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人材育成 - コマツ
人材育成 コマツの創業者である竹内明太郎は、創業時(1921 年)の理念 の中に「真の国産化とは独創の製品を海外に輸出することにある。 将来の経営幹部を計画的に育成 コマツは、1996 年から世界に通用する経営幹部候補を育成す インドや上海まで進出した欧米製品と競争して初めて独立国家と るため、 「ビジネスリーダー選抜育成制度」に取り組んでいます。こ しての製品国産化が実現する」と示し、既に世界を相手に競争する の研修制度には、40 歳代半ばの社員を対象とする「A 研修」と 20 ことを強く意識していました。1955 年、アルゼンチン向けにモ ∼ 30 歳代の社員を対象とする「B 研修」の 2 つのコースがあり、全 ーターグレーダーを初輸出して以来、現在では建設・鉱山機械事業 社から推薦のあった候補者を面接や適性テストによって絞り込ん の連結売上高の約 80 %が海外売上げとなっています。世界 16 カ だ上で、研修が行われます。 国に 41 の工場を操業し、また、世界中でコマツのサービスエンジ B 研修では、選抜された 30 人前後の社員を対象に、毎月 5 日間 ニアがお客さまの機械をサポートしており、コマツグループ全社員 のペースで 9 カ月間、大学教授による経営理論の講義や役員との の約 45 %が外国人となっています。 討議、研修生による経営課題の解決策などの提言が行われます。こ コマツが将来に向けて持続的に成長するためには、国籍・人種を の制度の特徴は、研修後のキャリアアップを特に重視していること 問わずグローバル・グループワイドに活躍できる人材の育成が急務 にあります。B 研修終了後の数年間、年 1 回のペースでビジネスリ です。私たちは、さまざまなプログラムを通じて、人材の育成に注 ーダーとしての再評価が行われます。経営幹部候補として執行役 力しています。 員や主力工場、関係会社のトップを目指す「α」 、部門長候補の「β」 、 専門職の「γ」に分類され、αの評価を継続的に得た者は、数年後 に海外工場長や合弁会社の幹部など重要なポストに就任させ、経営 海外現地法人の経営トップとの共通認識を醸成 2006 年 4 月、海外 9 カ国から主要な現地法人の代表者など 12 の実践を経験させます。 名を東京に招聘し、 「グローバル・マネジメント・セミナー」を開催 A 研修は、国内外の著名な大学のビジネススクールに 1 カ月程 しました。社長を含む日本側経営陣と経営課題につき多面的に議 度の短期留学を実施します。経営理論の更なる修得に加え、社外の 論し、今後の更なる発展のために何をすべきか、共通認識の醸成を ビジネスリーダーとの交流を通じてリーダーとしての意識を一層 目的としたものです。第 1 回となる今回のセミナーでは、①コマ 高めることを主目的としています。 ツの経営の考え方、戦略などについての理解を深める、②コマツの 2006 年 3 月末現在、240 名の社員が B 研修を、174 名の 文化、ものの考え方を共有し、グローバルでその浸透方法を検討す 社員が A 研修を終了しています。B 研修の受講者で、後に A 研 る、③コマツのグローバル化における課題についての共通認識を 修に進んだ社員は 31 名います。また、本研修導入後 10 年が経 図る、以上のような議題に関して集中的に議論しました。 過し、現在の執行役員のうち 8 名が A 研修受講者から選ばれて います。 コマツアメリカ(株) 小松(中国)投資有限公司 会長(兼)CEO IT 部 部長 デイビッド W. グレゼラック 張 洪 「私たち参加者は、それぞれ異なる文化や経験、価値観を持っていますが、 「私は、現在 B 研修に参加しています。この研修を通じて 28 名ものコマ 1つのグループとしてコマツの成長と事業の改善について共通の意見と考え ツグループのメンバーと 1 年近くの時間を共有し、多くことを学んでいま 方があります。それを社長(兼)CEO の坂根さんに今回提案しました。 す。社長を含む各役員からはコマツの経営方針と戦略を直接聞くことがで コマツが現在まとめあげようとしている『コマツウェイ』は、私が知って き、IT 部長として業務を遂行する上で非常に役立っています。特に、プロジ いる米国企業の制度・プロセスとそれほど違和感がないと考えています。コ ェクトを進める上で、コマツの中国オペレーション全体の視点に立ち、スト マツにおける意思決定のプロセスは、事実の把握に基づく継続的な改善活動 ーリーの組立、チームのとりまとめが出来るなど、自信をもって業務に取り をベースにしているからです。私は、この『コマツウェイ』をコマツアメリ 組めるようになりました。 」 カ(株)の全社員に理解してもらい、改善活動を継続的に行う上で活用していき たいと考えています。」 26 Annual Report 2006