトなランダム化条件(それによ
り選択された位置での約50%の突然変異率が産生された)を達成するために、突然変異
DNAを、野生型ヌクレオチドを支持する塩基の70−10−10−10混合物を用いて
合成した(Gallop et al., Journal of Medicinal Chemistry 37:1233-1251 (1994))。
【0458】
親和性改善を生成するためのファージ選別
以前に同定されたファージクローンを、第1ラウンドのためのプレート選別に供し、5
または6ラウンドの溶液選別が続いた。ライブラリーを、ヒトおよびマウスPD−L1−
Fcに対してそれぞれ選別した(R&D Systems、それぞれcat.#156−B7、ca
20
t #1019−B7)。ヒトPD−L1−Fcのために、第1ラウンドのプレート選別
で、3つのライブラリーを、標的コートプレート(NUNC Maxisorp(登録商標)プレート
)に対して、1% BSAおよび0.05% Tween-20中のファージインプット(約3 O
.D./ml)を別々に用いて、2時間にわたり室温で選別した。第1ラウンドのプレート
選別後、溶液選別を実施し、選択のストリンジェンシーを増加した。溶液選別のために、
第1ラウンドのプレート選別から増殖させた1 O.D./mlファージを、1% Superblock(P
ierce Biotechnology)および0.05% Tween-20を含む100μL緩衝液中で20nmビ
オチン化標的タンパク質(濃度は、親クローンファージのIC50値に基づく)を用いて
、30分間にわたり室温でインキュベートした。混合物を、さらに、1% Superblockを
用いて10×希釈し、100μL/ウェルをニュートラアビジンコートされたウェル(5μ
30
g/ml)に、15分間にわたり室温で、穏やかに撹拌しながら(ビオチン化標的がファージ
に結合するように)適用した。ウェルをPBS−0.05% Tween-20を用いて10×洗
浄した。バックグラウンド結合を決定するために、ビオチン化されなかった標的を伴うフ
ァージを含むコントロールウェルを、ニュートラアビジンコートされたプレート上で捕捉
した。結合したファージを0.1N HClを用いて20分間にわたり溶出させ、1/1
0容積の1M Tris pH−11により中和し、滴定し、次のラウンドために増殖さ
せた。次に、5を上回るラウンドの溶液選別を、増加する選択ストリンジェンシーの2つ
の方法を一緒に用いて行った。その第1は、ビオチン化標的タンパク質濃度を減少させる
(4nMから0.5nMまで)ことによるオンレート選択のためであり、その第2は、過剰量
の非ビオチン化標的タンパク質(100∼2000倍以上)を加え、弱い結合剤を室温ま
40
たは37℃のいずれかで競合除去することによるオフレート選択のためである。また、フ
ァージインプットをより低いバックグラウンドファージ結合まで減少させた(0.1∼0
.5O.D/ml)。マウスPD−L1−Fc標的について、ファージ選別方法は、ヒトPD−
L1 Fc抗原について上で記載されるものと類似であり、少数の改変を伴う。具体的に
は、100nmビオチン化マウスPD−L1−Fcを、第1ラウンドのプレートパニングの
直後に溶液パニングのために使用した。4回の続くラウンドの溶液パニングにおいて、ビ
オチン化標的を10nMから1nMまで低下させ、200∼500倍過剰の非ビオチン化標的
を室温で加えた。
【0459】
親和性成熟させたクローンを、次に、さらに、以下の実施例に記載されるハイスループ
50
(111)
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ット親和性スクリーニングELISA手順を用いてスクリーニングした。
【0460】
ハイスループット親和性スクリーニングELISA(シングルスポット競合)
コロニーを、それぞれヒトおよびマウスのPD−L1標的についての7回目および6回
目のラウンドのスクリーニングから選んだ。コロニーを、一晩37℃で、96ウェルプレ
ート(Falcon)において150μL/ウェルの2YT培地(50μg/mlカルベニシリンおよ
び1E10/ml KO7)中で増殖させた。同じプレートから、親ファージの感染したX
L−1コロニーをコントロールとして選んだ。96-well Nunc Maxisorp(登録商標)プレ
ートを、PBS中の100μL/ウェルのヒトおよびマウスPD−L1−Fcタンパク質(
2μg/ml)を別々に用いて、4℃で一晩または室温で2時間にわたりコートした。プレー
10
トを、65μLの1% BSAを用いて30分間にわたり、そして40μLの1% Tween-20
を用いて別の30分間にわたりブロックした。
【0461】
ファージ上清を、100μLの全容積において、10nmの標的タンパク質を伴うまたは
伴わないELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)緩衝液(0.5% BSA、0.05%
Tween-20を伴うPBS)中で1:10希釈し、Fプレート(NUNC)中で少なくとも1時
間室温でインキュベートした。標的タンパク質を伴うまたは伴わない75μLの混合物を
、標的タンパク質コートされたプレートに並べて移した。プレートを穏やかに15分間に
わたり撹拌し、標的タンパク質コートされたプレートへの未結合ファージの捕捉を可能に
した。プレートを少なくとも5回PBS−0.05% Tween-20を用いて洗浄した。結合
20
を、ELISA緩衝液中に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)抱合抗M13抗体を加
え(1:5000)、30分間にわたり室温でインキュベートすることにより定量化した
。プレートをPBS−0.05% Tween-20を用いて少なくとも5回洗浄した。次に、1
00μL/ウェルの1:1比率の3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB
)ペルオキシダーゼ基質およびペルオキシダーゼ溶液B(H2O2)(Kirkegaard-Perry
Laboratories (Gaithersburg, MD))をウェルに加え、5分間にわたり室温でインキュベ
ートした。反応を、100μLの1Mリン酸(H3PO4)を各ウェルに加えることによ
り停止し、5分間にわたり室温でインキュベートした。各ウェル中の黄色のOD(光学密
度)を、標準的なELISAプレートリーダーを使用して、450nmで決定した。OD低
下(%)を以下の等式により算出した。
30
OD450nm低下(%)=[(競争相手を伴うウェルのOD450nm)/(競争相手を伴
わないウェルのOD450nm)]×100
【0462】
親ファージ(100%)のウェルでのOD450nm低下(%)と比較し、ヒトおよびマウ
スの両方の標的について50%未満のOD450nm低下(%)を有するクローンを、配列分
析のために選んだ。固有のクローンをファージ調製のために選択し、親クローンとの比較
により、ヒトおよびマウスの両方のPD−L−Fcに対する結合親和性(ファージIC5
0)を決定した。
【0463】
材料
40
hPD−1−Fc、hPD−L1−Fc、hB7.1−Fc、mPD−1−Fc、mP
D−L1−Fc、およびmB7.1をR & D Systemsから購入した。hPD−L1発現2
93細胞を、Genentechで、従来の技術を使用して生成した。F(ab’)2ヤギ抗ヒト
IgG FcをJackson ImmunoResearch Laboratoriesから購入した。
【0464】
タンパク質のコンジュゲーション
PD−1−FcおよびB7.1−Fcタンパク質を、 EZ−Link sulfo−
NHS−LC−LC−ビオチン(Pierce)を用いて30分間にわたり室温で、製造業者に
より記載される通りにビオチン化した。過剰の未反応ビオチンを、Quick Spin High Capa
city Columns, G50-Sephadex(Roche)を用いて、製造業者により記載される通りに除去
50
(112)
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した。
【0465】
F(ab’)2ヤギ抗ヒトIgG FcをMSD Sulfo−Tag NHS−Es
ter(Meso Scale Discovery)を用いて、製造業者により記載される通りにルテニウム
標識し、過剰の未反応Sulfo−Tagを、Quick Spin High Capacity Column, G50-S
ephadexを用いて除去した。
【0466】
ファージ抗体をテストするためのECL細胞結合アッセイ
hPD−L1発現293細胞へのhPD−1−Fcの結合の50%阻害(IC50)を
もたらす抗体濃度を、電気化学発光(ECL)細胞結合アッセイにより測定した。hPD
10
−L1発現293細胞を、リン酸緩衝食塩水(PBS)を用いて洗浄し、96ウェルHi
gh Bindプレート(Meso Scale Discovery)で25μLのPBS中に1ウェル当た
り25,000個の細胞を播種した。プレートを室温でインキュベートし、細胞が、プレ
ートのカーボン表面に付着することを可能にする。25μLの30% FBSを各ウェルに
加え、プレートを30分間にわたり軽く撹拌しながらインキュベートし、非特異的結合部
位をブロックする。プレートを3回、PBSを用いて、ELISAマイクロプレートウォ
ッシャー(ELx405 Select, Bio-Tek Instruments)で、穏やかな分注および吸引条件下で
洗浄する。ウェル中の過剰なPBSを、プレートをペーパータオル上で吸い取ることによ
り除去する。12.5μLの2×濃度の抗体を、PBS中の3%FBS(アッセイ緩衝液)
中の各ウェルに、続いてアッセイ緩衝液中の12.5μLの4μg/ml(2×濃度)のhP
20
D−1ビオチンを加え、プレートを1時間にわたり軽く撹拌しながらインキュベートする
。プレートを、PBSを用いてマイクロプレートウォッシャーで3回洗浄し、プレートを
ペーパータオル上で吸い取る。25μLの2μg/mlのストレプトアビジン−ルテニウム(M
eso Scale Discovery)を加え、アッセイ緩衝液中で、室温で30分間にわたり穏やかに
撹拌しながらインキュベートする。PBSを用いてマイクロプレートウォッシャーで3回
洗浄し、プレートをペーパータオル上で吸い取る。サーファクタントを伴わない150μ
Lの1×MSD Read Buffer(Meso Scale Discovery)を加える。放出されたルミネセンス光
をSector Imager 6000リーダー(Meso Scale Discovery)で、620nmで読み取る。EC
L値を、アッセイにおいて使用されるテスト抗体の濃度を用いて、4パラメーターの非線
形最小二乗法を使用して分析し、アッセイにおける各競合相手のIC50値を得た。
30
【0467】
結果および考察:
ヒトおよびマウスの両方のPD−L1に結合した、YW243.55に由来する15の
固有ファージ抗体を選び、さらなる評価のために全長IgG1抗体に再フォーマットした
。これらの抗体の軽鎖および重鎖可変領域配列を、図11AおよびBに報告する。
【0468】
15の再フォーマットAbを、ヒトまたはマウスのいずれかのPD−L1を発現する2
93細胞へのPD−1の結合を遮断するそれらの能力について、電気化学発光(ECL)
細胞結合アッセイを介してテストした。(表1−下半分:表1において、「フォーマット
1」は、ヒトPD−L1トランスフェクションされた293細胞への可溶性ヒトPD−1
−Fc結合を記載する;「フォーマット2」は、マウスPD−L1トランスフェクション
された293細胞へのマウスPD−1−Fc結合を記載する;「フォーマット3」は、マ
ウスPD−L1トランスフェクションされた293細胞へのヒトPD−1−Fc結合を記
載する)全ての15の親和性が改善されたAbが、マウスPD−L1に対する有意な交差
反応性を獲得していたが、YW243.55S70を一次候補として選択し、PD−1に
対するヒトおよびマウスの両方の結合を遮断するその能力に基づいて追求した(表1:I
C50値がそれぞれ49pMおよび22pM)。
【0469】
40
(113)
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【表4】
10
20
30
【0470】
実施例2
抗PD−L1抗体の特徴付け(BIAcore)
組換えヒトおよびマウスPD−L1に対する抗PD−L1ファージ抗体YW243.5
5およびYW243.55S70の結合親和性を、表面プラズモン共鳴(SRP)により
BIAcore(商標)−3000機器を使用して測定した。組換えヒトPD−L1−Fc(R&D
40
Systems、cat#156−B7)および組換えマウスPD−L1−Fc(R&D Systems
、cat#1019−B7)を、CM5バイオセンサーチップ上に直接コートし、約50
0応答単位(RU)を達成した。動態測定のために、2倍連続希釈物(3.9nm∼500
nm)を、PBT緩衝液(0.05% Tween-20を伴うPBS)中で、25℃で、流速30
μL/分で注射した。会合速度(kon)および解離速度(koff)を、簡単な1対1の
Langmuir結合モデル(BIAcore Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して
算出する。平衡解離定数(kD)を比率koff/konとして算出する。
【0471】
測定された抗PD−L1ファージ抗体クローンYW243.55およびYW243.5
5.S70の結合親和性を、下の表2に報告する。
50
(114)
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【0472】
【表5】
10
【0473】
実施例3A
ヒト、アカゲザル、およびマウスのPD−L1についての抗PD−L1 Abの特異性−
20
FACSおよび放射性リガンド細胞結合アッセイ
この実施例は、ヒト、アカゲザル、およびマウスのPD−L1についての本発明の抗P
D−L1抗体についての特異性を示す。また、それは、トランスフェクションされた29
3細胞上の細胞膜で発現されたマウスおよびヒトのPD−L1についてのAbの親和性を
示す。
【0474】
ヒトおよびマウスのPD−L1を、293細胞中に安定的にトランスフェクションした
。細胞を収集し、結合試験のために96ウェルプレートにおいて1ウェル当たり150,
000個の細胞でプレーティングした。
【0475】
30
アカゲザルの血液をSouthwest Foundation for Biomedical Research(San Antonio, T
exas)から得た。血液を等容積のPBSを用いて希釈し、単核球の分離のために96%Fic
oll-Paque(GE Healthcare)上に重層した。赤血球の単核球を、赤血球溶解緩衝液(Qi
agen)を使用して溶解し、6ウェルプレートにおいて5ng/ml PMAプラス1μM
イオノマイシンを用いて1.5×106個細胞/mlで一晩培養した。培養液は、10%ウシ
胎仔血清、20μM HEPES、およびGibcoからの以下の添加剤の1:100希釈物を
伴うRPMI 1640であった:Gluta-MAX、ピルビン酸ナトリウム、ペニシリン/ス
トレプトマイシン、および非必須アミノ酸。細胞を次の日に収集し、結合試験のために9
6ウェルプレートに分注した(約120,000個細胞/ウェル)。
【0476】
40
PD−L1抗体YW243.55.S70またはHerceptin(登録商標)抗体コントロ
ールを、10μg/mlで開始し、3倍連続希釈物中で滴定し、細胞に50μL容積中で25
分間にわたり氷上で結合させた。細胞を洗浄し、次に、抗ヒトIgG PE(Caltag)を
用いて20μg/mlで25分間にわたり氷上で結合させた。アカゲザル細胞を、また、CD
3 FITCおよびCD4 APC(BD Biosciences)を用いて同時染色し、CD4+T
細胞を区別した。
【0477】
全てのサンプルをBeckman Dickinson FACSCaliburで実行し、抗PD−L1抗体濃度の
機能としてのPD−L1結合データの平均蛍光強度を、Tree Star, Inc. FlowJo(登録商
標)ソフトウェアを使用して分析した:EC50値(半最高結合に関連するAb濃度)を
50
(115)
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、Kaleidagraphを使用して算出した。また、平衡結合試験を実施し、293細胞で発現さ
れたヒトおよびマウスのPD−L1に対するYW24355S70結合についての正確な
親和性(Kd)を定めた(実施例3B)。これらの値を下の表3にまとめる:
【0478】
【表6】
10
【0479】
実施例3B
ヒトおよびマウスのPD−L1に対する抗PD−L1 Abの親和性測定−平衡結合放射
20
性リガンド細胞結合アッセイ
ヒトまたはマウスのPD−L1を用いてトランスフェクションされた293細胞を増殖
培地(10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mM L−グルタミン、1×ペニシリン−ストレ
プトマイシンを添加したRPMI 1640培地からなる)中で、37℃で5% CO2
において培養した。細胞を結合緩衝液(2% FBSおよび50mM Hepes,pH7
.2を伴う50:50 DMEM/F12)を用いて洗浄し、96ウェルプレート中に、
0.2mLの結合緩衝液中に約230,000個の細胞でプレーティングした。抗PD−L
1抗体YW243.55.S70.hIgGを、Iodogen方法を使用してヨード化
した。放射標識された抗PD−L1抗体を、遊離125I−NAから、ゲルろ過により、
NAP−5カラムを使用して精製した;精製されたAbは17.41μCi/μgの比放射能
30
を有した。一定濃度のヨード化抗体および減少濃度の連続希釈された非標識抗体を含む5
0μL容積の競合反応混合物を、96ウェルプレート中に置いた。ヒトPD−L1および
マウスPD−L1を発現する293安定的トランスフェクタント細胞株を、増殖培地(1
0%ウシ胎仔血清(FBS)、2mM L−グルタミン、1×ペニシリン−ストレプトマイ
シンを添加した50:50 DMEM/F12培地からなる)中で、37℃で5% CO
2において培養した。細胞を結合緩衝液(2% FBS、50mM Hepes,pH7.
2、および2mMアジ化ナトリウムを伴う50:50 DMEM/F12)を用いて洗浄し
、50μLの競合反応混合物に、0.2mLの結合緩衝液中の約200,000個の細胞密
度で加えた。細胞を伴う各競合反応におけるヨード化抗体の最終濃度は∼150pM(∼1
20,000cpm/0.25mL)であり、細胞を伴う競合反応における非標識抗体の最終濃
40
度は変動し、500nMで開始し、次に10濃度について2倍ずつ減少した。細胞を伴う競
合反応物を2時間にわたり室温でインキュベートした。非標識抗体の各濃度についての細
胞を伴う競合反応物を3通りにアッセイした。2時間のインキュベーション後、競合反応
物をMillipore Multiscreenフィルタープレートに移し、結合緩衝液を用いて4回洗浄し
、結合ヨード化抗体から遊離物を分離した。フィルターをWallac Wizard 1470ガンマカウ
ンター(PerkinElmer Life and Analytical Sciences Inc.Wellesley, MA)でカウントし
た。結合データを、NewLigandソフトウェア(Genentech)を使用して評価し、それはMuns
onおよびRobardの適合アルゴリズムを使用し、抗体の結合親和性を決定する。Musson et
al., Anal. Biochem. 107: 220-39 (1980)。
【0480】
50
(116)
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Kd値は、スキャッチャード分析により決定された通り、ヒトおよびマウスのPD−L
1に対する抗PD−L1抗体のEC50値を確証する(表3に示す)。
【0481】
実施例4
抗PD−L1 Abの選択性および親和性(IC50)
この実施例は、PD−1およびB7.1の両方に対するPD−L1の結合を遮断するた
めのその能力について本発明の全長抗PD−L1抗体を評価するために使用される結合選
択性および親和性(IC50として)を示す。
【0482】
方法:
10
hPD−L1−Fc ELISAに対するhB7.1−Fc−ビオチンおよびhPD−1
−Fc−ビオチン結合(フォーマット4):
Nunc Maxisorp 384ウェルプレートを、PBS中の25μLの250ng/ml hPD−L
1−Fcを用いてコートした。ウェルをPBS中の0.05% Tween(洗浄緩衝液)を用
いてマイクロプレートウォッシャーで3回洗浄し、ウェルをPBS中の0.5% BSA
を用いてブロックする。12.5μLの2×濃度の抗体を、各ウェルへ、PBS中の0.
05% Tween、0.5% BSA(アッセイ希釈剤)中に、続いてアッセイ希釈剤中の1
2.5μLの250ng/ml(2×濃度)のhB7.1−Fc−ビオチンを加え、プレートを
1時間半にわたり撹拌しながらインキュベートする。ウェルを、洗浄緩衝液を用いて6回
洗浄し、25μLのストレプトアビジン−HRP(アッセイ希釈剤中の1:40,000
20
、GE Healthcare)を加える。プレートを30分間にわたり撹拌しながらインキュベート
し、洗浄緩衝液を用いて6回洗浄する。25μLのTMB基質(Kirkegaard and Perry La
boratories)を1時間にわたり加え、反応を25μLの1Mリン酸を用いて停止する。吸光
度を450nmで読み、IC50値を、実施例1におけるECL細胞結合アッセイの下に記
載される通りに分析する。
【0483】
フォーマット5、6、7:
hPD−L1−FcへのhPD−1−Fc−ビオチン結合(フォーマット5)のために、
フォーマットは、hPD−1−Fc−ビオチンがhB7.1−Fc−ビオチンの代わりに
結合のために使用されたことを除き、上のアッセイと類似している。TMB基質の反応時
30
間は17分であった。
【0484】
mPD−L1−FcへのmB7.1−Fc−ビオチン結合(フォーマット6)のために
、フォーマットは、mPD−L1−FcがhPD−L1−Fcの代わりにプレートをコー
トするために使用されたこと、および、mB7.1−Fc−ビオチンがhB7.1−Fc
−ビオチンの代わりに結合のために使用されたことを除き、フォーマット5と類似してい
る。TMB基質の反応時間は7分であった。
【0485】
mPD−L1−FcへのmPD−1−Fc−ビオチン結合(フォーマット7)のために
、フォーマットは、mPD−1−Fc−ビオチンが結合のためにmB7.1−Fc−ビオ
40
チンの代わりに使用されたことを除き、上記のマウスELISAと類似している。TMB
基質の反応時間は5分であった。
【0486】
結果:
指定された結合対の間での相互作用を遮断するための親和性成熟ファージ抗PD−L1
抗体YW243.55.S70のIC50の評価を、表4に報告する。YW243.55
S70は、hB7.1 FcへのヒトPD−L1の結合を遮断することができた(半最高
阻害濃度は38pMであり、PD−L1/PD−1相互作用を遮断するためのそのIC50
値(42pM)と比較的同程度の濃度である)。PD−L1とPD−1およびB7.1の両
方との相互作用を遮断するためのYW243.55S70の能力を測定するBiacore試験
50
(117)
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は、これらのELISAでの結果と一致した(データ示さず)。
【0487】
【表7】
10
【0488】
実施例5
抗PD−L1抗体YW243.55.S70 PMEL/B16in vitroアッセ
イによるin vitroでのCD4+およびCD8+T細胞活性の増強
この実施例は、PMEL T細胞受容体トランスジェニックCD8+T細胞の活性化時
での本発明の抗PD−L1抗体の効果を示す(メラノサイトペプチドgp100に応答し
たγ−IFN産生の増強により測定)。この手順において、CD8+T細胞が、CD8+
T細胞がgp100ペプチドに特異的なTCRを発現するPMEL TCRトランスジェ
ニックマウスから得られる。CD8+T細胞の精製に続き、複数回ラウンドの刺激を実施
20
し、活性化CD8+T細胞を生成および増殖し、それは次にPD−1発現をアップレギュ
レーションする。並行して、B16メラノーマ細胞をIFN−γを用いて処置し、それら
のPD−L1発現をアップレギュレーションする。次に、細胞を、抗PD−L1抗体の存
在において同時培養し、IFN−γ産生に対する効果を評価する。B16細胞を三次刺激
のために選んだ。なぜなら、それらは、低レベルのgp100ペプチドを内因性に発現す
るからである(ペプチドの外因性適用と反対)。さらに、これらの細胞が、また、PD−
L2、B7.1、またはB7.2を発現しないため、PD−L1と無関係である追加シグ
ナル伝達(例、PD−1を通じたCD28またはCTLA−4またはPD−L2誘導性シ
グナル伝達を通じたシグナル伝達)の効果が最小限になる。
【0489】
30
PMELアッセイ:
図3に示す通り、抗PD−L1抗体は、IFN−γ産生PMEL CD8+T細胞のパ
ーセンテージおよび指定量のgp100ペプチドに応答して産生されるIFN−γの平均
レベルの両方を増強する。
【0490】
D.011.10in vitroアッセイ:
Ova特異的TCR Tg CD4+T細胞を利用した同様のアッセイでは、PD−1
の発現を誘導するためのOvaペプチドを用いた事前の刺激に続き、抗PD−L1 Ab
の存在における増強されたT細胞増殖が示される(図4)。最終刺激において、PD−L
1を発現する照射A20 B細胞を使用し、DO.11.10 T細胞に対して指定濃度
40
のOvaペプチドを提示した。とりわけ、PD−1/PD−L1軸の寄与が、より低い程
度(生理学的に関連する大きさの刺激をより厳密に反映するレベル)の抗原受容体刺激で
より顕著である。
【0491】
材料および方法:
PMELアッセイ
一次刺激(0∼4日目)
脾臓および腸間膜リンパ節をPMELトランスジェニックT細胞受容体マウスから収集
した。臓器を単一の細胞懸濁液中に粉砕し、赤血球を溶解させた。CD8+T細胞を、C
D8+T細胞単離キットおよびAutoMACSセルセパレーター(Miltenyi Biotec)を使用し
50
(118)
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て、製造業者の指示の通りに単離した。
【0492】
脾臓を非トランスジェニックの性別を一致させたマウスから単離し、単一の細胞懸濁液
中に粉砕し、赤血球を溶解させた。細胞を、0.1μg/mlのgp100ペプチドを用いて
37℃で2時間にわたりパルスし、洗浄した。
【0493】
細胞を、96ウェル平底プレートにおいて、200,000個のPMEL CD8+T
細胞および75,000個のgp100パルス脾細胞と共に4日間にわたり同時培養した
。培養液は、イスコフ改変ダルベッコ培地+10%ウシ胎仔血清+20μM HEPES、
およびGibcoからの以下の添加剤の1:100希釈物:Gluta-MAX、ピルビン酸ナトリウム
10
、ペニシリン/ストレプトマイシン、および非必須アミノ酸であった。
【0494】
二次刺激(4∼7日目)
PMEL培養物をスピンダウンし、培地を、マルチチャネルピペットを使用して吸引し
た。新鮮培地を加え、混合して細胞を洗浄し、別のスピンが続いた。大部分の培地を除去
し、抗体(Herceptin(登録商標)、YW243.55.S70、またはなし)を、最終
濃度10μg/mlで加えた。条件を2通りのウェルにおいて設定し、平均IFN−γ産生を
エンドポイントで評価できるようにした。
【0495】
DC−1細胞を、0.1μg/mlのgp100ペプチドを用いて2時間にわたり37℃で
20
パルスし、洗浄した。Gp100パルスされたDC−1細胞を、40,000個細胞/ウ
ェルで、洗浄されたPMEL培養物に加えた。PMELおよびDC−1+抗体を3日間に
わたり同時培養した。
【0496】
三次刺激(7∼8日目)
6日目の三次刺激の1日前に、B16メラノーマ細胞を、20ng/mlのマウスIFN−
γ(R&D Systems)を用いて一晩インキュベートし、それらのPD−L1発現をアップレ
ギュレーションした。
【0497】
7日目、PMEL培養物をスピンダウンし、培地を、マルチチャネルピペットを使用し
30
て吸引した。新鮮培地を加え、混合し、別のスピンが続いた。大部分の培地を除去し、抗
体を最終濃度10μg/mlで加えた。
【0498】
IFN−γを用いた一晩の刺激後、B16細胞を洗浄し、gp100なし、1ng/mlの
gp100(gp100低)、および10ng/mlのgp100(gp100高)のいずれ
かを用いた2時間のインキュベーションのために3群に分けた。細胞を洗浄し、次に、洗
浄されたPMEL+Ab培養物を40,000個細胞/ウェルで加え、一緒に一晩インキ
ュベートした。
【0499】
8日目 IFN−γ細胞内染色
40
Golgi-Plug(BD Biosciences)を、培養の最後の5時間にわたり、製造業者の指示の通
りに加えた。IFN−γ細胞内染色を、BD Biosciences Cytofix/Cytoperm Fixation/Per
meabilization Solutionキットを使用して、製造業者の指示の通りに行い、全ての染色抗
体もBD Biosciencesからであった。細胞を、CD8a PEおよびThy1.1 FIT
Cを用いて表面染色し、飽和濃度のIFN−γ APCを用いて細胞内染色した。
【0500】
全てのサンプルをBeckman Dickinson FACSCaliburで実行し、データを、Tree Star, In
c. FLOWJO(商標)ソフトウェアを使用して分析した。
【0501】
D011.10in vitroアッセイ
50
(119)
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DO11.10トランスジェニックマウスからの脾臓および腸間膜リンパ節を収集し、
単一の細胞懸濁液中に粉砕し、赤血球を溶解させた。細胞を、72時間にわたり、6ウェ
ルプレートにおいて密度1×106個細胞/mlで、Ovaペプチド(0.3μM)を用い
て培養した。培養液は、RPMI 1640+10%ウシ胎仔血清+20μM HEPES
、およびGibcoからの以下の添加剤の1:100希釈物:Gluta-MAX、ピルビン酸ナトリウ
ム、ペニシリン/ストレプトマイシン、および非必須アミノ酸であった。
【0502】
一次刺激後、細胞を収集し、マウスCD4 T細胞精製キットを使用し、製造業者(Mi
ltenyi Biotec)の指示の通りに精製した。精製されたCD4+T細胞を次に一晩静置し
た。
10
【0503】
次の日、細胞を収集し、洗浄し、照射された(10,000ラッド)A20細胞と同時
培養した。同時培養を、96ウェルU底プレートにおいて3通りのウェルに設定し、40
,000個のA20細胞に対して50,000個のCD4+T細胞を伴い、滴定されたO
vaペプチドおよび抗体は最終濃度20μg/mlであった。48時間後、培養物を一晩、1
μCi/ウェルの3Hチミジンを用いてパルスし、次の日に凍結させた。プレートを後に解
凍し、セルハーベスターで収集し、ベータ−カウンターで読んだ。
【0504】
実施例6
抗PD−L1による混合リンパ球反応におけるヒトCD8+T細胞の増強された増殖
20
図5は、MHC不適合ドナーからの細胞に応答した、ヒトCD8 T細胞の増殖を増強
する抗PD−L1(例、YW243.55.S1)の能力を実証する。応答性CD8+T
細胞を、ドナーAの全血から、最初にCD8+T細胞RosetteSep(登録商標)(StemCell
Technologies)を製造業者の指示の通りに使用して濃縮した。細胞を次に等容積のリン
酸緩衝食塩水(PBS)により希釈し、Ficoll-Paque Plus(GE Healthcare)に重層する
ことにより勾配遠心分離により分離した。分離後、細胞を、CD8 APC(BD Bioscie
nces)を用いて染色し、78%のCD8+T細胞であることが見出された。細胞を、2.
5μMのCFSEトレーサー染料(Molecular Probes)を用いて蛍光標識した。
【0505】
同種抗原提示細胞(APC)としての役割を果たすために、単核球をドナーBからの全
30
血から最初に単離し、次にCD3+T細胞を枯渇させた。血液を等容積のPBSを用いて
希釈し、単核球をFicoll上での勾配遠心法後に単離した。細胞を、CD3 FITC(BD B
iosciences)を用いて染色し、洗浄し、次に抗FITCマイクロビーズ(Miltenyi Biote
c)を用いてインキュベートした。CD3 FITCポジティブ細胞を次にAutoMACSセル
セパレーター(Miltenyi Biotec)で枯渇させた。細胞を次にセシウム照射器において2
500ラドで照射した。
【0506】
細胞を、96ウェル平底プレートにおいて150,000個のCD8+T細胞および1
50,000個のAPCと共に5日間にわたり抗体(10μg/ml)を用いて同時培養した
。培養液は、RPMI 1640+10%ウシ胎仔血清+20μM HEPES、およびGi
40
bcoからの以下の添加剤の1:100希釈物:Gluta-MAX、ピルビン酸ナトリウム、ペニシ
リン/ストレプトマイシン、および非必須アミノ酸であった。
【0507】
5日目に、細胞を収集し、洗浄し、CD8ビオチン、続いてストレプトアビジン−Pe
rCp(BD Biosciences)を用いて染色した。サンプルをBeckman Dickinson FACSCalibu
rで実行し、データを、Tree Star, Inc. FlowJoソフトウェアを使用して分析した
【0508】
MHC不適合ドナーからの細胞に応答したCD8 T細胞の増殖における約45%増強
が、抗PD−L1の存在において観察された。
【0509】
50
(120)
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実施例7
LCMVin vivoモデルに対するPD−L1遮断の効果
慢性刺激の条件下のT細胞は、阻害的受容体PD−1の発現をアップレギュレーション
し、維持することが示されている。その2つのリガンドPD−L1およびPD−L2のい
ずれかによるPD−1の連結は、慢性的に活性化されたT細胞の抵抗状態に寄与し、その
同種抗原に対するその応答を減弱する。リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)に持
続感染したマウスにおいて、PD−1またはそのリガンドPD−L1の遮断は、慢性的に
抵抗性であるT細胞を再活性化するために十分であり、抗ウイルスT細胞応答の大きさお
よび機能的な質を増強する。同様に、HIVまたはHCVに慢性的に感染されたヒトは、
その活性がPD−1またはPD−L1の遮断によりin vitroで増強されうる刺激
10
に対して抵抗性であるT細胞を示す。従って、LCMVモデルにおけるPD−L1遮断の
活性は、抗ウイルスおよび抗腫瘍免疫を増強するための治療的な潜在能力を示唆する。
【0510】
マウスにおけるLCMVin vivo実験のために、本発明者らは、マウスIgG2
a重鎖およびマウスカッパ軽鎖定常ドメインの上流にファージ由来の重鎖および軽鎖可変
領域配列をクローン化することにより、ヒト化抗PD−L1抗体(YW243.55S7
0)を再フォーマットしている。PD−L1発現細胞の抗体媒介性の細胞傷害を、Fcγ
受容体結合を阻害することにより妨げるために、位置265(アスパラギン酸)および2
97(アスパラギン)をアラニンに変化させた(DANA)。Shields, RL et al J. Bio
l Chem 2001 276 (9): 6591-6604。慢性感染において抗ウイルス免疫を増強するための抗
20
6
PD−L1抗体の能力をテストするために、マウスを、0日目に、2×10
プラーク形
成単位(pfu)のクローン13 LCMVまたはLCMVのアームストロング株(参照
コントロールとして)を用いて感染させた。実験計画の模式図が図6に見られる。クロー
ン13を用いた感染は慢性感染をもたらし、増殖するが、しかし、ウイルスを効率的に除
去することができないT細胞により特徴付けられ、アームストロングLCMVは感染の8
∼10日以内に除去される。14日目、マウスで、抗PD−L1またはコントロールmI
gG(10mg/kg用量3×/週で送達)のいずれかを用いた処置を開始した。21および
28日目に、血液および組織におけるCD8 T細胞機能およびウイルス力価の分析を実
施した。
【0511】
30
Barber et. al, Nature 439: 682-7 (2006)の公開データと一致して、この実施例は、
慢性LCMV感染における2週間の処置計画に続く、LCMVに対する細胞傷害性リンパ
球応答を増強するための抗PD−L1 Abの能力を示す。図7Aは、gp33 LCM
V特異的ペプチドに応答してその細胞表面上にCD107aを発現するCD8 T細胞の
%を示す。CD107a(通常細胞内で発現される)の原形質膜発現は、脱果粒プロセス
を伴い、従って脱果粒のためのサロゲートマーカーとしての役割を果たす。急性アームス
トロングLCMV感染からの細胞の応答に比べて、慢性株(クローン13)を用いて感染
させた動物からの細胞は脱顆粒が損なわれており(コントロールIg群)、PD−L1遮
断が、アームストロング感染において観察されるものと同程度のレベルまでCD8+脱顆
粒を回復させることができた。同様に、7Bは、コントロールIgと比べて、抗PD−L
40
1処置群におけるLCMV gp33に応答したIFN−γ産生CD8 T細胞の増加%
を実証する。
【0512】
次に、血液および組織中のLCMVウイルスを低下または根絶させることに対する抗P
D−L1 Abの影響をテストした。図8Aにおいて、グラフは、クローン13 LCM
Vを用いた感染後21および28日目での、コントロールIgおよびPD−L1処置され
た動物の示された組織における対数ウイルス力価を示す。抗体処置を感染後14日目に開
始した。PD−L1の遮断は、血液、肝臓、脳、肺、および腎臓中のウイルス力価におけ
る高度に有意な低下をもたらした。印象的なことに、マウス5匹中3匹において、α−P
D−L1 Abが血中LCMV力価を検出未満のレベルまで低下させた(<1×10−5
50
(121)
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)。同等の計画での続く実験において、血液および肝臓におけるウイルス根絶が、10mg
/kgまたは2mg/kg 3×/週のいずれかの用量で、抗PD−L1を用いて2週間にわたり
処置された5匹中5匹のマウスにおいて観察された(データ示さず)。下のグラフでは、
血液中でのウイルス力価の低下の動態を示し、コントロールと比べた、28日目での抗P
D−L1処置群における平均低下96.8%が実証される。これらのデータは、慢性感染
におけるT細胞応答の阻害におけるPD−1/PD−L1経路の重要性を支持し、慢性感
染(例えばC型感染およびHIVなど)を伴うヒトから得られたT細胞に対するin v
itroでのPD−L1遮断の効果と一致する。
【0513】
材料および方法:
10
LCMV gp33ペプチドに応答したCD8 T細胞による%IFNガンマ産生の決定
脾臓を感染マウスから単離し、単一の細胞懸濁液を、完全培地:IMDM(Invitrogen
Inc., Carlsbad, CA)(10%熱不活化ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、100U/
mlペニシリン/ストレプトマイシン、および10mM 2−メルカプトエタノールを含む)
中で臓器を破砕することにより生成した。赤血球を、ACK溶解緩衝液(0.15M N
H4Cl、10mM KHCO3、0.1mM EDTA)を使用して溶解した。抗原特異的
CD8 T細胞応答を測定するために、脾細胞を完全培地中で洗浄し、LCMVペプチド
GP33(KAVYNFATC, ProImmune Inc., Bradenton, FL)を用いて4時間にわたりin vitroで再刺激した。1×106個の脾細胞を96ウェル平底プレート中で100ng
/mlのGP33ペプチドを用いて100単位/mlのヒトインターロイキン2(Sigma-Aldric
20
h, St. Louis, MO)、1μL/mlのブレフェルジンA、および1μL/ml(1:1000希釈
)のモネンシン(BD pharmingen)および抗CD107a FITC(クローンID4B
, BD Biosciences, San Jose, CA)の存在において培養した。インキュベーション後、
細胞を、2%ウシ胎児血清を含むPBS中で1回洗浄し、細胞表面マーカーを、蛍光色素
抱合抗体を使用して染色した:抗CD8 APC(クローン53.67、BD Biosciences
, San Jose, CA)、抗CD4 PerCp−Cy5.5(クローンRM4−5,BD Biosc
iences, San Jose, CA)、および抗PD−1 PE(クローンJ43、BD Biosciences,
San Jose, CA)。細胞内IFN−γについての染色を、Cytofix Cytoperm Plusキット(B
D Biosciences, San Jose, CA)を使用し、製造業者の指示に従い、抗IFN−γ PE
−Cy7(クローンXMG1.2,eBioscience Inc. San Diego, CA)を使用して行った
30
。GP33特異的CD8 T細胞の数を検出し、新鮮脾細胞をGP33五量体(APCに
連結されたH2−Db,ProImmune Inc., Bradenton, FL)を用いて、製造業者の指示に
従って染色した。データを、BD FACSAria(BD Biosciences, San Jose, CA)を使用して
収集し、FlowJo Software(Tree Star Inc. Ashland OR)を用いて分析した。
【0514】
LCMVウイルス力価の決定:
MC57線維肉腫細胞を、完全IMDM中のLCMV含有血液または組織ホモジネート
の10倍連続希釈物を用いて感染させる。反応物を、次に、組織培養インキュベーターに
おいて37℃で2∼6時間にわたりインキュベートし、次に1%メチルセルロースを含む
DMEMを用いて重層する。これには3∼5日間にわたるインキュベーションが続き、次
40
に、メチルセルロース層を吸引により除去する。細胞をPBS/4%パラホルムアルデヒ
ドを用いて固定し、次に0.5% Triton-xを用いて20分間にわたり透過性化し、PB
S中で洗浄し、次に10% FCS中で1時間にわたり軽く揺らしながらブロックする。
LCMVについての染色を、VL4抗体を用いて行い(1時間)、2回洗浄し、次にブロ
ッキング緩衝液中の抗ラットHRP(1:400)を用いて現像する。これには3回の洗
浄が続き、次にo−フェニレンジアミン基質(SIGMA P8806-50TAB 3mg/錠)をウェルに
加えて現像する。
【0515】
実施例8
癌におけるPD−L1遮断
50
(122)
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現在、多くの腫瘍が、PD−1リガンドの発現を、抗腫瘍T細胞応答を減弱させるため
の手段として利用することが明らかである。いくつかのヒトの癌が、腫瘍および腫瘍浸潤
白血球の両方で上昇レベルのPD−L1を発現すると特徴付けられており、この上昇した
PD−L1発現は、しばしば、より悪い予後と関連する。マウス腫瘍モデルでは、腫瘍内
のPD−L1発現における類似の増加が実証され、腫瘍免疫を阻害する際でのPD−1/
PD−L1経路についての役割が実証される。
【0516】
本明細書において、本発明者らは、同系C57B6マウスにおけるMC38.Ovaマ
ウス結腸直腸癌細胞の同所性腫瘍増殖に対するPD−L1遮断の影響を実証する実験を提
示する(図9A)。これらの細胞は、レトロウイルス形質導入を介してオボアルブミンを
10
発現し、フローサイトメトリーにより評価された通り、それらの細胞表面でPD−L1(
PD−L2ではない)を発現する(ヒストグラム−図10A)。マウスを、0日目に、0
.5百万個のMC38.Ova細胞を用いて皮下接種した。1日目または14日目に、マ
ウス(腫瘍が平均サイズ250mm3に達していた場合)10匹のマウス/群を、10mg/kg
抗PD−L1(YW243.55S70マウスIgG2a−DANA)、コントロールI
g、または遮断抗CTLA4 Ab(UC10−4F10−11)3×/週を用いて、試
験の期間中に処置した。PD−L1の遮断(初期または後期のいずれかの介入)は、腫瘍
増殖を予防する際の単剤治療として高度に効果的である。対照的に、CTLA4(T細胞
で発現される別の阻害分子)の遮断は、腫瘍増殖を阻害する証拠を示さなかった。これら
の結果は、抗腫瘍免疫応答の抑制におけるCTLA4/B7を上回るPD−1/PD−L
20
1軸の固有の役割を実証し、PD−1およびB7.1とのPD−L1の相互作用を遮断す
る抗体を用いたヒト癌の処置のための潜在能力を支持する。
【0517】
MC38.Ova同系腫瘍モデル:方法。0日目に、70匹の動物に、100マイクロ
リットルのHBSS+matrigel中の0.5百万個のMC38.Ova細胞を用い
て皮下接種した。1日目に開始し、20匹のマウスを2処置群(以下を参照のこと:グル
ープ1またはグループ2)の1つに補充した。残りの40匹のマウスで、14日目まで腫
瘍を増殖させた。これらの40匹の内、同様のサイズの腫瘍を伴う30匹のマウスを、3
処置群(グループ3∼5)の1つに補充した。腫瘍を測定し、マウスを2×/週で体重測
定した。異なる腫瘍容積のために以下の処置群に補充されなかったマウスは、安楽死させ
30
た:
【0518】
グループ1:抗gp120抗体、10mg/kg IP、100μL、1日目、3×/週
グループ2:抗PD−L1抗体、10mg/kg IP、100μL、1日目、3×/週
グループ3:抗gp120抗体、10mg/kg IP、100μL、14日目、3×/週
グループ4:抗PD−L1抗体、10mg/kg IP、100μL、14日目、3×/週
グループ5:抗CTLA−4抗体、10mg/kg IP、100μL、14日目、3×/週
***グループ1および2は1日目に;グループ3、4、および5は14日目に投与を開
始した。
【0519】
40
実施例9
抗腫瘍効果を提供するための他の薬剤との抗PD−L1の組み合わせまたは免疫増強治療
−MC38.Ovaモデル
0日目に、150匹の動物に、100マイクロリットルのHBSS+matrigel
中の0.5百万個のMC38.Ova細胞を用いて皮下接種した。マウスで腫瘍を増殖さ
せる。マウスを体重測定し、11日目まで2×/週で測定した(腫瘍容積が100∼20
0mm3である場合)。11日目に、腫瘍測定に続き、マウスを以下の12処置群の1つに
補充する。異なる腫瘍容積のために以下の処置群に補充されなかったマウスは、安楽死さ
せる。ゲムシタビン(グループ4)処置は12日目に開始され、残りの抗体群のための処
置は14日目に開始される。全容積は不活性賦形剤中で100μLであり、追加の詳細が
50
(123)
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以下に報告される:
【0520】
グループ1:抗gp120抗体、10mg/kg IP、100μL、3×/週×5、n=10
グループ2:抗PD−L1抗体、10mg/kg IP、100μL、3×/週×5、n=10
グループ3:抗VEGF抗体、5mg/kg IP、100μL、2×/週×5、n=10
グループ4:ゲムシタビン、40mg/kg IP、100μL、12、16、20日目、n=
10
グループ5:抗PD−L1抗体 + 抗gp120抗体、n=10
グループ6:抗PD−L1抗体 + 抗VEGF抗体、n=10
グループ7:抗PD−L1抗体 + ゲムシタビン、n=10
10
グループ8:抗gp120抗体 + ゲムシタビン、n=10
グループ9:抗gp120抗体 + 抗VEGF、n=10
【0521】
12日目:グループ1からのマウスを、CBC分析のために、麻酔下で眼窩後から出血
させた(100マイクロリットル)。
14日目および22日目:グループ4からのマウスを、CBC分析のために、麻酔下で
眼窩後から出血させた(100マイクロリットル)。
19日目:全てのマウス(グループ4を除く)を、CBC分析のために、麻酔下で眼窩
後から出血させた(100マイクロリットル)。
26日目:全てのマウス(グループ4を除く)を、PK分析のために、麻酔下で眼窩後
20
から出血させた(100マイクロリットル)。
【0522】
腫瘍を測定し、マウスを2×/週で体重測定した。体重減少(>15%)を示す動物で
は、毎日体重測定し、それらが>20%の体重を失った場合に安楽死させる。マウスを、
腫瘍容積が3,000mm3を超えた場合、または、腫瘍が形成しない場合には3ヶ月後に
安楽死させる。この試験は(図10)、PD−L1遮断が、α−VEGFおよびゲムシタ
ビン単独の誘導計画よりも効果的であったことを示す。
【0523】
実施例10
哺乳動物細胞における抗PD−L1抗体の発現
30
この実施例は、哺乳動物細胞における組換え発現による、潜在的なグリコシル化形態の
抗PD−L1抗体の調製を例示する。
【0524】
ベクターpRK5(EP 307,247を参照のこと。1989年3月15日公開)
を発現ベクターとして用いる。場合により、抗体の軽鎖および/または重鎖をコードする
DNAを、選択された制限酵素を用いてpRK5中に連結し、連結方法(例えばSambrook
et al., supraに記載される通りに)を使用して、そのようなDNAの挿入を可能にする
。
【0525】
一実施態様において、選択された宿主細胞は293細胞でありうる。ヒト293細胞(
40
ATCC CCL 1573)を、組織培養プレートにおいて、培地(ウシ胎児血清およ
び場合により栄養成分および/または抗生物質を添加したDMEMなど)中でコンフルエ
ンスまで増殖する。pRK5抗体をコードする約10μgのDNAを、VA RNA遺伝
子[Thimmappaya et al., Cell, 31: 543 (1982)]をコードする約1μgのDNAと混合
し、500μLの1mM Tris−HCl、0.1mM EDTA、0.227M CaCl
2中に溶解する。この混合物に、500μLの50mM HEPES(pH7.35)、2
80mM NaCl、1.5mM NaPO4の液滴を加え、沈殿を10分間にわたり25℃
で形成させる。沈殿を懸濁させ、293細胞に加え、約4時間にわたり37℃で沈ませる
。培養液を吸引除去し、PBS中の2mlの20%グリセロールを30秒にわたり加える。
293細胞を次に無血清培地を用いて洗浄し、新鮮培地を加え、細胞を約5日間にわたり
50
(124)
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インキュベートする。
【0526】
トランスフェクションから約24時間後、培養液を除去し、培養液(単独)または20
0μCi/mlの35Sシステインおよび200μCi/ml 35Sメチオニンを含む培養液を用
いて交換する。12時間のインキュベーション後、条件培地を回収し、スピンフィルター
で濃縮し、15%SDSゲル上に添加する。処理されたゲルを乾燥させ、選択された期間
にわたりフィルムに暴露させ、抗体の存在を明らかにしてもよい。トランスフェクション
された細胞を含む培養物は、さらなるインキュベーションを受け(無血清培地中)、培地
を選択されたバイオアッセイにおいてテストする。
10
【0527】
代替技術において、抗体を、Somparyrac et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 12: 7575
(1981)に記載される硫酸デキストラン方法を使用して一過性に293細胞に導入してもよ
い。293細胞を最高密度までスピナーフラスコ中で増殖させ、pRK5抗体をコードす
る700μgのDNAを加える。細胞を最初にスピナーフラスコから遠心により濃縮し、
PBSを用いて洗浄する。DNAデキストラン沈殿物を細胞ペレットで4時間にわたりイ
ンキュベートする。細胞を、20%グリセロールを用いて90秒間にわたり処理し、組織
培養培地を用いて洗浄し、スピナーフラスコ(組織培養培地、5μg/mlウシ血清、および
0.1μg/mlウシトランスフェリンを含む)中に再導入する。約4日後、条件培地を遠心
し、ろ過して細胞および細片を除去する。発現された抗体を含むサンプルを、次に、任意
の選択された方法(例えば透析および/またはカラムクロマトグラフィーなど)により濃
20
縮し、精製することができる。
【0528】
別の実施態様において、抗体をCHO細胞中で発現させることができる。pRK5中に
連結された抗体をコードするDNAを、公知の試薬(例えばCaPO4またはDEAEデ
キストランなど)を使用してCHO細胞中にトランスフェクションすることができる。上
に記載する通り、細胞培養物をインキュベートすることができ、培地を培養液(単独)ま
たは放射標識(例えば35Sメチオニンなど)を含む培地を用いて交換することができる
。抗体の存在を決定後、培養液を、無血清培地を用いて交換してもよい。好ましくは、培
養物を約6時間にわたりインキュベートし、次に条件培地を収集する。発現された抗体を
30
含む培地を次に濃縮し、任意の選択された方法により精製する。
【0529】
抗体のエピトープタグ付きバリアントは、また、宿主CHO細胞において発現させても
よい。pRK5中に連結された抗体をコードするDNAは、pRK5ベクターからサブク
ローン化してもよい。サブクローンインサートはPCRを受け、インフレームで選択され
たエピトープタグ(例えばポリhisタグなど)と共にバキュロウイルス発現ベクター中
に融合させることができる。抗体インサートをコードするポリhisタグ付きDNAを、
次に、安定クローンの選択のための選択マーカー(例えばDHFRなど)を含むSV40
駆動ベクター中にサブクローン化することができる。最後に、CHO細胞を、SV40駆
動ベクターを用いて(上に記載する通り)トランスフェクションすることができる。標識
を上に記載する通りに実施し、発現を検証してもよい。ポリHisタグ付き抗体を含む培
40
2+
養液を、次に、濃縮し、任意の選択された方法(例えば Ni
キレート親和性クロマ
トグラフィーなど)により精製することができる。
【0530】
抗体を、また、CHOおよび/またはCOS細胞において一過性発現手順により、ある
いはCHO細胞において別の安定的な発現手順により発現させてもよい。
【0531】
CHO細胞における安定発現を、以下の手順を使用して実施する。タンパク質をIgG
構築物(イムノアドヘシン)として発現させ、それにおいてそれぞれのタンパク質の可溶
性形態(例、細胞外ドメイン)のためのコード配列をIgG1定常領域配列(ヒンジ、C
H2、およびCH2ドメインを含む)に融合させる、および/または、ポリHisタグ付
50
(125)
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き形態である。
【0532】
PCR増幅に続き、それぞれのDNAを、標準技術を使用し、Ausubel et al., Curren
t Protocols of Molecular Biology, Unit 3.16, John Wiley and Sons(1997)に記載され
る通りにCHO発現ベクター中にサブクローン化する。CHO発現ベクターを、目的のD
NAの適合する制限部位5’および3’を有し、cDNAの便利なシャトリングを可能に
するように構築する。CHO細胞におけるベクターを使用した発現が、Lucas et al., Nu
cl. Acids Res. 24: 9 (1774-1779 (1996)において記載されており、SV40初期プロモ
ーター/エンハンサーを使用し、目的のcDNAおよびジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR
)の発現を駆動する。DHFR発現によって、トランスフェクションに続くプラスミドの
10
安定的な維持のための選択が許される。
【0533】
12マイクログラムの所望のプラスミドDNAを、約1000万個のCHO細胞中に、
商業的に利用可能なトランスフェクション試薬SUPERFECT(登録商標)(Quiagen)、DOSP
ER(登録商標)またはFUGENE(登録商標)(Boehringer Mannheim)を使用して導入する
。細胞を、Lucas et al., supraに記載される通りに増殖する。約3×10−7個の細胞
を、以下に記載する通りに、さらなる増殖および生産のためにアンプル中に凍結させる。
【0534】
プラスミドDNAを含むアンプルを、水槽中に置くことにより解凍し、ボルテックスに
より混合する。内容物を遠心チューブ(10mLの培地を含む)中にピペットで加え、10
20
00rpmで5分間にわたり遠心する。上清を吸引し、細胞を10mLの選択培地(5% 0.
2μm Diafilter処理済みウシ胎児血清を伴う0.2μmろ過済みPS20)中
に再懸濁する。細胞を、次に、100mLスピナー(90mLの選択培地を含む)中に分注す
る。1∼2日後、細胞を250mLスピナー(150mLの選択増殖培地で満たされている)
中に移し、37℃でインキュベートする。別の2∼3日後、250mL、500mL、および
2000mLスピナーに3×105個細胞/mLを播種する。細胞培地を、遠心および産生培
地中での再懸濁により新鮮培地と交換する。任意の適したCHO培地を用いてもよいが、
米国特許第5,122,469号(1992年6月16日公開)に記載される産生培地を
実際に使用してもよい。3L産生スピナーに1.2×106個細胞/mLで播種する。0日
目に、細胞数およびpHを決定する。1日目に、スピナーをサンプリングし、ろ過空気を
30
用いた散布を始める。2日目に、スピナーをサンプリングし、温度を33℃にシフトさせ
、30mLの500g/Lグルコースおよび0.6mLの10%消泡剤(例、35%ポリジメチル
シロキサンエマルジョン、Dow Corning 365 Medical Grade Emulsion)を採取する。産生
を通じて、pHを必要に応じて調整し、約7.2に保つ。10日後、または生存が70%
未満に下落するまで、細胞培養物を遠心および0.22μmフィルターを通じたろ過によ
り収集する。ろ液を4℃で保存するか、または、直ぐに精製用のカラムに添加する。
【0535】
ポリHisタグ付き構築物のために、タンパク質をNi−NTAカラム(Qiagen)を使
用して精製する。精製前に、イミダゾールを条件培地に濃度5mMで加える。条件培地を、
4℃で20mM Hepes、pH7.4緩衝液(0.3M NaClおよび5mMイミダゾ
40
ールを含む)中で平衡化された6mlのNi−NTAカラム上に流速4∼5ml/分でポンプ
注入する。添加後、カラムを追加の平衡緩衝液を用いて洗浄し、タンパク質を、平衡緩衝
液(0.25Mイミダゾールを含む)を用いて溶出する。高度に精製されたタンパク質を
、続いて、保存緩衝液(10mM Hepes、0.14M NaCl、および4%マンニト
ール、pH6.8を含む)中で、25ml G25 Superfine(Pharmacia)カラムを用いて脱
塩し、−80℃で保存する。
【0536】
イムノアドヘシン(Fc含有)構築物を、以下の通りに、条件培地から精製する。条件
培地を、20mM Naリン酸緩衝液、pH6.8中で平衡化された5ml Protein Aカラ
ム(Pharmacia)上にポンプ注入する。添加後、カラムを、100mMクエン酸、pH3.
50
(126)
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5を用いた溶出前に、平衡緩衝液を用いて十分に洗浄する。溶出されたタンパク質を、1
ml分画をチューブ(275μLの1M Tris緩衝液、pH9を含む)中に回収すること
により直ぐに中和する。高度に精製されたタンパク質を、続いて、ポリHisタグ付きタ
ンパク質について上に記載する通りに保存緩衝液中で脱塩する。均一性を、SDSポリア
クリルアミドゲルによりおよびエドマン分解によるN末端アミノ酸配列決定により評価す
る。
【0537】
実施例11
E.coliにおける抗PD−L1抗体の発現
この実施例は、E.coliにおける組換え発現による非グリコシル化形態の抗PD−
10
L1抗体の調製を例示する。
【0538】
抗PD−L1抗体をコードするDNA配列は、最初に、選択されたPCRプライマーを
使用して増幅される。プライマーは、選択された発現ベクター上の制限酵素部位に対応す
る制限酵素部位を含むべきである。種々の発現ベクターを用いてもよい。適したベクター
の例はpBR322(E.coliに由来する;Bolivar et al., Gene, 2: 95 (1977)を
参照のこと)であり、それはアンピシリンおよびテトラサイクリン耐性のための遺伝子を
含む。ベクターを、制限酵素を用いて消化し、脱リン酸化する。PCR増幅された配列を
、次に、ベクター中に連結する。ベクターは、好ましくは、抗生物質耐性遺伝子、trp
プロモーター、ポリhisリーダー(最初の6つのSTIIコドン、ポリhis配列、お
20
よびエンテロキナーゼ切断部位を含む)、NPORコード領域、ラムダ転写ターミネータ
ー、およびargU遺伝子をコードする配列を含む。
【0539】
ライゲーション混合物を次に使用し、選択されたE.coli株をSambrook et al., s
upraに記載される方法を使用して形質転換する。形質転換体を、LBプレート上で増殖す
るためのその能力により同定し、抗生物質耐性コロニーを次に選択する。プラスミドDN
Aを単離し、制限分析およびDNA配列決定により確認することができる。
【0540】
選択されたクローンを液体培養培地(例えば抗生物質を添加したLBブロスなど)中で
一晩増殖させることができる。一晩培養物を続いて使用し、大規模培養物に接種してもよ
30
い。細胞を次に所望の光学密度まで増殖させ、その間に発現プロモーターがオンになる。
【0541】
数時間にわたる細胞培養後、細胞を遠心により収集することができる。遠心により得ら
れた細胞ペレットを、当技術分野において公知の種々の薬剤を使用して可溶化することが
でき、可溶化された抗体を次に、抗体の強固な結合を可能にする条件下で金属キレートカ
ラムを使用して精製することができる。
【0542】
抗PD−L1抗体を、また、E.coliにおいて、ポリHisタグ付き形態で、以下
の手順を使用して発現させてもよい。抗体をコードするDNAを、最初に、選択されたP
CRプライマーを使用して増幅させる。プライマーは、選択された発現ベクター上の制限
40
酵素部位に対応する制限酵素部位、ならびに効率的で信頼できる翻訳開始、金属キレート
カラムでの迅速な精製、およびエンテロキナーゼを用いたタンパク質分解除去を提供する
他の有用な配列を含む。PCR増幅されたポリHisタグ付き配列を、次に、発現ベクタ
ー中に連結し、それを使用して52株(W3110 fuhA(tonA) lon galE rpoHts(htpRts) clp
P(lacIq))に基づくE.coli宿主を形質転換する。形質転換体を、最初に、LB(5
0mg/mlカルベニシリンを含む)中で、30℃で撹拌しながらO.D.600が3∼5に
達するまで増殖させる。培養物を、次に、CRAP培地(3.57gの(NH4)2SO
4、0.71gクエン酸ナトリウム2H2O、1.07gのKCl、5.36gのDifc
o酵母抽出物、5.36gのSheffield hycase SF(500mLの水中)、ならびに110mM
MPOS, pH7.3、0.55%(w/v)グルコース、および7mM MgSO4
50
(127)
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を混合することにより調製する)中で50∼100倍希釈し、約20∼30時間にわたり
30℃で撹拌しながら増殖する。サンプルを除去し、SDS−PAGE分析により発現を
検証し、バルク培養物を遠心し、細胞をペレットにする。細胞ペレットを、精製および再
折り畳みまで凍結する。
【0543】
0.5∼1L発酵物(6∼10gペレット)からのE.coliペーストを10容積(w
/v)の7Mグアニジン、20mM Tris、pH8緩衝液中に再懸濁する。固形の亜硫
酸ナトリウムおよびテトラチオン酸ナトリウムを加え、それぞれ最終濃度0.1Mおよび
0.02Mにし、溶液を一晩4℃で撹拌する。この工程は、全てのシステイン残基がスル
フィトライゼーション(sulfitolization)によりブロックされた変性タンパク質をもた
10
らす。溶液を40,000rpmで、Beckman Ultracentifugeにおいて30分間にわたり遠
心する。上清を3∼5容積の金属キレートカラム緩衝液(6Mグアニジン、20mMトリス
、pH7.4)を用いて希釈し、0.22ミクロンフィルターに通してろ過し、浄化する
。条件に依存し、浄化された抽出物を、金属キレートカラム緩衝液中で平衡化された、5
mlのQiagen Ni NTA金属キレートカラムに添加する。カラムを、50mMイミダゾールを含
む追加の緩衝液(Calbiochem, Utrol grade)pH7.4を用いて洗浄する。タンパク質
を、250mMのイミダゾールを含む緩衝液を用いて溶出する。所望のタンパク質を含む画
分をプールし、4℃で保存した。タンパク質濃度を、そのアミノ酸配列に基づいて算出さ
れた吸光係数を使用して、280nmでのその吸光度により推定する。
【0544】
20
タンパク質を、以下からなる新たに調製された再折り畳み緩衝液に緩徐にサンプルを希
釈することにより再折り畳みさせる:20mM Tris、pH8.6、0.3M NaC
l、2.5M尿素、5mMシステイン、20mMグリシン、および1mM EDTA。再折り畳
み容積は、最終的なタンパク質濃度が50∼100マイクログラム/mlとなるように選ぶ
。再折り畳み溶液を、4℃で12∼36時間にわたり穏やかに撹拌する。再折り畳み反応
は、TFAを最終濃度0.4%(pHが約3)まで加えることにより停止させた。タンパ
ク質のさらなる精製前に、溶液を0.22ミクロンフィルターに通してろ過し、アセトニ
トリルを2∼10%の最終濃度まで加える。再折り畳みタンパク質を、Poros R1/H逆相カ
ラムで、0.1%TFAの移動緩衝液を使用し、10∼80%のアセトニトリル勾配を用い
た溶出を伴い、クロマトグラフィーにかけた。A280吸光度を伴う画分の一定分量をS
30
DSポリアクリルアミドゲルで分析し、均一な再折り畳みタンパク質を含む画分をプール
する。一般的に、大半のタンパク質の適切に再折り畳みされた種が、最も低いアセトニト
リル濃度で溶出される。なぜなら、それらの種は最もコンパクトであり、その疎水性内部
が逆相樹脂との相互作用から遮蔽されているからである。凝集した種は、通常、より高い
アセトニトリル濃度で溶出される。所望の形態からの誤って折り畳まれた形態のタンパク
質の分離に加えて、逆相工程はサンプルからエンドトキシンも除去する。
【0545】
所望の折り畳まれた抗PD−L1抗体を含む画分をプールし、アセトニトリルを、溶液
に向けられた穏やかな窒素気流を使用して除去する。タンパク質を、20mM Hepes
、pH6.8(0.14M塩化ナトリウム、および4%マンニトールを伴う)中に、透析
によりまたは調整緩衝液で平衡化されたG25 Superfine(Pharmacia)樹脂を使用したゲル
ろ過により製剤化し、ろ過滅菌する。
40
(128)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
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(129)
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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(130)
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
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(131)
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【配列表】
2012511329000001.app
【手続補正書】
【提出日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
【図1】図1は、細胞表面分子のB7ファミリーによるT細胞の同時刺激を描く図示的な
例示である。
【図2】図2は、PMEL/B16 T細胞刺激アッセイの実験デザインを示す概略図で
ある。
【図3】図3は、メラニン細胞ペプチドgp100に応答したPMEL CD8+T細胞
における増強したIFN−γ産生を通じた抗原特異的T細胞機能に対する抗PD−L1 Abの効果を示す棒グラフである。IFN−γ産生CD8+T細胞のパーセンテージおよ
びIFN−γ産生のそれらのレベルの両方が、抗PD−L1抗体の存在における刺激の間
に増加された。
【図4】図4は、OvaパルスA20 B細胞/mPD−L1 APCを用いた二次刺激
における抗PD−L1 Ab YW243.55.S1によるOva特異的CD4+T細
胞の増殖における増強を通じた抗原特異的T細胞機能に対する抗PD−L1 Abの効果
を示す棒グラフである。
【図5】図5は、混合リンパ球反応における抗PD−L1抗体YW243.55S1によ
るヒトCD8T細胞の増殖における増強を示す一連のFACSプロットである。CFSE
の強度において希釈により測定された増殖性細胞のパーセントも報告されている。
【図6】図6は、抗PD−L1 Ab YW243.55S70のキメラ形態を用いた慢
性LCMVの処置の実験デザインの概略図である。矢印は、2×106pfuクローン13
LCMVを用いた感染後14日目に開始された6用量の抗PD−L1のタイミングを示す
。
【図7A】図7Aおよび7Bは、抗PD−L1 Ab、YW243.55.S70による
慢性LCMV感染のin vivoでの処置に続くex vivoでの細胞における増強
されたCD8エフェクター機能を示すグラフである。YW243.55.S70によるP
D−L1の遮断が、CD8+T細胞の脱果粒を増加させ(表面CD107Aの増加により
測定される)(図7A)、LCMVペプチドgp33に応答して%IFN−ガンマ産生細
胞を増加させた(図7B)。gp33特異的細胞の頻度を、H2−Db gp33ペンタ
マーを用いた染色により明らかにした。
【図7B】図7Aおよび7Bは、抗PD−L1 Ab、YW243.55.S70による
慢性LCMV感染のin vivoでの処置に続くex vivoでの細胞における増強
されたCD8エフェクター機能を示すグラフである。YW243.55.S70によるP
D−L1の遮断が、CD8+T細胞の脱果粒を増加させ(表面CD107Aの増加により
測定される)(図7A)、LCMVペプチドgp33に応答して%IFN−ガンマ産生細
胞を増加させた(図7B)。gp33特異的細胞の頻度を、H2−Db gp33ペンタ
マーを用いた染色により明らかにした。
【図8】図8Aおよび8Bは、抗PD−L1抗体を用いたin vivoでの処置に続く
慢性LCMV感染における血液および組織LCMV力価における低下を示す。図8Aにお
いて、種々の示された組織からのウイルス力価を、それぞれAb処置後の21日目および
28日目、1週間目および2週間目に分析した。図8Bにおいて、血清ウイルス力価を0
、7、14、21、および28日目に分析し、LCMV接種が0日目に生じて、処置が1
4日目に始まる。
(132)
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【図9A】図9Aは、樹立された腫瘍の治療的処置(腫瘍が250mm3である14日目に
開始された処置)に続く抗PD−L1抗体の適用の結果として、MC38.Ova結腸癌
腫瘍増殖における有意な低下を示す。図9Bは、フローサイトメトリーにより測定された
組織培養におけるMC38.Ova細胞に対するPD−L1発現の表面レベルを示すヒス
トグラムである。PD−L2は、MC38.Ova細胞により発現されない。
【図9B】図9Aは、樹立された腫瘍の治療的処置(腫瘍が250mm3である14日目に
開始された処置)に続く抗PD−L1抗体の適用の結果として、MC38.Ova結腸癌
腫瘍増殖における有意な低下を示す。図9Bは、フローサイトメトリーにより測定された
組織培養におけるMC38.Ova細胞に対するPD−L1発現の表面レベルを示すヒス
トグラムである。PD−L2は、MC38.Ova細胞により発現されない。
【図10】図10は、C57BL/6マウスにおけるMC38.Ova腫瘍の増殖に対す
るPD−L1遮断処置単独および抗VEGFまたはゲムシタビンとの組み合わせの効果を
示すグラフである。
【図11A】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD−L
1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を伴う
CDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11A−1】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD
−L1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を
伴うCDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11A−2】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD
−L1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を
伴うCDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11A−3】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD
−L1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を
伴うCDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11A−4】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD
−L1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を
伴うCDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11B】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD−L
1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を伴う
CDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11B−1】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD
−L1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を
伴うCDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11B−2】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD
−L1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を
伴うCDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【図11B−3】図11A−Bは、ファージディスプレイにより同定された11の抗PD
−L1抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖可変領域配列である。陰付きバーは、種々の定義を
伴うCDRを示し、囲みエリアは、HVRの範囲を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
(133)
【図1】
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(134)
【図2】
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(135)
【図3】
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(136)
【図4】
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(137)
【図5】
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(138)
【図6】
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(139)
【図7A】
【図7B】
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(140)
【図8】
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(141)
【図9A】
【図9B】
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(142)
【図10】
【図11A】
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(143)
【図11A−1】
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(144)
【図11A−2】
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【図11A−3】
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(146)
【図11A−4】
【図11B】
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(147)
【図11B−1】
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(148)
【図11B−2】
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【図11B−3】
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【国際調査報告】
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61K 45/00
(2006.01)
A61K 45/00
4H045
A61K 31/7068
(2006.01)
A61K 31/7068 A61K 39/00
(2006.01)
A61K 39/00
Z
A61P 31/12
(2006.01)
A61P 31/12
A61P 31/04
(2006.01)
A61P 31/04
A61P 31/10
(2006.01)
A61P 31/10
A61P 33/02
(2006.01)
A61P 33/02
A61P 35/00
(2006.01)
A61P 35/00
A61P 43/00
(2006.01)
A61P 43/00
121 A61P 43/00
111 10
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),
EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,S
K,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,
BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,I
S,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PE
,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW
20
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.UNIX
(72)発明者 チャン,ジャンヌ
アメリカ合衆国、カリフォルニア 94158、サンフランシスコ、ベリー・ストリート 300
、ユニット 807
(72)発明者 チウ,ヘンリー
アメリカ合衆国、カリフォルニア 94116、サンフランシスコ、20ティーエイチ・アベニュ
ー 2334
30
(72)発明者 レハー,ソフィー・エム
アメリカ合衆国、カリフォルニア 94037、モンタラ、アーヴィング・ストリート 945
(72)発明者 メッカー,ヘザー
アメリカ合衆国、カリフォルニア 94303、パロ・アルト、シー・ロマ・ヴェルデ・アベニュ
ー 733
(72)発明者 マリアタサン,サンジーヴ
アメリカ合衆国、カリフォルニア 94030、ミルブレー、エンシーナ・ドライブ 1291
(72)発明者 ウー,ヤン
アメリカ合衆国、カリフォルニア 94404、フォスター・シティ、ブライス・ストリート 1
40
160
Fターム(参考) 4B024 AA01 BA61 CA01 CA09 CA11 CA20 DA03 DA06 EA04 GA11
HA01 HA11
4B065 AA26X AA90X AA90Y AB01 AC14 BA01 CA24 CA44
4C084 AA19 MA02 NA05 ZB262 ZB322 ZB332 ZB352 ZB382 ZC202 ZC751
4C085 AA03 AA13 CC08 CC22
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ZC20 ZC75
4H045 AA11 BA10 CA40 DA75 EA20 FA74
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