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JP 2010-77134 A 2010.4.8 (57)【要約】 (修正有)

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JP 2010-77134 A 2010.4.8 (57)【要約】 (修正有)
JP 2010-77134 A 2010.4.8
(57)【要約】 (修正有)
【課題】CD40膜糖タンパク質を発現する細胞によって特徴付けられる疾病又は疾患の
治療法を提供する。
【解決手段】CD40膜抗原を発現する細胞の枯渇を引き起こす薬剤とCD20膜抗原を
発現する細胞の枯渇を引き起こす第二の薬剤を併用する、CD40を発現する細胞によっ
て特徴付けられる様々な疾病又は疾患の治療法。又、その薬剤及びその組合せを含有する
医薬組成物及びキット。
【選択図】なし
(2)
JP 2010-77134 A 2010.4.8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物においてCD40を発現する細胞によって特徴付けられる腫瘍性疾病又は疾患
の治療方法であって、治療的有効量のCD40特異的薬剤をCD20特異的薬剤と組み合
わせて哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項2】
腫瘍性疾病又は疾患が造血器悪性腫瘍である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
腫瘍性疾病又は疾患が固形腫瘍である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
10
悪性腫瘍がリンパ腫である請求項2に記載の方法。
【請求項5】
リンパ腫が非ホジキンタイプのリンパ腫である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
悪性腫瘍が骨髄腫である請求項2に記載の方法。
【請求項7】
骨髄腫が多発性骨髄腫である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
悪性腫瘍が白血病である請求項2に記載の方法。
【請求項9】
20
CD40特異的薬剤が抗体である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
抗体がモノクローナル抗体である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
モノクローナル抗体がモノクローナル抗体S2C6の結合特性を有する請求項10に記
載の方法。
【請求項12】
モノクローナル抗体がモノクローナル抗体S2C6とのCD40の結合に対して競合す
る請求項10に記載の方法。
【請求項13】
30
CD20特異的薬剤が抗体である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
CD20特異的薬剤がモノクローナル抗体である請求項13に記載の方法。
【請求項15】
モノクローナル抗体がC2B8である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
CD20特異的薬剤が抗体である請求項9に記載の方法。
【請求項17】
CD20特異的薬剤がモノクローナル抗体である請求項16に記載の方法。
【請求項18】
40
CD20特異的薬剤がC2B8である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
CD40を発現する細胞によって特徴付けられる腫瘍性疾病又は疾患の治療のために、
有効量で(a)CD40特異的薬剤;(b)CD20特異的薬剤及び(c)医薬的に許容
可能な担体を含有する医薬組成物。
【請求項20】
(a)CD40特異的薬剤;(b)CD20特異的薬剤及び場合によっては(c)医薬
的に許容可能な担体を含むキット。
【請求項21】
哺乳動物においてCD40を発現する細胞によって特徴付けられる自己免疫疾病又は疾
50
(3)
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患の治療方法であって、治療的有効量のCD40特異的薬剤をCD20特異的薬剤と組み
合わせて哺乳動物に投与することを含む方法。
【請求項22】
自己免疫疾患がリウマチ様関節炎である請求項21に記載の方法。
【請求項23】
自己免疫疾患が全身性エリテマトーデスである請求項21に記載の方法。
【請求項24】
CD40特異的薬剤が抗体である請求項21に記載の方法。
【請求項25】
抗体がモノクローナル抗体である請求項24に記載の方法。
10
【請求項26】
モノクローナル抗体がモノクローナル抗体S2C6の結合特性を有する請求項25に記
載の方法。
【請求項27】
モノクローナル抗体がモノクローナル抗体S2C6とのCD40の結合に対して競合す
る請求項25に記載の方法。
【請求項28】
CD20特異的薬剤が抗体である請求項24に記載の方法。
【請求項29】
CD20特異的薬剤がモノクローナル抗体である請求項28に記載の方法。
20
【請求項30】
モノクローナル抗体がC2B8である請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
この発明はCD40表面抗原を発現する細胞によって特徴付けられる疾病又は疾患の治
療、特にCD40表面抗原を発現する細胞によって特徴付けられる腫瘍性又は自己免疫疾
病又は疾患の治療に関する。本発明は、CD40を発現している細胞の成長を停止させ、
30
それを破壊し又はその除去(ディリーション)を引き起こす薬剤とCD20表面抗原を発現
している細胞の成長を停止させ、それを破壊し又はその除去を引き起こす第二の薬剤との
併用による、CD40表面抗原を発現する細胞によって特徴付けられる様々な疾病又は疾
患の治療方法を提供する。該薬剤及びその組合せを含む医薬組成物及びキットのような製
造品もまた提供される。
【0002】
(関連した開示の説明)
CD40はI型完全性膜糖タンパク質であり、腫瘍壊死因子(TNF)レセプタースー
パーファミリーのメンバーである。CD40は正常な及び腫瘍性のB細胞、樹枝状(inter
digitating)細胞、基底上皮細胞及び癌腫を含む様々な細胞型に発現される。CD40は
40
またマクロファージ、幾種かの内皮細胞、濾胞状樹枝状細胞にも存在する。CD40はB
細胞個体発生の初期に発現され、CD10及びCD19の出現の後であるがCD20及び
表面免疫グロブリン(Ig)より前にB細胞前駆体上に現れる(Uckunら, (1990) Blood
15:2449)。初期の報告では、CD40はB細胞の形質細胞への末期の分化時に失われる
ことが示されていたが、扁桃腺及び骨髄派生形質細胞には検出されている(Pellat-Decou
nynckら, (1994) Blood 84:2597)。
【0003】
CD40のそのリガンドであるCD40L(gp39とも称される)との相互作用が体
液及び細胞媒介免疫反応の双方の発生にとって中心をなす。CD40Lは活性化されたT
リンパ球上に主として発現される膜貫通タンパク質である。TNFタンパク質と同様に、
50
(4)
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CD40Lの構造は非共有性の三量体である。CD40媒介シグナル伝達はB細胞の分化
、アイソタイプ切り替え、胚芽中心形成及びT細胞依存性抗原への応答における記憶B細
胞の関与のための必要条件であると思われる。CD40Lのレセプター結合はCD40の
多量体化、活性化シグナルの生成(樹状細胞、単球及びB細胞のような抗原提示細胞に対
して)及び成長及び分化シグナルの生成(サイトカイン活性化繊維芽細胞及び上皮細胞に
対して)を生じる。細胞運命の調節においてCD40分子によって利用されるシグナル伝
達経路は完全には解明されていないが、CD40シグナルが一連のTNFレセプター関連
因子(「TRAFs」)(Kehry, (1996) J. Immunol. 156:2345-2348)の補充を介して
多量体化レセプターから伝達される。TRAFSのサブセットは、下流の様々な経路に刺
激を与えるCD40を含む、TNFファミリーのメンバーと差次的に相互作用する。TR
10
AF1及びTRAF2はアポトーシスの調節に関与している(Speiserら, (1997) J. Exp
. Med. 185:1777-1783; Yehら, (1997) Immunity 7:715-725)。TRAF2、5及び6は
増殖と活性化事象に関与している。正常なB細胞では、CD40の結合はレセプター複合
体にTRAF2及びTRAF3を補充し、他のTRAFsのダウンレギュレーションを誘
発する(Kuhuneら, (1997) J. Exp. Med. 186:337-342)。
【0004】
アポトーシスとCD40媒介シグナル伝達はB細胞の発達と分化中に密に関連している
。B細胞中でのアポトーシスの主要な機能は未成熟B細胞中の表面Igの広範な架橋から
生じると思われる未成熟B細胞のクローン除去である。成熟B細胞の運命は、おそらくは
CD40L分子によって媒介される、活性化T細胞から得られたシグナルと表面Igによ
20
るシグナル伝達の組合せによっても調節される。表面IgとCD40からのシグナルの組
合せはアポトーシス経路を無効にし胚中心B細胞を生存したままに維持することが示され
ている。胚中心におけるアポトーシスからのこの救出は高親和性抗体を生産する記憶B細
胞の発達に対して重要である。
【0005】
T細胞及びB細胞悪性腫瘍双方において、抗腫瘍効果(アポトーシスを伴うか伴わない
成長停止)は、正常なリンパ球の活性化を生じる刺激に悪性腫瘍細胞が暴露されるとしば
しば生じる。この活性化が誘発する成長停止は、抗原レセプター又は同時刺激性レセプタ
ーの何れかを介したシグナルによって観察されている(Ashwellら, (1987) Science 237:
61; Bridgesら, (1987) J. Immunol. 139:4242; PageとDefranco (1988) J. Immunol. 14
30
0:3717及びBeckwithら, (1990) J. Natl. Cancer Inst. 82:501)。抗体又は可溶型リガ
ンドの何れかによるCD40の刺激はB細胞リンパ腫の成長を直接阻害する(Funakoshi
ら, (1994) Blood 83:2787-2794)。
【0006】
CD40に対するモノクローナル抗体(mAb)が記載されている(Katiraら, "CD40
Workshop Panel Report", Leukocyte Typing V, Schlossmanら編 1995; 1:547-550)。例
えば、二つのmAb、CD40.7(M2)とCD40.8(M3)が、CD40Lを発
現している細胞へのCD40の結合を阻害するその能力に基づいて選択されている(Fans
lowら, Leukocyte Typing V, Schlossmanら編 1995; 1:555-556)。mAbのM2及びM
3によるCD40の刺激は幾らかのB細胞リンパ腫の成長を阻害し、インビボにて樹立さ
40
れた腫瘍の後退を誘発する(Funakoshiら, (1994) Blood 83:2787-2794; Funakoshiら, (
1996) J. Immunol. 19:93-101)。mAbのG28-5をベースとする単鎖免疫毒素はイン
ビトロでCD40を発現する悪性腫瘍細胞を選択的に死滅させる(Franciscoら, (1997)
J Biol. Chem. 39:24165-24169)。国際公開番号WO00/75348は、癌を含む様々
な疾患の治療においてのCD40に対する抗体S2C6の組換え型の使用を記述している
。刺激性シグナルを送達することに加えて、抗体はCD40とCD40Lの間の相互作用
を増大させる。国際公開番号WO95/17202は、CD40を発現する腫瘍性細胞に
よって特徴付けられる疾患の治療又は予防において正しい高次構造でCD40に結合する
抗体を使用することを記述している。
【0007】
50
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CD20抗原(ヒトBリンパ球制限分化抗原、Bp35とも呼ばれる)はプレB及び成
熟Bリンパ球上に位置するおよそ35kDの分子量の疎水性膜貫通タンパク質である(Va
lentineら, J. Biol. Chem. 264(19):11282-11287 (1989);及びEinfeldら, EMBO J. 7(3
):711-717 (1988))。該抗原はまたB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の90%以上に
発現されるが(Andersonら, Blood 63(6):1424-1433 (1984))、造血幹細胞、プロB細胞
、正常な形質細胞又は他の正常な組織上には見出されない(Tedderら, J. Immunol. 135(
2):973-979 (1985))。CD20は分化及び細胞周期の開始のための活性化過程における
初期段階を調節し(上掲のTedderら)、おそらくはカルシウムイオンチャネルとして機能
する(Tedderら, J. Cell. Biochem. 14D:195 (1990))。
【0008】
10
抗CD20抗体であるリツキシマブ(rituximab)(リツキサン(RITUXAN)(登録商標)ブラ
ンド)はCD20抗原に対する遺伝子操作で得られたキメラハツカネズミ/ヒトモノクロ
ーナル抗体である。リツキシマブは1998年4月7日に発行された米国特許番号573
6137(Andersonら)において「C2B8」と呼ばれている抗体である。その抗体は、
再発性又は難治性低悪性度又は濾胞性、CD20陽性、B細胞非ホジキンリンパ腫の患者
の治療に効能があると記されている。リツキシマブでの治療を通してのBリンパ球枯渇の
一般試験がリウマチ様関節炎の患者に対して実施され、その結果はBリンパ球枯渇が有効
な治療法であるかも知れないことを示唆している(EdwardsとCambridge (2001) Rheumato
logy 40:205-211)。インビトロの作用機序の研究は、その抗体がヒト補体に結合し補体
依存性細胞毒性(CDC)を通してリンパB細胞株を溶解することを実証している(Reff
20
ら, Blood 83(2):435-445 (1994))。加えて、その抗体は抗体依存細胞性細胞毒性(AD
CC)のアッセイにおいて有意な活性を有している。更に最近では、その抗体はトリチウ
ム化チミジン取り込みアッセイにおいて抗増殖効果を有しており、アポトーシスを直接誘
発する一方、他のCD20抗体はそうではないことが示されている(Maloneyら, Blood 8
8(10):637a (1996))。リツキシマブと化学療法剤と毒素の間の相乗効果がまた実験的に
観察されている。特に、リツキシマブは、ドキソルビシン、CDDP、VP-16、ジフ
テリア毒素及びリシンの細胞毒性効果に対して薬物耐性ヒトB細胞リンパ細胞株を感作す
る(Demidemら, Cancer Chemotherapy & Radiopharmaceuticals 12(3):177-186 (1997))
。インビボにおいて、前臨床研究は、その抗体が、おそらくは補体及び細胞媒介過程を通
して、カニクイザルの末梢血、リンパ節、及び骨髄からのB細胞を枯渇させることを示し
30
ている(Reffら, Blood 83(2):435-445 (1994))。
【0009】
(発明の概要)
本発明はCD40表面抗原を発現している細胞によって特徴付けられる疾病及び疾患の
治療に有用な方法と組成物を包含する。好適な態様では、本発明は、B細胞成長の停止又
は枯渇(depletion)が有益な結果、例えば疾病の進行の遅延化、疾病の一又は複数の軽減
又は疾病又は疾患の回復、予防又は治癒をもたらす疾病又は疾患の治療に関する。特定の
態様は、様々な腫瘍性(新生物)疾病又は疾患、例えば様々な血液の(造血器)悪性腫瘍及
びB細胞の枯渇に効能があるある種の他の疾病又は疾患、例えばリウマチ様関節炎及び紅
斑性狼瘡のような様々な自己免疫疾患の治療に関する。特定の実施態様では、本発明はC
40
D40表面抗原を発現している細胞によって特徴付けられる疾病及び疾患の治療方法であ
って、CD20膜抗原を発現している細胞の成長を停止させ又はその除去をなす第二の薬
剤と組み合わせてCD40を発現している細胞の成長を停止させ又はその除去をなす薬剤
を投与することを含む方法を提供する。
【0010】
好適な実施態様では、本発明はCD40を発現している細胞によって特徴付けられる腫
瘍性疾病又は疾患あるいは自己免疫疾病又は疾患の治療方法を提供する。該方法はCD2
0膜抗原を発現している細胞の成長を停止させ又はその除去をなす薬剤と組み合わせて、
CD40膜糖タンパク質を発現している細胞の成長を停止させ又はその除去をなす薬剤の
治療的有効量をそれを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む。好適な態様では、CD
50
(6)
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40抗原を発現している細胞の成長を停止させ又はその除去をなす薬剤は細胞表面CD4
0糖タンパク質に結合する薬剤、例えば抗体又はCD40リガンド三量体のようなレセプ
ターに対する他のリガンドである。CD20膜抗原を発現している細胞の成長を停止させ
又はその除去をなす好適な薬剤は、抗体又はCD20に結合し、CD20発現細胞の成長
を停止させるか枯渇を引き起こすCD20に対する他のリガンドである。
【0011】
本発明の好適な態様はCD40表面抗原を発現する細胞によって特徴付けられる腫瘍性
疾病又は疾患の治療法を提供する。本発明のこの態様では、本発明は様々な造血器悪性腫
瘍及び様々な固形腫瘍の治療法を提供する。本発明の好適な態様はCD40表面抗原を発
現している細胞によって特徴付けられるリンパ腫又は骨髄腫の治療法を提供する。更にこ
10
の観点において、本発明は非ホジキンタイプのリンパ腫及び多発性骨髄腫の治療方法を提
供する。
【0012】
本発明はここに記載される治療方法において有用な薬剤の様々な組合せを含有する医薬
組成物を提供する。該組成物は、CD40を発現している細胞によって特徴付けられる自
己免疫又は腫瘍性疾病又は疾患の治療に有効な量で(a)CD40を発現している細胞の
成長を停止させ又はその除去をなす薬剤;(b)CD20を発現している細胞の成長を停
止させ又はその除去をなす薬剤及び(c)医薬的に許容可能な担体を含有しうる。ある種
の態様において、医薬組成物はCD40に結合する抗体とCD20に結合する抗体を医薬
的に許容可能な担体と併せて含有する。
20
【0013】
本発明はキット及び製造品を含む。キット及び製造品は好ましくは、
(a)一又は複数の容器;
(b)上記の各容器上のラベル;及び
(c)上記容器内に含まれる活性剤を含有する第一及び第二組成物を含み;ここで組成
物は、腫瘍性又は自己免疫疾病又は疾患のようなCD40を発現する細胞によって特徴付
けられる疾病又は疾患を治療するのに効果的であり、上記容器上のラベルは、組成物をそ
のような疾患を治療するために使用することができることを示していてよく、上記第一組
成物中の活性剤はCD40抗原を発現している細胞の成長を停止させ又はその除去をなす
薬剤を含んでなり、上記第二組成物中の活性剤はCD20抗原を発現している細胞の成長
30
を停止させ又はその除去をなす薬剤を含んでなる。好適な実施態様では、薬剤は抗体であ
る。キットは場合によっては補助部品、例えば医薬的に許容可能なバッファーを含有する
更なる容器及び特定の疾病又は疾患を治療するためにその組成物を使用するための説明書
を含む。
【0014】
(発明の好適な実施態様の詳細な説明) 「天然抗体」及び「天然免疫グロブリン」は、通常、二つの同一の軽(L)鎖及び二つの
同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンの異種四量体糖タンパク質である。
各軽鎖は一つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しており、異なる免疫グロブリン
アイソタイプ重鎖中のジスルフィド結合の数は相違する。また各重鎖と軽鎖は、規則的に
40
離間した部位との間で鎖内ジスルフィド架橋を有している。各重鎖は、多くの定常ドメイ
ンに続いて可変ドメイン(VH)を一端に有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を
、他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第一定常ドメインと整列し、
軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基が、軽鎖
及び重鎖可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている。
【0015】
「可変」という用語は、可変ドメインのある部位が、抗体の中で配列が広範囲に異なる
という事を意味し、その特定の抗原に対する各特定の抗体の結合及び特異性に利用される
。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって一様には分布していない。軽鎖
及び重鎖の可変ドメインの両方の高頻度可変領域又は相補性決定領域(CDRs)と呼ばれ
50
(7)
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る3つのセグメントに濃縮される。可変ドメインのより高度に保存された部分はフレーム
ワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、ループ結合を形成
し、そしてある場合にはその一部を形成するβ-シート構造を形成する、3つのCDRs
により連結されたβ-シート配置を主にとる4つのFR領域をそれぞれ含んでいる。各鎖
のCDRsは、FRsにより近接して保持され、他の鎖のCDRsと共に、抗体の抗原結
合部位の形成に寄与している(Kabatら, NIH Publ. No.91-3242, Vol.I, 647-669頁[1991]
を参照のこと)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関連しているものではない
が、種々のエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞毒性における抗体の関与を示す。
【0016】
抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれ、各々単一の抗原結合部位を持つ二つ
10
の同一な抗原結合断片、及び、その名称が容易に結晶化する能力を反映している残りの「
Fc」断片を生成する。ペプシン処理により、二つの抗原結合部位を有するが、交差結合
抗原であり得るF(ab')2断片が生成される。
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、緊
密に非共有的に結合した一つの重鎖と一つの軽鎖の可変ドメインの二量体からなる。この
配置では、VH−VL二量体の表面における抗原結合部位を決定するために各可変ドメイ
ンの3つのCDRが相互作用する。正確には、6つのCDRsが抗体に抗原結合特異性を
与える。しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原特異的な3つのCDRsしか含まないF
vの半分)でさえも抗原を認識し結合する能力を持つが、結合部位全体よりは親和性が低
い。
20
【0017】
また、Fab断片は軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)も含
む。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメ
インのカルボキシル末端における数個の残基の付加によりFab断片と相違する。Fab
'-SHは、ここにおいて、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を持つFa
b'の記号である。F(ab')2抗体断片は、元々、それらの間にヒンジシステインを持つ
Fab'断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合も知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメイン
のアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる二つの明らかに異
なる型の一つに分類できる。
30
【0018】
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに分けら
れる。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及び
IgMがあり、これらの幾つかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、
IgG2、IgG3、IgG4、IgA及びIgA2に分けられる。異なるクラスの免疫
グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、各々α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。異
なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元配置はよく知られている。
「抗体」という用語は最も広義に使用され、特に無傷のモノクローナル抗体、ポリクロ
ーナル抗体、少なくとも二つの無傷の抗体から形成された多重特異性抗体(例えば二重特
異性抗体)、及びそれらが所望の生物活性を示す限り抗体断片も含む。
40
「抗体断片」には、無傷の抗体の一部、好ましくは無傷の抗体の抗原結合又は可変領域
が含まれる。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片;ダイアボ
ディー(diabodies);直鎖状抗体(Zapataら, Protein Eng. 8(10):1057-1062[1995]);単
鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0019】
ここで用いられる「モノクローナル抗体」なる用語は、実質的に均一な抗体の集団、即
ち、集団を構成する個々の抗体が少量存在する起こりうる自然発生突然変異体以外は同一
であるような集団から得られる抗体を意味する。モノクローナル抗体は高度に特異的であ
り、単一の抗原部位に対する。さらに、通常は、異なる決定基(エピトープ)に対して作
られた様々な抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは違い、各モノクローナ
50
(8)
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ル抗体は抗原上の単一の決定基に対する。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体
は、ハイブリドーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンに汚染されていない点に
おいて有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得
られという抗体の特徴を示すものであって、ある特定の方法による抗体の生産を必要とす
ることを意味するためのものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナ
ル抗体は、Kohlerら, Nature, 256: 495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドー
マ法により作成してもよいし、組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参
照)により作成してもよい。また「モノクローナル抗体」はファージ抗体ライブラリから
、例えば、Clacksonら, Nature, 352: 624-628 (1991)及び Marksら, J. Mol. Biol., 22
2: 581-597 (1991)に記載された技術を用いて単離してもよい。
10
【0020】
ここで、モノクローナル抗体は特に「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含み、それは
、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定の種から誘導された又は特定の抗体クラス又はサブク
ラスに属する抗体の対応する配列と同一又は相同であるが、鎖の残りの部分は他の種から
誘導された又は他の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体、並びにそれらが所望の生物
学的活性を示す限りにおいてそれらの抗体の断片の対応する配列と同一又は相同である(
米国特許第4816567号;Morrisonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81: 6851-685
5 [1984])。
【0021】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリ
20
ン鎖あるいはそれらの断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2あるいは抗体の
他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むもの
である。大部分においてヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、
マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ド
ナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)で
ある。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する
非ヒト残基によって置換される。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入され
たCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修
飾は抗体の特性を更に洗練し、最適化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全て
あるいはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるい
30
はほとんど全てのFRsがヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも一つ、典型
的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリ
ン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含ん
でなる。更なる詳細は、Jonesら, Nature 321, 522-525(1986);Reichmannら, Nature 33
2, 323-329(1988)及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2, 593-596(1992)を参照のこと
。ヒト化抗体は、抗体の抗原結合領域が、対象の抗原でマカクザルを免疫化することによ
り生産された抗体から由来するPRIMATIZEDTM抗体を含む。
【0022】
「単鎖Fv」すなわち「sFv」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含有する
もので、これらのドメインはポリペプチド単鎖に存在する。好ましくは、Fvポリペプチ
40
ドは、sFvが抗原結合に対する所望の構造を形成できるようにするポリペプチドリンカ
ーをVHとVLドメインの間に更に含んでいる。sFvのレビューには、例えば、Plueck
thun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol.113, Rosenburg及びMoore編,
Springer-Verlag, New York, pp.269-315(1994)を参照されたい。
「ダイアボディー」という用語は、二つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を意味
するもので、断片は軽鎖可変ドメイン(VL)に結合した重鎖可変ドメイン(VH)を同じポ
リペプチド鎖(VH-VL)に含有する。同じ鎖上での二つのドメイン間の対合が許されな
いほど短いリンカーを使用することにより、ドメインが、他の鎖の相補的ドメインとの対
合を強いられ、二つの抗原結合部位をつくりだす。ダイアボディーは、例えば、欧州特許
404097;国際公開93/11161号;及びHollingerら, Proc. Natl. Acad. Sci
50
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. USA, 90:6444-6448 (1993)に更に詳しく記載されている。
【0023】
「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収さ
れたものを意味する。その自然環境の狭雑成分とは、抗体の診断又は治療への使用を妨害
する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含ま
れる。好ましい実施態様において、抗体は、(1)ローリー(Lowry)法によって決定した場
合95重量%以上の、最も好ましくは99重量%の抗体まで、(2)スピニングカップシ
ークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配
列の残基を得るのに充分な程度まで、あるいは(3)非還元あるいは還元条件下でのSD
S-PAGEを行い、クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色によって、均一になる
10
まで精製されうる。単離された抗体には、組換え細胞内のインサイツの抗体が含まれるが
、これは抗体の自然環境の少なくとも一つの成分が存在しないからである。しかしながら
、通常は、単離された抗体は少なくとも一つの精製工程により調製される。
【0024】
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺
乳動物における生理学的状態を指すか又は記述する。癌の例には、これらに限定されるも
のではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌
のより特定な例としては、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸癌、膵臓癌
、神経膠芽細胞腫、子宮頸管癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、大腸癌、結
腸直腸癌、子宮内膜癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、肝癌及び様
20
々な種類の頭部及び頸部の癌が含まれる。
「CD20」抗原は、末梢血又はリンパ系器官の90%以上のB細胞の表面で見出され
る35kDaの非グルコシル化リンタンパク質である。CD20は初期のプレB細胞発育
中に発現し、形質細胞分化まで残る。CD20は正常なB細胞及び悪性のB細胞の双方に
存在する。文献でのCD20の他の名称には「Bリンパ球制限抗原」及び「Bp35」が
含まれる。CD20抗原は、例えば、Clarkら, PNAS(USA)82:1766(1985)に記載されてい
る。
【0025】
「CD40」は、細胞増殖及び分化に関与するシグナルのレセプターとして作用する正
常及び腫瘍性B細胞の表面に発現され、しばしばBp50とも称される50kDの糖タン
30
パク質を意味するものである(Ledbetterら, (1987) H, Immunol., 138:788-795)。CD
40をコードするcDNAはバーキットリンパ腫細胞株Rajiから調製されたライブラ
リから単離されている(Stamenkovicら, (1989) EMBO J. 8:1403)。CD40を発現する
細胞はCD40の表面発現によって特徴付けられるあらゆる細胞であり、限定されるもの
ではないが、正常な及び腫瘍性のB細胞、樹枝状(interdigitating)細胞、基底上皮細胞
及び癌腫細胞、マクロファージ、内皮細胞、濾胞状樹枝状細胞、扁桃腺細胞及び骨髄由来
形質細胞が含まれる。
ここで用いられる「細胞障害剤」という用語は、細胞の成長を停止し、細胞の機能を阻
害し又は妨害し、及び/又は細胞の除去をなす物質のことをいう。この用語は放射性同位
体(例えばI131、I125、Y90及びRe186)、化学療法剤、及び細菌性、真
40
菌性、植物又は動物起源の酵素的に活性な毒素などの毒素、又はそれらの断片を含むこと
が意図されている。
【0026】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例には、チオ
テパ及びシクロホスファミド(CYTOXANTM)のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプ
ロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類、;ベンゾドーパ(benzo
dopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジ
リジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエ
チレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphoramide)及びトリメチローロメラミン(t
rimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(ace
50
(10)
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togenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプト
セシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(c
allystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesi
n)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin
)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デ
ュオカルマイシン(duocarmycin)(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む); エレウテ
ロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarc
odictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロランブシル、クロルナファジン(chl
ornaphazine)、クロルホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファ
ミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベン
10
ビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustin
e)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマス
タード;ニトロスレアス(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾト
シン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムス
チン、ラニムスチン;エネジイン(enediyne) 抗生物質等の抗生物質(例えば、カリケア
マイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンガンマ1I及びカリケアマイシンファ
イI1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイ
ネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);ビスフォスフォナート、例
えばクロドロネート;エスペラマイシン(esperamicin);並びにネオカルジノスタチン発
光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(ac
20
lacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレ
オマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、
カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン
、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オ
キソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシンTM)(モルフォリノ−ドキソ
ルビシン、シアノモルフォリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオ
キシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシ
ン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCのようなマイトマイシン(mit
omycins)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、
オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、
30
ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレ
プトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタ
チン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセート及び5-フルオロウラシル
(5-FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテ
ロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フ
ルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのような
プリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridin
e)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン
(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)のようなピリミジン類似体;カルステロ
ン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタ
40
ン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミト
タン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレ
ニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブ
リン酸;エニルウラシル、アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビ
サントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine)
;デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithi
ne);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシ
ド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine)
;メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin )のようなメイタンシノ
イド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mo
50
(11)
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pidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラ
ルビシン;ロソキサントロン(losoxantron);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン(razoxane);リゾキ
シン(rhizoxin);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸
(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルア
ミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T-2トキシン、ベラキュリンA(verracuri
n A)、ロリジンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;
ダカルバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mit
olactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「AraC」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソー
10
ル(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)及びドキセタキセル(
タキソテール(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;
ゲンシタビン(ゲムシタビン、gemcitabine)(GemzarTM);6-チオグアニン;メルカプ
トプリン;メトトレキセート;シスプラチン及びカルボプラチンのようなプラチナ類似体
;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イフォスファミド;ミトキサン
トロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(NavelbineTM);ノバントロン(novantrone);テ
ニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);
イバンドロナート(ibandronate);CPT-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2
000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸のようなレチノイド;カ
ペシタビン(capecitabine);並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘
20
導体が含まれる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するよ
うに働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン(NolvadexTM)、ラロキシフェン(raloxifen
e)、ドロロキシフェン(droloxifene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェ
ン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(on
apristone)、及びトレミフェン(FarestonTM)を含む抗エストロゲン及び選択的エストロゲ
ン受容体調節因子(SERMs);例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、
メゲストール酢酸(MegaceTM)、エキセメスタン(exemestane)、フォルメスタン、ファ
ドロゾール、ボロゾール(RivisorTM)、レトロゾール(FemaraTM)、及びアナストロゾ
ール(ArimidexTM)などの酵素アロマターゼを阻害し、副腎のエストロゲン産物を制御す
るアロマターゼインヒビター;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)、ニ
30
ルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びに上記のも
のの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
【0027】
「疾患」は、ここで記述される併用治療による治療から恩恵を蒙るあらゆる症状のこと
である。これには、問題の疾患に哺乳動物を罹患させる素因になる病理状態を含む、慢性
及び急性の疾患又は疾病が含まれる。ここで治療される疾患の例は、これに限定されるも
のではないが、癌、血液の悪性腫瘍、良性及び悪性の腫瘍;白血病性及びリンパ悪性腫瘍
、及び炎症、血管形成及び免疫性疾患が含まれる。
ここで使用される場合の「成長を停止させる」薬剤又は「成長阻害剤」とは、細胞、特
に必要とされるCD40抗原又はCD20抗原を発現する腫瘍細胞タイプの増殖を阻害す
40
る化合物又は組成物を意味する。しかして、成長阻害剤は例えばS期の腫瘍細胞のパーセ
ントを有意に減少させるものである。
【0028】
「静脈内注射」という用語は、約15分以上、通常、約30∼90分の間の時間をかけ
て動物又はヒト患者の血管中に薬剤を導入することを意味する。
「静脈内ボーラス」又は「静脈内プッシュ」という用語は、体が約15分以下、一般に
は5分以下で薬剤を受け入れるように動物又はヒトの血管中へ薬剤を投与することを意味
する。
「皮下投与」は、比較的ゆっくりと、薬剤容器からの送達が維持されることによって、
動物又はヒト患者の皮膚の下に、好ましくは皮膚及び皮下組織の間のポケットに薬剤を投
50
(12)
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入することを意味する。ポケットは、皮膚を上につまんで引き上げ皮下組織から離すこと
によりつくり出される。
治療の目的の「哺乳動物」とは、ヒト、家庭及び農場の動物、並びに動物園、スポーツ
、又はペット動物、例えば数種の名を挙げると、イヌ、ウマ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ
、ウサギなどを含む、哺乳類に分類されるあらゆる動物を意図する。好ましくは哺乳動物
は、ヒトである。
【0029】
「パッケージ挿入物」という用語は効能書、用法、用量、投与方法、禁忌及び/又はか
かる治療製品の使用に関する警告についての情報を含む、治療製品の市販用パッケージに
通常含まれるインストラクションを意味するために使用される。
10
「リツキサン(RITUXAN)(登録商標)ブランド」抗CD20抗体と呼ばれるヒト化抗CD
20抗体はCD20抗原に対して遺伝子操作によって樹立されたキメラマウス/ヒトモノ
クローナル抗体である。リツキシマブ(Rituximab)は1998年4月7日に発行された米
国特許第5736137号において「C2B8」と呼ばれている抗体である。C2B8抗
体のリツキサン(RITUXAN)(登録商標)ブランドは再発性又は難治性低悪性度又は濾胞性、
CD20陽性、B細胞非ホジキンリンパ腫の患者の治療に効能があると示されている。
「皮下注入」は、比較的ゆっくりと、これに限らないが30分以下又は90分以下を含
む時間、薬剤容器からの送達が維持されることによって、動物又はヒト患者の皮膚の下に
、好ましくは皮膚と皮下組織の間に薬剤を導入することを意味する。場合によっては、注
入が、動物又はヒト患者の皮膚の下に差し込まれた薬剤送達ポンプの皮下挿入によって成
20
され、ポンプは決定された時間、例えば30分、90分、又は治療投薬計画の時間、定め
られた量を送達する。
【0030】
「皮下ボーラス」という用語は、動物又はヒト患者の皮膚の下への薬剤投入を意味し、
ボーラス薬剤送達は好ましくは約15分以下、より好ましくは5分以下、及び最も好まし
くは60秒以下である。投与は、例えば皮膚をつまんで引き上げ、皮下組織から離すこと
によりポケットが形成される、皮膚と皮下組織の間のポケット内が好ましい。
「治療的有効量」なる用語は、細胞の成長停止効果を持ち又は細胞の除去をなす活性薬
剤の量を意味するために使用される。好ましくは、治療的有効量はアポトーシス活性を有
するか、又は細胞死を誘発可能である。特定の態様では、治療的有効量は、例えば病気の
30
進行を遅延させるのに効果的であることが分かった標的血清中濃度を意味する。効能は、
治療される症状に応じて、常套的な方法で測定することができる。例えば、CD40を発
現する細胞によって特徴付けられる腫瘍性疾病又は疾患においては、薬効は、疾患進行時
間(TTP)を評価するか、又は応答速度(RR)を決定することにより、測定すること
ができる。
【0031】
本発明において使用されるところの「治療」及び「療法」等の用語は、限定はされない
が一又は複数の徴候の軽減、疾病又は疾患の進行の回復、遅延化又は停止を含む、あらゆ
る臨床的に望ましい又は有益な効果を生じる疾病又は疾患の治癒的並びに予防的、又は抑
制手段を含むことを意味する。よって、例えば、治療という用語には、疾病又は疾患の徴
40
候の発症に先立って又は発症の後に薬剤を投与することを含み、よって疾病又は疾患のあ
らゆる徴候を防止し又は除去する。他の例としては、その用語は疾病の徴候と闘うために
疾病の臨床的症状が現れた後に薬剤を投与することを含む。更に、発症後で臨床的徴候が
現れた後の薬剤の投与は、治療が疾病の軽減をもたらそうともたらさまいと、投与が、疾
病又は疾患の臨床的パラメータ、例えば組織損傷の度合い又は転移の量又は度合いに影響
を及ぼす場合には、本発明の意味の「治療」又は「療法」に包含される。
【0032】
(発明の実施の形態)
本発明は、CD20を発現する細胞の成長を停止させ又はその細胞の除去をなす薬剤と
組み合わせてのCD40を発現する細胞の成長を停止させ又はその細胞の除去をなす薬剤
50
(13)
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の投与によるCD40表面抗原を発現する細胞によって特徴付けられる様々な疾病又は疾
患の治療法を提供する。
本発明によれば、CD40を発現する細胞の成長を停止させ又はその細胞の除去をなす
薬剤は、CD40膜抗原に結合することによる場合を含む、あらゆる機序によって機能す
る。従って、ここでは「CD40特異的薬剤」とも称される適切な薬剤がここでは任意の
作用機序によってCD40を発現する細胞の成長を停止させ又その細胞の除去をなし得、
本発明は薬剤の作用態様によっては限定されない。従って、CD40膜抗原の結合を通し
て増殖をブロックし又は細胞の成長を停止等させあるいはその枯渇、死滅又はその除去等
を引き起こすあらゆる薬剤が本発明における適切な薬剤である。
【0033】
10
例を挙げると、T細胞及びB細胞悪性腫瘍双方において、正常なリンパ球の活性化を生
じる刺激に悪性腫瘍細胞がさらされると抗腫瘍効果(枯渇又はアポトーシスを伴うか伴わ
ない成長停止)がしばしば生じることが知られている。この活性化誘導成長停止は抗原レ
セプター又は同時刺激性レセプターの何れかを介したシグナルによって観察されている(
Ashwellら, (1987) Science 237:61; Bridgesら, (1987) J. Immunol. 139:4242; Pageと
Defranco (1988) J. Immunol. 140:3717及びBeckwithら, (1990) J. Natl. Cancer Inst.
82:501)。抗体か可溶型リガンドの何れかでのCD40刺激はB細胞リンパ腫の成長を
直接阻害する(Funakoshiら, (1994) Blood 83:2787-2794)。そのようにして悪性腫瘍細
胞成長を阻害するCD40膜抗原に対する薬剤が本発明における適切な薬剤の一例である
。
20
【0034】
限定されるものではないが特定の例には、CD40に対するモノクローナル抗体(mA
b)が含まれる。そのような抗体は開示されている(Katiraら, "CD40 Workshop Panel R
eport", Leukocyte Typing V, Schlossmanら編 1995; 1:547-550)。例えば二つのmAb
、CD40.7(M2)とCD40.8(M3)が、CD40Lを発現している細胞への
CD40の結合を阻害するその能力に基づいて選択されている(Fanslowら, Leukocyte T
yping V, Schlossmanら編 1995; 1:555-556)。mAbのM2及びM3によるCD40の
刺激は幾らかのB細胞リンパ腫の成長を阻害し、インビボにて樹立された腫瘍の後退を誘
発する(Funakoshiら, (1994) Blood 83:2787-2794; Funakoshiら, (1996) J. Immunol.
19:93-101)。mAbのG28-5をベースとする単鎖免疫毒素はインビトロでCD40を
30
発現する悪性腫瘍細胞を選択的に死滅させる(Franciscoら, (1997) J Biol. Chem. 39:2
4165-24169)。国際公開番号WO00/75348は、癌を含む様々な疾患の治療におい
てのCD40に対する抗体S2C6の組換え型の使用を記述している。刺激性シグナルを
送達することに加えて、抗体はCD40とCD40Lの間の相互作用を増大させる。国際
公開番号WO95/17202は、CD40を発現する腫瘍性細胞によって特徴付けられ
る疾患の治療又は予防において正しい高次構造でCD40に結合する抗体を使用すること
を記述している。
【0035】
本発明において好適な薬剤はモノクローナル抗体S2C6の結合決定基に基づく薬剤で
ある(Paulieら, (1984) Cancer Immunol. Immunother. 17:165-179)。S2C6は用量
40
依存的な形で第一次B細胞増殖を刺激するその能力によって実証されるヒト末梢B細胞に
対するアゴニスト活性を有していることが示されているが(Paulieら, (1989) J. Immuno
l. 142:590-595)、抗体ベースの薬剤はインビボでの抗腫瘍活性を有していることが示さ
れている(国際公開番号WO00/75348)。
本発明の範囲に含まれるCD40特異的薬剤は、場合によっては細胞毒性剤に結合し又
は融合していてもよい、CD40に結合する抗体、合成又は天然配列ペプチド及び小分子
CD40特異的薬剤を含む。好適なCD40特異的薬剤は、上述のもののようなCD40
に対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体又はその断片である。抗体がCD40表面
抗原に結合し、CD40担持細胞の枯渇を引き起こす本発明の態様では、結合はインビボ
にてCD40抗原担持細胞型にホーミング可能なことによって一般に特徴付けられる。好
50
(14)
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適な結合剤は、CD40特異的薬剤が抗原を発現する細胞を標的とする治療剤として有用
なように十分な親和性及び/又は結合活性をもってCD40抗原に結合する。
【0036】
本発明において、CD40を発現する細胞の成長を停止させ又はその細胞の除去をなす
薬剤は、CD20を発現する細胞の成長を停止させ又はその細胞の除去をなす薬剤と組み
合わされて投与される。ここでは「CD20特異的薬剤」とも称されるそのような薬剤は
哺乳動物においてCD20を発現する細胞の成長を阻害し、又はその細胞を破壊し又は枯
渇させる任意の分子である。適切なCD20特異的薬剤は様々な機序によって作用し得、
本発明はCD40特異的薬剤の作用機序によって限定されるものではない。適切なCD2
0特異的薬剤は、抗体媒介細胞性細胞毒性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞毒性(
10
CDC)、B細胞増殖の阻害及び/又はB細胞死の誘導(例えばアポトーシスを経由して
)のような機序によってCD20発現細胞の枯渇を引き起こしうる。
【0037】
本発明の範囲に含まれるCD20特異的薬剤には、場合によっては細胞毒性剤に結合又
は融合した、CD20に結合する抗体、合成又は天然配列ペプチド及び小分子特異的薬剤
が含まれる。好適なCD20特異的薬剤は、CD20に対する抗体、好ましくはモノクロ
ーナル抗体又はその断片である。抗体がCD20表面抗原に結合し、CD20担持細胞の
枯渇を引き起こす本発明の態様では、結合はインビボにてCD20抗原担持細胞型に位置
しホーミング可能なことによって一般に特徴付けられる。好適な結合剤は、CD20特異
的薬剤が抗原を発現する細胞を標的とする治療剤として有用なように十分な親和性及び/
20
又は結合活性をもってCD20抗原に結合する。CD20抗原に結合する抗体の例には、
「リツキシマブ(rituximab)」(例えば「リツキサン(RITUXAN)(登録商標)ブランド」)と
呼ばれる「C2B8」(出典明示によりここに取り込まれる米国特許第5736137号
);「Y2B8」と命名されたイットリウム-[90]-標識2B8ハツカネズミ抗体(出典
明示によりここに取り込まれる米国特許第5736137号);「131I-B1」を産
生するために131Iで標識されていてもよいハツカネズミIgG2a「B1」(出典明
示によりここに取り込まれる米国特許第5595721号);ハツカネズミモノクローナ
ル抗体「1F5」(Pressら, Blood 69(2):584-591 (1987));「キメラ2H7」抗体(
出典明示によりここに取り込まれる米国特許第5577180号);及びInternational
Leukocyte Typing Workshopから入手できるモノクローナル抗体L27、G28-2、93
30
-1B3、B-C1又はNU-B2(Valentineら, Leukocyte Typing III (McMichael編, p
.440, Oxford University Press (1987))が含まれる。
【0038】
CD40及びCD20表面抗原に対する本発明の薬剤は他の成長停止剤と組み合わせて
投与してもよい。CD40又はCD20膜抗原に結合しない成長阻害剤の例には細胞周期
の進行を(S期以外の場所で)ブロックする薬剤、例えばG1停止及びM期停止を誘導す
る薬剤が含まれる。古典的なM期ブロッカーには、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラ
スチン)、タキソール(RAXOL(登録商標))、及びトポIIインヒビター、例えばドキソ
ルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド及びブレオマイシンが含まれる。
またG1を停止させる薬剤はS期停止にも及び、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモ
40
キシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキ
セート、5-フルオロウラシル、及びアラCである。更なる情報は、Murakamiらによる「C
ell cycle regulation, oncogenes, and antineoplastic drugs」と題されたThe Molecul
ar Basis of Cancer, Mendelsohn及びIsrael編, 1章(WB Saunders: Philadelphia, 1995
)、特に13頁に見出すことができる。
【0039】
好適な実施態様では、CD40及びCD20を発現する細胞の成長を停止させ、その細
胞を破壊し又はその除去をなす薬剤は抗体である。本発明に従って使用される好適な抗体
を産生するための例示的な技術について以下に記載する。
抗体の産生に使用されるCD40及びCD20抗原は、例えばCD40又はCD20の
50
(15)
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細胞外ドメインの可溶型又はその部分で、所望のエピトープを含むものでありうる。ある
いは、その細胞表面にCD40又はCD20を発現する細胞を用いて抗体を産生させるこ
とができる。抗体の作製に有用な抗体の他の型は当業者には明らかであろう。
【0040】
(i)ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗体は、好ましくは、関連する抗原とアジュバントを複数回皮下(sc)又
は腹腔内(ip)注射することにより、動物で産生される。それは、免疫化されるべき種で免
疫原性であるタンパク質と関連する抗原(特に、合成ペプチドが用いられる場合)を結合
させるために有用である。例えば、この抗原を、キーホールリンペットヘモシニアン(K
LH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン、又は大豆トリプシンインヒビターと、
10
二重官能性又は誘導体形成剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステ
ル(システイン残基を介する抱合)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する抱
合)、グルタルアルデヒド、及び無水コハク酸、SOCl2、又はR及びR1が異なるア
ルキル基であるR1N=C=NRを用いて結合させることができる。
【0041】
例えば、100μg又は5μgのタンパク質又はコンジュゲート(それぞれウサギ又は
マウスの場合)を3容量の完全フロイントアジュバントと混合し、この溶液を複数部位に
皮内注射することによって、動物を抗原、免疫原性コンジュゲート、又は誘導体に対して
免疫化する。1ヶ月後、この動物を、完全フロイントアジュバントの初回量の1/5ない
し1/10のペプチド又はコンジュゲートで複数部位に皮下注射することで追加免疫する
20
。7ないし14日後にこの動物を採血し、その血清を抗体価について検定する。力価がプ
ラトーに達するまで、動物を追加免疫する。好ましくは、同じ抗原のコンジュゲートであ
るが異なったタンパク質に及び/又は異なった架橋試薬でコンジュゲートしたもので追加
免疫する。コンジュゲートは、組換え細胞培養でタンパク融合として調製することもでき
る。また、ミョウバンのような凝集化剤を適切に使用して免疫反応を増強する。
【0042】
(ii)モノクローナル抗体
モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体集団から得られるが、つまり、該集団を含
む個々の抗体は、少量で存在しうる起こりうる自然発生的突然変異を除いて同一である。
従って、「モノクローナル」という形容詞は、別個の抗体の混合物ではないとの抗体の特
30
徴を示すものである。
例えば、モノクローナル抗体は、Kohlerら, Nature, 256:495 (1975)により最初に記載
されたハイブリドーマ法、又は組換えDNA法(米国特許第4816567号)によって作
成することができる。
ハイブリドーマ法においては、マウス又はハムスターなどのその他の適当な宿主動物を
上記のように免疫し、免疫化に用いられたタンパク質と特異的に結合する抗体を産生する
、又は産生することのできるリンパ球を誘導する。あるいは、リンパ球をインビトロで免
疫することもできる。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融合剤
を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成させる(Goding, Monoclonal
Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。
40
【0043】
こうして準備されたハイブリドーマ細胞は、好ましくは無融合の親骨髄腫細胞の成長又
は生存を阻止する一種以上の物質を含有する適切な培地で播種し、育てる。例えば、親骨
髄腫細胞が酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPR
T又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培地は通常ヒポキサンチン、アミノ
プテリン及びチミジン(HAT培地)等のHGPRT欠乏性細胞の成長を阻止する物質を
含む。
好ましいミエローマ細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安
定な高レベルの発現をサポートし、HAT培地のような培地に対して感受性の細胞である
。これらの中でも、好ましいミエローマ株化細胞は、マウスミエローマ株、例えば、Salk
50
(16)
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Institute Cell Distribution Center, San Diego, California USAより入手し得るMO
PC-21及びMPC−11マウス腫瘍、及びAmerican Type Culture Collection, Rockvi
lle, Maryland USAより入手し得るSP-2又はX63−Ag8−653細胞から誘導され
るものである。ヒトミエローマ及びマウス−ヒトヘテロミエローマ株化細胞もまたヒトモ
ノクローナル抗体の産生のために開示されている(Kozbor, J.Immunol., 133:3001 (1984
);Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51-63頁
、(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
【0044】
ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生に
ついて検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体
10
の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RI
A)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munsonら, Anal. Biochem., 107:220(19
80)のスキャッチャード分析によって測定することができる。
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定さ
れると、そのクローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖
させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp.59
-103(Academic Press, 1986))。この目的に対して好適な培地には、例えば、D-MEM又
はRPMI-1640培地が含まれる。また、このハイブリドーマ細胞は、動物の腹水腫
瘍として、インビボで増殖させることができる。
20
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-セファロ
ース、ハイドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィ
ニティークロマトグラフィー等のような従来の抗体精製法によって、培地、腹水、又は血
清から上手く分離することができる。
【0045】
モノクローナル抗体をコードするDNAは、定法を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖
および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを
用いることにより)容易に分離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このよう
なDNAの好ましい供給源となる。一度分離されれば、該DNAを発現ベクター中に挿入
し、次に、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、又
30
は他に抗体タンパク質を産生しないミエローマ細胞のような宿主細胞中に形質移入し、組
換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を獲得することができる。抗体をコード
するDNAの細菌での組み換え発現に関する概説論文には、Skerraら, Curr. Opinion in
Immunol., 5:256-262(1993)及びPluckthun, Immunol. Revs. 130: 151-188(1992)が含ま
れる。
更なる実施態様では、モノクローナル抗体又は抗体断片は、McCaffertyら, Nature, 34
8:552-554 (1990)に記載された技術を使用して産生される抗体ファージライブラリーから
分離することができる。Clacksonら, Nature, 352:624-628 (1991)及び Marksら, J.Mol.
Biol., 222:581-597 (1991)は、ファージライブラリーを使用したマウス及びヒト抗体の
分離について記述している。次の刊行物は、鎖シャフリングによる高親和性(nM範囲)の
40
ヒト抗体の生産(Marksら, Bio/Technology, 10:779-783(1992))、並びに非常に大きなフ
ァージライブラリーを構築するための方策としてコンビナトリアル感染とインビボ組換え
(Waterhouseら, Nuc.Acids.Res., 21:2265-2266[1993])を記述している。従って、これら
の技術はモノクローナル抗体の分離に対する伝統的なモノクローナル抗体ハイブリドーマ
法に対する実行可能な別法である。
【0046】
また、該DNAは、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード化配列を、相同的
マウス配列に代えて置換することによって(米国特許第4816567号;Morrisonら, P
roc.Natl.Acad.Sci.,USA,81:6851(1984))、又はイムノグロブリンコード配列に非イムノ
グロブリンポリペプチドのコード配列の全部又は一部を共有結合させることによって修飾
50
(17)
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することができる。
典型的には、かかる非イムノグロブリンポリペプチドは抗体の定常領域の代わりに置換
され、又は抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインが置換されて、抗原に対する特異性
を有するある抗原結合部位、及び異なる抗原に対する特異性を有する他の抗原結合部位を
含むキメラ二価抗体を作り出す。
【0047】
(iii)ヒト化抗体
非ヒト抗体をヒト化する方法は当該分野で説明されている。好ましくは、ヒト化抗体に
は、非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残
基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と呼ばれる
10
。ヒト化は、本質的にはヒト抗体の該当する配列を高頻度可変領域配列で置換することに
よりウィンターと共同研究者の方法(Jonesら, Nature, 321:522-525 (1986)、Riechmann
ら, Nature, 332:323-327 (1988)、Verhoeyenら, Science, 239:1534-1536(1988))を用い
て実施することができる。従って、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメイ
ンより実質的に少ない分が非ヒト種由来の該当する配列で置換されたキメラ抗体(米国特
許第4816567号)である。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、いくつかの高頻
度可変領域残基、そしておそらくはいくつかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位の残基に
よって置換されているヒト抗体である。
【0048】
ヒト化抗体を生成する際に使用するヒトの軽重両方の可変ドメインの選択が抗原性を低
20
減させるのに非常に重要である。いわゆる「ベストフィット法」では、齧歯動物抗体の可
変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対してスクリーニン
グする。次に齧歯動物のものと最も近いヒト配列をヒト化抗体のヒトフレームワーク領域
(FR)として受け入れる(Simsら, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothiaら, J. Mol.
Biol., 196:901(1987))。他の方法では、軽又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全
てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワーク領域を用いる。同じフレーム
ワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用できる(Carterら, Proc. Natl. Acad. Sci.
USA, 89:4285 (1992);Prestaら, J. Immunol., 151:2623(1993))。
【0049】
更に、抗原に対する高い結合親和性や他の好ましい生物学的性質を保持して抗体をヒト
30
化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配
列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト
化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者には
よく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解
し、表示するコンピュータプログラムは購入可能である。これら表示を見ることで、候補
免疫グロブリン配列の機能における残基にありそうな役割の分析、すなわち候補免疫グロ
グリンの抗原との結合能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、例
えば標的抗原に対する親和性が高まるといった、望ましい抗体特性が達成されるように、
FR残基をレシピエント及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に
、高頻度可変領域残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている。
40
【0050】
ここで対象とする例示的ヒト化抗体は、CD40を認識し、国際公開番号WO00/7
5348に記載されているハツカネズミ抗体S2C6の配列をベースとし、可変重鎖ドメ
イン相補性決定残基GYSFTGYYIH(配列番号:1)、RVIPNNGGTSYNQKFKG(配列番号:2)
及び/又はEGI---YW(配列番号:3)を含み、場合によっては例えば修飾が抗体親和性を
本質的に維持するか改善する場合、そのCDR残基のアミノ酸修飾を含む。例えば、対象
とする抗体変異体は上記の可変重鎖CDR配列に約1から約7又は約5のアミノ酸置換を
有しうる。
【0051】
ヒト化抗体は同様にハツカネズミ抗体S2C6由来の可変軽鎖ドメイン相補性決定残基
50
(18)
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を含みうる。従って、例えば上節のその可変重鎖ドメインCDR残基に加えて、軽鎖CD
R残基RSSQSLVHSNGNTFLH(配列番号:4)、TVSNRFS(配列番号:5);及びSQTTHVPWT(
配列番号:6)が好ましい。そのようなヒト化抗体は場合によっては例えば修飾が抗体親
和性を本質的に維持するか改善する場合、上記CDR残基のアミノ酸修飾を含む。例えば
、対象とする抗体変異体は上記の可変軽鎖CDR配列に約1から約7のアミノ酸置換を有
しうる。
ヒト化又は親和性成熟化抗体の様々な型が考えられる。例えば、ヒト化又は親和性成熟
化抗体は、免疫コンジュゲートを生成するために一又は複数の細胞毒性剤と結合されてい
てもよいFabのような抗体断片でありうる。あるいは、ヒト化又は親和性成熟化抗体は
無傷のIgG1抗体のような無傷の抗体であってもよい。
10
【0052】
(iv)ヒト抗体
ヒト化の別法として、ヒト抗体を生成することができる。例えば、内因性の免疫グロブ
リン産生がなくともヒト抗体の全レパートリーを免疫化することで産生することのできる
トランスジェニック動物(例えば、マウス)を作ることが現在は可能である。例えば、キメ
ラ及び生殖系列突然変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子の同型接合除去
が内因性抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載されている。このような生殖系列突
然変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子列の転移は、抗原投与時にヒ
ト抗体の産生をもたらす。Jakobovitsら, Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90:2551 (1993);Ja
kobovitsら, Nature 362:255-258 (1993); Bruggemannら, Year in Immuno., 7:33 (1993
20
);及び米国特許第5591669号、同5589369号、同5545807号を参照
されたい。
【0053】
別法として、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら, Nature 348:552-553(1990))
を、非免疫化ドナーからの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、イ
ンヴィトロでヒト抗体及び抗体断片を産出させるために使用することができる。この技術
によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ、例えばM13の大きい
又は小さいコートタンパク質遺伝子のいずれかにおいてイン-フレームをクローンし、フ
ァージ粒子の表面において機能的抗体断片として表示される。繊維状粒子がファージゲノ
ムの単一ストランドのDNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択により、
30
これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択がなされる。よって、ファージはB細
胞の特性のいくつかを模倣している。ファージディスプレイは多様な形式で行うことがで
きる;例えばJohnson, Kevin S. 及びChiswell, David J., Current Opinion in Structu
ral Biology 3:564-571(1993)を参照のこと。V-遺伝子セグメントのいくつかの供給源
がファージディスプレイのために使用可能である。Clacksonら, Nature, 352:624-628(1
991)は、免疫化されたマウス脾臓から得られたV遺伝子の小ランダム組合せライブラリか
らの抗-オキサゾロン抗体の異なった配列を単離した。非免疫化ヒトドナーからのV遺伝
子のレパートリーを構築することができ、多様な列の抗原(自己抗原を含む)に対する抗体
を、Marksら, J. Mol. Biol. 222:581-597(1991)、又はGriffithら, EMBO J. 12:725-7
34(1993)に記載の技術に本質的に従って単離することができる。また、米国特許第556
40
5332号及び同5573905号を参照のこと。
【0054】
(v)抗体断片
抗体断片を生産するために様々な技術が開発されている。伝統的には、これらの断片は
、無傷の抗体のタンパク分解性消化を介して誘導されている(例えば、Morimotoら, Journ
al of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)及びBrennanら, Scienc
e, 229:81(1985)を参照されたい)。しかし、これらの断片は、現在は組換え宿主細胞によ
り直接生産することができる。例えば抗体断片は上において検討した抗体ファージライブ
ラリから単離することができる。別法として、Fab'-SH断片は大腸菌から直接回収す
ることができ、化学的に結合してF(ab')2断片を形成することができる(Carterら, Bi
50
(19)
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o/Technology 10:163-167(1992))。他のアプローチ法では、F(ab')2断片を組換え宿
主細胞培養から直接分離することができる。抗体断片を生産するための他の技術は当業者
には明らかである。他の実施態様では、選択された抗体は単鎖Fv断片(scFv)である
。国際公開第93/16185;米国特許第5571894号;及び米国特許第5587
458号を参照のこと。また、抗体断片は、例えば米国特許第5641870号に記載さ
れているような「線形抗体」であってもよい。このような線形抗体断片は単一特異性又は
二重特異性であってよい。
【0055】
(vi)二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも二つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗
10
体である。例示的な二重特異性抗体は、CD40又はCD20の二つの異なるエピトープ
に結合しうる。他のこのような抗体では、CD20又は他の腫瘍細胞マーカーの結合部位
とCD40結合部位を組合せ得る。あるいは、抗CD20又は抗CD40アームは、細胞
内防御機構をCD40又はCD20発現細胞に集中させるように、FcγRI(CD64)
、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)等のIgG(FcγR)に対する
Fcレセプター、又はT細胞レセプター分子(例えばCD2又はCD3)等の白血球上のト
リガー分子に結合するアームと結合し得る。二重特異性抗体はCD40又はCD20を発
現する細胞に細胞傷害剤を局在化するためにも使用され得る。これらの抗体は、CD40
又はCD20結合アーム、及び細胞傷害剤(例えば、サポリン(saporin)、抗インターフェ
ロン-α、ビンカアルカロイド、リシンA鎖、メトトレキセート又は放射性同位体ハプテ
20
ン)と結合するアームを有する。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片(例えばF(a
b')2二重特異性抗体)として調製することができる。
【0056】
二重特異性抗体を作成する方法は当該分野において既知である。全長二重特異性抗体の
伝統的な産生は、二つの鎖は異なる特異性を持っている二つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖
対の同時発現に基づく(Millsteinら, Nature, 305:537-539(1983))。免疫グロブリン重鎖
及び軽鎖が無作為に取り揃えられているため、これらのハイブリドーマ(四部雑種)は10
個の異なる抗体分子の可能性ある混合物を産生し、そのうちただ一つが正しい二重特異性
構造を有する。通常、アフィニティークロマトグラフィー工程により行われる正しい分子
の精製は、かなり煩わしく、生成物収率は低い。同様の方法が国際公開第93/0882
30
9号及びTrauneckerら、EMBO J. 10:3655-3659(1991)に開示されている。
【0057】
異なったアプローチ法では、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗原-抗体結
合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列と融合させる。該融合は好ましくは、少なく
ともヒンジの一部、CH2及びCH3領域を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインである
。軽鎖の結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)を、融合の少なくとも一つ
に存在させることが望ましい。免疫グロブリン重鎖の融合、望まれるならば免疫グロブリ
ン軽鎖をコードしているDNAを、別個の発現ベクター中に挿入し、適当な宿主生物に同
時トランスフェクトする。これにより、組立に使用される三つのポリペプチド鎖の等しく
ない比率が所望の二重特異性抗体の最適な収率をもたらす態様において、三つのポリペプ
40
チド断片の相互の割合の調節に大きな融通性がもたらされる。しかし、少なくとも二つの
ポリペプチド鎖の等しい比率での発現が高収率をもたらすとき、又はその比率が所望の鎖
の結合にあまり影響がないときは、2または3個全てのポリペプチド鎖のためのコード化
配列を一つの発現ベクターに挿入することが可能である。
【0058】
この手法の好ましい実施態様では、二重特異性抗体は、第一の結合特異性を有する一方
のアームのハイブリッド免疫グロブリン重鎖と他方のアームのハイブリッド免疫グロブリ
ン重鎖-軽鎖対(第二の結合特異性を提供する)とからなる。二重特異性分子の半分にしか
免疫グロブリン軽鎖がないと容易な分離法が提供されるため、この非対称的構造は、所望
の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせから分離することを容易にす
50
(20)
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ることが分かった。このアプローチ法は、国際公開第94/04690号に開示されてい
る。二重特異性抗体を産生する更なる詳細については、例えばSureshら, Methods in Enz
ymology, 121:210 (1986)を参照されたい。
米国特許第5731168号に記載された他のアプローチ法によれば、一対の抗体分子
間の界面を操作して組換え細胞培養から回収されるヘテロダイマーのパーセントを最大に
することができる。好適な界面は抗体定常ドメインのCH3ドメインの少なくとも一部を
含む。この方法では、第1抗体分子の界面からの一又は複数の小さいアミノ酸側鎖がより
大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きな側鎖と同じ又
は類似のサイズの相補的「キャビティ」を、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばア
ラニン又はスレオニン)と置き換えることにより第二の抗体分子の界面に作り出す。これ
10
により、ホモダイマーのような不要の他の最終産物に対してヘテロダイマーの収量を増大
させるメカニズムが提供される。
【0059】
二重特異性抗体は、架橋した又は「ヘテロコンジュゲート」抗体を含む。例えば、ヘテ
ロコンジュゲートの抗体の一方はアビジンに結合し、他方はビオチンに結合できる。その
ような抗体は、例えば、不要の細胞に対する免疫系細胞をターゲティングするため(米国
特許第4676980号)、及びHIV感染の治療のために提案された(国際公開第91/
00360号、同92/200373号、及び欧州特許第03089号)。ヘテロコンジ
ュゲート抗体は、あらゆる簡便な架橋法を用いて作製することができる。好適な架橋剤は
、幾つかの架橋技術と共に当該分野において良く知られており、米国特許第467698
20
0号に開示されている。
抗体断片から二重特異性抗体を産生する技術もまた文献に記載されている。例えば、化
学結合を使用して二重特異性抗体を調製することができる。Brennanら, Science, 229:81
(1985) は、無傷の抗体をタンパク分解性に切断してF(ab')2断片を産生する手順を
記述している。これらの断片は、ジチオール錯体形成剤、亜砒酸ナトリウムの存在下で還
元して近接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィド形成を防止する。産生されたF
ab'断片はついでチオニトロベンゾアート(TNB)誘導体に転換される。Fab'-TN
B誘導体の一つを、次にメルカプトエチルアミンによる還元でFab'-チオールに再転換
し、他のFab'-TNB誘導体の等モル量と混合して二重特異性抗体を形成する。作成し
た二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化用の薬剤として使用することができる。
30
【0060】
組換え細胞培養から直接的に二重特異性抗体断片を作成し分離する様々な方法もまた記
述されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを用いて生成されている。Ko
stelnyら, J.Immunol. 148(5):1547-1553 (1992)。Fos及びJunタンパク質からのロ
イシンジッパーペプチドを、遺伝子融合によって二つの異なった抗体のFab'部分に結
合させる。抗体ホモダイマーをヒンジ領域で還元してモノマーを形成し、ついで再酸化し
て抗体ヘテロダイマーを形成する。この方法は、抗体ホモダイマーの生産にも用いること
ができる。Hollingerら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 90:6444-6448 (1993)に記載の「ダ
イアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作成するための別のメカニズムを提供した。
断片は、同一鎖上の二つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーによっ
40
て軽鎖可変ドメイン(VL)と結合している重鎖可変ドメイン(VH)を含む。従って、
一つの断片のVH及びVLドメインは他の断片の相補的VL及びVHドメインと強制的に
対形成し、それによって二つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)ダイマーの使
用によって、二重特異性抗体断片を製造する他の方策も報告されている。Gruberら, J.Im
munol. 152:5368 (1994)を参照されたい。
【0061】
二価より多い抗体も考えられる。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tu
ttら J.Immunol. 147:60(1991)。
本発明の抗体をエフェクター機能について改変し、例えば抗体の抗原-依存細胞媒介細
胞毒性(ADCC)及び/又は補体依存細胞毒性(CDC)を向上させることは望ましい
50
(21)
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。これは、抗体のFc領域で一又は複数のアミノ酸置換を誘導することによりなされうる
。あるいは又はさらに、システイン残基をFc領域に導入し、それにより、この領域に鎖
間ジスルフィド結合を形成するようにしてもよい。そのようにして生成された同種二量体
抗体は、向上したインターナリゼーション能力及び/又は増加した補体媒介細胞殺傷及び
抗体−依存細胞性細胞毒性(ADCC)を有する可能性がある。Caronら, J. Exp. Med.
176: 1191-1195 (1992)及びShopes, B. J. Immunol. 148: 2918-2922 (1992)参照。また
、向上した抗腫瘍活性を持つ同種二量体抗体は、Wolffら, Cancer Research 53: 2560-25
65 (1993)に記載されている異種二官能性架橋を用いて調製することができる。あるいは
、抗体は、二つのFc領域を有するように加工して、それにより補体溶解及びADCC能
力を向上させることもできる。Stevensonら, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230 (198
10
9)参照。
抗体の血清半減期を増大させるために、例えば米国特許第5739277号に記載の
ように、抗体(特に抗体断片)へサルベージレセプター結合エピトープを導入してもよい。
ここで使用される場合の「サルベージレセプター結合エピトープ」なる用語は、IgG分
子のインビボ血清半減期を増加させる原因であるIgG分子(例えば、IgG1、IgG
2、IgG3又はIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。
本発明の文脈において成長阻害抗体などのようなCD40又はCD20に対する抗体を
同定するために、本願の実施例のセクションで記述される細胞株のようなCD40又はC
D20を発現する癌細胞の成長を阻害する抗体をスクリーニングしてもよい。
【0062】
20
疾病又は疾患
本発明は、CD40を発現している細胞によって特徴付けられる様々な疾病及び疾患、
特に回復、疾病又は疾患の進行の遅延化又は停止がCD40発現細胞の成長を停止させる
かその細胞を除去することによって達成されるものの治療方法を提供する。そのような疾
病又は疾患には、限定されるものではないが、良性及び悪性腫瘍を含む腫瘍性疾病又は疾
患が含まれ、癌腫のような上皮由来のもの、肉腫のような中胚葉由来のもの、及び白血病
、リンパ腫及び骨髄腫を含む造血器悪性腫瘍(hematological malignancies)を含む。
本発明の疾病又は疾患はCD40表面抗原を発現する細胞とCD20表面抗原を発現す
る細胞によって類型化される。典型的なシナリオでは、CD40表面抗原を発現する細胞
型はCD20表面抗原をまた発現するが、これは必要条件ではない。例えば、CD40を
30
発現する細胞によって特徴付けられる疾病又は疾患は同様にCD20表面抗原を発現する
細胞によっても類型化され、これらの細胞は同じ細胞又は異なった細胞であり得る。発生
においてCD40表面抗原の発現はCD20抗原の発現よりも先になるので、CD40発
現細胞型のサブセットはまたCD20を発現する。他方、CD20を発現する細胞は典型
的にはCD40をまた発現する。従って、CD40表面抗原を発現する細胞によって特徴
付けられる好適な疾病又は疾患はCD20表面抗原を発現する細胞によって特徴付けられ
る任意の疾病又は疾患である。
【0063】
そのような疾病又は疾患には、B細胞悪性腫瘍を含む、様々な腫瘍性疾病又は疾患が含
まれる。腫瘍性疾病又は疾患の非限定的な例には表Iに列挙したものが含まれる。
40
【0064】
表I
I.造血器悪性腫瘍
A.白血病
急性白血病
急性リンパ性白血病
急性骨髄性白血病
骨髄芽球性
前骨髄球性
骨髄単球性
50
(22)
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赤白血病
慢性白血病
慢性骨髄性(顆粒球性)白血病
慢性リンパ性白血病
B.真性赤血球増加症
C.リンパ腫
ホジキン病
非ホジキン病
D.多発性骨髄腫
E.ワルデンストロームのマクログロブリン血症
10
F.重鎖病
II.固形腫瘍
A.肉腫と癌腫
線維肉腫
粘液肉腫
脂肪肉腫
軟骨肉腫
骨原性肉腫
骨肉腫
脊索腫
20
血管肉腫
内皮肉腫
リンパ管肉腫
リンパ管内皮肉腫
滑膜腫
中皮腫
ユーイング腫瘍
平滑筋肉腫
横紋筋肉腫
結腸癌
30
結腸直腸癌
膵癌
乳癌
卵巣癌
前立腺癌
扁平上皮癌
基底細胞癌
腺癌
汗腺癌
皮脂腺癌
40
乳頭状癌
乳頭腺癌
嚢胞腺癌
髄様癌
気管支原性癌
腎細胞癌
肝細胞腫
胆管癌
絨毛癌
精上皮腫
50
(23)
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胚性癌腫
ウィルムス腫瘍
子宮頸癌
子宮癌
精巣腫瘍
肺癌
小細胞肺癌
非小細胞肺癌
膀胱癌
上皮癌
10
神経膠腫
星状細胞腫
髄芽細胞腫
頭蓋咽頭腫
上衣細胞腫
松果体腫
血管芽細胞腫
聴神経腫
乏突起膠腫
髄膜腫(menangioma)
20
黒色腫
神経芽細胞腫
網膜芽細胞腫
上咽頭癌
食道癌
【0065】
本発明において治療可能な他のクラスの疾病又は疾患は自己免疫病因の疾病又は疾患、
例えば、皮膚、心臓心膜、心内膜、脈管構造、血液構成成分(例えば赤血球、血小板)、
血液形成組織(例えば骨髄、脾臓)、内分泌組織又は器官(例えば膵臓、甲状腺)、胃腸
管(例えば腸)、気道(例えば肺)、腎臓、中枢神経系、末梢神経系、筋肉及び骨格関節
30
を含む、体組織又は器官に影響を及ぼすものである。よって、本発明は、アトピー性皮膚
炎、あらゆる形態の狼瘡(皮膚狼瘡(円板状エリテマトーデス)、及びあらゆる皮膚外タ
イプの狼瘡で、全身性エリテマトーデス、急性狼瘡、環状性狼瘡(lupus annularis)、離
散性狼瘡(lupus discretus)、リンパ性狼瘡、パポロマティス狼瘡(lupus papollomatis)
、乾癬性狼瘡、尋常性狼瘡、硬化性狼瘡、新生児エリテマトーデス及び薬剤誘発性エリテ
マトーデスを含むもの)、抗リン脂質症候群、溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、
甲状腺炎、糖尿病、炎症性腸疾患、クローン病、鼻炎、重症筋無力症、リウマチ様関節炎
及び多発性硬化症のような脱髄疾患の徴候、症状又は危険因子を持つ患者において実施で
きる。
【0066】
40
コンジュゲート及び薬剤の他の修飾
当該方法において使用され又はここでの製造品中に包含される薬剤は、場合によっては
細胞障害剤とコンジュゲートしてもよい。また、カリケアマイシン(calicheamicin)、メ
イタンシン(maytansine)(米国特許第5208020号)、トリコセン(trichothene)、及
びCC1065等の、一又は複数の小分子毒素とアンタゴニストとのコンジュゲートも考
えられる。本発明の一実施態様において、アンタゴニストは一又は複数のメイタンシン分
子(例えば、アンタゴニスト1分子当たり、メイタンシン1∼10分子)とコンジュゲート
される。例えば、メイタンシンはMay-SH3に還元され、修飾されたアンタゴニスト
と反応するMay-SS-Meに転化され(Chariら, Cancer Research, 52:127-131(1992)
)、メイタンシノイド-アンタゴニストコンジュゲートを生産する。
50
(24)
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別法では、アンタゴニストは一又は複数のカリケアマイシンにコンジュゲートされる。
マリチーマイシンファミリーの抗生物質はサブピコモル濃度で二重ストランドDNAを破
壊することができる。限定するものではないが、使用されるカリケアマイシンの構造類似
体には、1I、2I、3I、N-アセチル-1I、PSAG及びI1が含まれる(Hinmanら,
Cancer Research, 53:3336-3342(1993)及びLodeら, Cancer Research, 58:2925-2928(
1998))。
【0067】
使用可能な酵素活性毒素及びその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合
性活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa))、
リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、ア
10
レウライツ・フォルディイ(Aleurites fordii)プロテイン、ジアンシン(dianthin)プロテ
イン、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)プロテイン(PAPI、PAP
II及びPAP-S)、モモルディカ・キャランティア(momordica charantia)インヒビタ
ー、クルシン(curcin)、クロチン、サパオナリア(sapaonaria)オフィシナリスインヒビタ
ー、ゲロニン(gelonin)、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)
、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンス(tricothecenes)が含まれる。例え
ば1993年10月28日に公開の国際公開第93/21232号を参照のこと。
本発明では、ヌクレオサイティック活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼ又
はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNase)とコンジュゲー
トしたアンタゴニストをさらに考慮する。
20
種々の放射活性同位体も放射性コンジュゲートアンタゴニストの生成に利用できる。具
体例にはAt211、I131、I12、Y90、R186、Re188、Sm153、
Bi212、P32及びLuの放射性同位体が含まれる。
【0068】
薬剤と細胞障害剤のコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例
えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルチオール)プロピオナート(SPDP)、スクシ
ンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート、イミノチ
オラン(IT)、イミドエステル類の二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHC
L)、活性エステル類(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド類(例えば、
グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサン
30
ジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)エチ
レンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン-2,6-ジイソシアネート)、及び二
活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製
することができる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら, Science 238:1098(1987)に
記載されているようにして調製することができる。炭素-14標識1-イソチオシアナトベ
ンジル-3-メチルジエチレン-トリアミン五酢酸(MX-DTPA)がアンタゴニストに放射
性ヌクレオチドをコンジュゲートするためのキレート剤の例である。国際公開第94/1
1026号を参照されたい。リンカーは細胞中の細胞障害剤の放出を容易にするための「
切断可能リンカー」であってよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチターゼ過敏性リ
ンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカーが使用され得る(Chariら, Canc
40
er Research, 52:127-131(1992))。
別法として、アンタゴニスト及び細胞障害剤を含有する融合タンパク質は、例えば組換
え技術又はペプチド合成により作製される。
【0069】
他の実施態様において、腫瘍の事前ターゲティングに利用するために、「レセプター」
(例えばストレプトアビジン)にアンタゴニストをコンジュゲートし、ここでアンタゴニス
ト-レセプターコンジュゲートを患者に投与し、続いてキレート剤を使用し、循環から未
結合コンジュゲートを除去し、細胞障害剤(例えば放射性ヌクレオチド)にコンジュゲート
する「リガンド」(例えばアビジン)を投与する。
また、本発明の薬剤は、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、国際公開第81
50
(25)
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/01145号を参照)を活性な抗癌剤に転化させるプロドラッグ活性化酵素にコンジュ
ゲートさせてもよい。例えば国際公開第88/07378号及び米国特許第497527
8号を参照されたい。このようなコンジュゲートの酵素成分はプロドラッグに、それをそ
のより活性名細胞毒性形態に転換するように作用することが可能な任意の酵素を含む。
【0070】
限定するものではないが、この発明の方法に有用な酵素には、ホスファート含有プロド
ラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有
プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5-フ
ルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに転化するのに有用なシトシンデアミナー
ゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボ
10
キシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロド
ラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なもの;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラ
ッグの転化に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグ
リコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラ
クトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化させるのに有用なβ
ラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェ
ニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転
化するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。ある
いは、「アブザイム」としてもまた公知の酵素活性を有する抗体を、遊離の活性薬剤に本
発明のプロドラッグを転化させるために使用することもできる(例えば、Massey, Nature
20
328:457-458(1987)を参照)。アンタゴニスト-アブザイムコンジュゲートは、ここで記載
されているようにして、腫瘍細胞個体群にアブザイムを送達するために調製することがで
きる。
【0071】
この発明の酵素は、当該分野においてよく知られている技術、例えば上述にて検討した
ヘテロ二官能性架橋試薬を使用することにより、アンタゴニストに共有的に結合させるこ
とができる。あるいは、本発明のアンタゴニストの少なくとも抗原結合領域を本発明の酵
素の少なくとも機能的に活性な部位に結合せしめてなる融合タンパク質を、当該技術にお
いてよく知られている組換えDNA技術を使用して作成することができる(Neubergerら,
Nature 312:604-608(1984))。
30
単鎖免疫毒素を用いてもよい。単鎖免疫毒素はタンパク質毒素に融合した抗体結合ドメ
インからなる二機能性分子である。標的細胞に結合したならば、免疫毒素はエンドサイト
ーシスのベシクル中に内部移行し、そこで毒素の触媒部分がプロセシングを受けてサイト
ゾル中に放出される。サイトゾル中に入ると、タンパク質の合成が停止し、細胞死が起こ
る。
【0072】
製剤
本発明において活性剤の製剤は、投与経路を含む当業者に知られている幾つかの因子と
活性剤に依存して変わる。例えば、本発明の好適な実施態様によれば、活性剤は抗体であ
る。当業者であれば、本発明において使用される抗体は、所望の純度を持つ抗体を任意成
40
分の製薬上許容される担体、賦形剤又は安定化剤と混合することにより、保存とその後の
投与のために調製することができることを知っているであろう(Remington's Pharmaceut
ical Science 16th edition, Osol, A編 [1980])。好適な担体、賦形剤、又は安定化剤
は、用いられる用量及び濃度で受容者に非毒性であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機
酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;防腐剤(オクタ
デシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;ヘキサメトニウムクロライド;ベンズ
アルコニウムクロライド;ベンズエトニウムクロライド;フェノール;ブチル又はベンジ
ルアルコール;メチル又はプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾル
シノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量
(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン等の
50
(26)
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タンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパ
ラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、
又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物EDTA等のキレート剤、ス
クロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩
形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体)又はトゥイーン(TWEEN)(商品
名)、プルロニクス(PLURONICS)(商品名)、及びポリエチレングリコール(PEG)等
の非イオン性界面活性剤を含む。
【0073】
ここでの製剤は、治療すべき特定の徴候に必要な場合に一以上の活性化合物、好ましく
は互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を持つものも含んでよい。あるいは、又はそれに
10
加えて、組成物は、細胞毒性薬、サイトカイン又は成長阻害剤を含んでもよい。そのよう
な分子は、適切には、意図する目的に有効な量の組み合わせで存在する。
また、活性成分は、マイクロカプセル、コロイド状薬物送達系、リポソーム、アルブミ
ンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル又はマクロエマル
ション中に取り込まれてもよい。当該分野で認められた方法に従って徐放性製剤を調製し
てもよい。徐放性製剤の好適な例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マト
リクスが含まれ、このマトリクスは成形された物品、例えばフィルム、又はマイクロカプ
セルの形状である。除放性マトリクスの例は、ポリエステルヒドロゲル(例えば、ポリ(
2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール))、ポリアクチド(
米国特許第3773919号)、L-グルタミン酸及びγ-エチル-L-グルタメート、非分
20
解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商品名)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸
リュープロリドの注射可能な小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、ポリ-(
D)-3-ヒドロキシブチル酸を含む。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などの
ポリマーは分子を100日に渡って放出することができるが、ある種のヒドロゲルはより
短時間でタンパク質を放出してしまう。カプセル化された抗体が身体内に長時間残ると、
それらは37℃の水分に露出されることにより変性又は凝集し、その結果、生物学的活性
の低下及び起こりうる免疫原性の変化をもたらす。合理的な方法は、含まれる機構に依存
する安定化について工夫することができる。例えば、凝集機構がチオ−ジスルフィド交換
を通した分子間S-S結合形成であると発見された場合、安定化はスルフヒドリル残基の
修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、水分含有量の制御、適切な添加剤の付加、及び特異的ポ
30
リマーマトリクス組成物の開発によって達成されうる。
【0074】
治療
本発明の抗体を含む薬剤は、それを必要とする患者に、周知の方法に従って、例えば、
ボーラスとして又は所定時間にわたる連続注入による静脈内投与、筋肉内、腹膜内、脳脊
髄内、皮下、関節間、滑膜内、鞘内、経口、局所、又は吸入経路などにより投与される。
抗体の静脈内又は皮下投与が好ましい。典型的には、維持投薬は、治療を患者と医療専門
家にとって簡便で費用効率のよいものにするボーラス送達、好ましくは皮下ボーラス投与
によって送達される。CD40特異的薬剤及びCD20特異的薬剤は同時に又は一の特定
の薬剤の後に他の薬剤を別にして投与してもよい。
40
【0075】
化学療法薬の併用投与が望ましい場合、併用投与は、別個の製剤又は単一の医薬製剤を
使用する同時投与と、何れかの順序の逐次投与で、好ましくは両方(又は全て)の活性剤
がその生物活性を同時に生じる時間がある投与を含む。そのような化学治療薬の調製法及
び用量スケジュールは、製造者の指示に従って使用されるか、熟練した実務者により経験
的に決定される。そのような化学治療に対する調製法及び用量スケジュールはまたChemot
herapy Service M.C. Perry編, Williams & Wilkins, Baltimore, MD (1992)にも記載さ
れている。化学治療薬は、抗体の投与に先立って、又は続いて投与してもよく、あるいは
それらと同時に投与してもよい。例示的な抗体製剤は、出典を明示してここに取り込む国
際公開第98/56418号に記載されている。この刊行物には、40mg/mLのリツ
50
(27)
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キシマブ、25mMの酢酸塩、150mMのトレハロース、0.9%のベンジルアルコー
ル、0.02%のポリソルベート20をpH5.0で含有し、2−8℃で2年の最低保存
寿命を有する液体多用量製剤が記載されている。興味のある他の抗CD20製剤は10m
g/mLのリツキシマブを、9.0mg/mLの塩化ナトリウム、7.35mg/mLの
クエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLのポリソルベート80、及び注射用の滅
菌水、pH6.5を含む。
【0076】
また、他の腫瘍関連抗原に対する抗体、例えばEGFR、ErbB3、ErbB4、又
は血管内皮成長因子(VEGF)に結合する抗体を投与することも望ましい場合がある。
あるいは、又は付加的に、2以上の抗CD40抗体を患者に同時投与してもよい。しばし
10
ば、患者に一又は複数のサイトカインを投与することも有利であろう。抗体は成長阻害剤
と同時投与されうる。例えば、まず成長阻害剤を投与し、続いて抗体のような活性剤を投
与する。しかしながら、同時投与、又は抗体を最初に投与することも考えられる。成長阻
害剤についての適切な用量は現在用いられている量であるが、成長阻害剤と活性剤との組
み合わせ(相乗)効果により減少させ得る。
上記の治療計画に加えて、患者に癌細胞の外科的除去及び/又は放射線治療を施しても
よい。
【0077】
疾患の防止又は治療のための、抗体を含む薬剤の適切な用量は、上記で定義したような
治療される疾患のタイプ、疾患の重篤さ及び経過、予防又は治療目的で抗体が投与される
20
か否か、従前の治療法、患者の臨床履歴及び抗体に対する反応性、及び主治医の裁量に依
存する。抗体は、一回で又は一連の治療期間にわたって適切に患者に投与される。治療が
連続した治療を含む場合、初期用量又は複数の初期用量の後に毎日又は毎週の間隔で維持
用量が続く。それぞれの維持用量は初期用量又は複数用量で投与された抗体の量と比較し
て同じか少ない量の抗体である。
疾患のタイプ及び重篤さに応じて、約1μg/kgから15mg/kg(例えば、0.
1−20mg/kg)の抗体が、例えば、一又は複数の別々の投与、あるいは連続注入に
より患者に投与するための最初の候補用量である。典型的な1日の用量は、上記の要因に
応じて、約1μg/kgから100mg/kg以上であろう。数日あるいはそれ以上にわ
たる繰り返し投与のためには、症状に応じて、疾患の徴候に所望の抑制効果が現れるまで
30
治療が続けられる。この治療の進行度合いは、常套的な技術及びアッセイによって容易に
監視される。
【0078】
製造品
本発明の他の実施態様では、上述した疾患の治療に有用な物質を含む製造品が提供され
る。該製造品は容器とラベルとパッケージ挿入物を含む。好適な容器には、例えば、ビン
、バイアル、シリンジ等が含まれる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料
から形成されうる。容器は、症状の治療に有効な組成物を収容し、無菌のアクセスポート
を有し得る(例えば、容器は皮下注射針で貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッ
グ又はバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも一の活性剤は抗CD40抗体であ
40
る。容器上又は容器に付随したラベルは、組成物が選択される症状の治療のために使用さ
れることを示している。製造品は更に製薬的に許容可能な希釈バッファー、例えばリン酸
緩衝食塩水、リンガー液及びデキストロース溶液を含む第二の容器を具備していてもよい
。更に、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針及びシリンジを含む商業的及び使用者
の見地から望ましい他の材料を含んでいてもよい。
【実施例】
【0079】
実施例I
材料と方法
動物
50
(28)
JP 2010-77134 A 2010.4.8
タコニック社(Germantown, NY12526)から雌CB-17IcrTac-scidfDF
マウス(8−9週齢)を得た。
腫瘍細胞株
RamosEBV-陰性バーキットリンパ腫、HSSultanEBV陽性形質細胞腫
及びIM9EGV陽性多発性骨髄腫細胞株をアメリカンタイプカルチャーコレクション(
Manassas, VA20110)から購入した。
Ramosリンパ腫細胞株を皮下異種移植scidマウスにおいて高用量のリツキサン
(500ug/マウスIP、週3回で3週間)にさらすことによって、リツキサン耐性R
amosリンパ腫細胞株を得た。
【0080】
10
蔓延腫瘍のモデル
100ulHBSS中に入れた1x10e6の腫瘍細胞をマウスに尻尾の血管を通して
注射した。コントロール抗体又はSGN-14又はリツキサン又はSGN-14とリツキサ
ンの組合せ又はキメラSGN-14mAb又はキメラSGN-14mAbとリツキサン又は
ヒト抗CD40mAbでの治療を、腫瘍接種の3日後に開始した。全体で3週間の治療の
間、週3回の頻度で100ulの滅菌生理食塩水に入った抗体をマウス1匹当たり100
ugの量で腹腔内から与えた。マウスの死亡率を毎日2回観察した。死因を組織病理学評
価によって確認した。
皮下腫瘍モデル
100ulHBSS中に入れた5x10e6の腫瘍細胞をマウスの右側に皮下注射した
20
。腫瘍体積が∼150立方mmに達したときにコントロール抗体か又はSGN-14又は
リツキサン又はSGN-14とリツキサンの組合せ又はキメラSGN-14mAb又はキメ
ラSGN-14mAbとリツキサン又はヒト抗CD40mAbでの治療を始めた。それぞ
れのマウスは、全体で3週間の治療の間、週3回の頻度で100ulの滅菌生理食塩水に
入った一の抗体を100ug腹腔内から与えられた。腫瘍体積を毎週測定した。
【0081】
結果
SCIDマウスに移植したRamosリンパ腫に対してのS2C6のハツカネズミCD
Rsをベースとしたヒト化抗CD40抗体(国際公開番号WO00/75348)と抗C
D20抗体(リツキサン(登録商標)ブランド製品)の抗腫瘍活性を比較した。結果を図1
30
に示す。21日目に治療後の腫瘍体積が、ヒト化抗CD40抗体を与えられた動物と抗C
D20抗体を与えられた動物においてコントロールと比較して有意に減少した。
SCIDマウスに移植したRamosリンパ腫に対してのハツカネズミ抗CD40抗体
(S2C6(SGN14)国際公開番号WO00/75348)と抗CD20抗体(リツ
キサン(登録商標)ブランド製品)の抗腫瘍活性を比較した。結果を図2に示す。31日目
に治療後の腫瘍体積が、コントロールと比較して抗CD40抗体を与えられた動物におい
て並びに抗CD20抗体を与えられた動物において有意に減少した。
【0082】
IM9(CD20+、CD40+多発性骨髄腫)に対する抗CD20抗体(リツキサン
(登録商標)ブランド製品)及びヒト化抗CD40抗体(ハツカネズミCDR'sベースS
40
2C6(SGN-14)国際公開番号WO00/75348)の抗腫瘍活性を移植SCI
Dマウスにおいて評価した。結果は図3に示す。移植後の生存はコントロール及び抗CD
20抗体を与えられた動物の双方と比較して抗CD40抗体を与えられた動物において延
びている。
H.S.Sultan(CD20+、CD40+多発性骨髄腫)に対する抗腫瘍活性に対
して抗CD20抗体(リツキサン(登録商標)ブランド製品)とハツカネズミ抗CD40抗
体(S2C6(SGN-14)国際公開番号WO00/75348)の併用を評価した。
結果は図4に示す。生存はコントロール動物及び抗CD20抗体又は抗CD20抗体を単
独で与えられた動物と比較して抗CD40抗体と抗CD20抗体を併せて与えられた動物
において延びている。
50
(29)
JP 2010-77134 A 2010.4.8
移植したSHIDマウスにおけるハツカネズミ抗CD40抗体(S2C6(SGN-1
4)国際公開番号WO00/75348)及び抗CD20抗体(リツキサン(登録商標)ブ
ランド製品)のリツキサン(登録商標)ブランド耐性Ramosリンパ腫に対する抗腫瘍活
性を調べた。結果は図5に示す。抗CD40抗体と抗CD20抗体を併用して与えられた
マウスの腫瘍体積は、コントロール動物及び抗CD20又は抗CD40抗体を単独で与え
られた動物のそれぞれと比較して有意に減少した。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】SCIDマウスに移植したRamosリンパ腫に対するヒト化抗CD40抗体及
び抗CD20抗体(リツキサン(登録商標)ブランド)の抗腫瘍活性の比較を示す。
10
【図2】SCIDマウスに移植したRamosリンパ腫に対するハツカネズミ抗CD40
抗体(SGN-14)及び抗CD20抗体(リツキサン(登録商標)ブランド)の抗腫瘍活
性の比較を示す。
【図3】SCIDマウスに移植したIM9(CD20+、CD40+多発性骨髄腫)に対
する抗CD20抗体(リツキサン(登録商標)ブランド)及びヒト化抗CD40抗体の抗腫
瘍活性を示す。
【図4】SCIDマウスに移植したH.S.Sultan(CD20+、CD40+多発性
骨髄腫)に対する抗CD20抗体(リツキサン(登録商標)ブランド)及びハツカネズミ抗
CD40抗体(SGN-14)の組合せの抗腫瘍活性を示す。
【図5】SCIDマウスに移植したリツキサン(登録商標)ブランド耐性Ramosリンパ
腫に対するハツカネズミ抗CD40抗体(SGN-14)と抗CD20抗体(リツキサン(
登録商標)ブランド)の抗腫瘍活性を示す。
【図1】
【図2】
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(30)
【図3】
【図5】
【図4】
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【配列表】
2010077134000001.app
JP 2010-77134 A 2010.4.8
(32)
JP 2010-77134 A 2010.4.8
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
テーマコード(参考)
A61P 37/06
(2006.01)
A61P 37/06
A61P 43/00
(2006.01)
A61P 43/00
111 (33)
【外国語明細書】
2010077134000001.pdf
2010077134000002.pdf
2010077134000003.pdf
2010077134000004.pdf
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