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PDF/512KB - みずほ総合研究所
海外通信 from New York 米国における女性活用の実態 ― トップ増加も残る昇進のハードル ― 筆者の住んでいる街は、電車でマンハッタンに通 女性活用が進んでいるといわれる米国でさえ、女 勤する人が多く、朝夕のラッシュ時には知り合いに 性が昇進する際のハードルは、男性に比べて今もな よく会う。先日は、偶然、娘の同級生のお母さんと隣 お高いのが実情だ。 同士の席になった。天気や夏休みの計画など他愛も ない会話をしていたが、そのうちお互いの仕事の話 固定観念が阻む企業の成長 になった。彼女はニューヨークに本部がある大手銀 行の部長をしているそうで、別れ際には旦那よりも 稼ぎがいいのよ、と笑いながら教えてくれた。 実は、こうした状況は企業にとっても望ましいこ とではない。会社を経営する能力には性別差がない 実は、彼女のように米大手企業で活躍する女性は にもかかわらず、男性を優遇すれば、本来幹部候補生 年々増加している。企業の中には、経営トップに女性 となり得る能力を兼ね備えた女性を、みすみす逃し を登用するところも増えている。 てしまうことになる。 限られた集団よりも、より大きい集団から選んだ 増える米大企業の女性CEO 方が才能のある人材を登用できる可能性は高い。し かも、人口の半分を占める女性となれば、なおさらで 最新の調査によると、アメリカの売上高上位1,000 ある。 社のうち、女性が最高経営責任者、いわゆる CEO を 「女性だから・・・」という固定観念を捨てて周囲を 務める企業の数は 51 社と、前年から 5 社増えて過去 見渡すことこそが、会社の将来を担う才能あふれた 最高を記録した。2004年時点で17社だったことを考 人材を見いだす近道であるはずだ。 えると、この10年間で3倍に増加した格好だ。 ゼネラルモーターズやアイビーエム、ゼロックス、 みずほ総合研究所 ニューヨーク事務所 ヤフーなど日本でおなじみの企業も、そのトップは 所長 太田智之 みな女性である。 [email protected] 米国でも女性活用は道半ば ●S&P500採用企業における女性役職員の割合 4.6 ただ増えているとはいえ、1,000社に占める割合は 5%程度とまだまだ少ない。しかも会社のトップだ けでなく、そこに至るまでの道のりも男性に比べて CEO 女性 男性 95.4 取締役 80.8 19.2 狭き門となっている。 図表はS&P500採用企業、つまり米国の主要な上場 企業における女性役職員の割合をみたものである。 上級管理職 25.1 管理職 74.9 63.2 36.8 これをみると、全従業員の 45%が女性にもかか わらず、部長など上級管理職に占める女性の割合は 25%にとどまっていることがわかる。取締役クラス では、19%程度とその割合はさらに低い。 12 従業員 55.0 45.0 0 (資料)Catalyst 50 100 (%)